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!危機! 世界自然遺産ガラパゴスの昔と今 伊 藤 秀 三

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第3回長崎大学環東シナ海海洋環境資源研究センター市民講演会“危機遺産ガラパゴスの昔と今”

長崎大学総合教育研究棟/多目的ホール(2008/2/16)

!危機!世界自然遺産ガラパゴスの昔と今   伊 藤 秀 三  

(長崎大学名誉教授)

 要 旨   

ガラパゴス諸島に日本人がかかわった歴史をまず振り返る。1932年、朝枝利男はカリフォルニ ア科学アカデミーのテンプリートン・クロッカー探検隊に参加し、日本人として初めてガラパ ゴスの土を踏んだ。このとき、当時は未踏だったサンタクルス島の最高峰(のちにクロッカー山 と名付けられる)に初登頂。第二次大戦後1959年、ダーウィンの「種の起源」発刊100年を記念 して、東京水産大/海鷹丸に研究者9名が調査を行う。1964年、カリフォルニア大学のGISPに 私が参加した。このあと個人的な調査研究がいくつか行われた。1999~2001年、PECCによる エコツーリズム調査が行われる。2004年~、JICA海洋環境保全プロジェクトが続く。

ダーウィン研究所(1964)と国立公園管理局(1968)が設立され、陸域97%の国立公園区域と3%

の居住農耕区域の境界が定められ、1974年の国立公園基本計画にエコツーリズムが組み込まれ てから、21世紀へ尾を引く変化が始まった。まず自然景観や野生動植物をお目当てにしたエコ ツアーが世界的な評価を得て探訪者が急増し、それに伴う経済活動が職業機会の幻影を生み出 し、人口の流入、にわか漁民を生んだ。同時に外来動植物が急増し、その大部分は居住農耕区 域の中にあるが一部は公園区域にも侵入してきた。この期間、未整備だった居住環境は整えら れ、道路は舗装され、電話も諸島内外に通じたが、廃棄物や排水の処理は整備途上である。

1987年、ダーウィン研究所ではガラパゴス植物学WKSが行われた。そのとき私は、植生研究 の結論の一つとして、海抜600mの高地に樹木が生育せず自然草原が発達する理由として、高 地環境が過乾燥と過湿潤の両極に揺れること、そのような環境に耐えうる樹種が自然渡来して いないことをあげ、樹種によっては草原にも生育可能との仮説を述べた。このことは1990年 代後半、外来樹種シンチョナの草原への侵入によって不幸にも立証された。本種は固有種ミコ ニア低木群落、固有種スカレシア高木群落にも侵入し、また外来キイチゴと外来ジャケツイバ ラの1種は林縁にマント群落を形成し、スカレシア林の中にも侵入し始めている(2005年現在)。

国立公園管理局とダーウィン研究所は、野生化していたウシ、ロバ、ヤギの駆除(イサベラ・

プロジェクト)をすすめ、2006年に完了させた。その途上においては、固有植物を柵囲い保護 して野生化動物による食害から護った。しかし1990年代になってもカエル1種、ハチ2種が帰 化している。帰化植物の完全駆除は容易ではないが、ダーウィン研究所は駆除方法を開発し、

メディアルナ山からはシンチョナを駆除し、2種のキイチゴは農耕地区だけに帰化していた段 階で完全除去した。エルフンコではミコニア群落を、サントトマスではスカレシア・コルダー タ高木林を植栽復元させた。ベラビスタでは民有地のなかでスカレシア・ペデュンクラータ高 木林の復元が日本ガラパゴスの会/ダーウィン研究所の共同事業として進行中である。

外来樹種の国立公園区域への侵入が起きているのは、幸いにも人が居住する4島の居住農耕区 に接している箇所だけである。無人島では外来樹種の侵入はない。そこでは、ダーウィンが見 たであろう無垢の自然と生物をいまでも見ることが出来る。半世紀にわたって国際的な支援と 拠金で保護が図られてきたところは、世界にガラパゴスしかない。ガラパゴスからダーウィン は生物進化論の着想を得たし、グラント夫妻はフィンチの進化機構を解明し、バジェはコバネ ウの繁殖生態で世界を驚かせ、新たな DNA 解析は固有属植物ダーウィニオタムヌス(ダーウ

ィンの灌木の意)の起源と進化に光を当てた。ガラパゴスは、人類が汲み出すべき知の源泉で

あり、自然の実験室/研究室であり、自然博物館であり、思索と感動と興奮の場であり続ける であろう。

使用映像は長崎大学附属図書館画像 DB.http://gallery.lb.nagasaki-u.ac.jp/galapagos

参照

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