育 児 相 談 者 の 援 助 と 情 動 的 共 感 性
静岡県立大学看護学部
清 水
嘉 子
(YoshkO Shimizu)
要 約 本研 究 は,育
児相談者 と して他者 の心情 を感 じとる能力 と しての共感性 につ いて明 らか に し , 経験 年数 や実 際の生活体験 (結婚 。出産・ 育児 の体験)の
影響,事
例 に対す る記述 か ら援助 の分 析 を行 ってい くことを 目的 と した。対象 はS県
内の母親 の相談者 で あ る小児・ 母性・ 助産 。地域 母子保健・ 保育 な どの領域 の専 門職者 に施設 を通 じて調査 を依頼 し,調
査用紙 を合計400部配布 し350部 回収 (回収率875%)し
た。結果 と して,情
動 的共感性 は高 く,既
婚者 で子 ど ものい る 者 によ り高 い傾 向がみ られた。また,援 助 に結婚 の影響があると している者 は36.3%と高 か った。 相談 で気 をつ けてい ることでは, もっぱ ら,相
談者 との信頼 関係 をつ くるための言葉遣 いや,話
を よ く聞 くであ った。 関わ りの難 しさの認識で は,623%が
難 しい と して お り,保
育士 や保健 師 に有意 に高 く認 め られた。特 に自分 の苦手 なタイプゃ伝えたいことが伝わ らない時 とな っていた。 困難 な内容 では,価
値観,世
代 (年齢),育
児 の大切 さや子 どもへ の愛情 のない母親,過
保護・過 干渉 な母親, 自分 のいいたい ことだ けを主 張 して くる母親,マ
イナス面 で とらえ る母親,マ
ニ ュ アル的な子育ての母親 な どがあげ られていた。 こうした ことか らも,相
談者 の能力 を高 めて い く ことが大 きな課題 といえよ う。 キー ワー ド 育児,相
談者,援
助,情
動 的共感性I.は
じめ に 少子化 の今 日,核
家族化が増加 して い るなかで 育児 してい る母親 の孤立,夫
の家事育児協力不足 な どによる母親 の育児 ス トレスは高 ま りつ,育児が うま くいかないな どの子 どもに対す るコン トロー ル不可能感や育児への苦手意識 を抱えている母親 が増 えて い る。 また,ス
トレスの発散 を子 どもに 向 けて しま う母親 による児童虐待 が増 えてい る。 こう した,状
況 にあ って育児 してい る母親 の支 援 にあた り,各
市 町村 では母親 同士 の グル ー プ討 議 を取 り入 れた相談事業 を行 った り,両
親 学級 な どで夫 に対す る働 きか けが行われている。さ らに, 育児支援対策 と して,保
育 園な どに相談 窓 口を設 けた り,子ど もの一次預 か りも行 っている。また, 助産 師会 や民間団体 な どの 24時 間電話相談 も行 わ れて い る。 こ う した さま ざまな支援 の中で,母
親 との1対1の 関係 で行 われ る育児相談事業 の 占め る位置 は大 き く,育
児 してい る母親 の相談 にあた る援助 に関す る研究 が望 まれて い る。 育 児相 談者 で あ る,看
護 師・ 助産 師・ 保健 師・ 保育士 な どが,病
院・ 助産所 。保健 セ ンター・ 幼 稚 園や保育 園な どのそれ ぞれの場 において,共
感 と見守 りの姿勢 を持 って関わ っているだろ うか。 専 門職者 は知識 と技術 を伝 え ることで援助者 とし ての役割 を果た してい ると思 いこみ,指
示 的指導 や援助者 と しての価値観や判断を交 えた助言 を し てないだ ろ うか。 そ こで本研究 は,母
親 の相談者 であ る小児・ 母性・ 助産・ 地域母子保健 な どの領 域 の専 門職者 の,相
談者 と して他者 の心情 を感 じ とる能力 と しての情動的共感性 につ いて明 らかに し,経
験年数 や実 際の生 活体験 (結婚・ 出産・ 育 児 の体験)の
影響,事
