ヨーロッパ法律情報検索システム事情(飯山)145
《資料》
ヨーロッパ法律情報検索システム事'盾
飯山昌弘
はじめに
本稿は、ヨーロッパ諸国における法律,条令,政令などの法令情報,およ び判例,法律関連文献などの法律関連情報の検索・提供を行う法律情報検索 システムの発展状況を紹介するものである。わが国においても,従来から総 務庁の法令検索システムが稼働していたが,その利用は行政機関にのみ制限 されていた。1993年になって漸く,総務庁保有の法令情報磁気テープを総務 庁の外郭団体である㈹行政情報システム研究所が貸出しを受け,この研究所 を介して一般民間への情報提供が実施されるようになった。しかし,ここで 提供される情報は、あくまで法令原文情報であり,判例,文献情報などの提 供は行われていない。そこで,筆者がヨーロッパ諸国の法律情報検索システ
ムの調査を行った際の記録を資料としてここに掲載することとした。
わが国では米国についての情報はかなり正確に把握されている一方,ヨー ロッパ諸国の状況については十分な情報収集が行われていないのが実情であ る。そこで筆者は、ヨーロッパ諸国における法律情報検索システムの発展経 緯と現状についての現地調査を行った。先進事例を学ぶという点では米国に 関する情報が重要であることは言うまでもないが,米国以外の様々な社会的,
経済的,文化的条件の中でこの種のシステムがいかなる発展経緯を辿り,い かなる条件の下でいかなるシステムが開発され,定着するに至ったかを検討 することは,この種のシステムの発展の過渡的事例という点で,および,通 文化的比較研究という点で極めて重要な意義をもつ。この意味ではヨーロッ
146
パ諸国の法律情報検索システムに関する情報は多くの示唆をわれわれに与え てくれる。
いかに米国主導のコンピュータ文化といえども,個別の目的別システムの 発展経緯は必ずしも米国を最先端とした-本道ではあり得ず,各国の社会的 条件(特に法文化の相異)により様々な経緯を辿り得るものである。それに より,当該システムの有する意義は相対的に異なるものとなる。この意味で、
目的別のコンピュータシステムの在り方については常に反省的であらねばな らず,複数の国々のこの種のシステムの研究を行う意義もここにある。この ことを顧みると、わが国におけるヨーロッパ諸国の法律情報検索システムに 関する情報は,一部誤情報も含め満足できる状況にない。これが,今回の調 査実施の動機であり目的である。ここでは,システム紹介は一部について概 略的に行い,ヨーロッパ諸国における法律情報検索システムの発展経緯を中 心として述べることとする。
ドイツ(JURIS)
1開発経緯
ドイツにおいて中心となる総合的な法律情報検索システムは,ザールブリ ュッケンにセンターが所在するJURIS(機関名,システム名ともに同名)で ある。このシステムは,1972年から連邦司法省を中心に開発の検討が進めら れ,1978年から稼働を開始し,現在は1985年司法省から独立した官民合資の 有限会社形式の機関により運営されている。米国の同名のシステムとは開発 段階,現在の運営ともにいかなる関係もない。
データベースの範囲は,判例,法令,法律関係文献である。判例は,連邦 最高裁判所判例の全文,その他の判例についての要旨が入力されており,制 定法に関しては,連邦税理士会が設立したDATEVが税法中心の専門分野デ ータバンクであるのに対し,このシステムは,1963年に司法省により制定法 のグループ分けの作業が行われたのを受けて,ほぼ法分野全域にわたる入力 が行われている。法律文献は,1977年以降の法律専門雑誌130誌掲載分の文
ヨーロッパ法律情報検索システム事情(飯山)147
献が入力されている。このようなデータベース構築の背景には,このシステ ム開発以前に連邦裁判所のデータがカードの形ですでに整理されており,そ れを加工してシステム化することが可能であったという有利な条件が存在す る。
2JURISの役割
JURISの端末は,裁判所,行政機関,大学,一般ユーザー(弁護士事務所 等)に設置され,有料でサービスが提供されている。各ユーザーとはJURIS が直接契約する。従って,JURISの役割はデータベースのプロデューサーお
よび,それをユーザーの利用に供するためにアレンジし配給するベンダー,
