弘前大学教育学部紀要 第6
8
号 :11 9‑1 2 9 ( 1 9 92
年1 0
月)Bul l .Fac.Educ.Hi r os akiUni \ ・ .6 8:11 9‑1 2 9 ( Oct . 1 99 2)
弘前市 における障害の早期発見 と早期対応
Ea r l yI n t e r v e n t i o nS y s t e mf o rt h eHa n d i c a p p e dC h i l d r e ni nHi r o s a k i .
安藤 房治 * 三浦 喜代 **
Fus aj iANDO Ki yoMI URA
1 1 9
論 文 要 旨
青森県弘前市 にお ける障害の早期発見 と早期対応 について,制度面での実態 を明 らかにし, あわせて父母意識調査 を実施 し,早期対応 に対 す る保護者の評価 を検討 した。弘前市で は,市 が実施主体 となった
1
歳6
ケ月児健診,県 (保健所)が実施主体 となった3
歳児健診 な どの乳 幼児健診制度が確立 され,受診率 も向上 しつつある。健診 によ り障害が発見 された場合,児童 相談所や教育委員会 に 「紹介」 され,保育所,幼稚 囲,精神薄弱児通園施設 な どにおいて対応 す るシステム となっている。これ らの早期発見 ・早期対応 に対 して障害児の保護者がいかなる体験 をし, また どのように 評価 しているか についてア ンケー ト調査 を実施 した。 その結果,保護者が障害 に気づ さなが ら も,早期対応がなされていない事実や,早期発見 されて も,適切 な対応がな されていないな ど とい う保護者の評価があることが明か となった。
1.
は じめに人間の発達 に とって,乳幼児期 は 「きわめて可塑性 のある時期」
1)
であると言われている。この ような可塑性 のある乳幼児期 に教育的働 きかけが不可欠であることは言 うまで もあるまい。
特 に障害児 に とって は,「障害の軽減 と二次障害の予防」「人間的な発達 の土台の保障」 な どの 視点か ら,「ゼロ歳 か らの とりくみが必要」である と指摘 されている
2)
。障害の早期発見 ・早期対応 に関す る制度 は,新生児期,乳児期,幼児期 にわたって整備 され て きている。新生児期 にあって は先天性代謝異常検査 (厚生省児童家庭局長通知 『先天性代謝 異常検査等実施要綱』
,1 9 8 0
年),新生児訪問指導 ・未熟児訪問指導 (母子保健法1
1条,1 9
条) な ど, 乳幼児期 にあたっては乳幼児健康診査 (以下,健診 とす る)が制度化 されている (母子 保健法1 2 ,1 3
条)。健診 には,出生後 1年以 内の乳児健診 と,1
歳6
ケ月児健診,3
歳児健診が ある。3
歳児健診 は,時期や内容が厚生省告示( 1 9 6 1
年)で規定 されているため自治体 によっ て大 きな相異 はないが, その他 の健診 は自治体 の裁量 にゆだね られてお り, 自治体間のバ ラツ キ,格差が大 きい と言われている3‑
0本研究で は,弘前市 における障害の早期発見 と早期対応 の制度的実態 を明 らか にし, さらに は障害の早期発見 ・早期対応 に対す る父母意識調査 をす ることにより,早期発見 ・早期対応 に
*
弘前大学教育学部心身障害学科教室De par t me ntofEducat i onf ort heHandi cappe d
,Fac ul t yofEduc at i on. Hi r os akiUni ve r s i t y
**宮城 県立拓桃養護学校
Mi yagi ,Takut oSc hoolf ort heMe nt al l yRet ar de d
1 2 0
安藤 房治 ・三浦 喜代関す る今後 の課題 を明 らか にす ることを目的 とす る。
2.
