NDC 431.3
アル.Jリ水溶液中における硫酸マンガンの空気酸化
樋 口 敏 三*
(昭和56年4月13日受理)
Air Oxidati on of Aqueous Manganous Sulfate Solution in the Alkaline Region
Binzo HiGucHi
(Received April 13, 1981)
The oxidation of alkaline MnSO4 solution was studied by blowing the mixed gas of nitrogen and oxygen an upward vert ical nozzle into the solut ion.
The experimental results are summarized as follows.
(1) Except for the final stage of the reaction, the overall ra£e of oxidation was not virtually affected by pH and temperature, but it increased with the rise of flow rate of the mixed gas stream.
(2) The oxidation was presumed to be composed of the sequential steps of dissolution of 02 gas and reaction between/吻(OH)2and(〜2. Under the assumpt io且that the overall rate is controlled by the dissolutioロof O2 gas, a zero order rate equation regarding Mn (OH)2 is derived.
It was found from the experiment that the overall rate was represented by a zero order rate equat ion except for the final stage.
(3) The rate constant of overall reaction was calculated, and the activation energy 10. 7 kJ/rrioi was obtained.
(4) From the rate constant of the rate equation, the liquid−film mass transfer coefficient of dissolved oxygen at the bubble surface was estimated, and it was fairly well coinc ident with the measured value.
1.緒 言
金属製錬あるいは廃水処理においては多くの不均一系反 応が採用されている。特に気液系の反応は乾式製錬におけ る製鋼用または銅製錬用の転炉,湿式製錬における浄液,
あるいはガス還元の工程など極めて広範囲に用いられてい
る。
本研究においてはこれらの気液系反応のうち直接的には 廃水処理と関連して,また間接的にはマンガン乾電池用二 酸化マンガン,あるいはクロム等の酸化剤としての二酸化 マンガンの製造と関連して工業的に意義を持つと考えられ るアルカリ水溶液中における硫酸マンガンの空気酸化反応 について研究を行なうこととした。
この反応に関する従来の研究としては次のようなものが 挙げられる。まず,ENordell(1)は種種のpH値における曝気
*金属工学科
時間と沖過後のマンガン濃度との関係について報告してい る。次に,三木等(2)はマンガンの酸化反応の機構をRedox 電位とpH値とから説明し,併せてその酸化生成物が酸化 反応に有効な触媒作用を持つことを報告し,一方,浅田(3)
はマンガンの酸化反応における触媒として銅塩,水酸化第 ニマンガン,および過マンガン酸塩などが有効であること を報告している。さらに,大塚④は空気酸化によるマンガ ンの酸化生成物の性質を種種の方法で調査し,その特性に ついて詳しく報告している。しかし,これらの研究は十分 過ぎる酸素ガス量を長時間通気したのちの曝気・除去率,
あるいは生成二酸化マンガンの特性について報告したもの である。
アルカリ水溶液中における硫酸マンガンの空気酸化反応 は水溶液中にノズルを設置し,そのノズルを通じて水溶液 中に空気を吹き込むことによって行なれわる。したがって.
この反応は総括的には気液両相から成る不均一系における 逐次反応と見なすことができる。すなわち,(i)式{1)で示
される水溶液中に吹き込まれた空気中の酸素ガスの溶解過 程と,(ii)式(2)で示される溶存酸素によるMn(OH)2の酸化 反応の逐次過程から成るものと考えられる。
02=02
Mn (OH) 2 + 192L == IltTnOOH + 一ll・H20
{1)
(2)
したがって,空気酸化の条件によっては水溶液中への空気 吹込みに関する流体力学的条件がその総括速度に大きい影 響を与えるものと考えられる。
そこで,本研究においてはアルカリ水溶液中における硫 酸マンガンの空気酸化反応について,これらの流体力学的 条件をも考慮して速度論的検討を行なうこととした。
2.実験装置および方法 2.1実験装置
本研究に用いた実験装置の概略をFig.1に示す。
鯖ひ
m2
B B
︑02
C D C D
L
t﹇ 醒
A
囹
M曜
団 弓 ≡ FiH 署マ累 毒G
O N K 」
FigユExperimental arrangements
(A) Gas cylinder, (B) Valve, (C) Manometer,
(D) Capillary flowmeter, (E) Humidifier,
(F) Nozzle, (G) T[hermometer, (M Combined glass electrode, (1) Oxygen meter electrode,
(J) Reaction vessel, (K) Thermostat, (L) Reflux condenser, (M)pH meter, (N) Oxygen meter,
(O) Recorder
N2ガスおよび02ガスはそれぞれ高純度ガスを使用した。
Fig.1に示すように,これらのガスはそれぞれボン.べAか ら供給され,水銀圧力計C,毛細管流量計Dを経て,バル ブBによって所定圧力および流量に調整された後,混合さ れ加湿器Eに吹き込まれる。室温における飽和蒸気圧に近 づくように加湿された混合ガスはガラス製垂直上向きノズ ルFより反応槽ノ内に吹き込まれる。.