ディストリピューターを兼ねるものである(ネットワークは既存の外部ネッ トワーク網を用いる)。この点,後述するフランスの場合と異なり,一つの 機関が当該のデータベース・オンラインシステムの全過程を担当するわけで ある。フランスには様々な分野の情報プロデューサーを総合的に管理し,効 率的な情報提供を目標とする有機的な統合システム(メタ・システム)とし ての機関が設立されており,現実に様々な分野のデータベース・プロデュー サーと末端のユーザーを結ぶ複合的システムが作動しているので、その中で 各個別の機関は自己に割り当てられた特殊専門化した役割を果たせばよいの に対し,ドイツには,まだそのような「システムのためのシステム」は存在 せず,単一の機関が情報提供に至るまでの様々な段階の特性の異なる役割を 負うことになる。この点も,効率的な情報提供システムの在り方にとって考 慮すべき点である。
JURISはデータベースのプロデューサーであるが,入力されるデータは司 法関係のデータであるため,独自にデータの構成を行っているのではなく,
外部(主として裁判所)により編集されたデータを入力している。判決の要 約に関しても外部データである。
3利用・運営状況
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JURISの主たる利用者は,裁判所,行政機関,弁護士事務所であり,利用 頻度もこの順である。裁判所が判決形成にあたりいずれかの段階で過去の類 似の事例を参照したり,行政機関がその活動にあたり関連する,または抵触 する可能性のある法令,判例を検索するのが主な利用目的である。この機関 は,一応,司法省から独立した民間機関であるが,依然として,利用状況か ら見ると政府の情報検索システムであるというのが実態である。
この機関の採算性は,発足当初は極端に低いものであったが,近年徐々に 採算率が上昇してきており,現在は約70%の採算率である。残りの30%は国 と民間企業からの補助金で賄われている。但し,ユーザーからの売り上げ収 入の中心は公的機関との契約による顧客収入であり,これは結局,政府予算 の支出であるから,この点からもこの機関は,運営形態を非政府機関とした が実質的には政府運営機関である。この種のシステムの利用公開のためには,
このような制度を創設することにより各種の問題が解消されるという意味が ある。この点は,わが国にとっても参考となる点である。しかし,この民営 化は,前述の利用状況から見ても,法律情報検索システムへの民間需要が増 大してきたことを意味するわけではない。JURIS自体も,当面,完全商業ベ ースに乗る見込はないとのことであり,JURIS以外に同種のシステムを民間 商業ベースで運営する企業の出現の可能性もないとのことである。
4将来展望.まとめ
これまでのところ,ドイツにおけるJURISの普及度は当初予想されたほ どではない。成文法国家という性格上.法律情報検索システムへの社会全体 としての需要にも限界があり,また,この種のシステムが高度に発達して定 着している米国と比較して,市民生活と法との距離,市民の法へのアクセス,
といった言わば社会構成員の法意識,法行動という点からも,ドイツにおい てJURISに限らず今後,この種のシステムが急速に発展する可能性は低い。
当然,同種のシステム間の市場的競争も皆無であり,市場的競争を通じての 優良システムの選択的発展も望めない。ドイツにおけるこの種のシステムの
ヨーロッパ法律情報検索システム事情(飯山)149
発展にとっての臨界点はまだ先のようである。
わが国と法体系,法状況ともに類似した点の多いドイツにおける法律情報 検索システムの現状を見ることは,わが国にとって参考となる点が多い。ま た,コンピュータ文化の継承国(米国を発祥の地とするならば)における過 渡的状況という点からも意義は大きい。日本においても,現在の総務庁の法 令検索システムの利用を公開するにあたって,ドイツのJURIS方式は参考
となる点が多い。
なお,JURISはオンライン・システムのほか,CD-ROMによる法律情報 のサービスも行っている。
今回の調査にあたり,ヨーロッパの法令検索システムに関する情報が余り にも不足していたため,どの国にいかなるシステムが存在するのか,そして そのシステムを運営する機関がいかなる機関でどこに所在するのかという基 礎的情報を得ることが非常に困難であり,そのため,調査先を捕獲しコンタ
クトを取るのに苦労を要した。システム紹介をしている一部の文献にも,機 関の所在地等の事実データーの記載が欠けている。研究および実務的活動に とって,この点は改善されるべきである。
JURISの所在地等は下記のとおりであるが,ここは首都からかなり離れた 都市である。この種のシステムは必ずしも首都に設置される必要はなく,本 来,情報化のメリットはこのような地理的距離のハンディを克服しうる点に ある。そして,そこに情報化が生み出す付加価値が生じるのである。この地 に設置されたのは政策的,政治的な決定によるとのことである。情報システ ムセンターの在り方として,この点も参考にすべき点であろう。
