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経営者の理念 ・ 価値観が企業制度に具現化 するプロセスについて

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神奈川大学審査学位論文の要約 「経営者の理念 ・価値観が企業制度に具現化するプロセスについて

43

経営者の理念 ・ 価値観が企業制度に具現化 するプロセスについて

‑ 「フ ァ ミ リー ・フ レン ドリー諸制 度」 に焦 点 を合 わせ て‑

Ac ons i de r a t i onoft hei mpor t a n c eoft opma na ge me nte t hi c sa n dva l ue si nc or por a t es ys t em

‑ Wi t haFoc usonFa mi l yFr i en dl yPr ogr a ms‑

神奈川大学大学院 経営学研 究科 国際経営専攻 博士後期課程

岡 部 幸 徳 ( 1 99997302)

(目次)

本論文 におけるキー ワー ド

Ⅰ.本論文 の 目的

Ⅱ.

研究 の背景

Ⅲ.分析 フ レーム ワー ク

1

「経営理念主導型」 と 「法制化主導型」

2 FWI

「企業 に よる仕事 ・家庭両立 プログラムの発展段 階」

3

「必 要 とす る要 因

「可能 とす る要 因

「促 進す る要 因

「阻止す る要 因」 の

「 4

つの要因」 による分析

Ⅳ.事例要 旨 V.本論文 の成果

本論文 におけるキー ワー ド :

「経営者 の理念 ・価値観」

,

「従業員処遇等諸制度」

,

「ファ ミリー ・フ レン ドリー」

Ⅰ.本論文の 目的

本 論 文 の主 目的 は、 「経 営 者 の理 念 ・価値 観」

(1)が どの ような プ ロセ スで 「企 業制 度」 と し て具現化 してい くのか、 この具現化 のプロセスを

「企 業 の従業員 に対 す る雇用 お よび処遇 に関す る 諸制度 (以下、「従業員処遇等諸制度」 と略称)」、

特 に、「フ ァ ミリー ・フ レン ドリー諸制度」 に焦 点 を合 わせ て考察す る ことにあ る。 なお、本稿 は 衣笠洋輔教授指導 の下 に研究 した博士論文 の要約 であ る

Ⅰ.研 究の背景

今 日、 「フ ァ ミリー ・フ レン ドリー諸制度」 は

「企業制度」 の一環 と しての 「従 業員処遇等 諸制 度」 (往 2)において、 きわめ て先進性 の強 い 「従 業員処遇等諸制度」として広 く関心 を集 めている

「フ ァ ミリー ・フ レン ドリー」 (3)概念 に基づ く

「従業員処遇等諸制度」 を 「フ ァ ミリー ・フ レン ドリー諸制度」 と位置づ けているが、 これはあ く まで も企業が構築す る諸制度 の一環 として受 け止

めてい る。 ここで留意 してお きたいのは、今 日、

企業 は 自らの存続、発展 の基軸 に 「優秀 な人材 の 確保 、育成」 を据 えてお り、 これな くしては、企 業利益 の確保 、 ひいては、企業 の存続 、発展 はあ り得 ない。先進 的 な企業 は 「優 秀 な人材 の確 保 、 育成」を企業の存続、発展 のための 「全戟略体系

の基本 的一環 と して組み込 みつつある。そ こでは、

「人材 の確保 、育成 に関 わ る諸制度」 を 「企 業制 度」 の基本 的一環 と して組 み込 む方向が探 求 され つつ あ る

「フ ァ ミリー ・フ レ ン ドリー諸制 度」

は恩恵的制度ではな く、企業の利益獲得 のための 前提 とも言 うべ き制度 と位置づ け られていること に留 意 すべ きで あ る。企 業制 度 の一環 と しての

「従業員処遇等諸制度」 を基軸 に据 えたのは、「経 営者 の理念 ・価値観」 (往 4)はそれ だけで は、観 念 の域 に留 まらざるを得 ないが、 これが企業制度 として具現化 された段 階で始 めて実質的 な意味 を 持つ存在 となる点 に着 目 した ことに よる。企業の 従業 員 に向 けての 「経 営 者 の理念 ・価 値 観」 が

「従業員処遇等諸制度」 に具現化 され る場合 、そ

(2)

の具体性が高 ま り、 また、それに直接、間接 に関 係す る人々にとって理解 し易 い もの とな り、そ こ でのす り合 わせ を通 して、その体系化、普遍化 も 一層進展す ることになるか らである。

「従業員処遇等諸制度」が先進的であればある ほ ど、「経営者の理念 ・価値観」が重要 な役 割 を 演 じる。その場合、経営者 自身の生い立 ち、個人 的体験、宗教観、倫理観、価値観、正義感、 さら には、理念 ・情熱 な どが深 く関わっていることが 多 く、その様 な状況の下では、先進的な 「経営者 の理念 ・価値観」 は 自企業の企業制度 に色濃 く反 映 されることになるが、その先進性 の故 に、その 数は きわめて限 られた もの とな らざるを得 ない。

しか し、特 に注意 してお きたいのは、 この先進的 な企業制度が社会か ら認知 される場合、 これが他 企業の経営者の啓蒙 に繋が り、 また、国 ・行政 を も動 かす ことになる。米国の先進企業

( I BM

、 ジ ョンソン&ジ ョンソン (以下

、J&J

と略称)) を 事例研 究の対象 と して選 び、「経営者 の理念 ・価 値観」が 「従業員処遇等諸制度」の定着化 にいか に大 きく貢献 しているか を一つの問題提起 として 紹介 し、 これ ら事例 を 「経営理念主導型」 として 位置づ けた。 日本 にお いては、「経営理念 ・価値 観」 と並 んで、 「従 業員処遇等諸制度」 の確 立 、 定着化 において 「国 ・行政の施策 ・法制化」 (5)

の演 じる役割 もまた きわめて大 きい。 「国 ・行政 の施策 ・法制化」 は企業の主体性 に任せ ておけな いほ ど事態が悪化 した場合、その出動がその解決 の決め手 となることもしば しばである。

「国 ・行政の施策 ・法制化」 は、当然のことな が ら、それぞれの国が持つ基本的姿勢 に深 く関わ ってい る。 日本 の場合 も、「経営者 の理念 ・価値 観」 に加 えて、「国 ・行政の施策 ・法制化」 が き わめて重要な役割 を演 じるのが通例である。本論 文 で は、 日本 にお け る 「従 業員処遇等諸制度」、

ひいて は、 「フ ァ ミリー ・フ レン ドリー諸制度」

の形成過程 に焦点 を合 わせ て考察す るため、 この

「国 ・行政の施策 ・法制化」 を も織 り込 んだ分析 フレームワークを提示 している。

「ファミリー ・フ レン ドリー」 とい う概念 それ 自体、 きわめて先進的な ものであ り、 また、それ を支援す る企業制度 (以下、「フ ァミリー ・フ レ ン ドリー諸制度」 と略称) も先進性 をその特質 と してい る。 「経営理念主導型」 として、先進的 な 企業制度 の象徴的存在である 「ファミリー ・フレ

ン ドリー諸制度」を選 び、それに焦点 を合わせて、

「経営者 の理念 ・価値観」 が企業制度 の一環 とし ての 「従業員処遇等諸制度」、ひいては、「ファミ リー ・フレン ドリー諸制度」 に具現化 してい くプ ロセスの考察 を試みている しか し、その先進性 の故 に、社会的認知度 も低 く、スムーズに進行 し ない場合、そ こでは、「国 ・行政の施策 ・法制化」

の出番があ り重要な役割 を演 じることになる。

「ファミリー ・フレン ドリー」概念は 「仕事 と 家庭 の両立」 に凝結 されてお り、従業員 にとって その理想型 とも言 うべ きものである。 日本 におい て、 この 「ファミリー ・フレン ドリー」概念 を速 やか に浸透、走着 させ るためには何 が必要である のか、そのための基本的条件 を確認す ることこそ、

筆者 の最大の関心事 であ り、上記3つの要 因の関 係 を解明す ることによ り、その解決の道 を探求す

ることが よ り具体的な狙い となっている。

Ⅲ.

分 析 フ レー ム ワ ー ク

1

.

