弘 前 医 学 39:447‑466,1987
メ トア ンフェタ ミン,スコポ ラ ミン同時投与 に よる 常同行動 と行動上の過敏反応 ( 逆耐性現象)
油 井 邦 雄
抄録 妄想型分裂病 の生物学的病態には線条体,中脳辺縁領域 dopamine(DA)系 と, これに対 す る抑 制 系 との機能関連の破鼠 お よび前頭葉皮質DA系機能 の変化が関与す る可能性 をW istar系雄 ラッ T.を用い 行動薬理学的に検証 した. 抑制系 として コリン作動系を取 りあげ,methamphetamine(MAP)とscopoL amine(SCOP)を併用 して反復授与す ることに よる線条体,中脳辺縁領域DA系の過剰活動 と コ リン作 動 系の機能低下 の共存下での常同行動,逆耐性現象を従来 のMAP反復投与 モデル と比較,検討 した. また, MAP+SCOP投与群 の常 同行動,逆耐性現象について,mesocortico‑prefrontalDA系の機能低下 を来す とされ る隔離飼育 ラッ T.と集 団飼育 ラッtに分けて検討 した.MAP+SCOP投与群 は MAP投 与 群 に 比 し, また,隔離飼育群は集 団飼育群に比 し,常 同行動,逆耐性現象が顕著で あ り,安定 した 出 現 様 態 を 保 ち,か つDA受容体遮断薬 の作用を受け難か った. したが って,上記 の可能性 は支持 され得 る と考 えた.
弘前医学 39:447‑466,1987 Key words:methamphetamine scopolamine
stereotyped behavior reversetolerance phenomenon paranoid schizophrenia
STEREOTYPED BEⅢAVIOR AND ⅢYPERSENSITIVE BEEAVIORAL RESPONCE (REVERSE TOLERANCE PEENOMENON)INDUCED BY METHAMPHETAMINE ADMINISTRATION IN COMBINATION
WITE SCOPOLAMINE
KUNIO YUI
Abstract The mutualrelation between striata】/mesolimbicdopaminergicneuronesand inhibitory system,bywhich consciousattention islimitedanddirected,andthefrontallobefunctionmaybe importantin thebiologicalbaseofparanoid schizophrenia. W ehavenow testedthishypothesis by investigating stereotypedbehaviorsandthereversetolerancein dopaminergic supersensitivity co‑existing with thelow levelactivity ofinhibitorycholinergicsystem,inducedbychronicadmin‑
istration ofmethamphetamine(MAP,4mg/kg)in combination with scopolamine (SCOP,4mg/
kg),bothinlong‑term isolated ratsinwhichtheactivityofthemesocortico・prefrontaldopaminergic neurones seemed to be reduced andgroup‑housedrats. TreatmentwithMAP plusSCOP pro‑
duced more potenteffectin enhancing stereotyped behaviors and thereversetolerance,whereas MAP was signi丘cantly lesspotent. Stereotypedbehaviorsandthereversetoleranceinducedby MAP plus SCOP were more intense in isolated rats than in group‑housedrats. Thereverse toleranse induced by chronic administration ofMAP plusSCOP waselicitednotonlybyMAP plusSCOP andMAP,butalsobySCOP. Effectsofhaloperidol(img/kg)andpimozide(2mg/
kg or5mg/kg)On stereotypedbehaviorsand thereversetolerancewerelessinMAPplusSCOP・
treated ratsandinisolatedrats. StereotypedbehaviorsinducedbyMAPplusSCOPtreatmentwere consisting mainly ofstereotypedsni氏ng accompan iedbybackinglocomotion,gnawi ngandbody biting intermingledwithlocomotion andrearing. Thedatamay supportthishypothesis.
HirosakiMed.∫.39:447‑466,1987 弘前大学医学部神経精神医学教室 (主任 佐藤
時治郎 教授) 昭和62年3月25日受付
DepartmentofNeuropsychiatry,HirosakiUni‑ versitySchoolofMedicine(Directoc:Prof.T.
