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経営資源のしなやかな連携による地域マネジメントの可能性

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経営資源のしなやかな連携による地域マネジメント の可能性

一弾力的ネ ッ トワークによる地域資源の見直 し‑

PotentialityofAreaManagementbasedonResourceNliances

‑ ReconsiderationofAreaResourcefromaviewpointofFlexibleNetwol・king

神奈川大学大学院 経営学研究科 国際経営専攻 博士後期課程

湯 川 恵 子

KeikoYukawa

lrキーワー ド

地域マネジメ ン ト、地域資源、ネ ッ トワーク

1.は じめ に

地域の新たな魅力 を引 きだすために、街区全体 の経営資源 を一体的に管理、運営す る地域 マネジ メン トの取組みが広 がってい る。防犯対策か ら広 場 を使 ったイベ ン ト、ひいては広域地域の連携 に よる集客構想 など、地域のブラン ドカ を磨 き、 そ こで働 き、暮 らす人々の満足感や一体感 を醸成す る試み として、昨今地域 マネジメ ン トは経営資源 を相互補完 しあいなが ら展開 されているといえよ う (日本経済新聞、2004/12/18)0

このようにかつては思い もよらなかった個別の 経営資源同士が地域 をキ‑ワー ドにネ ッ トワーキ ング行動にいたった背景には、グローバル化や情 報ネッ トワークの構築が大 きく影響 していること はい うまで もない。 グローバル化 は、一方で市場 経済の加速 によ り価値 を画一化す るマイナスの シ ナ リオをもつ と同時に、他方では多様 な価値 が多 様なまま保持 され、画一化せずに合体 して新 しい 価値 を開花す るとい うプラスの シナ リオを提供す

るだろうO また情報 ネ ッ トワークの構築 は、われ われ を時間や空間の物理的制約か ら解放 し、情報 のや りとりを しなが ら対等な双方向 コ ミュニケー

シ ョンを可能に して くれ るもの となる。

これ らの変化は、個別に存在す る資源が狭域の 地域 に限定的なものであるとい う従来か らの経営 資源の概念 を転換す るのに何 らかの役割 を果 たす とい えよ う。 しか も空間的、時間的な制約か ら解 放 され ることで、地域 に固有の経営資源 は連携 に よる新 しい可能性 を見出す ことになると考 えられ る。以上 をもとに本稿では、地域の経営資源 に著 目し、 それ らの連携 によって地域 の潜在可能性、

すなわち地域の魅力 を再構築す るための要件 を示 唆 したい。

2.地域 マネジメ ン トにい た る背景

1) 地域マネジメン トの重要性

地域 が経営の対象 になって久 しい。地域活性化 や まちのに ぎわい創 出、中心市街地活性化 な ど、

いずれ も地域 を経営の対象 として、個別の経営資

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源 を活か して地域住民や地場産業の求心力を高め、

豊かな地域づ くりの共通価値認識基盤 を構築す る ことに力が注 がれている。 こうした地域経営の手 法が、地域の個性 と活力 を育成 し、中長期的には 観光客誘致や居住機能の向上 など、魅力 ある地域 の創造に貢献す ると考 えられている。

ここでい う地域の魅力 とは、単 に経済性 とい う だけではな く、総合 的な意味での魅力 を さす。た とえば住 んでいてお もしろい、 うるおいがある、

老若男女 を問わず住みやすい、文化や歴史 も保存 されている、 といった さまざまな要素 は、地域の 魅力に多様性 があることを示唆 していることに他 な らない。 そこでは個別の取組みだけが見 えてい るだけでは、地域全体がどこに向かっているのか がわか りに くい ことか ら、地域の多様 な魅力 を駆 使 してどのような全体像 を描 くのか、すなわちビ

ジ ョンの共有 が重要 な課題 となって こよう。

これ まで都市計画に代表 され る地域のデザ イン は、 マス タープ ラ ンに よって描 かれ ることが 多 かったように思われ る。都市計画 においては、専 門家 による入念 な計画 を旨 と して、客観 的統 計 データに依拠 し、地域の諸資源 を破壊 しなが ら近 代 的で無機質 な空間 を生み出す ことが従来か ら指 向 されて きた。 た とえば ア レグザ ンダー (1977) による 『オ レゴ ン大学の実験』 において も、マス タープランを事前 に立 てること自体の失敗 を強調 している。そ もそ も設計時点の環境 にのみ適応 的 な衝は、時間の変化 とともにその前提条件が変化 したときの修正 が不可能であることが失敗の原因 とされている。

そこで地域 マネジメン トにおいて常に考慮 され なければ な らないの は、時間軸 と空 間軸 の議論 となって くる (渡辺、2003)。時間軸 とい うのは、

計画の決定においては現時点では経済的に最適 だ か らとい うだけではな く、50年、100年先 を見据 えて考 えなければな らない ことをさす。つ まり持 続可能性や連続性の追求 といえよ う。他方、空間 軸では地域 マネジメ ン トの影響 はその物理的な地 域 にとどまらない とい うことをさす。居住 した り、

