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小学校における交流電気教材の開発と 授業での活用

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小学校における交流電気教材の開発と 授業での活用

~中学校電気分野への

接続カリキュラム作成と授業分析~

教育科学専攻 理数・生活系教育領域 服部 真一 提出日

2018

2

5

(2)

<目次>

1章.序論 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1.1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

1.2 先行研究について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

2章.研究目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 3章.研究方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 4章.結果と考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

4.1 検流計を用いた交流の測定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

(1) 教材研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

ⅰ) 小学校で行われる電気に関わる学習の調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・7

ⅱ) 教材の作製と教材研究① ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

ⅲ) 授業の計画と指導案の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

(2) 授業実践とその分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

ⅰ) 授業実践① ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

ⅱ) 授業実践①の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

(3) 授業実践①の改善案の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40

4.2 データロガーを用いた交流の測定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

(1) 教材研究 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

ⅰ) 新しい教材の作製と教材研究② ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41

ⅱ) 授業の計画と指導案の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56

(2) 授業実践とその分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64

ⅰ) 授業実践② ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64

ⅱ) 授業実践②の分析 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81

4.3 授業実践①と授業実践②の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84

(1) 授業後に行った意識調査の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84

(2) 授業後に行った記述テストの比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88

ⅰ) 記述テストについて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88

ⅱ) テキストマイニングによる授業実践①と授業実践②の比較 ・・・・・・・・102

4.4 接続カリキュラムの作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106

5章.まとめと今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113 謝辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114

(3)

1 1章.序論

1.1 はじめに

私たちが身の回りで利用している電気は,交流として発電所から各家庭へ送られる.電 気の利用は,送られてきた交流をそのまま使用したり,AC-DC アダプターを用いて直流 に変換して使用したりする.このように交流は身近なものではあるが,直流に比べてイメ ージしにくかったり理解しにくかったりするものといった印象がある.

学校教育現場では,平成203月に告示された中学校学習指導要領の理科において,「直 流と交流の違い」の学習が追加された.さらに,平成293月に公示された新中学校学 習指導要領理科でも「直流と交流の違い」は継続して学習内容に位置付けられている.し かし,中学校理科の電気の学習において,交流の理解が困難な生徒がいたり,電気の学習 を難しい・苦手と思う生徒が多かったりするといった実態がある.このことは,小学校 3 年生から中学校2年生まで電気の学習が直流で行われているため,交流を知る機会がなか ったり,中学校第2学年「電流と磁界」における「直流と交流の違い」の学習が十分でな かったりすることが影響している可能性がある.

現在,小学校,中学校の理科の電気の学習は,表1-1に示すカリキュラムで進められて いる.

1-1. 小中学校における電気の学習の内容構成

学年 学習内容

第3学年 「電気の通り道」 ・電気を通すつなぎ方 ・電気を通す物 第4学年 「電気の働き」 ・乾電池の数とつなぎ方 ・光電池の働き 第5学年 「電流の働き」 ・鉄心の磁化,極の変化 ・電磁石の強さ 第6学年 「電気の利用」

・発電,蓄電 ・電気の変換(光,音,熱などへの変換)

・電気のよる発熱 ・電気の利用(身の回りにある電気を利用した道具)

第1学年

第2学年 「電流」

・回路と電流,電圧 ・電気とそのエネルギー(電力量,熱量を含む)

・電流,電圧と抵抗 ・静電気と電流(電子を含む)

「電流と磁界」

・電流がつくる磁界 ・電磁誘導と発電(交流を含む)

・磁界中の電流が受ける力 第3学年

小学校学習指導要領解説理科編p,14より抜粋

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小学校理科の電気の学習内容は,第3学年「電気の通り道」,第 4学年「電気の働き」 5学年「電流の働き」,第6学年「電気の利用」という単元名で表されるように,発達 段階に応じて設定されているが,これらはすべて乾電池を基本とした直流を用いて学習す る.よって,小学校段階では直流と交流の2種類の電気があることを知らない子どもが多 い.

中学校理科の電気の学習は,第2学年で「電流」「電流と磁界」が設定されている.「電 流」では,電流,電圧,抵抗の性質や概念を,直流を用いて学習する.そして,「電流と磁 界」で電磁誘導と発電を学習した後,「直流と交流の違い」を学習する.よって,中学生は,

2学年の「電流と磁界」の学習の最後に「直流と交流の違い」を学習し,身近な交流に ついて,この時に初めて知ることになるのである.

1.2 先行研究について

過去の研究を調査してみたところ,学習指導要領で扱われないためか,小学生を対象と した交流電気教材や交流電流の学習に関する研究事例や研究論文を見つけることはできな かった.しかし,中学校では,交流電流の理解のため,いくつかの交流電気教材や交流の 学習に関する研究が行われている.

例えば月僧は,交流電流は家庭で使われている身近な電気であるが電流の変化の様子が 見えないため中学生にとってもイメージすることが難しいものと考えた.そこで,手回し 交流発電機(以下,手のひら発電機)を自ら開発して授業に取り入れ実践を行った.この手 のひら発電機は,次の4つの特徴がある.1つは,指で軸を回転させることにより,簡単 に発光ダイオードを点灯させることが可能である.2 つは,発電機に,直流交流実験機や オシロスコープをつなぐことにより,交流発生の確認や電流の波形が観察できる.3つは,

100Vのコンセントを使用せず,簡単に安全な交流電流の実験を行うことができる.4つは,

コイルではなく磁石を回転させるために安定した発電をすることができる.この手のひら 発電機を用いて授業実践をした結果,電磁誘導の復習に有効であること,交流の確認と交 流の学習を効果的に進めることができること,整流を示すことにより,直流電流と交流電 流の違いを確認することができることの3つの実践効果を確かめた(月僧 2010).

