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青少年非行と道徳教育(m 一犯罪原因としての環境と個体との関連一

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139

青少年非行と道徳教育(m

一犯罪原因としての環境と個体との関連一

社会科学教育研究室定 形 善 次 郎

目    次 はじめに

1 犯因性素質と犯因性環境

∬ 犯因性環境の両相 1 行為環境と人格環境 2 欠損家庭と少年犯罪 3 家庭の貧困と少年犯罪 皿 個体の犯罪要因の公分母

1 欲求不満 2 罰の予期

】V むすび 一道徳教育との接点一

は じ め に

前号に於ては,青少年非行と道徳教育との関係を考える基礎的な資料として,戦後に於 ける青少年非行の量的ならびに質的な推移を概観したのであるが,本稿では,青少年非行 と道徳教育との接点を見出すために,特に少年犯罪の原因を,環境と個体との関連の立場 から考え,あわせて戦後に於ける少年犯罪の推移の原因を考察したい。

1 犯因性素質と犯因性環境

人間の行動を規定する要因が極めて複雑であるとすれは,犯罪や非行も人間の行動の一一 種である以上,その原因もまた極めて多様であって,その発生には無数の条件や要因が作 用しており,或る意味ではそれらのすぺてがその原因となり得る。これらの条件や要因を どのように分類するかは,本来犯罪学(criminology)の研究領域に属するものであって,

その分類については各種の立場があり,今日必ずしも見解が一致してはいないが,概して これを大別すると,犯罪や非行を行う主体である個人の側に於ける内的或は生物学的な要 因と,これをとりまく環境の側に於ける外的或は社会的要因とに分けることができる点に 於ては略一致している。

一応環境的要因との関係を捨象した,主として個人の側にある内的な生物学的な犯罪要

(2)

因に就ても極めて多種多様であって,一応これらは,身体的,精神的,心理的要因等に分 けることができるが,一般に個体のうちにあって,精神的或は身体的な発展の根基として 生得的に与えられている性質を広く素質と呼ぶならは,個体の側にある犯罪要因は主とし て素質的なものに基づくものが多いので,これらを犯因性素質と呼ぶことができる。これ らの犯因性素質は犯罪や非行の原因の重要な基底的要因であることは否定できないが,然 しそれと犯罪や非行との問に決定的な因果関係があるとは言い得ないのであって,犯罪や 非行の傾向性が既に生得的に規定されているとする先天性犯罪説は今日殆んど支持されて いないし,又犯罪者のすべてが犯因性素質をもっているとは言い得ないことは各種の犯罪 統計資料の示すところである。例えば警察庁の犯罪統計書によれば,第1表のように昭和 31年と32年の少年犯罪の合計の中で犯因性素質に原因があると認められるものは32・77%

であって,全体の約3分の2は犯罪原因として該当する犯因性素質は認められないとされ

ている。

勿論この統計資料は厳密な素 第1表 少年犯罪と素質(警察庁犯罪統計31年32年合計)

質検査に基づいたものではな・・ 1 オ,「素質」の概念や範囲につ

総数i 精神異常 精神 性格 鮪縺@異常

i鰍鰭) 性癖 その他

素質

@ 5v

該当

ネし いてもなお検討すぺき余地があ  [ 一一一

100 008   1O.94io.55 ll,94119.26

32.77 67.23

るので,資料としての信頼性に l F 1 I  l ついては多くの問題点がある。

例えば少年犯罪者の中における精神薄弱者の割合については,吉益氏等の研究では,それ と診断し得るものが約10%あることが報告されており・又諸外国に於ける研究の結果で も,30%乃至50%と報告されているが,これらと比較すると第1表の精薄者の割合は僅か に1%に足りないで余りに低くなっている。従ってこの資料は,概念の規定や診断の方法 等にょる制約から,少年犯罪と犯因性素質との関係を正確に把握する上に十分に信頼性を

もつとは言い得ないが,少年犯罪のすぺてが犯因性素質に基づくものでないという二般的

な傾向を知る資料としては意義をもつものであると思われる。      /

従って個人の側にある素質的要因が犯罪の原因として基底的な意味をもつとしても・そ れが犯罪の決定的な原因でないとすれば,他の原因を個体の外にある環境的要因や条件の 中に求めなければならない。

環境とはブーゼマン(Busemann)のいっているように「人格に影響し或は人格によっ て体験される外的世界の総体」であり,このうち特に犯罪行為の原因となる刺戟や条件を

もっている外的世界の全体をレンツ(Lenzりは犯因性環境と呼んでいる。一般に人格に影 響を与える環境の類型化については,特に教育的環境学等に於ける環境類型論として貴重

(3)

定形:青少年非行と道徳教育 (皿)       141 な研究が展開されているが,犯因性環境の類型については,最も普通に行われている環境 分類に従って,自然的環境と社会的環境とに分けた場合,特に犯罪に関係するのは社会的 環境であるので,犯因性環境は主として社会的環境と限定して考えても差支ない。この社 会的環境の分類についても,環境類型論の立場からは,例えば人的環境と文化的環境,実 在的或は対象的環境と人的環境及び客観的精神的環境,社会的環境と価値的環境等に分け られるが,犯因性をもった社会環境には,集団的(人的),文化的,経済的,政治的環境 等が合まれ,更にそれらの各領域には多くの要因が含まれている。これらの社会環境的要 因や条件は個体の中にある素質的要因と複雑に,力動的に関連することによって,現実的 な犯罪行為を起こさせるものであるが,本稿では環境と佃体との関係を,環境の個体に対 する作用の面と,環境との関連に於ける個体の犯罪要因との両面から考察したい。