勤労、学習 した り、観光 目的で訪れ る人々が さま

ざまな立場で地域 に関わっている以上、た とえば 市区町村 といった行政的に区分 された地域だけを 地域空間に定 めていては一定の限界 があるだろう。

そこで次節では、時間軸 と空間軸 を意識 しなが ら 地域の とらえ方 を整理 してみたい。

2) 地域の枠組み

地域 にまつわる言葉は多い。 「地域活性化

「地 域通貨

「地域 ブラン ド

「地域交通 システム」 な ど地域 とい う言葉 を冠す る ものか ら

、TMO

、 コ ミュニテ ィビジネス、 まちづ くりなどのように直 接、地域 とい う言葉 を使用 しな くて も地域 を意識 した もの まで、地域 とい う概念への着 目はここ数 年で拡大傾向にあることが伺 える。 ここでいわれ ている地域 とは、市区町村単位であった り、中心 市街地や商店街単位 であった り、あるいは都市や 農村の単位の ことを指 している。地域 とは狭義 に は、 自分たちの住んでいる限 られた土地 とい う意 味 を もつ とい えるか もしれ ない。 また広義 には、

ヨーロッパ地域やアジア地域 などグローバル化に よって拡大 した地球の視点が地域 を規定す る。 こ のよ うに地域 は物理的、絶対的に区切 られた空間 とい うよ りは、 どち らか とい うと認識主体によっ て主観 的、相対的に区別 され る空間 を意味 してい るとい う方が今 日的 とい えるか も知れない。

地域 とい う概念 が主観 的、相対 的であるの は、

地域 が単 なる外的環境 として、道路や河川、行政 区分で区切 られた空間以上の意味 を有 してい るか らであると考 えられ る。つ まり人々が客観的外部 環境 を一定の主観 的 イメージで、長期 にわたって 推持 し、共有す ることで地域の輪郭が明 らかに さ れ るのである。

た とえば1998年の調査で都道府県知名度 ワース ト1位 だった香川県では、県主導で2003年か ら香 川 らしさや香川 な らではの価値 を追求す るために、

自然、食 、伝統文化、現代文化、の4つのカテゴ リー で地域資源 を整理、分類 した。 その一方で、県民 が地域資源 を再認識 し、誇 りや郷土愛 をもつ ため の県民向けの情報発信 を行 った。 その結果、県民 の間に も香川県 を全国に発信す ることへの共感 が

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広がったといわれている。讃岐や金刀比羅宮が必 ず しも香仙県 とい う地域 と結びついていないこと に問題意識 をもち、行政主導で住民の意識 を変 え なが ら、一体 となって全国に香川県 とい う地域 の 魅力 を発信 していったことには一定の評価がで き

るだろう (日経グローカル、2004/5/3)0 この ことか ら地域 は当該空間 を共有す る人々の 主観 によって成立す るといえる。 しか もそうして 共有 された地域 は一個人にとってひ とつではない。

個人はその活動領域 によってい くつ もの地域 を保 有す ることがで きると考 えられ る。 自治体 とい う 比較的狭い範囲の地域の成員であることと、市区 町村民であること、広 くは 日本人であることす ら、

矛盾 しない と考 えられ る。

認識主体であるヒ トによってその境界線が異 な る地域は、可変性 を備 えているために一元的に取 り扱 うことは難 しい。 しか しわれわれは地域 にあ る諸資源の軽視や破壊 を超 えて、人々の経験や コ ミュニテ ィの知恵 を大 いに活用す ることによって、

価値 ある資源 を再編、強化 してい く有機 的な地域 マネジメン トを指向 してい くことで、持続可能 な 地域 を創出 してい く必要性 に迫 られているといえ

る (延藤、2001)。

そこで本稿では、地域 を比較的普遍的で、明示 的に区切 られた絶対的空間 と、主観 ゆえに可変的、

暗黙的に規定 され る相対的空間 とが絡み あってか たちづ くられ る統合的空間の ことと定義づけるこ とに したい。 この統合 的空間の中で個別経営資源 を主体的に発見、選択 しなが ら他者 と相互連結行 動 を営むことが、地域 をマネジメン トしてい くう

えでの新 しい可能性 を示唆することになるだろう。

次章では、経営資源の相互連携 を意識 した地域 マ ネジメン トの方向性 を議論 してみたい。

3.経 営 資 源 の連 携 を意識 した地 域 マ ネ ジメン トの方向性

1) 地域再生 に向けたパラダイムシフ ト 地域の もつ新 しい可能性 を模索す るうえで地域 を再定義す ることは一定の意味があるように思わ れ る。地図上で客観的に固定化 された絶対的空間

の概念 をいったん脇 にお くと、主観的かつ可変的 な相対的空間に、かつては想像 もつかなかった新 しい地域空間を醸成す る可能性 を見出す ことがで きよ う。

かつての地域 が動揺 してい る原因を工業社会の 衰退 にあ り、工業の衰退 は先進諸国に とって共通 の問題 ととらえた神野 (2002)は、地域再生の シ ナ リオは一様ではない と指摘 してい る。彼によれ ば地域再生の シナ リオは大 きく2つ に分岐 してい る。一つ は市場主義 に もとづ くアメ リカ型の地域 再生 のシナ リオであ り、 もう一つ は市場主義 に も

とづかない ヨーロ ッパ型 の地域再生の シナ リオで ある。 ここではこの2つの シナ リオに もとづいて 地域 マネジメ ン トの方向性 を提示 してみたい。

① 市場主義型地域マネジメ ン トの限界

経済性 を旨 とす る市場経済 指 向の社会 は、 グ ローバル化によって世界 中に拡散 したことは周知 の ことといえよう。 しか しこの ことで、多様性 が 促進 された とい うよ りはむ しろグローバル化によ る経済成長が世界の一様性 を加速 し、都市化 を招 き、伝統的な地域社会 を揺 るが し、その独 自性 に 対す る脅威 となってい る。