SATO),Hirosaki,Japan
Receivedforpublication,March25,1987
448 油 井
Ⅰ.緒 言
Amphetamine(AMP),methamphetamine (MAP) な どの覚醒剤 の 中毒 に よる精神病状 態 (以下,覚醒剤精神病 ) は幻覚妄 想状 態 を 主症状 とす る精神 分裂病 (妄 想型分裂病) の 1,2) 急性期 の臨床像 と酷似 した幻 覚妄 想状態 が発 現 し, 断薬 に よる消槌後 で も覚 醒 剤 の 再 注 射, 心理 的 ス トレス,飲 酒 な どに よ って急速
3) 4)
に再燃 す る. この再燃 様式 は茎が履歴現 象 と して とらえた よ うに,妄 想型 分裂病 の再 発過 程 と類 似 す る も の で あ り, 脳 内 dopamine (DA)系の永続 的 な感 受性克進 に由来 す る覚
1)
醒剤へ の異常過敏反応性 (いわゆ る逆耐 性現 1,5)
象 )に もとづ くもの とされ てい る .この幻覚 妄 2) 1)
想状態 や急性再燃 は フ ェノチ ア ジン系ない し ブテ ロ フ ェノン系抗精神 病薬 に よ って抑 制 さ れ る. これ らの事 か ら,覚醒剤精神 病 は妄想
2) 1)
型 分裂病 の発症 や再燃 にかか わ る生物学 的病 態 を解 明す るための研 究 モ デ ル と さ れ て い る.
AMP,MAPの 中等量 (3‑long/kg)を1,5‑8) ラ ソ tに投与す る と常 同行動 の出現 をみ る.
この常 同行動 は投与 回数 を重 ね るにつれ て, AMP,MAPに対 す る過敏反応性が生 じ,長 期 間 の休薬 後 の覚醒 剤 の再 投与 に よ って容 易 に再現 され る ところか ら,逆耐 性現 象が生 じ
1,5)
る とされ る.常 同行動 は周 囲 の状況 にかか わ りな く一定 の行 動 に没 頭す る点 で,非現実 的 な観念 に支配 され て現 実 との照合 を失 い,他 の状態 へ の変換 が 困難 にな る精神 分裂病 の幻
4)
覚 妄想状態 と共 通点 を有す る こ と,逆耐 性現 象 は妄想型 分裂病 の再 発過 程 と類 似 す る こ
1ノ
と,常 同行動,逆 耐性現 象 は抗精神 病薬 に よ l)
ってその出現が抑 制 され る こ との3点 か ら, 常 胃行 動,逆耐 性現 象 は妄想型 分裂病 の生物 学 的病態 を解 明す るための研究 モデル とされ
1,4) て い る.
常 同行 動,逆耐性現 象 は生 化学 的,行 動薬 理学 的研究 に よ って, それ ぞれ線 条体 , 中脳
9) 辺縁領域 にお け るDA系の機能克進 , 中脳辺
July,1987 HirosakiMed.∫.39 (3)
I,5) 縁領域 のDA受容体 の感 受性克進 に もとづ く
もの とされ てい る.
