琉球の方言 1巻 : 八重山石垣島川平方言
著者 法政大学沖縄文化研究所
出版者 法政大学沖縄文化研究所
雑誌名 琉球の方言
巻 1
ページ 1‑102
発行年 1975‑09‑30
URL http://doi.org/10.15002/00012852
4 . 文 法
動詞の活用 終 止 形1 kaki 終 止 形2 kak‑l‑n 禁止形 kakl‑na 連体形 kakl 1 , 語 形 変 化 の 揃 拭 と 活 用 形 条件形1 kaki 条件形2 kak i
「書く」を例にとって,川平方言の動詞語形 命令形 kaki:
変化の諸形式を示すと,次の通りである(資料 各活用形のカテゴリーは,次の方法によって はすべて音声レベルのものであるから,特に必 設定した。
要とする場合を除いて,音声記号
C J
は省くこ (1)全 体(42語)をみわたして,形の違うもの とにする。形式の意味は( )の中に入れて示す。 は別の活用形とする。( )の中に更にく >または i
J
を用いるが, (2) 同形でも職能の異なるものは別の活用形と これは意味をなにかと補足する場合である)。 する。kaka: (書こう) kakaba (書かば) kak'itan (書きたい) kak'ita (書いた) kakinsanu (書きもしない) kaki du u日 (書いてくぞ>いる)kaki si ti (書いて)
kakiki (書くから)kaki (書く) kakin (書く)kak.ina (書くな)kakipItu (書 く人)kakitara (書いたら)kakiba (書 けば)kaki: (書け)
「書くjの他に41語の動詞についても,その 変 化 形 式 を 調 べ た 。 そ れ ら の 動 詞 は た だ 任 意 に選定したものではない。もと文語文法の九種 の活用型に各々属していた動詞の中から,代表 的なものを数語抜粋し,これを川平方言の体系 抽出の糸口としつつも,そこから更に,当方言 で普段に用いられている動詞を新たに選定し,
それを語形変化させてみたものである。
「書く
J
も含めて, 42語の動詞語形変化の諸 形式を比較考察した結果,たとえば, i書く」で示すと,次のような諸形式を活用形と認める。
志向形 kaka:
願望形 kak・i 連用形1kak.i
未 然 形 kaka 過去形
k a K l
連用形2kaki 接続形 kakiS i t i 理由形 kakiki
2,活用体系表
1.で認定した活用形を整理・体系化するため に不変化部分と変化部分とに分析する。不変化 部分が語幹,変化部分が語尾である。こうして 全活用形を整理・体系化して表示すると,第 1 表の通りとなる。
この表は一見しでかなり複雑な様相を呈して いる。これは形態素設定の手順を経て,形態素 を設定し,形態素レベルで記述すれば,抽象・
簡略化できないこともないが,今回の目的がで きる限り具体的事実を提示することにあるから,
これを抽象・簡略化することはさける。
活用形の名称は,それが活用形ρ用法または 職能を適確に表現しえているとは限らない。た とえば, i未然形」と称しているものは, ba (条件)n u (打消)等へ接続する職能を有す る一方, rirun(受 身 ・ 可 能 ) s ‑( (使役)等 の接尾辞へも接続する。これらの職能を内包し たカテゴリーに「未然形
l
という名称を与える ことはあまり適切とは言えない。従って,数字 を用いて各活用形に番号を付していく方法もあ るが,今は便宜上,記載しであるような名称を用いることにする。
活用形の配列)1頃は別に意味があるわけではな い。学校文法の活用形の配列順に従いつつ,そ の前後にほぶ同形の活用形を配置したまでのこ
とである。これも本来ならば,活用形の職能に よって,たとえば,叙述をそこで止めるもの
(志向形,終止形,禁止形,命令形等)と,叙 述を更に展開していくもの(未然形,連用形,
接続形,理由形等)というように,おおまかに でもグルーピシグして配列するのが)妥当であろ う。しかし,今回は前述した如く学校文法の慣 例に従っておく。川平方言では全部で15活用形 である。
活用の種別は次の方法による。
(1) 語尾の交替の仕方 (2)語幹末尾子音の違い
語幹を中心に分類することも可能であるが,今 回はその方法をとらない。
この分類法によれば,活用の種類は大きく三 つに分類される。1,
n .