また,山本らは,LEDの極性を利用した,直流と交流の違いを視覚的に学習するための 教具を開発し,その学習効果を検証している.開発した教具は,極性を交互に反転して取 り付けた2個のLEDを一定のスピードで回転させ,その光の見え方で直流と交流の違い を学習するものである.直流電圧をかけた場合は,一方の LED のみが点灯し光は連続的 につながって見える.交流電圧をかけた場合は,2個のLEDの光は交互に点滅して見える.

さらに,交流電圧をかけたときには,適切な回転速度に制御することによって,点滅する 光は停止して見えるので,その点灯している LED の光の数と回転数から周波数を求める 学習も可能である.本教具と従来の教具を利用した比較実験授業の結果,本教具を利用す

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ると,交流と直流の違いが LED の残像によって観察しやすくなり,周波数に関する学習 内容が定着することを明らかにした.(山本ら 2000).

しかし,これらは中学校での教材であるため,小学校の学習内容には位置づいていない 電磁誘導や電圧等が含まれている.よって,これらを参考にするとしても,小学生に対す る適切な教材を開発したり,適切なカリキュラムを作成したり,教育効果の検証を行った りする必要があると考えた.

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4 2章.研究目的

本研究では,小学生の子どもたちが,身の回りで利用している直流と交流の電気について 知り,中学校理科の「直流と交流の違い」を理解しやすくするために,小学校第6学年理科

「電気の利用」の単元に取り入れられる教材の開発を試みることとした.

そこで,本研究の目的は,直流と交流の違いを可視化して理解するための教材開発をした 後に,その教材を用いた小学校での指導案の作成と実践をし,その授業実践の結果の分析か ら,交流理解のための接続カリキュラム(指導案)の作成をすることとした.

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5 3章.研究方法

本研究は,次のように進めていく.

まず,子どもたちに直流と交流の違いを理解させるために,直流と交流によるLEDの点灯 と点滅の違いを可視化して確かめる方法を確立する.そして,LEDが点滅する理由を考える ことを課題とした2つの授業実践を行う.授業実践①は,検流計を用いて,その針の振れか ら交流電流の時間変化を可視化して課題を確かめる授業である.授業実践②は,データロガ ーを用いて,VIセンサーから得られる波形のグラフから交流電流の時間変化を可視化して課 題を確かめる授業である.なお,この2 つの授業実践はそれぞれ,教材開発(教材研究),授 業実践,授業分析という流れで行う.最後に,授業実践①と授業実践②の分析から,中学校 電気分野への接続カリキュラムを作成していく.

3.1 手のひら発電機の利用と改良 (1) 手のひら発電機の教材研究

月僧が開発した手のひら発電機が小学校第6学年で利用できるか調査する.

(2) 手のひら発電機の回転とその速度の工夫

手のひら発電機を手動でなく機械的に回転させ回転速度を一定に保つ装置の開発を行う.

(3) LEDと麦球を用いた比較実験

極性のあるLEDと極性のない麦球(豆電球の代用)を取り付けられるように,手のひら発 電機を改良し,極性によって影響される電流の時間変化の比較ができるようにし,その実 験を行う.

3.2 測定方法

(1) 検流計による交流の測定

検流計は,簡易検流計,電流計,高感度検流計の3つを用いて交流電流の測定を行う.

(2) データロガーとVIセンサーによる交流の測定

データロガーとは,事象の変化が観察しにくく,その測定結果を簡単に記録できないも のに対して,機械的に判断し断続的に測定結果を保存する機能,機械である.また,VI センサーとは,電圧と電流を測定するセンサーのことであり,データロガーに接続して使 用する.今回,使用するデータロガーとVIセンサーは島津理化社のPASCO SCIENTIFIC である.このデータロガーと VI センサーを用いて,手のひら発電機の交流電圧,交流電 流の測定を行う.

3.3 授業分析方法 (1) 授業後の意識調査

授業後に行った意識調査の比較を行い,子どもたちは,授業実践①と授業実践②のどち らが理解しやすいという意識をもったのか判断する.これは,2 つの授業の同じ場面を抽 出し,どのくらい理解できたと実感しているのか比較することで,それぞれの場面が有効

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6 に作用しているのか調べる.

(2) 記述テストとテキストマイニング法

授業後に行った記述テストの比較を行い,子どもたちは,授業実践①と授業実践②のど ちらが理解できたのか判断する.これは,テキストマイニングの手法を用いて交流につい てどのくらい子どもたちが理解できているのか調べることとする.テキストマイニングと は,文字列を対象としたデータマイニングのことである.通常の文章からなるデータを単 語や文節で区切り,それらの出現の頻度や共出現の相関,出現傾向,時系列などを解析す ることで有用な情報を取り出す,テキストデータの分析方法である.今回は,授業後に行 った記述テストを対象に分析を進める.

3.4 接続カリキュラムの作成

3.3で行った,授業実践①と授業実践②の比較分析から,小学生の子どもたちにとって,

交流がより理解できるような,接続カリキュラム(指導案)の作成を行う.

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7 4章.結果と考察

4.1 検流計を用いた交流の測定 (1) 教材研究

ⅰ) 小学校で行われる電気に関わる学習の調査

まず,小学校第3学年から第6学年の理科で電気に関わる学習内容はどのような ものがあるか小学校学習指導要領(平成 20 3 月告示)で調査した.その結果は表 4-1の通りである.