皿 犯因性環境の両相

1 行為環境と人格環境

個体の側にある内的な要因と個人の外にある環境的な要因との複雑な力動的な関係に於 て現実的な犯罪が起るとしても,環境的要因が個体に影響して具体的な犯罪行為を起こさ せる作用の面から分けると,環境的要因は二つの様相に分けることができる。即ち犯罪も 社会的に承認されない不健康な人聞行為の一種であって,しかもすぺての人間の行為が常 に何等かの意味に於て個性的人格(pcrsonality)の表現であるとするならば,犯罪行為も 又,犯罪の傾向と構造とをもった人格の具休的な表現であると考えることが出来る。しか

もこのような所謂犯罪性人格の形成が,個体の内的な要因と外的な環:境的要因との力動的 な交渉(interaction)によるとすれば,犯罪原因としての環境的要因がi個体に作用する 様相の第一は,それが犯罪性人格を形成する上に影響を与えるという面であり,このよう な犯罪性人格を形成する要因をもった環境を犯因性人格環境と呼ぶならは,犯罪原因とし ての環境は第一に内的要因との関係に於て,犯罪性をもった人格を形成する犯因性人格環 境として個体に作用する。

然し犯罪性人格が常に現実的な犯罪行為を起こすとは限らないし又すべての犯罪が常に 犯罪性人格だけによって起こされるとも限らない。犯罪性人格が具体的な犯罪行為を現実 に起こす為には更に直接的に犯罪の動機や態度の決定に作用を及ぼす環境的条件が必要で あり,このような条件がない場合には犯罪性人格も具体的な犯罪行為に陥らない場合があ るし,又犯罪動機を提供する環境的条件があれば健全な人格も犯罪に陥る場合もあり得る。

このような具体的な犯罪行為を現実的に起こさせる動機や態度の決定に直接的に影響を

(4)

及ぼす環境的要因を犯因性行為環:境と呼ぶならば,犯罪原因としての環境が個体に作用す る第二の様相は犯因性行為環境としての意味である。従って犯罪原因としての環境が,個 体に作用する面から,犯因性人格環境と犯因性行為環境とに分けると,前者は比較的長期 間にわたる持続的な影響や主体の体験によって人格の中に犯罪の傾向と構造とを生み出

し,所謂犯罪性人格の形成に影響を与える環境の様相であり,後者は主として一時的な影 響によって行為時の動機や態度の決定に影響を及ぼし現実的な犯罪行為の成立に直接的に 影響を与える様相である。勿論,犯罪性人格という特定の人格類型があるわけではないが 唯環境的条件が好ましくない場合に非行や犯罪等の異常な行動に陥り易い人格傾向はある ので,このような傾向をもった人格を一応犯罪性人格と名付けるならばこのような人格傾 向を生ずる原因としての環境要因が犯因性人格環境であり,更にこのような人格が犯罪を 犯す直接的な動機や態度に影響する環境的要因が犯因性行為環境である。いま両者の関係 をより明かにする為に内的な素質的要因と外的な環境的要因との関係から具体的な犯罪行 為が成立するまでの過程を図示すると次のように考えることができる。この過程に於て第 一次的に環境が個体に作用するのは人格環境としてであり,行為環境は第二次的に作用す る。然し現実的な犯罪行為の原因という立場から考えると人格環境は間接的基底的要因で あり,行為環境は直接的現実的な要因と考えることができる。

       1    − 一 一 一  一 麿 一 【 一 「 一 一 一 一  一 一 

囓b:三樋諒繍…二厩又泓遜言麹二櫛為…

Q2≦健_環境i_i健_≧≦_編_i健全行為1

      一 一 一 一 一 ・ . 一 ■ . , 一 曹 圏  一 一 _ 一 一一一 ■ 曹一 ■ , 【 一 一一 ■ r − 一 一 一一 一 一 一 一 一 一一 一 一 一 一 一 ■ 一 ■ ■ , 一 幽 ■ 會 . 一 . − ■ 層 } 一 一 一 一 一 一 一 一一一 ・ 一 一 ■ 囚         「 一 一 氏@曹 門 一 _一 門 . r,_ 一 一 一 一一_ 一 一曽9 閣 一 F − 一 , 一 騨 一 一 一 一 一 一 9 −・ 【 一 一 . 冒 一 一 一一 一一 圏 幽 一 一一 . 一 一 「 一 一 . ¶ F

犯因性をもった環境的要因の中には本来比較的人格環境として作用するものと,行為環 境として作用するものとがある。前者には家庭,学校,職業,地域社会,マスコミ,文化 的葛藤や価値の喪失等が合まれ,後者には酩酊,経済的貧困,不健全娯楽,盛場,戦争等 が含まれる。然し犯因性環境を人格環境と行為環境とに戯然と分けることは困難であり又 不可能であって,一つの要因の中にも人格環境として強く影響するものと行為環境として 作用するものとがあり,更に同一の環境的要因が或る時には人格環境として又或る時は行 為環境として作用する場合がある。従って犯因性をもった環境的要因を人格環境と行為環 境とに分けてもそれはあくまで環境が個体に作用する様相からの分類であり,いつれの作 用を主とするかの類型であって犯罪原因としての環境は個体との関係に於て常にこの二つ の様相からみることが必要である。この人格環境と行為環境とは何れも犯罪行為の原因と しては直接的或は間接的に重要な意義をもつものであるが,然し犯因性環境の層的な構造 からみると,行為環境は現実的な犯罪を惹起する直接的な契機を提供する意味に於てより

(5)

定 形:青少年非行と道徳教育 (皿)       143

現象的であるのに対して,人格環境は犯罪を犯す人格の傾向性を培う点でより基底的であ り,その意味では人格環境が犯罪原因としてはより重要な意味をもつものと考えられる。

