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均斉成長経路上の Task-based モデル

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(1)

Ⅰ.はじめに

高度な機械技術によって,労働はどこまで代替されてしまうのか.近年,

様々な議論が成されてきているが,経済成長論の分野においても,この問題に

関連して

Task-based

モデルが用いられてきている.Task-basedモデル自体は,

Acemoglu and Restrepo

2018

)によって広く知られるようになったが,その原

型的モデルは

Zeira

1997

)や

Nakamura and Nakamura

2008

,中村(

2010

Nakamura(2010)によって,既に使用されてきている.Task-based

モデルの

最大の特徴は,マクロ生産関数の中にタスク(もしくは生産ステップ)という 概念を導入,各企業の行っている「技術選択」を,タスク・タイプの選択といっ た形で表現できるようにした点にある.このことは,これまで漠然としか描け なかった機械技術による労働の代替という現象を,タスク・タイプの変更とい う具体的なイメージによって捉えられることを可能にしている.

Task-based

モデルで表される技術選択,つまりタスク・タイプの選択は,数

学上,マクロ生産関数における生産フロンティアの内生的変化といえる.この ことは,Task-basedモデルが,上述した機械技術による労働の代替という問題 を分析するための道具に留まることなく,経済成長の分析そのものに新しい視

均斉成長経路上の Task-based モデル

中 村 勝 克

*

本研究はJSPS科学研究費16K03546の助成を受けたものである.

連絡先:中村勝克,E-mail: [email protected]

立正大学経営学部

(2)

点を与える可能性を示唆していよう.本研究では,Task-basedモデルを用いて 均斉成長経路(

Balanced Growth Path

BGP

)を分析し,これまで解明されて きていない

Task-based

モデル特有の動学的性質を明らかにしていく.具体的 には,新古典派生産関数を用いた場合には均斉成長経路が存在しないような

2

部門成長モデルであっても,

Task-based

モデルを用いると,一定の条件のもと,

均斉成長経路の存在が保証されることを示す.

これまで,中村(2010)において,Task-basedモデルが新古典派生産関数の 基礎を成している点が指摘されている.ただ,そこでの分析は,あくまでも静 学的な状況を想定しており,本研究で行う分析と異なる.以下では経済成長経 路という動学的な状況を前提に,選択される技術の性質そのものだけではなく,

いかなるスピードで技術選択が成されていくのか,その技術変化(生産フロン ティアの変化)のスピードに注目する.そのことによって,通常の新古典派生 産関数を用いたときには原理的に不可能であったアンバランスな成長率の修正

が,

Task-based

モデルでは成され得ることが確認される.

以下,第Ⅱ節では,均斉成長経路について,新古典派生産関数を用いた場合 の基本的な問題点を確認する.第Ⅲ節において2部門

Task-based

モデルの構 造を説明する.続く第Ⅳ節では,新古典派生産関数を想定する限り特殊ケース でしか存在しないような2部門の均斉成長経路が,Task-basedモデルでは存在 し得ることをみる.最後の第Ⅴ節は,簡単にまとめを述べる.

Ⅱ.均斉成長経路とナイフエッジ特性

Ⅱ .1.1 部門新古典派モデル

典型的な新古典派型マクロ生産関数を想定した場合,その経済に均斉成長経 路(

BGP

)が存在するための十分条件の

1

つとして,「マクロの生産効率の上 昇が労働強化型の技術進歩(ハロッド中立的技術進歩)」というものがある.

この点は,次のように確認できる.

(3)

いま,最終財の生産を

Y,資本ストックを K,労働量を L,資本および労働

の生産性パラメータを各々

A K

A L

とおいた上で,マクロ生産関数を

と表現する.ただし,

F( )

2

階微分可能な1次同次の准凹関数を仮定してい る.Y,K,Lそれぞれの成長率を g

Y

,g

K

,g

L

と書くと,上記の生産関数から,

と,成長率に関する式も導かれる.なお,完全競争市場の前提のもと,

( )

資本分配率,

1-( )

は労働分配率と一致する点に留意したい.加えて,最終 財は消費か資本の追加的蓄積

K

に使用されるものと仮定する.この仮定によって,

という式が成立することが分かる.

s

は貯蓄率,

は資本減耗率である.