市場経済指向の社会では、合理性 を徹底 的に追 求 しなが らあ らゆる局面で俄烈 な競争 を展開 して いる。市場ではパ イの奪 い合いが常時行われてお り、地球資源の犠牲の うえで陳腐化 を組み込んだ 使 い捨て社会 が生みだ されてい る。 このような社 会 は人間 を疎外 し、生活 を営み人間的な活動 をす る場 とは程遠 い空虚 な空間 を生みだ してい る。 あ らゆ ることは入念 な計画 に もとづ いて遂行 され、

その結果 は予測 され うるもの とい う考 え方 が市場 経済指向の社会では支配的だったことは、特 にま ちづ くりの視点に大 きく影響 している。

代表的な例 は、 コル ビュジェによる "輝 ける都 市"が20世紀 アメ リカを中心 と した都市計画 に主 導的な役割 を果た したことがあげ られ よう。 コル ビュジェの "輝 ける都市"は、 自動車 と、高度 に 発達 した20世紀の工業技術 を用いてガラスや コン ク リー トを大量に使 った高層建築 とを組み合 わせ

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て、経済性 を追求す るために最適 な都市空間をつ くりだ して きた。つ まり都市 とい う地域 は、利潤 追求のための装置 であ り、"輝 ける都市"では ヒ

トは主体性 をもたないロボ ッ トのよ うな存在で し かなかった。後 にJacobs(1993)が 『アメ リカ大 都市の死 と生』 で経済性指向の計画型都市設計の 人間的貧困 と文化的俗悪 とを明確 に指摘 したこと か らわか るよ うに、市場主義型地域 マネジメン ト には限界があることがすでに明 らかに されている。

Jacobsの この書物 には、かつて魅力的であった アメ リカの多 くの大都市が1950年代の終わ りごろ にはほ とん ど死 んで しまった と主張 されてい る。

その うえでわずかに残 ってい る住みやす く、人間 的な魅力 を備 えたまちなみに共通の特徴 を 4つの 条件にまとめあげている。

第‑の条件 は、街路の幅 はで きるだけ狭 く、曲 がっていて、 1ブロ ックの長 さは短 いほ うが望 ま しいとい うものである。人 々の生活の必要か ら自 然発生 的に形成 され た街路 が望 ま しく、"輝 ける 都市"が莫直 ぐで広 くて長い街路 を基本 とした非 人間的な環境 を求めていたの とは対照的である。

第二の条件 は、再開発に際 して古い建物 ができ るだけ多 く残 るよ うに配慮 しなければな らない と い うものである。新 しい建物 が多い と高い償却費 が発生 し、自由な発想が生 まれに くく、 また さま ざまな種類の ものがた くさん混 ざっている方 が住 みやすいとい う意図があるよ うである。

第三 の条件 は、都市の多様性 に関す るもので、

都市の各地区は必ず2つ ない しはそれ以上の機能 を もっていな くてはな らない とい う条件で ある。

ゾーニ ングを中心 とす る都市計画 を真 っ向か ら否 定 している。

第四の条件 は、都市の各地区は人 口密度が十分 高 くなっているよ うに計画 され なければな らない とい うことである。人 口密度 が高いのは、住んで みて魅力的な地域だ とい うことをあ らわす ものだ か らである。

都市 とはある限定 された地域 に、多 くの人々が 居住 し、働 き、生計 を立 て るために必要 な所得 を 得 る場であるとともに、多 くの人 々がお互いに密

接 な関係 をもつ ことによって、文化の創造、維持 を図 ってい く場であるといわれている。 しか し都 市であって も地域の一形態であ り、地域 は人間的、

社会 的、文化的、自然的な観点か ら魅力 を発信す るものでなければな らず、そのための基本 的役割 を果 たすのが先 にあげたJacobsの四条件 といえる だろう。 この四条件にかなった都市は、 自動車の 利用 をで きるだけ少な くし、 またエネルギー多消 費型の高層建築ではな く、自然 と風土 にあった建 物や施設によって地球の温暖化防止 に とって も望

ま しい もの となっている (字沢、2000)0 モノの豊か さに遇進す る社会のなかで、地域特 性 を無視 した画一化 した まちづ くりが人間性疎外 を引 き起 こ し、生活か ら切 り離 された経済性第‑

で行われ る断片的な機能の集積に満足す る従来の 地域 マネジメン トはすでに限界に達 していると思 われ る。大量生産、大量消費の工業化 は、 自然資 源 を獲得す ることか らは じまり、画一的な人間の 活動 を推進 して きた。 そこで求め られ る効率化は、

多様 な自然環境 を対立す るもの ととらえ、今 なお それ らを支配 し続 けている。その結果、地域の風 土 に根 ざした文化や歴史的背景 を生活か ら切 り離 し、 この ことが地域の独 自性 を弱め、 どこへ行 っ て も同 じような画一化 したまちづ くりが行われて

きたと考 えられ る (細内、2002)0

地域 マネジメン トに も持続可能性 が問われ る今 日、経済性指向の社会の枠組みの中で人 々の生活 を成立 させていた従来の視点か ら、逆 に人 々の生 活 を中心にす えて人間的、社会的、文化的、 自然 的な観点か ら地域 を再構築す る視点への移行が求 め られている。 この視点の移行に地域の もつ主観 ゆえに可変的、暗黙的、かつ多様性 によって規定

され る相対的空間の視点が意味 をもつだろ う。

② 反市場主義型地域マネジメン トの可能性 人間が本来的に もってい る人間的、社会的、文 化的、 自然的豊か さと、経済活動が もた らす物質 的豊 か さとの鋭い対立 が統合 され る可能性 は、生 活の場 としての地域空間に見出す ことがで きよう。