皿の分類がそれである。 Iは更に I・し
い
2, ト 3,1・4, と分類される。 1• 1はまた1 ,..,9まで下位分 類される。他にイ・ロ・ハ等の番号も付しであ るが,これは下位分類したものの中で,更に語 幹と語尾の結合の仕方に多少異なりを示すもの をあげたにすぎない。但し, 3の s"ilsin) (する)は Fus"i( Fusin) (押す)と全く同じ 語尾交替を示すものであるが,これは他の方言 では特殊活用を示す動詞なので,他の方言との 比較考察のためにあげておいた。体系表の説明
(1)表示するにあたって,機音は N,促音は Qで統ーした。これは具体音声に忠実とはい えない。なぜなら,語尾が機音・促音である
とき,これは後接する接辞の頭音によって
‑68ー
C m・n・u
J
ま た は (p・t・k・sJ
等 と発音されるからである。川平方言の場合,たとえば jun( jumun) (読む)の連用形1
語尾が後接形式によって次のようになる。
jun tauga: ni siur"i (読んでばかりい る。
r
読みばかりしている」としづ表現)。jnJ) go: sarl (読みそうだ)
この語尾を n・9と併記したりすると,表が 更に複雑化してしまうので,これをさけるた め,機音は N,促音はQで表示することにし た。このN ・Qは川平方言においても,後接 音により,次のように発音される。
N → m
I
P, b, mn
I
t, d, n, r, s。 I
k, 9Q → p
I
p tI
t kI
k sI
s(2) 語尾が長音である時,すなわち,語幹末 尾音が母音で,それと結合する語尾も語幹末 尾音の母音と同音である場合,語尾の部分は 長音で発音されるのであるが,そのような場 合,語尾を C:
J
と表示せず,直前の母音と 同じ形で表示した。たとえば, 1・3類のumo: (思う)の志向形は umo:である。こ の場合,語尾は
C: J
であるが,これを体系 表で示す場合, umooの形で示した。この方 が活用の相互凋連性を明示できるからである。(3) 表中の f"J記号は最上段の kakY(ka‑ kYn) (書く)の語尾に同じという意味。f‑J 記号は語尾がゼロであることを示す。従って,
f‑J記号のついているところは語幹が直ち に接尾形式と結合する。
r ム
j記号は今回の動 詞 誌 で 岸 向 形 ! 未 然 形 │ 願 望 形 │ 過 去 形 │ 腕11町 櫛 形 ! 同 理
2イ}儲<
-l--a-~:~-:~計l 「 |!iJl~; ‑ ‑ ‑ ‑
f ‑‑‑‑‑~-
‑‑‑ 1 ‑‑ ‑ ‑ -:~ ‑ ‑ ‑ -~ ‑ ‑ ‑ ‑ ' : ‑
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‑‑?‑‑‑ j ‑ ‑ ?-~~-~ -~~-:
)‑‑1‑‑‑-,~
‑‑‑‑‑j
動 詞 活 用 表 川 平 方 言
第 1表
櫨 条件形:11命令形
1 :
条件形1
Y
1
類
MH一H一H 庁
‑ ‑ ‑ r
一 一 一1 ‑ ‑ ‑ i , ‑ ‑ ‑ j ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ; ;
"
3
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!I
!I
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!I 開 /1
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J ̲ ̲
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̲一lしし‑一一…‑一一‑一ι
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一……‑一…‑一‑.1巴一…但一" 一一J
一‑し‑L一一一‑一一一‑一一‑一一イ" 十 日 一
ーーーいーーー‑ーーー‑‑‑1‑ー‑ー一一一ーー‑
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5イl飛 ぶ
6イし一一ー蹴る
6ロL行く
1
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町三
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4食う
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i :ki riruN I tsanl ta I n I du(れる)1 (たい1( ) d吟 1(‑も)1(‑ぞ) slN
I I
G晶去)ltaN州 UN(する)1 ばかりj(居る)
(条件) (打消) ホL居、う
‑ i ‑ ‑ ‑ ‑ j ‑ ‑ ‑ ‑ ‑ ; ‑ ‑ ‑ ‑ r ‑ ‑ ‑ ‑
,; ‑ ‑ ‑ ‑ r ‑ ‑ ‑ ‑ ;
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1・4
一
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中 南
H
京
m m
主な接尾形式
調査でその活用形を見い出しえなかったもの。
その中には動詞本来の性質としてその活用形 を有しえないと思われるものーたとえば,
a r‑i ( an) ( 有 る ) の 禁 止 形 ー も 含 ま れ て いるが,あるいは時間をかけて調査すれば,
見い出しうるものも含まれている。しかし,
これらの活用形は今回の調査では話者が用い ないと報告したものである。
(4)過去形,条件形1で,たとえば, ( "
( da)
J (" (
dara: )J
としてあるもの は,その活用形が daまたは dara:の接尾形 式と結合するという意味。その他のものはtaまたは tara:と結合する。
(5) 語幹の方で,たとえば, Fvs・l・(Fusin) (押す)の語幹を Fys( ! )としてあるのは,
i 語尾と結合する時 F~I とし、う語幹をとり,
それ以外の語尾と結合する時は Fpsの語幹を とるという意味。 matsi(mats"in)の 語 幹 mats (可)についても同様である。このよ うな語幹交替は音韻的に規定されていること が一目でわかるので,そういうものは二語幹 併記することなく,記述を簡略化した。
3,活用形 3・1,志向形
ある動作を行なう方向へ意識が向けられる時 に用いられる。その時,相手に同意を求めたり,
また相手を勧誘する意を含めたりする場合もある。
ma: dzon dzI kaka: (一緒に字を書こう) ma: dzon F~ko: (一緒に起きょう)
j a: he: p~~a (家に行こう) banu n ma: dzo : n Fa: (私も一緒に食
べ よ う ) tura: ra ( 取 ろ う ね )
この活用形の語尾は各観鼠で次のようになっている。
(1) ( 0
J
語 尾 ;( 1・
3の ホ ) ( 1・
4の ロ ) この umo: (umo: n ) (思う),to: ( to: n) (研ぐ)は文 語ではハ行四段・ガ行四段に 所属する動詞であるが?これ らの語幹末尾子音 h・9が当 方言で脱落した結果,他のい わゆる四段動調と活用を異に するようになったものと思わ れる。但し, ko: ( ko : n) (漕ぐ)の場合は,志向形で は 9があらわれ,そして語尾 も他のいわゆる四段動詞と同 じように a:となっている。
( 0 :
J
語 尾 ; (n )
(u:J"";(
皿 )( a:
J
語尾;上記以外の動調類(2) ar"i(an) (有る)では志向形は用いられ ない。これは ar"l"(an)という動詞そのもの の性質にもとづくものと解される。
3
・
2, 未 然 形この活用形の職能は次の通り。
(1) r i run (れる・受身,可能)が接続する。
nuwi U oken dz Y : ju kakar i : da (寝て いるうちに字を書かれた)
uma he: pa t ta ra: "i Z a r i run (あそこ へ 行 っ た ら 叱 ら れ る ぞ )
Fa: nama nu me: n ba: rari: (子供にま で 笑 わ れ る )
pk‑to :he :du FEki rar i(人 に 起 こ さ れ る )
同 l 1 l