例 に対す る記述 か ら援助 の 分析 を行 って い くことを 目的 と した。Ⅱ
.研
究方 法<調
査用紙 の作成>
1-5(後
述)に
関す る質 問項 目と,メ ー ラ ビア ン らの尺 度 (1972年)33項
目を,加
藤・ 高木 ら (1980年)が
日本人 の生 活条件 や生 活感情 におゝさ わ しい内容 に修正 して作成 され た情動 的共感性尺 度33項目(他者 の情動 や感情 に対 す る共感性 を測 定 す るための尺度 で感情 的暖か さ,感情 的冷淡 さ, 感情 的被影響性 の下位次元 で構成 され る)を
加 え た ものを調査用紙 と して作成 した。 質 問項 目1.相
談者 の母親 への関わ りで心 が けて い る点2.難
しい関わ りと考 え る場面 や状況3.具
体 的な母親 の例 に対す る対応 ①子育 ては嫌 い,子
育 てが楽 しくない と訴 え る母 親 の援助 ②一人 で子育 て して い る感 じ,子
どものなす事す る事 に腹 が立 って きつ い言葉 にな り,叩
いた りす ると訴 え る母親 の援助4.仕
事 やそれ以外 の経験が相談 の関わ りに影響 し て い ること 5。 仕事 や人生 への満足度 ①調査対象 S市内の2ヵ所の総合病院の母性看護領域 に勤務 している看護師・助産師・保健師,S市
の保健師,S市
内の助産所 の助産師,S県
看護協会主催 の母 子関係の研修会 にか加 した看護職およびss市 内の 保育園に勤務す る保育士 を対象 とした。 表1
対象 の属性n=350
子 ども数 人 (%) 結 婚 人 (%) 勤務場所 人 (%) 年 齢 人 (%) 経験年数 人 (%) 職 種 人 (%) 家族形態 人 (%) 末子の年齢 人 (%)4(11)
10歳 代 114 (326) 5年未満 125 (357) 看護師 6(1,7) 0歳 148 (42.3) 0人 213(609) 既 婚 172 (491) 病 院 174 (497) 核家族 80(229) 6∼ 10年 未満 59(169) 保健 師 29 (83) 1人 126 (360) 未 婚 52(149) 保健 セ ンター 127(363) 20歳代 100(286) 2世 帯家族 44 (126) 1∼ 3歳 50(143) 10∼15年 未満 55(157) 助産師 105(300) 2人 4(1,1) 保健所 95(271) 30歳代 19(34) 3世帯家族 20(57) 4∼ 6歳 16年以上 89 (254) 保育士 8 (23) 助産所 84 (240) 40歳代 95(271) 38(109) 一人暮 らし 31 (89) 7∼ 12歳 42 (120) 3人 14 (40) その他 88 (251) 保育 園 34 (97) 50歳以上 21(60) 13∼15歳 10(29) 4人以上 16 (46) そ の 他 10 (29) 16∼18歳 42 (120) 18歳以上 11(31) 8 (23) 無回答 11(31) 10(29)6(17)
19 (54) 28 (8) 15 (42)調査 用 紙 を合計400部配布 し
,350部
回収。 回 収率 87.5%。 管轄 の機 関 に調査 の 目的お よび協 力者 に対す る 守秘 につ いて説 明 し協力 を依頼 した。 了解 の得 ら れた各機 関毎 に配布 し,回 収 した後,返 送 された。 ②調査期 間 :平 成 14年 10月 ∼ 12月 ③分析方法 !自 由記述によるものは,記
述 された 内容を分析 し,数値 による回答は統計処理を行なっ た。共感性尺度についてはあてはまる∼あてはま らな いの5段階尺度 を 1か ら5点 に改め,33項
目 合計点 を共感性 と した。 また,共
感性 の 91以 下 を低群(下位数18%)と
し,105以
上 を高群 (上位数17%)と
して比較検 討 した。 Ⅲ.研
究結果1.対
象 の属性 職種,勤
務場所,経