奥田 (2003)によれば近年の 日本社会では、家族

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や職場 における人間同士の連帯感 が弱 ま り、希薄 化す る傾 向にあるとい う。個人が多様 化す るとい うことは一方 で各個人 が孤立化 してい くことで も あ り、だか らこそ新 しい相互扶助の形 をあ らため てつ くりあげることが求 め られてい るとい う。 こ れ までの限 られた範囲内での強 い連帯 に代 わ るゆ るやかで フラッ トな連帯、健全 な相互依存関係 を っ くることが必要 になってい るとい う主張である。

社会 が経済性一辺倒 の企業 中心か ら経済性 を包 摂 しつつ生活の豊か さに根 ざした個人 中心の社会 に移行す るなかでは、個人の活動 は賃金労働 や消 費行動だけに限定 され えない。地域 コ ミュニテ ィ や市民社会、家庭生活 において も知恵や経験 を最 大限活かす努力がな され る余地 があるはずである。

モ ノの豊 か さ、すなわち経済性 に依拠 しない価 値観が再認識 され は じめてい るのは周知の通 りで ある。豊 か さとは、 フロム (1951)によれば人間 や未来に対す る思いや りと連帯のための能動性 だ とされている。つ ま り人々の共存や 自然 との共存 を広 げてい くよ うな連携 的活動 といいか えられ る か もしれない。生活 とも地域社会 とも切 り離 され、

市場主義 が生みだ した消費の楽 しみ しかない生 き 方か ら人間はそろそろ脱却すべ きなのではないだ

ろうか。

反市場主義 に もとづ く地域再生 の シナ リオ は、

"サステナブル ・シテ ィ" をスローガ ンに ヨーロ ッ パで さかんに推進 されてい る。 これ は工業の衰退 で荒廃 した都市 を人間の生活の場 としての持続可 能 な都市 に再生 しよ うとす る動 きで あ る。 ヨー ロッパ委員会 が組織 した専門家 グル ープが1996年 にまとめた持続可能性 に関す る報告書で は、市場 メカニズムに依拠 していたのでは都市の持続可能 な成長は実現で きない として、市場主義 を強 く拒 否 してい る (神野、2002)。 ヨー ロ ッパ にお け る 地域再生 とは、市場主義 によ らない地域再生で あ り、それ は市民の協働による地域再生 とい うこと がで きよ う。

ヨーロ ッパ の地域再生のキ‑ワー ドは環境 と文 化にある。工業 によって破壊 され た自然環境 を改 善す るとともに、工業 に替 わ る知識産業 を地域 に

伝統 的に根付 く文化の復興 によって創造 しよ うと す ることに力 が注 がれてい る。なかで もフランス ・ ス トラスブールの取組み は注 目されている動 きの 一つ とい えよ う。

ス トラスブールでは、大気汚染 を浄化す るため に市民の共 同事業 と してLRT (LightRailTransit: 次世代低床式路面電車) を敷設 して、 自動車 の市 内乗 り入れ を原則 と して禁止 した。不便 さの共有 をとお して、つ ま り利便性 を若干抑 えて公共性 を 育 むLRTは、 自動車 と比べて二酸化炭素排 出量 が 少 な く、環 境 負 荷 が少 ない うえにバ ス と比較 し て輸送容量 が大 きく、バ リアフ リーに も対応 した 公共交通 としてわが国で も注 目されている (中村、

他、1998)。 この よ うに、 自 ら所有 す る自動車 で はな く、交通手段 を共有 、共用す ることで、環境 負荷 を低減 しつつ地域 の魅力 を維持 し、その活性 化 を図 る視点 は、資源 を多 く所有 す るのではな く、

共有 ・共用す ることで、持続可能 な都市の実現 を 可能 にす るだ ろ う。

さらにス トラスブールでは フランス と ドイツの 文化 を融合 したアルザス ・ロレ‑ヌ地域 固有の文 化の復興 に着手 した。国民国家 が成立す る以前か らその地域 が育 んで きた地域文化の復興 を、国民 国家の枠組み を超 えた地域軸で発信 してい るのは 興味深 い。 自動車 が進入せず人間が歩いていて楽 しい市街 地 で は商 店街 が活況 を呈 して お り、 し か も人 間 的都 市 に優秀 な人材 が集 ま り新 しい産 業 が芽生 え、雇 用 も増加 してい る とい う (神野、

2002)。 ヨー ロ ッパ の地域再生 の秘密 は、市民 が 共 同負担 に もとづ いて共 同事業 を実施で きる財政 上 の 自己決定権 に あ るとい う指摘 もある (字沢、

2000)。市民 の共 同事業 と して地域再生 が実施 さ れ ることで、人 間の生活 に密着 した人間的、社会 的、文化的、 自然 的、経済的に豊 かな地域 が築か れ ると考 え られ る。

巨大 なシ ョッピングセ ンターで季節感 も土地柄 も無視 した商品 を消 費 した り、地球 の裏側 で自然 を破壊 して生産 された製品 を購入す るのか、 ある いは地産地消 を意識 した り、地域 の 自然 との共生 か ら生 み出 され た特産 品 を購入す るのか、 これ ら

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を選択す るのは地域 を規定す る個人であり、 この 選択 は持続可能性 に関わる重大な選択 となるだろ う。多様 な豊か さの尺度 を統合 し、個人の意識や 行動 を転換 してい くのは、主体間の創造的対話 と いえる。 ここでい う創造的対話 とは、「対話 を通 してよ り良い生 き方 をともに目指す」 とい うこと で ある (ローテ ィ、1999)。つ ま り地域の認識主 体である個人がまわ りの人間や環境 と対話す るこ