a: ra kama: madi: parari run (ここ かちあそこまで行ける)kuma hara umi badararirun 。。 (ここから 海を渡ることができる)
kl~wa nu Fusa: ti:! im p~karirun (こ
‑71‑
の 草 は 手 で も 引 抜 か れ る )
kju: hara F~ki rar i run (今日から起き ら れ る )
ま た , こ の rirunが 接 続 し て , 次 の よ う に
「自発
J
と解されるような用法もある。ju:nen na pi: sa: riki puka: he: nd‑
irarunu ( 夕 方 は 寒 く て 外 に 出 ら れ な い ) a t t s a nu no n 1 i rarunu ( 暑 く て な に も わ からない, i知 ら れ な い j という表現。) (2) s.i( s.in) ( せ る , 使 役 ) s.imirun (させ
る,使役)が接続する。
FVtudu he: dz~ ju kakas・l・n (弟に字 を 書 か せ る )
F a: nama he: du dzI: jumas i (子供に
< へ ぞ > 字 を 読 ま せ る )
F~ tudu jarabas 1 ( 弟 を 呼 ば せ る )
る の に , 君 は こ れ さ え で き な い )
mi t S.1・sandza:n numanu (水さえのまな
uwa ja parlll paranu(君 は 行 く の か , 行 か な い の か )
paranu sa: ( 行 か な い の だ ね )
paj asa: F~kuban man ia: nu (早く起き て も 間 に 合 わ な い )
bana no: n turanu dar a: (私はなにも取 らなし、よ)
bana no: n sanu ( 私 は な に も し な い ) bana F ukunu ( 私 は 起 き な い )
bana no: n mu: nu ( 私 は な に も 見 え な い ) uwan ka: nu ( 君 も 買 わ な い )
bana me: ku:nu ( 私 は も う 来 な い ) me:ma madi mat
I i
ban ku: nu (今まで banu ba ma tsa si ( 私 を 待 た せ る ) 待 っ て も 来 な い )tu:sana: pituba tatsa Ii (遠 く へ 人 を (4) ba (ば,条件)が接続する。
立 た せ よ )
Fa: he: 1 ikin ju F~kusïmi run (子供 に 試 験 を 受 け さ せ る )
F a: nama: he: du k号~i mag i ra s.imi ( 子 供 に く へ ぞ > 鉄 を 曲 げ さ せ る )
ba: kakaba uwaja mi. ri (私が書いた ら , 君 は 見 な さ い )
ba: FlJkuba uwa ja par i: (私が起きた ら 君 は 行 き な さ い )
ba: ku: ba uwa ja pari: (私が来たら Fa: nama he: ti: ba magira s‑lmi (子 君 は 行 き な さ い )
供 へ 手 を 曲 げ さ せ る ) 宋 然 形 の 語 尾 は 各 動 詞 で 次 の よ う に な っ て い Fa: nama he: du hakkon bagas"imiur.i る。
(子供に芋を煮させる。 I沸 か さ せ る
J
とい う表現。)(3) nu (ない,否定)が接続する。
bana me: kakanu ( 私 は も う 書 か な い ) jurusa nu dura: ( 許 さ な い よ ) kuren dza: n s.l.sanu ar iI i t i nu! do bagar
・ ;
( こ れ さ え 知 ら な く て な に か わ か る ) mi:dun nan dza:n diki munu nu uw‑aja kuren dza:n naranu (女でさえでき
( 0 )語尾; ( 1
・
3の ホ ) ( 1・
4) C u九iraJ , , ;
( nの イ )C u, i r a
J , , ;
( nの ロ )このE類 の 動 調 に あ ら わ れ る C ira
J
語 尾 は ri run (受 身・可能) s U s‑1 n) (使役)s‑fmi run (使役)の接尾形 式 へ 接 続 し て い く 時 に あ ら わ れ , そ の 他 の 接 尾 形 式 へ 接 続
す る 時 は (u :
J (
uJ
とな っ て い る よ う で あ る が , そ の 点 に つ い て は 後 日 確 認 の 再 調 査 を し て み た い 。 い ず れ に し て も , こ の 語 尾 はH類 の 動 詞 がI・1の7ホ turi(turin)(取る)の活用型へ変化する そ の 過 渡 期 の 様 相 を 示 し て い るものと恩われる。
( u: ) 語 尾 ;( 皿 )
( a
1
語 尾 ; 上 記 以 外 の 動 詞 類 3・
3, 願 望 形tsan( tlan, tJar‑f) (‑したい)へ接続す る。
dZ.l= kak"i tsan(字 を 書 き た い )
bana F?なidu ku i
t s
ar .1. (私は舟を<ぞ >漕 ぎ た い )
bana Iumuts1 dumi: tlan (私は書物 を<ぞ>み た い ) 願 望 形 の 語 尾 は 各 動 詞 で 次 の通り。
(妻は昨日沖縄へくぞ>行 っ た )
jambaru na: du marida (山原で<ぞ>生 れ た )
Iirabida sïn~a bagaranu (調べたがわ か ら な い )
pito: he: du tasikirari: da (人に<
へぞ>助 け ら れ た ) 過 去 形 の 語 尾 は 各 動 詞 で 次の通り。
(1) ( Q
J
語 尾 ;( 1・1の6P,
6ハ ) CNJ", ,
;(I・
1の8イ, 8ロ, 9イ,9ロ )
(uJ"";( 1
・
2) ( 1・
3の イ ) (oJ"";(.1・ 3の ロ , ハ , ニ , ホ ) (i:J" , , ; (
IIの イ )CiJ"
, ,
;CI・
4) ( 11の ロ )C
‑1‑:J "" ;
( 田 )( .i ] "" ;上記以外の動詞類
(2) 1
・
1の 7ニ UrI( u n) (居る), 7ホ ar"t" C a n) (有る)では語幹が直ちに taに 接続する。C Q J語 尾 ;( 1・1の6イ, 6 P, 6ハ, 6 また, taに 接 続 す る か , あ る い は daに
ニ, 6ホ ) 接続するかは動詞によって異なる。
CNJ"";CI
・
1の8イ, 8ロ, 9イ, 9 (1), daに 接 続 す る も の ロ)(uJ"";(I
・
2 )CiJ"
, ,
;(I'3)(I・
4) C IIの ロ ) Ci:J"";(IIの イ ) ( III )( .i
J ""
;上記以外の動詞類 3・
4,過去形ta( da) (‑した)に接続。過去における動 作を表わす。
bana dz.i : kak・1・ta(私は字を書いた) jamato: bagasari kem pari Futa (本 土 は 若 い 時 行 っ て み た )
tu t s"r" ja k"lnu FukYna: he: du pa t ta
‑73
一
1 • 1の6イ kH1(kizYn)(蹴 る )
" 7 1:( lZ:n)(言 う )
" 8イ sln (死ぬ)
" 8ロ ts‑in( tS‑l‑nun) (注ぐ)
" 9イ jun( jumun) (読む)
" 9ロ un(泳ぐ)
1 • 3の イ kau( kaun) (買う)
" ハ a:rau( a: ro: n) (洗う)
" ニ Fo:( Fo: n) ( 食 う )
" ホ umo:( umo: n) C思 う ) 1
・
4の イ ko: ( ko: n) (漕ぐ)" ロ to:( to: n) (研ぐ)
連 用 形2の職能は次の通り。
(1), 用 言 に 接 続 す る 。 そ の 用 言 は 形 式 用 言 的 な ki: C k i! run) (着る)
Fuki: (Fukirun) (起きる) taに 接 続 す る も の
Eのイ
"
ロものが多い。
F~k.ina: hara kairi kiqta (沖縄から 帰 っ て き た )
(2),
上 記 以 外 の 動 詞 類
(ここへ来てみよ)
‑
a r 盲A
ゐ
E U'
. ︐ .