「経営理念主導型」 と 「法制化主導型」

「経営者の理念 ・価値観」が 「従業員処遇等諸 制度」 をどの ような形で定着、浸透 させ るかにき わめて重要 な役割 を演 じることはい まさら言 うま で もないが、現実的 には、「国 ・行政の施策 ・法 制化」 もまた 「従業員処遇等諸制度」のあ り方 に 重大 な影響力 を持つ。 ここで注意 してお きたいの は、「経営者 の理念 ・価値観」が 「国 ・行政の施 策 ・法制化」 に比較 して高い基準 を持つ場合 と、

そ うでない場合 では、「従業員処遇等諸制度」 に 与 える影響の仕方 は大 きく異 ならざるを得 ない と い うことである

(∋経営者が 「国 ・行政の施策 ・法制化」 に比較 して もきわめて高い基準 を持つ場合 (経営理念主 導型)と、(∋経営者が 「国 ・行政の施策 ・法制化」

に比較 して も低 い基準 しか持 たないか、あるいは、

基準 その もの を持 たないか、 または、明確 に しな い場合 (法制化 主導型) にお ける 「経営者 の理 念 ・価値観」、「国 ・行政の施策 ・法制化」、「従業 貞処遇等諸制度」 の3者の関係 とプロセス に大 き な差異が生 じる とい う点 に向け られている。

① の場合 、 「従業員処遇等 諸制度」 に向けて、

「国 ・行 政の施策 ・法制化」 の出番 はな く、それ な しで も十分機能す る形で構築 されるが、(3)の場 合、「従業員処遇等諸制度」構築のために、「国 ・ 行政の施策 ・法制化」 は重要 な役割 を演 じざるを

(3)

神奈川大学審査学位論文の要約 「経営者の理念 ・価値観が企業制度に具現化するプロセスについて

45 得 ない。(Dのケース を 「経営理念主導型」、② の

ケースを 「法制化主導型」 と名づけた。

本論文で は、「従業員処遇等諸制度」 の形成 の プロセスお よびその成果 をい くつかの事例研究 を 通 して解 明す るこ とを試みているが、その場合、

これ らの 「従業員処遇等諸制度」の形成が 「経営 理念主導型」 とい う形 をとる場合 もあれば、「法 制化主導型」 とい う形 をとる場合 もあ る。 この

2

つの タイプの 「制度」形成過程 に焦点 を合 わせて 考察 を進めることによ り、通例 な ら見落 として し

まうような様 々な問題 の解明が可能 となる

「経営理念主導型」は理念 と情熱 を以 ってその実 硯 を目指す西欧企業 に しば しば見 出 され る。高福 祉社会の実現、今 日、高負担問題 を契機 として重大 な限界 に直面 している とはいえ、そこには、それを 実現す るための理念 と情熱の存在 を見出す ことが で きる。今 回事例 として取 り上 げた「ファミリー・

フ レン ドリー」企業

( I BM、 J

&

J)

も明 らか に「経営 理念主導型」に属 している。「ファミリー・フレン ド

リー」概念 も一部の米国企業 によって提起 され、実 現 に向けて努力 されて きた ものであ り、「経営理念 主導型」とい う特性 を強 く持つ ものである。さらに、

日本企業の「フ ァミリー ・フ レン ドリー」企業 に該 当す る と考 え られる資生堂他 を事例研究の対象 と して選 んでいるが、これ らも「経営理念主導型」と して位置づ けることがで きよう。

「法制化主導型」の限界 は 「仏作 って魂入れず」、

「絵 に書 いた餅」 に陥 りが ちなことである

「国 ・

行政の施策 ・法制化」 が 「従業員処遇等諸制度」

に取 り入れ られた として も、これが経営者の理念 を刺激 し、高め ない限 り、「法令破 り」、「法網 く ぐり」、「遵法 な し、違法」が まか り通 る。 ここで は、実質的な罰則が なければな らない し、その罰

別の厳密 な適用が不可欠である。 しか し、 この こ と自体、多 くの重大 な限界 を抱 えている。 この度 の雪印食品の実態が この限界 を見事 に反映 してい ると言 わざるを得 ない。時間は掛かるが、多数の 経営者 を 「経営理念主導型」 にまで高めるとい う 啓 蒙 的 な努 力 も同時並行 的 に進行 させ る しか な い。「法網 くぐり」 を阻止す るための絶 え間ない 法改正 、罰則 の厳密 な適用 、持続的 な啓蒙努力、

いずれを欠いて も事態 は解決 しないことを銘記す べ きである

「経営理念主導型」が当然の ことと して、認知 され、実現 した場合、事態 は一変する。

本論文 で、「経営理念主導型」 に向けて、それ を 象徴す る数多 くの事例 を用意 したのは、 この理 由 による。大量失業時代 を迎 えた今 日、「法制化主 導型」以前 とい うのが常態であ り、真の問題解決 には程遠 い状況 にあるが、「経営理念主導型」 に 向けて弛 まざる努力 を重ねないならば、社会の崩 壊 は必至であることを覚悟 してお く必要がある。

図1で「従業員」は トライア ングルの中央 に位置 してお り、左上 に「経営者 の理念 ・価値観」、右上 に

「国 ・行 政の施策 ・法制化」を位置づ ける

工 業員

の下部 に位置 し、「経営者の理念 ・価値観」:‑̲、「国 ・ 行政の施策 ・法制化」に関係す るのは「紅 実員処遇 等諸制度」である。また、「経営者の理念

冊直観」と

「従業員処遇諸制度」に関係 し従業員 とも密接であ る もの として「企業内労働組合」がある 「企業内労 働組合」は「経営者の理念 ・価値観」と「従業員処遇 等諸制度」に対 して非常 に高い影響力 む持つ。しか し、近年企業内の組合組織率 も低迷 し、企業内労働 組合が存在 している多 くの企業 におい こも組合員 の数が減少傾 向にある。この点 を勘案すれば、「従 業員」と「企業内労働組合」の関係 の意味づ けは慎 重 に行 う必要があろう。

図 1「企業の従業員 を取 り巻 く3つの要素の関係 を理解 するフレームワーク」

(4)

図2「経営理念主導型」 と 「従業員処遇等諸制度」の関係図

1)「経営理念主導型」

「経営者 の理念 ・価値観」は「ファ ミリー ・フ レ.ン ドリー諸制度」の ような先進性の強い「従業員処遇 等諸制度」の確立 を主導す る役割 を演 じる。また、

「経営者 の理念 ・価値観」は「従業員処遇等諸制度

に具現化 され ることに よ り、経営者個 人の所有物 とい う性格か ら脱 し、企業の共有財産 としての性 格 を兼備す るこ とにな り、これが さらに制度の一 層の体系化 を促 す ことになる。「経営者の理念 ・価 値観」が「経営理念 (企業理念 (注6))」に昇華 してい くのはこの過程 においてである。「経営者の理念 ・ 価値観」は しば しば創業者型 の経営者 に よって も た らされるが、「経営理念」は経営者個 人 を離れて、

共有財産 と しての性格 を持つ に至 ってお り、経営 者 の交代 があ って も、安易 に放棄す るこ とはで き ず、その企業 に持続 して引 き継がれることになる

社会の平均的な水準 をはるかに上回る先進性 を持 つ「従業員処遇等諸制度」はほ とん ど例外 な く「経 営者の理念 ・価値観」によって主導 されている と言 うことがで き、これ を「経営理念主導型」と して位 置づ ける。この「経営理念主導型」は米国 において

もっとも典型的に見出 される。

(∋ 「経営者の理念 ・価値観」か ら 「従業員処遇等 諸制度」 に向けての影響 :

この影響 は経営者が 自らの考 えで、ある 「従実 員処遇等諸制度」を導入す ることを意味 している。

この制度 はその時点で法律 による義務ではない も のを示す。

「経営理念主導型」の場合、「従業員処遇等諸制度

‑の影響 はあ くまで も① が メイ ンであ り、(∋のみ で 自己完結す る と言 って よい。① については、「経 営者 の理念 ・価値観」と「従業員」、労働組合がある

なら、「労働組合」とのす り合わせ を通 して「従業員 処遇等諸制度」に具現化す るのが一般的である。時 に、以前 には上意下達の形 を採 ることもあったが、

す り合わせが なされる方が従業員の協賛 を得 られ やす く、企業 と従業員 に とってメ リッ トの多い も の となるため、今 日では、このや り方が定着 してい る。その意味 で、(丑は企業内での問題 であ り、内部 的には、自律性が維持 されている。それに対 し、(参、

③ 、(彰、G)の関係 はあ くまで もサ ブであ り、補足的 であると言 うことがで きる。

(∋ 「従業 員処遇等諸 制度」 か ら 「国 ・行 政 の施 策 ・法制化」‑の影響

「経営者 の理念 ・価値観」に基づいて導入 された

「従業員処遇等諸制度」が発端 となって、その制度 の理念や効果 を認めた他企業が同 じような制度 を 導入 し始め る。制度が導入 されない企業 の従業員 やそれ を取 り巻 く人々の法制化への要望が高 まる 中、国 ・行政が指導や法制化 を試みることになる。