4-1.小学校で習得する電気に関わる内容

学年 内容

3学年 (5)電気の通り道

乾電池に豆電球などをつなぎ,電気を通すつなぎ方や電気を通す物を調べ,

電気の回路についての考えをもつことができるようにする.

ア 電気を通すつなぎ方と通さないつなぎ方があること.

イ 電気を通す物と通さない物があること.

4学年 (3)電気の働き

乾電池や光電池に豆電球やモーターなどをつなぎ,乾電池や光電池の働きを 調べ,電気の働きについての考えをもつことができるようにする.

ア 乾電池の数やつなぎ方を変えると,豆電球の明るさやモーターの回り方が 変わること.

イ 光電池を使ってモーターを回すことなどができること.

5学年 (3)電流の働き

電磁石の導線に電流を流し,電磁石の強さの変化を調べ,電流の働きについ ての考えをもつことができるようにする.

ア 電流の流れているコイルは,鉄心を磁化する働きがあり,電流の向きが変 わると,電磁石の極が変わること.

イ 電磁石の強さは,電流の強さや導線の巻数によって変わること.

6学年 (4)電気の利用

手回し発電機などを使い,電気の利用の仕方を調べ,電気の性質や働きにつ いての考えをもつことができるようにする.

ア 電気はつくりだしたり蓄えたりすることができること.

イ 電気は,光,音,熱などに変えることができること.

ウ 電熱線の発熱は,その太さによって変わること.

エ 身の回りには,電気の性質や働きを利用した道具があること.

注:( )内の数字は小学校学習指導要領 第4節理科の番号と対応している.

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4-1や理科の教科書から,小学校第3学年から第6学年の理科で電気に関わ って習得しなければいけない科学的知識は表4-2のようにまとめることができる.

なお,調査した教科書は,大日本図書「新版たのしい理科」3456年の 4冊である.

4-2.小学校で習得する電気に関わる科学的知識

学年 習得しなければならない科学的知識

3学年 (1) 乾電池の+極と-極に導線をつなぐと豆電球にあかりがつく.

(2) 電気の通り道が1つの輪のようになっていると,電気が通る.輪になっ

ている電気の通り道を回路という.

(3) 鉄や銅,アルミニウムなどを金属という.

(4) 金属は電気を通す.プラスチック,紙,木などは電気を通さない.

4学年 (1) 乾電池の向きを反対にすると,モーターは逆に回る.

(2) 回路を流れる電気のことを電流という.電流には向きがある.

(3) 2 個の乾電池を直列つなぎにすると,モーターは速く回り,豆電球は明 るくなる.並列つなぎのときは,1個の乾電池のときとかわらない.

(4) 2 個の乾電池のつなぎ方によって,流れる電流の大きさが変わる.電流 の大きさが変わると,回路にあるモーターの回る速さや豆電球の明るさ が変わる.

(5) 光電池に光を当てると,回路に電流が流れる.光が強いときのほうが弱 いときよりも大きな電流が流れる.

5学年 (1) コイルの中に鉄心を入れて電流を流すと磁石のような働きをし,これを

電磁石という.

(2) 電流を流すと電磁石になり,電流を流さないと電磁石にならない.

(3) 電流を流す向きを反対にすると,電磁石のN極とS極は反対になる.

(4) 電磁石の強さは電流を流す強さによって変わる.

(5) 電磁石の強さは導線の巻数によって変わる.

6学年 (1) 電気はつくることができ,つくった電気は乾電池などの電気と同じよう

な働きをする.

(2) 電気はコンデンサーなどに蓄えることができ,乾電池などの電気と同じ ような働きをする.

(3) LEDの方が豆電球に比べ,使う電気の量が少ない.

(4) 電気は光,音,熱,動きに変わる性質があり,それらを利用している.

(5) 電熱線の発熱は,その太さによって変わる.太い方が発熱が大きい.

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次に,小学校第3学年から第6学年の理科で,電気に関わる学習において様々 な教具を使って学習してきている.理科の教科書に紹介されている教具や提示さ れた資料を調査したところ,次の表4-3のようになった.なお,調査した教科書 は,大日本図書「新版たのしい理科」3456年の4冊である.

4-3.小学校で学習する電気に関係する教具や資料

学年 電気に関係する教具

3学年 乾電池,1.5V 用豆電球,導線付きソケット,金属(釘,針金,硬貨,空き缶,

アルミニウムはく,クリップ,はさみの刃,),豆電球の懐中電灯

【エジソン電球,LED】

4学年 乾電池,電池ボックス,2.5V用豆電球,スイッチ,モーター,ビニル導線,

簡易検流計,光電池,電子オルゴール,

【充電器,充電池,LED,信号機,イルミネーション,送電線】

5学年 乾電池,エナメル線,ビニル導線,スイッチ,簡易検流計,

【電流計,携帯電話,腕時計,モーターのつくり,ロボット,電気自動車,

電動車いす,リニアモーターカー】

6学年 風力発電所,火力発電所,送電線,手回し発電機,2.5V用豆電球,LED,

コンデンサー,電熱線,電源装置,信号機

【火力発電所のしくみ,充電のしくみ,ペルチェ素子,地熱発電,太陽光発電,

LEDの大型ディスプレイ】

注:【 】内は発展的に紹介されていたもの

以上の調査から,小学校第 6 学年までの学習内容と習得した科学的知識を把 握することができ,これまで扱った電気に関係する教具や資料が明らかとなった.

