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拉木 崇 康* (1986年9月27日受理)

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(1)

茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)36号(1987)47−64

英語の接尾辞一able 1)

拉木 崇 康*

(1986年9月27日受理)

On the English Suffix一αわZe1)

Takayasu NAMIK1*

(Received September 27,1986)

は  じ  め  に

英語の接尾辞一able(または一ible)は,形態論の観点からも,また形態論と統語論の相互作用と いう観点からも,非常に興味深い特徴を備えている。本稿では,第1節において,形態論内部で見 られる一ableの特徴について論じ,次に,第2節において,形態論と統語論の接点で見られる興味 深い特徴について考察したい。

1.−ableの形態的特徴

1.1.−ableの持つ基本的な内在的特性と一ableを含む語の例

接頭辞(prefix)と接尾辞(suffix)はまとめて接辞(affix)と呼ばれ,語に接辞を付加するこ とは接辞付加(affixation)と呼ばれている。2)接辞付加の作用を受ける単位(つまり,接辞が付 加される元の語)を基体(base)と言い,接辞付加によって生じた語を派生語(derived wordま

たはderivative)と言う。

個々の接辞について記述するさいには,一般的に少なくとも次の事柄を明らかにする必要がある。

(Quirkθ α乙(1972, PP.982−1008),拉木(1985, PP.24−56)参照。)

A.当該接辞の持つ基本的な内在的特性

①その意味

②基体の統語範疇(いわゆる品詞の中でどの品詞に付加しうるか)

③派生語の統語範疇(付加した結果どういう品詞を造り出すか)

B.当該接辞を含む語の例

*茨城大学教育学部英文科

(2)

48         茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)36号(1987)

ただし,A③は,英語の接尾辞に関しては通常必要であるが,接頭辞に関しては通常不要である。

これは,接尾辞が語に付加した場合,原則として,基体と派生語の意味だけでなく統語範疇もまた 変化するのに対して,接頭辞が語に付加した場合は,原則として,意味は変化するが統語範疇は変 化しない,という相違があるたあである。(詳しくは,Namiki(1982, pp.27−31),拉木(1985,

pp.15−16)参照のこと。)上記の形式に従い,−ableに関して,まずA①一③について述べ,次に Bについて述べる。

1.1.1 −ableの持つ基本的な内在的特性

①a)〜されうる(=able to/can be Ved)3)

b)〜されるべき(=ought to be Ved)

c)〜に適した,〜する価値がある(=fit for/worthy of Ving/NP)

d)〜しやすい(=liable/apt to V)

e)その他

②他動詞,名詞,自動詞

③形容詞

①の5つの意味の中では,a)が最も一般的かつ規則的であり,例が非常に多い。次に多いのは,

b)とc)の意味であるが,a)と比べると例がずっと少なく,さらに, d)の意味を持つ例はこ く僅かである。e)は, a)−d)のような意味としてはとらえられない語彙化された(lexicalized)

特殊な意味を持っているものである。

②にあげた基体の統語範疇の中では,他動詞に付加する例が圧倒的に多く,4)その場合の意味は,

①a)の「〜されうる」という受身+可能の意味を持つことがほとんどである。次に多いのは名詞 に一ableが付加する例であるが,数はぐっと減るので,この型の例は語彙部門(lexicon)において

リストされる必要がある。5)自動詞に付加する例はさらに少ないので,これらもリストされなくて はならない。つまり,−ableで新造力がある(productive)のは他動詞に付加した場合だけである。

以上で述べた,−ableの持つ5種類の意味(厳密に言えば,下位意味(submeaning))と,−able が付加する3種類の基体の統語範疇を組み合わせると,全部で15通りの組み合わせができる。この ように,−ableの持つ意味をいくつかの下位意味に分けて考えると,どの下位意味がどの統語範疇 と最も結びつきやすいか,どの下位意味はどの統語範疇とは結びつけないか,というようなことが 明らかにできる。

1.1.2 −ableを含む語の例

Lehnert(1971)の英語の逆引辞典にリストされている,−able,−ible,−ubleで終わる語をすべ て,基体の統語範疇によって分類し,それがどの下位意味を持つか調べると,表1に示されたよう な結果になる。6) (なお,表1において,「OK」とあるのは,実例が見つかったことを示し,「*」

とあるのは,実例が見つからなかったことを示し,「?」とあるのは,本当にそこに属するか決め手

(3)

拉木:英語の接尾辞一able      49

表1 下位意味と基体の統語範疇による一able形の形容詞の分類7)

基体の統語範疇

他動 詞 名  詞 自 動 詞

一ableの下位意味

〜されることができる

@   (受身+可能)

③   OK

④    * ⑮    *

〜されるべきである

@   (受身+当然)

⑤   OK ③   OK

①    *

〜に適した,〜する価値がある

◎   OK ⑤   OK

@    *

@   

〜しやすい

@   (傾   向)

@    *

①   OK ㊥   OK

そ  の  他 ◎   OK ①   OK

◎  ?    ●

に欠ける例しか見つからなかったことを示すものとする。)

次に,{1)において,表1の④から◎までの実例をいくつかあげる。

ω a)他動詞に付いた例8)

(至)avoidable, dividable, understandable, affordable, interchangeable, exchangeable,

segregable g),   reachable,  teachable, attachable,  stretchable,   associable g),

falsifiable, identifiable, justifiable, differentiable 9), controllable, transform一 able・  explainable,  trainable,  attainable,  learnable,  governable,  recoverable,

dispensable lo), disposable, come−at.able ll), translatable, predictable, interpret一 able, testable, observable, realizable, analyzable, reproducible, comprehensible 12),

tranSmiSSible 13), etC.