ノズルは先端に内径O・ 5mm,長さ3mmのオリフィスが 取り付けられている6
反応槽は容量1000m1のすり合せ蓋付きの円筒型ガラス 製容器で,その本体寸法は内径114mm,高さ125mmであ る。また,その蓋にはノズル,温度計G, pH測定用複合ガ ラス電極H,溶存酸素計用電極∫および還流冷却器Lを取 り付ける5個の穴が設けられている。なお,温度計取付口 は試科採取口を兼ねている。
還流冷却器は反応槽から排出される混合ガ■中の水分を 室温における飽和蒸気圧に近づけるためのものである。
試科水溶液のpH値の測定には東亜電波工業㈱製HM・5ES 型p且メータMを,また溶存酸素濃度の測定には東亜電波 工業㈱製DO−1B型溶存酸素計Nに接続した記録計0を用
いた。
2.2試 料
試科として用いたMnSO4・4〜6H20は試薬特級品を用い
た。
あらかじめ脱イオン水を用いて作成したMnSO4水溶液を 母液として試薬ビン内に保存した。このMnSO4水溶液に硫 酸を添加し,そのpH値を約1に調整した。これは母液保 存中に1吻2+イオンの酸化を極力防止するためである(2)。
試科水溶液の調整は次のようにして行なった。まず,反 応槽内に入れた980mlの脱イオン水中にN2ガスを吹き込む
ことにより水溶液中の溶存酸素を除去した後,あらかじめ EDTA滴定によって濃度を標定した母液を所定量添加し た。さらにN2ガスを吹き込んで酸素を除去した後,10N−
NaOH水溶液を添加することにより所定のpH値に調整し,
試科水溶液の容積を1000m1, MnSO4濃度を0.01Mとした。
2.3実験方法
以上のようにして作成した試科水溶液が所定温度に達 し,またそのpH値も安定していることを確認した後,水 溶液中に送入しているN2ガスに02ガスを添加混合するこ
とによって実験を開始した。
なお,02ガスの分圧は空気中のそれとほぼ等しい0.20 atm.を選んだ。
反応開始後は所定時刻毎に反応槽から試科を採取した。
試科はあらかじめ0.02N−H2C20410mlおよび1:4H2SO45ml を入れたビーカに移し,加熱後,O. 014N一㎜04溶液で滴 定し,試科溶液中の物SO膿度を決定した。
この滴定は次の二つの反応式によって示される間接滴定 である。
MnO2+H2C,eO4+H2SO4=AtrnSO4+2CO2+21120 (3)
5H2C204十2KMnO4十3H2SO4=1eCO2十81120
+2MnSO4+K2SO4 (4)
一 2 一
アルカリ水溶液中における硫酸マンガンの空気酸化 樋 口
すなわち,H2C204がMnO2の生成量と当量だけ消費される 反応(3)と,H2C204の過剰分をKMnO4によって滴定する反 応(4)によって,特科水溶液申のMnSO4 ue度を決定する方法 である。
一方,反応途上の試科水溶液のpH値はpHメータによっ て,また愚存酸素濃度を溶存酸素計によって連続的に測定
し,記録した。
なお,反応進行途上のpH値の変動はいずれの反応にお いても±0.05の範囲であった。
3.実験結果および考察 3.1pH値の影響
試科水溶液のpH値を11.0,12.0および13.0に変化させ,
温度を35。Cに,また混合ガスをノズルにおけるレイノルズ 数
ReN==rQtY11i121ifi JP 〈s}
pa
に換算して4000の流速で送賎し,空気酸化を行なった。
実験結果をFig.2に示す。
ぞxlo
7α0
@8.0テ 6.0蔚ま 40 2D
ρ!/ ρ/・
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@ ◎1 昌継准メ
00
10 260 a緩10・