従って犯因性環境の改善や浄化も,現象的な行為環境の浄化と共に,より基底的な人格環 境の改善が重視されなければならない。

以上のような個体に作用する環境的要因の両相の立場から,少年犯罪の環境的要因とし て最も重要な意義をもつ家庭環境の中で,特に親の欠損と経済的貧困が少年犯罪に対して

もつ関係を,主として警察庁の統計的資料に基っいて以下に考察する。

2 欠損家庭と少年犯罪

家庭が人間形成の基礎的な場であることは既に本紀要第一号の「家族集団の教育構造」

に於て考察したところであるが,家庭が青少年の人格形成の最も基礎的な場である以上,

それが好ましくない条件にある場合家庭環境は少年犯罪の原因としての最も重要な要因を 含む。特に家庭に於ける人間関係の悪条件は,或る場合には直接的な行為環境として作用 する場合もあるが,更にこれらが,不断に,しかも持続的に青少年に影響を及ぼし,或は 主体的な体験を通して犯罪性人格を形成する人格環境として重要な意義をもつものであっ 第2表 「家庭関係」を原因とする少年犯罪割合 て,家庭の不和や教育的無関心からの放任,

慶因別1少年犯不和1放任鰭罪総数1 1

極端な厳格等が少年犯罪の直i接的或は間 レ的な原因となっている割合は,第2表の 1

1男 主たるエ 因 100

一〇.4 豊71

02 6.3 ように,全犯罪の26。6%になっているが,

女 合

従たる エ 因 100

 [1.2118.4 1

0.7 20.3 そのうち比較的直接的な主たる犯罪原因と

なっている割合は全休の6.3%であるのに

10011.6 24.1 0.9 26.6

I   I 対して,それが間接的な従的原因となって

主たる エ 因

1。。1α7i旦7 1   1

0.3 6.7 いる割合は遥に高くて20.3%になってい

鍛圃 2.3 19.1 1.0 22.4 る。前者が主として家庭の人間関係の犯因 ォ行為環境としての作用の面を示している

子1計/l。。…a。12生81.3 1   1   i   I   IL一一 i29.1

iのに対して,儲が主として人格環境とし

(警察庁犯罪紙計書31年32年合計) ての面を示しているとするならば,家庭に 於ける人間関係の悪条件は犯因性環境の中でも特に人格環境として重要な意味をもつもの である。ちなみに家庭に於ける人間関係に基づく犯罪の割合が,少年のうち特に女子の場 合に高くなっていることは(第2表)女子に於ける人格形成と家庭の人間関係とが男子に 於ける場合よりも深い関係にあることを示すものとして注意されなければならない。

家庭の人間関係と少年犯罪との関係は,特に正常な人間関係,就中親と子の関係を欠い

(6)

た欠損家庭の少年犯罪の割合 第3表 完全家庭及び欠損家庭の少年犯罪率 を正常な人間関係をもつ完全 1\欠損別

ヲ痴.{   欠  損  家  庭

1完 全 家庭のそれと比較することに 父欠1母欠1醐欠1計 [家庭

よって一層明かである。我国 一1一

S

一一一一 一一 

ュ年j女

1翫9%]a6%  [ 6.6%i

31.1% 68.9%

の少年犯罪全体の中で欠損家 }B_1 一 一一一一

  1

P5.8   8.5 6.5 30.8 69.2

庭の少年による犯罪割合を, 一一一 一一−−}一亀c瞬 18.0 ll.5一一 7.6一一一一一一 37.1 62.9   1

昭和31年と32年の2ヶ年の平  1六 D 少年 1男女  15.9

│一

8.8 7.4 32.1 67.9

均についてみると第3表(A)

大后『  一一

ュ年j子 15.8 8.6

  [7・3「31・7 68.3

のように31.1%と全体の約3 F 少年落q  『 18.6 o

11.7 8.8 39.1 60.9

一『一 

分の1弱になっている。全家

G麟   一一   i12.1

6.0 3.8 21.9 78.1

庭に対する欠損家庭の割合を

一  少年H  男子一一一』一回皿}} 一一囮一皿一一一 一一一一

T.7 3.7 21.5  78.5

正確に知る資料は殆んどない  少年1 女子

  113.5  11.4

4.6 29.5  70.5

が,各種の資料を綜合すると ①父欠一実母又は養母あつて,父なし又は父

欠損家庭の全家庭に対する割

№ヘ大体10%乃至15%と推定 備   考

②母欠一実父又は養父あつて,母なし又は母

@継B両親欠一実父母又は養父母なし,両親共に

@継,継母あり父なし,継父あり母なし されるので,欠損家庭の少年 ④茨城は31年,32年,33年の平均,全国及び

@六大都市は31年,32年の平均 犯罪率は遥にそれを上廻って _1

いると考えられる。更に家庭の欠損が少年の犯罪率を高めている事例の一つとして,欠損 家庭のうち,我国に於ける母子世帯(実母有父無♪と児童世帯(両規欠)の全世帯に対

第4表 母子世帯,児童世帯の世帯別割合と少年犯罪率 する割合と,この両世帯か

\\欠損世帯別1母子世帯(実母有父無)「 児童世帯(両親欠)\ \ らの少年犯罪率を比較する

    \    \

n域別\\一一『一     1「帯割創少年犯罪率 世帯割創少年犯辮 と第4表のように地域の如

全    国 3.9% 8.3%    10.12%  5.56%

@  1 何を問わずいつれの場合で

大 都 市 i  3.51  8.7(6大都市)   1    10.14   8.46 も欠損家庭の少年犯罪率が

「帯割合を上廻っており,

郡  剖  細  α8(茨 城)i  l α。7iZ7。   [

特にこの傾向は両親を欠く

備    考 「母子世帯」「児童世帯」の世帯割合は,厚 カ省,厚生行政基礎調査報告昭和28年による

児童世帯の場合に於て著

オい。

このように我国に於ける欠損家庭割合とそれからの少年犯罪率と を比較すると後者が前 者より遥かに高くなっているが,アメリカの学者の研究でも,アメリカに於ける欠損家庭 は全体の20%乃至25%と推定されるが欠損家庭の少年犯罪率は47%或は61%と報告されて いるので,家庭の欠損が少年犯罪の原因としての重要な因子であることは否定できない。