今回,交流電気教材を開発したり授業で活用したりする上で,子どもたちが少し でも理解しやすいものにするためには,既に学習済みの学習内容や科学的知識や 教具や資料をできるだけ多く取り入れる必要がある.以上の調査を参考に,交流 電気教材の開発と指導案の作成を進めていくこととする.

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ⅱ) 教材の作製と教材研究①

中学校(電流と磁界)で交流を理解する素地となる小学校でのカリキュラムを開発 するにあたり,可能な限りこれまでに習得している科学的知識やこれまでに学習し た教具や資料を使用できることが望ましい.それは,子どもたちにとって理解しや すい授業を実践するためである.よって,表4-1から表4-3の調査を踏まえて,次 のような教材を作製し教材研究を行った.

ア)直流と交流によるLEDの点滅の違いを確かめる教材について

直流と交流による LED の光り方の違いを,子どもたちがはっきりと確認でき るようにするため,次のような,ボタン電池に LED を挟んで直流の光り方を確 かめる教材(図4-1)と,コンセントの交流を電源とし,100V の電圧を2.3V に下 LEDの光り方を確かめる教材(図4-2)を作製した.この2つの教材を手で左右 に振ると,直流では一定の光で点灯し続け,交流では LED の極性により,逆に 電流が流れたときに LEDが消灯するため図4-3 のような点灯と点滅の違いがみ られる.ことから,これらの LED の光り方から,直流と交流の電流の流れ方の 違いを理解させる導入教材として,適切であると考えた.

4-1.ボタン電池にLEDを挟んで光らせたもの

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4-2.コンセントから交流を取り出しLEDの光らせたもの

4-3.2つの教材を左右に振るときの,光り方の違い

LEDをボタン電池に つないだ直流の光り方

LEDをコンセントに つないだ交流の光り方

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12 イ)手のひら発電機について

直流電流は乾電池等で簡単に取り出すことができ,また電圧が低いため比較的 安全に使用できる.しかし,交流電流は図4-2のように直接コンセントから取り 出すと,電圧値が100Vと高く,電流計などに接続する際,誤って変圧していな い回路部分にふれてしまうと大変危険である.そのため,電圧が低く安全に交流 電流が取り出せるようにするために,月僧が開発した手のひら発電機(図4-4)を使 用することとした.手のひら発電機はコイルの中の竹串に設置した磁石を勢いよ く回転させることで,電磁誘導によって,コイルの両端に交流電圧を発生させる 装置である.よって,コイルの両端に取り付けてある LED が点滅しながら点く 様子を確かめることができる.図4-4の手のひら発電機は,直径42㎜,高さ70

㎜の透明円筒に,直径0.2㎜のホルマル線を400回巻いてコイルにし,そのコイ ルの中を,直径 30㎜の円盤型フェライト磁石2枚が回転するつくりになってい る.

4-4.月僧が開発した手のひら発電機

42mm

70mm

円盤型(直径30mm)フ ェライト磁石

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13 ウ)検流計による交流の測定

4-4の手のひら発電機と検流計や電流計をつないで,電流の流れる様子を検 流計や電流計の針の振れから調べる実験を行った.この実験により,手のひら発 電機を検流計や電流計につないだとき,針が震えるように振れることで,交流電 流の流れ方を理解させることをねらった.

具体的には,次のように実験をした.実験では,まず,手のひら発電機と検流 計と LED を直列に接続した.用いた検流計は,これまでに子どもたちが学習で 使用してきた簡易検流計(図 4-5),5 年生で発展的に使用した電流計(図 4-6),中 学校で使用している高感度検流計(図4-7)の3種類を用いた.

4-5.手のひら発電機と簡易検流計

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4-6.手のひら発電機と電流計

4-7.手のひら発電機と高感度検流計

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実験の結果は次のようになった.図4-5の簡易検流計の実験では,針はほとん ど動かなかった.図4-6の電流計の実験では,針はプラス側に動いたが,その動 きはとても小さく,針も震えるようには動かなかった.図4-7の高感度検流計の 実験では,針は+側に大きく動き,検流計が示せる最大値周辺で小刻みに震える ように動いた.このように,3 つの実験の全てにおいて,交流電流を示す針の振 れは確認できなかった.

そこで,この原因を考えるために,手のひら発電機が LED に流す電流値をデ ータロガーとVIセンサーで調べてみた.結果は最大値が25mAであったため,

簡易検流計の測定範囲を下回り,反応しなかったことが分かった.そして,電流 計と検流計がプラス側に動き,その後震えるように動かなかったり,検流計が示 せる最大値周辺で小刻みに震えるように動いたりしたのは,LEDに流れる電流の 変化に対して,検流計や電流計が反応できなかったからであると考えた.

このようにいずれの実験でも,直列につないだ検流計や電流計では,交流電流 を示す針の振れが確認できなかったため,子どもたちに提示する実験として適切 でないことが分かった.

そこで,交流を確かめる方法として,図4-4の手のひら発電機と検流計や電流 計を並列につないで,電圧の様子が検流計や電流計で調べられるか実験を行った.

これも,手のひら発電機を検流計や電流計につないだとき,交流を示す針の振れ を確認することで,交流を理解させることをねらったからである.

具体的には,次のように実験した.まず,手のひら発電機と検流計や電流計が 接続しやすいように,手のひら発電機に並列で取り付けられる端子(図4-8)をつく った.そして,検流計や電流計を並列に取りつけた.使用する検流計は,前の実 験と同じく,これまでに子どもたちが学習で使用してきた簡易検流計(図4-9),5 年生で発展的に使用した電流計(図4-10),中学校で使用している高感度検流計(図 4-11)の3種類で確かめた.