⑤fineable, punishable, triable, blam(e)able, condemnable, deplorable, hatable,

indictable, lamentable, detestable, regrettable, suable, etc.

◎readable, ridable, 1audable, applaudable, noticeable, praiseable, smokable,

remarkable, wearable, ponderable, venerable 9), admirable, adorable, praisable,

inhabitable, presentable, quotable, reportable,10vable, etc.

④*[例なし]

◎shapeable(格好の良い), available(利用できる), considerable(かなりの), kiss一 able(キスしたくなるような),.payable(もうかる,支払い満期の), etc.

b)名詞に付いた例14)

①*[例なし]

⑧obj㏄tionable, contemptible

(4)

50         茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)36号(1987)

⑤serviceable, marriageable, sa1(e)able, pitiable, marketable, etc.

①fatig(u)able

①knowledgeable(博識の,事情通の), sizable(相当な大きさの), fashionable(流行 の),copyrightable(著作権を取得できる)15), commonsensible(良識のある)15), etc.

C)自動詞についた例16)

⑭*[例なし]

①*[例なし]

㊥*[例なし]

@changeable((天候が)変わりやすい), perishable((食物が)腐りやすい), variable

(変わりやすい),1apsible(変わりやすい,堕落しやすい), ignitable(燃えやすい),

mutable(変わりやすい,気まぐれな), etc.

◎revertible(戻ることができる)17)

以上をまとめると次のような結果になる。まず,大きく統語範疇別に見た場合,他動詞に付いた 例が圧倒的に多く,約1,430語あった。次に多いのは名詞に付いた例であるが,それでもせいぜい 97語に過ぎない。純粋の自動詞に付いた例はさらに少なく,15語だけである。(注7)参照。)

次に,それぞれの統語範疇において意味別に見る。他動詞の場合は, 「〜しやすい」という傾向 を表わすものを除いて,残り4つの下位意味に関して例が見つかったが,とびぬけて多いのは「〜

されることができる」という受身に可能の意味が合成されたものである(④の欄)。◎と比べると ずっと少なくなるが,次に多いのは「〜に適した,〜する価値がある」という下位意味を持つもの

(◎の欄)で,次いで「〜されるべきである」という受身に当然の意味が合成されたものである(⑤ の欄)。最も例が少ないのは「その他」である(◎の欄)。なお,⑤の欄の例は,その基体となる動 詞が,非難・後悔・嫌悪などの意味を表わし,◎の欄の例は,その基体となる動詞が賞賛や注目等 の積極的評価の意味を表わすが,これらは,それぞれの下位意味を考えれば,ごく自然なことであ

る。

次に名詞の場合。「〜されることができる」という受身に可能の意味が合成されたもの(①の欄)

を除いて,残り4つの下位意味に関して例が見つかった。この中で比較的多いのは,「〜に適した,

〜する価値がある」という下位意味を持つもの(⑤の欄)と「その他」(①の欄)である。「〜され るべきである」という下位意味を持つもの(⑧の欄)と,「〜しやすい」という下位意味を持つも の(①の欄)は,ごく少数である。

最後に自動詞の場合。自動詞に一ableが付いた場合に顕著なことは,ほとんどの例が「〜しやす

い」という下位意味を持つもの(㊥の欄)であるということである。また,「〜されることができ

る」という下位意味を持つもの(⑪の欄),「〜されるべきである」という下位意味を持つもの(①

の欄),「〜に適した,〜する価値がある」という下位意味を持つもの(@の欄)の例は1つも見出

せなかった。このうちの,⑮と①の欄において例が1つも見出せなかったという事実は,そもそも

自動詞には受身という意味要素を含む⑮と①の欄に現われる例はありえない,という具合に説明で

きる。つまり,⑭と①の欄の例が存在しないのは,いわゆる「偶然の穴(accidental gap)」では

なく,「体系的な穴(systematic gapまたはhole in the pattern)」であるということになる。

(5)

蚊木:英語の接尾辞一able      51

1.2 第1類か第2類か

接辞特に接尾辞には2種類あることが,従来より言われてきている。その2種類を区別する主な 基準は(2}であり,第1強勢(primary stress)の位置の移動を生じさせる接辞を第1類(Class

1),生じさせない接辞を第2類(Class皿)と呼ぶ(Siegel(1974))。

② その接辞(特に接尾辞)が基体に付加されたときに,第1強勢の位置の移動を生じさせるか

どうか。

一言いかえると,②は,ある接辞が基体に付いたときに,派生語の第1強勢の位置が基体のそれと異 なるかどうか,ということである。この基準に従えば,たとえば,−ation,−ee,−ityなどの接尾 辞は第1類に属することになり,。ful,−er,−nessなどの接尾辞は第2類に属することになる。

