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パーソナリティ傾向の形成要因と共感性に関する研究

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(1)

心理相談研究

8

65‑83 

2 0 1 7   6 5  

パーソナリティ傾向の形成要因と共感性に関する研究

—両説の養育態度がタイプ A ・タ イプ C に及ぼす影響— 村 山拓也* 瀬 戸 正弘**

A  S t u d y  o n   F o r m u l a t i o n   f a c t o r s  o f  P e r s o n a l i t y  t e n d e n c y  a n d  Empath y  :  F o c u s i n g  o n   t h e   Type  A  a n d   Type C  a f f e c t e d   by  P a r e n t ' s  p a r e n t i n g  a t t i t u d e s  

Takuya  MURAY  AMA*  M a s a h i r o   SETO** 

[ 要 約

l

本研究の目的は, SIRI‑3

3 .

PBI,  共感性の尺度を用いて,両親の養育態度との関連から生 活習慣病にかかりやすいパーソナリティ傾向の形成要因と共感性との関係性を調べることで あった。両親の養育態度と性別の要因がパーソナリティ傾向に及ぼす影響について検討した 結果から,タイプ

A

は両親の養育態度により, タイプ

C

のなかでも社会的同調性は父親の 養育態度により,それぞれ影響を受けて形成された可能性があることが示唆された。また,

タイプCのなかでも合理的・ 反情緒性は両親の養育態度以外による影脚を受けて形成され た可能性が高く,その素質は男性の方が持ちあわせていることが示唆された。パーソナリテ ィ傾向と共感性との関係性について検討した結果から. タイプ

A

傾向が嵩い場合,および タイプ Cのなかでも社会的同調性が闇い場合は 個人的苦痛 を感じやすいこと,タイプ Cのうち合理的 ・反隋緒性の高さと共感性との関係性は乏しいことが示唆された。

キーワード :タイプA, タイプC, 養育態 度 の 翌 知 共 感 性

問題と目的

健 康 と は 「 単 に 病 気 で な い , 虚 弱 で な い と い う の み な ら ず , 身 体 的 , 精 神 的 そ し て 社 会 的 に 完 全 に 良好 な状 態」を指 している (厚 生 労 働 省.

2 0 0 0 )

。我が 国 の 健 康 に 関 わる施策は, 当 所 は 感 染 症 対 策 を 中 心 に 衛 生 水 準 を 向 上 さ せ る も の か ら 始 ま っ た が , 徐 々 に 疾 病 の 予 防 や 健康維持• 増 進 に も 重 点 が 置 か れ る よ う に な っ て き て い る ( 厚 生 労 働 省 ,

2 0 1 4 )

。ま た , 我 が 国 の 死 因 は 多 い 順 に . 悪 性 新 生 物 (いわゆる がん").心 疾 患,肺炎 と な っ ており(原 生 労 働 省,

2 0 1 6 ) ,

そ の 原 因となる生活習慣 を 改 善 することが,寿 命を 伸 ば す こ と につながる

*  神奈川大学大学院人間科学研究科 (GraduateSchool of Human Sciences, discipline of clinical psychology,  Kanagawa University) 

  神奈川大学人間科学部 (Facultyof Human Sciences, Kanagawa University) 

(2)

66 

村山拓也• 瀬戸正弘

ほか, 医療費の負担削減にもつながると考えられている(厚生労働省,

2 014 )

生活習慣病は 「食生活や運動習 慣 休 養 喫 煙,飲酒等の生活習慣が その発症や進行に 関与する症候群」のことである (厚生労働省,

2 0 1 4 )

が,欧米においてはパーソナリティ傾 向という心理的要因も,生活習慣病の発症や進行に影響を及ぽしていることが示されている

( E y s e n k ,  1 9 87 )

。生活習慣病と関連のあるパーソナリティ傾向として代表的なものは,米国 の心臓病医によって提唱されたタ イプA行 動 パ タ ー ン ( 以 後 タ イ プAと記述する)であ り,心臓病の危険因子として考えられている

