• 検索結果がありません。

イギリス金融サービス市場法にみる 顧客本位原則の下での事業運営

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "イギリス金融サービス市場法にみる 顧客本位原則の下での事業運営"

Copied!
20
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

イギリス金融サービス市場法にみる 顧客本位原則の下での事業運営

⎜⎜ 金融規制の質的向上へ向けた取組み ⎜⎜

高 崎 康 雄

■アブストラクト

規制遵守に関わるコストと消費者利益のバランスをいかに確保するかとい う課題は,効率的な監督規制を追求する上で避けて通ることができない。イ ギリスでは,金融サービス市場法が施行された後,法令遵守に伴うコスト増 加という問題に直面し,監督規制の質的向上を迫られた。改善策としては,

短期的には販売・勧誘規制を緩和した金融商品が提供される一方で,長期的 には,顧客本位原則の下での事業運営と呼ばれる取組みがスタートした。こ の取組みが従来の手法と相違する点は,ルール・ベース(詳細な規制)から プリンシプル・ベース(原則を重視した規制)へという監督手法の転換が図 られる中,企業の自主性に根ざした仕組みが用いられていることにある。こ の取組みはイギリスでも端緒についたばかりであるが,日本でも金融規制の 質的向上が重要課題とされる中,有力な選択肢を示したものであり,注目す べき動向と考えられる。

■キーワード

ベター・レギュレーション,TCF原則,プリンシプル・ベース

平成18年10月28日の日本保険学会大会(中央大学)での報告による。

/平成19年10月26日原稿受領。

(2)

1.はじめに

日本では,2004年12月に公表された金融改革プログラムの下,利用者利便 と利用者保護という視点から様々な制度改革が進められてきた。保険分野で は,保険商品の販売・広告等における顧客説明のあり方が課題の一つとされ,

検討が進められた結果,契約概要・注意喚起等の情報提供書面が導入された。

加えて,諸外国の例を参考にしつつ,金融商品について横断的な取引ルール

(いわゆる投資サービス法)が展望され,金融商品取引法が制定されたこと により,保険商品のうち,変額性商品や外貨建て保険については証券と同等 の販売・勧誘規制の適用を受けることになった。

他方,日本での検討の際に参考にされたイギリスでは,2001年12月に金融 サービス市場法が施行された後も,より良い規制環境を構築するという視点 での改革が続けられた。そこで,本稿では同法下で進められた諸改革のうち,

販売・勧誘規制の動向を概観し,日本での取組みを考える上で示唆すること を明らかにしたい。

2.金融サービス市場法施行後に進められた諸改革

⑴ 金融サービス市場法施行後の販売・勧誘規制の見直し

2001年12月に施行された金融サービス市場法は,旧金融サービス法下の業 態別の 法律に基礎を置く自主規制 という体系を抜本的に改め,財務省の 一定の管理下,単一規制機関の金融サービス機構(the Financial Services

Authority

,以下

FSA

)による監督の一元化を図った。この結果,販売・勧

 

誘規制についても従来の自主規制機関による規制から法令に格上げされたが,

その中身は従来のものをほぼ踏襲したこともあって ,FSAは新法施行後 も様々な改革に着手することを余儀なくされた(図1)。

1) 金融サービス市場法では,法定目的の一つとして金融システムに対する一般 の理解の増進を定め,消費者教育の充実が企図される等,旧法とは消費者保護 の重心の置き方に違いがみられるが,規制内容について大きな変更はない。

(3)

⑵ 規制見直し時の課題認識

こうした改革の射程は,EU指令の国内法への反映を企図したものから,

規制内容の見直しに踏み込んだものまでと多岐にわたるが,共通する点は規 制強化に伴うコスト負担と,その結果得られる消費者利益についての比較考 量が意識されていることだ。例えば,新法施行後2年を経過したことを契機 にした改革(一般に

Two Year FSMA  Reviewと呼ばれる)の下では,

①新法が市場競争に与えた影響に対する評価,②金融オンブズマン制度と金 融当局の役割の明確化のほかに,③規制の簡素化を目的とする規制内容の見 直しが検討課題として取り上げられた。規制の簡素化とは,文字通り不要な 規制の撤廃を企図したものだが,その背景としては,次のように規制に対す るコスト負担が新法施行後の課題として広く認識されるようになったためで ある。

まず,2002年11月に,実務者パネル により実施された調査では,規制に 対するコスト負担について,対象者(約1000人の法務部門の責任者等)の3 2) 実務者や消費者との協議を行うためにFSAにはパネルの設置が義務付けら

れている (金融サービス市場法第8条)。

図1 保険商品の販売・勧誘規制に係わる制度改革スケジュール(概観)

(出所)FSAおよび

HM  Treasury公表資料より作成。

(4)

分の2が 経過措置期間以降の負担増につながる との見通しを示した 。 その後,2004年12月に同パネルにより実施された調査では,参加した3000社 のうち,4分の3の事業者から 法令遵守に関するコスト負担が重く,事業 運営を行う上で有害である との回答が寄せられた 。また,このとき7割 の事業者が 法令遵守に関するコスト負担は,新商品の開発・提供を阻害し ている との見解に賛同の意を示した 。