第1類と第2類の接辞を区別する基準は他にも提案されている。③がそれである。

{3}その接辞が基体に付加されたときに,分節的(segmental)な変化が生じるかどうか。

(3)は,たとえば,ある接辞が基体に付加されたときに,音の同化(assimilation)や,音の変化・

脱落等が起こるかどうか,ということである。このような変化を生じさせる接辞が第1類,生じさ せない接辞が第2類と呼ばれている(Siegel(1974), Allen(1978))。この基準に従えば,否定 を表わす接頭辞in一は,基体の最初の音と同化する(例impossible)か,または音の脱落を起こす

(例megal, immaterial, iπegularの斜字体の部分が脱落)ので,第1類ということになる。一 方,同様に否定を表わす接頭辞でもun一の方は,そのような同化・脱落を起こさないので,第2類 である。

以上で見てきた第1類と第2類の区別を,−ableについても見てみよう。 Aronoff(1974, pp.

183−191)は,音韻論,形態論,統語論,意味論に基づいた証拠をあげ,−ableについては第1類 と第2類の両方を認めるべきであるという説得力のある議論をしている。たとえば,c6mparable

(共通点のある)やt61erable(まあまあの)の一ableは第1類であり, comparable(比較されるこ とができる)やt61eratable(耐えられる)の一ableは第2類である。 c6mparableにおいては,基 体のcompareと異なる位置に第1強勢が置かれており,さらに,意味においても,合成的(composi一 tional)な意味とは異なっている。またt61erableにおいては,基体のtolerateの一ateの部分が切 除(truncation)されており,かつ意味も非合成的(non−compositional)である。

ここでいう切除とは,「ある指定された形態素全体を別の指定された形態素の前で削除する」

(Aronoff(1974, p.186))ことである。 Aronoffは,(4}にあげられているような,単一の基体に 対して2通りの一ableで終わる語が存在する例をあげ,−ableに第1類と第2類の両方を認めれば,

この事実がうまく説明できると主張している。

(6)

52         茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)36号(1987)

(4} 基 体       第1類の一able    第2類の一able

cultivate       cultivable『      cultivatable educate      educable       educatable navigate       navigable      navigatable

demonstrate      demonstrable      demonstratable

operate      operable      operatable separate       separable      −separatable

上で見た切除は,いわゆる異形態(allomorphy)の一種であるが, Aronoff(1974, p.185)は 一ableが関わる別種の異形態の例もあげている。(5}を参照。

(5} 基 体       第1類の一able    第2類の一able circumscribe      circumscriptible    circumscribable

defend       defensible      defendable

         {

垂?窒モ?奄魔?@      perceptible       perceivable divide       divisible       dividable

一ableに第1類と第2類の2種類がある,ということはわかったが,それでは,どちらの一ableの 方がより中核的と言えるのであろうか。Tomizawa(1984)は,第1類と第2類を区別する2つの 基準(2},{3}のうちの(2)の方を優先して考えたうえで,−ableで終わっている派生語を800語以上調査

した結果,そのうちで第1強勢の移動を伴うものは次の12語しかなかったと述べている。18)

(6)explicable, rem6diable, cont6mplable, c6mparable, r6ferable, pr6ferable,

ゑdmirable, dem6nstrable, comp6nsable, lamentable, r6putable, recognizable

(6)のリストにさらに加えるべきものの例として,r6futable, r帥arableなどがあるが,それでもな お,第1強勢の位置の移動に関する基準から見れば第1類の一ableが付いた例は絶対的に少数派 であることはまちがいない。

それでは,{3}の基準に照らしてみたらどうなるだろうか。接尾辞の一ableや一ibleが基体に付加し たときの,基体の形の変化ということに焦点をあててみよう。すると,基体の形において分節的変 化が生じない例の方が圧倒的に多いが,分節的変化が生じた例に関しては,次のように分類できる。

(7)分節的変化を生じた例 a.異形態によるもの

D切除によるもの

ii)切除以外によるもの

b.前置詞句削除によるもの

(7)

拉木:英語の接尾辞一able      53

(7a)の例を次にあげる。

(8)a・切除の例19)

eradicable, medicable, explica ble, educable; relegable, segregable, mitig一 able,  investigable;  depr㏄iable,  associable,  dissociable;  differentiable,

negotiable; assimilable, isolable, calculable; contaminable, nominable;

numerable, generable;pulverable;penetrable, administerable;activable, etc.

b.切除以外によるもの20)

i)persuasible. divisible, expansible, defensible, reprehensible, comprehens一 ible, suspensible, extensible, etc.[以上では,−dが一sに変化]・

ii)admissible, remissible, omissible, permissible, transmissible, etc.[以上で は,−tが。ssに変化]

ili)r㏄epti ble, perceptible[以上では,−ceiveが一ceptibleに変化]

lV)pre㏄riptible[−scribeが一scriptibleに変化]

V)soluble, resoluble, dissoluble, etc.[以上では,(一)solveが(一)solubleに変

化]

