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振動解析を用いた橋梁の健全性監視システムの開発

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Academic year: 2021

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振動解析を用いた橋梁の健全性監視システムの開発

知能機械力学研究室 山下 正人

1. はじめに

日本の橋の多くは耐久年数が 50 年ほどに設計されている が,今後 10 年以内に築 50 年を超える橋は 1 万 5000 ヶ所以 上になる.つまり老朽化が大きな問題となっており,このま までは,橋梁の事故が頻発する恐れがある.現在橋梁の点検 は目視点検・打音検査など人的な方法をとっており,橋梁す べてを点検・補修するには膨大な時間とコストがかかる.こ の問題を解決するために人手をかけない診断技術が必要とさ れている.上述の問題に対して振動解析による監視システム を用いることが考えられ,様々な研究も報告されている.本 研究では,その一手法として,複数の振動モードの固有振動 数変化と振動解析を用いて,欠陥が生じた箇所と程度を推定 する方法を検討する.

2. 提案する橋梁の健全性監視システムの基本概念 橋梁には複数の固有振動数が存在するが,老朽化などによ り何らかの欠陥が生ずれば,その部分の剛性が低下し,各固 有振動数も低下する

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.老朽化した橋梁の事故を未然に防ぐ ために,健全な状態の橋梁と老朽化した橋梁の複数のモード の固有振動数を比較し,固有振動数の違いから異常部分を発 見することを考える.欠陥部分の各振動モードの振動数,振 動モードへの影響はモードによって異なることを利用して欠 陥の箇所や程度を推定する.

3. 亀裂の位置による固有振動数の変化率の比較

正常な梁に対して,欠陥が入っている梁の固有振動数の変 化率を各欠陥の位置で比較する.比較の方法としては有限要 素法解析ソフト「ANSYS」を用いて解析を行った.解析モデ

ルは幅 30 mm,厚さ 3 mm,長さ 1000 mm のアルミ平板を用

いる.固定方法は両端単純支持梁とする.今回は欠陥として

幅 30 mm,厚さ 1.5 mm,長さ 10 mm の切れ目を平板に入

れる.欠陥の位置を図 1 に示す.材料定数はヤング率が 7.03e10 [Pa],ポアソン比が 0.345,密度が 2700 [kg/m

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]とす る.

図 1 亀裂の位置

欠陥がない状態の梁を解析し固有振動数を調べ,その後,

亀裂が a,b,c,d それぞれの地点に1つだけある状態での 5 パターンの固有振動数を調べる.その後,亀裂なしの状態に 対して,各亀裂の固有振動数の変化率を計算したものが表 1 となる.

表 1 亀裂の位置による各振動モードの固有振動数の変化率

a b c d

mode1 (%) -5.2666 -4.4548 -1.9238 -0.36693 mode2 (%) 0.7102 -2.1803 -3.8347 -1.2234 mode3 (%) -4.5074 -0.46286 -1.7965 -2.0038 mode4 (%) 0.71475 -4.2614 0.21154 -2.2063

表 1 を見ると,橋梁に欠陥が発生すれば全てのモードにお いて固有振動数は変化する.また,欠陥の各モードに対する 影響が異なっていることがわかる.特に,各モードの曲率が 大きい部分,すなわち図 4 のように歪が大きい部分に亀裂が 近いほど,より固有振動数が低下しているという傾向が見ら れる.また,逆に各モードの曲率が小さい部分,つまり歪が 小さい部分に欠陥が近い場合は,あまり固有振動数は変化し ていないということが確認できる.

図 2 それぞれの亀裂が影響を与える振動モード

したがって,欠陥が発生する可能性がある位置の数が多く なければ,各モードの固有振動数をモニターしておき,その 変化を計測し,それと橋梁に関する数学モデルを作成し,各 欠陥の各モードに対する影響を事前に計測しておけば,逆問 題として欠陥の位置および進み具合を推定できる可能性があ ることがわかった.

今後は,欠陥の大きさも変化させた計算を行い,各欠陥が 各モードに与える影響を事前に推定しておき,最小二乗法な どを用いて,欠陥の位置と程度を推定する方法へと発展させ る予定である.数値実験を行ったのち,モデル構造を試作し て欠陥を与えた実験を行い,欠陥の箇所と程度を推定する実 験により提案する手法の妥当性の検討を行う計画である.

4. おわりに

橋梁の点検・検査を人的な方法を必要とせず効率的に監視 するために,固有振動数の低下率から欠陥の位置や大きさを 推定することを目的として,橋梁に欠陥がある位置によって,

それぞれの振動モードの固有振動数に与える影響を明らかに し,欠陥の位置を推定できる可能性があることを確認した.

その結果,計測と解析を組み合わせた橋梁の健全性監視シス テム構築の見通しが得られた.

文献

(1) 岩壺卓三ほか 9 名, “振動工学の基礎” , pp. 116-

121

参照

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