とで、地域再生 に貢献す ることを指 している。

創造的対話 にとって重要 なのは、連携への積極 的な取組みである。連携 を促進す るためには、 こ れまで個人や個 々の組織 が囲い込んで きた個別の 経営資源 を、地域 に共通、共有の経営資源 として 街全体で活用、管理 してい く手法が有効 となるだ ろう。経営資源の積極 的な共有 ・共用 を核 に した 連携 を意識 して、本稿では経営資源の中で も地域 マネジメ ン トに貢献す る資源 を地域 資源 と捉 え、

この地域資源 を基盤 に した連携の可能性 を模索 し てみたい。

4.地域資源連携のための要件

1) 地域資源の類型化

一般 的に経営資源 とは、何 らかの生産活動 を営 み、価値 を付与 した製品やサービスを作 りだす過 程で必要 とされ る諸要素の ことをさす。経営資源 はこれ まで企業の専属資源 と同義であった。 しか し、昨今の自然資源の有限性の認識や生物 多様性 の保護、伝統 的文化の復興 などの視点か ら、企業 や一組織 の枠 を超 えた範晴で経営資源 を考 えるこ とがいっそ う必要 とされて きている。

資源 は経営のために利用 され ると経営資源 とな り、 また社会のために利用 され ると社会資源 とな る (海老滞、2002)。 同 じよ うに地域 のために利 用 されれば地域資源 とい うことが許 され るだろう。

地域資源 と経営資源 との間には新奇性のある価値 を創造す るとい う共通の要素 があ り相互に密接 に 繋がっていることはい うまで もない。 しか しここ で地域 資源 とい う言葉 を用 い る積極 的な意味 は、

個別経営資源の共有や共用による連携行動 によっ て地域 のために利用 され る資源、すなわち地域資

源 を核 と して地域再生の可能性 が広 がると考 えら れ るか らである。

地域連携 を促進す る可能性 を地域資源にみ ると き、資源 その ものの性質が連携 に大 きく関与 して いると考 えられ る。たとえば東大阪市では、モ ノ づ くりの まちの イメージを構築す るために 「東大 阪ブラン ド」 を立 ちあげた。オ ンリーワン製品に 認定 を与 え、「東大阪 ブラン ド」 とい うブ ラン ド ネームとシンボルマークの使用 を許可 し、モ ノづ くりの まちの イメージを共有の資源 としてブラン ド化 し、情報発信 していった (日経 グローカル、

2004/6/7)。

伝統 的なモ ノやカネといった資源 と異 な り、 目 に見 えず、触れ ることので きない要素 も資源 とし て認知 されているなかで、 ブラン ドや情報 といっ た資源が相対的に重要性 を増 していることは東大 阪市 における地域 の取組みか らも明 らかで ある。

そこで、地域資源 を目に見 えて触れ ることがで き る形式的な地域資源 と、 目に見 えず触れ ることも で きない暗黙的な資源に分拝 して考察 してみたい。

第‑ に形式的資源は、 目に見 えて触れ ることが で き、その明示性 ゆえに比較的早 くか らこの資源 の有用性 は広 く認識 され、直接的に財やサービス を生みだす原資 として扱 われて きてい る。代表 的 には実体のあるモノやカネは伝統 的に形式 的な経 営資源 として広 く用い られている。従来、モ ノや カネは数 多 くもつ ことで、意思決定の選択肢 が増 強 され、戦略設計の幅が広 が り、競争優位性 を後 押 しして きた。ゆえに形式 的資源 はその明示性 ゆ えに空間的、時間的に限定 された範囲に固有の資 源にな りやすい。 そのため形式的資源 を保持す る 主体によって囲い込 まれ ることが容易 とな り、他 とのかかわ りが欠落 した、経済性重視の自己満足 型行動 を誘発 Lやすいとい う側面 も持ち合 わせて いる。

第二 に、暗黙的資源 は 目に見 えず触れ ることも で きない、実体のない資源 として人間の頭のなか か ら生 まれ るような不可視の資源 を指す。 それは 情報、技術、文化、知識、知恵、 ノウハ ウ、 ブラ ン ドなどが想定 され る。人間の能力いかんでいず

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れのタイ ミングで も創造可能で あ り、組織の大小 の区別や都市 と地方 といった地域 の区別 な く、暗 黙的資源 を保有す る可能性 は平等 に開かれてい る と考 えられ る。 さらにモ ノや カネ と比較 して人間 の創造性 に力 点 が置 かれ るので、人 間の能 力 に ょって新奇の資源 をいつで も、 どこで も、 しか も 誰で もが生みだす ことがで きるとい う利 点がある この意味で暗黙的資源 は、空間的、時間的に広 が りを含む資源 とい えよ う。

経営資源 その ものの流れ を概観 してみ ると、伝 統的なモ ノやカネ といった具体 的な形式 的資源 か ら、情報、技術、文化、 ノウハ ウ、ブ ラン ドな ど のような、形 としてはつかみに くい、抽象的な暗 黙的資源への移行がみ られ る。当然の ことなが ら これ らの形式 的、暗黙的資源 は一方 か ら他方への シフ トとい う流れ は とらない。後 か ら生 まれて く る新 しい資源 は伝統 的な資源 を取 り込みなが ら複 合的な相乗効果 をね らうことが可能 となってい る