( F r i edma n

R osenm a n ,  1 959 )

。タイプ

A

の 特徴には,①時間切迫感,焦燥感,②熱中的,精力的,③競争性,敵意性,攻撃性などの要 素を含むことが指摘されている (前田,

1 9 8 9 )

タイプA の次 に 生 活 習慣病と関連のあるパーソナリティとして提唱されたのはタイプ

C

パーソナリティ(以後, タイプ

C

と記述する)であ り, 米国の心理学者

Temoshok

はタ イプ

C

傾向が高い人ほど, がん 発症のリスクが高まると考えている

( T e mosh ok &  D r e ‑ h e r ,   1 992 / 1 997 )

。タイプ

C

の特徴は, "感情抑圧 と 社会的同調性 の

2

要素を含むこと が指摘されているが

( E y s e n c k ,1 9 9 4 ) ,  

とりわけ 感情抑圧 傾向の高い人ほど, がん 発症のリスクが高くなるといわれている

( G r o s s a r t h ‑ Ma t i c e k ,Kana z i r ,   V e t t e r ,   &  Schm i d t ,   1 9 8 3 ) 。

生活習慣病の発症には,遺伝的要因外部環境的要因生活習慣要因などが関連している ことが明らかになってきているが (石原,

2012 ) ,

生活習慣病と関連のあるパーソナリティ 傾向の形成過程についても研究が行われている。報告によると, タイプ

A

傾向が高い人は,

幼少期の親子関係において適切な自尊心を持つことができず,安心感の乏しい生活環境に置 かれていた傾向にあったといわれている

( F r i edman,1 9 9 4 )

。また, がん"にな った人は,

子どものころを両親と親密でなかったと振り返る傾向があることを 米国の

Tomas

博士が

30

年に お よ ぶ 追 跡 調査 の 報 告 にお い て 指 摘 し て い る

(Thomas , D u szy n s k i ,  &  Sha f f e r .  1 9 7 9 )

。以上を踏まえると,生活習慣病と関連のあるパーソナリティ傾向は, 幼少期から成 人に至るまでの間に,家族の影響によって強化された行動様式であることが示唆される。こ れ よ り 両 親 の養育態度がタイプA, タイプ

C

に及ぽす影響について研究することは意義 があると考えられる。

ところで,現代社会はストレス社会とも言われており,我が国ではほぼ半数の人がストレ スを感じながら生活していることが指摘されている (内閣府国民生活局,

2008 )

。なお,心 理 ・社会的ス トレスには, さまざまな疾患との間に関連性があることが示されているが

( Holmes 

Rah e ,   1 9 6 7 ) ,  

特に生 活 習慣病の発症には,職業性のストレス要因が関与してい ることがらかにっている (川上, 2002)菊地 笠貰 • 内山・ 橋口

( 1 9 9 1 )

によると,

虚血性心疾患患者(いわゆる 心臓病 )に関連のあるタイ プA傾向の高い人は, 職場環境 には良く適応しており,共感性に富んでいることを報告している。 一方, タイプ

C

傾向の 高い人は物静かまじめ自分の感情をえて周囲に合わせる,忍耐強く • 物事を合理的 に考えるが,緊張や不安 ・不快感などを直接表現できずに対人関係や仕事,環境に過剰反応 しているために,ストレスを徐々にため込んでいくといわれている(岩永,

2 0 0 3 )

。これよ り,周囲に対して過剰適応的であるタイプ

C

の人は, 客観的にみると環境 適応は良く 見受

(3)

パ ー ソ ナ リ テ ィ 傾lnJの形成要因と共感性に関する研究

6 7  

けられるが物事を理性的に判断するために共感性は乏しいと考えられる。以上を踏まえる と,生活習慣病と関連のあるパーソナリ ティ傾向と共感性との間には関係性があるととも に,パーソナリティ傾向と結びついた共感性のあり方が環境適応に影響を及ぼしていること が示唆される。これより, タイプA, タイプ