③ 「国 ・行 政 の施策 ・法制化」 と 「経営者 の理 念 ・価値観」の相互関係

国 ・行政が施策、法制化 を図る場合、それ以前 の段 階でその制度 を導入 した際 の 「経営 者 の理 念 ・価 値 観」 の確認 が 問題 とな り、 そ こで は、

「経営者の理念 ・価値観」 と 「国 ・行政の施策 ・ 法制化」 との間で相互 に影響 し合 う関係が成立す る。 もとより、その場合、その法制化 を実 りある ものにす るためには、その起爆剤 となった 「経営 者の理念 ・価値観」 について、国、行政、ひいて は、法制化の担 当者が心底 か ら理解 し、納得 し、

同意 した上で、「立法 の 目的お よび精神」 と反映 させ ることが重要 となる。

④ 「国 ・行政の施策 ・法制化」か ら 「従業員処遇 等諸制度」への影響

(5)

神奈川大学審査学位論文の要約 「経営者の理念 ・価値観が企業制度に具現化するプロセスについて

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前述 の② とは矢 印が逆方 向で、当然 の こ となが ら、その影響 のあ り方 は異 なる。ここで は

「従業員 処遇等諸制度」は法律 に よって規 制 され る こ とに なるため、経営者の意向で廃止 、修正す ることはで きず、また、法律 で規定 された範 囲、お よび、水準 を 下 回 るこ とは許容 され な くなる。法制化 は遵守す べ き ミニマ ムを規定す る形 で な されることが一般 的であるため、「経営理念主導型」の「従業員処遇等 諸制度」がそれ を下 回るこ とはあ ま り見 られない。

しか し、その制度 が カバ ー してい る範 囲 を法制化 が超 える こ とは しば しば起 こ りが ちであ り、その 場合 は範 囲 自体 を法律 に適合 させ る必要が生 じる の は当然 の ことであ る。それ まで「経営者 の理念 ・ 価値観」によって支 え られて きた 自律 的制度 は、こ

こで は じめて、法律 に よって「お墨付 き」を得 た こ とになる

「従業 員処遇等諸制度」が先行 している 状 況 の下で、それ に準拠 した形 の法律 がで きるこ とは十分 にあ り得 る こ とで あ る

「経営理念主導 型」 における 「経営者 の理念 ・価値観」 と 「

国 ・

行政の施策 ・法制化」 の関係 を考察す るポ イン ト は、経営者が 自らの理念 ・価値観 に根差す 「自律 的制度」 と、立法者の意思 お よび立法 の精神 に よ る 「他律 的制度」つ ま り 「法定基準」の どち らを、

優先す るか とい う点 にある

以下 、 「育児 介護休 業法」 にお け る 「育児休業 期 間」 を事例 に、図3に よって解説す る。あ る企 業で 「育児介護休業制度」 を法制化 に先駆 けて採 用 し、対象社 員が休業で きる最大期 間 を社 内規定 で3年 と決定 した。 これ を 「ケースA」 (図3参照) と呼ぶ。現行 の育児休業法 の規定 に よる育児休業 期 間は、対象 となる子 が 「満 1歳 になるまで」 で あ る。 「経営理念主導型」 においては、 どち らの 基準 を選ぶのかが問題 となる。 この事例 は 「国 ・ 行政 の施 策 ・法制化」 と 「従業員処遇等諸制度」

の関係 にあては まる。

この場合 、多 くの経営者 は 自己の信念 に よ り導 入 した育児休業制度 の期 間を存続 させ る とい う選 択 をす る こ とも可能であ る。本論文 で取 り上 げた 米 国

2

社 の事例 で考 えてみれば、第 1に

、「 I BM

の個 人の尊重」や

「 J&J

の社 員‑ の責任」を経営理念 と して設定 してい る経営者が 、レベ ルの低 い法律 の 基準 が制定 されたか らとい って、自らの考 えで、法 律上 の基準 に合 わせ てそれ を低下 させ ることはま ず ない。それ ら経営者 の理念 は法律 に縛 られ るこ とな く、何 を良 しとす るか とい う価値観 に よって 判 断 され るか らであ る。第

2

に、自 らの制度 が

3

年 の基準 であ る時 に、法定基準 がそれ よ り低 く設定 されてい る場 合、期 間の長 さとい う点で優 れてい れば、当然 自分 の制度 を選択す るであろ う

また、次 の ようなケース も考 え られ る。可能性 の高 い もの と して、法律 の基準が 自社 の制度の基 準 よ りも遅 れて設定 された場合 に、 自社 の制度基 準 の方が低 い 「ケース

B

」 (図

3

参照) も想定で き る。 しか し、 これ も、先 ほ どの例 と基本 的 には同 じである。経営者が本当 に 「個 人の尊重」、「社員 へ の責任」 を真剣 に考 えているな らば、法律で決 め られた高基準 の制度 に切 り替 え、遵守 してい く はずである。 この ことは 「経営理念主導型」 で は む しろ当然の ことで、法律 の基準以上 に自社 の制 度基準 を修正す ることが、彼 らの理念 に基づいた 行動 を効果 的 にす ることになるか らである

⑤ 「従業員処遇等諸制度」 か ら 「経営者の理念 ・ 価値観」‑ の影響

(釘の範晴 に属す る影響 は

、2

つの次元 で把握 で きる。再三言 及 している こ とであ るが 、「経営者 の理念 ・価値観」 は、多 くの場合 、「従業 員」 な い し 「労働組合」 とのす り合 わせ を通 して 「従業 員処遇等諸制度」に具現化 されることになるため、

このす り合わせ の段 階で、「従業員処遇等諸制度

か ら 「経営者 の理念 ・価値観」‑ の影響 は当然生 図3:育児休業の法定基準 の例 (法定部分 、点線‑ 違法部分)

自社制度による

虫旧 、丑日ノし ′、

日 ト. ・ ̲ ̲ I 1 I

T

jA ヽ

1年 2年

3

自社制度による

育児休業期間 打率 示享 ヰ‑ト..I.‑. ケースB

育児介護休業

(6)

じていることになる。(Dは上意下達の場合以外 は、

相互的な影響関係 を包摂 している と考 えて よい。

本論文 で取 り上 げたIBMとJ&Jの事例 におい ては、経営者が従業員の士気 を高めた り、能力 を 向上 させ た り、多 くのチ ャンスを与 えるような制 度 を導入 したことによ り、その結果 として、 これ らの経営者 は従業員、 さらには、社会か らの信頼 を得 て、常 に優秀 な人材 を確保で きた とい う点で ある。 また、大恐慌時 において も大 きなダメージ を受 け る こ とな く成 長 したIBMの事例 もあ る。

これ らの事例か ら、経営者が理念 ・価値観 を持 っ て、 「従 業 員処 遇等 諸 制 度」 の 中で も先 進 的 な

「ファ ミリー ・フ レン ドリー諸制度」 を導入す る ことで、従業員のモ ラールが向上 し.、生産性が上 がる とい った さまざまなメ リッ トを企業 にもた ら す ことは明 らかであ り、これ らの諸制度の採用 は その具体性の故 に、労働者側の新 しい関心、要望 を引 き出す ことにな り、 これが さらに、「経営者 の理念 ・価値観」 に影響 を与 え、制度の カバーす る範囲 をよ り広範、体系的なものにす る とい う好 循環過程が しば しば見 られている。つ ま り、経営 者が高次の理念 ・価値観 を持 って、仕事 と家庭の 両立 を支援するような、従業員が働 きやすい と考 える労働 環境 を もた らす制度 を導入す ることは、

結果的に経営者 に利益 をもた らす ことになるので ある。 もとよ り、「経営者 の理念 ・価値観」 を具 現化 した制度、措置 は、すでに法制化が なされて いる場合、法定水準 お よび範囲 を上回る必要があ ることは言 うまで もない。

「経営理念主導型」 の場合、「従業員処遇等諸 制度」 は法定基準 と比べて よ り高水準の内容 を持 つのが一般的である。例 えば、IBMを例 にとる と、

同社の 「経営の信条」の1つである 「個人の尊重」、

「市場 第‑主義」 を重視す る理念 ・価値観が きわ めて具体的な形 をとって現れている点である。 こ れを図示すれば、下記の図

4 ‑ 1

、図

4 ‑ 2

の ようにな り、「経営者の理念 ・価値観」 は、「従業員処遇等 諸制度」を通 して従業員に理解 されることになる

IBM

、J&J

における経営者の信条はそれぞれ 「個 人の尊重」、「社員への責任」 を掲 げているが、こ こで留意 してお きたいのは、これは従業員への単 なる恩恵主義 を意味 しない とい う点である。両社 がそれぞれ市場第一主義、消費者第‑主義 を唱 え てい るの は、その実現 の ため に 「個 人の尊重」、

