LOW TEMPERATURE SINTERING OF LEAD
ZIRCONATE‑TITANATE PIEZOELECTRIC CERAMICS WITH COMPLEX OXIDE ADDITIVES
著者 董 敦灼
雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告
巻 17
ページ 169‑171
発行年 1996‑03‑29
出版者 静岡大学大学院電子科学研究科
URL http://hdl.handle.net/10297/1212
氏名・(本籍
)
董敦
灼 (中国)
学 位 の種 類
博
士 (工 学) 学 位 記 番 号
工博 甲第
106
号 学位授与の日付平 成 7年 3月 24日 学位授与の要件
学位規則第4条第 1項 該当
研究科・専攻の名称
電子科学研究科
電子材料科学専攻
学位論文題目
LOW口
m層】Rパ躙田u〕SINTEWG OFLEAD ZIRCONバ1'じ″ TITANATE PIEZOELECTRIC CERAMICS WITH COMロ
PLEX OШ DE ADDITIVES
(複合酸化物 を添加 したチタン酸鉛―ジルコン酸鉛系圧電セ ラミックスの低温焼結)
論 文 審 査 委 員 (委員長)
教 授
久 保
靖
教 授 小 楠 和 彦
教 授 金 子 正 治 助教授 石 川 賢 司
助教授 鈴 木 久 男
論 文 内 容 の 要 旨
Pb(Zr,Ti)03セ ラ ミックスはその優れた誘電・圧電特性 のため に電子材料 として種 々の分野で利用 さ れてい る。 しか しなが ら、Pb(Zr,Ti)03の焼結温度が1200℃以上 と非常 に高いため、PbOの蒸発 による 組成の変動及び環境の汚染が問題 になる。焼結時のPbO雰囲気制御のために種 々の方法が取 られて きた が、焼結温度 は変わ らないためPbOの蒸発 とい う本質的な問題 は解決 されていない。Pb(Zr,Ti)03セ ラ ミ
ンクスの低温焼結 は、液相 を形成す る添加物 の混合や ゾルーグル法 によ り形成 した微細粉末の出発原 料 としての利用 な ど、多 くの研究者が試みているに もかかわ らず、充分 な成果 を挙 げるに至 っていな い。本論文で は、複合酸化物BiFe03(BF)及 びBa(cuO.5WO.5)03(BCW)を 同時 に添加す るこ とによる、
Mn02を含 むPb(Zr,Ti)03(R″)セラ ミックスの低温焼結性 、その時の誘電 ・圧電特性及び焼結の メカニ ズムを検討 した結果 について まとめている。
第1章は、序論であ り、Pb(Zr,Ti)03セ ラ ミックスの低温焼結 に関す る研究の背景、意義 と目的が示 さ れている。
第2章では、 まず、厖Tに対するBCWの添加量 を5mol%に固定 し、BFの添加量 と焼結温度並 びに誘電 特性 との関係 を調べ、最適 な添加量 を決定 した。つ ぎに、BFの添加量 を最適値 に固定 し、BCWの添加
に対 して同様 な検討 を行い、最適な同時添加量 を決定 した:0.92PZT‐0。05BF‑0。03BCW(PZT―C)。 この 時、焼結温度及び時間は935℃ で30分 間であつた。
第3章 では、BF及詢 CWの添加量 と圧電特性の関係 を調べた。BF及的 CWが圧電特性 を改善するこ とが分かった。また、Bcwの合成においてCuOの反応が容易に進行 しないので、日 ̲Cに対するCuOの 添加効果を調べた。その結果、0。08wt%の CuOを過剰に添加することにより圧電特性が更に改善 される
ことを明 らかにした。
一般的なPzTセラミックスのモルホ トロピック相境界(MorphotЮpic Phase Boundary,MPB)は Zr/Ti=
53/クにある。 しか し、このM田は添加物 によってシフ トし、電気的特性を低下させる可能性がある。
第4章 では、より良い電気的特性 を得るために、BFとBCWの添加力波
「
のMPBの挙動 と誘電・圧電特性 に及ぼす影響 を調べた。X線回折 を用いて結晶相及び格子定数 を測定 し、PZT̲c'(o.92PZT‑0.05BF―
0.03BCW+0.08wt%CuO)の MPBの範囲 を決定 した。その範囲はPZTよ り狭 くな り、 しか もTi―五ch側に シフ トす ることが分か った。種々のZr/Ti比に対す る
"Tc'の誘電・圧電特性 を調べ た結果か ら、zr/Ti
=53/夕 の時 は機械的品質係数Qmを除いてH賀―C'の特性力笥厖Tに 比べ て劣化 していることが分かつた。
しか し、それ らの特性 はMPBのシフ トに合わせ てTi̲rich側 で回復 していることが明 らかになった。電気 機械結合係数Kpの最大値 を重視 して、低温焼結のPZT̲c'最 適組成 はZr/Ti=52/48と 決定 した。