C

と共感性との関係性について研究すること は意義があると考えられる。

本研究の目的をまとめると, ①両親の養育態度がタイプA, タイプ

C

の形成に影響を及 ぽ し て い る の か ②タイプ

A ,

タイプ

C

と共感性との間には関係性があるのか,以上

2

点 について検討することである。なお,パーソナリティ傾向をより多様な観点から比較するた め に 生 活 習 慣 病 と 関 連 の あ る タ イ プA, タイプ

C

以外のパーソナリティ傾向についても 着目し,上記と同様に両親の養育態度,および共感性との関係性について検討を行った。

I I   方法

対象

関東圏内の私立大学に通う大学生,

5 3 0

名に質問紙調査を実施し. 記入漏れなどの欠損が なく, フェイスシー トにて 中学校を卒業するまでの間の保護者として父親 ・母親がいた"'

中学校を卒業するまでの間にひとり親家庭で育った期間がなかった の

2

項目に 「はい」 と回答した者を分析の対象とした。有効回答は

3 5 6

名(男性:

1 6 8

名,女性:

1 8 8

名,平均 年齢:

2 0 . 4 1

歳,

SD= 1 . 1 4 )

であった。

調査内容

タイプ

A

およびタイプ

C

を測定する尺度

S h o r t   I n t e r p e r s o n a l  Rea c t i o n s  I n v e n t o r y

日本 語短縮版

( S I R I ‑ 3 3 )

(熊野他,

2 0 0 0 )

を用いた。この尺度は,生活習慣病と関連のあるパー ソナリティ傾向を測定する尺度である。下位因子は. タイプ

r ・ :

理想化した対象への依存

と失望. タイ プ

2 ": 

迫害対象への執着と怒り・敵意 タ イ プ

3 ": 

精神病質的, タイプ

4 " ' :  

自律的・健康的,"タイプ

5 ": 

合理的・反情緒性, タイプ

6 ": 

反杜会的,の

6

つであ る。なお,下位因子の タイプ

2 "

がタイプ

A

に, タイプ

l "

がタイプ

C

のうち社会的同 調I:生に, タイプ

5 "

がタイプ

C

のうち感情抑圧に,それぞれ相当している。質問は

3 3

項目 で構成されている。回答形式は, 「ほとんどない (1)」から 「しょっちゅうある

( 4 )

」の

4

件法である。

両 親 の 養 育 態 度 を 測 定 す る 尺 度

P a r e n t a l  Bonding I n s t r u m e n t

日本語版 (小川,

1 9 9 1 )

を用いた(以後,

PB I

と略記する)。この尺度は. 子供からみた親の養育態度の自覚的評価 スケールであり,オーストラリアの

P a r k e r

らが

1 9 7 9

年に,親の態度,行動の特徴を分類.

整理して開発したものである。下位因子は, 養護因子"

( C a r e  f a c t o r  : 

以後,

C A

因子と略 記する), および 過保護因子"

( O v e r ‑ p r o t e c t i o n  f a c t o r  : 

以後,

OP

因子と略記する)の

2

因子である。 質問は

2 5

項目で構成されているが,被調査者には

1 6

歳までの父親,母親の養 育態度について別々に想起してもらうよう教示をし.それぞれ回答を求めた。回答形式は,

「ま ったく違う (0)」から「非常にそうだ (3)」の4件法である。父親,母 親 そ れ ぞ れ の

(4)

68  村山拓也• 瀬戸正弘

A因子 (以後 "F‑CA",M‑CA"と略記する)得点が高いほど,愛情深く育てられた ことを示し,父親,母親それぞれの "OP因子 (以後,ヽ'F‑OP". "M‑OF"と略記する)得 点が低いほど. 自律を促されて育てられたことを示す。