(海老滞、2002)0

たとえば埼玉県内の団地 で住民同士 が自動車 を 共同利用す るカーシェア リングの試みが行われて いる。 自動車 を個別 に もつ よ り経済 的で、排 ガス も抑制で きるので大都市 を中心に利 用者 は増 えて い るとい う (日本 経済新 聞、2004/ll/22)。 自動 車 とい うモ ノ、すなわち形式 的資源 と、共同利用 のシステムとい う知恵、すなわち暗黙的資源 との 相乗効果 によって経済性 と地司之環境への配慮 を同 時実現 してい る。特 に昨今の循環型社会 では、資 源 を多 く所有す るのではな く、共有 ・共用す るこ とで、経済性 と環境性 の同時実現 を図 ることが よ りいっそ う求 め られ てい るの はい うまで もない。

そこで次節では、新 しい価値 を創 出す る地域 資源 の連携可能性 を探 ってみたい。

2) 地域 資源 連 携 を意識 した地 域 間 ネ ッ トワー クの構築

通常、組織 は自己が必要 とす る諸資源のすべて を保有 してい る、 自己充足 的な完結 した存在 では ありえない。ゆ えに諸資源 を所有 してい る他組織 と関係 を形成、維持す ることが避 け られ ない。 こ

うして築 かれ た依存 関係 は、他組織 が保有 してい る資源の重要性 と、他組織以外か らの資源 の獲得 可能性 によって関係 の強度 が決定 され る。重要 で 希少 な資源 を保有 してい る組織 ほ ど、その組織 は 対外 的に影響力 を もつ ことになる。反対 にそれ ら をもたない組織 は他組織への依存 を強 めなければ な らないので、対外的に弱 い位置 に置かれ る。 こ の資源依存パ ースペ クテ ィブか ら授起 され る組織 間関係戦 略 には4つ の ものが考 え られ てい る (山 倉、1993)0

(∋ 自律化戦略 :他組織への依存 を回避 して 自組 織 内で調達す る戦略

⑦ 協調戦略 :外部依存 を是認 し、他組織 との間 で妥協点 を発見 し、安定 的関係 を形成 、維持す る戦略

(丑 政治戦略 :依存関係 を当事者組織間で直接 に 調整 す るのではな く、上級 もしくは第三者機関 の介入や働 きか けによって調整す る戦略

④ アウ トソーシ ング戦略 :特定資源 の外部依存 を意 図的に実行 し、外部資源 の積極 的で計画的 な利用 を行 う単印各

枯渇 の危機 に さらされ る自然資源、一人勝 ちす る機会 の減少、規模 の経済性追求 の限界、長続 き しない競 争優位性 、 などを想定す ると、経営資源 を囲い込 んで外部 との関係 をもたないか、 もった として も主従関係 の よ うな硬直 的ネ ッ トワークに しか関心 を示 さない組織 は、いわゆる経営環境 の 多様性 に対処す る能力 を時間の経過 とともに弱 め てい くことになるだ ろう。

反対 に地域資源 の共有 を基盤 に据 えた協働価値 創造活動 は、弾力的なネ ッ トワークを提供 し、地 域再生 の契機 を提供す るばか りではな く、個別組 織 の持続可能性 に も大 きく影響す るだ ろう。す な わち地域 と組織 の双利共生 を可能 にす るとい うこ とである。 さらに この協働範 囲は、比較 的普遍 的 で、明示 的に区切 られ た絶対的空 間 としての特定 地域 に限定 され ない。主観 的、可変的に規定 され る相対 的空間 を も加 味 した地域 の なかで資源 を保 有す る個 別主体 が、地球規模で提携先 を探す可能 性 を示 唆す るもので ある。

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個別経営資源の地域資源化、すなわち地域内の 弾力的なネ ッ トワークによって地域再生 に取組む 事例 は昨今増加傾向にある。 しか も地域資源 をも とに したネ ッ トワークは、地域の枠 を越 えて、地 域 と地域の間、すなわち地域間ネ ッ トワークへ と 発展傾 向にあることも看過で きない。広 が りつつ ある地域再生の取組み を空間軸 と時間軸 によって 特徴づ け られ る3つの性質、すなわち異質性、多 様性、広域性 によって整理す ることで、弾力的な 地域 ネ ッ トワークの条件があきらかに され るよう に思われ る。

弾力的な地域 ネ ッ トワークの条件の第‑ には、

異 質性 を取 り込 み、 資源 を相互 に補完 す ること が あげ られ る。2店 に1店 が シ ャ ッターを下 ろ し、 シャッター街 となったことに危機感 を暮 らせ た大須地区 (名古屋市)の8つの商店街 は連携 し て1995年 にまちづ くり委員会 を発足 した。 この委 員会 は最 も重要 な役割 を空 き店舗対策 として、空 き店舗 の解消 に乗 り出 した。外部の出店希望者 に 対 して門戸 を広 げた大須地区は、周辺地城 に比べ て家賃が割安 だったことも手伝 い、独立 開業 を志 す若者 が大勢集 まって きた とい う。若 い商店主 が、同年代の若者 をターゲ ッ トに した古着や雑貨 の店 を出店 して成功 を収めると、今度 は買い物 に 訪れた若者の中か ら商店主が生 まれ るとい う現象 を引 き起 こした。街全体が一体 となって空 き店舗 に若 い商店主 を呼 び込み、地域 の新陳代謝 を促 す ことで大須 は蘇 ったので ある (日経 ビジネス、

