審 査 論 文 要 旨(日本文)
論文提出者氏名: 堀江真司 審査論文
題 名:The aging micromechanisms of alumina matrix composite (AMC) used in
total hip arthroplasty
(アルミナ-ジルコニア複合体人工股関節ヘッドのエージング試験におけるマイ クロメカニズム)
著 者:
Shinji Horie, Yasuhito Takahashi, Takaaki Shishido, Toshinori Masaoka, Toshiyuki Tateiwa, Kengo Yamamoto
掲載誌:
Journal of Orthopedic Sience (in press, 2017)
(審査論文要旨:日本語論文の場合
1,000
字以内・英語論文の場合500 words)
【目的】
第 4 世 代 ア ル ミ ナ セ ラ ミ ッ ク で あ る ジ ル コ ニ ア
-
ア ル ミ ナ 複 合 体(AMC: Alumina matrix
composite)
製人工股関節骨頭は2003
年より臨床導入されており、極めて良好な短期~中期生存率(<8年)が報告されている。今回我々は、加速エージングを実施して、生体擬似環境下に おける
AMC
骨頭の経時的な環境安定性及び残留応力変化に関する検証を行った。【対象と実験】
本実験では、未使用の
AMC
骨頭、並びに対照群として3Y-TZP
骨頭を対象とした。加速エー ジングは、水熱環境下(134℃、0.2MPa)にて2.5h
毎に20h
まで実施した。(本試験における1.0h
は生体環境の約2
年に相当する).ラマン分光法を用いたラマン強度の変化からジルコニア 粒子の相転移率(V
m)
及びそれぞれの骨頭の相転移機序の相違点を検証した。また、ピークシフ トの値から各結晶相における応力変化、及び平衡残留応力(σeq)を計算した。
【結果】
3Y-TZP
では7.5h (
≒15
年)
から急速にVm
が上昇し、20h(
≒40
年)
では79%
にまで達した。更に 相転移の進行に伴って、σ
eqは急速に圧縮応力が増大し-1539MPa
まで達した。一方、AMC
では
3Y-TZP
でみられた相転移上昇は認められず、20h
のエージング後もV
mは11.2%に留まって
いた。
Mehl - Avrami - Johnson
理論に基づいた相転移機序の検証からも、AMC
は相転移の核生成段階で抑制されていることが判明した。
σ
eqも3.65MPa
と3Y-TZP
と比較して有意に抑制さ れていた。【考察】
生体環境約
40
年間に相当する過酷なエージングに対してもAMC
の環境安定性は保たれてい たことから、相転移による破損リスクは極めて低いと考えられる。AMCではアルミナが三次 元的にジルコニア粒子を取り囲むため、単斜晶核生成後の成長プロセスが有意に抑制された ことが要因であると推察される。よってアルミナに対するジルコニア粒子の相対配置に関連 する要素(組成式、粒径、結晶面配向等)の至適化が更なる構造安定性をもたらす可能性が あると考えられる。東 京 医 科 大 学