このような関係者の声を受け,2005年5月から

FSA

は実態調査に乗り出 した 。約1年ほどかけて行われた調査では,コーポレート・ファイナンス,

リテイル,ホールの各分野に分けた上で,個別の規制毎に要する追加費用を 試算するという手法を用いて,規制遵守に係るコスト負担が算出された。こ の試算により,追加費用の負担が重いのはリテイル分野だけであること,ま たその要因は販売・勧誘時の諸規則を遵守することで生じていることが明ら かにされた 。

3)

Financial Services Practitioner Panel

[2002],

2002  Survey of the FSAʼ s Regulatory performance Report,   p

.105.

4) 新法と旧法との間で規制内容が大きく変わっていないのにも係らず,追加費 用負担が生じている理由は,新法では経営層の責任の強化・明確化が図られた ことを受け,各社が法令遵守体制の向上を図ったことによると考えられる。こ の点については,実際に新法施行直前に複数の中堅保険会社を訪問し施行に伴 う影響を聴取したが,総じて,業務運営に関する解釈について慎重な姿勢が窺 えた(拙稿[2002] 英国金融サービス市場法下の募集規制⎜日本への示唆⎜

生保経営 第70巻第4号を参照)。

5)

Financial Services Practitioner Panel

[2004],

Third  Survey of the FSAʼ s Regulatory performance Report,   p

.36.

6) この時点で問題視されているのは,投資信託,変額保険,終身保険,個人年 金等の投資性商品である。というのも,投資性商品については,2001年12月に 金融サービス市場法の規制対象として取り込まれたが,定期保険や医療保険等 の保障性商品については,EUの保険仲介者指令等を国内法化する中で,2005 年1月から規制が適用されたというタイミングに違いがあるためである。

7) 追加費用の負担の重い上位10の規制のうち,7つが販売・勧誘時の規制であ り,合計すると総費用の約1%を上昇させて い る。(

Deloitte

[2006],The

cost of regulation study, p

.48)

 

(5)

リテイル分野における規制コストの増加は,単に負担を事業者に強いると いった点から問題視されている訳ではない。2002年7月に,財務省は 個人 投資家の中長期貯蓄に関する報告書 (起草者に因みサンドラー・レビューと 呼ばれる)を公表した。この報告書は,直接的には個人セクターでの貯蓄不 足を問題視したものであるが ,問題の背景に販売・勧誘ルールに係る規制 コストの負荷があることを指摘した 。具体的には,旧金融サービス法で適 合性原則が導入されて以来,販売プロセスの長期化や法務部門の増員を余儀 なくされ,法令遵守に関する費用が増加した。このため金融機関にとってみ れば月払いで70ポンド(14,000円)または一時払いで8,500ポンド(170万 円)以上の取引が期待できる顧客でない限り,収益が見込まれないとの構造 的変化が生じているとの分析が示された。つまり,販売・勧誘時のコスト増 加による収益面での制約から,保険会社を始めとする金融機関が顧客の選別 を強めた結果,中低所得者層は金融商品に対するアクセスが困難になり,こ のことが結果的に貯蓄不足を招いたことになる。

一方,法令遵守されている結果が,消費者の利益に結びついているかとい うと,この点も望ましい状況にはない。イギリスでは,保険募集時には,商 品目的およびリスク要因などの 鍵となる情報 を記載した書面,いわゆる キー・フィーチャーズ(Key features)と呼ばれる書面と,販売する商品が 適合的である理由を記載した書面(Suitability letter:適合性通知)が交付 される。ところが,この2つの書面については,詳細な規定を遵守すること に意識がいく余り,法令違反とされるリスクを抑制するために記載量が多く なったり,あるいは正確な表現を意識した結果,専門用語が多用されること で,一般の契約者の理解向上にはつながっていないとの実態が報告されてい

8) 同報告書では,複数の調査結果を紹介しているが,例えば英国保険協会の調 査結果では,35歳以上でかつ,年収3万5千ポンド(700万円)以上の世帯を 除く,全ての世帯が貯蓄不足に陥っていることが判明している。

9)

HM  Treasury

[2002],

Medium  and  Long-term  Retail Savings in  the

UK  A  Review, pp

.89‑90,pp.93‑95.

 

(6)

る 。

⑶ ステークホルダー商品という商品カテゴリーの創設

上記で述べた法令遵守に係るコストの抑制に向け,大別すると2つの方策 が講じられている。一つには,中低所得者層の貯蓄促進を図るという政策目 的から,2005年4月にステークホルダー商品(Stakeholder products)と いう名称の商品カテゴリーが創設された。

同制度の下で選択できる金融商品は,①預金,②投資信託,③変額保険

(ユニットリンク型保険),④個人年金,⑤有配当保険であり,運用期間に応 じた様々な商品が用意されている。通常の商品との違いは,表1で示した商 品設計上の制限を充足して始めて,ステークホルダー商品としての取扱いが されることにある。

販売・勧誘規制との関係は,同商品のカテゴリーに区分されると,通常の 金融商品であれば要請される適合性原則等の厳格な販売・勧誘規制は適用さ れず,その代わりに,基礎的な助言が業者より提供されるという点である。

10) 実態調査と し て は,FSA[2000],Consumer Research 5  Informed  deci-

sions?