妄 想型分裂病 の生物学 的病態 につ いて は, 線条体, 中脳 辺縁領域 を 中心 とす る脳 内DA
10) 系の過剰活 動説が知 られ てい るが, そ の生物 学 的病態 の全容 を説 明 し得 る もので はな く, ほか に もさま ざまな見解が み られ る. なか で も,注意 を方 向づ け,不 閑刺 激 の受容 を抑 え て, 知覚 や遂行 目的 の恒 常化,適 性 化 をなす DA系一抑 制 系 の相互 的機能 関連 の破綻 に よ る注意機能 の散 乱か ら,認知 に歪 みが生 じて ll) 幻覚妄想状 態 の露呈 ‑至 る とす るJosEPHら の注 意選択 チ ャンネル シス テ ム論 は注 目に値 す る. また,認知障害 の観点 か らは,注意 の 浸乱,不 関刺激 へ の拘 泥 お よび刺 激受容 の ヒ エ ラル キ ー構造 の浮動性 に よる刺激受容統合
12)
機能 の崩 壊 に対 す る過剰代 償説, あるいは刺 激受容 の フ ィル タ ー機能 の障害 に も とづ く選 択 的注意 の障害 ,不 閑刺激 の抑 制不全 に対 す
13)
る注意機能 の偏 向説が み られ る. これ らの理 論か ら,妄 想型 分裂病 の生 物 学 的 病 態 と し て,線 条 体, 中脳辺縁領域 を 中心 とした脳 内 DA系 の過剰活動 に加 えて, これ に対 す る抑 制 系 の機能 不全 に よ って もた らされ る注意機 能 の散 乱が重要 な基盤 で あ り,かか る散 乱 の 防衛 のために過剰 な代償 や選択 的注意 の偏 向 が起 こ り, 非現実 的 な認知 を生 じて幻 覚妄想 状態 の露呈 へ至 る と仮定 し得 る. 本 実 験 で は, か か る仮定 の検証 のために線条体, 中脳 辺縁領域DA系 の過剰活動 と抑 制 系 の機 能低 下 の共存 下 での常 同行 動,逆耐 性現 象 を検討
した. ll,15)
精神分裂病 の生 物学 的病 態 に は前頭葉機 能 ない し前 頭葉 皮 質 に 分 布 す る mesocortico‑
14‑16) perfrontalDA系 (中脳 皮質DA系) の機能
の関与が知 られ てい る.前頭葉 は事態 の本質 15)
的把握 や文脈 的理解 な ど高次 の認知機 能 にお 14‑16) 14,16) け る障害, あるいは注意機能 の障害 と密接 な かかわ りを有 し, また,精神 分裂病 の陽性症 状 の発現 に関与す る中脳辺縁領 域DA系 とは 中脳 皮質DA系 を介 して 結 は れ, 中 脳 皮 質
昭和 62年 7月 弘前医学 39巻 3号
DA系一 中脳辺縁領域DA系の相互 関係が陽 性症状一陰性症状 の出現 に影響 をお よはす と
15)
され ている. そ こで,mesocortico‑prefrontal DA系の機能変化 を きたす とされ る長期隔離17,18) 飼育 ラ ッ トの常 同行動,逆耐性現 象 を集 団飼 育 ラ ッ トと比較,検討 した.本実験 では抑制 系 として コ リン作動 系 を取 りあげた .
ⅠⅠ.実 験 方 法
実験 動物 は 日本 クレア社 よ り供 給 さ れ た W istar系雄 性 ラ ッ トで ある.18日齢 で 離 乳 し,恒温恒湿 の飼育室 内で12時 間 明 暗 条 件 (明期 :午後7時一午前7時) で,隔離飼育, お よび 同腹 の5匹 を1群 とす る集 団飼育 を行
った.飼料,飲水 は 自由に摂取 させ た. これ らの ラ ッ トが13‑15週 齢, 体 重250‑350g (平均300g)に達 した時 点 で 実 験 に 使 用 し た. 隔離飼育 では1つ の プ ラスチ ック製飼育 ケ ージに ラ ッ トを1匹ずつ入れ,各 ケ ージの 間 をアク リル樹脂板 で仕切 って, ラ ッ ト相互 の視界 を遮 断 した.
線 条体, 中脳辺縁領域DA系の過剰活動 と コ リン作動 系の機能低下 を共存 させ るべ く, MAP4mg/kg/とscopolamine(以下SCOP) 0.5mg/kgを 同 時 に 腹 腔 内 に 授 与 し た.