A
i m
VA
. ︐ i
. ︐
m町 E a・
一n r
‑司A ' A
k r
︐. a
&
E ν
e :
'b・l
a {i
n u︒ . ︐
A
目︒
u﹄F 3・5, 連 用 形1
連用形の職能は次の通り。
(1) 助 動 詞 u:sin(...で き る ) 9 0: san ( ... (降ってみ た り 晴 れ て み た り )
parimi: ki: mi: s"i C行 っ て み た り 来 て み gu‑
r i
1
an ( ...しにくい)等へ接続する。dzi : ka凶u: s・in( 字 を 書 く こ と が で き る ) し そ う で あ る )jassan(‑し や す い )
た り す る )
tI iki run 次 の よ う な url"Cun) (居る)
ここに<ぞ>
︐︐
a r s t︑
割白
︒
nu
J
・ls
'k
AU u
︑ ︑ ︐ ︐ ︐
e hだ
a 'つ m u
そk来
( お く ) の つ い た も の は , 全 体 で 複 合 動 詞 的 である。
kaki tI iki run (書いておく) (向こうに
dz"i : kak i un (字を書いている)
tura nu didu anda s・i
o .
9 a du tur i ur.l. k~Ta he du parI go:< ぞ>行 き そ う だ )
k~~a he ja parl jassa du assa (向う に は 行 き や す い )
uma: he ja pan Dgurila du assa (そ sarl
dura: ( 取 ら な い と 云 っ た が 取 っ て い る よ ) F1,lsa badu tur i uri (草を<ぞ>取って こ に は 行 き に く い )
い る ) ta:
taOga: ( ‑!まかり) (2)助 詞 n( ‑も)
F1,lsa du tur i Fu ta (草を<ぞ>取 っ て い fこ)
ne: ra C ‑しながら)等へ接続。
kak・1・n sanu ( 書 き も し な い )
kakY tal),ga: ni siur"i(書いてばかりいる) ki: nu juda nudu kar i ur"l (木の枝が
< ぞ>枯 れ る )
du (ぞ), na (に)に接続
kaki du uri dura: (書いてくぞ > い る よ ) ure: dZ.l kaki du ur.i (彼は字を書いて (2)
(歩きながら読
連 用 形1の語尾は各動詞で次の通り。
araki ta I ne: ra jumun む )
< ぞ>い る ) p.l.tu okai na:
9イ )
[uJ"";(
1・
1の8ロ )(1.2) [iJ", ,
;(I'lの9ロ ) ( I・3 ) [ NJ
語 尾 ;( I • 1の 8イ,︑ ︐ ︐ ︐
︐EA ︐t・ ︑
(人を迎えに du par"i
< ぞ>行 く ) ( 1
・
4) ( IIの ロ )連 用 形2の語尾は各動詞で次の通り。
[i:J"";( IIの イ )
[ i :
J
語 尾 ;C IIの イ ) (皿)これは恐らく l拍 の 活 用 形 を き [ i:
J "" ;
(皿)["i
J""
; 上 記 以 外 の 動 調 類1 • 1の6ハ tUfl( tur lfi, turun) (取 らうところから長音化している (2)
ものと思われる。
上 記 以 外 の 動 詞 類 [ i
J
語 尾 ;る)では Yとuの両語尾があらわれる。
3
・
6, 連 用 形23・7 接続形 両者の異同を概略示すと,次の通りである。
共通語の
r ‑
して」にあたる。文と文を接続 (1) 文法的職能としては両者とも同じ。して,その意味上の関係を明らかにする。 (2) 両語尾は形上異なる。両者聞には多少の例 k号p'l na: kakiI~ti kare: he: jumasln 外もあるが,概略次のような関連がみられる。
(紙に書いて彼に読ませる) 終止形2語尾=終止形1語 尾 +n Fuki na: ma: d i par i 1 i t i ku: (沖縄ま
で行って来い)
語尾は各動詞で次の通り。
(1) (i: I i t i
J
語 尾 ;( Ilのイ) (田) (i/itiJ " , , ;
上記以外の動調類(2) 1
・
1の6ホ ar'l'C an)は ariIitiが予 測されるが,話者からその活用形を得ること はできなかった。3・8 理由形
共通語の
r ‑
するからjに相当するもので,原因・理由をあらわす。
ba 1 kakiki uwa ja mi: ri (私が書くか ら,君は見なさい)
ts‑iburγnu jami uriki kju: ja jukui du s'{ C頭が痛いから今日は休む)
banum par iki uwan ku j 0: (私も行くか ら君も来いよ)
語尾は各動詞で次の通り。
( i : ki
J
語 尾 ; ( Ilのイ) (皿) ( ikiJ"";
上記以外の動調類 3・9 終止形1 ,終止形2文の終止に用いる。また,助調 diCと)9 a‑ j a: Cかしら) j 0: Cよ) do: ¥.ぞ) sa: (ね) 等
s i D 9
a (けれども)に接続する。終止形として二形が併用されている。ごく普 通に用いられるのは終止形2の形である。いわ ゆる調査で終止形として最初に出るのは終止形f の形で,調査を続けているうちに終止形1の形
も出てくる。話者としては二形とも同様に用い るという意識をもっている.
