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2, 1, 1, 1, 1,2 1, 2 ( 万 人 ) 図 表 32-1 日 本 人 海 外 旅 行 者 数 並 びに 訪 日 外 国 人 数 の 推 移 日 本 人 海 外 旅 行 者 数 訪 日 外 国 人 数 2 年 21 年 22 年 23 年 24 年 25 年 26 年 27 年 28

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) Ⅰ.産業の動き 1.2014 年の日本人海外旅行者数は減少を見込むも訪日外国人は大幅増加と予想 2013 年の日本人海外旅行者数は、国内の景況感回復や LCC(格安航空会社) の国際線便数増加等、需要増加要因はあったものの、2012 年と比較し、為替 水準が円安で推移したことや中国・韓国向け旅行の減少を背景に、4 年振りに 前年を割り込み、前年比▲5.5%の 1,747 万人となった(【図表 32-1、2】)。 2014 年の日本人海外旅行者数は、羽田空港の国際線発着枠が年間 6 万回か ら9 万回へ増加したことや冬季五輪、サッカーW 杯等の国際的スポーツイベン トが海外旅行需要を下支えしようが、為替動向が円安で推移することが見込ま れることや、ゴールデンウィーク等の休日の日並びの悪さ等、マイナス要因が 大きく海外旅行者数を下押しすることが見込まれる。特に日本人の訪問先とし て最も多い韓国向けの旅行者数の減少が止まらず(2014 年 5 月まで 21 カ月連 続前年割れ)、2014 年の日本人の海外旅行者数は過去最高を記録した 2012 年の1,849 万人を約 6.8%下回る水準の 1,724 万人と 2 年連続の減少(2013 年 比▲1.3%)を見込む。尚、2014 年 4 月以降の消費税増税の影響による直接的 な影響はほとんど生じていない模様。

ホテル・レジャー

【要約】 ■ 2014 年の日本人海外旅行者数は、為替水準が円安に推移したことや中国・韓国 向けの旅行を控える動きにより前年比▲1.3%の 1,724 万人と 2 年連続の減少を予 想する。訪日外国人については、引き続き堅調に推移する台湾・韓国が全体を押 し上げることに加え、2013 年 7 月の東南アジア 5 カ国向けのビザ発給要件緩和の 影響が年間を通じて寄与することにより、前年比+16.2%の 1,204 万人と予想する。 ■ 2014 年のホテル客室稼働率は、国内レジャー需要の高まりや訪日外国人客数の 増加により、堅調に推移すると予想する。消費増税による直接的な影響はほとん ど生じていない様子であり、稼働率(全国平均)は前年を 1.2%pt 上回る 80.3%を 予想する。 ■ 2014 年度の企業業績について、ホテル事業者は国内の堅調なレジャー需要に加 え、訪日外国人の増加により、増収増益を見込む。旅行取扱業者は、取扱高の多 い中国・韓国向けが減少する等、海外旅行取扱額が減少するものの、国内旅行 需要が海外の減少分を打ち消し、増収増益を見込む。 ■ 外資系ホテル事業者は、ブランドの構築やリスクを最小限に抑えることにより、世 界各地に展開してきた。日系ホテル事業者は、今後外資系ホテル事業者と伍して いくためにも、外資系トッププレイヤーの取ってきた戦略を参考に内外双方で事 業を展開することが求められよう。 韓 国 ・ 中 国 向 け の旅行者数が減 少したため、2013 年の海外旅行者 数は減少 2014 年も大口先 の韓国向けの減 少 が 顕 著 。 全 体 を押し下げ 2 年連 続で減少見込