2003/2/17)。

また北陸の中で若者 を中心に活況 を呈 してい る 堅町商店衛 (金沢市)では、地元に愛 され る商店 街づ くりに注力 し、大型店 との差別化 を図 り "冒 新 しく、洗練 された若い感覚"とい う聖町の イメー ジの認知 を心がけてい る。堅町商店街振興組合理 事長の東川は、若手 が商店街で うまく店 を運営で きるようにす ること、 また繁盛店 をいかに多 くつ くるかについては商店の配置 を重視 し、商店街の 通行量 を保 ち、土地の価格 を下 げないよ うにす る ことを心がけた地域再生 を行 ってい るとい う。堅 町 とい う地域 が もつ イメージを掘 り起 こ し、その

イメージを共通の地域資源 として共有 しつつ、流 行 に合 わせ た若者向けの店舗の集積 を若手 に担 っ て もらい、その感覚 を駆使 しなが らにぎわいを取 り戻す商店街 として着 目されている (日本経済新 聞、2004/5/30)0

大須商店街のように元商店主 が家業 をやめた後 に他人に店舗 を貸す ことに抵抗感 を覚 える人は多 い。 しか し少 しずつ貸出希望者 を増や し、他方で テナ ン トを借 りたい若 い商店主の独立 を支援 した 事例 は、店舗 とい う形式的資源 をもつ もの ともた ない もの、知恵やアイデ ィアといった暗黙的資源 をもつ若者 ともたない年配者 とを補完 しあってい る. こうして一時は完全 に廃 れた衝 に新たなター ゲ ッ トとして若者 を呼び寄せ、活気 を取 り戻 して い る。聖町商店街で も、地域 イメージを暗黙的な 資源 として共有 しつつ、若手や情報技術 を駆使 し つつ、外部か らの刺激 を受 けて競争原理 を働かせ なが ら時には店 と商品 を変 えなが ら常に異質性 を 取 り込 んで、 目新 しく洗練 されたイメージを地域 全体で鍛 えている。

弾力的な地域 ネ ッ トワークの条件の第二 には、

地域 資源 の多様性 に着 目す ることで ある

。NP O F US I ON

長池 (八王子市) は、人間 と自然が共 生す る多摩ニュータウンの まちづ くりを支援す る

NP O

組織 と して、生 活支援事業 を核 に活動 を推 進 して きた。主 な事業活動 は、住宅管理支援事業

「住 まい見守 り隊」 (住見隊)、住宅づ くり支援事 業 「コーポ ラテ ィブ住宅づ くり」 (夢見隊)、高度 情報化支援事業 「高支隊」、地域交通支援事業 「足 守隊」 などを組織、地域の コ ミュニテ ィ活動の求 心力 となっている。

F US I ON

長池ではこれ まで作 りあげて きた住宅 や生活基盤である社会資源 を活用す ることで持続 可能 なまちを育 ててい る。 こうしたまちづ くりは 分割 された行政区、利益主導の企業、保護主義の 団休だけでは難 しく、 こうした組織 と市民 をつ な ぎ、責任 を持 って主体的にまちづ くりをすすめる ネ ッ トワーク型の支援事業 として、経済的に も自 立 し、 コ ミュニテ ィの しっか りした地域 を作 りあ げ、地域 内の人 と人 とをつ なぎ相互連携 を支 える

(9)

活動を行ってい る (秋元、2003)o

また千葉県佐倉市の新興住宅地 「ユーが 」が丘

では、治安悪化 を感 じた地域住民がボ ランテ ィア のパ トロール隊 「クライネスサービス」 を2000年 に結成 し、犯罪抑止 に効果 をあげている。2003年 には周辺地城の市民パ トロール団体 と協議会 を結 成 し、地域内のネ ッ トワークを強化 した。経費は 個人や自治会 か ら捻出 され、その結果可能な限 り 自ら安全 を守 る姿勢が地域 に芽生 えたとい う。 さ らに地域活動 に立 ち返 る退職者 の受 け皿組織 と して も育 ちは じめているとい う (日本経済新聞、

2004/5/18)。安 全 や安 心 が地域 の価値 を高 めた 事例 と考 えられ よう。

地域資源 は少 な くとも企業の場合の ようにアウ トプッ トとして経済性 を優先 しなければな らない ということはない。む しろ地域資源 は、地域で営 まれる生活 に根 ざした もの、 また地域の特質 を伸 長するもの とい う視点に重 きが置かれ る。 自然環 境保護や防災、防犯による安心で安全な地域づ く

りのための連携 は、生活感に根 ざした地域資源 と して安全や安心が価値 をもつ ようになったことを 意味 しているとい えよう。やがて安心 して安全 に 暮 らせ る街のイメージが、他の地域で構築 されて いる地域 ブラン ドなどと同様の機能 を果た し、当 該地域 を特徴づける文化や風土 を形成す るだろう。

この意味で地域資源の多様性 を許容す ることは、

地域の魅力 を発見 しそ して発信 しやす くして、ひ いては地域再生 に一役買 うことになるだろう。

弾力的な地域 ネ ッ トワークの条件の第三 には、

地域 を広域性 で と らえて資源連携 を考 えること である。瀬戸 内海5館広域 集客構 想 (香川県直 島、岡山県倉敷市他) では、瀬戸 内海 に点在す る 現代美術に強い美術館が広域的な集積 を生んでい る。香川県 と岡山県にある5つの美術館が、島巡 り感覚では しごす る美術 フアンの関心 を集めてお り、その集客効果 を見込んで 「アー トツー リズ ム」

「アー トクル ーズ」 といった構想 にまで発展 して いる。都心に集積す る美術館の好立地 が前提 とさ れてきた従来の考 え方 か らす ると、瀬戸 内海 の よ うに地域 に溶 け込んでいる美術館の一つひ とつ が