(3) 動詞によっては両語尾の結合する語幹が異 なるものがある。
例 (働く)patarak+ 1 終止形1
pa tarag + ln終止形2
(居る) ur + 1 終止形1
u + n 終止形2
(読む) ju + n 終止形1
jum+ un終止形2 (眠る) nuF+ u 終止形1
nuw + un終止形2
(笑う) ba:ra + u 終止形1
ba:ro + on終止形2
一見,二形併用にみえながら,文法上の職能 に差異がないところから,両活用形聞には時間 的要素が含まれているものと解される。断定は できないが,いわゆる終止形1が古く,終止形2
が新しい形ではなかろうかと考えている。それ ならば,共時的にはー形にまとめて体系化した 方が妥当のように思われる。これをあえてここ で二つの終止形を認定して体系化したのは,た とえ変化過程にあったとしても,その変化の過 渡期の様相をそのま』体系化するのも,また共 時的記述の態度と考えるからである。
uwa: jundara:, bana: kakIn( ka:K‑l‑) (あなたが読んだら,私は書く)
sake: ju: nun s・iuga,ju: pa tarag'l'n C patarakl‑) C酒はよく飲むが,よく働く) m e: j a 9 a t i t u b 1‑n ( t u b 1) (もうやがて 飛 ぶ )
pamana: aS‑Ip‑i (浜で遊ぶ)
Fhd
門i
uj a tu ma: dzon parin ( par"l") (親とー ( N, N J語 尾 :(
1
・1の8イ, 9ロ) 緒 に 行 く ) ( N, uN J " " : ( 1・
1の80, 9イ ) ba:: parin ( pari) ( 私 が 行 く ) ( u, uN J " " : ( 1・
2 ) ( 1・
3のイ) Futudo:: ja:: na: un( urI) ( 弟 は 家 に 居c
u, oN J " " : ( 1・
3の 円 ハ , ー,る ) ホ )( 1・4)
ba: turIIi ( turun, turγ) ( 私 が 取 る ) (i::. i:: r uN) " " : (
n
の イ ) unu 9urai ja banu n narIn ( narun, (i::, iruN), , / 1 : ( n
の ロ )na rY) ( こ の 位 は 私 も で き る ) ( "i:, iNJ " " : (皿)
araki ta:: ne : ra jumun : ( 歩 き な が ら 読 ( i, ‑iNJ"" : 上 記 以 外 の 動 詞 類 む ) (2) 1・1の7ハ tur"l‑n( turun, tur 1) (取
uja he:: ni:run( ni:) ( 親 に 似 る ) る ) で は C"t
,
"iNまたは uNJという形であ attla kin( kl: ) ( 明 日 来 る ) らわれる。ure: du kakIn ( kaki) di anda (あの人 3
・
10 禁 止 形 が < ぞ > 書 く と 言 っ た ) 禁止する意をあらわす。kare:: parYn ( parl) gaja:: (彼は行く k~f!l a he: dzI kakina (ここへ字を書く
か し ら ) な )
kare:: ja:: na:: un( uri) gaja:: (彼は F);lsa tunna ( 草 を 取 る な )
家 に 居 る か し ら ) jukuI imune: iZ: na ( う そ を つ く な ) kunu ・i~o:: ciko: ba bagari sio( s"i) 語 尾 は 各 動 詞 で 次 の 通 り 。
gaja:(こ の 魚 は い く ら ば か り す る の か し ら ) (1), (Nna J語 尾 :( 1
・
1の6ハ, 6ニ, 8 attsa kin( ki:) jo:: (明 日 来 る よ ) イ, 8 P, 9イ, 9ロ) m i run d:: o:: ( 見 え る ぞ ) ( una J " " ; ( 1・
2) ( 1・
3の イ )k!lI,la nu klll j a ba:: k i run d:: o:: (この ( ona J " " : ( 1
・
3のロ,ハ,ニ,ホ)着 物 は 私 が 着 る よ ) ( 1・4の イ , ロ )
paiIa F,;kirun( FlJki;) sa:: (早く起き ( i:: na J " " : ( IIの イ )
る ね ) (inaJ"";(
n
の ロ )ba:: par"in ju:: ( 私 は 行 き ま す ) C Ina J " " : 上 記 以 外 の 動 詞 類 a t t s a pa i 1 a F uk i r u n j u:: (あした早く (2), 1
・
1の7ホ an( ari) (有る)では禁止起 き ま す ) 形 は あ ら わ れ な か っ た 。
asatara: duma na: du arija (arja::) 3・11 連 体 形
( ど れ ど こ に あ る か ) 職能は次の通り。
uwa ja duma he;. du parija( parja:) (1),体言に接続する ( 君 は ど こ へ 行 く か )
終 止 形 語 尾 は 各 動 詞 で 次 の 通 り 。
(1) ( i, N
J
語 尾 ;( 1 • 1の6ニ, 6ホ )kak"l・p・it u t um i r u n ( 書 く 人 を さ が す ) kare:: I !ku pa tarak"l muno: uranu (彼 のよ う に 働く者 は 屈 な い )
pajasa turi pitu nu munu (早く取る人 の も の だ )
kare: tumiri muno: duri gaja: (彼が さがしているものはどれかな)
(2)次のような形式体言に接続する。
attsa du 0: rel rI patsI do: (明日いら っ し ゃ る は ず だ )
kaki‑tugun du kaka nahata (書くとこ ろ で あ っ た が 書 か な か っ た )