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 (千人) 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2003 年に開始したビジット・ジャパン・キャンペーンから 11 年目の年である 2013 年、訪日外国人客数は漸く1,000 万人を突破した。日中関係の悪化により、中 国からの観光需要は伸び悩んだが、7 月以降にビザの発給要件が緩和された 東南アジア5 カ国(タイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム)からの 訪日客数が急増した。一つひとつの国ではインパクトは小さいが、5 カ国合算 の訪日客は約100 万人に達し、米国・香港を凌ぐ大きさとなった。また、台湾か らはLCC の新規就航に伴う航空座席供給量の増加等を要因に前年比+50.8% となり全体を牽引したほか、国籍別訪問客数で最も多い韓国からの観光客数も ウォン安の是正を背景に+23.2%増と訪日客数増加を後押しした。2013 年訪日 外国人は対前年比+24.0%の 1,036 万人となった(【図表 32-1、3、4】)。 2014 年を展望すると、為替の円安推移が定着することや東南アジア向けのビ ザ発給要件緩和が通年で寄与すること、民間事業者によるインバウンド獲得に 向けたプロモーション活動の積極的な取組等により、訪日外国人客数は 2013 年を上回る1,204 万人と予測する。 訪日外国人客数は2014 年 3 月に単月で過去最高となる 105 万人を記録する と、翌4 月には 2 カ月連続で最高記録を更新する 123 万人となった。同 4 月の 日本人からの海外旅行者数は119 万人であり、史上初めて訪日外国人客数が 日本人による海外旅行者数を上回った月となった。 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 12/01 12/05 12/09 13/01 13/05 13/09 14/01 14/05 (千人) ベトナム インドネシア フィリピン マレーシア タイ 2012年:63.2万人 2013年:96.0万人 2014年(1~5月): 前年同期比+54.9%増 0 50 100 150 200 250 300 11/05 11/11 12/05 12/11 13/05 13/11 14/05 (千人) 台湾 韓国 中国 ASEAN 欧州 米国 香港 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 200 0 年 200 1 年 200 2 年 200 3 年 200 4 年 200 5 年 200 6 年 200 7 年 200 8 年 200 9 年 201 0 年 201 1 年 201 2 年 201 3 年 2 014 年 (e ) (万人) 日本人海外旅行者数 訪日外国人数 【図表32-1】日本人海外旅行者数 並びに訪日外国人数の推移 【図表32-3】 訪日外国人数の推移(月次) 【図表32-2】 日本人海外旅行者数の推移(月次) (出所)【図表32-1~3】全て、日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数・出国日本人数」よりみずほ銀行産業調査部作成 (注)【図表32-1】2014 年はみずほ銀行産業調査部推計 【図表32-4】地域別訪日外国人数の推移 <東南アジア 5 カ国> <地域別訪日外国人数> (出所) 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数・出国日本人数」よりみずほ銀行産業調査部作成 (注) 左図:【ASEAN】タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム 【欧州】ドイツ、イギリス、フランス 2014 年は東南ア ジ ア 諸 国 向 け の ビザ発給要件緩 和が通年で寄与 すること等により 2 年連続で増加 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 (千人) 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2013 年訪日外国 人客数は史上初 めて 1,000 万人を 突破

