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Academic year: 2021

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Elastic net

によるスパースロジスティック回帰と判別  

Sparse logistic regression and classification via elastic net

数学専攻 渡部 亮 WATANABE, Ryo

1

はじめに

ロジスティック回帰モデルは,複数のリスク要因から事象が発生する確率を評価するモデルであり,システ ム工学,医学など科学の諸分野で広く利用されている.また,要因の数値から事象が発生するか否かの予測を 行う判別分析にも応用することができる.モデルを構築するとき,高い予測精度を保つためには適切な説明変 数を選択してモデルを構成することが重要である.しかし,計算機の発展により高次元データを解析すること が必要となり,従来の手法を用いて汎化能力の高いモデルを構築することは難しくなった.この問題に対処す るために,近年研究されているL1型正則化法を用いたロジスティックモデルの推定法を検討する.

広く用いられている手法としてlasso推定(Tibshirani, 1996)が提案され,さらにlasso推定の欠点を改 良したelastic net推定(Zou and Hastie, 2005)が提案された.しかし,lassoには変数選択の一致性がない (Fan and Li, 2001)として,その性質を有するadaptive lasso推定(Zou, 2006)adaptive elastic net推定 (Zou and Zhang, 2009)が提案された.本研究では,adaptive elastic net推定をロジスティックモデルのパ ラメータ推定に用いる推定アルゴリズムを提案し,提案手法の推定・判別精度について他の正則化法との比較 を行う.

2

ロジスティック回帰・判別の推定と評価

ロジスティック回帰 ある疾病の発生や地震発生の有無など,事象の生起を表す2値変数(例えば, 01) と複数の要因と結びつけて確率を予測するときに用いるのがロジスティック回帰モデルである.事象が生 起したかどうかを表す確率変数をY とすると,対応する確率はそれぞれP(Y = 1|x1, x2,· · · , xp) = πP(Y = 0|x1, x2,· · · , xp) = 1πと表される.この確率πと複数の説明変数を結びつけた次のモデルがロジ スティックモデルである.

π= exp(β0+βTx) 1 + exp(β0+βTx).

ただし,β= (β1, β2,· · ·, βp)Tx= (x1, x2,· · ·, xp)T とする.パラメータββ0は,次の対数尤度関数を 最大化する最尤法によって推定する.

ℓ(β0,β) =

n i=1

yi0+βTxi)

n i=1

log{1 + exp(β0+βTxi)}.

1

(2)

ただし,ℓ(β0,β)は解析的に陽に解くことができないので,ニュートン・ラフソン法により近似的に解を求 める.

ロジスティック判別 複数の要因から事象が発生するか否かを予測するときにロジスティック判別を用いる ことができる.事象が発生する群をG1,発生しない群をG2,未知データが得られたときに事象が発生する確 率をP(G1|x) =πとする.各群に属する確率の比の対数が説明変数の線形結合で表されると仮定すると次の ように表される.

log π

1π =β0+β1x1+β2x2+· · ·+βpxp=β0+βTx.

上式は,ロジスティックモデルにおいてロジット変換を行うことで得られる.したがって,パラメータ推定は ロジスティック回帰モデルと同様に最尤法で推定される.未知データが得られたときに確率が大きい方へと判 別するので,確率の比の対数をとることで出力された値の正負で判別される.

3 L1

型正則化法

高次元データの解析において,最尤法では回帰係数が推定できないなどの問題が生じる.これに対処するた めに次のように負の対数尤度関数に罰則項を付与した正則化法を用いてモデルを推定することを考える.

βˆ0,βˆ = arg min

β0

{−ℓ(β0,β) +λP(β)}.

ただし,λ(>0)はチューニングパラメータであり係数の縮小の程度をコントロールする.したがって,正則

化法では,λの選択が重要な問題となる.罰則項P(β)には回帰係数の制約条件が入り,β0にはペナルティを 課さない.代表的な手法として係数パラメータの絶対値の和を制約条件とするlasso推定(Tibshirani, 1996)

がある.Lassoはいくつかの回帰係数を0と推定するのでモデルの推定と変数選択を同時に行うが,性質上

高々n個の説明変数しかモデルに取り込むことができない.このため,真に影響のある説明変数をモデルに取 り込めない場合がある.また,説明変数間の相関を考慮することができないため,遺伝子データなど相関があ るデータには適していない手法である.相関を考慮できる手法としてリッジ推定(Hoerl and Kennard, 1970) がある.そこで,lasso推定によるスパース性とリッジ推定による相関考慮の性質を組み合わせたelastic net

推定(Zou and Hastie, 2005)が提案され,次の目的関数の最小化によってパラメータを推定する.

βˆ0,βˆ(EN)= (1 +λ2) arg min

β0

ℓ(β0,β) +λ

1α

2

p j=1

βj2+α

p j=1

|βj|

.

ただし,λ, αはチューニングパラメータであり,λ2λ=λ1+λ2α= λ1

λ1+λ2 により計算される.Elastic

net推定はgrouping effectにより相関を考慮し,絶対値の制約により多くの変数0と推定する.さらに,モ

デルに取り込まれる変数は高々p個となるので説明変数の選択数の制限はなくなる.