jurisGmbH:Gutenbergstraβe23,6600SaarbrUcken TELO681-5866-O,FAXO681-5866-239
フランス l概況
フランスで現在,最大の法律情報関係のデータベースはCentreNational
。,InformatiqueJuridique(CNIJ)が保有するデータベースである。CNIJは,首 相府に付属する国立の機関である。フランスの場合,後述するように,様々 な分野の数多くのデータベースがベンダーを通じ複合的に検索可能であり,
その全体が情報検索システムを形成している。従って,法律情報検索システ ムが独立して存在するのではなく,全体の情報検索システムへ参加する個別 のデータベースという形で存在している。CNIJ保有のデータベースも特定 のベンダー(CNIJの場合はQUESTELPLUSdeTELESYSTEMESというベン ダー)を通じネットワークへ放出され,各ユーザーへと情報が提供される (図1参照)。CNIJは純粋にデータベースのプロデューサーの役割を専ら果 たせばよい。
図IPASCAL-DBを例とした情報アクセスの概略
ofthePASCALda垣b②se
OUESTELPASCALDATABASE VENDOR
AccessIeveIsprocedures:exampIe
TRANSPAC NETWORK USER
己
TRANSPAC accessTeI・No.
Add尼ssofvendo「
onTRANSPAC
UsersidenliIynumber:12345:67
Nameofbank:
BAPASCAL
300bds:36-O1-91-OO 1200bds:3eOO-91-22
・Passwom:BAPASCAL ABCD
lO60ZIOO10 o「1060,00011
CNIJのデータベースの範囲は,制定法,行政命令,通達・訓示,行政教 書,憲法評議会の決定,行政最高裁判所と破段院の判決,破殻院の判例法,
国際条約・協定,などであり,ソース文書数は現在40万以上になり,それら につき原文全文入力および註釈がつけられている。入力文書数は毎年,4万 から5万文書ずつ増加している。
CNIJの所在地等は下記のとおりである。
ヨーロッパ法律情報検索システム事情(飯山)151
CNIJ:26rueDesaix,75727ParisCedexl5 TEL(1)45-75-62-52
2複合的情報検索システム
法律情報検索システムに限って言うならば,フランスは他のヨーロッパ諸 国に比較して特に注目すべき国というわけではない。同じく成文法国である 前述のドイツの場合とその普及度,利用状況なども大差ない。しかし,フラ ンスは統計,情報といった分野では歴史的にも確実に先進国であり,それを 反映して現時点での各種の情報の公的機関および民間の利用のためのシステ ムの整備という点では恐らくヨーロッパ随一の国である。
フランスにおいては,様々な分野(後述)の情報につきデータベースを構 築するデーターベース・プロデューサーが個別に存在し,それをユーザー向 けにアレンジし情報配給のサービスをするベンダーと契約関係で結ばれてい る。そしてそれが、実際に情報を伝達する手段を提供するネットワーク網と 連結され,全体で複合的な情報検索システムが形成されている(図2参照)。
包含されるデータベースは,原データの指示などの目録的および記述的デー タ,企業住所リストなどの事実的データ,各種文書に関する原文データ,お よび図表,統計,指標などの数量的データのカテゴリーに分類される。CNIJ も,国立の機関ではあるが,法律関係の原文データベース・プロデューサー の一企業体としてその中に組み込まれている。
これらが完全に商業ベースで成立しており,全体の情報提供システムの中 て各機関はそれぞれの専門の業務を遂行すればよい。一口で情報検索システ ムと言っても,個別の分野の内容に関わるデータベースの構築および管理と,
それをアレンジしユーザーの利用に適した形の適用プログラムを作り上げる 作業,およびそれを各ユーザーに販売する市場開発的業務とではその業務の 特性を全く異にするものである。それらの分業が有機的に,しかも民間の商 業ベースで契約関係によりシステム化されている点がフランスの情報検索シ ステムの最大の特徴であり優れた点である。
図2フランス情報検索システム概略図
nlEPRODUCER
lHEVENDOR
●Loads訂msIomsIhe
d日Iabasos仇Ucmpu-Ier
●Mana9essowcodOc
wn制WaIm1mW1e Cm印UIB「
●曰、OSC則矧jIlhPco.