ju肱ol)kuso: ni dz i kaki juini bu伊 ri ne: nu (休まずに字を書くので,疲れてし まう)。
turi‑‑nu tupi so:ni par‑in (鳥が飛ぶよ うに行く)
(2) ,助詞ma:di(まで), b iki (ベき), nu (が)dura! (よ)gaja: ( か し ら ) 等 に 接 続 。 ま た , 助 詞 du(ぞ)の結びとなる。
ts
i "
k・inu a: ri ma: di pataragi du uri (月が上がるまで働いている)uwa du turi biki (君がくぞ>取るべき) p "idar i t i ::1 i kak"I nu narun (左手で書 くことができる)
tura nu di du anda s~oga du turiurY dura: (取らないと言ったけれども,取っ ているよ)
h a t 0: u r i t al) 9 a : d u n uku r Y 9 a j a : (あとにそれだけ残るのかな)
kuma na: du arI gaja: (ここにあるのか な )
F~tudo: i ts‑i du kil gajal (弟はいつ くぞ>くるのかな)
ba l du pari (私がくぞ>行く) uwa du tur"l" (君がくぞ>取る)
alisabau kal isaban uwa du liu (あ あ し ょ う が こ う し ょ う が 君 が 知 っ て い る の だ )
kaliru kln tauga: du ari (こんな着 物 ば か り あ る )
attsa du ki: (明日くぞ>来る)
gaja: (かな)は終止形にも接続するし,
連 体 形 に も 接 続 し て い る 。 但 し , 連 体 形 に 接 続 す る 時 , そ の 連 体 形 は 必 ず du(ぞ)の結 びとなっている。従ソて, gaj a:は文を止め
る活用形に接続するといえそうである。
連体形の語尾は各動詞で次の通り。
C
NJ
語 尾 ;( 1 ・ 1 の 8 イ~ 8ロ, 9イ ) CirlJ " " ; ( 1・
1の9ロ )C u J " " ; ( I
・
2 ) ( 1・
3の イ ) C 0J "" ; (
1・
3の ロ , ハ , ニ , ホ )( 1
・
4)C
i:J",,;( n
の イ )C i
J "";(ll
の ロ ) C i:J",,;(皿)
C i
J ""
; 上 記 以 外 の 動 詞 類 3・
12, 条 件 形1tara: (‑‑したら)または dara:(‑‑だら) に接続して条件を表わす。
uwa: kaki tara: kare: jumun (あな た が 書 け ば , 彼 が 読 む )
uma he: pattara: lZarirun (あそこへ 行 っ た ら 叱 ら れ る ぞ )
ina he: pattara: jurusanu dura:(海 へ 行 っ た ら 許 さ な い よ )
me: ma pattara: maniaun (今立てば間 に 合 う )
unuI iku ariiza bam basIki dara: juru‑
sanu dura:(そ ん な に 言 っ て も 忘 れ た ら 許 さ な い よ )
a: mi nu Fo: dara.: jami du s"i (雨が 降 っ た ら , や め る )
ure: kS i・taral bagari・n (彼が来れば,
‑77‑
わ か る )
語尾は各動調で次の通り。
(1) ( Q
J
語 尾 ;( 1・
1の6イ, 6 tJ, 6 ハ, 6ホ )( N J ",, ;(I
・
lの8イ, 8ロ, 9 イ, 9ロ )( uQ
J "" ̲ ( ;
1・
2 ) ( uJ"";(I・
3の イ )ほジ一致する。
3
・
13 条 件 形2ba (ば)が接続して条件をあらわす。
ba: kaki: ba uwa ja mi: r i (私が書 けば,君は見なさい)
Fukina: nu gjor <i3 i nu hon ju jumi mi: ribadu Fuk.ula: na: ja abus.l
parai di an gjo:d~ü aro: si9ganu ( O J ",,;( 1・3の ロ , ハ , ニ , ホ ) ( 沖 縄 の 行 事 の 本 を 読 ん で 見 れ ば 沖 縄 に
( 1・4の イ , ロ ) は ア ブ シ パ イ と い う 行 事 が あ る よ う だ け (i:J",, ;(llの イ ) れ ど も )
( i J "";(11の ロ ) me:ma madi: matIiban ku:nu (今ま ( 1
J
",,;上記以外の動詞類 で待っても来ない)(2) 1・1の6ニun( uri) (居る)では語幹 語尾は各動詞で次の通り。
が直ちに tara:に接続する。 (1) (i r i
J
語 尾 ;( ) 11 また, tara:に接続するか,あるいは da ( i!J"" ;
(皿)ra:に 接 続 す る か は 動 詞 に よ っ て 異 な る 。 ( i
J"";
上記以外の動詞類 (1) dara:に接続するもの (2) 1・
1の9ロ un(泳ぐ)の条件形2の形1 • 1の7 iZ: ( .iZ: n) (言う) 式は見つけえなかった。
" 8イ sIn (死ぬ) 3・14 命 令 形
" 8ロ tsIn ( tsYnun) (注ぐ) 命令の意を表わす
" 9イ jun ( jumun) (読む)
" 9ロ un(泳ぐ)
1
・
3のイ kau ( kaun) (買う)" ロ ba! rau ( ba: ro: n)(笑 う )
" ハ a: rau ( a: ro: n) (洗う) ニ Fo: ( Fo :n) (食う)
" ホ um 0 : ( u m 0: n) ( 思 う ) I
・
4のイ ko: ( ko: n) (漕ぐ)" ロ to: ( to: n) (研ぐ) 自 の イ ki: ( ki: run) (着る)
" ロ F uk i: (F uk i r un) (起きる)