2

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4 Adaptive elastic net

推定

Lassoelastic netは推定と変数選択を同時に行えるが変数選択の一致性がないために,誤った変数をモデ

ルに取り込んでしまう場合がある(Fan and Li, 2001).変数選択の一致性をもつ推定法としてadaptive lasso 推定(Zou, 2006)adaptive elastic net推定(Zou and Zhang, 2009)が線形回帰モデルの枠組みで提案され,

その推定法をロジスティックモデルに適用すると,モデルのパラメータは次の式によって推定される.

βˆ0,βˆ(AEN)= (1 +λ2) arg min

β0

ℓ(β0,β) +λ

1α

2

p j=1

βj2+α

p j=1

ˆ wj|βj|

.

ただし,wˆj (j= 1,2,· · · , p)はデータに依存する値で,例えば,最尤推定値あるいはリッジ推定値βˆの逆数

ˆ wj = 1

|βˆj|γ, (j= 1,2,· · · , p)

を用いる.ただし,γ >0である.重みをつけることにより,各係数に異なる制約を課すことが可能となる.

したがって,大きい係数値に対して小さいペナルティ,小さい係数値に対して大きいペナルティを課すことが できるので,影響のない多くの説明変数を0と推定できる.

推定アルゴリズム

線形回帰モデルの枠組みにおけるadaptive elastic net推定はlasso型に帰着することにより推定値を求 めることが可能だが,ロジスティックモデルの枠組みではlasso型に帰着することができない.本研究では,

elastic net型のまま推定値を求めるアルゴリズムを提案する.

提案手法

回帰係数の重みwˆjをリッジ推定値で構成し,行列Xに対してxj = ˆwjxjとスケーリングしてその行列を Xとする.行列Xを用いて次の重み付きelastic net問題を解く.

βˆ0,βˆ= (1 +λ2) arg min

β0

ℓ(β0,β) +λ

p j=1

ˆ w2j

{1α

2 βj2+α|βj| }.

得られた推定値をβˆj wˆjβˆjとすることによりロジスティックモデルにおけるadaptive elastic net推定値 を得る.提案する推定アルゴリズムの詳細は,修士論文を参照されたい.

3

(4)

チューニングパラメータの選択方法

正則化法でよく用いられるのがクロスバリデーション(CV)であり,本研究でもそれを用いてλαの値を 選択する.i番目のデータxiを除いて推定したモデルをπ(x; ˆβ(0i),βˆ(i))とし,除いたxiを用いて対数尤 度を計算する.候補となるλの値の中から負の平均対数尤度を最小にするλを最適な値として選択する.

CV =1 n

n i=1

yilog{π(xi; ˆβ0(i),βˆ(i))}(1yi)log{1π(xi; ˆβ0(i),βˆ(i))}. (1) αについても同様に行い,CV値の最も小さい(λ, α)の組み合わせを最適な値として選択する.

5

まとめと今後の研究課題

本稿では,高次元データに対してL1型正則化法を用いてロジスティックモデルの推定と予測判別を検討 し,ロジスティックモデルにおけるadaptive elastic net推定を提案した.Adaptive elastic net推定では,

チューニングパラメータの数が多く,各パラメータをクロスバリデーションにて推定すると計算時間に問題が 生じる.このため,適切なモデル評価基準を導出し,有効なモデリングの提唱を今後の研究課題とする.

参考文献

[1] 安道知寛(2014).高次元データ分析の方法.朝倉書店.

[2] Fan, J and Li, R. (2001). Variable selection via nonconcave penalized likelihood and its oracle properties.

Journal of the American Statistical Association96, 1348-1360.

[3] Friedman, J., Hastie, T., Simon, N. and Tibshirani, R. (2014). glmnet : Lasso and elastic-net regularized generalized linear models. R package version 1.9-8, URL http://CRAN.R-project.org/package=glmnet.

[4] Friedman, J., Hastie, T., and Tibshirani, R. (2010). Regularization paths for generalized linear models via coordinate descent.Journal of Statistical Software33, 1-21.

[5] Horel, A. E. and Kennard, R. W. (1970). Ridge regression : biased estimation for nonorthogonal problems.

Technometrics12, 55-67.

[6] Jian, H., Shuange, M. and Chu-Hui, Z. (2008). The Iterated lasso for high-dimensional logistic regression.

The University of Iowa Department of Statistical and Actuarial Science Technical392.

[7] 小西貞則(2010).多変量解析入門.岩波書店.

[8] Tibshirani, R. (1996). Regression shrinkage and selection via the lasso.Journal of the Royal Statistical Society 58, 267-288.

[9] Zou, H.(2006). The Adaptive lasso and its oracle properties.Journal of the American Statistical Association 101, 1418-1429.

[10] Zou, H. and Zhang, H. H. (2009). On the adaptive elastic net with a diverging number of parameters.Annals of Statistics37, 1733-1751.

[11] Zou, H. and Hastie, T. (2005). Regularization and variable selection via the elastic net.Journal of the Royal Statistical Society67, 301-320.

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参照

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