経済が

BGP

に乗ると,(2)式の左辺は一定の値に落ち着かなくてはならない.

つまり,

BGP

上では最終財の成長率

g Y

と資本の成長率

g K

が等しくなる必要が 確認でき,均斉成長率を

g (

g Y = g K )

で表すと,

1

)式から

が求まる.なお,以下,経済が成長しているケースに分析を限定するため,各 生産要素に対する外生的な生産性パラメータ(

A K

A L

)の変化は非負とする.

つまり,以下では

A K / A K ≥ 0

A L / A L ≥ 0

を前提に議論する.

いま,BGP上で A

K / A K >0 となっているとしよう.このとき,K / Y

BGP

上で一定なので,

A K K / Y

は時間の経過とともに∞へ発散しなくてはならない.と ころが,一般に

A K K / Y

の動きは,資本分配率

( )

および労働分配率

1- ( )

と連動する.例えば,マクロ生産関数が,多くの分析で使用されてきている

Y=F( A K K , A L L )

g Y =( ) g K + + ( 1- ( ) ) g L + ,

 

 ( )

(1)

A K

A K

A L

A L

A K K Y

K Y

∂F

∂K

= (2) g K +

s Y K

g=g L + + (3)

A K

A K

A L

A L

( ) 1-( )

(4)

CES(Constant Elasticity of Substitution)クラスだと,すなわち生産関数を

とおくと,Cobb-Douglas型(

α=0)の特殊ケースを除き,資本分配率は A K K / Y

の動きに合わせて

1

を超えることになる.このようなケースは経済学的に意味 がなく,結局,

BGP

が存在するためには,

α=0

か A

K / A K =0 でなくてはならない.

生産関数を

CES

クラスに限定する場合,Cobb-Douglas型(

α=0)を仮定す

るか,もしも

α=0

以外を仮定するのならば,「マクロの生産効率の上昇が労働 強化型の技術進歩(A

L / A L >0)のみで与えられる」という技術進歩の要件が BGP

の存在に必要となる.

ただ,より一般的な新古典派生産関数を考えるのなら,

Cobb-Douglas

型生産 関数という要件は幾分弱められる.一般的な新古典派型生産関数を想定すると き,そこから求まる分配率が

という条件を満たすようなものであれば良い.この条件は,マクロの生産関数 が全体的に

Cobb-Douglas

型であることを要請するのではなく,生産関数のフ ロンティアの一部分が

Cobb-Douglas

型で近似でき,経済が長期的にはその部 分に収束しさえすれば,

BGP

に乗ることを意味する.

マクロ生産関数を

CES

クラスに限定するべきか否かは別にして,基本的な 新古典派成長モデルでは,

BGP

上を分析する際に,次のいずれかの仮定がお かれる1.すなわち,

・技術進歩は労働強化的である(ハロッド中立的である)

・少なくとも長期的な状態で分配率一定となる(そのような生産関数を仮定 する)

F(A

K

K , A

L

L)

( ) A Φ K K + ( ) A L L , ( )= ( )

Λ A

K

K

ΦY

α α

1α

α

lim ( ) = lim =  >0 K Y

∂F

∂K

t→∞ t→∞

1 以下の仮定は,いわゆるUzawaの定理に関する仮定である.

(5)

経済成長に関するモデルの多くが,これらの条件との整合性を取りながら,

BGP

上の長期的分析を行っている.

Ⅱ .2.2 部門新古典派モデル

BGP

を想定することは,分析のポイントをより明確にするという意味で合 理性があり,経済学的含意に富んだ様々な結論を導くのに役立つ.しかしなが ら,他方で,通常の想定,すなわち生産関数のパラメータが変化しないという 想定では,モデルの一定の拡張・修正に伴い,

BGP

の一般的な存在が保証さ れなくなる.その典型例が,多部門成長モデルへの拡張である.

パラメータ不変の新古典派型生産関数をベースにした多部門成長モデルにお いては,上述した労働強化型の技術進歩(ハロッド中立的な技術進歩)という 条件を課すだけでは,「分配率一定で,各生産要素量が一定率で成長する」とい う意味での

BGP

の存在は保証されない.つまり,

BGP

が存在し経済がそこに 収束するためには,極めて限定的な仮定が追加的に必要となる.具体的には,「全 部門の実効労働量が同率で成長する」という条件を追加しなくてはならない.