pa j asa kaki (早く書け)
uja nu ano! rI sini 1 i:(親の言うとお りにせよ)
Futudu jarabammisa: ri~ki sa:ri ku: (弟でもよいからつれてこい) uwa ja ju: ka9gairi jO! (君はよく考 え ろ よ )
語尾は各動詞で次の通り。
(1) (i: r i
J
語 尾 ;( 11のイ) ( ir iJ "" ; (
11の ロ ) ( uJ"";(
皿)(2) tara:に接続するもの ( i:
J"";
上記以外の動調類 上 記 以 外 の 動 詞 類 (2) 1・
1の6ホ an( ar.l)の命令形は見つけ これは過去形が taおよび daへ接続する方法と えなかった。‑78‑
4.活用の種類 4
・
1. ト 1類前出の maraglnは意味としては/(結ぶ)で あるが,共通語の「結ぶ」と音韻対応関係にあ こ れ は (a ,: a, i, i, i, i, i 1 i t i, るのではない。従って,いわゆるパ行五段がこ iki, i, IN , Ina, .i, i, i, i:)と
活用する(または語尾交替する)動詞類である。
以下,その下位分類した動詞類について概観 する。
1類はいわゆるカ行五段動詞が所属する。そ の中で, 2類の pataragln ( pa tarak‑l‑) (働
く), marafl‑n( marakl‑) (結ぶ)のように,
一部の語尾と結合する際に,その語幹末尾子音 ポ有声化現象を起すものがある。
(働く)fpatarak願望形,過去形,終止
│ 形1,禁止形,連体形,
│ 条件形1各語尾の前
l
patarag 上記以外の語尾の前 (結ぶ)t""""marak 願望形,過去形,接続形,終止形1,禁止形,
連 体 形 , 条 件 形 ぃ 条 件形2各語尾の前 marag 上記以外の語尾の前 pa tar ag ‑in (働く)と marag"in(結ぶ)の違 いは接続形と条件形2とにあらわれ,前者にお いてはこれらの活用形の語幹は有声化している
のに対し,後者では有声化は起っていない。
語幹末尾子音における同様の交替現象は5類 の tubi‑n ( tubi) (飛ぶ), jarabin( jarabI) (呼ぶ)にもあらわれ,この場合は pとbの交 替である。そして両者の違いは連体形にあらわ れ,前者は有声化し,後者はしない。
この無声・有声の交替現象はなんらかの法則 に支配されているとは解しがたく,かなり自由 交 替 (free variation)的である。従って,
2類・ 5類を更にイ・ロへ区別することもない のかもしれない。
の2ロ類へ所属しているとはいえない。
3類はいわゆるサ行五段動詞が所属する。川 平方言では sIn(S.1) (する)もその型に属す る。他に,この活用型に属するもので調査した ものに ku:sIn ( ku: s i.) (殺す)kl‑sIn ( k
Is I) (切る)madza: s‑in( madza: sI) (混 ぜる)等がある。
4類はいわゆるタ行五段動詞が所属する。
tats.in( tats‑l) (立つ)の場合は tats(ぱ) と tatの両語幹があらわれる。
5類はいわゆるパ行五段動詞が所属する。
6類はいわゆるラ行五段動詞が所属する。
6ロの parIn( parI) (行く)がその類に属し ているのは一見特異のようであるが,この pa‑
rIn( parI)も共通語の 「行く」と直接の音 韻対応関係にあるものではなく,むしろ,音韻 的には「走る」に対応する。この6類 が 1類 か ら5類までの動調と異なるところは,語幹末尾 音の違いもあるが,更に,願望形・条件形 1等 で 促 音 の (
Q
)語尾があらわれる点である。6イkJIYn(Ki:Y)(蹴る)は前述したよう に願望形・条件形1で
C Q
)語尾があらわれる。6ロP円in( pれI)(行く)は願望形・条件形1
に加えて,過去形にも(
Q
)語尾があらわれる。この点で6イとは区別されねばならない。 6ハ turlll( turun, turl) (取る)は願望形・
過去形・条件形1で
C Q
)語尾があらわれると 同時に,禁止形語尾が (Nna)である。この点 で6イ・ 6ロと区別される。更に6ハでは連用 形1語尾にCu ),終止形2語尾に CuN )も あらわれる点で異なりを示している。これは 1とuの調音点がかなり接近しているところから
‑79‑
起る交替であろう。 6ニ un(uri)(居る)は 過 去 形 ・ 条 件 形1の語尾を欠いていて,語幹が 直接接尾形式へ結合していく点でこれまでの動 調 類 と 異 な る 。 更 に , 終 止 形2が turun(取 る ) 等 の 終 止 形2から推定すれば, Urlnまたは ur
unとなりそうなところを unとなるのも特徴で あろう。 6ホ an(an) (有る)は6ニun(ur‑i)
(居る)とほジ同様め語尾交替を示しつつも,
条 件 形1に お い て (Q
J
語尾があらわれる点で 6ニと異なる。この un(居 る )an ( 有 る ) に お い て , 終 止 形2が ur‑fn( urun) ann( arun) でなく, まさに un,anであること,これは琉 球 方 言 の 終 止 形 成 立 の 過 程 を 考 察 す る の に な ん らかの示唆を与えるものと恩われる。なお,6ハ の活用型に従って活用するものとして,他に ka‑rin ( karun kari) (刈る)等がある 7類 は い わ ゆ る ワ 行 五 段 動 詞 で あ る 。 ワ 行 五 段 が 川 平 方 言 でI・1類に属しているのはむし ろ特殊で,当方言ではこれらは I・3類 に 分 類 される。
8類はいわゆるナ行五段動詞が所属する。
tunun ( tSIn) ( 注 ぐ ) が こ の 類 に 属 し て い るのは当方言の特徴である。この類では願望形,
過 去 形 , 禁 止 形 , 連 体 形 , 条 件 形1等に楼音(NJ 語 尾 が あ ら わ れ る 点 で こ れ ま で の 活 用 型 と 区 別
される。 8イ sIn(死ぬ)は以上の他に連用形1