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4-8.手のひら発電機に取り付けた並列接続用端子

4-9.手のひら発電機と簡易検流計の並列接続

並列接続用端子

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4-10.手のひら発電機と電流計の並列接続

4-11.手のひら発電機と高感度検流計の並列接続

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実験の結果は次のようになった.図4-9の簡易検流計の実験では,針は動かず 静止したままであった.図4-10の電流計の実験では,針は0Aを境に左右に震え るように動いたが,その動きはとても小さかった.図4-11の検流計の実験では,

針は0A を境に左右に震えるように動き,またその動きは大きかった.そこで,

今度は竹串をゆっくり回転させてみたところ,丸形磁石の回転に合わせて,検流 計の針が0Aを境に左右対称に大きく動いた.

このように交流の電圧を検流計や電流計で調べようとしたところ,中学校で使 用している高感度検流計を並列に接続し,手のひら発電機を回すと,0A を境に 左右に針が震えるように大きく動くことが確かめられることが分かった.よって,

手のひら発電機に中学校で使用している高感度検流計を並列に接続し,手のひら 発電機の電圧を調べる実験は,子どもたちに提示する実験の一つとして適切であ ることが分かった.

ⅲ) 授業の計画と指導案の作成

以上の教材研究から,次の実験を授業に取り入れることとした.

まず,図4-1のボタン電池にLEDを挟んで光らせたものと,図4-2 のコンセン トから交流を取り出しLEDの光らせたもの2つを左右に振って,乾電池から取り 出した直流電流によって点灯する LED の光り方と,コンセントから取り出した交 流電流によって点滅するLEDの光り方を比べ(図4-3),電流には2種類あることを 理解させる実験を取り入れる.

次に,図4-11.の手のひら発電機と高感度検流計の並列接続した実験を取り入れ,

0A を境に左右に針が震えるように大きく動く実験結果から,交流の流れ方を捉え させる実験を取り入れる.

この 2 つの実験を授業に取り入れ,学習指導案の作成をすることとした.なお,

作成した学習指導案は次に示す.

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理科:第6学年 理科学習指導案

平成 29 年 2 月 24 日(金)2・3 限 場所 理科室 指導者 服部 真一 加藤 進

Ⅰ 単 元 「電気の利用(直流と交流)」

Ⅱ 目 標

1.身の回りの電気の性質・働きを利用した道具に興味・関心をもち,自ら調べようとす る.

2.電気の利用について仮説・予想を立て,推論しながら追究し,表現することができる.

3.手回し発電機,コンデンサー,発光ダイオード,電子オルゴール,電熱線を適切に使 用し,安全に実験して,その過程や結果を定量的に記録することができる.

4.身の回りには電気の性質・働きを利用した道具があること,電気はつくったり,蓄え たり,変換したりできること,電流には直流と交流があることを理解できる.

Ⅲ 単元と指導について

本単元は,生活に見られる電気の利用について興味・関心をもって追究・探究する活動を 通して,電気の性質・働きについて推論する能力を育てるとともに,それらについての理解 を図り,電気はつくったり,蓄えたり,変換したりできるという見方や考え方をもつことが 主なねらいである.また,発展的な学習として,「直流と交流」を扱うことで,生活に身近な 電気の利用についてより深く追究・探究し,中学校理科「電流とその利用」の学習につなげ ていくこともねらいとする.

Ⅳ 学習計画(全9時間)

1.電気の変換 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6時間 2.電気を利用したものづくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間 3.直流と交流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間(本時)

Ⅴ 本時の学習 1.目 標

電流には直流と交流があることを知り,直流は電流の流れる向きが一定で変わらない が,交流は電流の流れる向きが周期的に入れかわることを理解する.

2.準備物 LED とボタン電池(7 個),コンセント用 LED(7 個),手のひら発電機(7 個),

検流計(7 個),ワークシート(40 枚),自転車ライトの発電機,懐中電灯

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20 3.学習過程(45 分)

学習活動及び指導者の働きかけ 予想される子どもの反応等 1.点滅する LED について考える.

「LED について知っていることを発表しま しょう.」と伝え復習をしていく.

・ カーテンをして暗室にした状態で,「こ の LED を左右に振ります.チカチカ点滅し て見えますね.」と伝え,コンセントにつ ないだ LED が点滅していることを確かめ る.次に「LED をボタン電池で点けて,左 右に振ります.今度は,チカチカ点滅しま せんね.」と伝え,ボタン電池につないだ LED が点滅しないことを確かめる.その 後,各班でも確かめさせる.

・ 確認後,「電流には 2 つの種類がありま す.1 つは,家庭用コンセントが流すチカ チカ点滅する電流です.もう 1 つは,乾電 池が流すチカチカ点滅しない電流です.今 日は,家庭用コンセントに流れている電流 について学習しましょう.」と伝える.

○「LED を家庭用コンセントにつなぐと,な ぜチカチカと点滅するのだろうか.」と課 題提示する.

・ 課題提示後,予想を立てる.

・ 予想を発表する.予想には根拠も述べさ せる.

・ 子どもたちは,LED に極性があること,

長持ちすること,使う電気が少なく省エネ であることなどを発表するであろう.

・ この現象を観察した子どもたちは,2 種 類の LED のライトの光り方を見て,点滅す る点き方と,点灯する点き方の違いを見い 出せるだろう.

・ 点滅と点灯が区別しにくい子どもは前で 確認するであろう.