「社員へ の責任」 が不可欠であることを 「経営者 の理念 ・価値観」 に論理的かつ体系的に組み上げ ている結果である。従業員が働 きやすい環境、労 働条件 を整備することによ り、結果的 に、市場 な い し消費者 に提供 される製品、サービスの質 を高 めることに繋がることを十分承知 してお り、 これ を理念 ・価値観 に織 り込 んで、その体系 を組み上 げていることに留意す る必要がある。

「従業員」もこれ らの制度が導入 された際 には、

その制度 を利用 しようとす る。それが期待 した も の以上であった場合 には、新 しい提言 も生 まれ よ う。 「従業員」 か らの評価 を得 て、労使相互 の信 頼関係が育 まれて、「経営者の理念 ・価値観」 を 従業員が体験 し、理念の意味 を実感す る。しか し、

ここで 「経営者の理念 ・価値観」が従業員 に受け 入れ られ るには一つの条件がある。「従業員」 が

「従業員処遇等諸制度」 を利用 しようと組織 の上 司や経営者 に申 し出た際、経営者や幹部がその申 し出、その利用 を歓迎する意思 と行動 を明 らかに する必要がある。この条件 をクリアす るためには、

常 に経営者 は自らの信念 を表明 し、 また、従業員 に向けて、理念 を理解 し、納得 し、共 に実行す る 図

4‑ 1 l BM

の事例の検証

4‑ 2 J & J

の事例の検証 経営者の理念 .価値観

「我が信条」社員への責任

「従業貞処遇等諸制度

・大恐慌時における雇用努力

「チコピービレッジ」建設

(7)

神奈川大学審査学位論文の要約 「経営者の理念 ・価値観が企業制度に具現化するプロセスについて

」 4 9

ことを訴求 し続 けることが必要 となる。経営者が

その理念 を本気で推進 してい くとい う意思が 「従 業員処遇等諸制度」 に代表 される何 らかの具体的 な措置 を通 して従業員 に伝 わる場合、従業員 はそ れ を経 営者 のや る気 の判 断基準 とす る こ とにな る。 この 「経営理念主導型」 における 「経営者の 理念 ・価値観」 に根差 した制度 は、その制度 自体 が経営者 の理念 を具現化 した ものであ り、当然、

「自律的」制度 としての特性 を持つ。

次 に図2の線a,bお よびCにつ いてであ るが、

この3つの関係 は 「企業内労働組合」 との関係 を 表す ものである

わが国 においては、「労働 組合」 は企業 ご とに 結成 されることが多 く 「従業員処遇等諸制度」の 改善や要望 は 「企業 内労働組合 (以下、「労働組 合」 と略称)」 を通 して、経営者 との 「す り合 わ せ」 をす るこ とが多い。 この点 を考慮 して、「従 業員」が直接 関係す るルー トとは別個 に 「労働組 合」 ルー トを付加 した ものである

a:

「従業員」 と 「労働組合」 の関係 は、表 裏一体 とい うべ き関係 である。対象 となる 「従業 員」の過半数が組合員であれば、その 「労働組合」

の同意 によ り経営者 との 「労働協約」や、いわゆ る 「労使協定」 な どの ように法的効力が発生す る か らである。 しか し、昨今の 「労働組合」 の組織 率低下や 「労働組合」‑の加入率の減少 な どによ って 「労働 組 合 の有 名無 実化 」 も深 刻 で あ り、

「従業員」 のすべ て に関連 して 「労働組合」 を直 結 させ ることは出来 ない現状 であ る。 また、「従 業員」 で も組合 に加 入 して い ない者 が い る点 、

「従業員」 の過半数 を超 えない加入員 しか擁 しな い 「労働組合」 もあることを考慮 して、線

a

は点 線で表 している

線b :「企業内労働組合」 と 「従業員処遇等諸 制度」 を結ぶ線である。 この線が 「労働組合」 の

「従業員処遇等 諸制度」 ‑ の影響力 をあ らわす。

「労働組合」が 「従業員」 の労働 条件 に関す る要 望や意向 を 「経営者」 に伝 え、その条件 の実現 を 図るため に、「従業員処遇等諸制度」 を確認す る 作 業 が この線bで あ る。 「経 営 者 」 が 自 らの理 念 ・価値観 に根差 した 「従業員処遇等諸制度」 の 導入 について、その水準や使 い勝手 な どの改善要 望等 を 「従業員」が 「労働組合」 に交渉 を依頼す るケース も想定 されている。 また、 もう1つの役 割 として 「経営者」 との交渉結果が出た時 には、

この ルー トを通 じて も、 「従 業員処遇等諸制度」

の更新が行 われる点 も記述 してお く

C:

「企業 内労働組合」 と 「経営者の理念 ・ 価値観」 を結ぶ線である

「労働組合」が、「従業 員」 の要望や 「経営者」 の理念 ・価値観 によって 導入 された 「従業員処遇等諸制度」 に対す る 「従 業員」 の改善要望等 を、「経営者」 に伝 える役割 があ る。 また、「労働組合」が 「従業員」 の過半 数 を代表す る場合 には 「従業員処遇等諸制度」 の 全社 的基準の改定、調整 を行 う交渉 を担 うことに もなる。 また、 この点か ら、その交渉の過程 にお いて 「経営者」が何故その 「従業員処遇等諸制度」

を行 うのか とい う実施理 由 を直接 聴 くこ とにな る。つ ま り、線 Cにおける 「労働組合」 は 「経営 者」 の考 えを確認す る役割 も担 うことになろう。

2)

「法制化主導型

「経営者の理念 ・価値観」 の基準が一般的な社 会的水準、 さらには、法令 の基準 を下 回る場合、

制度構築の原動力 とな り得ず、他社の動 向、 自社 の経営業績、法令の基準 によって規定 される。 こ の ような場合が 「法制化主導型」である。制度構 築の起点 は しば しば 「国 ・行 政の施策 ・法制化」

に主導 され るのが一般的で、「経営者 の理念 ・価 値観」 が 目立 たない存在 である とか、あるいは、

明確 でない場合、組織 メ ンバ ーの1人 ひ と りに伝 わ らないのは当然の ことであ り、組織での共有 は 困難である。

「法制化主導型」 と 「ファミリー ・フレン ドリ ー諸制度」構築の関係 で は、「経営者 の理念 ・価 値観」 の次元が低 く、「経営理念主導型」 の動 き が緩慢 であ り、「従業員処遇等諸制度」 の制度化 がほ とん ど見 られない場合、 また、その まま企業 の手 に委 ね、放置すれば、企業で働 く従業員が悲 惨 な状況 に追い込 まれることが歴然 としている場 合、「法制化主導型」 の出番があることは前述 し た通 りである。この ことは 「従業員処遇等諸制度」

の具体事例 であ る 「フ ァミリー ・フ レン ドリー」

概念 を考 えた場合特 によ くあてはまる。特 に、 日 本 の 「ファ ミリー ・フ レン ドリー」 に関 しては、

欧米 に比較 して明 らかに遅れ をとってお り、 この 範時 に属 しているといわざるを得 ない。その意味 で、その出番 は常 にあると言 って よい。 日本 にお いて、「フ ァミリー ・フ レン ドリー諸制度」構築 の理想型 はやは り 「経営者主導型」に求め られる

一般 的 には、「法制化主導型」 はセ カン ドベ ス ト

(8)

5

「法制化主導型」 と 「従業員処遇等諸制度」の構築

の地位 に置 かれるこ とが望 ま しい とされてお り、

筆者 もその立場 をとっている。 しか し、 ここで注 意 してお きたいのは、 この 「経営理念主導型」 と

「法制化 主導 型」 とい う2つ の タイプの 「制度

形成過程 に焦点 を当てて考察す ることによ り、通 例 な ら看過 して しまうさまざまな問題 の解明 に繋 が る とい う点である。以下、「法制化主導型」 に 焦点 を合 わせ て、 これ らの問題 を検証 してい く。

「法制化主導型」 は理念 レベルでの後発性が顕著 な国の場合、その有効性 は きわめて大 きい。 この ことについて図2を土台 と して展 開 した図5に即 して解 明す る

「国 ・行 政の施策 ・法制化」 は相 互 に関係 してい るが、他 の2つの関係 は実線 と点 線 に区別 している。 これは、発信側か らの働 きか け (実線)はあるが、その受け手か らの反応 はな いか、 もしくは受け手の反応があった として も発 信側 がその情報 を重 要 と看倣 さない こ と (点線)