次のような

2

部門モデル,すなわち

Y

部門と

Z

部門の

2

つを想定したモデ ルを見てみる:

Y=F Y ( Z , L ), L ≡ A L L . Z=F Z ( K , H ), H

A H H . C=Y-K -δK.

Y

部門を消費財生産部門,

Z

部門を資本財生産部門と解釈し2,それぞれの部

2 また,ここでの2つの部門を,マクロ全体で統一された1つの産業内における,2つの生産 パートと読み換えることも可能である.つまり最初の生産パート(Z部門)において,資本

(機械・設備等)Kを用いた技術労働者Hが生産活動を行う.次に,この生産活動で成された ものを引き継いで,単純労働者Lが自分の生産パート(Y部門)で最終的な製品を仕上げる.

このような想定をモデル化するため,Z部門で成された成果を形式的に合成財Zで表し,Y部 門においては,この合成財Zと単純労働Lの投入によって最終財(消費および資本の蓄積に 用いることのできる財)が生産されるものと解釈する.

̃ ̃ ̃

̃

(4)

(5)

(6)

(6)

門に投入される労働量として

L

および

H

を考える.なお

L

H は,それぞれ

の実効労働量を表す.このモデルでは,

2

つの部門とも労働強化型の技術進歩 のみを想定している点に留意する.

(4)式から(6)を用いると,成長率に関する以下の

3

つの式が得られる:

いま,

BGP

が存在するとしよう.前項における議論と同様,

9

)式から,ま

BGP

上における g

Y = g K の成立が確認できる.この条件を(7)式および(8)

式に代入して,

g Y

および

g Z

について整理すると,

が求まる.

この

2

つの式から,

BGP

2

つの特性を同時に満たすことは一般に不可能 である点が明らかになる.すなわち,もしも

( )

および

τ( )

0

以外の一定 の値に収束したとすると,

g L = g H (10)

という測度ゼロのナイフエッジ的な条件を

g L

および

g H

に課さない限りは,

g Y = g K = g Z

となることはない.

(•), τ(•)

一定に矛盾する)

経済が

BGP

に達しているというときは,前述したように,分配率一定とい う特性と,各生産要素量が定率で成長するという特性を満たしていなくてはな

= . Y Z

Z K g K +

s

g Y =( ) g Z + ( 1- ( ) ) g L , g L

g L + ,  ( ) Z

≡ .

Y

Z Y

∂F Y

̃ ̃

A L ∂Z

A L

g Z =τ( ) g K + ( 1- τ( ) ) g H , g H

g H + , τ ( ) K

. Z

K Z

∂F Z

̃ ̃

A H ∂K

A H

(7) (8) (9)

g Z = g 1-τ( ) H + g L 1-( )τ( )

τ( ) ( 1- ( ) )

1- ( )τ( )

̃ ̃

g Y = g ( ) ( 1- τ( ) ) H + g L , 1-( )τ( )

1- ( ) 1- ( )τ( )

̃ ̃

̃ ̃

̃ ̃

̃ ̃

(7)

らない.

結局,パラメータ不変という意味での通常の新古典派型生産関数をベースに した場合,極めてシンプルな

2

部門成長モデルであっても,一般に

BGP

の存 在はナイフエッジ的なものとなる.つまり,分配率および要素成長率の“バラ ンス”の取れた成長経路を描写するためには,何らかの追加的なシステムをモ デルに導入し,ナイフエッジ的な(10)式の条件が,内生的に成立することを 示す必要がある.

Ⅲ.2部門

Task-based

モデル

前節でみた

2

部門新古典派成長モデルは,幾つかの方向で拡張できる.例え ば,人口・教育の問題を考察するパートをモデルに加えることで労働成長率

g L

および g

H

を内生化するとか,技術開発部門を想定して A

L / A L および A H / A H

内生化させることも可能である.様々な方向で,

BGP

と整合的なモデルに拡 張することが考えられるが,本節ならびに次節では,これまでに分析されてい ない「技術選択」という要素を取り入れる.このことによって,新しい部門や 産業をモデルに加えることなく,

2

部門成長モデルにおける

BGP

の可能性が 示される.