共感性を測定する尺度 青年期用多次元的特性共感尺度(登張, 2003)を用いた。この尺 度は,共感性を測定する尺度であり,青年前期・中期・後期を通して同じ意味内容で検討で き,利用できるという特徴をもつ。下位因子は, 共感的関心" (他者の不運な感情体験に対 し, 自分も同じような気持ちになり,他者の状況に対応した他者志向の暖かい気持ちを持 つ), 個人的苦痛 (他者の苦痛に対して,不安や苦痛など,他者に向かわない自分中心の 感情的反応), ファンタジー (小説や映画などに登場する架空の他者に感情移入する),

気持ちの想像 (他者の気持ちゃ状況を想像する)の

4

つである。質間は

2 8

項目で構成さ れている。回答形式は,「全く当てはまらない (1)」から「非常に当てはまる (5)」の 5件 法である。

I I I   結果

結果の統計処理は,統計パッケージSPSS12.0

J

を用いて行った。

記述統計

バーソナリテイタイプの分類 先行研究(熊野他, 2000)に従い, SIRIの結呆から被調 査者を6つのパーソナリテイタイプに分けた。手続きとして,男女別にSIRIの6下位因子 それぞれの平均値と標準偏差を求めて,各パーソナリテイタイプの標準得点を算出した。そ して,被調査者ごとにSIRIの6下位因子の標準得点を比較検討し,標準得点が最大となっ た下位因子に柑当するものを,各被調査者のパーソナリティとした。さらに,男女混合で各 パーソナリテイタイプごとにSIRIの6下位因子の標準得点の平均値を算出することで,そ れぞれが最大値を示すパーソナリティであることを特定した。

T a b l e1

に結果を示す。

なお,先行研究(熊野他, 2000) と同様に,各パーソナリテイタイプの間でSIRIの下位 因子の得点に差がみられるかを検討するために,分散分析による比較も行った。独立変数は

Table 1 

各バーソナリテイタイプにおけるSIRIの6下位因子の標準得点の平均値と標準偏差 タイプ1 タイプ2 タイプ3 タイプ4 タイプ5 タイプ6 (n=66)  (n=53)  (n=57)  (n=65)  (n=61)  (n=54)  タイプ1S'  1.14(0.67)"  0 03(0 85)  ‑0 18(0 80)  ‑0 73(0 89)  ‑0 13(0 72)  ‑0 22(0 89)  タイプ2S ‑0 10(0 73)  1.17(0.88)  ‑019(0 84)  ‑0 65(0 71)  ‑0 39(0 82)  0 39(0 93)  タイプ3S ‑0 26(0 82)  0 01(079)  1.09(0.77)  ‑0 37(0 81)  ‑0 55(0 88)  0 24(0 98)  タイプ4S ‑0 48(0 95)  ‑0 49(0 74)  ‑0 12(1 00)  1.00(0.72)  o 13co 69l~o 15co 9Bl  タイプ5S ‑0 26(0 90)  ‑0 22(0 70)  ‑0 48(0 83)  ‑0 02(0 83)  1.1s(o.12i~o 23(1 03l  タイプ6S ‑0 34(0 84)  0 21(063)  ‑0 04(0 78)  ‑0 40(0 76)  ‑0 58(0 70)  1.38(0.90) 

' Standardized score~ 標準得点

  太字で示した数字は.各パーソナリテイタイプそれそれにおいて.SIR! 6下位因fの標準得点の平均値で最大値 を示したものてある )内の値は標準偏差を示す

(5)

パーソナリティ傾向の形成要因と共感性に関する研究

69 

上記の手続きにより群分けした

6

つのパーソナリテイタイプ, 従属変数は

S I R I

6

下位因 子の生得点とした。そ の 結 果

SIR I

6

下位因子の生得点においてそれぞれ,各パーソナ

リテイタイプとの間に危険確率

1%

の水準で有意な差がみられた。

父親・母親の養育態度の分類

PBI

の下位因子得点における記述統計量の結果を

T a b l e2 

に示す。

"F‑CA"

得点の平均は

2 3 . 7 1 (SD=  7 . 2 3 , 

中央値=

24 ) . "F‑OP"