・ 光り方の差がはっきりしているため,全 員の子どもが点滅と点灯を区別できるで あろう.

・ 子どもたちは,課題に対して次のように 予想し,発表するであろう.

「コンセントにつないだ LED が点滅するの は,コンセントからくる電流はすごい速さ で ON,OFF になっているからだと思います.

OFF になったとき,LED が消えるので,点 滅 している ように 見える のだと思 いま す.「コンセントにつないだ LED が点滅す るのは,コンセントからくる電流はすごい 速さで+と-が入れかわっているのだと 思います.LED が点かないということは,

+と-が入れかわって,-と+になってい ると考えたからです.「コンセントからく

(23)

21 2.予想を確かめる実験を行う.

・ 「コンセントからきている電流の流れを,

検流計を使って調べたいと思います.」と 言い,次のように実験方法を提示して,説 明する.

3.実験結果を共有し,考察を発表する.

「実験の結果と考察を発表しましょう.こ の実験結果からどのようなことが言えま すか.」と伝え,発表させる.

・ 検流計が左右に振れるという意見が出な い場合は,「検流計針の動き方はどうでし たか.」と尋ねる.

る電流はとても強いため,LED が耐えられ なくなり,点滅するのだと思います.

・ 子どもたちは,指示通り,実験をして検 流計の針が左右に振れることを確かめら れるであろう.

・ 子どもたちは次のように結果と考察を発 表するであろう.

「検流計が左右に振れました.「LED はコ ンセントにつないだときと同じように,点 滅しました.」「検流計が左に振れたとき は,LED が消えました.「検流計は左右に 振りきれました.

「検流計の針が左右に振れるということ は,コンセントからきている電流は,+と

- が入れか わって いるこ とが分か りま す.「検流計の針が一瞬 0 になることから,

コンセントの電流は,一瞬流れていないこ とになります.「+と-が入れかわること から,LED が点くのと逆になったときに LED が消えたのだと思います.「LED がチカチ カ点滅したことと,検流計が左右に振れた ことから次のことが分かります.コンセン トからきている電流は,波のように流れて いると思います.まず,+から-へ流れま 実験 「手のひら発電機から流れる電流を調べよう.

① 手のひら発電機を作動させ,LED の点滅からコンセントと同じ電流が作れることを 確かめる.

② 手のひら発電機と検流計をつなぐ.

③ 手のひら発電機を回し,LED を点ける.

④ LED が点滅しながら点くことと,検流計が左右に触れることを確かめる.

(24)

22 4.まとめ

・ 指導者が次のようにまとめ,ワークシー トに記入させる.「電流には乾電池が流す 直流と家庭用コンセントが流す交流があ ります.直流は電流の流れる向きが一定で 変わりませんが,交流は電流の流れる向き がすごい速さで入れかわっています.そ の,交流電流では,+から-に電流が流れ ているときは,LED が点きますが,反対に

-から+に電流が流れているときは,LED は点きません.だから,チカチカ点滅して 見えるのです.乾電池の直流電流は+から

-に電流が流れ,電流の向きが変わらない ので,LED はチカチカせず点灯し続けま す.

・ 最後に,身近なところで利用されている 直流と交流について,懐中電灯と自転車の ライトを取り上げ,「自転車のライトは,

チカチカ点滅して見えますか.」と尋ね,

自転車のライトはチカチカ点滅している ことを確かめる.次に懐中電灯で,「懐中 電灯は,チカチカ点滅して見えますか. と尋ね,懐中電灯はチカチカ点滅しないこ とを確かめ,身近な物への活用例を紹介し て授業を終える.

す.0 からだんだん強く電流が流れ,だん だん弱くなり 0 になります.次は逆に,-

からプラスに流れます.この時も,0 から だんだん強く電流が流れ,だんだん弱くな り 0 になります.この繰り返しだと思いま す.「LED は流す電流の向きが決まってい ると習ったことを覚えています.0 のとき に消えるのはもちろんですが,+と-が逆 になったときも点かなかったのだと思い ます.

資料 手のひら発電機

(25)

23 4.板書計画

(26)

24 ワークシート

家で使われる電流を調べよう

名前(

)

課題 LED を家庭用コンセントにつなぐと,

なぜチカチカと点滅するのだろうか.

予想とその理由

実験 「手のひら発電機から流れる電流を調べよう. 手のひら発電機は,コンセントと同じ電流が作れる.

① 手のひら発電機と検流計をつなぐ.

② 手のひら発電機を回し,LED を点ける.

③ LED の点き方と,検流計の動きを確かめる.

④ 結果と考察をまとめる.

結果

考察

まとめ

(27)

25 (2) 授業実践とその分析

ⅰ) 授業実践①

前述の学習指導案を基に,平成29224日(金)三重大学教育学部附属小学校 6学年A30人とC25人に授業実践①を行った.2クラスの授業は同じ内 容で行った.実際の授業は次のようであった(6 A組の授業の様子より).なお,

授業の詳細として,授業の逐語記録(表4-4)と当日の板書(図4-14)を示す.

まず,LEDについて復習を行った.指導者が,「LEDについて習ったことをいく つか出してほしいのですが,どんな特徴があるものでしたか.」と尋ねた.子ども たちは,「豆電球よりも長い時間発光しています.」「少しの電気で発光することが できます.「光る色が違います.「熱くなりません.「+端子と-端子を逆にする と点かなくなります.「値段が高いです.」といった意見が出た.