以下,「技術選択」に関しては,

Zeira

(1998)

Nakamura and Nakamura(2008)

中村(

2010

),

Nakamura

2010

),

Acemoglue and Restrepo

2018

)および

Nakamura

and Zeira (2019)

が採用しているTask-basedモデルを基礎にする.まず,

Y

産業(Y

部門)ならびに

Z

産業(

Z

部門)の生産関数を,多数のタスクからなる生産工 程として捉える.その上で各企業は,単位生産費用が最小になるように,それ ぞれのタスクに投入する生産要素の種類,およびその投入量を決定する.例え ば,賃金が上昇して労働費用が増加したとしよう.その場合,既に労働が投入 されているタスク(労働タスク)において,その投入量を減らすだけでなく,

労働タスクの中でも,より費用が高まる部分を中心に,機械もしくは

Z

産業

(8)

の生産した合成財の投入によって成されるタイプ(資本・合成財タスク)へと 変更される.つまり,労働から機械等への置き換えによっても,総費用の節約 が図られる.

このように,それぞれの企業は費用節約行動の一環として,既に存在してい る技術の中から最適なものを選択しようとする.技術の選択は,生産関数の観 点から見ると,その曲率(curvature)の選択に他ならない.仮に

2

つの生産要 素が異なった率で成長していたとしても,そこから生じる限界生産性の差の拡 大は,各生産工程における技術の選択によって補われ得る.結果,それぞれの 限界費用の開きが一定の水準に保たれ,経済全体としても,

“Balanced Growth Path ”が実現可能となる.

次のように,

Y

産業および

Z

産業の生産関数を書き換える.

ただし,

α <0

β <0

とする.

Y

産業,

Z

産業ともタスク数が無数存在しており,

その測度を1と規格化している.y(s) および

x(s)

は,Y産業ならびに

Z

産業の

s

タスクの活動量で,もしも,そのタスクが

Z

産業の生産した合成財

Z

や,

資本

K

を使用するタイプであるのならば,

y(s)=z(s) / ψ(s)

および

x(s)=k(s) / ϕ(s)

となる.また,それらが労働を使用するタイプのタスクであるのならば,

y(s)=l (s) / λ(s)

および

x(s)=h (s)/ υ(s)

となる.

z(s)

k(s)

は合成財および資本の 投入量で,

l(s)

h(s)

は各産業の効率単位で測った労働(効率労働)の投入量 を意味する.なお,ψ(s),λ(s),ϕ(s),υ(s) はそれぞれの単位投入(すなわち生 産性の逆数)を表す.

いま

ψ(s)

λ(s)

の比率,および ϕ(s)

υ(s)

の比率を,各々

θ(s)

μ(s)

と書き,

この θ(s),μ(s) をタスク

s

に対して1階微分可能な減少関数と仮定する:

Z=x(s) β ds , x(s)= or . k(s) ϕ(s) h(s)

υ(s)

1

β

1

0

̃ Y=y(s) α ds , y(s)= or . z(s)

ψ(s) l (s) λ(s)

1

α

1

0

̃ (11)

(12)

̃ ̃

̃ ̃

(9)

a

(1-a)

Y

産業における合成財タスクと労働タスクの割合,

b

(1- b)

Z

産 業 の 資 本 タ ス ク と 労 働 タ ス ク の 割 合 と す る と, 上 記 の 仮 定 か ら

となる.

なお,Y産業および

Z

産業における賃金を W

L

,W

H

とおき,Z産業の生産し た合成財の価格と資本費用を

P Z

R

とすると,各企業が費用を最小化してい ることから,次の関係も成立しなくてはならない.

以上,

11

)式および(

12

)式に代入し,改めて生産関数を

と書く.また,

Z

K

L

H

は,それぞれ

μ(s)

≡ , μ'(s) ≤ 0 .

υ(s)

ϕ(s)

θ(s)

≡ , θ'(s) ≤ 0 ,

λ(s) ψ(s)

P Z θ(a), ≤ μ(b) . W L

R W H

̃ ̃

Z=

0

b k(s)

β

ds+b

1

( ) h(s) υ(s) ds

1β

(13) (14) Y=

0

a z(s)

α

ds+a

1

( ) λ(s) l(s) ds

1α

β

̃

α

̃

̃ ̃ Z=

0

a z(s)ds , L= ̃ ∫

1

l (s)ds .

a ̃

y(s)= z(s), s ∈ [0, a] , y(s)= l (s) / λ(s), s

[a, 1] , x(s)= k(s), s ∈ [0, b] , x(s)= h (s) / υ(s), s

[b, 1] .