、puIer劃則docme‐
maHysohwaIDmo
seVvねe
THEDISTRlBUTOR
●MalkelSIheSySOem
●H釘則ねsImm”
●H制PS崎elsbm9 sysI劇nGmm0,1画耐CS S印PC、■MaI1eIsa伯s
sew粕e
●Ga陀尼,SeIecls,UmiI砲5,叩daIes,
副恒lYses
●Pmco9s9sd副a劃刈p旧paIDswIapes
Io「IhevO爪粕「
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●●Rb由紀l取1oIdoCUmenls
byかIocmPoSnmLnWc7Mmls ○○
cm、10「
NEWYORK
●T引e帆、GI圃函THSSml
●Swmd町dnotw画k
●TdeconwmrDr剣西0七ms mlwo術s
(TRANSPAGTELETEL)
●TOI印 THEUSER
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●鰊Ii画I鴎or
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旦互
≦≦
Ⅱ、/
ACCESSTOSOURCEDOCUMENTS
LibraIies ProduucersofDnInbn廷
Publisl淀1s SpeciaIizedCenters
ヨーロッパ法律情報検索システム事情(飯山)153
また,各データベースに対する社会におけるニーズにはばらつきがあり,
従ってデータベースのもつ市場的価値も分野ごとに大きく異なる。一般に新 たな分野のデータベース構築に要する初期コストは膨大なものであり,将来 の需要拡大に関しても正確な予測は困難であるので,市場的ニーズの熟成を 待ってそれに見合う分のみコスト投資することでは実際の使用に耐える優れ たデータベース構築は望めない。法律情報の場合も決して他の分野に比べ社 会のニーズが高いわけではなく,市場的価値を裏付けとして発展させるのに 適した分野ではない。フランスの現行の複合的情報検索システムは,これら のばらつきを適度に分散させ,短期的にある分野のデータベースの保護育成 を行い,長期的に総合的な情報システムを整備発展させるという,情報シス テムにとっての自己増殖機能をもつものと言える。この点も,フランスのシ ステムの大きな利点の一つである。
以下に,CNIJを含めた法律関係のデータベースおよびデータベース・プ ロデューサーのリストを掲載する。
Droit/Law
・BasedebonneesPyrenccs
・BIP
・Cnij
GroupementScientifiquelsard CentrelnterdcpartemcntaldeGestion
CentreNationald'Informatique(CNIJ)/Europecne
deDonnecs
ANIC/ConscilSuperieurduNotariat(Cs.N)
Lascrmedia
AssembicePermanentedesCbambresdeCommerce
etdTndustrie(APCCI)/ChambresdeCommerceet d,IndustriedeBordeauxctdeParis
EuropeennedeDonnecs
CridonParis/ConseilSuperieurduNotariat(C SN)
・Diane
・Diocles
・Docpratic
EuropeennedeDonnecs Fichierdedocumentation
juridiqueduCridondeParis .F、LAConsultants
・Francis
F、LAConsultants
lnstitutdel,InformationScientifiqueetTechnique (INIST)
154
・FrancisLefebvreActualitesEditionsFrancisLefebvr
・JoelDirectiondesJonmauxOfficiels
・Jouve Jouve
・Juridoc lnstitutdeRechercheetd,EtudepourleTrait3nent del,InformationJuridique(IRETIJ)
・Juris-data,SydoniEuropeennedeDonnces
・Resadec Resagri
Droitdesaffaires/CorporateLaw
・CnijCentreNationaldTnformatiqueJunformatique Juridique(CNIJ)/EuropeennedeDonnces
・Diocles Lascrmcdia
・Docpratic AssemblcePemanentedceChambresdeCommerce etdTndustrie(APCCI)/ChambresdeCommerce etd'IndustriedeBordcauxetdeParis