がある。また,適合性通知については,FSAの運営するホームページ

で実務上の問題点が列挙されている。

表1 ステークホルダー商品の設計内容

項目 内容

情報提供義務 消費者の自己決定を容易にするために,平明な文言による警 告が記載される。

リスク性の制限 投資リスクが抑制されている(分散投資義務を明確化した上 で,株式への投資を60%までに制限)。

手数料の上限 手数料に関して上限が設定されている(当初1%であったが,

議論を経て1.5%とされた)。

(出所)

HM  Treasury

[2003],

Proposed  product specifications for Sandler

“ stakeholder” products

より作成。

(7)

通常の助言と異なるのは,ステークホルダー商品の中から,個別商品を推奨 するものではなく,適合する商品をレンジで示すことで良い等の違いがある。

従来の規制の枠組みと異なる特徴としては,①現状の販売・勧誘規制が事 業者に著しいコスト負担を生じさせているとの認識から規制が緩和された,

②ただし,その前提として商品設計に事前に関与する形でいわば型決めし,

商品選択できる範囲を絞り込んだ上で,規制を緩和するという手法が選択さ れたことが指摘できる。

3.顧客本位原則の下での事業運営

⑴ 顧客を公正に取扱うことの重要性

もう一つの方策が,より長期的な視点で開始された顧客本位原則(原語で

Treating Customers Fairlyと呼ばれるので,以下この原則を TCF

則とする)の下での事業運営の推進である 。

この取組みが必要な理由として,FSAは,効率的かつ効果的な金融サー ビス市場を実現するためには,①金融商品・サービスを提供する企業が,適 切に経営され,健全な財務体質であること,②当該企業が顧客を公正に取扱 うこと,③顧客が与えられた助言および情報について理解する能力を持つこ との3点が重要だと整理している 。 企業が顧客を公正に取扱う とは,

一義的には金融機関が遵守すべきとして示された事業運営上の原則の一つで ある 企業は顧客の利益に充分に注意を払い,併せて顧客を公正に取扱わな ければならない とする考え方に従って事業者が行動することを指す 。

この原則に基づいた事業運営により,どのような成果が消費者にもたらさ 11)

TCF

原則に基づく事業運営の推進は,金融機関全般に求められるものであ る。本稿では同原則についての基本的な考え方を示した上で,具体例について は表3で保険商品で想定されている事例を記載した。

12)

FSA[2005 a

]Treating customers fairly-building on progress,

p

.2.

13) 事業運営上の原則とは,監督規制の中での基礎的な義務として位置付けられ たもので, 企業は高潔さをもって業務遂行しなければならない 等の計11の 原則から成る。

(8)

れるかというと,最終的には表2に示した内容が期待されている。ここで想 定されている到達点は,消費者は明快な情報提供を受けることで,自己決定 が容易になると同時に,消費者には事業者により形成された期待に即した水 準の金融商品が提供されるという状況に集約することが可能である。言い換 えると,この取組みは事業者と消費者との間に存在する情報の非対称性の縮 小を図ることに主眼が置かれていると捉えることができる。

⑵ 従来の手法との違い

この取組みが従来の手法と相違する点は大別すると2つある。第1に,

TCF

原則という概念は,ルール・ベース(詳細な規制)からプリンシプル・

ベース(原則を重視した規制)へと監督手法の軸足が転換される中,コスト 消費者は,明快な情報提供を受け,かつその情報が販 売前,販売時,販売後を通じ,適切に認識できている。

情報提供

金融商品が市場に提供される際には,特定の顧客ニー ズに適合するように設計された上で,対象者に販売さ れる。

商品設計

消費者は,顧客を公正に取扱うことを企業文化とする 事業者と取引していることに確信が持てる。

全般

表2 TCF 原則に基づく事業運営により期待される成果

項目 内容

助言 消費者が助言を受ける場合には,その助言は,顧客の 属性を考慮し提案されたものである。

商品・サービスの 品質

消費者には,事業者により形成された期待に即した水 準の金融商品が提供される。

商品販売後の権利 の制限

消費者は,販売後に商品や提供する業者の変更,給付 の請求,苦情の申立てについて,合理的な理由なく権 利の制限を受けない。

(出所)FSA[2006

a

],

Treating customers fairly-towards fair  outcomes for consumers, p

.3より作成。

 

(注)上記項目については内容を考慮し,筆者が便宜的に名称を付した。

(9)

負担を抑制しつつ,規制の実効性を確保するための手法の一つとして導入さ れたことだ。

もともとイギリスの法令は上位規定として事業運営上の原則が置かれた上 で,下位規定として詳細な規則やガイダンスが定められている 。詳細な規 則は法的予見性を高めるという意味では有益だが,規則が複雑化し過ぎるこ とで,前述したように,法令遵守上の追加費用を強いる場合がある。加えて,