MAP 4mg/kgは初 回投与量 で明 らか な常 同 行動 を生 じない ことを確 めた,MAP,SCOP
は毎 日1回,14日間反復授与 した.逆耐性現 象 の保持状態せ 調べ るために,反復投与終了 後7日間の休薬期 間 をおいて反復投 与時 と同 容量 の MAP,SCOPを再 授与 し, その後1
‑ 2週 間 ご とに同容量 の MAP,SCOPの再 投与 を13回にわた って反復施行 した.実験 の スケジュールは次 の よ うで ある. 1群 か らn一
群 まで は隔離飼育 ラ ッ Tl,V群 は集 団飼育 ラ ッ トを用 いた.MAP+SCOP反復投 与 群 で は MAP,SCOPの逆耐性現 象へ の影響 を調 べ るために, 再投与期 間に は MAP⊥SCOP, MAP,SCOPの3種 の投与群 に分 けた.Ⅰ : MAP+SCOP反 復 投 与 (Ⅰ群,12匹)‑ ㊨ MAP+SCOP投 与 (la群,4匹) ⑥MAP
MAP,SCOP穀与 による行動反応 449 Table1 Scoring system used forestima‑ tionoftheintensityofstereotypy
0:Theappearanceoftheanimalsisthesame assalinetreatedrats
1:Discontinuoussni尻ng,constantexplora‑ toryactlVlty
2:Repetitive exploratory behavior,rearing, orburstofsni岱ngwithhyperactivity 3:ContinuoussnifEng,occationalrearing 4:Continuouscompulsivesni岱ngwithout
rearing
5:Continuoussniffing,discontinuousgnaw‑
ingorlicking
6:Continuousgnawingorlicking
投 与 (Ib群,4匹),・互,SCOP投与 (Ic群.
4匹), Ⅰ :MAP反復投与‑→MAP投 与 (Ⅱ 群,5匹), Ⅱ :SCOP反復投与‑ナSCOP投 与 (Ⅱ群,5匹),Ⅳ:対 照群 としてMAP, SCOPと同容量 の生理食塩水 を Ia群 と同様
に投与 (Ⅳ群,5匹),†:Ia群 と同様 の実 験 手順 に もとづ いて M P,SCOPを授 与 し た集 団飼育 ラ ッ ト(†群, 5匹).常 同行 動, 逆耐性現 象へ のDA受容体遮 断薬 の効果 をみ るために,再投与 の9回 目にhaloperido11 mg/kgをMAP,SCOP投 与 の70分 前, 12 回 目にpimozide2mg/kgを135分 前,lヰ回
目にpimozide5mg/kgを135分 前にそれぞ れ前処置 した.行動観察 には飼育 ケ ージと同 型 のプ ラスチ ック製観察箱 を用 い,1つ の観 察箱 に 1匹ずつ入れ た.
異常行動 の程度 は注射後5分,lo牙,15分, 20分,30分,45分,60分, 120分,180分 の各 時点か らの5分 間の行動観察 とビデオ レニー ダ ーに よる録画に もとづ き, 5分 間の観察時 間 中4分 間以上持続 した も の を 取 りあ げ, Tablelの よ うな判 定基準 に したが って評 価
した.
MAP+SCOP反復投与 の Ⅰ群 の行 動 特 性 をMAP投与 の Ⅰ群 と比較,検討 す るた剖 こ locomotoractivity(移所行動 ),sniih g(咲
ぎ),rearing(立 ち上 り),gnawing(強迫的 噛み行動 ),body biting (ラ ッ ト身体‑ の強
井 抽054 6543
310C)SLdLIOaJalS 2543
aJLO。SA(dJ(10aJEalS 20
July,1987 HirosakiMed.∫.39(3)
5 15 30 45 60
Ⅲ SCOP
Time(minutes)120
05 15 30 45 60
Time(minutes) 120
昭和 62年 7月
弘前医学 39巻 3号 MAP,SCOP投与に よる行動反応
05 15 30 45 60
Time(minutes)120
Fig.1 Timecourseofstereotypedbehaviorsduringchronicadministration of methamphetamine(MAP)pulsscopolamine(SCOP),MAP,SCOP and saline. InMAP pulsSCOP treated rats(Igroup),事indicatesigni五一 cantincreasein thestereotypyscoreascomparedwiththecorrespond‑
ingvalueobservedin MAP treatedrats(ⅠIgroup). In group‑housed rats(Vgroup),*indicatesigni丘cantdecreasein thestereotyptscoreas compared with the corresponding value observed in isolatedrats (I group).辛pく0.05,**pく0.025, ***pく0.005.