次に,図4-1のボタン電池にLEDを挟んで光らせたものと,図4-2のコンセン トにLEDを取り付けて光らせたもの2つを左右に振って,それぞれのLEDの光り 方を確かめた.ボタン電池に LED を挟んで光らせたものを左右に振ってもチカチ カ点滅せず,コンセントに LED を取り付けて光らせたものを左右に振るとチカチ カ点滅することを演示実験で子どもたちに示した.その後,子どもたちにも同じ実 験器具を与え,各班で確かめた(図4-13).

4-12. 直流で光るLEDと交流で光るLEDを比べている子どもたちの様子

(28)

26

次に,課題提示し,課題に対する予想を立て,発表した.課題は,「LEDを家庭 用コンセントにつなぐと,なぜチカチカと点滅するのだろうか.」とした.子ども たちはこの課題に対し次のように予想を立て,発表した.「ボタン電池はずっと電 気は流れ続けているけれど,コンセンントの方は見えないくらいの速度でチカチカ って点滅しているから,それを動かすと,点く,点かない,っていうのがよく分か るから,振らすとてんてんてんって見えるんだと思います.」「電池は,流れ続け,

流れっぱなしで,コンセントの方は,電気の電圧に波があるんじゃないかと思いま す.コンセントは波があると思います.電気が出たり入ったりしていると思います. 次に,検流計の復習をした.検流計は流れる電流の強さと電流の流れる向きを調

べることができる道具であることを確かめた.

次に,手のひら発電機の説明をした.竹串を回すと LED が光り,発電できると いうこと,そして,LEDが点滅しながら光ることから,コンセントからきている電 気と同じ種類であることを確かめた.

次に,実験とその考察について次のように説明をした.「手のひら発電機と検流計 をつなぎ,手のひら発電機を勢いよく回します.そうすると LED は点滅します.

そのときに,検流計の針がどのように動くかを確かめましょう.その結果からどん なことが分かるのか,考えてみましょう.」その後,子どもたちは実験を行った(図 4-13).

4-13. 実験をしている子どもたちの様子

(29)

27

次に,全体で実験結果を確かめ,考察を発表した.実験結果は,どの班でも検流 計の針が左右に振れたことが確かめられた.その後,この実験結果から何が分かる のか,考察を発表した.子どもたちが発表した考察は次のようであった.「手のひ ら発電機は+-交互に電気が流れています.「コイルが毎回半周ごとに電流の向き が変わります.「結果からLEDは正しい電流の流れ方ではないと,光らないから,

正しくないときは消えてしまって,正しい時は点くから,点滅しているように見え るのだと思います.「+と-を交互に行き来するから,+に電流が流れて,次に-

に電流が流れて光るから,そういうことが高速に起きているから,チカチカするん ではないかと思います.

次に,指導者から,直流と交流についてまとめた.「電流には直流と交流の 2 類がある.直流は電流の流れる向きが一定で変わらないが,交流は電気の流れる向 きが入れかわる.」「交流の電流が入れかわるスピードはとても速い.」について教 えた.

最後に,身近に活用されている例として,直流の活用では LED の懐中電灯を交 流の活用ではLEDの自転車用ライトを紹介して授業を終えた.

4-4.実際の授業の逐語記録

発言者 発表内容

T1

C1 C2 T2 C3 T3

C4 T4 C5 T5

【LED の復習】

しっかり,先生から電気のこと教えてもらいましたか.今日は,そこから少 し発展的なことをやっていきたいと思います.

まず,復習からやっていきたいのですが,発光ダイオードって習った?

習った.

LED.

何のことか知っとる?アルファベット 3 文字で.

LED

今日はな,この発光ダイオード,LED が主役です.で,ちょっと復習をしてい きたいんだけど,発光ダイオード,LED どっちでもいいんですけど,これにつ いて習ったことをいくつか出してほしんですけど,どんな特徴があるもので したか?はい,手を挙げてください.はい,どうぞ.

はい.少しの電気で,えっと,発光することができる.

あー.そうでしたね.そうですね.他どんな特徴があったか,思い出せる?

はい.豆電球よりも長い時間,発光しています.

少しの電気というところやな.まだあるんやけど.豆電球と大きく違う事,

(30)

28 C6

T6

C7 T7

C8 T8

C9 T9

C10 T10

C11 T11

C12 C13 C14 T12 C15 C16 T13

何?

光る色が違います.

そうやったな.色はいろいろあったな.えー,まだあんのやけど.はいどう ぞ.

大きさです.

大きさは小さいな.まだあんのやけど.いっぱいあるんやけど.じゃあ,ヒ ント言おうか.あ,どうぞ.

熱くならない.

おー,熱くならない.そうだったね.まだ,あるんやけど.じゃあ,ヒント.

つなぎ方に特徴があるんやけど.豆電球とは,ちょっとつなぎ方が違うんや けど.

ああー.+端子と-端子を逆にすると,光らなくなる.

そうだったね.+と-が決まっているとしようかな.まだ,あるんやけど.

えっ,ヒント?お金の話.

あー高い.

高い.家電屋さんで買うと,ちょっと高いな.LED ライトの方がちょっと高い な.まあ,長持ちはするんやけどな.まあ,こういったところですよね.皆 さんがちゃんと勉強してきてくれていて,良かった.何も知らなかったらど うしようかと思ったけど.でな,今日やりたいことは,こういうことなんさ.

ちょっとな,見てほしいんやけど,みんなの机の上にもあるから,後でやっ てもらおうと思っているんやけど,ちょっと見て.これな,ボタン電池って 分かる?ボタン電池って表裏で+-が決まっているって知ってた?そうする とさ,LED ってこんなんでさ,挟むと電気が点くんな.単純に,ほれ.