(7)

定形:青少年非行と道徳教育 (H)       145 ちなみに英国のヘルマン・マンハイム(H・Manheim)の都市に於ける少年非行の研究で は,その3分の1が欠損家庭の少年であると報告されているので,我国に於けるそれと大 体同率であると考えられる。

家庭の欠損が少年の犯罪に大きな影響を与える場合,地域別や性別によるその影響度を 第3表についてみると農業を中心とする茨城県と6大都市では性別を問わず6大都市が欠 損家庭の少年犯罪率が遥に高く,又少年男子と少年女子では地域の如何を問わず女子が男 子より高い犯罪割合を示している。

従って以上を綜合すると,家庭の欠損は少年犯罪の重要な要因の一つであるがその影響 度は男子よりも女子に於て高く,又欠損家庭からの少年犯罪よ邪ゴビさ江ている地域程 高い傾向があるということができる。

欠損家庭は更に「父欠」「母欠」「両親 第5表 欠損別少年犯罪率 欠」の3種類に分けることができるが,こ

フ欠損別の少年犯罪の割合を第5表によっ

i    欠損別

p地域および男女別

欠慰欠

両親欠1

て比較すると,いつれの場合でも父欠損の

 }A全 少 年

ニ女 51.1%

1 27.8%121.1%

場合の犯罪率が,欠損少年の全犯罪の50% Bl1少 年C男 子 51.4 27.4 21.2

前後を占めて最も高く,母欠損,両親欠損

国』 C P.麦一一子少 年 48.4, 31.1 20.5

がこれに次でいる。一・般に父の平均年令が   D六 1一 少 年j.女一 49.6 27.4   『Q3.0 母のそれに比べて高いこと,女性に比べて 大1s E 少 年j 子 50.0 27.0   1Q3.0 1

男性の死亡率が高いこと等を考慮に入れる 一一一

市i}一@旨F 少 年浴@子 47.5 30.O

@ l 22.5

1 と,上の犯罪率だけで直に父なきものの方 G 少一

N男 女

55.5 27.2「17・3 が母なきものより犯罪の可能性が高いと結 一一『

Hl劣筆  一

56.1 26.5 17.4

論することは困難であって,父なきことと

1[婁睾 45.6 38.7  」 1旗7i

母なきこととの,いつれが子供の不良化に 備 考略鷲禦嘉籔平

132年の平均 1 とって重大であるかについては今日学者の

意見は必ずしも一致していない。即ち「父なき子供は母によって一層強い愛を以て保育さ れるために母なき子供程には不良化しない」という主張に対して,「父なき子供は規律あ る統制を欠き母の盲目的な愛に害されるために,母なき子供より却って不良化の危険が大 きい」という意見が対立している。

唯父のないことと母のないこととが少年の男子と女子に対してどのような違った影響を 与えるかを第5表の(B)と(C)について少年男子と少年女子との犯罪率を欠損別に比 較すると両者共にその犯罪の割合は「父欠」「母欠」「両親欠」の順序になっているが,

父なき家庭からの犯罪率は女子より男子が高く,逆に母なき家庭からのそれは男子より女

(8)

子が高くなっている、しかもこの傾向は農村地域を中心とする茨城県の(H)と(1)に 於ても,又6大都市の(E)と(F)との比較に於ても同様であるので,一般に父がない

ということは「家庭の規律ある統制を欠き母の盲目的な愛情に害される」欠陥が,女子少 年に対してよりも男子少年に対してより大きな犯罪的影響を,又母がないことからの「母 親の愛唐の欠如」は男子少年に於けるよりも女子少年により人格形成上の悪影響を与える 度が高いと考えることができる。

上述のように欠損別からみた父なき場合と母なき場合とでは,男子と女子の犯罪に対す る影響度は夫々異る傾向が見られるが,少年犯罪全体に対して両者のいつれが影響すると ころ大きいかを統計的に計る基準はないし,学者の意見も又一致していない。唯欠損のう ち両親を欠く場合の少年の犯罪率が第5表にみられるように,いつれの場合でも20%前後 を占めて,母なき場合とその割合の差が僅かに10%前後になっている。ところが実際の欠 損家庭の中で両親のない家庭は,母のない家庭よりも遥に少いものと推定されるし,又第 4表にみられるように両親を欠く児童世帯は父を欠く母子世帯の30分の1以下であるのに 対して,その少年犯罪率は2分の1以上であることからみて,少くとも両親を欠く家庭は 父又は母のない家庭に比較して遥に少年犯罪率が高いといえる。殊にこの傾向は孤児や浮 浪児等の家庭を持たない子供の多い都市地域程著しいし又少年の男子と女子では,男子の 方が女子よりも犯罪率が高い傾向がみられる(第5表)。

次に欠損家庭の少年の犯罪は完全家庭のそれと比較してどのような犯罪内容と特に深い 関係をもっているかを第6表の各罪種別の構成割合の比較を通してみると,完全家庭と欠 損家庭の少年犯罪の罪種別構成割合では,両者共窃盗,粗暴犯の暴行傷害・脅迫恐喝,知 能犯の詐欺横領,兇悪犯の強姦・強盗等の順になっているが,完全家庭の構成割合に比較 して欠損家庭のそれが特に高くなっているのは,全国及び茨城県を通じて,窃盗,詐欺横 領等の知能犯,兇悪犯の中の強盗・放火等であり,暴行傷害・脅迫恐喝等の粗暴犯,強姦

・狼せつ等の性犯等は却って完全家庭の方が高い割合を示している。従っで一般に欠損家 庭の少年犯罪は,第ll表にみられる主として金銭的動機に基づく強盗・窃盗・詐欺横領,

家庭の不和等を主たる原因とする叱責・侮辱,その他の怨恨憤怒を動機とする放火等が特 に完全家庭より高く,腕力や暴力を手段とする粗暴犯や性犯等は却って完全家庭の割合よ