弘前市4)
における障害の早期発見 ・早期対応1
)早期発見弘前市 にお ける健診 は,市が実施主体
5)
となった1
才6
ケ月児健診,県 (保健所)が実施 主 体6)
となってい る3才児健診が主 た る健診 で, その他 に保健所が実施 す る 4ケ月, 7ケ月児 を 対象 とした乳児健康相談が ある。
保健所 内で は
4
ケ月児 を対 象 に月2
回,7
ケ月児 を対象 に月1
回,要観察児 を対象 に月1
回 実施 してい る。4
ケ月児相談 で は,股 関節脱 臼検査 を含 む療育相談,身体計測,小児科医 によ る診察お よび保健 ・栄養指導である。7
ケ月児相談で も股 関節脱 臼検査 を除 き,4
ケ月児健診 と内容 は同一である。4
ケ月児,7
ケ月児健康相談 にお ける有所見児 は5 3 9
人( 2 6. 2 %)
であ る。有所見児 の内,理 学的所見が最 も多 く3 1
1人 で,全体 の5 3. 4 %
を占める。 その内訳 は皮膚疾 患1 0 7
人,陰部疾 患4 2
人,胸部疾患2 9
人 となってい る。月齢別 に見れ ば,7
ケ月児で は理学的所見が1 0 7
件( 4 9. 2 %)
表1. 弘前市 における乳幼児健診一覧
健 診 名 健診 内容 ス タ ッフ 実施 主体 周知方法
7
ケ月児相談 身体計測 .小児科 .保健指導栄養指導1歳
6
か月児健診 保健指導及 び栄養指導身長 .体重 .歯科 .小児科 弘前市 個人通知表
2. 4
ケ月児, 7ケ月児健康相談の受診状況( 1 9 90
年度)受 診 数 有所見児数 有所見率
表
3.
有所見児の状況7 2 2 8 2 3 1 3 0 1 5 4 9 1 5 5 1 1 2
相談内容 ・判定 区分 計
育児 に関す るもの 栄養 に関す るもの 養護 に関す る もの 運動発達 に関す るもの 理学的所見
神経学的所見
nU 0 0 O 7 2
3 0 0 0 1 7‑nU 9 5 3 5 1 2 2 8 1 6 1 8
3
合 計
表4. 弘前市 における 3歳児健診 の受診状況 対象児数 受診児数 受 診 率 要指導児数 要精検児数
弘前市における障害の早期発見 と早期対応
表
5. 1
歳6
ケ 月児健診 の受診状況 表6
. 弘前市 の委託 による障害 児の保育所 受 け入 れ状況1 9 86 1, 97 7 1, 7 65 8 8ー 4 1 987 1, 98 8 1, 7 5 9 88. 5
・
1 9 8 8 1, 8 59 1, 68 0 9 0. 2
年年年(XU
9 0 8 8 99 9 9 1 1 1
人人人4 0 0 日 H H H H H
1 21
を占め,運動 ・精神発達
4 0
件( 1 8. 4%)
が それ に次 いで い る。4
ケ月児,7
ケ月児対 象 の乳児健康相談 の結果,継続観 察,指 導 の必 要 な乳児 を対 象 に要観 察児相談が月1
回開催 され ている。
保健所 に よる3
歳児健診 は, 月2
回実施 されてい る。 弘前 市 にお ける受診状 況 は,表4
に示 す通 りで あ る。弘前市 内 の対 象児1, 9 5 4
人 の内受診 したの は1, 2 6 9
人 で あった( 1 9 8 9
年度,受診率6 5%)
。次 に,弘前市が実施 主体 とな ってい る
1
歳6
ケ月児健診 の受診状況 を表5
に示 したが,年 々 受診 率が向上 しつつ ある。
2)障害乳幼児への早期対応
弘前保健所 お よび弘前市 の乳幼児健診 で発見 され,早期対応,すなわ ち早期治療,早期保育 ・ 教育 が必要 な乳幼児 は弘前児童相談所 に 「要精検 児」 として 「紹介」 され るシステム となって い る。児童相談所 で は相談,検査等 を経 て,保育所等へ の措置 をす ることにな る。 また,幼稚 園,特 に 「ことばの教室」へ の通 園措 置が必要 とな るケース は教育委員会 へ 「紹介」 され る。