.F・LAConsultants F・LAConsultants
・FrancisLefebvreActualitesEditionsFrancisLefebvre
・IEco ChambredeCommerceetd,IndustricdeBordeaux
・Juridoc lnstitutdeRechercheetd,EtudepourleTraitement del'InformationJuridique(IRETIJ)
・Juris-data,SydoniEuropeennedeDonnces
・TAXEditionsFrancisLefebvre Droitsocial/Sociallow
・CnijCentreNationald,Informatique(CNIJ)/Europec-
nnedeDonnecs
・Docpratic AssemblcePemanentedceChambresdeCommerce etdTndustrie(APCCI)/ChambresdeCommerce etd'IndustriedeBordcauxetdeParis
。F・LAConsultants RL・AConsultants
・IEco ChambredeCommerceetd,IndustricdeBordeaux
・Juridoc lnstitutdeRechercheetd,EtudepourleTraitcmcnt del,InformationJuridique(IRETIJ)
・Juris-data,SydoniEuropeennedeDonnces
・RecueildesfichespratiquesCentrelnffo delafomationcontinue
.SOCEditionsFrancisLefebvre
Droit,Legislationetreglemetation,jurisprudence/Law,legislationandstatutes,
caselaw
・CnijCentreNationald,InformatiqueJuridique(CNIJ)
ヨーロッパ法律情報検索システム事情(飯山)155
3システム管理のためのシステム(GFFIL)
さらに,フランスには上述のような情報システムをより有効に機能させる ための機関が設立されており,それが現動システムの運営と有機的に連結し て,言わばメタ・システム(システムのためのシステム)として作用してい る。政府民間の会員から成るフランス・オンライン情報供給者協会(GFFIL GroupementFrancaisdesFournisseursd,InformationenLigne)という機関が
この役割を果たしている。
この機関は,まず,1979年にフランス・データバンク・データベース・プ ロデューサー協会(GFPBBD)として発足し,徐々にその活動がデータベー スの企画開発に関することにまで拡がったのに伴い,1985年に現在のGFFIL に改編された。この機関の主な目的と活動対象は以下のとおりである。
・国内,ヨーロッパ社会,国際社会におけるフランスのデータベースの 生産,振興,および供給の促進
・オンライン情報供給者にとっての共通の問題の処理
・それらを各供給機関やユーザー,および政府やECの諸機関に提示す
ること
・情報産業の創設と発展にとっての理想的な条件の探求
・EC統合市場へのフランス・オンライン情報供給者の参入の援助,促 進
・国内的,ヨーロッパ的,国際的規模における,新技術と情報商品およ びサービスの開発と利用の援助
(GFFIL資料より)
現在,100を越える政府および民間機関の会員を有し,包括的な分野をカ バーする約200のデータベースが包括されている。毎年,各種の国内,EC,
国際会議に参加したり,政府の方法政策の支援活動,データベースの企画・
マーケティングに関する研修,など積極的に活動を進めている。また,常設 のデータベース展示場を有し,1986年以降は,増大しつつあるCD-ROMに
156
対する要求への対応も推進している。この機関は,一国の情報検索システム の全体像を統括的に把握しているという点で,重要な意義をもつ。なお,こ の機関は非営利機関である。
GFFILに加入しているデータベースの分野は以下のとおりである。
Curretevents/Administration/Aerospace/Agriculture/Agricultureandfood processingindustry/Agmnomy/Foodsector/Nationaldevelopment/Archeolgy/
Architecture/Armaments/Art/Databaseassistance/Audiovisual/Automation/