詳細な規則を遵守することに意識がいく余りに,例えば形式面での確認に終 始するという弊害も生じている 。そこで, より良い監督規制 とは何か という観点から実施された監督手法の見直しが進められた結果 , 詳細な 規制 から 原則を重視した規制 への監督手法の転換が必要だと判断され,

2005年12月に より良い規制構築へ向けたアクションプラン として基本方 針が打出しされるに至った 。FSAは,TCF原則に基づく事業運営の推進 をリテイル分野における規制の中心であると同時に 原則 を重視した規制 への切り替えの鍵になると位置付けている。

第2に,前述したように

TCF

原則は情報提供規制の整備に主眼が置かれ ているが,今までとは違い,情報提供義務を販売・勧誘という一時点では捉 えていない。具体的には,企業戦略の策定を起点にして商品設計,販売・勧 誘,給付金請求,苦情対応等の一連のサイクルでの商品管理(原語では 14) 前述した事業運営上の原則とは,2001年12月に金融サービス市場法が施行さ れた際に定められたものだが,この内容は旧法下で業態別の自主規制機関を設 立した際に定められた共通理念に端を発している。

15)

FSA[2007 a

],Principles-based  regulation,

p

.6.

16) ここでいう より良い監督規制 とは,①政策目的による成果の蓋然性が高 く,②その成果はより低廉なコストによるもので,そして③競争や改革をより 刺 激 す る 制 度 枠 組 み を 指 し て い る(FSA  J.

Tiner

Better regulation

objective or oxymoron

May

9 2006)。

17) 原則 を重視した規制への取組みとしては,ほかにも,販売・勧誘規則に ついて,体系や表現方法の改定等の規制の簡素化が進められ,2007年11月より 新しい規則が施行された(規制の簡素化全般の取組み状況については,青山麻 理[2007] 英国の保険販売規制に関する最近の動向について ニッセイ基礎

REPORT

を参照)。

(10)

Product life

cycle

)を行うことが想定されている(図2)。

⑶ TCF 原則の射程・位置付け

TCF

原則に基づく事業運営が何を指すのかという点については,直接的 な定義は置かれていない。その理由について,企業活動は多岐にわたるため,

全ての状況を網羅する形で

TCF

原則を定義することが困難である,また仮 に詳細な規則を策定すれば どのように公正に顧客を取扱うか という企業 独自の解釈を制限することになるとの見解が,FSAより示されている 。 従って,企業は事業の性格を考慮した上で,TCF原則として何が求められ るかを自分自身により判断しなければならない。具体的には,事業構造,顧 客属性等の要素を加味した上で,図2で示した商品設計から販売・勧誘,給 付金請求といった企業と顧客との間の工程毎に何が適切であるかを自分自身

(出 所)FSA[2004],Treating customers fairly‑

progress and  next steps, p

.12 より作成。

販売後の 情報提供

販売・勧誘 助言・情報提供

金融商品の設計

(顧客層・販売チャネル の選定を含む)

企業戦略の策定 企業文化の醸成 給付金請求

苦情対応

図2 TCF 原則で想定されている商品ライフサイクル

18)

FSA[2005 a

],

op. cit., p

.3.

(11)

で考えることが要請されている。

TCF

原則に基づく事業運営として自主的な取組みが期待されているとは いえ,従来以上の射程が想定されているかというとそうではない。まず,消 費者との関係からは

TCF

原則は消費者の自己責任を軽減するものではな い との整理がされている 。つまり,TCF原則の下での事業運営の推進 は,あくまで消費者が自己決定できない等の環境の改善に焦点を当てるもの であって,消費者が自己決定を行わない,あるいは自身の決定に責任を負わ ないというゴールを目指すものではない。この点に関連して

TCF原則は

顧客に良好に接することや,顧客満足度の向上を図るものではない との見 解が

FSA

より付け加えられている 。

次に,法令遵守の負荷について,TCF原則は 新規に規則や責務を追加 したものではない ,加えて 全ての企業に最良の実務を求めるための手順 ではなく,また全ての企業の水準を継続的に引上げていくことを意図したも のではない との見解が

FSA

により明らかにされている 。

その上で,TCF原則の下での事業運営の具体的な手順として図3の概念 図が例示された。このサイクルに沿って説明すると,企業の取組みは,

TCF

原則を個社でどう定義するのかという点からスタートする。次に,現 状の把握に移り,TCF原則からみて不足する部分があれば,改善に向けた

19)

Ibid., p.10.