弘前市 の委託 に よる障害児保育 は
1 9 7 9
年度 よ り実施 され てい る 丁) 。1 9 91
年度現在市 内にあ る5 0
保育所 (公立3
,私立4 7 )
の内,私立3
保育所 で市 の委託 に よって障害児 を受 け入 れてい る。
障害児受 け入れ保育所 は市 による指定 が行 われ (指定 園方式),受 け入れ人数 は定員 の一割以 内 とされてい る
。
弘前市 は指定園 と委託契約 を結 び,一定 の委託料 を補助 してい る8)。
受 け入れ 可能 な障害 の程度 は中 ・軽度 とされ,全盲児,重度難聴児,肢体不 自由児 (完全介助以外 で あ れ ば可 ) な どは受 け入れ られ ない とされてい る。年齢 は3
歳以上 であ り,近年 の受 け入れ幼児 数 は表6
の通 りであ る。市 内 には,幼稚 園が
1 5
園 (私立1 2
,市立2
, 国立1
) あ り, その内9
園 (私立7
,市立2)
に1 4
名 の障害児が在籍 して い る( 1 9 91
年4
月現在 )9 )
。弘前市立和徳幼稚 園 に 「ことばの教室」が設置 され,幼稚 園在籍児 に限 らず,市 内保育所在籍児,在宅児 に対 す る通級 に よる言語治療 を行 ってい る
。1 9 91
年9
月1
日現在 の通級児童 は,5 5
名 (幼稚 園在籍児1 7
名,保育所在籍 児3 2
名, その他6名 )であ る。
弘前市 内 に精神薄弱児通 園施設 『大清水学園
』 ( 1 9 6 9
年認可,設置 ・経営主体 :社会福祉法人 藤聖母 園,定員3 0
名 )が あ り,在籍児( 1 9 91
年1 0
月現在2 6
名 ) の内,1 8
名 が学齢前 であ る1 0)。
3.
早期発見 ・早期対応 に関す る父母意識調査筆者 らは,弘前市 にお ける障害児 の早期発見,早期対応 を評価 し,課題 を検討 す るための一 つの方法 として,現在養護学校 お よび小 ・中学校特殊学級 に就学 中の児童 ・生徒 の保護者 が障 害児 の早期発見,早期対応 に関 して どの ような体験 を し, また どの ように評価 してい るか につ いて遡及的 な方法 で調査 した。過去 に逆上 って体験 を調査 す る関係上,年 々変化,整備 されつ
1 2 2
安藤 房治 ・三浦 喜代つある早期発見,早期対応の制度,体制 を正確 に評価 する上で は問題があるが,早期発見,早 期対応 を受 ける障害児 ・保護者の視点か らの評価 は,今後の課題 を考 える上で,何 らかの示唆
を与 えるもの と考 える。
今 回の調査 は,障害児 の中で も精神遅滞児 に限定 した。障害の種類 によって障害 の早期発見 ・ 早期対応 の内容や意義が異なるので,制度 を評価 するためには全障害 にわたって保護者 の調査 をす ることが必要であるが,今回 は障害児の中で も精神遅滞児の保護者か ら見 た結果である と い う点 に限定 され る。
1
)調査方法(調査対 象)
弘前市内に設置 されている養護学校 (県立
2
,大学附属1
) と,特殊学級が設置 されている 市立小学校2 1
校 の内,市街地 に設置 されている1 4
校 を抽出 し, そこに通学 している児童 ・生徒 の保護者 を対象 とした。なお,養護学校 において は, 自宅通学生のみを対象 とし,施設入所児 童 ・生徒 は対象か ら除外 した。 自宅通学生 の場合,弘前市内,少な くとも弘前保健所管内に居 住 している可能性が高いか らである。(調査方法)
独 自の質問紙 を作成 し,対象者 に配布 した。配布方法 として は,調査対象校 を訪問 し,学校 側 に児童 を通 しての配布 を依頼 した。回収 は,対 象者 か らの返信用封筒 による郵送 によったが,
2
校 は学校 を通 しての回収 となった。(調査 内容)
質問項 目は,1.対象児 のプロフィール,2.障害発見 までの経緯,3.健康診査の受診状況,4.