Bank/Connstruction-publicworks/Bibliography/Librarymanagent/Library/
Biotany/Stockexchanfe/Patents/Noise/Computerizationtechniques/Certifi- cation/chemistry/Localauthorities/Trade/Internationaltrade/Accounting/
NationalAccountingdata/Seminars/Economicsituation/Corrosion/Company consultancy/Culture/waste/Defence/Population/Documentation/Bibliogra‐
phicalfiles/Generalscientificfiles/Law/Corporatelaw/Sociallaw/Law,
legislationandstatutes,caselaw/Water/Ecology/Economy/Publishingelc‐
tronicspublishing/Education/Electricity-electronics-LoansEnergy/Chidhood/
Companies/Companyindex/Environment/Ergnomics/Ethics/Ethnology/
Finance/Taxation/Training/Fruit/Geography/Geology/Management/Human resources/Onlinevendorsactivities/History/Realestate/Importexport/
COmmercialandfinancialinformatio、/Practicalinformation/Solvencyinforma- tion/Dataprocessing/Innovation/Youthjurisprudence/Laboratory/Languages/
Letters/Technicalliterature(reprots)/Software/Specialisedrelationaltextual software/Leisure/Markets/Tradenames/Marketing/MasteringMaterials/
Mathematics/Mechan-icalindustries/Medici、e/Metllurgy/Metrology-quality/
Standards/Nuclear/Nuisances/Oceangraphy/Odontology/Parliament/Deve lopingcountries/Oil/Chemistry/Philosophy/Photography/Physics/Multidisc iplinary/Politics/Pollution/Press/Replication/Onlineinformationprovider/
Industrilproduct/Businessproposals/Research/Region/Technicalregulations/
Religions/Health/Industrialknowhow/Humanitiesandsocialsciences-Engine-
ヨーロッパ法律情報検索システム事情(飯山)157
eringsciencesandtechniques/Secutitytoxicity/Ironandsteelindustry/Sociol ogy/Welding/Subcontracting/Sport/Statistics/Informationtechnology/
Telecommunications/Tele-matics/Terminology/Texrism/Translation/Word processing/Technologytransfer/Transportation/Labor/Townplanning/
Vocabulary/Wine/Zoology イギリス
1概況
イギリスは,ヨーロッパ大陸諸国と異なり判例法国であり,判例に関する 検索システムへの需要は比較的高いものと思われるが,今回の調査を通して 得られた情報では,他のヨーロッパ諸国と比較して特にそのことにより法律 情報検索システムの開発が進んでいるということは見出せなかった。イギリ スには,イギリス独自の開発によるEUROLEXというシステムが1980年よ り稼働していたが,これはEC法と英法,およびEC内各国法に関する法律 情報システムであり,今後,ヨーロッパにおいては,このシステムが中心と なって法律情報検索システムが普及,発展してゆくものと思われていた。こ のシステムについてはいくつかの既刊出版物にもヨーロッパにおける特筆す べきシステムとして紹介されていたが,今回の調査の結果,このシステムは 九年前に既に消滅しており,そのデータベースも他の機関に発展的に継承さ れたわけではなく,このシステムの開発運営の企画自体が完全に失敗に終わ