を意味 してい る。図

5

における矢印 は図2と同様 にその影響の進み方 をあ らわす。

① 「国 ・行政の施策 ・法制化」 か ら 「従業員処遇 等諸制度」へ

「法制化主導型」 の場合 、「国 ・行政の施策 ・ 法制化」 が起 点 とな り、「従業員処遇等諸制度

に向けて影響力が働 く。 そ こでは、「従業員処遇 等諸制度」の内容 は法制化 によって、全面的に規 制 され る こ とになる。 「法制化主導型」 の場 合 、

この関係 は非常 に簡 明であ る (図6参照)。 そ こ では、「経営者 の理念 ・価値観」 はその最高水準 も法定基準以下 に留 まるのが一般的である。先 ほ どの 「育児介護休業法」 の例 でいえば、育児休業 は 「その子が満 1歳 に達す るまで」が最高水準 で あ り、介護休業 については 「対象家族が要介護状 態 にな り、介護休業 を始めてか ら3ケ月」が最長 期 間になる。 その理 由は前項 で述べ た通 り、「経 営者の理念 ・価値観」 よ りも法令基準の方が高水 準 にあ り、その強制力 を介 して、法制化 によって 定め られた制度が導入 されるか らである。

もちろん、「法制化主導型」 の場合、国 ・行政 が労働者のニーズを体系的かつ的確 に把握 し、適 切 な施策、法制化 を行 うことをもって当然の前提 とす る。 また、そこで提示 される基準 は ミニマム としての意味 を持つ ことになろう。 ここで留意 し てお きたいのは、「従業員処遇等諸制度」が立 ち 遅れたまま放置 され、従業員側 に大 きな しわ寄せ が生 じている とい うのは実情 であ り、そ こでは、

「国 ・行政の施策 ・法制化」が出動 する場合 、従 図6 「育児休業の法定基準の例

自社制度による育児休業期間が存在ない 自社制度による育児休業期間が 1年以下

1年

2

3

法による期間 法の強制による

育児休業導入 巨 ̲ ::‑:‑‑‑‑‑‑=W二亘 ■ 「法制化主導型」では、 1年以上になる

(9)

神奈川大学審査学位論文の要約 「経営者の理念 .価値観が企業制度に具現化するプロセスについて

51 業員 に とっては福音 とも呼 び得 る重大 な効果 を も

た らす ことになろ う

② 「国 ・行政の施策 ・法制化」 か ら 「経営者 の理 念 ・価値観」‑

「法制化主導型」 の場合、その影響力 は 「国 ・ 行政 の施策 ・法制化」か ら 「従業員処遇等諸制度」

に向 けてだけで はな く、「国 ・行政 の施策 ・法制 化」 か ら 「経営者 の理念 ・価値観」 に向けて も発 動 され るこ とになる。 ここで は、経営者 の啓 蒙 、 啓発 が半 ば強制的 に行 われ、大 き く進展す ること にな る

「法制 化 主 導型」 の場 合 、 「経 営者 の理 念 ・価値観」 は低 い水準 に放置 されてい るのが通

例 で あ り、 これ を契機 と して、「経営者 の理念 ・ 価値観」 と 「従業員」 ない し 「労働組合」 とのす

り合 わせが進行す ることもしば しばであ る

「法制化主導型」 の場合、「国 ・行政の施策 ・法制 化」 と 「経営者 の理念 ・価値 観」 の関係 は、「経 営理念主導型」とは異 なった関係が見 られ るので、

これ を図7で解説 してお く

③ 「従業員処遇等諸制度」 か ら 「経営者 の理念 ・ 価値観」へ

「経営者の理念 ・価値観」へ の もう一つの働 き かけは 「国 ・行政の施策 ・法制化」 によって、大 幅 な修正 を迫 られた 「従業員処遇等諸制度」 その 図7「経営者 の理念 ・価値観 」 と 「図 ・行政 の施策 ・法制化」の関係

A :ある制度 について 「経営者 の理念 ・価値観」 が 「国 ・行政の施策 ・法制化」 に よる制度基準 よ り高 い場合

「経営理念主導型」 :

外円 :経営者の理念 ・価値観の基準 B : 「経営者 の理念 ・価値観」が 「国 ・行政 の施策 ・法制化」 による制度基準 よ り低 い場合

「法制化主導型

:

経営者の理念 価値観の基準

>

⊂ = =

外円 :国 ・行政の施策 ・法制の基準

.価値槻:の理念経営者

: ̲‑ '.

経営者 の理念 価値観

経営者の理念 ・価値観の基準 法律の強制力によって外円と内円が重なる と法定基準が同一 となる 外円 :国 ・行政の施策 ・法制の基準

(10)

C :

経営者が価値観 を持 たないため、法律 の基準が適用 される。

≡ ≡ ≡ ≡コ

ものか らの ものであ る。 ここでは、「経営者 の理 念 ・価値観」 と 「従業員」 ない し 「労働組合」 と のす り合 わせが並行 的に進行す ることになる。図

7

ABC3

つの図 を注意深 く考察す るこ とに よっ て、「経営者 の理念 ・価値観」 と 「国 ・行政の施 策 ・法制化」の関係が新 しい側面か ら理解可能で ある。 この関係 において、「国 ・行 政の施策 ・法 制化」 の円の大 きさは、法定基準 を示 している。

この円 を基準 と した時 に、「経営者 の理念 ・価値 観」 による制度 の水準 が法定基準 よ り高 ければ、

円は 「国 ・行政の施策 ・法制化」 の円 よ りも大 き くなる (図

7A)

0

この場合、「経営者の理念 ・価値観」 は、「従業 員処遇等諸制度」 の基準 について法律 よ り厚遇す るこ とに価値 をお くこ とになる。 また、「経営者 の理念 ・価値観」 による制度の水準が法定基準 よ り低 くければ、「国 ・行政 の施策 ・法制化」 の円 よりも小 さ くなる (図

7B)

しか し、 この場合 「経営者の理念 ・価値観」 の 円は、法律 の強制力 に より法定基準の円の大 きさ に広が ることにな り、法定基準 まで強制的に高め られ るの で あ る (図

7B)

また、 「経 営 者 の理 念 ・価値観」が ない、 もしくは明確 ではない とい う場合 には、その まま法定基準 の円をそれ とす る ことにな り、 (図

7C)

この時 に まさに問題が生 じ るのである。

7B

C

の場合 には、「従業員処遇等諸制度」

円 :法定基準

は 「他律 的制度」 として位置づ け られ 「経営者の 理念 ・価値観」 か ら発せ られた ものでないため多 くの場合 「経営者」 による制度の積極的運用 は望 めない。 「法律 で決め られているか らや ってお こ う」程度の対応 となる。最悪の場合、経営者 によ っては、違法行為 とわかっていて実行 しないケー ス、法定基準 よ り低 い基準の まま放置す るケース、

それ ら制度 を従業員 に利用 させ ない措置 を講 じる ケース等が発生す ることとなる。その場合、経営 者の姿勢 はそのまま組織全体 の士気 に影響 を与 え る。 「ファ ミリー ・フ レン ドリー諸制度」 の導入 が進展 しない原 因が まさにここにあ る。 「経営者 の理念 ・価値観」 と 「国 ・行政の施策 ・法制化」

との関係 は、言 い換 えれば、「個 人的 ・自律 的制 度」 と 「強制 的 ・他 律 的制度」 の関係 にな る。

「個人的 ・自律 的制度」 を支 える 「理念 ・価値観」

が欠落 してい る場合、「強制 的 ・他律 的制度」 の 適用 を受 ける。 また 「個人的 ・自律的制度」 の水 準が 「強制的 ・他律的制度」の水準 よ り低 い場合 に も、「強制 的 ・他律 的制度」が適用 され ること になる。 この ような関係が経営者の 「従業員処遇 等諸制度」‑ の対応 に次の ような影響 を及ぼす。

理解 しやすい ように、図8にまとめた。

国 ・行政の施策や制度 は通常、法律 を根拠 とす る。つ ま り、国 ・行政の施策や制度 は、その法律 の立法者の意思、理念 によって制定 された もので、

経営者の視点 か らは、「他律 的規制」 その もので 図8「法制化主導型」における 「経営者の諸制度の運用への対応のモデル

「 国

.行政の施策 .法制化」について経営者の考えが

起 点

圃 陣勺でない L.違法行為が発生 中l 積極的に制度を進めない 卜「 イWB^制度志mB翠 禁 苧 I推進 l強制的他律的制度運用義務 するために法制化または

(11)