得点の平均は

8 . 89 ( SD=  5 . 6 6 ,  

中央値

= 8 ) , " M‑ CA"

得点の平均は

2 8 . 4 6 ( SD=  5 . 5 6 ,  

中央値

= 2 9 ) ,

' M‑OP"

得点の平均は

9 . 9 0 (SD =  6 . 2 8 , 

中央値

=9 )

であった。そして,先行研究(及川,

2 0 0 5 )

に 従い,被調介者の

CA

得点と

OP

得点の中央値を基準として,各因子の高低の組み合わせで 父親 ・母 親 の 養 育 態 度 を そ れ ぞ れ

4

群に分けた。父親 ・母親の養 育 態度

4

群の分け方を

F i g u r e  1

に,父親・ 母親の養育態度

4

群の内訳を

Tab l e 3

に,それぞれ示す。

CA

得点が中 央値より高く

OP

得点が中央値よりも高いタイプを「情愛と過保護」,

CA

得点が中央値よ

り高く

OP

得点が中央値よりも低いタイプを「情愛と自律承認

J , CA

得点が中央値より低

<  OP

得 点 が中央値よりも高いタイプを「冷淡と干渉」,

CA

得点が中央値より低く

OP

得 点が中央値よりも低いタイプを 「無関心」と分類した。

男女差の検討

男女差の検討を行うために,

SIR I ,PBI , 

および共感性の各下位因子得点について

t

検定 を行った。

T a b l e 4

に,男女別に算出した各下位因子の平均値と標準偏差,および

t

検定の 結果を示す。結果,

SIR I

の下位因子において, タイプ

l " '

"タイプ

4 " '

"タイプ

5 "

につい

T a b l e  

PBI下位因子得点における記述統計豊 (n=356)

平均値 揉準偏差 最低点 最高点 得点可能範囲 中央値

F ‑ CA 

23 71  (7 23) 

36  ‑39  24 

FOP 

8 89  (5 66) 

3 ‑36 

M ‑ C A  

28 46  (5 56)  11  36  0 ‑39  29 

M ‑ O P  

9 90  (6 28) 

33  ‑36 

, 

@ 

冷淡と干渉 )  [情愛と過保護

⑤  @ 

無関心

[情愛と自律承認)

⑤ 

F i g u r e  

1.  父親・母親の養育態度4群 の 分 け 方

(6)

70  村山拓也• 瀬 戸T

Table 3 

父親母親の養育態度4群の内訳 男女別)

父親の養育態度 (n=325)a 母親の養育態度 (n=330)°

男性 女性 A~ 男性 女性 合計

情愛と過保護 22  36  58  16  29  45  情愛と自律承認 50  55  105  56  68  124 

冷淡と干渉 60  49  109  52  56  108  無関心 17  36  53  32  21  53 

中央値を不した31名のデータを325

中央値を示し26名のデータを除330

て男女の間で有意な差がみられ (それぞれ, t(3385)= 2.03, p<.05 : t(3団)= 2.45, p<.05 ; t(354) 

= 3.60, p<.01),  "タイプ4"'"タイプ5" は男性の方が高い値を示し, タイプ

l "

は女性 の方が高い値を示した。

PB I

の下位因子において,

" M ‑ CA"

についてのみ男女の間で有意 な差がみられ (t(354)=2.10. p<.05),  女性の方が高い値を示した。共感性の下位因子におい て. 共感的関心"'"個人的苦痛'. "ファンタジー について男女の間で有意な差がみられ

(それぞれ, t1351)= 3.74, p<.01 : t(354) = 5.45, p<.01 ; t354)= 4.37,  p <.Ol).  それぞれ女性の 方が高い値を示した。

なお.それぞれの尺度において,各下位囚子得点の間で男女差の影響がみられたため. 以 後の分析は男女別に検討した。

Table 4 

各下位因子の平均値と標準偏差およびt検定の結果 男女別)

男性 (n=168) 女性 (n=188)