K=

0

b k(s)ds , H= ̃ ∫

1

h (s)ds .

b ̃

(10)

と表される.

企業は各タスクの要素投入量に関しても利潤最大化(もしくは費用最小化)

を行っている.この利潤最大化の一階条件と(

13

)式および(

14

)式を利用し て整理すると,結局,それぞれの生産関数は

となる.

このように,

11

)式および(

12

)式で定義される

Task-based

モデルは,

CES

クラスの生産関数に帰着可能なことが確認できる.ただし,通常の

CES

生産関数では所与(一定)と想定されている分配パラメータ

Ψ

Λ

Φ

および

ϒ

が可変となり,選択される技術(資本・合成財タスクと労働タスクの割合)

に依存するようになる点は留意したい.つまり,各生産要素の成長に合わせて 選択される技術も変化していき,生産関数のフロンティア自体がダイナミック に変化することになる.

各要素に関する分配率は,一般的な

CES

生産関数と同様に

となり,また,それぞれの分配率の比率も,

と書ける3

Z= ( ) Φ(b) K

β

+ ( ) ϒ(b) H ̃

β 1β

, Φ(b)

(

0

b ϕ(s) ds

1-β

)

-1-ββ

, ϒ(b)

(

0

b υ(s) ds

1-β

)

-1-ββ

Y= ( ) Ψ(a) Z α + ( ) Λ(a) L ̃ α

1

α , Ψ(a)

(

0

a ψ(s) ds

1-α

)

-1-α

α , Λ(a)

( a

1

λ(s) ds

1-α

)

-1-α

α ,

τ( )

≡ =

P RK Z Z ( ) , 1- τ( )

≡ =

( ) ,

K Φ(b)Z

β

W H H

P Z Z H ϒ(b)Z ̃ ̃

β

( )

= P P Y Z Z Y ( ) , 1-( )

= ( ) ,

Z Ψ(a)Y

α

W L L

P Y Y

Λ(a)Y L ̃ ̃

α

S

≡ =

1- ( ( ) ) ( ) , T

≡ =

( )

α

Λ(a)Z ̃ Ψ(a)L

τ( ) 1-τ( )

ϒ(b)K

β

Φ(b)H ̃

(15) (16)

3 最終財Yをベースにした場合のKと Hの分配率は, (

̃ )τ( ) と ( )(1-τ( )) となる点に注意する.

(11)

Ⅳ.Task-basedモデルにおける均斉成長経路

前節の

Task-based

モデルの

BGP

を分析するにあたり,不必要な記述を避け

るため

ψ(s)

,λ(s) および

ϕ(s)

,υ(s) を次の関数で特定する:

 ψ(s)

1 , λ(s)

s

-

ε , ϕ(s)

1 , υ(s)

s

-

ν .

この特定化によって,

Ψ

Λ

Φ

ϒ

も次のように整理される:

次に,それぞれの変化率を

γ Ψ

,γ

Λ

,γ

Φ

,γ

ϒ

として,それぞれ計算する:

なお,aおよび

b

は,必ず

0

から1の間の値でなくてはならない.したがって,

a>0 および b>0 のときには, a

1 および b

1 となり,反対に a<0 および b<0

のとき,

a

0

および

b

0

である.このことを考慮して,改めて,

γ Ψ

γ Λ

,γ

Φ

,γ

ϒ

の長期的な状態を確認する.ここで,α

<0,β <0

と想定している 点にも注意したい.

a > 0

a

1

のケース

Ψ(a)=a , Λ(a)=

-1-αα

( a

1

s ds

1αε

)

-1-αα

, Φ(b)=b , ϒ(b)=

-1-ββ

(

0

b s ds

1β-νβ

)

-1-

.

ββ

γ Φ

=- Φ(b) Φ(b) ( ) 1- β ,

β b

b

γ Ψ

≡ =-

Ψ(a) Ψ(a) ( ) a a , 1- α

α

γ ϒ

= ( ) b , ξ

+1 .