っていたことが判明した。現在,商業ベースで,かつ実用レベルで作動して いるシステムは,米国ミードデータセントラル社のLEXISの英国版のみで あり,この他,ローテル社によるLAWTELというシステムがあるが,これ は要旨入力の小規模システムであり,また,LEXISへの接続をサービスの一 部に含んでおり独自の完結したシステムとは言えない。現在,いくつかの大 学法学部図書館が手頃なシステムとしてこのシステムの導入を検討している
という。
LEXISを運営しているバターワース社とローテル社の所在地等は以下のと
158
オきりである。
ButterworthTelepublishingLimited:
4-5BellYardTempleBar,London TELO1-404-4097,FAX95678 LawtelMarketingLimited:
46BedfordRowLondon TELO1-430-0776
2LEXISの発展,EUROLEXの消滅の経緯
LEXISについては,米国LEXISのシステム紹介が各所で行われているの で,重複を避けるためシステムの紹介は行わない。イギリスのLEXISもシ ステムそのものは米国のものと全く同じであり改めて特記するべきことはな い。ここでは,イギリス国内においてEUROLEXが存続できず,LEXISが生 き残った経緯を中心に述べる。
LEXISを運営しているのは,イギリス有数の出版社であるバターワース社 である。また,EUROLEXを開発運営していた機関も法律関係の出版社であ るヨーロッパ法律センター社であった。いずれも民間企業であり,ドイツ,
フランス,日本などが政府指導型で進められたのに対し,イギリスの場合は この種のシステムの発展が直接に市場的淘汰の波を受けてきた。EUROLEX は,将来の市場的需要を期待してシステム開発のための投資が行われたわけ であり,当然,その初期投資は将来の不確実性を受けて制限されたもので あった。結果としては,この制限がEUROLEXのその後の運命を決定した。
LEXIS関係者によると,EUROLEXの失敗の最大の原因は,そのシステムと データベースの貧弱さにあったとのことである。
他のヨーロッパ諸国と同様に,イギリスにおいても法律情報検索システム への需要は,その膨大な初期コストを支える程には熟していない。民間企業 で開発されるならば当然,そこで開発されるシステムは,その需要に見合っ た分プラス将来的可能性,そしてそれに一定の危険率をかけたものとなる。
ヨーロッパ法律情報検索ソステム事情(飯山)159
ところが一方,需要が低いといっても,それは全体としての利用者の数や法 律関係業務の性質の点からいまだ需要が高まっていないということであり,
現にそのシステムを使用するユーザーの個々の要求水準が低いということを 意味するわけではない。実際の使用に耐えるには,やはり相当規模のデー タベースと優れた利便性を有したシステムでなければならない。この点,
EUROLEXに余りにも不利に,そしてLEXISにとって圧倒的に有利に作用し た。
LEXISはベターワース社の独立部門会社によって運営されているが,その 組織は予想より遙かに小規模のものであった。LEXISは既に米国で成功して いるシステムであり,システム開発のための新たなコストは必要なく,徹底 した低コストで優れたシステムの稼働が可能であったわけである。また,相 当部分のデータベースを引き継ぎ,新たなデータベース構築のための最小限 の費用を投入するだけで大規模のデータベースを保有することができた。
LEXISにとってEUROLEXは競争相手ではなかった。LEXIS関係者によると,
イギリスにおいて現時点までLEXISにとっては市場的競争は存在しなかっ たとのことである。また,米国とイギリスが言語の点でも法体系の点でも共 通性をもっているという条件もLEXISにとって幸運であった。
LEXISは,巻末に掲載するような広範な全文入力のデータベースを有して おり,それはイギリスの現時点での需要水準を遙かに超えるものである。現 在,イギリス関係のデータベースはベターワース社が作成し更新を行ってい る。その他の部分は,米国のメインシステムから常時オンラインで更新され 続けている。
なお,今後の可能性として,現在の検索システムが発展し,一種の法律エ キスパートシステムとして具体的問題の解決の役割を果たすようになるかと いう点については,LEXIS関係者によると否定的であった。
3LEXISの現状・阻害要因
LEXISのユーザーは,ソリシター,ベリスター,の法律事務所,会計士事
160