あー本当や.綺麗や.

綺麗やろ.でな,よーく見て.これを軽く振るやろ,こんな光り方するんな.

普通に光っているやろ.それがや,LED をコンセントにつなぐように作ったん やけど,これ点いとるやろ.よく見てな.(振って提示)どういう風に見える.

あっ,点滅しとる.

あっ,ちょっと,何個かあるように見える.

分身しとるように見える.

チカチカしてない?こっち見てみるよ.

あー,ホントや.チカチカしとる.

先生,ケースの中なんとちゃうの?

あー,このケースの中にいろいろ入っているのはな,これにタネがあるんや ろと思っているかもしれやんけど,それは違うんや.ちょっとな,電気のパ

(31)

29 C17

T14

C18 T15

C19 T16

T17

C20

ワーが強いもんでな,これで抑えとるだけなんや.コンセントにつなぐと,

チカチカして見える.

えっ,なんでや?

コンセントにつながないと,チカチカしてみえやん.(ボタン電池を示しなが ら)

1個に見える.

こっち,チカチカして見えるやろ.こっちチカチカして見えやんやろ.ちょ っとこれ,自分たちのテーブルにも用意しておいたから,やってみようか.

じゃあ電気をつけましょうね.テーブルのコンセントを降ろしてありますか ら,そこにまずつなげてごらん.じゃあ,電気消すよ.はい,振ってごらん.

どう,チカチカ点滅して見えない?はい,みんなで見てみな.で,コップの 中には LED とボタン電池が入っているから,で,それも振って違いを確かめ てごらん.

すげー,めっちゃ点いてる.

ちなみに,さっき,+と-は決まっていると言ってくれた子がいたから,乾 電池の方,逆にさしてみ.点かへんから.ボタン電池を逆にしちゃうと点か ない.

はいよろしいですか.実験器具を置いてください.コンセントからも抜きま しょう.もう,もとのコップの中にがさっと入れておいてくれたらいいです.

はい,よろしいですか.で,今日考えたいのは,これなんですね.

【課題提示】

LED を家庭用のコンセントにつなぐと,なんでチカチカすんのか.チカチカは 点滅っていうよな.点滅するのかっていう事をちょっと,考えていきたいと いうことです.では,今からワークシートを配りますので,このワークシー トにとりあえず今自分が考えられることで予想してごらん.予想では,理由 を書ける人は理由も書いて,考えてみましょう.なんで,コンセンントはチ カチカするんかということね.はい,名前を書いて予想してみましょう.

【予想】

はい,じゃあ,しっかり考えてくれたようですね.その辺で,ストップしま しょうか.いいですか.はいじゃあ,後はね,発表で聞かせてくれたらいい ですので,なかなかちょっとね難しい子もおったと思うけど,自由に考えて みてください.では,どんなことを考えたのか,予想を発表してみましょう.

はい,発表できる人どうぞ.Iさんどうぞ.

えっと,たぶん電圧が違うからだと思います.なんでかっていうと,このボ タン電池のところに書いてある電圧が 3 ボルトと書いてあって,家庭用は 100

(32)

30 C21

C22 T18

C23

T19 C24 T20

C25

C26 T21

C27 T22 C28

C29 C30 T23 C31

ボルトだから,97 ボルトも違うから,チカチカするんだと思います.

それは,機械で抑えられとる.

その理由は?

あのー電圧って,小学校では習わなんのやけどな.でも電圧が違うっていう のは,事実で正しい.ただ,最初にちゃんと言っておかなかったけど,みん なさ,この LED そのままコンセンントにさしたらいかんのやに.たぶん,一 瞬で真っ黒になるし,君たちの手も火傷したりするから絶対にあかんに.で も,これはすごく強い電気が流れても大丈夫なように,箱の中にいろいろと マシンが付いているわけやな.I君が言ったことは正しいねん.中学校にい ったらもっと詳しく習います.どうですか.T君,ちょっと書いていたこと 言ってくれやん.

はい.えっと,僕は,コンセントと電池と,ボタン電池の電気の出る仕組み が違うのだと思いました.どのように違うのかは,よく分からないです.

コンセントと電池の何の出る仕組みが違うって言った?

電気が出る仕組みです.

でも,どんな仕組みの違いがあるのかは,よく分からんということやな.は い,どうですか.書いたことを発表してくれればいいですよ.はいどうぞ.

はい.えっと,ボタン電池につないだ方は,ずっと自分の手で押さえている 限り,ずっと電気は流れ続けているけれど,コンセンントの方は予想やけど,

僕らには見えないくらいの速度で,チカチカって点滅しているから,それを 動かすと,消えているときっていうか,動かしていないとずっと点いている ように見えるけど,動かすと,点いとる,点いてない,点いとる,点いてな い,点いとる,点いてない,っていうのがよく分かるから,振らすと,てん てんてんって見えるんだと思います.

あーー.

すごくな,興味のある意見なんやけど,もうちょっと詳しく言って.要する に,コンセントと電池は何が違うの?

えーだから,電池は,流れ続けとる,流れっぱなし,

電池は流れっぱなしなんやね.

せやけど,コンセントの方は,電気の電圧に波があるんじゃないかと思いま す.

だから,出たり,入ったりしているんやろ.

そうそうそう.

ちょっとちょっと待って.

あー.

図 4-6.手のひら発電機と電流計
図 4-9.手のひら発電機と簡易検流計の並列接続
図 4-10.手のひら発電機と電流計の並列接続
図 4-34.乾電池と麦球を用いた実験器具

参照

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