験年数,年
齢,結
婚 の有無, 子 ど もの有無 と数・ 末子 の年齢,家
族形 態別結 果 t心定定,・*p<001,■p<0.05 表2
対象 の属性 と困難 さの認知 の関係 表3
育児相談 を して いて難 しい と思 うこと 困難 さ な し あ り 職 種 30半 78* 看護師 10* 44* 保健 師 20学 27* 助産師 17キ 62奉 保育士 7* 6・ そ の 他隠
な し あ り 48・本 99半キ 病 院 7学* 41料 保健 セ ンター 3手ネ 1+* 保健所 3・手 4・率 助産所 16キ‡ 64*半 保育園 7・ネ 7料 その他 伝えたい ことが 伝わ らない とき 音手なタイプ 項 目 直 してほ しいことはいぃに くい 伝 えたいことが うま く親 に理解 して もらえないとき 誤 って とられた とき よかれ と思 って説明 して もうま く伝 わ らないとき 年齢の高い人に話す とき 相手 との年齢差に伴 う考え方の違い 自分の考え られない親に関わったとき 自分 と考えの違 う親にあったとき 子 どもに愛情がないケース 育児の大切さがわか らない 問題 と思 って も相手にその意識がないとき 自分のいいたいことだけを主張 して くる人 1つ ひとつ質問 して くる人を納得させるのは大変 マイナス面でとらえる マニュアル的な子育て 過保護・ 過干渉なタイプ 内 容表
4
相談 で気 をつ けて い ること 大項 目 信頼関係作 り ′Jヽ項 目 言葉遣いに気をつける 話 をよ く聞 くようにす る 助言 。指導す る際 に 心がける 内容 ほめる 丁事 に いたわ りの気持 ちを持 って 失礼 のないよ うに 子 どもが不安 にな らないような話 し方 比較 しない 自分がいや と思 うことは相手 に しない 子 どもの前 で親の悪 口をいわない てきばき接す る 大変 さを認 め る 相手 を尊重す る 相手 の身 にな って話す 不安や心配 を表 さない 相手の背景や状況を知 る 相手の気に障 らないように友人になるような感 じで聞 く 何でも話せる雰囲気を作 る 共に考える 立ち入 ったことは間かない 親子の間に笑いがあるか確かめる 相手の気持ちを確かめる いやが ったことは話 さない 目を見て しっか り話を聞 く 自分 自身教えてもらう気持ちで接す る 否定 しない 夫婦の協力が不可欠 母性父性になったことを意識づける プレッシャとにな らないような指導 わか りやす く丁事に 押 しつけない 根拠を持 って指導する 教科書通 りにしない 励まし,忍耐を持たせる できていることは認める 育児に自信を持たせる
表
5「
子育ては嫌い」「1人で育児 している感 じ」 と話す母親 に対 して 1人 で子育て している感 じ,子どものする事なす事 に腹が立 ちきつい言葉に な り,たたいて しまう 子育ては嫌い,子育て して いて楽 しいとは思えない 相談対象ケース 助言 す る 話を聞 く 助言す る あるがままを受 け入 れ る 話を聞 く 項 目 肩の力を抜いて 母親 としての自覚をちゃんと持つ 感情的にならず深呼吸する 家事は後回 しにして子 どもと遊んでみる 振 り返 りができればよい たた くのはよ くない たたいた後に抱きじめてやる 子 どもの立場に立 って考えさせてみる 皆同 じことを伝える 相談を進める(専門家・ 仲間作 り・ 友人) 自分の時間を作る(夫に協力してもらう。 子育てについてどう思 っているか聞 く たたいたときの母親の気持ちを聞 く なぜ 1人 と思 うか聞 く 具体的な場面を聞 く 母親のいった言葉を繰 り返す 上司に相談す る 援助サービスにつなげる いずれ楽 しい ときが くる よか った と思 うこともた くさんあると思 う なぜ産んだのか,産む ことを選んだ責任 はある あなたの愛情 がない と育 たない 体験談 を話す 子 どもと共感 できる何 かをす る 気長 に関わる 抱 き じめてみ る 子 どもはあなたが好 き,あなた しかない 誰で もそ うだ 嫌 いとい う母親を受 け入れ る 共感す る 話 して くれた ことに労 う どうい うとき。どうして嫌 いか 楽 しい ときはないか聞 く 母親のい った言葉 を繰 り返す 生育歴 を聞 く 母親 の子 どもの時な どを思 い出させ る サポー ト者を確認す る 一緒 に考 え る 内容