451
452 油 井
迫的噛み行動),licking(強迫的読 め行動), backing locomotion(後ず さ り行動) の各評 価項 目につ いて,その持続 時 間 に も とづ い て,0:な し,1:軽度 (1‑60秒 間持続),
2:中等皮 (61‑240秒 間 持 続), 3 :著 明 (241秒 間以上持続) の4段階評価 を行 った.
常 同行動 は周囲の状況 にかかわ りな く一定 の 行動 に没頭す る段階の行動 とし,総合的な判 定基準では評価点4以上,行動要素別判定基 準 では評価点3以上 とした.
使用 した薬物 はmethamphetamine塩酸塩 (ヒロポ ン注射液 3mg/ml, 大 日本 製 薬), scopolaminehydrobromide(ノ、イ ス コ注 射 液0.5mg/ml,香林薬品),haloperidol原末 (セ レネ‑ス原末,大 日本製薬),pimozide原 末 (オ ーラ ップ原末, 藤 沢 薬 品 工 業) であ り,haloperidol,pimozideの 溶 液 は 投 与 量 が体重 1kg当 り1mlになるよ うに1%氷
酢酸液 で調製 した.薬物 はすべて腹腔 内に授 与 した.
実験結 果 の 有 意 差 検 定 はstudent'st‑test に よった.
ⅠⅠⅠ.実 験 結 果 1. 反復投与実験
Fig.1は Ⅰ群か ら†群 までの異常行動の評 価点の経時的変化を示 している.MAP単独 投与 の Ⅰ群 では常 同行動 の出現 日数 は7日で あ り,投与4日目か ら出現 した常 同行動 は5 日目に ピークに達 した後,7日目か ら減衰傾 向を示 した.常 同行動 の強 さは注射後10‑45 分 (平均24分) で ピークに達 し,以後徐 々に 弱 ま り,rearigとsniaingの反復,次 いで移 所行動 の増加へ と移行 した.常 同行動 の出現 潜時は10‑20分 (平均13分) であ り,投与 日 数 を重ね るにつれて短縮傾向を示 した.常 同 行動 の強 さの ピーク値 は4.0か ら4.4(平均 4.1) であ り,投与5日目までは徐 々 に 増 大 したが,8日目以降は3.5か ら4.0に保持 され た.常 同行動が 出現 した観察時点か らそれが 消失 した観察時点 までの時 間 (以下,観察時
aJ[oDSRdR10aJ
a
tS 32July,1987 HirosakiMed.∫.39(3)
〇 一 一 一
MAP+SCOP (Ⅰ)DIA MAP (Ⅱ)
◇一一や SCOP (Ⅲ)
AI
‑
A SAL(Ⅳ)0 ‑ ‑ ‑ o
MAP+SCOP (Ⅴ)(group‑housedrats)
0 1 3 5 7 9 1 1 13day
Fig.2 Changes in themean totalscore duringchronicdrugtreatment. In theIIgroup,a,aindicatesig‑
ni丘cantincrease in thestereotypy score ascomparedwiththecorre‑ sponding value observedintheII group. In theV group,a,din‑
dicate signi丘cant decrease in the stereotypyscoreascomparedwith the corresponding value observed in theIgroup. a:pく0.05,d:
pく0.005.
