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価値創造の仕組み~IoTを活用していかに価値を創造するか~

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Academic year: 2021

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価値創造の仕組み - IoT を活用していかに価値を創造するか

A Value Creation Mechanism – How to create values by using IoT?

竹林 一

1

中嶋 宏

1

Hajime Takebayashi

1

, Hiroshi Nakajima

1

1

オムロン株式会社

1

Omron Corporation

Abstract: Customer satisfaction is essentially realized by the values provided to a customer. The study

has been trying to figure out the mechanism of value creation by using IoT. In the article, some discussions on value creations are investigated and discussed, and the case studies follow them. The article concludes with the discussions on the power of IoT for value creation with considering its diversity and fluctuation nature.

1. はじめに

近年の技術進化の加速は目まぐるしいほどである. 特に情報通信技術(ICT)を中心とした発展,それを道 具としてさまざまな技術分野が同時進行的に進化し ている.あまりに早く進行するために,ドッグイヤ ーと呼ばれたりラットイヤーと呼ばれたりしたこと ももはや過去の事である. 世は第三次の人工知能ブームに沸くが,それも ICT が支えていることは間違いない.人の能力をは るかに超える超大容量かつ超高速の情報処理が実現 され,それをベースにより知的で柔軟な処理の実現 に大きな期待が寄せられている. 本稿では,IoT によっていかに価値創造に結び付 けるのか?という点について検討し,その創造に向 けた仕組みについて議論を展開する.

2. 価値創造

本節では,価値創造について重要な事項である, 価値の進化,価値の分類,誰にとっての価値かにつ いて検討を行う.

2.1 価値の進化

価値の進化は 2 軸によって語ることができる.1 つは技術進化によってなし得るもの.そして,もう 1 つの軸が価値そのものの転換である.これら 2 つ の要件が重なるところに「価値創造」が位置づけら れる.ここで重要な点は世界観をいかに描き出すか に尽きる.この議論では,これらの軸があたかも固 定的に与えらるものと錯覚しがちであるが,これら をどのようにとらえるのかが世界観を描くというこ とになる.すなわち価値を進化させるとき,価値の 転換の軸は何か,技術進化の軸は何かが重要となる.

2.2 顧客価値とさまざまな側面

価値は製品やサービスによって提供されるもの, あるいはそれらを利活用した体験によって提供され るものである.事業を行う上では顧客価値が最も耳 慣れているが,価値を進化させ続ける,すなわち事 業活動を永続させるためには,それを含めた,次の 5 つの価値を認識しておく必要があろう.それらは, ①顧客価値,②社会的価値,③技術的価値,④事業 価値,⑤融合価値,である.

2.3 価値創造と IoT

価値創造とは顧客満足を満たすものでなければな らない.あるいは,満足度の向上させるものである. 顧客満足度CSを式(1)に示す. CS = QCD × S (1) ここで,QCD とは製品(モノ)としてのハードウ ェアもしくはソフトウェアの Q:Quaility,C:Cost, D:Delivery であり,S とは Service,Solution, Story, Shikumi(仕組み,コト)である.そして,IoT はこ の間を繋ぐ”×”の役割を担うものである.ここで重 要な論点として,次の 2 点を指摘しておく,まず, CS 向上のためには,ユーザの期待に応える仕組みが 必要である.加えて,CS を最大化させるプロデュー サが必要である.CS とは生き物である.社会的環境 の中で,常々,多様化し変化し続けている.式(1)右 辺の S はこの変動に合わせた最適化を常々行う必要 がある.ユビキタスや M2M といった概念の発展上 医療情報学会・人工知能学会AIM合同研究会資料 SIG-AIMED-002-16 16-1

(2)

に,IoT を位置づけることができる.すると,明ら かなイノベーションが見えてくる.単なる技術や機 能の進化のみならず,新たなビジネスエコシステム としての生態系が見えてくるはずである.

3. 事例研究

前節までの議論を受け,ここではいくつかの価値 創造実践例を紹介する.