表
6
対象 の属性 と経験 の影響 の関係 な し あ り 172キ半 あ り な し 20学半 123芋* な し あ り 職 種 7ネ* 115・* 看護師 1ネ* 551【・ 保健師 1*・ 48*孝 助産師 保育師 17本■ 66牟オ 0券率 1・* そ の 他 経験 の影響 な し あ り 結婚の有無 7キ半 197半キ 既 婚 19キ・ 101キキ 未 婚 経 験 な し あ り 勤務場所 8*率 158キ・ 病 院 1・キ 47・* 保健 セ ンター 0** 4キ* 保健所 6キ半 助産所 0料 154キ 67*半 保育 園 0・* 15事‡ そ の他 経験 の影響 年 な し あ り 0*ネ 4キ・ 10歳代 2半キ 101*事 20歳代 4** 86半準 30歳代 1*辛 77辛孝 40歳代 1奉半 31=* 50歳 以上 経験の影響 な し あ り 経験年数 15* 93キ* 5年 未満 6∼ 10年未満 71‡キ 45* 10∼ 15年未満 86半 16年以上 t検え],・*p<001,・pく005 は表 1と な った。 職種 では看護 師が357%と
多 く,つ
いで保育士25,4%,保
健 師169%,助
産 師157%で
あ った。 経験年数 で は,5年
未満 が もっと も多 く32.6%で あ った。年齢 は20歳代 が もっと も多 く36.3%で
あ った。 勤 務 場 所 は病 院49,1%,つ
いで保 育 園251%で
あ つた。結婚 の有無 で は,既
婚者 が60,9%を
占め,既
婚者 の うち子 ど もの いな い者 が42.3%,つ
いで2人が300%で
あ った。子 ども 1人 以 上 の末子年齢 で は,1∼
3歳が12.6%,18歳
以上 は12.0%であ った。家族形態 は核 家族 が49,7%を 占めて いた。2.難
しい と思 われ る関わ りの経験 につ いて 関わ りの難 しさの認識 で は,は
い と答 えた もの が62.3%,い
いえ と答 えた ものが243%で
あ っ た。 また,援
助者 の属性 との関係 で は職種 と勤務 場所 に t検 定 にて有意 差 が認 め られた (p<0.05,p<0.01)(表
2)。 保健 師や保育士,保
健 セ ンター や保育所 に有意 に高 く認 め られた。 また,難
しい と考 え る具体 的 な内容 では,苦
手 な タイプに出会 った とき, 自分 の伝 えたい ことが 伝 わ らな い ときであ った (表3)。3.相
談 で気 をつ けて い るこ と 言葉遣 いに気 をつ け る,話
を よ く聞 くよ うにす る,助
言す る際 に心 が け るな ど,相
手 との信頼 関 係 づ くりのための気遣 いが み られていた (表4)。 具体的な①②の事例 としては,①
「子どもが嫌 い,子
育てが楽 しくない」に対 しては話を聞 く,な し あ り 職 種 満 足 61** 54半半 看護師 19手孝 31・キ 保健師 19ネ率 32‡* 助産師 20*孝 61キ* 保育士 5*孝 7料 そ の 他 表
7
対象 の属性 と仕事への満足 の関係 満 足 な し あ り の有無 70率 125キ 既 婚 56キ 55・ 未婚 な し あ り 満 足 57・ 111* あ り 67孝 70+ な し t検定,オ・p<001,■p<0.o5
あ るが ままを受 け入れ る,助
言 す る,援
助 サ ー ビ スにつ なげ る,上