就学前の教育 ・療育 の経緯,5.就学前の家庭 での過 ごし方,6."親 の会''に対す る参加 ・関心 の状沢, の
6
項 目であった。回答方法 としては,記述式 と選択式 による2
方法 を採用 し,回答 の末尾 に,就学 に至 るまでの施策,設備等 について,感 じた ことを自由に記述す ることを求 め た。質問項 目5
,6
は,健診 に直接関連 しないので,本稿 をまとめるにあたって は,結果 と考 察の対象か ら除外 した。(調査期間〉
1 9 8 7
年1 0 月 2 3
日〜同年1 2 月 1 6
日2
)調査結果 と考察 (丑回収状況表
7
に示 しているように,回収状況 は養護学校全体 としては7 1 ・3%
(小学部6 9・6%
,中学 部5 5・2
%,高等部9 0・0%)
,特殊学級 は3 5・9%
であった。特殊学級 の回収率が低かったが, 養護学校 の場合 は,7 0 %
を超 えてお り,少 な くとも養護学校在籍児 の保護者 の調査結果 はそれら保護者 の全体的傾 向 を反映 していると言 えよう。
表 8は,調査対象児 の障害種別 の状況 をまとめた ものである
。
ここで,養護学校 と特殊学級弘前市 における障害 の早期発見 と早期対応 表
7.
調査用紙配布、回収状況養 護 学 校 I
.小学部 l中学部
A 高等部 小 計 特殊子級
配布 数回収数 1
5 3 6 9 2 1 9 6 3 2 0 7 1 8 1 5 2 3 1 9 4 1 5 9 4 6
表 8
.障害種類別
人数
1 2 3
とを同一 の表 に示 したが,特殊学級 の障害程度 は,相対的 に軽度 の ものであることを付記 して お く
。
②障害 の診断 に至 るまでの経過
障害 に気づいた, またはその疑 い を抱 いた時期 として は,図
1
で示 しているように,出産後 が ほ とん どであ り,出産時 に気づいた, と回答 した人 の障害名 を見 る とダウン症,脳性 マ ヒ, 小頭症等, その症状 や身体 的特徴 が顕著 である もの と言 えよう。障害 に気づいた者 として は 「母親」が圧倒 的多数で, 全体 の
6 4・2%
を占めている。 「父親」「祖父母」 を含 めて家族 として まとめて見 る と, その占める割合 は
85・4%
に も上 る。
早期発 見 にお ける家族 の果 たす役割 の大 きさが うかが えよう (表9
参照)0表1
0
で は,障害 に気づいた理 由を記述 して もらった ものを,多い順 に整理 した。 その中で最 も多か ったの は 「言葉 の遅亡出出産産時後
図1 障害 に気 づ いた、 または、 その疑 い を抱 いた時期
人数
れ」で,養護学校,特殊学 級 のいずれの場合 も過半数 であ り,「発達 の遅れ
」
「動 作が多動」
「首 のすわ りの遅 れ」等が これ に続 いた。障害児 と診 断 された時期 を表
1
1にまとめた。診 断 さ れ る時期 として高 い割合 を 示 してい るのは「 〜 3
歳」, つづいて「 〜 4
ケ月」であ る。
1 2 4
表
9
. 障害 に最初 に気 づ いた人 または機 関安 藤 房治 ・三浦 喜代
表
1 0
. 障害 に気 づ いた理 由母 親
2 7 l l 1 6
548 6 2
父 親
6 1 1 3 1 0
21 1 2
祖 父母
3 5 8 8
健 診 4
3 2 9 2 ll
その他 4E
1 3 8 1 9
養 護 学 校 特 殊 学 級 言葉 の遅 れ
3 9
発達 の遅 れ
〇
動作 が多動5