も (N
J
語 尾 で あ る 。 ま た , 終 止 形 が Slnun でなく Slnであることも特徴的である。 8ロts.inun( ts.in) (注ぐ)は連用形1語 尾 が (1
J
で も (
N J
でもなく, ( uJ
となる点でこれま でのものと区別される。終止形2語 尾 も (uNJ
である。
9類はいわゆるマ行五段動詞が所属する。 un (泳ぐ)がこの類に属しているのは, 8類と
l
司 様,特徴的である。 9イ jumun( jun)(読む)は8類とほジ同様の活用をする。両者を区別す るのは語幹末尾子音である。 9イの型で活用す る動詞で,他に調査したものに ts1 ts 1 mun
(tSltSlll) (包む)numun( nun) (飲む)が ある。 9ロun(泳 ぐ ) は 連 用 形1語尾が
C
iJ
, 連体形語尾が Ci rl‑J
となる点で9イとは区別される。
以上, 1・1類について述べてきたが,これ らの中で,語尾の方だけみると,概略次の三つ の区別が認められる。すなわち,願望形,過去 形 , 条 件 形Iをみていくと。
(1) ( Q
J
語 尾 を 有 す る も の :6イ‑ 6ホ類。(2)
(N J
語 尾 を 有 や る も の :8
イ‑9
ロ類。(3) (.i
J
語尾を有するもの;上記以外のもの。となっている。
外形上,これほど異なるものを l・1類とし たのは,当方言の音韻交替現象としてCr
" i >
Q 又はNJ
が存するからである,これを証する 1 例として,体系表からもわかる通り, 6イki! : . i
n ( ki
(1) (蹴る)において,その過去形・禁止形は k~~fda, k1(fna になっていること。
これからすると,たとえば, 6ハ tunn( tur 1) (取る)の過去形・禁止形は本質としては, tu‑
rita, tuu.naであるのが,音韻交替によっ て tut ta, tunna になっているものと解され る。
以上のような解し方に立てば,上記三形の語 尾は本質的には同類のものであるとみてよい。
4
・
2,
1・
2類こ れ は (a ,! a, U, u, u, i, i I i t i , iki, u, uN, una, u, uQ, i, i:
J
と活用 する類である。i・1類と異なるところは,願望形,過去形,
連 用 形1,終止形1,終止形2 禁止形,連体 形 , 条 件 形1において, 1 • 1類語尾が C1
J
で あ る の に 対 し , こ の 類 は (u
J
である点であ る。( i
J
と (uJ
とは調音点が近接しているた めに,両者の交替は十分に考えられることである。このような交替現象は 1• 1 Jの8ロ ts・in‑
un( ts"ln) (注ぐ)等にもみられた。この8ロ を接点にして, 1. 1績と I・2類とは連続して いるものと思われるが,八つの活用形にわたっ て (‑1‑
J
と (uJ
の交替を起こしているからに は,やはり, 1・1類とは別類にした方が妥当 であると考える。この類に属する動詞としては,他に kawun ( kaFu) (被る)がある。
4・3,1・3類
と活用を同じくするものであるが,ただ過去形 で接辞 daを要請する点で異なる。
ニ・ホ類は終止形1語 尾 も (0
J
となる点で これまでのものと異なる。更にホ類は志向形,未 然 形 の 各 語 尾 も (0
J
となる。このように,共通語のハ行五段に相当する川 平方言の動詞は,大きくは I・3類とまとまり ながら,細部ではかなり変化の激しい活用を示
している。
4
・
4,
1・
4類こ れ は (a: ( 0) , 0, i, i, i, i, i 1 i t ,.i iki, 0, oN, ona, 0, 0, i, i:
J
と活用する類である。
この類には,いわゆるガ行五段動詞が属して これは (a:(o),a(o), i, u(o), i, i, いる。
iIiti, iki, U( 0), uN( oN) , una( ona) u(o), u(o), i, i:
J
と活用する類である。この類にはいわゆるハ行五段動調が属してい る。
ト 3類 が ト l類, 1・2類と区別される ところは,願望形・連用形1語 尾 が (i
J
とな っている点である。 1• 1類 の (YJ
語 尾 は 一 方 に お い て は (uJ
に , 他 方 で は (i )に音韻 交替を起こすものと解される。イ類の kaun( kau) (買う)は上記の違いを 別にすると,ほぼ1・2類と同じ活用をする。
但し,条件形Eで は (u
J
語 尾 で , い 2類 と は 異なる。ロ類の ba: r 0: n ( ba: r a u) (笑う)は過去形,
終止形2,禁止形,連体形,条件形1の各語尾 が (0
J
となっている点でイ類とは異なる。こ れもまた, (au>o:J
の音韻交替現象の結果 であることはイ類と比較して直ちに理解される。従って,決して異質の活用型ではない。
ハ類 a.ro ̲: n( a: rau) (洗う)は全くロ類
このI・4類がこれまでの類と区別されると ころは,過去形が( i
J
語尾になる点である。イ類 ko:n ( ko: ) (漕ぐ)は志向形が koga:
となる点は I・1類と類似している。但し,過 去 形 が ( i
J
となっている点を除いて,その他 はすべて 1・3のホ類 umo: n ( umo: ) (思う) と全く同じ活用である。ロ類 to: n( to:) (研ぐ)は志向形を除く と,イ類と同じ活用である。
共通語のガ行五段動詞に相当する川平方言の 動詞も変化がかなり激しく,その一部は. 1・
1類にも分属している。
4 ・5,以上, 1類 に つ い て 各 類 別 ご と に そ の 違いを概観してきたが,これらの動詞類は本質 的には表の最上段の kakln(kak‑1‑) (書く)と 同種の活用をなすものと解される。それが音韻 交替現象によって,多少の差異性を示す類もあ るが,次に述べるH・皿類に比較すれば,それ ほど大きな差異性とは解されない。これらを大 きく i類とまとめたゆえんである。
唱E a‑
00