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) 2.ホテル客室稼働率は国内レジャー需要や訪日外国人数が堅調に推移し、高水準を維持 2013 年のホテル客室稼働率(全国平均)は、堅調な個人消費を背景とした国内 レジャー需要の回復や訪日外国人の増加等により、三大都市圏を中心に全国的 に改善した。記念イベントを実施した東京ディズニーランドを始め、ユニバーサ ル・スタジオ・ジャパンやハウステンボス等のテーマパークの来場者数が増加した ことや伊勢神宮の式年遷宮、世界遺産に登録された富士山等の歴史的文化遺 産を求める国内旅行需要が増加した。これらを主要因に 2013 年の客室稼働率 (全国平均)は前年比5.2%pt 改善し、79.1%となった(【図表 32-5】)。 2014 年は、足許まで為替水準が円安で定着していることやゴールデンウィークの 休日の日並びの悪さにより長期休暇の取得が困難となることが国内旅行需要を 底上げしており(【図表 32-6】)、これらを要因にホテル稼働率は高水準で維持さ れている。また、ジャパン・ホテル・リート投資法人が発表した「国内の旅行動向調 査」によると、夏休みのホテル利用予定を前年比「増やす」と回答する消費者が 「減らす」と回答した消費者を上回っており、夏場の稼働率も堅調な推移が予想 される。秋口以降も国内旅行の底堅い需要が見込まれ、同様のトレンドが続くこと を予想し、2014 年ホテル稼働率(全国平均)は前年比 1.2%pt 上昇の 80.3%を予 想する。また、個々のホテルにおいては訪日外国人の増加に伴い、無料 Wi-Fi の整備や多言語対応を進めるホテルが目立つようになり、このような取組が高稼 働維持につながると思われる。 (出所) オータパブリケーションズ「週刊ホテルレストラン」よりみずほ銀行産業調査部作成 (注)2014 年はみずほ銀行産業調査部推計 27.1% 27.8% 29.8% 26.8% 42.6% 32.7% 31.6% 34.7% 44.6% 38.8% 46.3% 40.0% 35.2% 61.5% 63.3% 61.7% 63.9% 48.9% 60.2% 57.9% 60.4% 41.6% 59.2% 42.1% 50.0% 55.9% 11.4% 8.9% 8.5% 9.3% 8.5% 7.1% 10.5% 4.9% 13.8% 46.3% 11.6% 10.0% 8.9% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 70代以上女性 70代以上男性 60代女性 60代男性 50代女性 50代男性 40代女性 40代男性 30代女性 30代男性 20代女性 20代男性 全体 前年比増やす 前年並み 前年比減らす 60 65 70 75 80 85 90 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14(E) (%) 全国 東京 名古屋 大阪 2013 年は全国各 地でイベント開催 等があり、79.1%と 高稼働で着地 2014 年は訪日外 国人需要の増加 を背景に 2013 年 を 超 え る 稼 働 率 を見込む 【図表32-5】全国及び3大都市(東名阪)のホテル客室稼働率の推移(年次) 【図表32-6】国内旅行動向調査-夏季休暇のホテル利用について- (出所) ジャパン・ホテル・リート投資法人「国内の旅行動向調査」よりみずほ銀行産業調査部作成 (cy)

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) 3.海外旅行総取扱高は微減を予想するも、国内旅行は堅調推移の見込み 2013 年の旅行業者総取扱額は、海外旅行は円安基調の為替動向、中国・韓 国向け旅行の減少により、前年比▲2.0%となった。一方の国内旅行について は全国各地のイベント開催や世界遺産に登録された富士山見学を目的とした 旅行商品が需要を喚起し、同比4.3%増加した。 また、各社主催旅行は、海外旅行は取扱人数が減少したものの、為替動向が 円安に振れたため、燃油サーチャージやホテル料金の単価上昇を販売価格に 転嫁し、取扱高は微減に留まった。一方、国内旅行は堅調な旅行需要を背景 に旅行人数・単価ともに上昇した。 2013 年の旅行総 取扱額は国内需 要が下支え 【図表32-7】全国及び各主要都市におけるホテル客室稼働率の推移(月次) (出所) オータパブリケーションズ「週刊ホテルレストラン」よりみずほ銀行産業調査部作成 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (東京) 50 60 70 80 90 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2011年 2012年 2013年 2014年 月 (全国) 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (大阪) 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (名古屋) 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (札幌) 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (仙台) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (浦安) 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (横浜) 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (京都) 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (沖縄) 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (神戸) 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 % 月 (福岡)