神奈川大学審査学位論文の要約 「経営者の理念 ・価値観が企業制度に具現化するプロセスについて

」 53

ある。 「法制化主導型」 の場合、国 ・行政の施策

や制度 に対 して同意が な されず、「法律 だか ら仕 方 な くやる」 的な対応が しば しば問題 となる。 こ れ らの点 を図示 したのが図8である。

まず、経営者の 「従業員処遇等諸制度」‑の対 応 として 「肯定的である」場合、問題 は生 じない。

しか し、「肯定的でない」場合、「積極 的に制度 を 進めない」‑ 「個人的 自律的な制度の運用 は望め ない」 とい う経過 を辿 るのが一般的である。 この ような状況が放置 される場合、制度や措置 を積極 的に推進 してい こうとす る国 ・行政の意向によっ て、法制度の強化や改正が行 われる。 これ を受け て、法制 に基づ く具体的制度や概念が提示 される。

この制度 や概念 は法令 と深 い関連 にあるため、

経営者 に選択 の余地のない「強制的 ・他律 的制度運 用義務」つ ま り法的強制力 を持つ。「制度 を積極 的 に進めた くない」経営者 と「強制的他律 的制度運用 義務」の間で矛盾、葛藤が生 じるのはまさにこの場 である。当然 の ことなが ら、国 ・行政が要求す る水 準 と、経営者が求めている水準 の落差が大 きけれ ば大 きいほ ど、その葛藤 は大 き くなる。通例 は「法 に従 う」ことになるが、しば しば「法 に従わない」場 合 も生 じ得 る。いずれにせ よ、ここでの矛盾 と葛藤 が収束 しない限 り、問題 は解決 しない。「法 に従 わ ない」選択 の場合 には明 らかに「違法」であるため、

問題 の構造 自体 は単純 明快 であ る。しか し、「法 に 従 う」とい う選択 の方が問題 は複雑 になる。「法 に 従 う」場合、「従業員処遇等諸制度」は導入 される も のの、経営者 の積極 的 な支援が ないため にその法 への理解度、納得度 の程度 によって「従業員処遇等 諸制度」の推進 の度合 いは違 った もの とな りやす い。「経営者」の無理解 によ り、「従業員処遇等諸制 度」は形骸化す る。「従業員」がその制度 を利用す る 時 に、上司か らの牽制 や制 限が行 われ る可能性 も 高い。法制化 されたので仕方 な く制度導入 したた めであ り、その制度 を積極 的 に支 える「経営者」の 理念 ・価値観が低 レベ ルであ った り存在 しないか

らである。

「法制化主導型」では 「企業内労働組合」 の役 割 は重要である。特 にこのケースでは、① 「従業 員処遇等諸制度」 は法的強制力 によって導入 され たか、②法的強制力があるに もかかわ らず法定水 準 に達 しない制度であるか、(参法的強制力がある にもかかわ らず、導入 されていない場合、な どが 想定 されるため、 このケースの 「経営者の理念 ・

価値観」‑の 「企業内労働組合」の役割 は 「経営 理念主導型」のそれ よ りもよ り重要 な役割 を担 う ことになろ う。

線a:ここでの 「企業内労働組合」 と 「従業員」

の関係 は、基本的には 「経営理念主導型」 と相違 点 はほ とん どない。 しか し、「経営者の理念 ・価 値観

従業員処遇等諸制度

国 ・行政の施策 ・

法制化」が、「従業員」 に負の影響 を及 ぼ してい る場 合 には異 な る。 「従 業 員」 の 1人 ひ と りが

「労働組合」 の 「組合員」 とな り、団体交渉 に及 ぶ可能性が高 い ことか ら、「従業員」 と 「労働組 合」 の関係が非常 に密接 な場合が想定 される。そ の場合、線

a

は希薄 な関係 をあ らわす 「点線」 で はな く、 よ り密接 な関係 を表す 「実

」 の方が状 態 をよ くあ らわす こともあろ う。

線b :「企業内労働組合」 と 「従業員処遇等諸 制度」 の関係 は、「経営者の理念 ・価値観」 を図 るバ ロメー タ的な位置づけになる。 これは 「従業 員」 との関連 で も同様 で、「経営者 の理念 ・価値 観」が形 となって 「従業貞処遇等諸制度」 となる ことはすでに述べた。 この具体的制度が法定水準 を基準 として、それ よりも低 い場合は、「経営者

がその制度 に関 して否定的であった り、無関心で ある とい う点 を確認で きる。 また、法律 的に制度 化義務が課せ られている制度であるのに、企業内 で制度化 されていない場合 には、「経営者」 に対 して 「経営者の理念 ・価値観」 の確認の役割 を担 うことになる。

C:

「企業内労働組合」 と 「経営者 の理念 ・ 価値観」 の関係 は線bで表 した 「経営者 の理念 ・ 価値観」 の確認 と 「従業員処遇等諸制度」の水準 の改定 と、法定義務制度の実施への交渉が中心 に なる。「法制化主導型」 における線 Cは、「従業員」

か らの苦情 にも近い要望 を、理解度 の低 い 「経営 者」 に伝 えることか ら始 まるため、交渉の難航が 予想 される。 また、「労働組合」 の位置が、「経営 者の理念 ・価値観」 と 「従業員処遇等諸制度」 の 間にあ り、「従業員」か らの交渉 を任 されるので、

「経営者」 と 「従業員処遇等諸制度」へ の監視機 能 を も果す こ とになる。 「従業員」 1人 ひ と りで は、交渉の統率が取 れないため、「従業員処遇等 諸制度」 のメリッ トを享受で きる者 とで きない者 で足並 みがそろわず、「経営者」 との十分 な交渉 や効 果 を得 る こ とは難 しい。 しか し、 「従業員」

とい う個人単位 か ら 「労働組合」 とい う団体交渉

(12)

に よって一元 的 に折衝 す る こ とが可 能 になるの で、法的に も実効性の上で も 「経営者」 と 「従業 員処遇等諸制度」の双方 に非常 に大 きな影響力 を 持つ ことになる。 この点は 「経営理念主導型」 で も同 じことが言 える。 「経営理念主導型」 の場合 には、「経営者の理念 ・価値観」 と 「従業員処遇 等諸制度」が明確であ り、法定基準 も上回ってい る場 合 を想 定 で きる。 この こ とか ら、実際 には

「法制化主導型」 の ような監視機能や一元 的折衝 機能が 「従業員処遇等諸制度」 について、 (ベ ー スア ップ交渉等 を除いて)最前面 に押 し出 される ことは少 ない。

確認 しておかねばな らないのは、可能性 として

「企業内労働組合」が主導す る場合 (以下、「労働 組合主導型」 と表記) もあ り得 るのではないか と い う点である。単体の企業の正社員 を中心 として 結成 、活動 をす る 「企業 内労働組合」 であ るが、

わが国の 「労働組合組織率」 の現状 を考慮すれば 稀 なケース となろ う。最盛期 には

50%

を超 えて いた 日本企業の 「労働組合」の推定組織率 は、厚 生労働 省 「労働 組合基礎調査」 に よれば平成

1 3

年現在

20, 7

%にまで低下 し過去最低水準 である。

「従業員」 と 「労働組合」 との関係が労働組合組 織率の低下 とい う点か ら希薄 になっている可能性 が高 く、 また、加入率 の低迷 は、「従業員」 か ら

「労働 組合」 へ の信頼 の低 さを示す と言 え よう。

「従業員」 の団体交渉方法 と して もっ とも身近 な 存在 であ るはずの 「労働組合」が、「従業員」 か ら認 め られ な くなって きてい る点 は、 わが 国の

「労働組合」 のあ り方 に新 たな課題 を投 げかける であろう。これ らの理 由か ら、「経営理念主導型」、

「法制化主導型」 と並列で 「労働組合主導型」 を 考察 に加 えるには、現実性の観点か ら、その発生 可能性 は きわめて低 く独立 した 1つの 「主導型

としての詳細 な検討 は行 わないことに した

現在、 日本企業の多 くは、「仕事 と家庭の両立」 を助 ける諸制度の導入 に少 なか らず疑問 を持 って いる と言 えよう。 この ような状況では、 自発的導 入はおろか 「国 ・行政の施策 ・法制化」が強力 に 行われた として も、その進展 は望めないであろう。

この点 については、新 しい視点 を加 えて、 さらに 詳 しい考察 を加 えることにす る。 これ まで考察 し た よ うに、 「法 制 化 主導 型」 は 「国 ・行 政 の施 策 ・法制化」 を起点 と して、「従業員処遇等諸制 度」、「経営者の理念 ・価値観」 に向けて同時、並