ϒ(b)

ϒ(b) 1-(1- ν) β

β

1-ββν

b 1- b

ξ

β ν 1- β

γ Λ

≡ =

( ) a , ζ

≡ +1 ,

Λ(a)

Λ(a) 1-(1- ε)α

α

1-α

αε a 1- a

ζ

αε 1- α

γ Ψ >0, lim γ Ψ = lim γ Ψ =0 .

t→∞ a→1

a→0

γ Λ <0, lim γ

t→∞

Λ = lim γ

a→1

Λ = γ Λ ≤ 0 .

a→0

(12)

a < 0,a

0 のケース

b > 0,b

1 のケース

b < 0

b

0

のケース

それぞれの極限操作の際,0

/

0の不定型になるケースが重要な意味を持って くる.0

/

0の不定型となる場合に限り,極限値(長期的な値)が

0

以外の有 限な数値を取り得ることになる.

さて,生産関数(

15

)式と(

16

)式を時間微分することで,各生産要素およ び生産量の成長率に関する関係が導かれる.

17

)式と(

18

)式の主要部分は,明らかに(

7

)式と(

8

)式と同じもので

あるが,

Task-based

モデルの特徴として,γ

Ψ

,γ

Λ

,γ

Φ

,γ

ϒ

のパートも新たに

加わる点に注目する.生産要素量の変化と生産量の成長率の関係は,もはやそ

γ Ψ <0, lim γ Ψ = lim γ Ψ = γ Ψ ≤ 0 .

t→∞ a→0

a→0

γ Λ >0, lim γ Λ = lim γ Ψ = 0 .

t→∞ a→0

a→0

γ ϒ <0, lim γ ϒ = lim γ ϒ = γ ϒ ≤ 0 .

t→∞ b→1

b→0

γ ϒ >0, lim γ ϒ = lim γ ϒ = 0 .

t→∞ b→0

b→0

γ Φ <0, lim γ Φ = lim γ Φ = γ Φ ≤ 0 .

t→∞ b→0

b→0

γ Φ >0, lim γ Φ = lim γ Φ = 0 .

t→∞ b→1

b→0

̃ ̃

g Y =σ( )(g Z - γ Ψ )+ ( 1- σ( ) ) (g L -γ Λ ), (17)

g Z =τ( )(g KΦ )+ ( 1- τ( ) ) (g H - γ ϒ ) (18)

(13)

れだけで完結するのではなく,企業の技術選択の動向も重要な役割を担うこと になる.例えば,ある

1

つの生産要素の成長率だけが高まったとしよう.この とき,生産される財の成長率自体はもちろん上昇するが,一方で生産要素間の 成長率にアンバランスが生じる.一般に,このアンバランスは,これまで選択 してきた技術の生産効率を下げる.そのため,企業は別の技術を選択すること で,アンバランスな状態に対応しようと試みる.まさに,この対応のスピード こそが生産される財の成長率に影響を与え,かつ経済成長のバランスをとる力 になる.

(17)式と(18)式を踏まえて,改めて

BGP

の可能性を考察しよう.まず,

BGP

1

つの要件である「各生産要素が定率で成長する」点に注目する.いま,

g

g Y = g K = g Z

が成立しているものとして,

17

)式と(

18

)式を再整理すると,

2

つの条件式が求まる.この式を用いて,さらに「

g> g L

g > g H

」のケース,

および「g<

g L

,g<

g H

」のケースを場合分けしながら分析していく.

「g

> g L

,g>

g H

」のとき,(19)式と(20)式の左辺はマイナスの値をとらな くてはならない.ここで,長期的な状態においても,左辺がマイナスであり続 けることは可能である.つまり,

という状態が達成される.