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) (出所)【図表32-8、9】とも、観光庁「主要旅行業社の旅行取扱状況」よりみずほ銀行産業調査部作成 2014 年の海外旅行取扱額は、ソチで開催された冬季五輪やブラジルで開催さ れたサッカーW 杯といった国際的なスポーツイベントがあったものの、海外旅 行需要の減少に歯止めがかからず、▲1.5%と微減を見込む。国内旅行につい ては、6 月に世界遺産に登録された富岡製糸場や 7 月に新エリアを開業したユ ニバーサル・スタジオ・ジャパン等、多数の来場者が見込まれる施設への企画 商品の発売を行うことにより、国内旅行取扱額は堅調に推移するとみられ、 2013 年比+5.3%と予想する。旅行業者の総取扱額合計は海外旅行の減少分 を国内旅行でカバーし、総額では同比+2.9%を見込む(【図表 32-8、9】)。 Ⅱ.企業業績 1.ホテル企業業績 2013 年度の企業業績は、首都圏のホテルではイベント開催があった東京ディ ズニーランドや東京スカイツリー目的の宿泊需要拡大、近畿圏では京都を訪 問する外国人観光客の増加や開業年以来となる 1,000 万人超の来場者を記 録したユニバーサル・スタジオ・ジャパン人気の影響により、客室稼働率は高 水準で推移した。また、客室稼働率の高まりが、単価の上昇にもつながり各社 の好決算に結び付いた様子。尚、宴会部門では一部ホテルで食品偽装問題 の影響を受けたが、その影響は軽微であり、客室部門の売上増により打ち消 した。大手 5 社の売上高は前年度比+3.2%、営業利益は同比+25.0%の増収 増益で着地した(【図表32-10】)。 2014 年度は、堅調な国内旅行需要や訪日外国人の増加により、特に宿泊部 門の業績は好調を維持するものとみられ、対前年度比売上高+7.1%、営業利 益+9.1%と増収増益を見込む(【図表 32-10】)。 足許では宿泊単価が比較的安価な宿泊特化型ホテルの台頭により、都心部 を中心に競争環境の激化は継続しており、各社の集客に向けた工夫・差別化 が各ホテルの今後の業績の明暗を分けることとなるだろう。既にハイクラスホテ ルでは、単価の高い外国人需要を捕捉すべく、従業員の言語教育や施設内 およびホームページの多言語化を進めるとともに、宿泊部門のみならず、大 型貸会議室や宴会部門等へ好影響を与える MICE(国際会議等)の誘致に 注力するホテル事業者が散見されるなど、ホスピタリティの向上や需要の創出 に向けた取組が見られる。 -30.0% -20.0% -10.0% 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 0 1 2 3 4 5 6 7 8 20 00 年 20 01 年 20 02 年 20 03 年 20 04 年 20 05 年 20 06 年 20 07 年 20 08 年 20 09 年 20 10 年 20 11 年 20 12 年 20 13 年 2014 年 (e ) (兆円) 国内旅行 海外旅行 対前年比 対前年比 2013 年度は国内 旅 行 、 訪 日 外 国 人 の 増 加 に よ り 増収増益にて着 地 2014 年度も堅調 な宿泊需要に支 えられ、増収増益 を予想 2014 年の旅行総 取扱額は底堅い 国内旅行需要を 受けて増加基調 の見通し 【図表32-9】主催旅行総取扱額推移(12 ヶ月移動平均・前年比) (海外) (国内) 【図表32-8】旅行総取扱額推移 -15.0% -10.0% -5.0% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 11/ 0 4 11/ 0 7 11/ 1 0 12/ 0 1 12/ 0 4 12/ 0 7 12/ 1 0 13/ 0 1 13/ 0 4 13/ 0 7 13/ 1 0 14/ 0 1 14/ 0 4 取扱高 人数 単価 -15.0% -10.0% -5.0% 0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 11/ 04 11/ 07 11/ 10 12/ 01 12/ 04 12/ 07 12/ 10 13/ 01 13/ 04 13/ 07 13/ 10 14/ 01 14/ 04 取扱高 人数 単価