均値 標 準 偏差 平均値 標 準 偏 差 t

SIRI 

タイプ1 14 71  (3 32)  15 46  (3 64)  2 03*  タイプ2 11 27  (3 39)  11.43  (3 77)  0 40  タイプ3 11 25  (2 37)  11 64  (2 55)  1 48  タイプ4 15 57  (2 80)  14.85  (2 79)  2 45*  タイプ5 12 86  (2 35)  11  93  (2 54)  3 60**  タイプ6 8 63  (258)  819  (2 22)  1 72 

PBI 

F‑CA  23 48  (6 55)  23 92  (7 82)  0 58  F‑OP  8 93  (5 61)  8.86  (5 74)  011  M‑CA  27 80  (5 59)  29 04  (5 49)  2 10•

M‑OP  9 68  (5 98)  10 10  (6 56)  0 63  共感性

共感的閣心 45 63  (7 96)  48 76  (7 81)  3 74**  個人的苦痛 1611  (4 48)  18 70  (4 47)  5 45**  ファンタジ一 12 81  (3 67)  14.52  (3 71)  4 37••

気持ちの想像 17 55  (3 35)  17 98  (3 95)  1 09  'p<05 "p<Ol 

(7)

パーソナリティ傾向の形成要囚と共感性に関する研究 71 

バーソナリテイタイプと親の養育態度との関係性の検討

両親の養育態度がパーソナリティ傾向に及ぼす影響を検討するために,父親・母親それぞ れの養育態度

4

群と性別を独立変数

S I R I

の各下位因子得点を従属変数とした,

2

要囚

( 4

2 )

の分散分析を別々に行った。

父親の養育態度がバーソナリティ傾向に及ほす影響について 父親の養育態度

4

群と性別 を独立変数

S I R I

の各下位因子得点を従属変数として分散分析を行った。

T a b l e5

に結果を 示す。結果より,交互作用はみられなかった。

父親の養育態度 4群の主効果をみると, タイプ l"'..タイプ 2"'..タイプ 3"'"タイプ

4 " '  

"タイプ

6 "

において,有意な差がみられた(それぞれ,

F 1 33 1 , J  =  4 . 9 4 ,   P  <  . 0 1   ;  F r 3 .  3 1 7 1  =  9 . 6 5 ,   p<.01; F r 3 3 1 7 J  = 2 . 8 0 ,   p<.05; F 1 3 ̲ 3 1 7 1  

=豆

0 5 , p<.01 ;  F 1 3  3 1 7 J  =  9 . 2 9 ,   p < . 0 1 ) 。 Tukey法

を用いて多重比較を行った結果,各パーソナリティ傾向に及ぽす,父親の養育態度

4

群の主 効果の大小関係は, タイプl"では,「冷淡と干渉

J

>「情愛と自律承認

J ,

"タイプ2"で は,「冷淡と干渉」=「無関心

J

>「情愛と自律承認」'"タイプ

3 "

では,「冷淡と干渉」>

「情愛と自律承認

J ,

"タイプ

4 "

では,「情愛と自律承認」>「冷淡と干渉

J ,

"タイプ

6 "

で は,「情愛と過保護」=「冷淡と干渉」>「情愛と自律承認

J ,

「冷淡と干渉

J

>「無関心

J

であった(それぞれ危険確率 5%水準で有意な差がみられた)。

性別の主効果をみると, タイプ4"'..タイプ5"において有意な差がみられ(それぞれ,

F r 1 3 r n = 4 . 0 5 ,   P < . 0 5 : F 1 1 3 1 7 1 = 1 4 . 9 6 ,   P<.Ol),"

タイプ

4"'"

タイプ

5 "

においてともに男 性の方が高い値をそれぞれ示した。

以上より, `タイプ l"'"タイプ 2"'"タイプ 3"'..タイプ 6" では父親の養育態度 4群の 主効果が, タイプ

4 "

は父親の養育態度

4

群および性別の主効果が, タイプ

5 "