次に,(7b)の例をあげる。

(9}laughable(atが削除), reliable(onが削除), dependable(onが削除), dispensable

(withが削除)21)

以上をまとめると,音韻論に基盤を置いた(2}と(3}の基準に従えば,数の上からは,第1類の一able よりも第2類の一ableの方がずっと例が多いということになる。

一方,Siegel(1974)やAllen(1978)が提唱している(拡大)順序付けの仮説((Extended)

Ordering Hypothesis)1こよれば,第1類の接尾辞である一ityの内側に現われる一ableは,当然第 1類でなければならない。1.3節でも述べるように,−ableに名詞を造り出す接尾辞が付くときに は,−ityの方が一nessよりもずっと例が多い。ということは,形態論における一般的条件という観 点から見た場合は,第1類の一ableの方が第2類の一ableよりもずっと例が多いということになる。

このように,−ableについて,(2)と(3}の基準が要求することと,(拡大)順序付けの仮説が要求す ることは,(少なくとも部分的には)相入れない(incompatible)ものである。したがって,今後,

第1類と第2類の区別のより綿密な検討とともに,(拡大)順序付けの仮説の検討が必要である。       F

1.3  −abilityカ、−ablenessカ、

一able形の形容詞に抽象名詞を造り出す接尾辞が付く場合,−ityと一nessの二通りが考えられるが,

両者の付き方にははっきりとした相違が見られる。Aronoff(1974, p.191)によれば,名詞の基

体に。ableが付いた場合は一nessしか許されないが,動詞の基体に一ableが付いた場合は一ityもしく

(8)

54         茨城大学教育学部紀要(人文。社会科学,芸術)36号(1987)

は一nessが付きうるという。また, Chapin(1970, p.57)は,名詞の基体に一ableが付いた例を21 個リスト(注5)参照)し,そのうちのmarriageable, knowledgeable, salableを除くと,いず れも一ityは付かず一nessのみが付きうる,と述べている。いずれにせよ,−able形の形容詞には,

一ityが付いた例の方が一nessが付いた例よりもずっと多い,ということは確かである。

一able形の形容詞に一ityが付くか一nessが付くかは,−ableの部分ではなく一ableの基体によって決 まる,ということが正しいとすると,これはAllen(1978)の隣接条件(Adjacency Condition)

への反例になる。

また,逆に,−able形の形容詞でその基体が動詞なのか名詞なのか区別がむずかしいものは,そ 脚     の形容詞に一ityが付くか,あるいは一nessしか付かないかを調べれば,基体が動詞か名詞かを決め

1.4 段階的か非段階的か

段階的(gradable)とは,段階的に程度を表わすことが可能であるということであり,形容詞や 副詞の場合であれば,比較変化をしたり,程度を表わす副詞(veryなど)による修飾を受けるとい うことを意味する。一方,非段階的(non−gradable)とは,1段階的に程度を表わすことができず,

白か黒かの二者択一の絶対的判断を表わしている場合をいう。(安井ほか(1976,p.117))

それでは,−ableで終わる形容詞は,段階的なのであろうか,それとも非段階的なのであろうか。

Kayne(1981, p.156)は,どちらもあるということを,⑩のような例をあげて,示している。

⑪ a・Mary is very reliable.

b.*Mary is very trustable.

つまり, veryによって修飾できるので, reliableは段階的な形容詞である。一方, trustableの方 は,ほぼ同義と思われるのに,veryによって修飾できないので,非段階的な形容詞である。

一able形の形容詞は,段階的なものと非段階的なものでは,どちらが普通であるのだろうか。こ の点については,詳しく調べてないので,はっきりしたことは言えないが,おそらく非段階的な方 が数ではずっと多いであろう。ここでは,両者の例をいくつかあげるにとどめる。

(1D a・段階的な一able形の形容詞

readable, changeable, reliable, remarkable, regrettable, etc.

b・非段階的な一able形の形容詞

dividable, exchangeable, reachable, transformable, explainable, recoverable,

translatable, predictable, analyzable, available, etc.

1.5 −able形の転換名詞

転換(conversion)あるいはゼロ派生(zero−derivation)とは,接辞付加をしないで語の統語

(9)

拉木:英語の接尾辞一able      55

範疇を変えることである.(Marchand(1969, pp.359−360))。たとえば,名詞のpaint(ペンキ)

に対する動詞のpaint(ペンキを塗る)は,名詞から動詞への転換と考えることができる(Lieber

(1981, p.186))。

転換の例に関しては,名詞から動詞への転換と動詞から名詞への転換の例は多いが,形容詞から 名詞への例はあまりないと言われてきた。しかし,名詞と動詞の間の転換ほど多くはないが,−able,

一al,−tiveという接尾辞で終わる転換名詞の例はかなりある。(詳しくは,拉木(1985, pp.68−70)

を参照。)次に,−ableで終わる例をいくつかあげる。

{12collectable(s)(趣味の収集品), consumable(s)(消耗品),convertible(自動車のコンバー ティブル),drinkable(s)(飲物), durable(s)(耐久消費財), indispensable(s)(必要