行的に大 きな影響力 を発動 し、 きわめて大 きな効 果 を引 き出す ことが多 い。 しか し、「経営理念主 導型」 に比較す る場合、それが成功裏 に進行す る には、その発動の タイ ミング、法制化 の対象、内 容、範囲、 さらには、施行の仕方 などほぼ全面 に わたって周到、細心の配慮 を必要 とす る。

2.FW

l

「企業 による仕事 ・家庭両立 プログラム の発展段 階 (企業 による両立 プログラムの展 開)」 フレームワーク

旧労働省報告書掲載 の 「企業 による両立 プログ ラムの展開」 は

FWI( Fa mi l i e sa ndWor kl ns t i t ut e)

1 991

年 に発刊 した

" TheCor por at eRef er ence Gui det oWor kFa mi l yPr ogr a ms "

がその原典であ

る。 原文 で は、

"Evol ut i onofEmpl oyerWor k‑

Fa mi l yPr ogr a m"

と名付 けている。旧労働省の報 告 書 で は .「企 業 」 と訳 して い るが 、原 文 で は

" Empl oye r "

、つ ま り 「雇用者」 もしくは 「使用者」

を用いている。 これは企業全体 とい うより、む し ろ 「経営者」 の意図 もみえな くてはな らないプロ グラム と見ることもで きる。 わが国においては、

「法制化主導型」 が、 きわめ て効 果的 に働 く点 、

「ファ ミリー ・フ レン ドリー」 とい う概念 が旧労 働省 に よって、経営者個 人 と言 うよ り、 「企業」

に向けて提示 されたことを勘案 して、その内容 を よ りわか りやす く理解 で きる表現 を充 て、「企業 による両立 プログラムの展 開」 と訳 されたであろ うもの を、「企業 による仕事 ・家庭両立 プログラ ムの発展段 階 (以下 「仕事家庭両立 プログラム

もしくは 「両立 プログラキ」 と略記

)

」 と表す こ ととした

両立 プログラム」 は、「ファミリー ・ フ レン ドリー諸制度 (仕事 と家庭 の両立支援 制 皮)」が一朝一夕 に成 り立つ ものではな くて、「経 営者 の理念 ・価値観」 に支 え られなが ら、一歩、

一歩、築 き上げてい くものであること、それには、

まず段階的考察が必要であることを暗黙の うちに 提示 している。 この 「両立 プログラム」 に依拠す る場 合 、興味 深 い実 態 が浮 か び上 が って くる。

「従業員処遇等諸制度」 の確立 の過程 で、各段 階 で、担 当者 問題 に言 及 してい るが 、 そ こで は、

「熱心 な担 当者が 自主的に対応策 を講 じ始 め る段 階」か ら

、「

「両立 プログラム」 の実施責任 の集中 化 を図 り、経 営者層 にその責任 を委 ね る段 階」、

「両立課題 を企業の主要課題 と して、経営者層が 全力 を挙 げてこれに当たる段階」とい った ように、

担当責任者の位置づけを段 階に沿 って考察 してい

(13)

神 奈 川大 学 審 査 学 位 論 文 の 要 約 「経 営 者 の理 念 ・価 値 観 が 企 業 制 度 に具 現 化 す る プ ロセ ス につ い て

55

1

「企 業 に よ る 両 立 プ ロ グ ラ ム 展 開 (企 業 に よ る 仕 事 ・家 庭 両 立 プ ロ グ ラ ム の 発 展 段 階

) 」

1

段 階

2

段階

3

段 階

対処療法的な対応 を展開 統 合的なアプローチ を展開 企業文化 を変える

コ 企 業 に よ る 取 り組 み が 始 ま る 人 的 資 源 の 問 題 と して 仕 事 と 家 企 業 競 争 力 の 問 題 と して 仕 事 と ヽ が 、 試 行 的 .実 験 的 で あ る o 庭 の 両 立 を と ら え るo 家 庭 の 問 題 を捉 え るo

ツ 以 下 の 仮 説 を 覆 す o 育 児 だけ で な く、介護 、転 勤 な 仕事 と家庭 の両立 は、男女の乎 ト 仕事 と家庭 の両立 は企業 の介 入 どの 問題 に も焦 点 が あ て られ る 等 や多様性 とい った問題 と統 合

メ すべ き問題ではないo ようになるo されるo

ン 均 等 はすべ ての従業員 に同 じ支 ・フログフム と施策が拡大 されるo ・ 両止 をラ イフサ イクルで捉 え よ

接策 を行 うことであるo つとす る動 きが出 る

o

仕事 .

両立支援 は女性 の問題である〇

・ 育児支援 とは事 業所 内又 はその近 隣 に育 児施設 を作 るこ とであ 家庭」 か ら 「仕事 .生活」 に概念が拡大す るo企業 は包括 的 に問題 に関与す るようになるo

る 続 的で動態的 な問題解決 の プ ロ両立支援 策 を進 め ることは、継セスとみなされるo

プ 問題 の 所 在 を認 識 す る○ 両 立 プ ロ グ ラ ム の 実 施 責 任 を 集 両 立 問 題 を企 業 の 主 要 課 題 とす ロ ・ 熱心 な担 当者が両立問題 に対 し 申 させ る ○ る○

セ 企業 と して対応 策 を とる こ とを 副社 長 、重 役等 の経 営 層 にあ る ・ フ レックス タイム制 や休業制度 ス 仕事 とし始めるo 個 人 又 は グル ー プが パ ー トタイ を実施することが中心 となるo

担 当者 は、従業 員の育 児ニー ズ ム又 は フ ル タイムで両 立 問題 を ・ よ り弾力 的に職場 を変更 で きる が満た され ないため に時 間の無 担当す るo ようにす るこ とに よ り、仕事 に 駄 や生 産性 の低下 とい った、対 両 立 に関 す る コー デ ィネー ター 関す る伝統 的 な考 え方疑 問視 さ 応 策 をとらない こ とに よるコス の 役 職 が 設 け られ る こ と も あ れるようになるo

トが生 じるこ とを他 に納得 させ るo 両立 に関す る管理職研 修 が行 わ

る○ 企業 トノブの関与が始 まるO jtた り、そ う した研修 が管坪職

・ 担 当者 は多 くの可能 な解決策 の 両 立 問題 へ の取 り組 み は 、優 秀 の教育 プ ログラムの主要 な部 分 有効性 を立証するo な人材 の採 用 や確 保 の ため の垂 になるo

・ 調査や フ ォー カス グルー プを通 要な手段 として捉 えられるo タス クフ ォースが結成 された場 じて従業員の ニー ズを評 価す る 両 立 問題 を扱 う管 理職 研 修 が 開 合、仕事 と生活 の問題 に焦点が ための タス クフ ォースが結成 さ 始 されることがあるo あて られるo

れた場 合、その焦点 は育 児 に充 タス クフ ォー スが結 成 され た場 て られるO 合 、仕 事 と家庭 との両 立 の 問題に主点があて られる○

個 別 な対 応 プ ログラムは一般 的に乳幼 児の 統 合 され た解 決 策 を と る○人事制度 、勤務.;拙文 .休業制度 、 全 体 的 で 戦 略 的 な解 決 策企業文 化やそれが家庭や個 人の い る従業 員の育 児 に焦点 をあて 付 加 給 付 が 家庭 生 活 に与 え る影 生活 に与 える影響 について十分

た ものであるo 響が考慮 されるo に考慮 されるo

以下の分野 にお いて脈絡 の ない ・ 様 々 な 両 立 問 題 に 対 応 す る た 家庭章 任 に適応す る施策 をとる 解決策が取 られ るo:育児支援 、 め、 種 々の施 策 や プ ロ グラムが こ とが 、従業 員のキ ャリア発展 フ レックス タイム制 、 カフェテ 組み合わせ られるようになるo に与 える効果 について考慮 され リアプラン1 一 方針 は提 起 的 に見直 され 、改 訂 るo

・ 採用 された 1、 2の解決策 は他 されるo ・ 両立の問題 は、企業 の戟略的計 の 人事 施策 に付加 され た もの と 両立 問題 は 、進 行 中か つ動 態 的 画 に 関 連 付 け られ る よ うに な

みな されるo な問題 とみなされるo るo

情報交換

I.