でば性別 の主効果が,それぞれパーソナリティ傾向に影響を与えていることが示された。

母親の養育態度がバーソナリティ傾向に及ほす影響について 母親の養育態度

4

群と性別 を独立変数,

S I R I

の各下位因子得点を従属変数として分散分析を行った。

T a b l e6

に結果を 示す。結果より,交互作用はみられなかった。

母親の養育態度4群の主効果をみると, タイプ2"' "タイプ4"' "タイプ6"において有 意な差がみられた(それぞれ,

F , 33 2 2 1  =  1 1 . 5 5 ,   p<.01 ;  F 1 3 .  3 2 2 1  =  6 . 7 9 ,   p<.01 ;  F 1 3  3 2 2 )  =  6 . 1 5 ,   p < . 0 1 )  

Tukey

法による多重比較を行った結果,各パーソナリティ傾向に及ぼす,付親の

養育態度

4

群の主効果の大小関係は, タイプ

2 "

では,[冷淡と干渉

J

>「情愛と自律承認」

=「無関心」'"タイプ

4 "

では,「情愛と自律承認」>「冷淡と干渉」=「無関心」'"タイ

6 "

では,「冷淡と干渉」>「情愛と自律承認」=「無関心」であった。(それぞれ危険確

率 5%水準で有意な差がみられた)。

性別の主効果をみると, タイプ

l ' ' , .   .

タイプ4"'..タイプ5"において有意な差がみられ

(それぞれ,

F 1 13 2 2 1   = 6 . 3 2 ,   p<.05; F 1 1  3 2 2 1   =  1 1 . 0 1 ,   p<.01; F o . 3 2

=  1 2 . 2 1 ,   p < . O l ) .  

"タイプ

l ' '

では女性の方が高い値を, タイプ 4"'"タイプ 5" では男性の方が高い値をそれぞれ示 した。

タ イ プ

6 "

では母親の養育態度

4

群の主効果が, タイプ

4 "

で 以上より, タイプ

2 " " 

は母親の養育態度

4

群および性別の主効果が, タイプ

1 ' ' ,

"タイプ

5 "

では性別の主効果

(8)

7 2  

村山拓也• 瀬戸正弘

Table 

父親の養育態度4X性別を独立変数.SIRIの各下位因子得点を従属変数とした2要因 (42)の分散分析,および多重比較の結果「情愛と 情愛と 冷淡と

「無関心」 F

過保護」 自律承認」 干渉 父親の簑育態度の

男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 主 効 果における

群間差 性差 交互 多重比較の結果a

22  36  50  55  60  49  17  36  作用

タイプ1 14.64  15 42  13 34  182  15 63  1612  1518  15 56 94 ..  3 47  0 46  3>2  (2 90)  (78)  (29) (78)  (08) (23(3 19) (4 11) 

タイプ2 11 77  10 92  62  10 53  12 72  12 51  11 71  11 56  9 65**  03  0 91  3>2,  4>2  (2 99)  (3 54)  (310)  (3 49)  (318)  (3 43)  (3 95)  (4 21) 

タイプ3 11 27  186  10 60  120  11 98  11 76  11 06  169  80*  77 67  3> (2.03) (61)  (259) (66 (2 28)  (2 39)  (2 28) (64

タイプ4 14 86  15 56  16 40  167  140  13 76  15 59  14 58  05** 05*  21  2>3  (2 47)  (2 57)  (3 01) (2 52)  (2 55)  (3 08)  (310) (2 73)  (男>女

タイプ5 12.68  11 58  1318  12 09  12 58  11 90  13 88  12 22  1 74  1496**  0 45  ns  (2 21) (2 36(2 34)  (50)  (2 24) (85)  (52)  (214)  男>女

タイプ6 09  8 78  82  7 40  82 45 59  819  9 29**  76  2.13 >23>2.  3>4  (00)  (2 22)  (33)  (2 21)  (2 83) (2 17)  (2 03) (19) 