し,pH値12.0および13.0の場合には反応率が約80%}こ達 すると総括速度の低下が起り始めた。すなわち,pH値 12,0および13.0の場合にはpH値は11.0の場合に比べ,そ の酸化が十分に進むことが判る。
また,溶存酸素濃度は反応初期にピークを持つが,反応 中期には一定値を示した。この一定値を示す期聞はMnSO4 濃度と時間との間に非常に良い直線関係が認められた。こ のことは空気酸化の総括速度がMnSO4濃度に関して零次反 応であることを示している。さらに,空気酸化の総括速度 が低下する反応後期に至ると,溶存酸素濃度は急激に上昇
し,飽和濃度に達した。
3.2温度の影響
試科水溶液のpH値を12.0,ノズルにおけるレイノルズ 数を4000の一定値に調整し,立科水溶液の温度を18.5。,
25。,35。および50。Cの4水準に変化させ空気酸化を行な
った。
実験結果をFig.3に示す。
一3xlO
1 O.O
8D
Σ
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60δ
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0Σ 4.0
ド ノア /多 ︐1〆一
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№
へ掴 2000
1.0
O.8
7Q6V
警I
o.48M
on
e (s)
Fig.2 Effect of pH value on the rate of the oxidation (3soc, Re=4000)
一〇一一CMnso4 at pH 11. 0
−A・一一 12.0
−U一 13.0
…O…Co2/Co2(s) at pH 11.o
一・̀一・ 12.0
…ロ… 13.0
同図より判るように,試科水溶液のpH値を変化させて も反応の初期および中期では空期酸化の総括速度はほとん ど変化しないが,反応の後期に達するとpH値11.0の場合 には反応率約60%から総括速度の低下が起り始めるのに対
1.0 ZO
e (s)
rogio3
Fig.3 Effect of temperature on the rate of the oxida−
tion (pH 12.0 Re =4000)
一ApCMnso4 at 18. 50C
−A一 25eC 一一一 3sec 一 一 500C
…A・・Co2/Co2(S) at ls.soc
一・・黶h 350C̀… 25eC
■■・禔E■■ 500C
同町より判るように,試筆水溶液の温度を変えても反応 の初期および中期における空気酸化の総括速度はほとんど 変化しないが,反応の終期においては温度の低い方が総括 速度の低下が高い反応率で起り始めた。
一方,溶存酸素濃度は試科水溶液の温度が18.5。,25。,
および35。CにおいてはFig.3より判るように,反応の初期 に溶存酸素濃度はピrクを持つが,反応の中期には一定値 を示した。また50。Cにおいては反応の初期および中期と も溶存酸素濃度は零に保たれた。この一定値を示す期間の MnSO4濃度と時間との間には直線関係が認められ,空気酸 化の総括速度がMnSO4濃度に関して零次反応であることを 示している。また,反応の後期に達すると総括速度の低下
とともに早年酸素濃度の急激な上昇が認められ,やがて飽 和濃度に達した。
いま,水溶液中のMnSO4の空気酸化反応が(i)式(1)で示 される酸素ガスの溶解過程と,(ii)式(2)で示される堅甲酸 素によるMn(OH)2の酸化反応との逐次過程から成ると考え
ると,水溶液中の溶存酸素濃度の変化速度式は式⑥で,ま たMn(OH)2の酸化速度式は式(7)で示される。
etrgeO−2==lleL(cg2(s)一cg,)+ttdetnSOH)2.1(6.)