り低くなっている。これは家庭の養育の責任者であり,家計の負担者である親の欠損と,

それに結果する正常な愛1青の欠如が,家庭の不和や無統制,教育的無関心や放任,経済的 貧困等の原因となり,それが後述の少年の「必要な欲求」や「過剰な欲求」の不満をもた らして,直接的或は間接的に上述のような犯罪内容と特に深い関係を示しているものと思 考される。ここで最近の少年犯罪の質的な傾向と関連して注目されることは,前号に述ぺ

(9)

定 形:青少年非行と道徳教育 (皿)       147

第6表  欠損家庭の少年犯罪と犯罪内容との関係

「\地域および { 全       国  「 城 1

 \、P 欠 損 別 1 完全

華 欠損

欠  損  別

幽\響簑庭離 父欠i母欠瞳欠1 家庭 家庭

v 父刻歌襯欠

1

・総  数11・・11・・l         I   I

100 100 100 100 100 100 100 100

1兇磯人iq31α3 0.3 0.4 0.4 0.3 0.3 0.4 0.3 0

1 一一一一 一

」弓虫盗i1・7Z2 2.0 2.2 2.4 1.6 1.8 1.5 2.5 1.3

悪1 …一一一一卜… 一一一

一一 1■一 一一一

1放   火   0.110.2iα2        … O.2 0.2 0.2 0.5 0.3 1.1 0

犯       1

@ 強 姦…留 20」昭      i 2.0 一一 

P.5 4.3 2.8 2.2 1.7

1 1 一一一一闇一一 i−一… 一潤}一

粗暴行儲11讐嗣.17.3 13.9 12.6 25.6 20.3123.4

@ 1  i 17.5 15.3

鑑脅迫恐劇副ω       i

7.1 6.6 5.9 10.4   …

P0.0 10.6 10.6 7.4

塞1窃劃 4乳5 59,5 56.3 63.0 62.O 40.7 50.4 46.5 53.2 59.0

罷犯詐欺鞭1 5,1{5.8 5.6 5.6 6.5 3.4 4.5 3.9 5.3 4.8i

@ }

則賭 博1俗i

⑫α1 0.2 0.1 0.1 0.2  0.1

P一

0.1 0

ol ヒ

      1

ニ 狸せっ 10。5 0。4 0.5 0.4 0.3 0.3 0.2 0.3 0.3 ・1

訓その他…1λ・1乳・i&1 5.3 13.0 9.0 9.6 7.0

1α引  i

       」

たよ うに昭和30年以降の所謂第2上昇期に於ける少年犯罪の内容的特色は特に粗暴犯と 犯とが激増を続けているところにあるが,この両罪種は上述のように共に欠損家庭の少年 によるよりも完全家庭の少年による割合の方が高いので,最近の少年犯罪の激増の担い手 は欠損家庭の少年よりもむしろ完全家庭の少年の方が,より多くの割合を占めているもの

と推定される。

以上いくつかの統計的資料に基づいて,欠損家庭と少年犯罪との関係をみたのであるが 欠損家庭に少年犯罪者の割合が高いことは事実であり,従って家庭が欠損であることが少 年犯罪の原因としての重要な要因の一つであることは否定できない。然しこのことは家庭 の欠損と少年犯罪との間に絶対的な意味に於て因果関係があることを示すものではなく,

欠損家庭が常に少年の犯罪や非行の原因となることを意味するものではない。少年犯罪の 原因としての欠損家庭のもつ意味は,親を欠くという家族構成上の欠陥が直接的に少年の 犯罪行為の原因となるというよりも,むしろ欠損であることが家庭生活を質的にどのよう に変え,それが子供の人格形成の上にどのような影響を与えていくかという主とし機能上 の問題になってくる。母規や父親を欠いていること自体に問題があるよりは,母や父を失 った後の父や母の状態,子供達への不行届,継父母との折合の悪さ等々の主として家庭の

(10)

愛情の変化や人間関係の和合の状態等が人格形成の上に悪い影響を与えるところに犯因性 環境としての重要な意味があるのであって,これらの欠陥をカバーする十分な条件が満た される場合,決して欠損家庭と少年犯罪とは直結するものではない。従って家庭が欠損で

あることは重要な犯因性環境要因の一つではあるが,それがもつ意味は親を欠くこととそ        、 れから結果する環境的条件が直接的に犯罪行為を引き起こせる行為環境としての意味より

も,むしろそれらが持続的継続的に人格形成の上に影響を与えて所謂犯罪性人格を形成す る人格環境としての意味を重視すべきである。

3. 家庭の貧困と少年犯罪

家庭の欠損と並んで,家庭の犯因性環境要因の一つとして,家庭の経済的条件特に貧困 の問題がある。一般に人間の生活に必要な基本的な物質的欲求が満たされないときは心身 の正常な発達は阻害されるので,家庭の貧困は子供の人格形成に影響を及ぼして,直接或 は間接に犯罪や非行の原因となる場合が多い。本来家庭の経済程度を正確に測ることは殆 んど不可能であるし,又これをどのように分類するかについても今日多くの意見が分かれ ているので,家庭の貧困と犯罪との関係を統計的に明かにすることは極めて困難であるが,

ここでは一応警察庁の統計資料に拠って経済程度を,「極貧」「下流」「中流1「上流」「極 富」の5段階に分けて両者の関係をみると第7表の通りである。

この場合,「下流」とは「生活を維持してゆく上に基本的に必要な衣食住等が最低限度 に維持できる生理的な最低生活」が辛うじて保持できるものを意味し,このような「生理 的な最低生活」さえも自らの力によって保持することができず,公の援助又は家庭外から の平素の補助によって生活している所謂 「依存群」は「極貧」に札当する。これに対して,