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) 2.旅行会社業績 2013 年度は、中国や韓国向け旅行をはじめとした海外旅行の取扱高減少や、 中韓向け旅行の減少を補うため欧米向けの広告費が嵩んだことが利益圧迫要 因となった。しかしながら、底堅く推移した国内旅行の需要増やH.I.S 社が運営 するハウステンボスの好調な業績により2013 年度の旅行大手 4 社の業績は売 上高:4,752 億円(前年度比+4.8%)、営業利益 314 億円(同比+1.7%)と増収増 益で着地した(【図表 32-11】)。但し、ハウステンボスの業績を除くと、営業利益 は前年比▲6.1%と減益となっている。 2014 年度も海外旅行需要については、取扱高が多く、利益率の高い中国・韓 国向け旅行の回復は鈍いが、欧米向け旅行は堅調に推移するとみられる。ま た、前年に引き続き、国内旅行の取扱が堅調に推移することが見込まれる他、 好調な業績が見込まれるハウステンボスを背景に増収増益を見込む(【図表 32-11】)。 2013 年度は円安 傾向で海外旅行 は 不 振 も 国 内旅 行需要の回復に より増収増益 2014 年度も堅調 な国内旅行需要 が企業業績を押 し上げ 【図表32-11】大手4社の業績見通し (出所)各社決算資料よりみずほ銀行産業調査部作成 (注1)大手 4 社:JTB、日本旅行、KNT-CT ホールディングス、 H.I.S.で、前 2 社は非上場であるが、決算プレスリリースを 実施。売上高は集計方法が各社異なるため、 みずほ銀行産業調査部推計値 (注2)2014 年度はみずほ銀行産業調査部予測 【図表32-10】上場4社の業績見通し (出所)各社決算資料よりみずほ銀行産業調査部作成 (注1)大手 5 社:プリンスホテル、帝国ホテル、ロイヤルホテル、 藤田観光、京都ホテル (注2)2014 年度はみずほ銀行産業調査部予測 【実額】

12fy 13fy 14fy

(単位) ( 実績) ( 実績) ( 見込)

売上高 大手4社(億円) 4,534 4,752 4,942

営業利益 大手4社(億円) 308 314 339

【増減率】

12fy 13fy 14fy

(単位) ( 実績) ( 実績) ( 見込) 売上高 (%) + 12.3% + 4.8% + 4.0% 営業利益 (%) + 190.3% + 1.7% + 8.2% 【実額】

12fy 13fy 14fy

(単位) (実績) (実績) ( 見込)

売上高 上場5社(億円) 3,208 3,309 3,543 営業利益 上場5社(億円) 137.1 171.4 187.0

【増減率】

12fy 13fy 14fy

(単位) (実績) (実績) ( 見込)

売上高 (%) ▲ 0.7% 3.2% 7.1%

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) 【第一次ホテル戦争】 開業年 ホテル名 客室数 1992年1月 フォーシーズンズ椿山荘 259室 1994年7月 パークハイアット東京 177室 1994年10月 ウェスティン東京 438室 【第二次ホテル戦争】 開業年 ホテル名 客室数 2005年7月 コンラッド東京 290室 2005年12月 マンダリンオリエンタル東京 179室 2007年3月 ザ・リッツ・カールトン東京 248室 2007年9月 ザ・ペニンシュラ東京 314室 2009年3月 シャングリ・ラ ホテル東京 204室 【第三次ホテル戦争】 開業年(予定) ホテル名 客室数 2013年12月 東京マリオットホテル 249室 2014年6月 アンダーズ東京 164室 2014年秋(予) アマン東京 50室以内 Ⅲ.トピックス グローバルリーディングカンパニーの成長の軌跡を辿る ~ホテル産業~ 足許、日本のホテル市場に外資系ホテルが 続々と参入している。2013 年 12 月のマリオ ット東京の開業を皮切りに2014 年 6 月に虎 ノ門ヒルズにハイアット系のアンダーズがオ ープンしたほか、同年秋にアマンリゾーツグ ループのアマン東京の国内参入が決まって おり、「第三次ホテル戦争」が始まったと言わ れている(【図表 32-12】)。これで東京には 有力な外資系ホテルオペレータがほぼすべ て出揃うこととなり、競争環境はより一層厳し くなるとみられる。 外資系ホテル事業者が日本進出を進める理由の一つとして、日本人の海外旅 行者数の多さが挙げられる。2013 年に初めて 1,000 万人を突破したものの、訪 日外国人数は世界ランキング27 位に留まっている一方で、海外旅行者数では 世界で10 位前後(2011 年は 1,664 万人で世界第 11 位)にランクしている。外 資系ホテル事業者は、日本でホテルを運営することが日本人に対する認知度 向上の最大のプロモーションとなるとしており、そこでブランドを認知させること により、海外旅行に行く日本人による自社ホテルの利用増加に繋がることを期 待しているのである。足許では、政策の後押しもあり、訪日外国人が増加して いることや、日本の国内旅行需要が好調に推移していることもあり、これまで進 出の機を窺っていた外資系ホテル事業者が続々と日本への進出を加速させて いる。 外資系ホテルの日本参入が続く一方で、日系ホテル事業者の海外展開は遅 れていることを否定できない。本拠地である東京での競争が激化する中、日系 各社は海外への展開を本格的に進めるステージに入っているのではないだろ うか。本稿では、外資系オペレータの代表として、事業規模はインターコンチネ ンタルホテルズやスターウッドホテル&リゾートに劣るものの、同じアジア系か つ凄まじい成長を遂げているマンダリン・オリエンタルホテルがとってきた戦略 を事例に挙げ、国内プレーヤーの海外進出可能性について考察する。 0 20 40 60 80 100 120 140 1 993 年度 1 994 年度 1 995 年度 1 996 年度 1 997 年度 1 998 年度 1 999 年度 2 000 年度 2 001 年度 2 002 年度 2 003 年度 2 004 年度 2 005 年度 2 006 年度 2 007 年度 2 008 年度 2 009 年度 2 010 年度 2 011 年度 2 012 年度 2 013 年度