司に相談す るな どの対応がみ ら れていた。 ②「 一人 で子育 て している。子 どもの してい る ことに腹が立 ち,きつ い言葉 やたた くこともあるJ に対 して は,話
を聞 く,お
よび助言す るについて は① と同様 であ った。相談をすすめる, 自分 の時 間をつ くるな どの助言 がみ られ ていた (表5)。4.過
去 の経験 と援助 との関連 過去 の仕事 や仕事以外 の経験 の影響 にはい と答 えた ものは85.4%,い
いえ は7.4%で
あ った。属 性 との関係 で は,職
種,勤
務場所 の ほか結婚 の有 無1子
どもの有無,年
齢,経
験年数 にt検定 にて 有意 差 が認 め られた(p<O o5,p<001)(表
6)。 どの項 目も影響 を認 め る者が多 く,特
に結婚 して い る者 と子 どものある者 に高 い傾 向がみ られた。′ また,経
験 の内容 では,結
婚 した ことが もっと も 多 く366%,部
署 が変 わ って経 験 が増 えた こと18.0%,子
ど もを産んで育てていること16.9%で あ った。5,仕
事 。人生 へ の満足 現在 の仕事 への満足 で は,満
足 しているが517
%,不
満足 は354%で
あ った。 また,属
性 との関 係 で は,経
験 の影響 の経験年数 が家族形態 に入れ な し あ り 家族形態 満 足 64キ* 89*ネ 核家族 30‡本 65ホ* 2世帯家族 4率率 13*キ 3世 帯家族 23** 12・・ 一人暮 らし 子 ども数 満 足 な し あ り 14‡ 12事 1人 29本 65* 2人 13半 27孝 3人 16* 4人以上 勤務場所 満 足 な し あ り 81半キ 76・キ 病 院 19辛+ 24卒* 保 健 センター 1孝ネ 3料 保健所 0*事 8*・ 助産所 19*半 61*半 保育園 5料 10奉■ その他 満 足 な し あ り 年 齢 1* 3・ 10歳代 53車 64・ 20歳代 43・ 42事 30歳 代 23キ 52キ 40歳代 50歳以上満 足 な し あ り 結婚の有無 48** 138キ・ 既 婚 47** 59ネ■ 未 婚 表
8
結婚 の有無 と人生 へ の満足 の関係 t検定,*孝p<o ol 替 わ ってい るが,ほ
ぼ同 じ項 目にt検定 にて有意 差 が認 め られた(p<005,p<001)(表
7)。 看 護 師,病
院,子
ど もが4人以上,一
人暮 らしに仕 事 へ の満足 が低 か った。 一 方,人生 への満足 では,56.0%が
はい と答 え,271%が
いいえ と答えていた。 また,属
性 との関 係 で は,結
婚 の有無 に t検 定 にて有意差 が認 め ら れた(p<001)(表
8)。 結婚 して い る者 に満足 が 高 か った。a情
動 的共感性 尺度全体 の項 目平均値 は3.0,偏差値 は094で
あ った。情動 的共感性 では,全
体平均値98.8,偏 差値8.2,最大値144,最
小 値62であ った。 高群 と低群 の項 目平均値 の比較 で は,33項
目中15項 目 (234.101112,14.15,161820.25.28.293233) にt検 定 にて有意差が認 め られた(p<0.05,p<
0,01)。 特 に下位項 目で は,感
情 的暖か さで は平均 値 4.12,偏 差値076,感
情 的冷淡 さは平均値 201, 偏差値109,感
情 的被影響 は平均値3.18,偏差値101で
あ った (表9)。 感情 的暖か さが もっと も高 く認 め られた。 また,情
動 的共感性 と属性 や受 け止 めの関連 で は,職
種,結
婚 の有無,子
どもの有無,経
験 の内 容 に高,低
群 に t検 定 にて有意差 が認 め られた(p<005,p<0.01)(表
10,11)。 既婚 で子 どもの あ る者 に共感性 が高 く認 め られた。 Ⅳ.考
察1,育
児相談者 の相談 の受 け止 め 育児相談者 は,育