Hd.b浮狽獅rQH)2=le,一f(CMn(om2,Co−t,COH一,CMnOO?7))
ただし,式(6)の右辺第1項は水溶液中への酸素ガスの溶解 速度を,また第2項はMn(OH)2の酸化反応による溶存酸 素の消費速度を示している。一方,式(7)はMn(OH)2の酸 化速度を示す式であるが,その酸化速度はCMn(ObT)2,
CO2, COHnyおよびCMnOOHの関数として示される。さら に,式(1)で示される酸素ガスの溶解過程が総括速度を律速 する物質移動律速の場合を仮定すると,次の式⑧が成立す
る。
giCISIkeO−2==o, cQ2(s)>>CQL2 (8)
式(8)を式⑥に代入し整理すると,次の式⑨が得られる。
一一g(gC,i1{i:MnSO−t)2=41kL(cg2(s)一一CQL2) (9)
すなわち,物質移動律速の場合には空気酸化の総括速度は Mn(OH)2濃度に関して野次反応で表されることが判る。
一方,本研究においては反応の極く初期および反応の終 期を除いては水溶液中の溶存酸素濃度はほぼ一定であり,
またその値は飽和濃度に対して十分に小さい値であり,さ
:らに総括速度がMn(OH)2濃度に関して押倒反応であるこ とから,酸素ガスの溶解過程が総括速度を律速する物質移 動律速であることが考えられる。
次に,式⑨を用いて試料水溶液め温度を変化させた実験 を行ないS軌の値を求めた。ただし,この式に含まれる 弓4CMπ(Oll)2/dθの値は. MnSO4濃度の時間変化曲線にお ける直線部分の勾配を,CO2/CO2(S)の値は実験における一 定値を,CO2(S)の値は溶存酸素の飽和濃度(5)を,またyの 値は試料水溶液の体積を用いた。以上のようにして求めた
SkLの値の対数値を絶対温度の逆数に対してプロットする ことによってFig・4に示すアレニウス・プロットを得た。
2.5
0
2
︵1︾ ﹂呂Oc一
1.5
o 鳥%
観。to ・
o
乳0
30 3.2 3為 1πくKl)
Fig.4 Arrhenius plot of SkL
36xld3
同図より求められる活性化エネルギEaの値は約10・7kJ/
mo1であり,この値は物質移動が経括速度を律速している 場合の活性化エネルギの値として妥当な値として考えられ
る。
x10−3
1α0 ,
Y〆〃 10
舅 !、イ
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メノプ1 α8
→
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轟難.一
o 0
O 10 2.0 3.oxlo3
e (s)
Fig.5 Effect of Reynolds number on the rate of the oxidation (350C pH 12. 0)
一〇(Mnsb4 at Re=1000 … O… Co2/Co2(S) at Re== 1000
﹇一一一▲△.■□一一一一
一4一
Re=2000 …A…
Re=3000 …A…
1〜e=4000… 圏…
Ra == 6000 … m…
Re =2000
Re=3000 Re=4000 Re一=600Q
アルカリ水溶液中における硫酸マンガンの空気酸化 樋 口
3.3ガス流量の影響
試料水溶液のpH値を12.0,温度を35。Cの一定値に調整 し,ノズルにおけるレイノルズ数を1000,2000,3000,
4000および6000の5水準に変化させ空気酸化を行なった。
実験結果をFig.5に示す。
Fig.5から判るように,反応の初期および中期において はレイノルズ数の増加とともに空気酸化の総括速度は上昇 した。また反応の後期に達すると,レイノルズ数の増加に したがい高い反応率で総括速度の低下が起り始めた。
一方,溶存酸素濃度はレイノルズ数200e,3000,4000お よび6000においては反応初期にピークを示したが,レイノ ルズ数1000においては示さなかった。しかし,いずれも反 応の中期には一定値を示した。この一定値を示している期 間のMお0濃度と時間との聞には直線関係が認められ,空 気酸化の総括速度がMnSO4 ue度に関して零次反応であるこ とを示している。また,反応の後期においては総括速度の 低下とともに溶存酸素の急激な上昇が認められた。
前に述べたのと同様の方法でそれぞれのレイノルズ数に おけるSkLの値を求め,その値を各レイノルズ数に対して プロットすることによってFig.6を得た。
10.0
富
qao睾
ど6.0
ゴ
の40
2.0
o O 2000 4000 6000
Re (一)
Fig.6 Rate constant versus Reynolds number A : this work
O : dissolution of 02 gas in water
併せて,同一ノズルを用いて本研究と同一反応槽で35℃
の0.OOIM−KCI水溶液中に種種のレイノルズ数で空気を吹 き込むことにより求めた SleLの値も示した。
Fig.6より判るように,両者の実験で得られたSleLの値 は非常に良く一致している。以上のことから酸素ガスの溶 解過程の物質移動速度が空気酸化の総括速度を律速してい ることが判る。
4.結 言
本研究においては硫酸マンガンを含むアルカリ水溶液中 にガラス製垂直上向きノズルを用いて02ガス分圧0.20atm.