「自らの勤務によって自己の生計を支え,辛うじて文化的な最低限度の生活1ができるもの は「中流」者に属し,「健康にして文化的な最低生活」以上の生活のできる所謂「安易群」

はその程度によって,「上流」及び「極富」に分けられる。従・,て,生理的な最低生活が 辛うじて可能な「下流」及びそれさえ不可能な「極貧」は貧困家庭と呼び,文化的に最低 生活以上の生活の可能な「上流」及び「極富」は「富裕家庭」に属し,その中間にある

「中流」は普通の経済程度の家庭に相当する。以上のような5段階乃至3段階に分けて各 経済程度別に於ける少年犯罪の割合を第7表(A)についてみると,全国の少年犯罪では 全体の3分の2に近い65.1%が極貧と下流とを含む貧困家庭の少年による犯罪であり,約

3分の1が中流家庭の少年によって行われ,上流と極富とを含む富裕家庭の少年による犯 罪は僅かに1%に満たない。

この傾向を,比較的農村地域を主とする茨城県と都市化されている6大都市について比

(11)

定形:青少年非行と道徳教育 (江)       149 第7表家庭の経済程度別からみた少年,成    較すると(M・G)富裕家庭に於

人犯罪割合

ける少年犯罪の割合は両者共に1%

=一価@    経済程劇 ュ年

極剣下流  」

  1纓ャ陣富 「 前後であって,その大部分は貧困家 成人男女別

@ および地域別\、 貧  困 中流

p

富  裕 1庭と中流家庭の少年によるものであ

1 1 P・9%1α02i多11

1少 A 男女一一 1乳2壽15鰐%3a6%

, 0.92% るが,貧困家庭の少年犯罪率は6大

1 『『

iBI i_6・9[5乳4 34.2 0,910.02

全   1 1 64「3 0.92 都市の方が遙かに高く,従って都市

一ギー 「11・1・6生1   !24.0 0.6「 0

I lc 1  75.2 1 α6 化された地域程,家庭の貧困と少年

成lD    10.2j女1 55.3旨   32.5 1,210.04

1L_§5と5 1.24 犯罪との相関度が高いと推定され

国1 E llαU5臥2 132.7 L210.04

65.3 1.24 る。勿論貧困家庭の全家庭に対す

1人 ㎜一 1Lgr56.9  「

30.1 LllO.03

iF 「 6&8 1 1.13 る実際の割合を正確に知る資料は

1少胎 男女 7.9i62.2・ 0.76P.02

70.1 12a7 0.78 ないが,貧困家庭の富裕家庭や中流

六I l『lII『一 7.7i62.1 0.7710.02 69.8 28.9

0.79 家庭に対する割合に比較すると,貧 大1年i 10.4,64.8 0.67「0.03  1

lI 75.2 24.3 一  〇.70 困家庭からの少年犯罪の割合は,富

16.OI57.6}}一 1 10・821α023 裕家庭や中流家庭のそれに比ぺて遥

都 成 J一 73.ぎ 12生8 0.84

15.9山7。5 0.8110,025 に高いものと推定され,従って家庭     K

s 人「L 乳隅7 P・28P97173.775.7 24.9 0.97 の貧困は少年犯罪の極めて重要な要

  lI  M 6・2153・21     一P.41 0 因の一つであり,しかもこの傾向は

…少 男女 59.4 39.2

1.4

N

5.8}52.9−一一 一一一 39.9

1.41 0 都市化された地域程顕著であるとみ

茨! 58.7 『 −@1.4

1年     『撃k5165.0 01  0 ることができる。この傾向を更に一 0 76.5 23.5

0

P 5.5149.7 1,810.1 ,層明かにする為に,厚生省資料によ

…成

男女 55.2 42.9

1.9

5.4149.9 1,810.1 る極貧家庭(生活保護家庭)の全家庭

Q『一『 55.3 42.8

1.9

R 7.1147.1 1.41 0 に対する割合と,警察庁資料による

1       「

54.2 44.4  F 1.4

1備  考1茨城県は31,32,33年の平均,    1全国,六大都市は31,32年の平均 極貧家庭からの少年犯罪の全少年犯 ゚に対する割合を地域別に比較する 第8表 極貧家庭の割合と少年犯罪率 と第8表のように,生活保護をうけている

1蔽沢蜥 雛護獅聯魏少 極貧家庭はいつれの場合でも全家庭の2.04

全 刷 堀刎  脇 %乃至2・64%であるのに対して,極貧家庭

六大都市    2.04%     7.g%     1      」 からの少年犯罪は全少年犯罪の6.2%乃至

     1         1

?@城1 λ64%1 α2% 7・9%と,遥に前者を上回っており,しか

1 ①生活保護家庭の割合は厚生省 も地域別にみると,極貧家庭の割合は工業 生活保護資料昭和Z8年による

1 備   考 ②極貧家庭の少年犯罪割合は茨     1城県は51,32,33年の平均

化されている都市地域程低いのに対して,

[  全風翻鯉年の蟄

それからの少年犯罪率は却って高くなって

(12)

いるので,家庭の貧困特に極貧であることが少年の犯罪に影響する程度は都市地域程高い といいうる。なお貧困家庭率と少年犯罪率との関係については,イギリスのバートは,ロ ンドンの一般人口中に於ける貧困家庭の割合は30%であるのに対して犯罪少年はその56%

が貧しい家庭からでていることを報告している。

次に少年犯罪の場合,男子と女子ではいつれが家庭の貧困と犯罪との相関度が高いかを 第7表の(B)と(C)とについて比較すると男子では全犯罪の3分の2に近い64・3%で あるのに対して,女子では4分の3以上の75・2%が貧困家庭によるものであり・しかも上 流以上の富裕家庭からの犯罪割合は女子は男子より却って低くなっている。この傾向は茨

