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通信装置の雷サージ防護対策に関する研究

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Academic year: 2021

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通信装置の雷サージ防護対策に関する研究

著者 桑原 伸夫

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 14

ページ 162‑165

発行年 1993‑03‑25

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1737

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氏名。 (本 籍 )   桑           (岐 阜県 )

学 位 の種 類 博 士 (工 学 )

学 位 記 番 号    工博乙第   39  

学位欝 の日付   平 成 4年 2月 6日

学位 1壁

1の

要件    学位規則第 4条 2項 該当

学位論文題目    通信装置の雷サージ防護対策 に関する研究

論文審査委 員   (委 員長

)

教 授 水 品 静 夫

教 授 宮 川 達 夫   教 授 池 田 弘 明 教 授 岡 本 尚 道   教 授 神 藤 正 士 教 授 渡 辺 健 蔵

論 文 内 容 の 要 旨

通信線路の近傍に落雷が生 じると通信線路端末に数千Vの サージ (雷 サージ )が 誘起され電話機等 の通信装置に被害をおよぼすことがある。特に ,近 年 :科 学技術の進歩により ,LSI等 の半導体部品 が多量に使用されるようになってきており ,通 信装置の雷サージ耐量が年々低下 しているので ,通 信 装置を雷サージから適切に防護するための研究は重要になってきている。

本論文は ,(1)通 信線路端末に現れる雷サージの観測とその誘起機構の理論解析 ,(2)通 信装置の雷サー

ジ試験法 ,(3)通 信装置の雷サージ耐量設定法の三つのテーマに関 して ,雷 防護に関する検討を行って いる。

雷サニジ観測では ,雷 サージカウンタ ,雷 波形自動記録装置 ,デ ータレコーダ ,光 技術を用いた雷

サージ観測 システムを新たに開発 して ,線 路条件 ,地 域 ,季 節と雷サージの関係や線路端末に生 じる

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た。また ,  この理論式を用いて雷サージの分布形を求めた ,求 めた結果は雷観測値 とほぼ一致するこ とがわかった。

通信装置の雷サージ試験法の研究では ,試 験を行 った被試験装置の雷障害率を推定できる試験回路 を求めた。

雷防護設計を行 うには ,先 ず ,通 信装置の雷サージに対する試験法を明確にし ,そ の試験法に基づ いて通信装置の試験を行い ,そ の結果から防護回路設計を行 うのが合理的である。そのため ,サ ージ

発生器 とインピーダンスで構成 される雪サージ試験器が CCITT等 の国際標準化機関か ら勧告 され使 用されているが ,従 来の試験器はそのサージ波形やインピーダンスの決定根拠が明確でなかったため ,

試験に合格 しても ,そ れが実際の環境下に置いた時にどの程度の障害率を保障できるか不明である欠 点があった。

本論文では ,こ の問題を解決するため ,通 信線路端末に生 じる雷サージを模擬する試験回路を検討 した。通信線路端末に現れる雷サァジは定雷肝源と 1つ のインピーダンス (内 部インピーダンス )か ら構成される等価回路で表すことができる。従 って ,こ の定電圧源と内部インピーダンスを求め試験 回路を構成すれば ,線 路端末に生 じる雷サージを模擬できる。本論文では ,線 路端末に生 じる雷サー ジの理論式か ら内部インピーダンスを表す理論式を求め ,こ の理論式 と日本の平均的な線路条件か ら 内部インピーダンスの具体的な値を決定する方法を明 らかにしている。また ,雷 観測より求めた線路 端末に生 じる雷サージ波形の分布形か ら定雷 FF源 波形の分布形を求める方法を明 らかにしている。さ らに ,こ の分布形か ら ,通 信装置に印加される雷サージの発生頻度に応 じた試験波形を決定する方法 を示 している。

最後に ,実 際に雷サージ試験回路を構成 し ,雷 サージ耐力の異なる 2種 類のボタン電話機を用いて 試験を行い ,実 際の雷障害率 と比較 した。その結果 ,推 定値と雷障害率との誤差は 21〜 62%で あっ た。

通信装置の雷サージ耐量設定法に関 しては ,地 域により装置の印加される雷サージの発生確率が異 なることに着日して ,装 置の雷サージに対する耐量を地域によって変えることにより対策費の軽減が 可能であることを示 した。コンピュータシュミレーションを行った結果 ,通 信装置の雷サージ耐量を 3段 階に設定 した場合 ,日 本全十を共通の雷サージ耐量にした場合に比べて ,対 策費が約半分になる ことがわかった。

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論 文 審 査 結 果 の 要 旨

本論文は ,通 信装置の雷サージ防護対策について ,著 者が NTT通 信網総合研究所 に於て行 なった 研究の成果を纏めたもので , 8章 より成 る。

第 1章 は序論で雷サージ‐ 問題の背景 ,こ れまでの研究 ,本 研究の目的について述べている。 NTT

の通信設備に発生 した障害件数の 23%が 雷サージ

,障

害で ,障 害復旧費の 19%が その復旧に費やされて いることを指摘 している。雷の主放電電流 (10‑110kA)は 周囲の空間に電磁界を誘起 ,地 上及び地 下に張 り巡 らされた通信線路に雷サージを誘起 し ,そ れが装置の耐電圧を越えれば障害が発生する。

