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貴方の終焉

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Academic year: 2021

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(1)

芝浦工業大学工学部建築工学科 2014年度卒業論文・卒業設計梗概

研究指導:赤堀忍 教授 青島啓太 特任助教

Hiroki TAKESHIMA

貴方の終焉

Keywords

墓地 霊園 火葬場

AK11073

竹島 弘樹

孤独死 無縁

1

. 序

死は誰にでも訪れることである。またその迎え方も多 様である。死を考えることは生を考えることであり、死 を知ったとき、はじめて生の価値を知る。死を連想させ るものは都市に嫌忌され周囲との関係を断ち、死を連想 させない姿に擬態を続ける。都市と死の関係を考えなお すことでそれは、生と向き合う為の死の象徴であったこ とに気付き始める。

2

.研究背景

2.1 高齢者と単身化

日本は超高齢社会となり、少子化と伴って年々深刻化 している。2014年現在、総人口に占める65歳以上人口の 割合は25.9%となり、2030年には31.6%まで上昇すると 予測されている。一方、年々世帯数が増加していく中で、

1世帯の平均人数は減少傾向にある(図1)。これは単身

者が増えていることを表し、65歳以上の単身世帯の数は

2013

年で約

552

万世帯と過去

30

年間で

5.6

倍にまで増加し ている。

図1 世帯数と平均世帯人員の年次推移

厚生労働省「世帯数と世帯人員数の状況」より

2.2 孤独死の増加

高齢単身者の増加は孤独死と密接な関係を持ち、東京

23区における65歳以上単身者の2003年孤独死者数は約 1441人に対して、2013年には約2869人と約2倍となり

年々増加している。近年、孤独死が広く知れ渡り、対策 として様々な地域活動や技術の導入が行われている中で、

孤独死を減らすことは不可能ではないが、孤独死を完全 に無くすことはできない。

2.3

無縁仏

無縁のまま孤独死をする、死後身元が判明しない、縁 はあるが関わりが希薄であるなどで、遺骨の受取人がい ない故人は無縁仏と呼ばれる。無縁仏は加齢に伴って縁 が減ってゆく高齢者に多く見られ、無縁仏が集められる 無縁墓地に納骨される。お参りに来る人もいない、死後 も独りである。火葬は自治体の数名によって機械的に処 理し、葬送する。無縁仏は増え続けている。

3

.研究目的

東京23区内で無縁で孤独死をした故人を弔う空間を、

火葬、埋葬する場と供に提案することによって、新たな 霊園の風景を生み出し、孤独死を身近な存在へと近づけ る。また、孤独死をしてしまった故人を弔い、迎え入れ る場を作ることは、建築にしかできないことである。

4.研究方法

孤独死という物語が建築化された内部空間とシークエ ンスを作り、体験することによって供養となるのと同時 に、孤独死が他人事ではないという、自身への警鐘とも なる空間を構成する。そして、ふと気が付けばそこにあ るように人々に死をリアルに感じてもらうためのメモリ アルとして存在することが必要である。

5.対象敷地 5.1

立山墓地

東京都港区南青山4丁目。青山霊園に附属する立山墓 地を対象とする(図2)。立山墓地は青山霊園から飛び 地して独立しているが、青山霊園と同様に公営墓地とし て都に管理されている。

図2 敷地写真

(2)

芝浦工業大学工学部建築工学科 2014年度卒業論文・卒業設計梗概

5.2

歴史

江戸時代では寺請制度により葬儀と埋葬は寺院で行い、

委ねることを強要されていたが、明治時代に日本古来の 文化に立ち返る為、政府によって後の青山霊園の興りと なる立山墓地が造成され、寺院以外でも埋葬できるよう になりはじめた。つまり現代の霊園や公営墓地の起源と も言えるのが立山墓地である。

5.3 敷地の現状

敷地にはいくつかの問題がある。一つは墓の過疎化に より敷地内に空隙が存在すること(図3)。長い間、維 持管理がされない墓は都によって撤去されてしまう。撤 去後に残った空隙が敷地内にいくつか散在している。も う一つは、青山地域特有である土地の起伏と、死を連想 させる墓地という存在が、周辺との関係を断ってしまっ ている。

図3 墓の過疎化による空隙

6.設計手法

敷地内における既存の墓参り動線を再検討することに よって不要な通路が浮き上がり、墓の過疎化によって生 じた空隙をつないでゆく。そうしてできた空隙は敷地内 において操作可能な場所として決定される(図4)。

図4 空隙のダイアグラム

無縁で孤独死した故人を弔う空間を建築化する手がか りは以下の要素である。

(1)

地中空間

弔いの空間は敷地の豊かな土地の起伏を利用しながら地 中に埋めることで、地上にある既存の墓参り動線を確保 し、また地上にボリュームの一部が氷山の一角のように 見え隠れすることにより、身近に潜む孤独死の実態を表 す。

(2)

光の強弱

内部空間に差し込む光の強弱を、地中の深さ

(

空までの距 離)、空間の大きさ(広さと高さ)、開口の位置(床か壁か天 井)の3つのパラメータによって決定させることで、空間 が持つ死の度合いを表す。採光は、地上の空隙を利用す ることで、地中空間に光を落とす。

(3)

孤独死の物語

孤独死にいたるまでの「健康、衰弱、死」の流れを空間 とシークエンスによる読み替えを行い建築化することに よって孤独死の疑似体験となる空間を構成する。

これらの手がかりをもとにスケッチを起こし、断片的 な空間モデルの作成を行う。それらの空間をつなぐシー クエンスと地上の空隙を手がかりに地中空間の平面を形 成し、全体を計画する。できあがった空間は、墓参りに 訪れる死生観を持った人たちが体験し、弔うことにより もう一度死について広く考える機会となり、近道として 地上を通る人々に、孤独死の身近さや警鐘に気付く機会 を与える。火葬場の炉は1基とし、規模を小さく簡素に することによって、火葬の風景は他人の目には触れない。

近年、技術の進歩により煙突は無用の長物となったが、

ここでは死の象徴として、煙突をオベリスクとしてのみ 存在させる。地中の空間体験を終え、外部に出たときに 目に飛び込む煙突を見上げ、実際に孤独死者が葬送され ている事実を認知する。そこからの風景は生の価値を垣 間見ることのできる瞬間。ここでは効率性も機能性も関 係ない。ましてや宗教やしきたりなど難しいことは考え ない。それは純粋に弔い祈るための空間である。死を尊 厳あるものとして、死を象徴するものとして生活の傍ら に置くことで生の価値を垣間見るきっかけになる風景を 作りだす。

参考文献

1) 「人はひとりで死ぬ 無縁社会を生きる為に」島田裕巳(著) 日本放送出版協会 2011年1月発行

2) 「無縁社会」NHK「無縁社会プロジェクト」取材班(著) 文藝春秋 2010年11月発行

3) 総務省統計局「統計から見た我が国の高齢者」

http://www.stat.go.jp/data/topics/topi631.htm

4) 金涌佳雅,谷藤隆信,阿部伸幸,野崎一郎,青柳美輪子,落 合恵理子,森晋二郎,舟山眞人,福永龍繁「東京都23 区にお ける孤独死統計」(平成15~19 年):世帯分類別異状死統計 調査.東京都監察医務院編,2011

5) 内閣府「高齢社会白書」

http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html 6) 厚生労働省「世帯数と世帯人員数の状況」

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k- tyosa12/dl/02.pdf

参照

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