不可欠な人・物),returnable(s)(返却するとお金を返してもらえる空きかん・空きびん),      国

reversible(裏表兼用の衣服), valuable(s)(貴重品), variable(変数・変項)〔蚊木

(1985,P.69)〕

1.6 複合形容詞

今まで扱ってきた一ab至e形の形容詞は複合語ではなかったが,22)この節では.−ableで終わる複合 形容詞に簡単に触れる。英語には,㈱にあげられているような複合形容詞がある。

⑬ a. 礁de伽 」ゐZe contributions(税控除のできる寄付金)

b.s απ一α¢ αc加6琵affixes(語幹に付加されうる接辞)

c.ωα ¢卜戸Zb配θpillows(水を入れることのできる枕,水枕)

d.water−soluble(水溶性の)〔以上Namiki(1980, pp.2−3)〕

e.teacher trainable(先生によって訓練されうる)〔Sel kirk(1982, pp.40−41)〕

£ The hall isω舵eZe加か㏄cεss わZe...(そのホールへは車いすで行ける。)〔蚊木

(1985,P.108)〕

これらの例の複合形容詞の部分は,それぞれqののようにパラフレーズできる。

αの  a. tax deductible = deductibleノ}rom tax

b.stem.attachable=attachableεo a stem c. water−fillable=fi11ableω∫ ゐwater d. water.soluble=solubleεπwater

e. teacher trainable = trainable極ソteachers

f wheelchair−accessible=accessi ble趣ソawheelchair

これらは,いずれも受身の意味を持っているという点(−ableに特有)では,新造力のある他の複

合形容詞の例(duty−free, fireproof, waterresistant, class−conscious, theory−dependent, lan一

(10)

56        茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)36号(1987)

guage−specific, propane−sensitive等)と異なるが,(1のに示されているように,前置詞を加えると 句(phrase)の形にパラフレーズできるという点では同じで,複合形容詞の一般的特徴を持ってい

る。23)

      、 Q.形態論と統語論/意味論の接点

2.1 前置詞句補部の継承

Roeper&Siegel(1978, p 202)は,語形成規則が語彙項目の下位範疇化枠(subcategoriza一 tion frame)に作用する場合は,次の3通りがありうると述べている。

㈲ a.入力(input)として用いられる語から枠が継承(inherit)される。

b.ある接辞を付加したさいに枠が削除(delete)される。

c.余剰規則(redundancy rule)1こよって枠が付加される。

このうち最も研究が進んでいるのは(15b)の枠の削除であるが,ここでは(15a)の枠の継承(in一 heritance)を取り上げる。24)

Roeper&Siegel(1978)が扱ったの1馬主として動詞由来複合語(verbal compoundまたは

deverbal compound)であり,中でも, oven−cleaner, checker−playing, expert−testedのように,

複合語の第二要素の接尾辞が一er,−ing,−edであるものに限られていた。それゆえ, Roeper&Sie一 gelが考えていたものは,動詞の下位範疇化枠であった。−able形の形容詞も大部分が動詞に由来し ているので,ここでは,Roeper&Siegel(1978)では扱われていない一able形の形容詞に関して,

下位範疇化枠の継承がどのようにされるのか,あるいはされないのかを検討してみる。

まず,継承されないことが指摘されている例を見てみよう。次はAronoff(1976, p.49)の例で

ある。

③ a・ They broke the glass into six pi㏄es.

We showed the film to the children.

b.*The glass is breakable into six pi㏄es.

*The film is showable to the children.

c. The glass is breakable.

The film is showable.

d・ This glass can be broken into six pieces.

This film can be shown to children.

Aronoffは,(16 b)は,それとほぼ同義の(16 d)が許されるのだから,意味的におかしいとい

うことは言えないにもかかわらず,非文であると述べている。25)

(11)

拉木:英語の接尾辞一able      57

それでは,−able形の形容詞は常に前置詞句補部(PP complement)を後にとることはできない か,というと,そんなことはない。qのに見られるように,前置詞句補部をとる例は数多くある。26)

αη a.This paragraph will be r㏄qgηε2α配θαs a distillation of many discussions on this topic by Chomsky,...(Ray Jackendoff,1983,8emαπ君εcs α屈 co8π oπ, MIT Press, p24の地の文)

b.In still others (Semitic), the category ADJECTIVE is  πd∫8 ε㎎・ω sぬ一 αわZθノトom the stative or participial form of the verb,...(Talmy Givon,

1970, Notes on the semantic structure of English adj㏄tives,  Lα㎎・㎎e,

46,pp.836−837の地の文)

c.Second, the rule system must be coηひe7 めZεby the acquisition m㏄hanism

επεo a rule system ... (Steven Pinker, 1984, 1画9ωα9ε 」θαrηαδ Zε ∠ソ απd Zα㎎・㎎ed初εZop㎜ε砿Harvard University Press, p.6の地の文)

d・While this is probably rαπsZα施わZθ ηωJapanese, I am not sure that the proposition would be true. (Herbert Passin, 1977, Jbpαηθ8θ αηd 漉ε ゐp侃θsθ,Kinseido, p.2の地の文)

e.This marker will be qρpZ cα配εεo an animate actor such as John ,...