城県と6大都市とを比較しても同様であるので,少年犯罪の中で,家庭の貧困が犯罪の要 因として作用する度は少年男子よりも特に女子に於て著しいと考えられ,このことは後述 第ll表の犯罪の動機の中で,特に金銭的動機に基づくものが女子に於て著しく高くなって いることと関係して,少年女子犯罪の特色の一つと考えられる。

次に家庭の経済程度と少年犯罪の内容との関係を第9表及び第10表についてみると,極 貧者や下流者を含めた貧困家庭の少年犯罪では特に窃盗の割合が高く・極貧者の犯罪の78

%,下流者の犯罪の51%はこの犯罪であり(9表)又窃盗全体の75・2%は貧困家庭の少年 によるものである(10表)。一般に家庭が貧困であることは少年の物質的な欲求不満をもた

らし,このことから金銭や物品を対象とする窃盗に対して貧困が直接的な原因となること は当然であるが,更に少年の場合窃盗と同じ動機目的からの詐欺横領等の知能犯や,兇悪 犯の中の強盗等もこの階層と深い関係にあることがみられる。一般に高度の技術と計画性 とを必要とする所謂ホワイトカラー犯罪の名で呼はれる知能犯は,経済的に下層の人々よ りむしろ中流階層以上の人々によって行われる場合が多いといわれているが,少年の場合 特に極貧者にこの犯罪の割合が高いことは,主として貧困と直接関係する金銭的物質的動 機からこの犯罪が行われるものと思考される。

又貧困による物質的な欲求阻止を直接の原因とする窃盗や強盗・詐欺横領等に対して,

下流者に比較的高い割合を示しているのは殺人や放火等の兇悪犯であって,全体の6割乃 至7割がこの階層によって占められているが(10表)これらは貧困であることを直接の原 因とナるよりも,むしろそれに伴う随伴現象としての家庭の不和や教育的無関心,陰欝な 家庭的雰囲気等に基づくのであって,少年犯罪の原因としての家庭の貧困性は後述のよう

にむしろこの随伴現象により重要な意味があるのである。

次に中流家庭の少年による犯罪では暴行傷害や脅迫恐喝等の粗暴犯,強姦や狸せつ等の 性的な犯罪の割合が他の階層に比べて特に高く(9表)これらの犯罪の半数以上がこの階

層の少年によって占められている(10表)。一般に貧困家庭の少年による犯罪が,生きるた

(13)

定 形:青少年非行と道徳教育 (11)       151

めに「必要な物質的欲求」の      家庭の経済程度と少年犯罪の内容との関係 満足を目的とするものが多い 1 経済程度別

゚種別 緻陣下流圃上流 極副 」

のに対して,生活中流者では        一一

「過剰に刺戟された性的欲求」 経済         一1m…一「一一 1

E 人 α310.3 0.4 0.3  1O   0

一一P

の満足のための性犯や「腕力

旨強  盗 1−−

@1.6 1.6 一1「5 一一』−P.3 0 0

悪1

や暴力」を手段とする粗暴犯 2放  火

0.2 0 0.3 0.1   0 0

1

が特に高い割合を占めている 犯1

1強 姦 3.9  1.1  一

R.4 5,113.7 0

__

1

が,このことは最近特に第二 た罪  E

e「暴行傷害   1Q4.2 7.2 19.6 『 −R3.OilI9.5 0 上昇期に於ける少年犯罪が窃 種別

鐙1暴1−一@ 脅迫恐喝  』一一P0.3 一 4.8 10.0

11.312λ。  1

0

盗や兇悪犯の漸減の傾向を示 割合 一一

塞「窃盗 ・Z・1・a・ 51.0

2α212a8  l  i

0

しているのに対して,特に粗 翻 『1

詐欺横領 翫・ P59 3.6

翫411.2  1

0

暴犯と性犯とが激増の傾向を 風犯

  …≠R}α5 0.2   1O・41 0 『−@0

示していることと関連して注    一一o済程度劉  『 幽ノ珂下流1 一一@   ト@ 上流 極富 一一

目されるべきであって,最近

羅別 1糊 貧  困 P中流    一x  裕 に於ける少年犯罪の激増の担 10

¥ 1総 1100・6・21 53.2 1.41  0

一1

1一一一@ 59.4 39.2 1.4 い手は,終戦直後の貧困家庭 E 『一@ 1@100 L_巨・016α0 35.0

。、。「

殺  人 1 65.(「一 0

の少年から次第に中流家庭の   「100! α2163.ol

30.8

0   0 1

強 盗1 69.2 0

少年に移行しつつあるものと

 I

撃nO   一一『O177.O   一Q3.0 Ol −D一

放  火 1一uτ6−一「_  一Z

推定されるのである。 1.7146.51 1.3」  0

強  姦 100 1 48.2 50.6 1.3

上流及び極富の富裕家庭の

  「P00: 1.8143.5 LU  O

暴行傷害 1 45.3 53.6

少年犯罪で,他の階層に比べ 程度 1.1

  IlOO 2.9151.4 2.91  0

て特に高い割合を示している

脅迫恐喝 1 54.3 42.8

2.9

11.引63.8 一一 0.81 0

ものは脅迫恐喝を内容とする 盗』 75.2 24.0 0.8 110.0152.9 0.51 0 粗暴犯であって(9表)これ

能犯1 詐欺横領 100 1 62.9

3α61  1

0.5

摩拠つ風犯 100111・71294 、5&9F「ア「°

は「過剰な物質的欲求」を満

俗 , 41.1 0

足するために,貧困者とは異った腕力や暴力という手段に訴えることがこの階層の特色で あり,貧困とは直接関係のない他の家庭の要因に基づくものである。

以上いくつかの統計的資料を通じて家庭の経済程度特に貧困と少年犯罪との関係をみた のであるが,少年の犯罪者が貧困の家庭から出ている割合が高いことは事実であり,従っ て家庭の貧困性が少年犯罪の極めて重要な基底的要因の一つであることは軽視できない。