児相談 時 の関わ りの難 しさを623%の
ものが認識 してお り,職
種 お よび勤務場 所別 に有意 差 が認 め られて いた。保育 園や保健 セ ンターで相談 を受 ける保健 師や保育士 は,育
児 の 相談 を受 け る機会 も多 く,相
談 で難 しい と して あ げて いた,苦
手 な タイプや伝 えたい ことが伝 わ ら ない とい った場面 が多 い と考 え られた。 病 院での看護 師の育児相談場面 は,ど
ち らか と い うと,施
設 の中での指導 的場面 が多 く, こう し た難 しさの認識 は地域 の保健 セ ンターや保育 園で 3.6∼ 5.8倍 (はい といいえの比率)の
困難認知 に 比 べ,206∼
2.6倍 と少 な くな って いた。 助産所 の助産 師 は 1.3倍 ともっとも困難 の認知 が低 か っ た。時間的に余裕 を持 って じっ くりと関わ ること, 妊娠期 か らの援助 関係 の中で,す
で に信頼 関係 が とれて い ることか ら,信
頼 を して相談 して いるこ とが考 え られ る。 相談 時の困難 な内容 では,価 値観,世 代(年齢), 育児 の大切 さや子 どもへ の愛情 のない母親,過
保 護・ 過干渉 な母親,
自分 の いいたい ことだけを主 張 して くる母親,マ
イナス面 で とらえ る母親,マ
ニ ュアル的な子育ての母親な どがあげ られてお り, 関係 を築 きなが ら相談 を受 け るには,困
難 が予想 され,結
果 と して, 自分 が伝 えたい事柄 が相手 に 伝 わ らな い とい う事態 に直面 して いる。相談 で気 をつ けて い ることで は, もっぱ ら,相
談者 との信 頼 関係 をつ くるための言葉遣 いや,話
をよ く聞 く であ り,また助言 の際に留意す る事柄 としては もっ ともであ る と関心す る。 に もかかわ らず,難
しい との認 識 が多 い。 ケースに対す る相談 を受 ける際 に,関
係 を とお して プロセ ス と して,模
擬訓練 を 日頃か ら行 い,相
談者 の能力 を高 めてい くことが 大 きな課題 といえ よ う。 また,各
事例 に対す る対応 をみてい くと,母
親 の話 を聞 く,助
言 とな って い る。具体 的 には「 体 験談 を話す」「 産 んだ ことに対す る責任 が あ る」「 愛 情 が な い と育 たな い」「 たた くの は よ くな い」 な ど,相
談者 の価値観 を助言 と して伝 えて い る。母感 情 的 被 影 響 性 感 情 的 冷 淡 さ 感 情 的 暖 か さ 下 位 項 目 全体平均 33周りの人の気持ちが沈んでいると平気でいることができない 32孤独な人間は薄情だと思う 31動 物を飼っている人は動物の気持ちを大げさに考えすぎている 30人が泣いているのを見ると困惑してしまう 一般に外人は冷たくて,人の感情に鈍感なように思われる 小説や映画に熱中するのはばかげていると思う 友人の悩みに感情的にまきこまれてしまうことがある 26小 説を読んでいると登場人物の気持ちになりきる 25相 手に悪い知らせを伝えるときこちらの気持ちも乱れる 24周りの人が神経質になると,自分も神経質になる 23他 人の感情に左右されずに決断することができる 友人が動揺しても自分まで動揺すること1まない 感情的に周りの人からの影響を受けやすい 映画を見ていて周りの人の泣き声やすすり上げる声を聞くとおかしくなることがある 19周りが興奮していても平気でいられる 18人 前も1まばからずに愛情が表現されるのをみると私は不愉快になる 17他 人が何かのことで笑ってもそれに興味をそそられない 16人 がどうしてそんなに動揺することがあるのか理解できない 15周 りの人が悩んでいても,平気でいられる 14友 人が悩み事を話はじめると話をそらしたくなる 13不 幸な人が同情を求めるのを見るといやな気分になる 12他 