20) このような見解が付されている背景には,規制上で要請される 公正 と一 般の消費者が想定する 公正 という概念には大きな隔たりがあるからである。

FSA

が実施した調査では,公正か否かということは主観により判断されるた め,消費者の金融リテラシーの程度により 公正 の捉え方が大きく異なって いることが報告された。具体的には,金融リテラシーの高い層では,企業と顧 客の関係はあくまで経済合理性に基づくものであることから,公正であるとか,

公正でないかということは問題にならないとの認識を示したが,金融リテラシ ーの低い層では, 公正 という概念に顧客サービスや企業倫理に属する事柄 を混在する傾向がみられた(FSA[2005

b

],Consumer Research 38  Treat-

ing customers fairly

:the consumersʼview)。

21)

FSA[2005 a

],

op.cit., pp

.10‑11.

(12)

行動計画を策定する。さらに,行動計画のモニタリングを行い,必要に応じ 改善に向けた見直しを進めていくといった手順を踏むことが想定されている。

なお,監督当局との定例的な対話や意見交換の中では,個社として

TCF

原則をどのように認識したか,TCF原則を実現するためにどのような計画 が採用され,不足部分について今後どのように改善を図っていくのか等の説 明が求められる予定である。将来的には,TCFへの対応状況を監督の濃淡 に反映していきたいとの意向も明らかにされている 。

⑷ TCF 原則に基づく事業運営の具体例

裁量の幅が認められているといっても,企業の立場からすると

TCF

原則 をどのように定義し,事業運営を進めていくことが妥当であるかという判断

22) 原文では 将来的に,個社の取組み状況が良好と判断されれば,より少ない 監督,すなわち,規制の配当を享受できる と説明されているが,具体的にど のようなことが想定されているかは現時点では判然としない(FSA[2007

b

],

Treating Customers Fairly initiative:progress report, p

.1)。

(出所)FSA[2005

a

],op.

cit., p.29より作成。

得られた教訓の活用

・改善に向けた見直し

・改善策の周知徹底

行動計画の策定

・優先順位付け

・経営資源の配分

・説明責任の確保

・定量的分析の定義付け 不足部分の把握

・TCF原則から捉えた場合,自社 にどのようなリスクがあるかを 認識

・TCF原則から捉えた場合,対応 が必要にならない領域・事柄の 把握

自社にとってのTCF 原則の定義付け

・原則と戦略の設定

・経営陣への理解の浸透

計画の採用およびモニタリング

・手順の確認

・モニタリングおよび結果 についての報告

図3 TCF 原則の下での事業運営サイクル

(13)

は容易ではない。そこで,TCF原則についての共通認識を醸成するために 各社の取組み例が

FSA

よりケース・スタディとして公表されている。これ は商品開発,経営情報の活用,報酬体系の構築,苦情申立ての管理等,事業 活動の様々な場面での事例が網羅されたものだが,その中身は企業を外部と の関係から捉え,企業と消費者との情報格差縮小に向けた取組みと,企業内 部での関係に着目し,TCF原則の定着に向けた社内での取組みに区分する ことができる(表3・表4)。

⒜ 企業と消費者との情報格差縮小に向けた取組み

以下,公表された事例に基づき説明すると,前者の取組みでは,対象とす る顧客層に対し,どのように商品を設計するのかという点から検討が開始さ れる(表3)。このとき消費者のニーズや利便性に合致したものかどうかと いうマーケティング面での分析に加え,消費者の理解度も調査対象とし,そ の結果を反映し,商品説明に関する文言をわかりやすいように改訂した等の 対応が,好事例として位置付けられている。その他にも,TCF原則からみ て商品設計が適切かどうかが監査され,その結果を取締役会に報告している 例が好事例として紹介されており,商品開発という段階から営業面だけでな く,販売・勧誘上の留意点等様々な角度から統合的に管理できる体制を構築 することの重要性が示されている。

次に,販売・勧誘時の段階では,法令上交付が義務付けられている書面が 手交されていても記載の方法が適切でなく,消費者の理解につながっていな いケースが望ましくないとされている。反対に,平易な言葉で記載されるほ か,図表が用いられることで商品の仕組みが分かりやすく説明されていたり,

ニーズの優先順位付けを明確に示すことで,消費者の理解を確実なものとし,

適切な自己決定を支援している例が好事例として紹介されている。

さらに,販売・勧誘後の段階では,苦情,継続率等の経営情報を用いて,

TCF

原則への取組み状況がモニタリングされているケースが好事例として 取り上げられている。すなわち,仮に消費者にとって好ましくない事態が生 じた場合に,消費者により提起された課題を解決に向けて是正できる体制を

(14)

(出所)FSA[2006

b

],

Cluster  Reports Considerations for  Treating  Cus- tomers Fairly

の記載例より作成。

給付請求が認められない理由 について,十分な説明が行わ れていない。

給付請求が認められなかった案件について,

専門委員会にて精査する。その上で,支払 がされなかった理由を請求者に連絡し,当 該決定に対し異議申立てをするかどうかの 確認を行う等の体制が構築されている。

経営情報が活用されておらず,

経営層が問題の所在を把握し ていない。

苦 情,継 続 率 等 の 経 営 情 報 を 用 い て,

TCF

原則への取組み状況が経営層により モニタリングされている。

告知を求める際に,回答に はい と い いえ が混在するように書面を設計するこ とで,質問を注意深く読ませるような工夫 を行った。

顧客ニーズの優先順位付けを明確に示し,

また視覚的にも訴えかける説明資料を提供 することで,資産ポートフォリオの配分に ついて再考を促すことにつながった。

消費者調査の結果を踏まえ,冊子の文言を 分かりやすいように改訂している。

適合性通知 が顧客に商品 を推奨する理由を記載するた めのものとは理解されていな いため,形式的な法令遵守に 止まり,一般的な説明に終始 していたり,専門用語が多用 され,消費者にとって分かり にくい内容になっている。