地域 と切 り離 して立地す ることがで きない とい う ことは障害 にな りかねない。 しか し、固有の特性 を損 なわず地域間でお互 いに連携 しあえる美術館 のあ り方 は、多様性の維持 に も繋がると考 えられ る (日本経済新聞、2004/12/24)。

また早稲田商店街 (東京都新宿区)では、早稲 田大学周辺の商店街が集客 と話題づ くりで成功 を 収 め、年 に30以上の学校の修学旅行の コースにま でなっている。早稲田商店会会長の安井 は、 日本 中の多 くの商店街が活性化に失敗 した原因 を、売 れ る店 を誘致すれば活気が戻 るとい う思い込みに あると指摘 してい る。 どんな店 を誘致 して も必ず 既存の店 とどこかで競合す るので、街全体の結束 が壊れ るとい うのである。その うえで商店街の役 割 を 「人が安全に安心 して暮 らせ る衛 をつ くるこ と」 と強 く主張 した うえで、着 目したのが自然環 境保護 と防災だった。1996年には大学の夏休み期 間の集客対策 とゴ ミの リサイクル運動 を組み合 わ せた 「エ コサマーフェステ ィバルin早稲 田」 を開 催 した。 その結果、環境対策が地域 を活性化す る と熱 い注 目を浴びた。 また、2002年 には 「震災疎 開パ ッケー ジ」 を販売 し、 自然災害 が起 きた と きに最長3ヶ月提携先地域の宿泊施設 に身 を寄せ られ る保 険 を扱 い は じめた。 この取組 み は地震 対策 の ほかに、疎 開先地域 との地域 間連携交流 が生 まれ るきっか けをつ くった (日経 ビジネス、

2002/7/8)。

これ まで地域連携 とい うと比較 的狭い範 囲で二 者 が関係 をもつ とい うことは行われていたように 思われ る。従来の考 え方では市町村 をまた ぐこと はおろか海 をも挟 んで組織同士 が連携す るとい う のは、広域連携 によるメ リッ トを距離が相殺 して しまい、離れていることがデメ リッ トになると一 般 的に考 え られていた。 ところが瀬戸 内海5館広 域集客構想 は、 このデメ リッ トを地域資源の独 自 性の保持 に役立て るだけではな く、同 じコンセプ トの下 に広域地域 間連携 す ることを可能 に した。

また早稲 田商店街 において も防災 を核 に していな が ら、遠隔地域 との物的、人的ネ ッ トワークが創 発的に醸成 され るにいたった。 これ らが示す こと

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は、固有 の特性 を損 なわず に広域地域 で連携 し合 える地域間 ネ ッ トワークの可能性 を示唆 してい る ことに他 な らない。

地域 資源の弾力的 ネ ッ トワークは、同質性 か ら 異質性 へ、一様性 か ら多様性へ、狭域性 か ら広域 性へ、それぞれ向か うことで地域再生の途 をひ ら いてい るとい えよ う。 こうして地域 は増 分型のア プローチをとりなが らネ ッ トワークを構築 してい くことで、地域 マネジメ ン トの新 しい可能性 を発 見す るだ ろう。

5.おわりに

地域 資源の弾力的ネ ッ トワークを意識 した地域 再生 は、異質性 、広域性、多様性 とい う3つの性 格 を備 えることで、地域 の新 たな魅力 を引 きだす ことになる。 しか し地域 の魅力 を再構築す るため には、 もうひ とつ重要 な資源 が議論 されなければ な らない。 それ は人的資源 である。他の経営資源 が意思 をもたない無機質の資源で あるのに対 して、

人的資源 は他の資源 との連携 を可能に しうるため に、主体的に行動で きる唯一の有機 的資源 なので ある。

地域 の範 囲 を同質性、狭域性 、一様性 で厳密 に 規定す ると地域再生 とは逆行す る流れ に呑 み込 ま れ る。活性化 を追求す る地域 では、地域資源共有 の異質性 、広域性、多様性 をいかに許容す るかに かかって くる。つ ま り地域 内外の ネ ッ トワークを 弾力的に組み替 え、新規性 の高 い地域資源 を創造 す るのかがカギになるだろ う. そこでネ ッ トワー クを駆使 して地域 資源 を創 造す る主体 こそ、唯一 主体性 をもつ人的資源 と しての ヒ トとい うことに な るので ある。

弾 力 的 な関係 性 を重視 す る地域 マ ネ ジメ ン ト におい て人 的資源 と して の ヒ トに期待 され るの は、ネ ッ トワーキ ングにおける媒介機 能 と しての 役割で ある。 しか もこの機 能 を一人の カ リスマ的 リーダ‑に期待す るので はな く、成 員一人ひ とり に期待 したい。 なぜ な ら唯一の個人 に依存す るよ りも、一人で も多 くの個人 に期待す る方 が、関係 性 を結ぶ際に異質性、多様性 、広域性 が確保 され

やすいか らで ある。 ここでの個人 は、た とえば企 業人、環境人、防災人、観光人、買物人、地球人 とい うよ うな、一人ひ とりが多様 な人格 を駆使 し て常 に弾力的ネ ッ トワークの可能性 を模索 しつつ 地域 マネジメ ン トに貢献す る個 人でなければな ら ない。換言 す ると、地域 の魅力 を再構築す るため の要件 こそ、多様 な人格 を統合 した "地域人"が ネ ッ トワーカーと して機 能 し、その地域人 によっ て媒介 された地域資源 ネ ッ トワークを構築す るこ とと考 え られ る。

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参照

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