点間での常 同行動 の持続時間 とす る) は5‑
55分 (平均35分) 間で,投与 日数 に相関 して 延長 した.反復投与期間中の全評価点の平均 値 は1.8であ った.Fig.2は各実験群 におけ る投与毎 の評価点の平均値 を示 した ものであ るが, Ⅰ群では投与7日目か ら行動上 の反応 には耐性化傾向が認め られ,逆耐性現象は不 明瞭であ った. これ に対 し て MAP+SCOP 投与 の Ⅰ群では,gnawingとlickingを混 じ えた強い常 同行動が投与3日目か ら出現 し, 7日目に ピークに達 した後, 同程度 の常 同行 動が恒常的に出現 した.常 同行動 の出現 日数 は12日であ った.常 同行動が ピークに達す る
昭和 62年 7月 弘前 医学 39巻 3号
巴ODSAdRtoaJEaIS巴03SRdJtToaJaTS
MAP,SCOP投与に よる行動反応 453
井 油454 5432
31ODSJ(dJ(toalatS 5
4
3巴0
冨
RdJ(70310tS 2July,1987 HirosakiMed.J.39(3)
5 1 5 30 4 5 60
Ⅲ SCOP●SCOP
Time(mintrteS)
5 15 30 45 60
Ⅳ SAL● SAL
Time(minute8)120
5 15 30 45 60
Time(mint)tee)120
昭和 62年 7月 弘前医学 39巻 3号
a1
0
3SLdLtoaJatSMAP,SCOP投与による行動反応 455
05 15 30 45 60
Time(minutes)
Fig.3 BehavioraleffectsofMAPpulsSCOP,MAP,SCOPandsaline on chronic drug treated groups. In la group,事indicate signi丘cant increasein thestereotypyscoreascomparedwiththecorresponding value observed in theIIandlb groupsrespectively. InVgroup,
*indicate signi丘cant decreasein thestereotypyscoreascompared with thecorrespondingvalueobserved in thelagroup.*p<0.05,
**p<0.025,***p<0.01, のは注射後30‑60分 (平均44分) で, Ⅰ群 よ
りも遅れ た ものの,以後 の 経 過 に お い て は sni氏ngと移所行動 の著 明な増加 に よ り,評 価点 は Ⅰ群 よ りも有意 に上 昇 した. Ⅰ群 では 常 同行動 の出現潜時 は10‑45分 (平均20分) で あ り,反復投与経過 の後半か らは15分前後 に一定 したが, Ⅰ群 よ りも遅延 した.強 さの ピーク値 は4.0か ら5.1(平均4.8)で あ り, 投与7日目までは漸増傾 向 を 示 し, 以 後 は 5.0前後 の ピーク値が保持 され た. 観 察 時 点 間での持続 時 間は 5‑55分 (平 均39分) 間 で,反復投与経過 の後半か らは50分前後 に一 定 し, Ⅰ群 よ りも延 長 した. この よ うに,Ⅰ
群 は Ⅰ群 に くらべ て常 同行動 の強 さが増大 し てい るだけでな く, その出現潜時 も短 く,観 察時点での持続 時間 も延 長 し て い た こ とか ら,常 同行動 は Ⅰ群 に くらべ て勝 っていた と 言 え よ う.反復投与期 間 中の各観察時点 の評 価点 を Ⅰ群 と比較す る と, Ⅰ群 は45‑180分 にか けて評価点が有意 に増加 した.全評価点 の平均値 は3.6で, Ⅰ群 をか な りうわ まわ っ