Mandarin Oriental International Ltd

InterContinental Hotels Group PLC

Starwood Hotels & Resorts Worldwide Inc

Hyatt Hotels Corp

Imperial Hotel Ltd

Marriott Vacations Worldwide Corp

2013 年以降、東 京 に 外 資 系 ホ テ ルが続々進出予 定 一方の日系企業 は海外展開に遅 れを取っている 【図表32-12】ホテル戦争時の国内参入例 (出所)各種公開情報よりみずほ銀行産業調査部作成 【図表32-13】有力ホテル事業者の売上高推移 (出所)各社公開資料よりみずほ銀行産業調査部作成 (注)2013 年度売上高を 100 とした推移

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) マンダリン・オリエンタルホテルは1963 年に香港で「マンダリン香港」の開業とと もに事業を開始し、1974 年、世界的に有名なラグジュアリーホテル「オリエンタ ル・バンコク」を買収、「オリエンタル」という世界的ブランドを有したことにより、 そのブランド構築が始まった。同ホテルが本格的に成長を遂げたのは 1990 年 に入ってからのことであり、世界各国の有力都市への展開を果たしている。日 本へは2005 年マンダリン・オリエンタル東京を日本橋三井タワー内に構え、現 在では25 カ国、44 のホテル(総客室数:約 11,000 室)を世界で手掛けている。 同社が世界各地でホテル事業を展開した手法として、大きく3 つの戦略が挙げ られる。 ① ブランド力の構築 前述の通り、マンダリン・オリエンタルホテルは開業からわずか 10 年あまり で、ラグジュアリーブランドとして世界的に有名なホテルを買収することによ り「オリエンタル」というラグジュアリーホテルとしてのブランドを獲得した。同 社は安易に客室単価を下げることなく、一貫して高級路線・ラグジュアリー 向けという姿勢を固持することにより、そのブランド力を確固たるものとし、 その後世界に事業展開する上で必要な大きな足掛かりをこの時点で構築 していたのである。 ② ローカル顧客重視 マンダリン・オリエンタルホテルには、グローバル展開先の顧客はその土地 の人が中心であるべきだという考えが根付いており、その地にあったホテ ルを作ることに注力している。同社が海外進出時に想定している売上高に 占める外国人比率は、約 35~40%であり、マリオットの 60%超、ハイアット の約 60~70%と比較すると、ローカル客が占める比率を高めるようにして いることがわかる。例えば、日本のマンダリン・オリエンタル東京は日本橋と いう立地を活かし、単なる世界の高級ホテルではなく、「和」のテイストをふ んだんに盛り込み、日本人も利用しやすい空間を作り上げている。 ③ リスクを最小限に留める展開 マンダリン・オリエンタルホテルは 1990 年代の半ばころより、ホテルの「所 有」・「経営」・「運営」を分離した形式で事業展開を本格化させ、その中で も「運営」のみを行う、いわゆるMC 方式1での契約を進めている。外資系ホ テル事業者は不動産投資を行わない他、開業のための準備資金や運転 資金、保有資産に関する諸経費を一切負担せず、「経営」リスクを負わな い店舗展開を主流としている。但し、MC 方式での契約はこれまでの実績 やブランド力が問われることとなる。 以上のように、マンダリン・オリエンタルホテルは海外での事業拡張を実現して きたが、一方の日系企業はグローバル展開を積極的に進めてきた事例は数少 ない。バブル最盛期の1987 年青木建設(現青木あすなろ建設)がウェスティン を、翌1988 年にセゾングループがインターコンチネンタルホテルを買収した事 例はあるものの、日系ホテル事業者が外資系ホテル事業者に対して M&A 等 1 Management Contract 契約:ホテルの所有者・経営者が運営の全てをホテル事業者に委託する契約。ホテル事業者には運営委 託料が支払われる 日 系 の 海 外 ホテ ル事業はバブル 期 に 海 外 ホ テ ル を買収した事例も あるが、その後は 手放すことに マンダリン・オリエ ンタルは 3 つの戦 略 を軸 に海 外 展 開を果たしてきた