然し貧困が少年犯罪の要因であるということはそれが決定的な原因又は背景であるとい う意味ではない.もし両者の問に決定的な因果関係があるとすれば,犯罪者の家庭の殆ん

(14)

どが貧困であるか,貧困者の大部分が犯罪者である筈であるが上述の統計的資料はそのこ とを示していない。従って貧困が少年犯罪の要因であるということの意味は,一つには貧 困による金銭的物質的な不足が犯罪行為の直接的な動機や態度を決定するという犯因性行 為環境としての意味であり,他はそれらが子供の健全な心身の発達を阻害して,人格形成 の上に好ましくない影響を与えるという犯因性人格環境としての意味であって,経済的な 悪条件が家庭の物質的安定を脅かし,それが犯罪行為の直接的な動機を提供するという前 者の意味を否定することはできないが,然しこのような家庭の機能上のマイナスをカバー すぺき条件を家庭がもっている場合は,貧困が必ずしも少年犯罪の要因とはならないので あって,一般に見られるように家庭が貧困であることが却って人格形成の上にプラスには たらくことさえある。従って問題は家庭の貧困に伴って起る各種の随伴現象が他の条件と 結合して家庭生活の場にどのように反映し,それらが子供の人格形成をどのように規定す

るかという主として後者の人格環境としての意味を重視すぺきであって,物質生活の不安 定はその随伴現象として,精神的な不安定,夫婦親子等の家族関係の不和,両親の子供に 対する保護及び放任や無関心等の教育上の欠陥,悪い住宅条件殊に住居の狭駐等の各種の 好ましくない条件を伴い,それらが力動的に複雑に結合して犯因性をもった人格環境を生 み,少年犯罪の基底的要因としてはたらく場合が多いと思考される・

従って家庭の貧困は家庭の欠損と並んで重要な家庭環境のもつ犯因性要因の一つであっ て,行為環境としての意味は前者は後者より大きいが,両者共少年犯罪に対して人格環境

としてもつ意味がより重要視されるぺきであり,このことは本来家庭のもつ教育構造上の 特色に基づくものであって,家庭以外の環境的条件が提供する行為環境的要因に対して,

それらの刺戟に対応して行動する人格形成の場として,少年犯罪に対する家庭環境の重要 な意義があるのである。

皿 個体の犯罪要因の公分母

以上は外的な環境的要因が個体に作用する仕方の面から,犯因性環境を行為環境と人格 環境に一応分け,この立場から主として家庭環境のもつ犯因性要因としての欠損と貧困の 問題を中心として,少年犯罪に対する家庭環境のもつ意味の一端を考察したのであるが,

これらの環境的要因が個体に作用して具体的な犯罪行為を起こさせる場合の個体側の要因 は何であるか.ドラード(J.D・ll・・d)等はその共著「欲求不満と暴力」(F・u・t・ati°n and Aggression)の中で,犯罪の原因を考える立場として,多くの孤立的関係にある要因 を一まとめにするために,それらの要因に共通する少数の公分母を求めて,その結果個体 側の「欲求不満」と「罰の予期」とをあげている。即ち環境的要因が犯罪の原因であると

(15)

定形:青少年非行と道徳教育(皿)      153 いうことは,これらの要因が直接的或は間接的に犯罪行為の主体者に普通以上の「欲求不 満」と普通以下の「罰の予期」或はその両者をもたらすためであり,犯罪行為は個体の側 の「欲求不満」と「罰の予期」との変数であるとしている。従って環境と個体との関係を 考へえる第二の立場として個体側の要因としての「欲求不満」と「罰の予期」の面から少 年犯罪の原因を以下で考察したい。

1.欲求不満

犯罪は人間行動の一種であり,社会的に承認されない攻撃的行動の一つである。すぺて 人間の行動を推進させる内的な動因は欲求であると考えられ,この内的な欲求を満足させ るための外的な動作が行動であるから,この欲求の不満はいろいろな異常行動を生む。犯 罪や非行も又その一種であるとすれば,犯罪行動を引き起す内的要因の一つは欲求不満で あると考えることができる。しかもこの欲求不満は常に個体の内にある欲求と外にある環 境との関係に於て成立するものであって,「内的欲求を満足させる対象を含む外的世界の 全体」を環境と呼ぶならは,欲求を満足させる対象はすべてこれを環境の中に求めなけれ ばならない。この対象が環境の中に求められて欲求が満たされる時には,個体と環境との 間には平衡関係が成立して適応現象が成り立つが,それが不可能の時には両者の均衡関係 は破れて,個体は欲求不満に陥り各種の異常行動や攻撃的行動が起る。従つて環境が,攻 撃的行動の一種である犯罪の原因であるということの,個体に対する第一の意味は,犯因 性をもつた環境的要因が何等かの意味で個体の中に欲求不満をひき起し,それが行為的環 境としては直接的な犯罪の動機を提供し,人格環境としては不断の持続的な欲求不満によ つて所謂犯罪性人格を形成するということにあるので,犯因性環境の意味を考える場合,

第一に個体に与える欲求不満との関係に於て考察することが必要である。行動の動因とし ての欲求の種類や構造は極めて多種多様で複雑であるので,その分類もいろいろな立場か らなされている。例えばクラィンベルグ(0.Klineberg)は主として先天的後天的とい う立場から生理的欲求と社会的欲求とに大別し,更にその各々を第一次的なものと第二次 的なものに細分しており,タマス(W.Thomas)はより総括的な立場から,「安全を求め るもの」「感情的反応を求めるもの」「社会的認知を求めるもの」「新奇な経験を求める もの」の4っの願望に分けており,又リントン(A.Linton)は生理的欲求と心理的欲求 とをあげている。

今タマスの分類による欲求と少年犯罪の動機や環境的要因等との関係を第lI表に基づい て総括的に考えると

生命的に「生きたい」という人間の基本的欲求から始まつて,出来るだけ「豊かな快い

参照

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