3.1 ウェルネス&メディカルサービス

ウェルネス(健康)とメディカル(医療)では, 全くニーズにこたえて提供すべき価値は異なる.健 康を中心に置くと,その維持・増強が望まれる.一 方,医療では病気の早期治癒,再発防止となる.し かしながら,これらは相互作用を与えるものとして 考えることが肝要である.日常生活における健康管 理は,病気の予防につながる.同時に日常生活下に おいて計測されたデータが医療において重要視され てきている.日本高血圧学会の診断ガイドラインで は,医療機関では診断できない,早朝や夜間での高 血圧,あるいは白衣高血圧や仮面高血圧などに有用 と指摘されている[1].また最新のガイドラインでは, 医療機関と家庭で測る血圧に相違があった場合は家 庭血圧による診断を優先するとしている[2].これは 血圧などの生体情報は定常的に変動しており,かつ 日常生活における生活習慣,すなわち運動・食事・ 睡眠に関わる活動情報と併せて蓄積し,個別化され た健康管理や疾病管理に役立てることが期待される [3][4].

3.2 からだ発ライフスタイル提案

「カラダのキモチ」は婦人体温計という IoT デバ イスを活用したサービスで,カラダとココロのリズ ムを健やかにすることを目指したものである.基礎 体温の時系列変動から,排卵日や月経日を予測する ことで,より健やかな生活支援を目指したものであ る.蓄積されたデータと医学知見を合わせて開発し たアルゴリズム[5]を採用している.

3.3 IoT デバイスからのデータ活用

血圧計,体重体組成計,歩数計・活動量計,婦人 体温計などのヘルスケアデバイスはネットワークを 通じたデータ収集を行う IoT デバイスである.収集 および蓄積されたデータを分析することでさまざま な価値創造につなげることが期待できる.たとえば 日本国内の都道府県ごとの血圧平均をマップするこ とで,空間的な血圧分布を知ることが可能となる. 特に日本は東西南北に広がっているため,春秋にお ける南北の気温差がもたらす血圧差を容易に知るこ とができる. IoT デバイスの特徴はセンシング情報に加えて, その計測が行われた時空間情報も同時に紐付けるこ とができる点にある.3.1 の事例では,ウェルネスと 医療という場の違いをスムースにつなげることがで きる.3.2 は特に時間的変化に対する医学的知見との 紐付けが重要となっている.一方で,収集されるデ ータの活用によって,新たな知見の発見や精度向上 が期待される.3.3 では空間的な分布を中心に紹介し たが,この日本血圧マップは時系列変動も捉えるこ とが可能であり,時間空間的な変動に対する血圧変 動を捉えることができる.これは血圧にとどまらず, 歩数や体重なども同様に把握が可能である.

4. おわりに

本稿では価値創造の仕組みについて検討し,その ために IoT をいかに活用するのかという議論を行っ た.IoT とは,ハードウェアおよびソフトウェアと サービス(仕組み)を繋ぐものである.価値創造に ついては,中心に顧客価値を置くが,それは多様化 および変化が必然である.それらの縦横的な変動に 対し,エコロジカルな事業と技術の発展が必須であ る.永続的事業として価値創造を発展させ続けるに は,まだ多くの論点を残すものであるが,今後もこ の発展に寄与していきたい.

参考文献:

[1] 日本高血圧学会,「高血圧治療ガイドライン 2009」, (2009) [2] 日本高血圧学会,「高血圧治療ガイドライン 2014」, (2014)

[3] Hiroshi Nakajima, Toshikazu Shiga, and Yutaka Hata, “ Systems Health Care - The Aspect of Home and Medical Care,” In the proceedings of IEEE International Conference on Systems, Man, and Cybernetics, pp. 2616-2621, (2012) [4] 志賀 利一, 中嶋 宏, 「システム・ヘルスケア―ICT の活用による生活習慣病の予防・改善に向けて―」, 情報処理学会 デジタルプラクティス,4(3),218-225 (2013-07-15) [5] 齋藤 真由美, 土屋 直樹, 中嶋 宏, 江森 泰子, 大坪 豊, 金澤 亜依, 金岡 秀信, 「基礎体温を用いた排卵 日・月経開始日予測とその展望」, 第 30 回 ファジ ィシステムシンポジウム, 2014 年 9 月 1 日~3 日, 高 知, pp.67-70, (2014) 16-2

参照

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