(Jackendoff,0ρ. c ., p.182の地の文)

f _.(which might in turn beαε ア わω如配ε o other universal principles).

(Andrew Radford,1981,乃侃母b7ηLα εoπαZ窪yη α劣, Cambridge University Press, pp.28−29の地の文)

9・ This solution  is p7⑳rαわZe   o  the  phonological solution  ... (Steven Strauss, 1982, 加蛎cαZεs  PみoηoZogy  q∫  1㎏髭sぬ  απd  GθrηLαπ,  Foris,

p.121の地の文)

h....for an argument as to why a maturational process is not rθ伽c わZε o other m㏄hanisms...(Pinker, qp. c ., p.8の地の文)

一一一一一一一

⑰にあげられている前置詞句補部は,すべて,その前の一able形の形容詞の基体である動詞の下位 範疇化枠で指定されているものである。

一方,動詞の下位範疇化枠では指定されないが,−able形の形容詞の後に起こりうる別種の前置 詞句補部がある。それは,囲にあげられているようなby+名詞句(行為者(agent)を表わす)で

ある。

      D

L a.Mary is伽sεαわ∫ε〜りaten−year−old.(Kayne(1981, p.156))

b.This game is pZqyαわZεの、 four people.(Sugioka(1984, p.76))

      

メEThe comet was oわsε7ひα配θかy anyone owning a powerful telescope.(Quirk

ε αZ.(1985,p.1555))

d・Goods are偶ρ07 αわZθのthe enemy.(Roeper(to apPear, P.71))       .

(12)

58         茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)36号(1987)

e・ ._ Iwill assume that the possible conceptual structuresα αεπα配θ〜1ッa human being...(Jackendof£oμc ., p.17の地の文)

この構文は非常に興味深い特徴を備えているが,別稿で既に論じているので,ζこでは例をあげる にとどめておく。興味のある方は,拉木(1986,PP.65−67)を参照されたい。

上で,継承される前置詞句補部は,−able形の形容詞の基体である動詞の下位範疇化枠で指定さ れているものか,または行為者を表わすby+名詞句であるζとを述べた。いずれにしても動詞が基 体となっているものである。ここから次のような予測をたてることができる。通例名詞は下位範疇 化枠を持たないとされているので,下位範疇化枠に指定されているはずの前置詞句補部を,名詞が 基体である一able形の形容詞が継承することはありえない。また,通例名詞には受身が適用されな いので,行為者を表わすby+名詞句を,名詞が基体である一able形の形容詞が補語としてとること はできない。これらの予測は正しいと思われる。次の例を参照。

α9 a.*Mary is marriageable with John.

ヒ*Tom is knowledgeable by Susan.

 一able形の形容詞の後で,どういう前置詞句補部が許され,どういうものが許されないかを明らiκかにするために,基体となる動詞の性質を中心として,さらに検討する必要がある。

2.2 副詞と一able形の形容詞の修飾関係

一able形の形容詞の前に副詞が現われることがあるが,論理形式(LF)におけるその副詞と一able 形の形容詞の修飾関係は一通りではないように見うけられる。たとえば,⑳と⑳を見てみよう。

⑳ a.Whether a reformulation of the rules which avoided this assumption would be possible at all is ゐ 8ぬ砂 Q彫e8 oηα配θ; (Paul Chapin,1970,  On affixa一 tion in English, in Pmgアε88 πZ∫㎎魎s ∫cs, p.55の地の文)

b.In terms of傷ア7θ就砂 αひα ZαδZθsyntactic models for characterizing deep

semantic structure,...(Givon, op. c∫ε., p.823の地の文)

⑳ a. ...then there is no way in which we cah see whether the meaning of the whole is a function of the meaning of the parts, since the parts have no

∫π吻θπdθπε砂θs雄槻8hαわZεmeaning.(Aronoff(1974, p.189)の地の文)

b.In some descriptions they are represented asルァ ゐθr  ηd ひεs わZθentities;

in others, as complexes of properties呂7)(Morris Halle,1962=1964, Phon一 ology in generative grammar, in餓θs 7ωc加7εo∫Zα㎎・ωα8a p.335の地の文)

(20a)におけるquestionableも(20 b)におけるavailableも,ともに他動詞に一ableが付加し

(13)

拉木:英語の接尾辞一able      59

た例であるが,表1ではともに◎の「その他」の意味を持つ。highlyは程度を表わす副詞であり,

currentlyは時を表わす副詞である。これらの副詞はともに,後続のquestionableとavailable全体 を修飾しているのであって,部分である動詞のquestionとavailだけを修飾しているのではない。

特に,highlyは程度を表わし,段階的な述語をその後に要求する。 questionableは段階的な述語で あるが,question(ed)は段階的な述語ではない。

しかし,⑳の例は少し事情が異なると思われる。(21a)は(22a)のように,(21 b)は(22b)

のように,それぞれパラフレーズが可能である。

⑳ a....,since the parts have no meaning which isαわZεto beθs αわ」 sゐεdεπdθpεπ一

dεπ吻.       ・

b. ...as entities w㎞ch areπo α配εto be d ひ dθdノ加醜θ7;...