適合性通知 が平易な言葉で記載される ほか,図表が用いられ,商品の仕組みが分 かりやすく説明されている。

商品開発,マーケティング等 の部門別にそれぞれ検討され ており,部門横断的な検討は されていない。

TCF

原則からみて商品設計が適切かどう かが監査され,その結果が取締役会に報告 されている。

リスク性が高いと判断された商品について は販売チャネルを限定している。

消費者調査や苦情申立ての状況から,商品 の内容や販売チャネルが変更されている。

消費者調査は実施されていて も,競合商品との差別化等,

マーケティング面での分析に 止まっている。

消費者調査において,商品のリスク性や複 雑性が考慮され,当該商品に対する消費者 の理解度も調査対象としている。

悪事例 好事例

表3 企業と消費者の情報格差縮小に向けた取組み例

(15)

有しているかどうかが重要視されているといえる。

TCF

原則の定着に向けた企業内部での取組み

上記で述べた事例は,商品設計に係る統合的な管理や,苦情申立てを契機 とした業務改善の体制整備であり,いわば企業が有する規定や手続といった 内部統制の仕組みに着目したものである。しかし,こうした仕組みさえあれ

表4 TCF 原則の定着に向けた企業内部での取組み例

経営層が自社における

TCF

原則 の意義を明確にしておらず,社内 での共通認識が醸成されていない。

経営層が自社における

TCF

原則の意 義を明確にした上で,ビデオ,冊子等 の様々な媒体を通じ,社内の各層への 啓蒙を行っている。

悪事例 好事例

新しい商品・サービスの開発や

TCF

原則への自社の取組みについて,消費 者団体等の第三者の意見を参考にする。

TCF

原則の取組みについて基本 戦略を策定したものの,その後,

取組みが遅延したために,優先順 位の高くない課題であるとの印象 が社内に蔓延した。

TCF

原則に基づく取組みについて,

正式な手順が踏まれ,決定されており,

決裁者および決定の理由が明確になっ ている。

機関決定について正式な手順が踏 まれていないため記録がなく,決 裁者および決定の理由等が明らか ではない。

四半期毎に従業員を任意に抽出し,

TCF

原則に対する理解と対応状況に ついて30分程度の面談を行う。

面 談 結 果 は,経 営 層 に 報 告 さ れ,

TCF

原則に対する取組みを強化する 領域を検討する際に用いられている。

苦情,継続率等の経営情報収集の 焦点が定まっておらず,情報量が 膨大であったり,反対に対象範囲 が狭く,現状把握をする上で役立 っていない。

苦情申立ての原因分析が毎月行われ,

その報告書が社内にて供覧されている。

また,TCF原則に基づいた好事例の 社内での共有化も企図されている。

顧客を公正に取扱う との考え 方だけが示され,各層別で具体的 にどのような取組みが必要となる か等が明らかにされていない。

TCF

原則を日々の業務に反映する等 の業績を挙げた従業員を顕彰する制度 がある。

TCF

原則の取組みに対する貢献 が業績評価の中で考慮される割合 が低く,従業員の動機付けの妨げ になっている。

(出所)FSA[2007

c

],

Treating customers fairly-cultureの記載例より作成。

(16)

TCF

原則に基づく事業運営が企業に根付く訳ではない。何故なら,どれ だけ崇高な理念や精緻な社内規則が策定されたとしても,組織の気風や従業 員の意識が低ければ,TCF原則への取組みは画餅に帰してしまうためだ。

イギリスでは,TCF原則への取組みは,いかに

TCF

原則という思想を 企業内部に浸透することができるか,すなわち,必要に応じて企業文化を変 革し,日々の業務にまで反映することができるかどうかが鍵だとされる。も ちろん企業文化の変革は一朝一夕にできることではないが,FSAがケー ス・スタディとして取り上げている事例には,組織の気風や組織内のすべて の者の統制に対する意識に影響を与える 統制環境 の整備に焦点を当てた 取組みが多く含まれている(表4)。例えば,経営層がリーダーシップを発 揮し,TCF原則に基づく事業運営の意義を明確にした上で,ビデオ,冊子 等の様々な媒体を通じた各層別への啓蒙活動が行われていたり,または従業 員の