人の涙を見ると同情的になるよりもいらだってくる ■ 人がうれしくて泣くのを見るとしらけた気持ちになる 10小 さい子ども1まよく泣くが,かわいい 9私は会計事務所に勤務するよりも社会福祉の仕事をする方がよい 贈り物をした相手の人が喜本のを見るのが好き 7大 勢の中でひとりぽっちでいる人を見るとかわいそうになる 誰かがつらとヽ扱いを受けていると非常に腹が立つ 5身よりのない老人を見るとかわいそうになる 4動物が痛がるのを見ているとかわいそうで見ていられない 3愛の歌や詩に深く感動しやすい 2歌を歌ったり聞いたりすると楽しくなる 1映 画を見るとその内容に引き込まれ夢 中になる 項
目 299 357 203 225 3.15 2.00 182 3.29 344 3,77 308 287 270 347 185 2.33 253 193 188 185 173 254 170 179 436 388 439 3.87 424 398 434 378 437 403 平 均 094 100 0,97 1.00 104 102 094 1.00 099 1.01 104 102 093 106 089 093 107 088 094 085 088 098 090 090 0,88 101 0.80 089 077 089 078 095 078 089 偏 差 347 325・ 245* 2.55 346 249キヰ 211牟キ 3.51 372 4,03オ孝 355 3.22 288 368 229・ 271 311キ* 238 235・キ 229 218準■ 300 2,11孝+ 208+率 457*キ 404 446 408 4_38 428率* 4614* 403* 446 415 高群 平均 288 375孝 144・ 181 263 13辛■ 251 293 323+■ 242 282 263 300 149= 216 191+* 1.49 135*事 1.58 142キ* 216 133キ・ 1.51** 396・* 363 435 349 396 353*4 4.24半* 3.47オ 426 4_04 低群 平均 318 2.01 412 下位 項 目 平均 101 119 076 下位 項 目 偏差 平均 表
9
情動 的共感性n=350(%)
t検定,ネ*p<o ol,・p<005
共感性 高 群 低 群 職 種 28* 23卒 看護師 11 13* 保健師 13= 15孝 助産師 16* 10* 保育士 その他 表
10
対象 の属性 と共感性 の関係 共感性 高群 低 群 55率 30キ 既 婚 19奉 31辛 未 婚 共感性 高群 低群 47* 25* あ り 25* 35* な し t検定,・p<005 表11
影響 す る と考 え る経験 の内容 と共感性 の関係 t検定,キ・p<001 共感値平均値988
偏差値82
最大値144 最小値62 低群 共感値 91以 下(下位数18%) 高群 共感値105以上(上位数17%) 親 は,「つ らい気持 ちをわか って ほ しい」な ど,助
言 を求 めるよ りも,話
を聞 いて受 け入 れて もらう ことが求 め られていることか ら,母
親 の援助 に対 す るエー ドのず れが生 まれて い るので はないか と 考 え られ る。今後 は,母
親 に対 す る相談者 につ い ての評価 に関す る調査 を進 め検討 を行 って い きた い。2.経
験 の影響,仕
事 の満足,人
生 の満足 と属性 と の関係 仕事への満足,人 生 へ の満足 は 56.0∼517%が
満足 してい る と答 えて お り,35.4∼271%は
不満 足 と答 えて いた。また,経
験 の影響 は854%が
あ ると答 えてお り,特
に結婚 した ことが36.3%と高 か った。属性 で は,病
院の看護 師が仕事 に対す る 不満足 が高 くな って いた。 困難 さの認識 が低 いに もかかわ らず,仕