****p<0.(氾5.
た.投与 日ごとの評価点 は, Ⅰ群 の常 同行動 が増強す る 5日目, 6日目を除 く投与 日で,
Ⅰ群 は Ⅰ群 に くらべ て有意 に高 い評価点 を示 した.投与 日ご との評価点 は投与 日数 に相関 した漸増 を示 していて,逆耐性現象が認 め ら れ た. この よ うに, Ⅰ群 は Ⅰ群 に比較 して, 出現潜時 こそ遅延 す る も の の, gnawingと lickingを混 じえた強 い,持続 的 な常 同 行 動 が恒常 的に出現 し,逆耐性 現 象 が 認 め られ た.SCOP投与 の Ⅱ群 では注射後5‑30分 の 間に ピークを有す る移所行動が120分 まで認 め られ た.対 照群 では注射 直 後 か ら約30分 間,移所行動 の増加が み られ た.集 団飼育 の
Ⅴ群 では gnawingとlickingを混 じえ た 常 同行動が投与3日目か ら Ⅰ群 と同 じ く12回出 現 したが,6日目に ピークに達 した後減衰傾 向 を示 した. †群 は常 同行動 の強 さが ピーク に達す るのは注 射 後10‑60分 (平 均49分) で, Ⅰ群 よ りも遅れ, また,以後 の経過 にお いて も Ⅰ群 よ りも低 い評価点 を示 した. 出現 潜 時 は10‑60分 (平均28分),強 さの ピーク
456 池 井
4
aJODS・(dJ()OaJatS 32
July,1987 HirosakiMed.∫.39(3) D‑‑qMAP(Ⅱ)
◇ 一 一 一
◇ SCOP(Ⅲ)A‑‑ ASAL (Ⅳ ) 0‑‑‑oMAP+SCOP (Ⅴ)
(group‑housedrats)
′△ヽ =Il:==‑‑II‑‑‑II‑‑‑‑‑‑= a U:=・加持川柏・; LU 01 3 5 7 8 910 12 14th 1 3 5 7 8 910 12 14th
SeSSIon Session Fig.4 Changesinthemeantotalscoreduringre‑administrationofMAPpuls
SCOP,MAP,SCOPand saline onchronicdrugtreatedgroups. In thela,Ib andlcgroups,a‑dindicatesigni丘cantincreaseinthester‑ eotypy score as compared with thecorrespondingvalueobservedin theIIandIIIgroupsrespectively. IntheV group,b,dindicatesig‑
ni丘cantdecreaseinthestereotypy scoreascomparedwith thecorre・ spondingvalueofthelagroup.a:pく0.05,b:p<0.025,C:pく0.01, d:p<0.(泊5.
値 は4.0か ら5.0(平均4.5),観察時点 間での 持続時 間は5‑55分 (平均25分) 間,全評価 点 の平均 は3.0で あ り, ともに Ⅰ群 よ りも劣 り,かつ反復投与経過 中の 変 動 も大 き か っ た.各観察時点 の評価点 を Ⅰ群 と比 較 す る と, Ⅴ群 は常 同行動 の増強過程 の5‑20分 に かけて有意 に低 い評価点 を示 した.投与 日ご との評価 点 もⅤ群 はすべ ての投与 日で Ⅰ群 よ りも低 く, Ⅴ群 の常 同行動が増強す る6‑ 8 日目を除 いて,有意差 を示 した. この評価点 は8日目以降定常化 し,逆耐性現 象は明瞭 で はなか った, この よ うに Ⅴ群 は群居空 間か ら 自由運動が可能 な広 い空間‑ の移入 とい う実 験環境 の変化に もかかわ らず, Ⅰ群 よ りも減 弱 した常 同行動が長 い出現潜時 を経 て短時間 出現 し, また,逆耐性現 象 も不 明瞭化 し,皮
復投与経過 中の反応 パ ターンも不安定 であ っ た.
2.再投与実験 お よび薬物投与実験 Fig.3は各実験群 での1‑ 2週間 ごとの再 投与実験, お よび haloperidol,pimozide前 処置 に よる薬物投与実験 の経時 的な変化 を示 してい る.1週 間の休薬期間 をおいてMAP, SCOPを再投与す る と,Ia群,Ib群, Ⅰ群 では短 い出現潜時 を経 て,反復投与期間 中に 形成 され た もの と同程度 の常 同行動 の出現 を みた.Ic群 では常 同行動 はみ られ な か った が,sniBingrearing,多動 を主 とした 異常行 動が 出現 した. Ⅴ群 では反復投与期 間中の も の と同程度 の常 同行動が持 続 的 に 出 現 した が, 出現潜時 は遅延 した. 亜群,対照群 では 反復投与期間 中 と同程度か, それ を下 まわ る