つまり,問題の副詞は,それぞれ,establishableとindivisibleという形容詞全体を修飾していると いうよりも,むしろ動詞の部分を特に修飾しているということになる。28)とりわけ(21b)は,

indivisibleという,動詞の左側にも右側にも接辞が付加している語の真中の部分をfurtherという 副詞が修飾しているので,特に興味深い例である。(ただし,注27)参照。)

⑳と⑳で例示したような,副詞と一able形の形容詞の連鎖を2通りに区別することが妥当である とすれば,ここから次のような予測がたてられる。つまり,⑳のように副詞が動詞だけを修飾する ように解釈できるのは,−able形の形容詞の基体が動詞である場合に限られ,基体が名詞の場合に はありえない,という予測である。広範な資料にわたって調べたわけではないが,手元の資料によ れば,この予測と矛盾しない(consistent)結果が得られるようである。次例参照。

㈱ As a result, my three years here have beenε鉱rε配e砂μεαsωπ1配θand fruitfuL both in terms of intellectual stimlllation a皿d interpersollal association.(Greg Carlson,1978, R醜r飢cθεo勉加b ηE㎏ εsゐ, IULC, p.iiの地の文)

cf. extremely[[[please]vure]Nable]A29)      一

一一m=二x_=}一

お  わ  り  に

以上において,英語の接尾辞一ableについて,そのさまざまな特徴を述べてきた。今後やるべき

ことは,これらの特徴の中のどういうものがどのような一般的原理から演繹できるか,どういうも

のが語彙項目に特有の情報として語彙部門で指定されなければならないか,さまざまな特徴の間の

相互関係はどのようになっているか,というようなことを明らかにすることである。30)この問題に

ついては,稿を改めて論じることにしたい。

(14)

60         茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)36号(1987)

1)本稿を執筆するさいに,京都教育大学のエドワード・クァッケンブッシュ先生(Professor Edward Quackenbush)にはンフォーマントとして御協力頂いた。ここに記して謝意を表したい。また,本稿は,

筆者に交付された昭和60年度科学研究費補助金奨励研究(A)(研究課題番号60710266)により援助を受け た研究の成果を含んでいる。

2)接辞には,このほかに挿入辞(infix)と呼ばれる,語の内部に挿入されるものもある。接頭辞や接尾辞 と同様に,挿入辞も拘束形態素(bound morpheme)であるとすると,挿入辞は英語には存在しないと思 われるが,中には,absobloominlutelyやabsofuckinlutelyなどにおける,bloominとfuckinのよう

、      な強意を表わす語を挿入辞と呼んでいる言語学者もいる(げAronoff(1976, pp.69−70))。本稿では,接 頭辞と接尾辞のみを接辞と考える。

3)Vは動詞(verb)を, NPは名詞句(noun phrase)を表わすものとする。

4)Roeper(1983, pp 6−7)では,次の例をあげ,−ableを付加する規則の適用を受けるのは,主題

(theme)という主題関係(themetic relationまたはthematic role)を持った他動詞のみのようである,

と述べている。主題関係に関しては,Gruber(1976), Jackendoff(1972)を参照。

(i)*To go is triable.

(ID*To be good is seemabl軌

5)Chapin(1970, p 57)においては20余りの例がまとまって列挙されているので,以下にそれらを引用する。

peaceable,marriageable, knowledgeable, salable,fashionable,companionable, impression一 able, ac奮ionable, objectionable, reasonable, treasonable, seasonable, personable, pleasur一 able, sensible, comfortable, sizable, charitable, forcible, profitable, and contemptible 6)形容詞を造り出す接尾辞一ableが付く基体で独立語であるものは,表1にあげた3種類しかないが,

Lehnert(1971)のリストには,これらのどれにも該当しないものがある。第一は,全体としては形容詞で あるが,−ableを除くと独立語にならないもので,約200語ある。(例 probable, peccable, affable,

1iable, tenable, capable, vulnerable, hospitable, scrutable,.edible, audible, terrible, visible,

possible, soluble等)これらは,たとえ外見上は一able,−ibleで終わっていても,基体が独立語ではない ので,厳密な意味での接尾辞を含むものとは考えず,Aronoff(1976)のいわゆる語分析(word analysis)

の例と考える。

第二は,語末に一ableという形が現われるが,それが接尾辞の一ableではないか,もしくは品詞が形容詞 ではなく名詞や動詞であるもので,約190語ある。(前者の例 enable, disable等;,後者の例 cable,

gable, syllable, parable, sable, table, crucible, mandible等)

また,それ以外に,Webster3やRHDで調べても載っていないために,分類できず不明のままのものが 9語ある。(例vraisemblable, habilable, inappellable, non−appellable, mainmortable, routable,

innascible, hinnible, and scissible)

7)depend on,1augh at, rely on, dispense withなどは,通例,自動詞+前置詞として分析されている が,ここでは,全体を他動詞で受身が可能なものと考える。

8)ableで始まりvolubleで終わる約1,950語の連続したリストのうち,注6)で触れた約400語が,ここ

での考察からは除かれる。したがって,独立語の基体に接尾辞の一ableと一ibleが付加した例は, Lehnert

(15)