企業 は互 い に情報 の交換 を始 め 協 力 的 で あ るo地 域 内 の 企 業 と個 人 が 協 力 し 影 響 的 で あ る○一 企業 は コ ミュニ テ ィにお ける育 貢 るが、一般 的 に問題解決 や プ ロ て、情 報 交換 、問題 解 決 合 同の 児 .扶 養家族 の介護サ ー ビスの グラムの展開は単独で行 う○ 解決策展開に取 り組 むo 質や量 を改善す るための支援 や

企 業 と個 人 は、 コ ミュ ニ テ ィ 資金提供 を行 う○

対 し資 源 を 分 け 合 う よ う に な 余業の プログラムは、従業員 だ

るo けでな く、 コ ミュニテ ィにおい

「 H

ead srartZの よ うな州 、連 て十分 にニーズの荊 た されない

lカフェテ リアで好 きな食べ物 を選ぶ よ うな感覚 で、 自分 にあ った福利厚 生の メニ ュー を選択 で きる制 度。米 国で初 めて行 わ れた0

2貧 抱家庭 の幼 少期 の子供 につ いて、飢 え、犯罪 、病気 な どを未 然 に防 ぐこ とに よ り、その潜在 能力 を最 大限 に発揮 していけ る よ う支援 を行 うプ ログラム。 連邦 の資金 に よ り、公機 関

、NPO

、学校が運営す る

(14)

ることは実 に興味深い。

これ らを3つ 目の分析 フ レーム ワー クの「必 要 とす る要因」、「可能 とす る要因」、「促進す る要因」、

「阻止す る要因」に関連づ けて考察す る場合、「ファ ミリー ・フ レン ドリー諸制度」を確立、走着 させ る ための企業の具体的対応 を考察す るのに きわめて 有効 であ り、企業が何 をなすべ きか、よ りスムーズ に進行 させ るため には どの ように した らよいの か、何 が欠 けてはいけないのか とい った問題 を実 に網羅的かつ体系的 に提示 して くれ る。この こ と は「国 ・行政の施策 ・法制化」の進行 に もその まま当 てはまる ものである。この分析 フ レームワー クを

「両立 プログラム」の発展段階 ごとに分析すること は、「ファミリー・フレン ドリー諸制度」が具現化す るプロセスについての理解 に効果 を発揮 しよう。

本論文では、事例研究 を通 して これ らの分析 フ レームワークを意識的に適用 して きたつ もりであ る。今後の研究の中で も、 この分析 フレームワー クは大 々的 に活用す ることを決 めてい る。今後、

さまざまな提言 を行 いたい と考 えているが、 この 分析 フレームワークは提言 に具体性 を付与す るの に大 いに貢献 し得 ると確信 している。

3.

「必要 とする要因

可能 とする要因

促進

す る要 因

「阻止 す る要 因」の

「 4

つの要 因

による分析

1 )

「必要 とす る要因」、「可能 とす る要因」、「促進す る要因

」 、

「阻止す る要因」とい う

「 4

つの要因」を用 いて「ファミリー・フレン ドリー」概念 、諸制度形成 のプロセス を分析す る。「必要 とす る要 因」、「可能 とす る要 因」、「促進す る要因」、「阻止す る要因」の

「 4

つの要因」の

1

つ 1つについては績 々説明 を要 し ないであ ろ うが、この

「 4

つの要 因」間の関係 につ いては説 明 を したい。「必要 とす る要 因」は、「ファ ミリー・フレン ドリー諸制度」が企業制度の一環 と しての「従業員処遇等諸制度」に具現化す る時 に発 生 す る、様 々 な事 象 や要 素 を分 別 し、「フ ァ ミリ ー・フレン ドリー諸制度」について、どの ような「効 き方」を してい るか を把握で きる。「必要 とす る要 因」は、その要素、項 目が なければ 何 も始 まらない」、

文字通 り「必要不可欠」な要因である。「可能 とす る 要因」と「阻止す る要因」は対置 関係 にある。「阻止 す る要因」が効 いているがそれ を克服 す る措置等 が とられる時 には、「可能 とす る要因」として「ファ

ミリー・フ レン ドリー諸制度」の具象化 に効果 をも た らす。その逆 も当然あ りうる。「促進す る要因」は

主に外部環境 の変化 な どによって もた らされる要 因な どをそれに充てた。例 えば、「景気が良い」、「外 国か らの要請 (外圧)」などもこれに催 しよう。外部 環境か らの「阻止す る要因」については、「阻止す る 要因」として 1つに集約 している。

2)FWI

の 「企業 による仕事家庭両立 プログラム の発展段階」の各段階 ごとに、「必要 とす る要因」、

「可能 とす る要因」、「促進す る要因」、「阻止す る 要因」 の分析 を進 めたい。 これ ら4つの要因 を通 して分析 を進めることによ り、 きわめて有効 な結 果が得 られ る。 「ファ ミリー ・フ レン ドリー諸制 度」 ない し 「仕事 ・家庭両立支援」制度 は米国で さえ、一朝一夕 に形成 された ものではな く、試行 錯誤の末 に形成 されたことを考慮す る場合、 これ ら

「 4

つの要因」 を通 しての分析 が 日本 における

「フア ミリ∵ ・フ レン ドリー諸制度」 ない し 「仕 事 ・家庭両立支援」制度の形成 ・推進 に重要 な貢 献 をす る こ とは十分 に証 明可能 であ る。米 国が

「経営理念主導型」 に徹す るの に対 し、 日本 の場 合、「法制化主導型」 も加 わるため、「促進す る要 因」 として重要な貢献が期待 され よう。

① 「フ ァ ミリー ・フ レン ドリー」概念 ・制度 は

「従 業 員」 に とって、理想 型 と も言 うべ き概 念 ・制度 である。 その意味 では、「必要 とす る 要因」 その もの と言 える。 しか し、その実現 は 経営者 に とって相当の コス トを強いる ものであ り、この コス トをカバーす る 『何 か』が なけれ ばな らない。 この点 に気づ き、前 向 きにコス ト を上回る 『何 か』 を引 き出 した企業のみがそれ を実現 し得 る。「優秀 な人材 の確保」 こそがそ れである。士気向上、欠勤率の減少、転職率の 減少 (注7)等 々 も挙 げ られ よう。 この 『何 か

についての経営者 の認知 は 「可能 とす る要 因」

になるはずである。

② 「ファ ミリー ・フ レン ドリー」概念 ・制度 は、

きわめて先進性の強い企業文化 とも言 うべ きも のである。それだけに、それを 「阻止す る要因」

もまた多数存在する。不景気、業績不振、因襲、

古 い考 え方等 々、 これ らを 「阻止す る要因」 と してみる場合、短期 間で解消す る もの と、長期 間で解消す る ものがあ り、 これ らが変 わった場 合、「可能 とする要因」 に転化する。

③ その形成 は一朝一夕 になる ものではな く、杵余 曲折 を通 して始めて実現す る ものである。 ここ では、発展段 階的考察が不可欠 となる。FWIの

図 2 「 経営理念主導型」 と 「 従業員処遇等諸制度」の関係図 1)「経営理念主導型」 「 経営者 の理念 ・ 価値観」は「ファ ミリー ・フ レ. ン ドリー諸制度」の ような先進性の強い「 従業員処遇 等諸制度」の確立 を主導す る役割 を演 じる。また、 「 経営者 の理念 ・ 価値観」は「 従業員処遇等諸制度 」 に具現化 され ることに よ り、 経営者個 人の所有物 とい う性格か ら脱 し、 企業の共有財産 としての性 格 を兼備す るこ とにな り、これが さらに制度の一 層の体系化 を
図 5 「 法制化主導型」 と 「 従業員処遇等諸制度」の構築 の地位 に置 かれるこ とが望 ま しい とされてお り、 筆者 もその立場 をとっている。 しか し、 ここで注 意 してお きたいのは、 この 「 経営理念主導型」 と 「法制化 主導 型」 とい う2 つ の タイプの 「制度 」 形成過程 に焦点 を当てて考察す ることによ り、通 例 な ら看過 して しまうさまざまな問題 の解明 に繋 が る とい う点である。以下、「 法制化主導型」 に 焦点 を合 わせ て、 これ らの問題 を
図 12 「 三位一体 フレームワーク :ベネ ッセコーポ レーションの事例 への適用」 「 経営者の理念 ・ 価値観 」 「 Benes s e 」‑よく生きる 「 国 ・行政の施策、法制化 」育児介護休業法 育児 3 年への改正 の動き 育児期間短縮時間勤務 等 ベネッセ社員 「 従業員処遇等諸制度 」 スーパーフレックスタイム 事業内託児所 再雇用制度 1 年間の介護休業 3 年間の育児休業等 ら、従業員 に対す る、極 めて先進的な処遇制度 を 確立 している企業の事例 として考察の対象 に選 ん

参照

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