TCF

原則に対する理解とそれに基づく実際の行動についての状況が確 認され,事業運営として強化する方向性が正確に認識されている取組みが好 事例として位置付けられている。

⑸ TCF 原則への取組み状況

上記のように好事例として評価される個別企業の取組みは散見されるもの の,全体としての進捗は必ずしも順調ではない 。2006年7月の時点で,企 業のうち半分以上は

TCF

原則に関する行動計画の採択に至り,また約1割 の企業については,TCF原則が社内に定着しているとの自己評価に基づく 報告が

FSA

に対して行われた 。

過半数の企業の取組みが軌道に乗ったと思われる中,FSAは2007年3月 までに全ての企業が

TCF

原則についての行動計画を採択するという初期目 23)

TCF

原則の概念が,最初に紹介されたのは2001年6月に公表されたレポー ト(FSA[2001],

Discussion paper 7  Treating customers fairly after the

point of sale

)であるが,TCF原則に基づく事業運営の推進という形で取組

 

みが本格化したのは2004年からである。

24)

FSA[2006 a

],

op.cit., pp

.21‑23.

(17)

標を定めた。同期限になって

FSA

が進捗状況を確認した所,中規模以上の 企業については9割近くが行動計画を採択した段階に到達していた。ところ が,小規模会社については,自己評価に反して,TCF原則に基づく概念整 理および方針策定が不十分であり,約6割の企業が行動計画の策定という段 階にまで至っていないことが判明した 。この結果,FSAは目標の再設定 を迫られ,取組みを強化していく期限を2008年12月末までに延長している。

⑹ TCF 原則の下での事業運営の特徴と今後の課題

以上述べてきた取組み例を踏まえ,その特徴を整理すると次のようになる。

第1に,TCF原則に基づく事業運営は,基本的な考え方が 原則 という 形で提示された上で,法令遵守については自主的な取組みに委ねられている。

この手法には,画一的な規制適用が防げることにより不必要な費用負担を抑 制でき,かつどのような手順やコントロールが必要かを企業に決定させるこ とで,法令遵守をより確実なものにするというメリットがある。

第2に,規制による関与を減少させ,裁量の範囲を拡大する前提として 商品ライフサイクル を始めとする内部統制システムの高度化や,企業内 部で

TCF

原則の重要性が共通認識として醸成される等の統制環境の整備を 進めることで,裁量の妥当性を確保しようとする考え方が採られている。

ただ,こうした手法は諸刃の剣でもある。例えば,2006年4月にロンドン 法律協会(City of London Law  Society)は,TCF原則という概念が余 りに抽象的であるために予見可能性が低く,事業者は取組みを進めるにも自 社の行動が同原則に適っているか否かの判断が困難であると指摘した 。実 際に,上記で述べたように,TCF原則に基づく概念整理を含め方針策定が 不十分だとされる例は枚挙に暇がない。また,内部統制システムの高度化や 統制環境の整備が監督上の重要な視点であることは間違いないが,その成果 を得るまでには非常に時間がかかることが想定される。というのも,両者の

25)

FSA[2007 b

],

op.cit., pp

.3‑6.

26)

Lawyers attack the TCF regime, Money Marketing, April

27 2006.

(18)

アプローチに共通することは,試行錯誤を重ねながら個社の状況に合致した 対応を進めていくことになるからだ。

このような課題に対し,FSAは検討の材料として各社の取組みをケー ス・スタディとして公表するほか,基本的な考え方を周知徹底するために事 業者向けの説明会を開催したり,コンファレンス等を通じた意見交換,研修 コースやワークショップの運営に取組んでおり,監督の透明性を向上するた めの試行錯誤が続けられている状況にある。

4.終わりに

最後に,以上概観してきたイギリスの事例を確認した上で,わが国へ示唆 する点について述べたい。まず,イギリスの金融で生じた事例は,規制強化 に伴うコスト負担と実現された消費者利益とを比較した場合に,その負担が 見合わなかったケースを示している。 改善策をみると,短期的にはステー クホルダー商品制度を創設し,販売・勧誘規制を緩和した金融商品が提供さ れるという対応がとられ,一方で長期的には

TCF

原則の概念を導入するこ とで企業の自主性を尊重しつつ,規制の実効性を確保するという方策が採択 された。

これに対し,日本では金融改革プログラムの下で進められた販売・勧誘面 での検討結果を踏まえ,2006年4月から交付されるようになった契約概要・

注意喚起等の情報提供書面のほかに,2007年2月には意向確認書面が導入さ れた。イギリスと比較すると,情報提供書面のほかに,保険商品が顧客ニー ズに合致した内容であることを確認する機能を果たす意向確認書面の導入が 図られたことにより,販売・勧誘規制という側面でみると彼我の差はなくな ったと理解することができる 。従って,今後必要になってくることは,各 27) イギリスとの比較からは,日本でも金融商品取引法に,銀行法および保険業 法等を取り込む形で,包括的な制度手当てが必要ではないかという論点がある。

しかし,イギリスでも金融サービス市場法として包括的な法体系になってはい ても,投資性商品と保障性商品とでは商品特性に応じた規制が措置され,販 売・勧誘規制については一律的なものにはなっていない。従って,法体系の差

(19)