並木:英語のi接尾辞一able      61

(1971)の逆引辞典では,約1,550語ということになる。このうちの約1,430語が,(1}a)の他動詞に付い た型に属するので,この型は全体の約92パーセントを占めることになる。

9)これは後述の切除の例である。

10)これは,(9)にもあげられている前置詞削除の例である。

11)後述の注21)参照。

12)(8bi)参照。

13)(8bID参照。

14)この型に属する例は97語あった。ただし,本当に名詞に付いていると考えるべきか,同形の動詞に付いて いると考えるべきか,判断がむずかしいものもあるので,この数にはあまり重きを置くべきではないであろ う。       

15)これは複合名詞に一able,−ibleが付いた例である。

16)この型に属する純粋な自動詞の例は15語見出された。注7)参照。Roeper(1983, to appear)は,自 動詞には一ableは付けないと述べ,*comeable,*fallable,*dieableの例をあげているが,ここにあげたよ うに,ごく例外的なものであるが,自動詞に付いているものもある。

17)この例の基体であるrevertは自動詞なのか他動詞なのかはっきりしない。 RHDには自動詞としてしか 載っていないが,Webster 3には自動詞の用法に加えて他動詞の用法も載っており, revertibleの意味とし てはthat may revert or be revertedと書いてある。ここでは,一・応自動詞に付加した例と考えておくこ とにする。

18)このリストの中の,explicable, contemplable, demonstrable, compensableは,上述の切除の例でも

ある。

19)下記のpulverable(〈pulver 2θ)の例を除くと,残りはすべて一ateが切除されている。上述の,

Lehnert(1971)の逆引辞典を元にした調査では,この切除の例は150余り見られた。切除に関しては,さ らにAronoff(1976, pp 88−91)参照。

20)これらの例のDから〜)まではすべて,−ableではなく一ibleの方が関与している。−ibleの方が 一ableよりも第1類としての性質が強いということが表われていると思われる。また, V)のsoluble等に 見られる一ubleという形は,決して独立語には付かない(c£*realizuble,*understanduble)。

21)前置詞削除については,Keyser&Roeper(1984, p.399)参風上記の注7)において既に述べ たように,本稿では,1augh at, rely on, get at, account forなどの,通例,自動詞+前置詞として分析 されるものも,すべて他動詞として扱っている。このような例では,前置詞が削除されることもあるが,

(i)に示すように,保持されることもある。

(i)a.自動詞+前置詞+−ableの型

come−at−able(手に入れやすい), get−at−able(接近できる)

b.自動詞+−able+前置詞の型

accountable for(説明されうる),1iveable with(いっしょに暮らせる)

22)ただし,(1}①にあげられたcopyrightableとcomlnonsensibleは,複合名詞に一able/−ibleが付いた例 であった。

23)複合形容詞に関しては,拉木(1985,pp.106−108)参照。

24)Roeper&Siegel(1978)のいう余剰規則による枠の付加にっいては,その後研究は進展していな

(16)

62         茨城大学教育学部紀要(人文・社会科学,芸術)36号(1987)

い。余剰規則を利用しない場合の枠の付加については,Namiki(1985)参照。

25)(16b)の非文法性については,やはり意味的な要因がからんでいると思われる。たしかに(16b)と

(16d)は大体同義ではあるが,微妙な点で異なっている。それは,たとえば, breakableという一語の表 現形式の方が,can be brokenという時制を含みうる統語的表現形式よりも,より一般的あるいは総称的な特 徴を強く持つているという点である。(16b)の文では,「6個の断片に割れうる」という属性(property)

を「そのガラス」が持っているということを表わしており,語用論(pragmatics)の観点からおかしいとい う可能性も考えられる。ただし,showableの例の方には上記の可能性は該当しないと思われる。

また,(16b)と(16d)の対比と類似した対比が,次の例においても見られる。

(i)a.*This problem is solvable by Jo㎞.

b.This problem can be solved by Jo㎞.

(Sugioka(1984, P 76))

26)下位範疇化枠を継承せずに修正した例に次のものがある(蛇木(1985,μ148))。

(DOnly the if−then七ype of condition is directlyε撹eκoπひεκめZeω勧the rule format,

..。(Paul Kiparsky,1982, Lexical morphology and phonology, in L π8ω醜 cs π 漉θmom ㎎cαZm, p.61の地の文)

c£*...convertible with.../0郵i. convertible to...

27)この例は野沢秀実氏の御指摘による。なお,筆者が事実確認をお願いしたインフォーマントによれば,こ の文はあまり自然でなく,。..as no further divisible entitiesの方が良いとのことであった。

28)正確に言えば,受身形の動詞を修飾している,ということになる。なお,Sugioka(1984, pp.165一 167)にも日本語における類似の現象が指摘されている。

29)この場合には,Allen G978)の隣接条件のようなものが関与しているのかもしれない。

30)また.英語の一ableにほぼ該当する日本語の表現に「〜可能」という言い方がある。この「〜可能」と いう複合語も新造力があるので,−ableと「〜可能」を対照させて研究することも有意義であろう。

       卜

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参照

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