言葉 の遅 れ顔 のつ くり 晴乳力が弱 い 首 のすわ りの遅 れ 41泣 か ない おすわりができない
晴乳力が弱 い
病院 で言われ た 歩行 の遅 れ 集団行動ができない 泣 かない 健診 で言われ た
44
T Tl
り′︼り′一 l
1呼んでほ 応しない
8
21 1 1
次 に,障害 に気づいた, またはその疑 いを抱 いた時期 と,障害児 と診断 された時期 との差 を まとめたのが表
1 2
である。
差が0
ケ月 とい うことは,障害 に気づいた時期 と診断の時期 とが一 致 していることを示 し,差が3
年0
ケ月 とい うことは,障害 に気づ きなが らも診断 され るまで3
年間の時間的ずれがあった ことを示 している。お よそ3
分 の1
は障害 の疑 いを持 った時期 と 診断の時期が同時であるが, その差が 3年〜 6年 とい う例 も少な くはない。母親等が障害 に疑 いを持つ, あるいは気づ く時期 と,健診 の時期が一致す ることが障害の発見 もれ を防 ぐ方法の 一 つ と言 えよう。
障害の診断機関 としては,表
1
3に示 され るように,「病院」
「保健所」
「児童相談所」の三機関 で過半数 を示 している。
障害児 と診断 された時 に, その後 の適切 な助言 を得 られたか どうかについて まとめたのが図
2
である。図2
を見 ると,明 らかに 「あまり充分 に受 けた とは思わない 」
との回答が 「充分 に 受 けた と思 う」 との回答 を上回ってお り,全体で も57・3%を占めている 。
「あまり充分 に受 け た とは思わない」への回答理 由 としては 「病名 は言われたが,今後の こと (症状,親 の とるべ き態度等)については何 も言われなかった」
「施設等 についての紹介がなかった」
「"その内よ く なるで しょう''と言われた」
「絶望的な ことを言われた」等々,対応の問題点 を指摘 しているも のが少 な くない。 また,中には 「親 のショック,混乱 を和 らげて くれ る "ケースワーカー"が いては しか った」との記述があ り,今後 の対応の方法 として参考 にな ろう。 また,「充分 に受 け養 養 養 特
準 準 軍 票
小 中 高
図
2
障害 の診 断 時 において、適切 な 助言 を受 けた と思 うか ?た と思 う」と回答 した人 は,「養育態度や施設等 の指導 を受 けた
」
「障害 の特徴,現状,将来の見 通 し, について詳 しい説明 を受 けた」 との,助 言内容 を記述 している。障害 の早期発見 は重要であるが,早期 の適切 な対応がなければその重要性 は半減す る。上記 結果 は,障害 の早期発見 に当たっては,保護者 に対 す る助言 を十分,適切 に行 うことが課題 と なることを示 している。
③受診 の実態
調査時の弘前市 の健診 (相談 も含 む) は,
4
弘前市における障害の早期発見 と早期対応 表11.障害児 と診断 され た時期
養 護 学 校 特殊学級 合 計 小学部 中学部 高等部 小 計
0ケ月
2
】 11 3 1 2 1 2 4 4
〜 1
ケ月1 1 2 2 2 2
〜 4
ケ月8 . 3 2 1 1 1 2 1 4
〜 6
ケ月2 2 2
〜1 0
ケ月4 ○ 5
〜 1
歳0ケ月〜 1
歳〜 2 6
ケ月歳1 3 6 1 2 6
〜 3
歳1 0 8 7 2 5 2 9
〜 4
歳3 1 2 4 6 1 7
〜 5
歳1 4 1 2 1 3
〜就学
2 6 2 8
記述 な し
6 1 0 2 1 2
表
1 2.