事 へ の満足 が低 い ことか ら,他
の要 因が関係 していると予想 された。 しか し,人
生 への満足 で は,既
婚者 が多 く,経
験 の影 響 があ る もので は,結
婚 し子 どもが いるこ と,保
健 セ ンターや病 院 にい る看護 師や保健師 に 多 く,年
齢 は 20∼40歳,経
験 年数 で は5年未満 または,16年
以上 に多 くな って いた。仕事 の満足 と人生 の満足 に関係 す る要 因 は異 な って い ること が うか力Wつれた。 3.情動 的共感性 と属性,相談 の受 け止 め との関係 情動 的共感性 につ いて は,加
藤 ら (1980年)の
都市部 の女子大生 を対象 に した もの と比較 して, 感情 的暖か さが高 く(41,24>3736),感
情 的冷淡 さ(2013>21,36)/感
情 的被 影 響 性 (15,89>1665)は
低 か った。すで に男性 に比べ情動 的共感 内 容 共感性 高 群 低 群 28キ・ 18** 結 婚 21ヰ■ 5‡・ 出産育児 15孝キ 14・半 配置変え 6帯 17** そ の他性 が高 く、 中学 。高校 。大学生の比較 では
,大
学 生が高 く,情
動 的共感性 の高 い人 は,援
助行動 を 示す ことが 多い こ とが明 らか とな ってい る。情動 的 共感性 は,渡
辺 らによると,共
感性 の高い母親 に育 て られ ると共感性が高 くなるといわれ,石
井 ら (1999)に よる と妊娠・ 育児の体験が女性 の共 感性 (IRI尺 度認知側面・ 情動側 面の両面か らと らえた共感性 の測定 を試 みている)に
与え る影響 につ いては,有意差が認 め られていない。今回は, 10∼50歳代 の女性 を対象 と した もので,属
性 と の関係をみ ると既婚者で子 どものあるものに共感 性 の高群が多 く,看
護師,保
育士 に高群 が多か っ た。 また,相
談 の受 け止 めで は,結
婚 や出産・ 育 児による影響 を認め る もの に高群が多か った。 今回の対 象が,結
婚・ 育 児の経験 が相談 な どの 人 との関わ りに影響 してい ると受 け止 めてい る も のが85496と 高 く,ま
た,既
婚 者 が609%を
占 め,既
婚者 の中で も532%が
子 ど もがい ることか ら,全
体 と して情動 的共感性 が高か った ことに関 係 して い る と考 え られ た。 また,加
藤 ら (1980) による一般女子大生 との比較 か ら,専
門職業集団 の情動的共感性が高か った ことか ら,職
業 と共感 性 が関連 につ いて示唆 され た。 今回 は,特
性 と し ての共感 について,自己報告 に基づいた調査 を行 っ たが,育
児相談 の場面 において,共
感 とい う現 象 が どの よ うな状況 で生 じ,育
児相談者 の共感 が, 母親に どのよ うな影響 を もた らし,その ことによ っ て相 互 の関 わ りが どの よ うに変化 す るか,表
情, 心拍 な どの変化 に も着鳳艮しなが ら,対
象で あ る母 親 に対す る聞 き取 りを行 うな どの課題が あ ろ う。 (本研究 に ご協力いただいた関係機関の皆様 に心か ら感謝 申 し上 げます。なお,本
研究 は平成 14年 度 静 岡県立大学学部長研究助成 によ って行 われ た) 文 献1)清
水嘉子 育児ス トレスと夫の家事育児協力 日 本子供の虐待防止研究会第8回 学術集会抄録 集 2002,95.2)武
谷雄二他編 母性の心理・社会学助産学講座3. 医学書院,東京,1996,2-31.
3)青
木l崇子編 母 冷の心理・ 社会学`日本看護協会 出版会,1991,61-65.
1)平
林秀美,柏
木窓 丁 他 者の感情 を推論す る能力 の発達 Hunをin Developnlental Research.1990, 6(7), 1-35,