第5章 では、■〕MのEDS及び原子吸光分析 によ り粒界分析 を行 った。 まず、‐M写真では粒界力ヽまっ き り認 め られ、その厚 さが約25nmであ つた。‐MのEDSによ り粒 界か ら両側200nmま での組成分析 を 行 った結果、Pb及 びCuが粒界 に偏析 し、Fc、 Bi、 Ba及 びWは粒 内 に存在す ることを示唆 していた。更
に、粒内での電子線回折図形 はスポ ッ トであ り、PzTと 同定 された。一方、粒界での電子線回折図形 は ハ ロー形 となったことか ら、粒界にはアモルファス相が存在 していると判断 された。試料 を塩酸でエ ッ チ ング し、原子吸光分析 で組成 を分析 した結果 はPb及 びCuが粒 界 に偏析 している こ とを支持 してい る。 これ らの事実か ら、粒 界 に存在す るアモルファス相の組成はPb及 びCuの 酸化物が主体であると考 え られる。次 に、添加物が焼結温度 を低下 させ る機構 について考察す る。Mに よれば、試料の収縮 は約800℃ か ら観察 されたので、800℃ 以上でPzT粒子 の再配列が始 まる と考 え られ る。 さらに、高温 (870℃以上)では液相の生成 による粘性流動 によ り焼結はより促進 され、Bcw中のBaカン別 のPbを補 う 形で固溶 し、同時 に、添加物 中のBi、 Fe及 びWが電荷補償的にPZTに固溶す る。その後、P冨粒子の溶 解・析 出、粒子成長の段 階 を経 て級密化が進行す る もの と推測 した。
第6章は本論文の結論である。本研究 においては、PzTセラ ミックスにBF及詢 CWの添加 によ り、焼 結温度 を下げる と同時 に電気 的な特性 を改善で きることが分か り、添加物 の挙動 と役割 を明 らかに し た。
論 文 審 査 結 果 の 要 旨
チ タン酸―ジルコン酸鉛セラミックス(以下、H賀)は優れた圧電材料であるが、製造に必要な1200℃
以上の高い焼結温度はPbOの蒸発に伴 う組成の変動 と環境の汚染をもたらし、エネルギー消費 とコス ト の点か らも問題 になる。本論文では、複合酸化物BiFe03(BF)及 のBa(cuO.5WO.5)03(BCW)の 同時添加に より、PZTの低温焼結を実現 させ、その誘電・圧電特性、結晶性及び焼結機構を検討 した結果をまとめ ている。
第1章は序論であ り、H賀の低温焼結 に関する研究の意義 と目的が広範な調査に基づいて的確 に示 さ れている。第2章 では焼結温度 と誘電・圧電特性の結果か らPZTに対す るBCWとBFの最適添加量 を 0.92PZT‑0.05BF‑0.03BCW(PZT― C)と 決定 している。 この時、焼結温度、時間は935℃、30分 と画期的で ある。第3章ではBCWの合成においてCuoの反応が容易に進行 しないので、距賀̲cに対するCuOの添加 量を検討 して0.08wt%の 過剰添加 (0.92PZT‑0.05BF‑0.03BCW+0。08wt%CuO:PzT―Ci)が特に圧電特性の 改善になることを見出 している。
通常、距賀セラミックスのモルホ トロピック相境界(MPB)はZr/Ti=53/47に あるとされているが、第 4章ではより良い誘電・圧電特性 を得るために、BFとBCWの添加力笥厖TのMPBの挙動に及ぼす影響 を調 べている。ここでは、PzT̲Ctに おけるMPBの範囲カジZTと 比べて狭 くなるとともにTi―rich側 にシフ ト
し、それにつれて誘電・圧電特性 もまた向上するとい う興味ある知見を得ている。すなわち、電気機 械結合係数Kpの最大値 を重視すれば低温焼結PZT―C'の最適組成はZr/Ti=52/48に なるとしている。第5 章ではPZT̲c:の 粒界分析 を詳細 に行っている。 まず、‐M写真 に粒界がはっきりと認め られ、その厚 さは約25nmである。EDSに より粒界か ら両側200nmま での組成分解 を行い、Pbとcuは 粒界に偏析する が、Fe、 Bi、 Ba及 びWは粒内に存在することを明らかにしている。更に、粒内の電子回折図形はスポッ
トにな り、
"Tと同定 されるが、一方、粒界の電子回折図形はハローとな り、粒界はアモルファス相 と 判断 される。Mに よれば、試料の収縮は約800℃か ら観察 され、この時点でPZT粒子の再配列が始 ま ると考察 している。 さらに、高温(870℃以上)では液相の生成によって物質移動が促進 され、Bcw中の Baが粒界への偏析で失われるPbを 補 う形で固溶 し、同時に、Bi、 Fe及びWも電荷補償的にPZTに固溶す る。このような反応の終了 とともに、距賀粒子の溶解・析出、粒子成長の段階を経て緻密化が進行する ことを推測 している。
第6章 は本論文の結論である。新 しい現象 と重要な知見 を多 く含む成果は、PZTを は じめとする鉛系 セラミックス電子材料の製造プロセスに大 きなインパ ク トを与え、特性の改善に貴重な指針になるこ
とが期待 される。本論文は学位 を授与するに十分な内容を持つ と判断する。
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