種書面の提供を本来の規制目的に合致するように,法令遵守に伴うコスト増 加や規制の形骸化という問題を避けつつ,企業の取組みを最終的に保険契約 者の理解度の向上という形に結実していくことにあると思われる。

以上を踏まえ,日本への示唆を考えると,それは

TCF原則という監督手

法が導入された意義をどう理解するかにかかっている。私見では,TCF 則に基づく事業運営の取組み例は,実務面で参考になる点はあるが,あくま でツールに過ぎず,特に重要視する必要はないと考える。むしろ重要な変化 として注目すべき点は, 原則 を重視するという監督規制の転換が行われ る中,TCF原則という概念が導入されたことにある。

ここで重要な変化だと考える理由は2つある。一つには,規制遵守に関わ るコストと消費者利益のバランスを確保するという意味での解決策として,

企業の自主性に根ざした仕組みが示されたことである。すなわち,この手法 を用いることにより,企業の自主性に委ねることで画一的な規制の適用を避 けつつ,規制の実効性を確保すると同時に,引いては不要な規制コストを生 じさせないことが期待される。

もう一つの点は,TCF原則に基づく事業運営を推進していく上で,自主 的かつ持続的な経営改善を促進する観点で,内部統制システムの高度化や統 制環境の整備が念頭に置かれていることである。企業の自主性に依拠し,業 務運営が推進された場合,極端なケースを想定すればその取組みは独善的な ものになったり,あるいは時を経て形骸化する懸念がない訳ではない。とこ ろが, 商品ライフサイクル と呼ばれる商品設計,販売・勧誘,苦情対応等 の一連の手続の中で統合的な運営管理が行われるならば,消費者という外部 の反応を踏まえ,必要に応じ企業の認識は修正されることになる。加えて,

企業内部に

TCF原則の重要性が共通認識として醸成され,企業文化として

定着すれば,自己規律が働くことで,自主的かつ持続的な取組みが行われる ことになろう。

が本質的な相違であるとまでは言い難いと考えている。

(20)

翻って,日本の監督手法を考えてみると,TCF原則という概念こそ導入 されていないものの,監督指針では規制の実効性を確保するという点から企 業の自助努力が尊重されると共に,その前提として内部管理態勢の構築を柱 とする経営管理の重要性も認識されている 。すなわち,監督スタンスの重 心の置き方に違いはあるにせよ ,監督の視点が異なる訳ではない。

原則 を重視し,企業の自主性に根ざした仕組みの中で,経営改善を促 進するという手法は,イギリスでも端緒についたばかりであり,改革の評価 について結論付けるのは時期尚早である。しかし,日本でも金融規制の質的 向上が重要課題と位置付けられ, ルール・ベースの監督とプリンシプル・ベ ースの監督の最適な組合わせ が模索される中,イギリスでの取組みは規制 遵守に関わるコストと消費者利益のバランスを確保するという意味での有力 な選択肢を示したものであり,注目すべき動向と考えられる。

(本稿は,2006年10月28日日本保険学会大会での研究報告に加筆・修正したもので す。席上,諸先生方から貴重なご教示を賜ったことを厚く御礼申し上げます。な お本稿中意見にわたる部分はあくまでも筆者の個人的見解であり,勤務先の見解 ではない点を申し添えます。)

(筆者は第一生命経済研究所勤務)

28) 例えば,保険会社向けの総合的な監督指針では 保険会社の業務運営に関す る自主的な努力を尊重するよう配慮しなければならない (Ⅰ−1−2)とされ ている。また,2006年6月には,保険検査マニュアルが改訂されたが,保険会 社の強固なガバナンス確保の視点から 内部管理態勢 が全体の共通項目とし て新設されるほか, 商品開発管理態勢 の項目が設けられ,商品販売開始後 のフォローアップについて具体的な着眼点が記載された。

29) イギリスではルール・ベースからプリンシプル・ベースへと監督手法の転換 という方向性が打出され,詳細な規則は最小限度に抑制するというスタンスに 立っている。一方,日本では ルール・ベースの監督とプリンシプル・ベース の監督の最適な組合わせ が模索される段階にあるという違いがある。

参照

関連したドキュメント

次に,同法制定の背景には指導者たちにどのよ

人は何者なので︑これをみ心にとめられるのですか︒

NPO 法人の理事は、法律上は、それぞれ単独で法人を代表する権限を有することが原則とされていますの で、法人が定款において代表権を制限していない場合には、理事全員が組合等登記令第

7IEC で定義されていない出力で 575V 、 50Hz

それでは,従来一般的であった見方はどのように正されるべきか。焦点を

規則は一見明確な「形」を持っているようにみえるが, 「形」を支える認識論的基盤は偶 然的である。なぜなら,ここで比較されている二つの規則, “add 2 throughout” ( 1000, 1002,

[No.20 優良処理業者が市場で正当 に評価され、優位に立つことができる環 境の醸成].

・条例第 37 条・第 62 条において、軽微なものなど規則で定める変更については、届出が不要とされ、その具 体的な要件が規則に定められている(規則第