障害 に気 づ いた (疑 い を抱 いた)時期 と障害 児 と診 断 され た時期 との差養 護 学 校 特殊学級 合 計 小学部 中学部 高等部 小 計
0ケ月 ll
7 3 3 1 8 2 6 6 3 2
〜 1
ケ月4 2 6 2 1 1 1 7
〜 4
ケ月5 2 1 / 7
〜 6
ケ月1 2 4
〜1 0
ケ月2 2 2
〜1 2
ケ月5 9 1 0
〜 1
年6
ケ月2 1 3 3
〜 3
年0ケ月6 3 3 9 1 0
〜 6
年0ケ月2 3 5 1 6
記載 な し
7 1 3 2 1 5
計
3 9 1 6 2 7 8 2 1 4 9 6
表13.障害 の診断機 関
養 護 学 校 特殊学級
合
計 小学部 中学部 高等部 小 計病 院
21 4 8 3 3 6 3 9
保健 所
7 3 2 1 2 2 1 4
児童相 談所
6 2 6 5 1 7 2 1 9
教育委員会
2 3 i ) 1 3 6
その他
1 4 7 7
記載 な し
3 5 8
ll1 2 5
ヶ月,
7
ケ月,9
ケ月,1
才6ケ月, 3
才児 を対象 として実施 していた。本調査で は,調査対 象児 に年齢的開 きがあること, したが って対象児が現在弘前市 内に居住 している として も就学 前 には他 の自治体 に居住 していた可能性があることを考慮 し,調査時の健診 に,1
ケ月,3
ケ 月,6
ケ月,1 2
ケ月を加 え, その受診状況 を調査 し,結果 をまとめた (表1 4 )
。表
1 4
で,受診状況 を見 ると,全体 の傾 向 として,1
ケ月,3
ケ月,6
ケ月,1
才6
ケ月,3
才での受診率が他 と比較 して高 くなっている。1 2 6
安藤 房治 ・三浦 喜代 表1 4.
受診状況1
カ月2 9 9 1 0 ; 1 3 61
6
カ月 22/
7○ 41
7
カ月9 2 2
・L)1 5
9
カ月1 2 4 2 0 1 8
1 2
カ月4 1 1 0 6
1 8
ケ月1 8 8 5 6 37
表
1 5.
健診 をすべて受診 した人数養 護 学 校 特殊学級
合
計人数
1 0 4 3 1 7 〇 22
表
1 6.
定期健診 を一度 も受診 しなか った人数表
1 7
受診 で きなか った理 由理 由計
受診 日が分 か らなか った 忙 し くて受診 で きなか った
うっか り忘 れていた 順調 に発育 してい るので
受診 の必要が ない と思 った 常 に通院 してい るので必要 ない と思 った
その他
2 ( 2. 3) 1 0( 1 3. 5) 4 ( 5. 4)
5 ( 6. 8) 1 8( 24. 3) 1 2( 1 6. 2)
表
1 8.
健診 の情報入手方法 母子手帳広報 個人通知
25( 2 6. 0) 47( 49. 0) 26( 27. 1 )
知 らなか った表
14
に付随 して,健診 をすべ て受診 した人数 を表15
に,逆 に,一度 も受診 しなか った人数 を 表1 6
に ま とめた。 また,一度 も受診 しなか った場合 の理 由 を表17
に ま とめた。表
1 7
を見 る と,主 な理 由 として 「常 に通 院 してい るので‑‑」が あげ られ, それ に 「忙 し く て‑‑・」が続 いてい る。「その他」の内容 を付記 す る と, その ほ とん どが 「子 どもの体 調が悪 か ったため」 としてい る。次 に,健診 の 日時,場所等 の情報入手 方法 を表1
8
に示 した。 「広報」が最 も多 く, 「個人通知」「母子手帳」が続 いた。通院 してい る場合 は ともか く, 「忙 し くて
」
「うっか り」 な どの理 由で 健診 が受 け られ なか った例 が14
もあ った。 これ は回答者 の15%
に相 当す る。 また,一度 も健診 を受 けた ことが ない保護者 が7
名 もいた。健診 の意味 や 日程 な どの周知徹底 の方法 の検討 が今 後 の課題 とな ろう。弘前市 における障害 の早期発 見 と早期対応 表
1 9.