の02−1>2混合ガスを吹き込むことによりMnSO4の空気 酸化を行ない,その反応速度を測定した。またこれと同時 に,溶存酸素濃度をも測定した。これから酸化反応の総括 速度に及ぼす試料水溶液のpH値,温度およびガス流量の 影響について検討を行なった。さらに得られた実験結果か ら総括反応の律速段階についても検討を行なった。
得られた研究結果を以下に要約する。
(1)MnSO4の空気酸化の総括速度はpH値を変えても反応 初期および申期においてはほとんど変化しなかった。しか し,pH値の高い方が反応後期において酸化が十分に進ん だ。溶解酸素濃度は初期にピークを持ち,中期に一定値を 示した。また,空気酸化の総括速度が低下する反応後期に 至ると,溶存濃度は急激に上昇した。
(2)空気酸化の総括速度は温度を変えても反応初期および 中期においてはほとんど変化しなかった。しかし,温度の 低い方が反応後期において酸化が十分に進んだ。溶存酸素 濃度は反応初期にピークを持ち,中期には一定値を示し た。しかし,温度が50℃の場合には初期,中期を通じて零 に保たれた。反応後期に至ると総括速度の低下とともに溶 存酸素濃度は上昇した。
(3)空気酸化の総括速度はガス流量を増加させると反応初 期および中期においては上昇し,また反応後期においても 酸化が十分に進んだ。溶存酸素濃度は初期にピークを持 ち,中期には一定値を示した。また総括速度の低下する反 応後期に至ると溶存酸素濃度は急速に上昇した。
(4)空気酸化反応が酸素ガスの溶解過程と溶存酸素による Mn(OH)2の酸化反応との逐次過程から成ると考え,前者
が総括速度を律速すると仮定し総括速度式を求めると,空 気酸化の総括速度はMn(OH)2濃度に関し零次反応となっ た。一方,本研究では溶存酸素濃度が一定値を示す反応の 初期および中期においては空気酸化の総括速度はMn(OH)2 濃度に関して零次反応となった。
(5)総括反応の速度定数を求め,その値より本反応の活性 化エネルギの値として約10.7kJ/molを得た。これは物質 移動の過程が総括速度を律速する場合の活性化エネルギの 値として妥当な値であると考えられる。
(6)本研究において空気酸化の実験より求めた速度定数と 酸素ガスの溶解速度の実験より求めた速度定数の値とは非 常に良く一致した。
以上のことから,本反応における総括反応の律速過程は 酸素ガスの溶解過程にあることが判った。
終りに,本甲究を遂行するにあたり懇切な御教示を賜わ りました京都大学工学部,近藤良夫教授に厚く御礼申し上 げます。また,実験の一部を卒業研究として熱心に協力い ただいた55年度卒業生,菅毅君に深く感謝致します。
記 CMn(OH)2:水酸化マンガン濃度
号
CMnOOH:水酸化第ニマンガン濃度 Cgt
C鎚(S)
CO冴一
Ea ReN
s
dNV
kL kr
:溶存酸素濃度
:飽和溶存酸素濃度
:水酸イオン濃度
=活性化エネルギ
:ノズルにおけるレイノルズ数
:気液界面面積
:試料水溶液の体積
:ノズル内径 3液境膜物質移動係数
:化学反応速度定数
(mol/1)
(mol/1)
(mol/1)
(mol/1)
(mol/1)
(kJ/mol)
(一)
(cm2)
(cm3)
(cm)
(cm/s)
(?)
五θρμ :ガスの線速度
:時間 3密度
:粘性係数
文 献
(cm/s)
(s)
(g/cm3)
(g/cms)
(1) E. Nordell; Water Treatment for lndustrial and Other Uses, (1951), 317, Reinhold
(2)三木暉一郎,山西弥市,中西 弘;水道協会雑誌,
No.312 (1960), 34−42
(3)浅田日出雄;水道協会雑誌,No.293(195g),26−2g
(4)大塚淳;電気化学,vo1.25(1957),486−488
(5)日本化学会編;化学便覧・基礎編,(1966),621,丸善
一6一