第 2章 では ,電 話局と加入者宅内装置を結ぶ通信線路端末に生ずる雷サージの観測にっいて述 べて いる。雷サージカウンタ ,雷 サージ波形自動記録装置 ,電 撃位置測定装置を用いて雷サージ波形 ,波

形 と電撃位置の関係などを観測 している。観測 は多雷地帯 (宇 都宮など ),大 地導電率の低い地帯 (熊 本一の宮など ),冬 雷の多発地帯 (金 沢など )で 行 つている。雷サージ電圧波形 は三角形に近 い。

そこで ,波 高値 (典 型値 :0‑400V),波 頭長 (波 高値に達するまでの時間 ,典 型値 :10‑50  μ

 s),

波尾長 (波 高値か ら波形が消滅するまでの時間 ,典 型値 :50‑300 μ  V)の 3つ のパ ラメータによ り 雷サージ波形を特徴づけ ,こ れらパ ラメータの分布関数を観測結果から求めている。波高値の累積発 生頻度分布は指数関数で ,波 頭長と波尾長の分布は対数正規分布関数で表すことができることを示 し

た。また ,雷 サージのパワースペク トル密度は 0‑10kHzの 範囲に分布することを示 した。

第 3章 では光 ファイバーを用いた雷サージ波形観測について述べている。通信線路端末に生ずる雷 サージの誘起機構を解明するには , 1つ の雷放電が通信線路の離れた位置に誘起する波形を同時観測 するのが有効な手段 となる。そのため ,著 者は光 ファイパーを用いた観測装置を開発 した。電話交換 局,2.8kmの 地下線路,2.21mの 架空線路 ,観 測小屋 (模 擬加入者宅 )か ら成る雷サージ観測線路を栃 木県内の道路沿いに建設 し ,地 下線路が地上線路に立ち上がる点の柱上の観測装置内に電気 ‐ 光変換 装置を ,観 測小屋に光‐ 電気変換装置を設置 した。それ らを結ぶ線路には CCPケ =ブ (color coded polyethylene insulated conductor:直 径 0。 4mmの 導線 1対 で構成する平行対心線 10対 の束を複数東 ま

とめた電話線 )に 光 ファイパーを組み込んだ複合ケーブルを使用 した。雷サージ波形は観測小屋と交

換局内に設置 した自動記録装置で観測・ 記録 した。観測結果から ,架 空線路端末に生ずる波形 は ,雷

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を導いた o線 路の全長 ,架 空線路の長 さ ,線 路インピーダンス ,大 地の導電率 と誘電率 ,雷 撃点と線 路の相対位置関係・ 線路終端インピーダンス ,多 重反射の影響などが考慮されている。理論式を使い , 局側端末と加入者側端末に於ける雷サージ累積発生頻度分布 ,波 頭長の累積百分率 ,波 尾長の累積百 分率を計算 した。計算結果は実際の観測結果と良 く合っている。

第 5章 は雷サージ試験回路の設計について述べている。試験の目的は ,電 話機などの装置に実際の 雷サ■ジに近い電圧サージを印加 して装置を試験 し ,障 害の発生率を推定することにある。雷サージ 電圧は ,大 地 と心線間の電圧 ,心 線 と心線間の電圧 として装置に印加

.さ

れる。両方の電圧印加モ■ ド での試験回路の内部インピーダンスが実際の通信線路の内部インピーダンスと等価となる様に試験回 路を設計する。前章の解析結果に基づいて内部インピーダンスを算出し ,こ れを近似する集中定数回 路の設計法を確立 した。

第 6章 では ,開 発 した雷サージ耐力試験装置と ,そ れを用いて行なった試験結果について述べてい る。通信線の心線径 0‐ 。 411m,線 路長 2hを 選んだ場合 ,線 路の内部インピーダンスを , 0‑10kHzに

わたって,250Ω , lmH,60nFと 50Ω の組合せで近似できることを示 した。サージ電源 は 0‑500k Vに 充電 した 0.6μ Fを ギャップ放電する構成である。この試験装置を用 いて ,  ボタン電話機型式

1

と2の耐雷サージ試験 を行 い障害発生率 =回 /(雷 雨 日・ 回線数 )を 推定 した。型式 1で は 2.9x

10‑3,型 式 2で は 1.3x10 3で ぁった。実際に使われているボタン電話機の障害の調査値は ,型 式 1が

2.4x10‐ 3:型 2が 0。 8x10 3で ぁる。本試験法の有効性が実証された。

第 7章 では ,雷 多発地帯に強い雷サージ障害対策を施す場合の経済的な対策設定法について論 じて

第 8章 は結論である。

本論文は電気通信網に生ずる雷サージの特性 とその誘起機構の解明 ,試 験装置の開発 ,障 害率の推 定に関 して新 しい知見と技術を提供 しており ,博 士 (工 学 )の 学位を授与するに十分な価値を持つも のと認める。

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