障害発見後利用 した相談機関相談機関 小学部 養中学部護 学高等部校 小 計 特殊学級 合 計 児童相談所
3 2 1 6 1 6 6 4 6 7 0
教育委員会5 3 3 【 l l 1 1 2
1 27
④就学前 の教育 ・療育
障害発見後, まず最初 に求 め られ るもの は,適切 な相談,教育,治療 の場 の保 障であ ろう。
障害 の発見後利用 した相談機 関 について は,児童相談所が最 も多 い (表
1 9 ) 0
「その他」 には,「病院
」
「知人」
「大学」があげ られ, 中には 「何 も知 らなか った」 との記述 もあった。図
3
で は,利用 した相談機 関 において,適切 な助言が得 られたか どうか について見 たが,全 体 的 には 「十分 に受 けた」が多数 を占めたが,養護 ・高で は,わずか一名 で はあ るが, 「不十分」が 「十分」 を上 回 り,「あ ま り十分 に受 けた とは思わ ない」が, 回答者
( 6 9
名) の4 2%
を占め た。「十分受 けた とは思わ ない」との回答理 由 として, 「手続 き後 の対応 に時間がかか る」
「親 に 対 す る説明が十分 であったか疑 問」
「役所的 ・義務 的な対応 だった」 な どが上 げ られてい る。図
4
は,利 用 した福祉 ・教育 ・医療機 関で適切 な助言 を受 けた と思 うか についての回答結果 であ る。全体 的 に 「十分受 けた」 の比率が高 く,特 に養護学校小学部 においてその傾 向が強 い。表
2 0.
これ まで利用 した福祉 ・教育 ・医療機 関養 護 学 校 特殊学級
機関 小字部 中学部 高等部
教 県特殊教育ことばの教室
6lことばの教室
情緒障害学級2 3
ことばの教室1
県特殊教育ことばの教室3
】
'大清水学 園
1 1
大清水学園4
大清水学園2
大清水学 園2
宿 保育 園6
保育園3
保育 園1
保育 園1
祉 あすな ろ学園その他
3 2
あすな ろ学園1
その他1
痩医 弘大附属病院1
8
弘大附属病院6
弘大附属病院14
弘大附属病院7
表
2
1.保育 ・教育機 関等 に関する情報収集先情報収集先 小学部 養護学校中学部 高等部 特殊学級 合
計
病 院 【
8 1 2 1 1 2
知 人 i
1 31 4
そ の 他 T11 3
1 2 8
0 5 n u Lr ) 2 1 1
人数
安藤 房治 ・三浦 喜代
葦 等 葦
小 中 高
特 殊 学 級
図
3
利用 した相談機関 において 適切 な助言 を受 けた と思 うか ?養 養 着
筆 寧 撃
小 中 高
特 殊 学 級
図
4
利用 した福祉 ・教育 ・医療機 関において 適切 な助言 を受 けた と思 うか ?「十分 に受 けた とは思わない」理 由の主な もの として は,「治療 回数が少な く, あま り意味がな い」「施設が遠 くて,通 うのが大変 だった
」
「健常児 といっ しょに保育 してほ しかった」
「対応者 の態度」 「5
歳以前 の療育施設 の不足」
「子供 の実態 に合 っていなかった」 な どであった。4.