務所,国・自治体の法律関係部局,会社法務部,大学法学部などであり,現 在のユーザー数は約900である。バターワース社はLEXISの普及,啓発のた めにLEXIS研修コースを常設し,需要の開拓を図っている。現在のユーザ ー数は,通常この規模のシステムをゼロから開発し運営するならば,決して 十分な数ではない。しかし,前述の理由から,イギリスLEXISはこのユー ザー数で採算はとれているという。ただし,米国のLEXISが信じられない 程の(関係者談)利益をあげ,完全な利潤追求産業になっているのとは比較
しようもない。
イギリスにおける法律情報検索システムの普及発展を阻害している要因は 様々考えられるが,その-つとして利用料金が依然としてかなり高額である 点があげられる。システム利用のための基本料金として年間5000ポンド必要 であり,少なくとも現時点では,例えば法律事務所がこの費用投入に見合っ た便益をそこから得ることができるとは一般的には考えられていない。また,
個別の担当事件に要する法律情報の検索費用をソリシターとバリスターのど ちらが負担するのかについても問題が残り,この点も間接的要因になってい る。
また,同じく判例法国である米国ではこの種のシステムが高度に発展し益 々その需要が増大しつつあるのに対し,イギリスにおいては,今後,急速に 発展することを予期させる要因が見られない点を考慮すると,この種のシス テムの発展普及にとって,判例法国であるということは決定要因ではないよ うに思われる。判例法国といっても,米国,イギリスともに既に実体として は制定法国であり,法律情報検索システムの発展普及をこの点から比較する ことは余り意味をもたない。米国には,コンピュータシステムそのものの基 礎的蓄積と文化への浸透が既にあり,また,連邦制による多元的法構造とそ の中での州際的商業活動の必要上,この種のシステムの利用価値は高い。基 本的には,企業活動や市民活動における法使用の在り方および,各種の紛争 処理の際の処理様式の在り方(どの程度法指向的紛争処理であるか)などの 広い意味での法文化の問題と,そしてそれらがどの程度金銭的な価値尺度と
ヨーロッパ法律情報検索システム事情(飯山)161
結びつきこの種のシステムの市場的価値を高めるかということが重要な要素 である。この点では他のヨーロッパ諸国と同様,イギリスにおいてコンピュ ータ支援による法律情報検索システムを社会一般および法律事務が強く求め ているとは言えない。この意味では,ヨーロッパは依然として保守的であり,
法律家の仕事も職人的要素をいまだ強く残している。
調査総括
これまで見てきたように,ヨーロッパ各国は少なくとも商業ベースでの法 律情報検索システムへの需要は高くない。従って,市場的価値を基礎とした この種のシステムの開発には限界がある。この点はわが国も同様である。一 方で,真に実用化に適したシステムであるためには,米国の既存のシステム がもつ機能水準が要求される。この矛盾を含んだ状況においては,米国以外 の国において民間商業ベースでこの種のシステムを自力開発,発展させてゆ くことにはかなりの困難を伴う。それゆえ,今後,米国以外の国でもし純粋 に商業ベースで実用化が進められるならば,米国のシステムを転用すること によるコストダウンを図って,またはそうしない場合には市場的に淘汰され て,必然的になお一層,この分野における米国中心の核構造が強まるものと 思われる。
資料:イギリスLEXISのデータベース一覧
’疽亙ns
10SelectedOueenSBalchComme「coaICouncases(no(e3)
11SelectedWmTibunalcases(noIe3)
12TTanscrlptsolEngIishcases(HlghCou『IC『a、'e)尼portedor
sunvTEnsedInIheIoIbwlngiournaIs(sub陣IIoavaoIabIIIIy)
Busi吃ssLawB「ね(InsdvencyI「WelIigs1ce BusⅡy巨雲LawRev鱈wInIeI幅ctuaIPropenyNewsIeuer Busw昭ssl3xReⅥewInlemaIbnaIComparalIvcLaw ButteMDnhs、JoumaIoIOuaneny
InIemalm己IBanIdngandJouTnaIoIP1annmgLaw FinanciaIL副ArJusにeoitheFbace
CambridgeLawJournaILawOuamenyReⅥew Cha「le「eds、忠ymWeekbノLaA'SOCねly・sGazeIleCMIJuslにeOualtem'LawycI;The ConvnercIaILawRepons-LiIpationLelIe「
(DIsconlIm」edInDecembe「LloydSMantIme&CommercIaI 1983)L副A'Ouaneny
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