他方,「g < g

L および g < g H

」のケースでは,(19)式と(20)式の左辺がプ

( ) γ Ψ +γ Λ = g L - g

1-( ) ̃

γ τ( ) Φϒ = g H - g

1-τ( ) ̃

(19)

(20)

̃ ̃

̃ ̃

̃ ̃

γ ( ) Ψ +γ Λ

γ Ψ or γ Λ

1- ( )

γ τ( ) Φϒ → γ Φ or γ ϒ

1-τ( ) τ( )

1-τ( )

( ) 1-( )

̃ ̃

(14)

ラスとなる.つまり,(g < g

L

に関連して)少なくとも γ

Ψ か γ Λ のどちらかが,

また(

g < g H

に関連して)少なくとも

γ Φ

γ ϒ

のどちらかが,各々プラスでな くてはならない.しかしながら,γ

Ψ

,γ

Λ

および

γ Φ

γ ϒ

の特性から,長期的な 状況でこれらの値がプラス値になることは有り得ない.つまり,(19)式と(20)

式は矛盾をきたす.結局,

g < g L

および

g < g H

」の場合は,

g Y = g K = g Z

が成 立することはない.

なお,「g=g

L

および

g=g H

」のケースでは,常に γ

Ψ =γ Λ = γ Φ =γ ϒ =0

となり,

g Y = g K = g Z

が成立することは明らかである.以上から,

という結論が得られる.つまり

Task-based

モデルでは,成長率が

g ≥ max( g L , g H )

の範囲の下

,

企業の「技術選択」を通して,生産要素および生産された財の成 長率の均等化が達成される.

次に,それぞれの分配率の変化を見ていく.

g Y = g K = g Z

が成立するとき,

果たして分配率は

0

から

1

の間の一定値に収束するのか.このことは,分配率 の比率

S

および

T

の動きを分析することで確認できる.まず,

S

および

T

時間微分して整理する:

いま,

a> 0

b > 0

ならば,γ

Ψ

0

,γ

Φ

0

となるので,このとき

S

および

T

の変化率はゼロとなり,それぞれ一定値に収束することになる.

以上から次の命題が得られる.

̃ ̃

̃ ̃

̃ ̃

̃ ̃

̃ ̃ g ≥ max( g L , g H ) ⇔ g Y = g K = g Z

̃

=β g- g H +γ ϒ - γ Φ =-β(1+T )γ Φ .

T T

=α g- ̃ g L +γ Λ - γ Ψ =-α (1+S)γ Ψ ,

S

S

(15)

命題(2 部門 Task-based モデルにおける BGP)

11

)式と(

12

)式で表した

2

部門

Task-based

モデルは,

α < 0

β< 0

のとき,

g ≥ max ( g L , g H )

の範囲で均斉成長経路を持つ.

Ⅴ.まとめ

長期的な経済成長を分析する際に,BGPに焦点を絞ることは極めて標準的 なスタンスであり,多くの研究でも取られてきた.しかしながら,BGP上の 分析をするためには,言うまでもなく

BGP

自体が存在しなくてはならない.

実は,この基本的なことが,分析で使用するモデルの選択を結果的に狭めてし まい,これまでの長期的分析の足枷となっていた可能性もある.

典型的には他部門成長モデルであろう.通常の新古典派型生産関数を前提と する場合,実効労働量の成長率が部門(産業)間でバランスするような何らか の“仕組み”を導入しない限り,

BGP

に焦点を当てた長期的分析は原理的に 不可能となる.そのような中,本研究では,

Task-based

モデルによっても2部 門成長モデルで発生する分析上の困難さが解消可能である点を明らかにした.

Task-based

モデル自体,未だ発展途上ということができるであろう.企業によっ

て成される「技術の選択」という要素がモデルに新しい機軸を与えており,そ の機軸が分析を如何なる方向に導くのか,今後も詳細な解析をしていく必要性 がある.

参考文献

Acemoglu, Daron and Pascual Restrepo (2018) The race between machine and man:

Implications of technology for growth, factor shares and employment. American Economic Review 108, 1488-1542.

Nakamura, Hideki (2010) Factor substitution, mechanization, and economic growth.

Japanese Economic Review 61, 266-281.

Nakamura, Hideki and Masakatsu Nakamura (2008) A note on the constant-elasticity- substitution production function. Macroeconomic Dynamics 12, 694-701.

̃

̃

(16)

Nakamura, Hideki and Joseph Zeira (2019) Automation and unemployment: Help is on the way. Mimeo.

Zeira, Joseph (1998) Workers, machines, and economic growth. Quarterly Journal of Economics 113, 1091-1117.

中村勝克(2010)「新古典派生産関数とレオンチェフ型生産プロセス」『商学論集』

78,4,95-111.

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