おわ りに本稿 の前半 において,弘前市 における障害 の早期発見 と早期対応 の制度 を概観 した。後半 に おいては, その制度 の下で,制度 の利用者である障害児 (精神遅滞児)の保護者がその制度 を どの ように体験 し, さらに どの ように評価 しているか についてのアンケー ト結果 をまとめた。
前半で見 たように障害 の早期発見 の制度 は整備 されて きている。1歳
6
ケ月健診 の受診状況 (表5
) に見 られ るように受診率 も高 まって きている。 ところが,1
歳6
ケ月健診 の受診率 は90%
を超 えているものの,3
歳児健診 の受診率 は65%
に とどまっている(表4
)。乳幼児健診 に は,「健診洩れゼロ」
「発見洩れゼロ」
「対応洩れゼロ」が必要だ と言われている1 1 )
。「発見洩れ ゼロ」「対応洩れゼロ」 の前提 には,100%の受診がなければな らない。保護者調査 の結果で も
明 らかなように,受診 しなかった理 由には「受診 日が分か らなかった」
「忙 し くて受診 で きなか った」な どが含 まれている (表1
7)。 これ ら保護者 は,健診 に関す る情報 を 「広報」
「母子手帳」お よび
「
個人通知」か ら得 てお り (表1 8)
, これ らの情報周知 の方法 を充実 させ ると同時 に,受 診で きなか った保護者 に対 す る対策が必要 となるであ ろう。次 に,障害の診断 を受 けた時期 の ピー クは,「
〜 4
ケ月」 と 「〜 3歳」であった (表11)が前
者 は,医療機関での乳児健診 の結果であると思われ る。 また 「〜 3歳」 は,調査者 の意図 は2
歳代での診断であるが,回答者 は保健所が実施主体 となっている3
歳児健診 と誤解 したためではないか と思われ る。全対象者 の30%が 「〜 3歳」 を 「診断 された時期」 と回答 していること は,
3
歳児健診 の重要性,充実の必要性 を示唆 している と考 える。障害 の診断 ・発見 に関する調査結果で注 目で きることは,障害 に気づいた (疑 いを抱 いた) 時期 と診断の時期 とのずれである(表12)。 これ は,母親 な ど保護者が障害 に気づ さなが ら,健 診等公的機関 において障害 を発見 ・診断す る機会 を,数年間逸 していることを示 している。本 調査で も,最初 に障害 に気づ くのは母親 を含 めた家族である。家族 は,子 どもか ら,様々な危 険信号 をキャッチ し,不安 を抱 きなが ら "病院巡 り" を行 うのである。 この点 について は現在, 医療機関 に対す る依存が高いのであるが,「もう少 し様子 を見 ましょう」「異常 は見 られ ません」
とい う言葉でハイ リスク児 たちを放置す る結果 にな らないよう関係機関の適切,微密 な対応が
弘前市 にお ける障害の早期発見 と早期対応
1 2 9
求 め られ る ところで あ る。
病 院,児童相談所 ,保健 所 な どで障害 が診 断 ・発見 され た時点 で, 「適切 な助 言」 が あ って, その後 の対 応 が スムー ス に行 くと思 われ る。 ところが,その プ ロセスで,「適切 な助 言 を受 けた とは思 わ ない」 との回答 が過 半数 で あ った こ とは,障害発見後 の対 応 の出発点 で問題 が あ る こ とを示 して い る。 さ らに,診 断 ・発見後相 談 した機 関 で も,全体 的 に は 「十分受 けた」 との回 答が 多数 を占めた (図
3
)が, 「あ ま り十分 に受 けた とは思わ ない
」が4 2%
を占めた ことは,親 の側 か ら見 て,相 談機 関 において も不満 が多 い こ とを示 して い る。 「十分 に受 けた と思 う」と答 えた者 が, その理 由 を 「養育 態度」 や 「施 設 」 な どで助 言 を受 けた こ とや 「将 来 の見通 し」 に つ いて助 言 を受 けた こ とを挙 げてい る こ とは,保 護者 が求 めて い る こ とは何 か とい う点 で示唆 的で あ る。障害 の早期発見 ・早期対 応 は,障害児 の発達 を保 障 す る システム の確 立 とい う点 で不 可欠 の 課題 で あ る。 システムが整備 され て きつつ あ る とは言 え,保護者 の視 点 か ら見 る と様 々 な問題 が あ る こ とが わか る。
(注)
1
)村井潤一 :障害児の早期教育,2
頁, ミネルヴ書房,1975
年2
)近藤直子 :ゼロ歳か らの系統的発達保障,障害者問題研究,67号,5
頁, 1991
年3
)障害児教育実践体系刊行委員会 :障害児教育実践体系 別巻 障害者制度 ・権利便覧, (30
頁),1 984
年4
)弘前市 は,青森県では青森市 (約28万人),八戸市 (約23万人)に次 ぐ人 口を擁 している。 この10
年人 口はほぼ横這いであるが,乳幼児人 口および年間出生数 は減少傾向にある。弘前市における人口等の推移