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特集: 2014 年度の日本産業動向(ホテル・レジャー) を仕掛けた事例はなく、前述の事例も本業とのシナジーを見出し難かったこと や本業の経営難により、青木建設は 1994 年に、セゾングループは 1998 年に 手放している。 日系ホテルが国内に留まっていた背景には、このような過去の苦い経験が根 深くあることのみならず、人口3,000 万人以上、かつ訪日外国人の約 60%が訪 れる東京のマーケットは、日系ホテル事業者が生き残るには十分なボリューム であったことが挙げられる。また、既に海外に進出しているホテル事業者も日 本人の海外旅行客や海外出張時の日本人を顧客ターゲットとしており、海外 進出を契機にグローバルカンパニーに成長したとは言えないであろう。足許で は、インバウンド獲得に向けて、漸く海外に目を向けだした企業も出始めている が、進出形態は営業所や事務所の設立が目立ち、インバウンド戦略の一環と して、海外でホテルを運営するには至っていない。外国人向けのプロモーショ ンは、実際にホテルでの「体験」を提供することが最も効果的なのではないだろ うか。現地で運営するホテルが認められれば、訪日外国人のホテル選定時に 優位に働くことが想定できる。 また、進出形態においても、外資ホテルのように MC 方式やリース形式等、可 能な限りリスクを軽減させるような手法を取り入れながら、海外での店舗展開を 進めることを検討すべきだろう。日系ホテル事業者がMC 方式での展開を優位 にするために、まずブランド力強化を目的に有力外資ホテルを買収することも 選択肢の一つになり得るのではないだろうか。 今後、訪日外国人 2,000 万人、3,000 万人時代を迎えるにあたり、国内ホテル マーケットで外資系ホテルに伍していくためにも、内外双方での事業展開が求 められよう。 (社会インフラチーム 中村 朋生) tomoki.nakamura@mizuho-bk.co.jp ブランド力強化こ そ が 海 外 進 出 ・ 海外展開に重要 な要素 ©2014 株式会社みずほ銀行 本資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、取引の勧誘を目的としたものではありません。 本資料は、弊行が信頼に足り且つ正確であると判断した情報に基づき作成されておりますが、弊行はその正 確性・確実性を保証するものではありません。本資料のご利用に際しては、貴社ご自身の判断にてなされま すよう、また必要な場合は、弁護士、会計士、税理士等にご相談のうえお取扱い下さいますようお願い申し上 げます。 本資料の一部または全部を、①複写、写真複写、あるいはその他如何なる手段において複製すること、②弊 行の書面による許可なくして再配布することを禁じます。 編集/発行 みずほ銀行産業調査部 東京都千代田区大手町 1-5-5 Tel. (03) 5222-5075 /46 2014 No.3 平成 26 年 8 月 21 日発行

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