'p< 05. "p<.O

父親の整育態度4群はそれぞれ, 1「惰愛と過保護」, 2情愛と自律承認J,冷淡とT 4無関心」と対応している 群間の有意な差ばそれぞれ危険確率5%水準てみられた

Table 6 

母親の養育態度4X性別を独立変数,SIRIの各下位因子得点を従属変数とした2要因(42)の分散分析,および多重比較の結果「情愛と「惰愛と 「冷淡と

「無関心 F

過保護」 自律承認」 干渉」 母親の養育態度の

男性 女性 男性 女性 男性 女性 男性 女性 主効 果 に お け る 群問差 性差 交互 多重比較の結果a

16  29  56  68  52  56  32  21  作用

タイプ1 15.19  15 55  14 36  15 00  1513  15 52  14 09  17 05  1 13  32*  1 80  ns  (3.56)  (3 72)  (364)  (409)  (3 08)  (3 05)  (2 63)  (3 72)  (女>男

タイプ2 150  12 00  1014  10 21  13 06  12 68  10 63  11 95  11 55•• 213  1.17  3>23> (2.31) (3 91)  (332)  (59)  (3 39) (3 62(3 28) (3 68

タイプ3 125  12 21  11 04 156  146  11 63  10 84  11 43  1 87 02  23  ns  (1 95)  (2 91)  (2 52)  (2 61)  (218)  (2 42)  (2 26)  (2 31) 

タイプ4 16 31  14 34  15 96  16 04  14 81  14 16  15 59  13 62  679**  1101**  2 47  2>3. 2>4  (2 24) (2 61)  (3 10) (2 42)  (64) (3 07)  (87)  (2 29)  (男>女)

タイプ5 13.44  11.86  12 96  12.07  12 35  12 00  13 00  11 62  0 58  12 21・・  0 90  ns.  (2 00) (76(2 37)  (37)  (2 48) (2 49)  (216)  (2 54 男>

タイプ6 00  810  05  7 84  9 71  77  772  67  6 15**  0 91  2 09  3>2,  3>4  (2.66)  (2 24)  (230)  (214)  (2 87)  (2 24)  (1  89)  (2 48) 

'p< 05"p<.01 

の登育態度4群はそれぞれ, l情愛と過保護」'2,「情愛と自律承認」「冷淡と干渉 無関心」応している きな差は.それぞれ危険確率5%水準でみられた

がそれぞれパーソナリティ傾向に影響を与えていることが示された。

バーソナリテイタイプと共感性との関係性の検討

各パーソナリティ傾向と共感性との関係性を検討するためにそれぞれの下位因子の合計

(9)

パーソナリティ向の形成要因と共感性に関する研究 73 

得点についてピアソンの積率相関係数を算出した。Table

7

に男性のみの結果を,Table

に女性のみの結果をそれぞれ示す。

結 果 男女に共通して, タイプ

l "

と 個人的苦痛 の間(男女それぞれ, r=.34

p < . O L  

r= .33

p < . 0 1 ) ,  

"タイプ2" と 個人的苦痛 の間(男女それぞれ, r=.39, 

p <. 0 1 ;  

r= .26, 

p < . O l )

にそれぞれ弱い正の相関がみられた。また, 贔 タイプ

4 "

と 個人的苦痛"の間(男 女それぞれ, r=‑.36, 

p < . 0 1  ; 

r‑.29

p<.0 1 ) ,  

"タイプ6" と 共感的関心 の間(男 女それぞれ, r=‑.33, 

p < . 0 1  ; 

r= ‑.31, 

p <. 0 1 )

にそれぞれ弱い負の相関がみられた。

一方で, 男性においてのみ, タイプ

6 "

と 気持ちの想像 の間に弱い負の相関がみら れ (r=‑.24

p < . 0 5 ) ,  

女性においてのみ, タイプ3" と 個人的苦痛 の間 (r=.31.

p < . O l ) ,  

タイプ

4 "

と 共感的関心"'..ファンタジー"'"気持ちの想像 の間 (それぞれ,

r =  . 2 5

p < . 0 1 ; 

r= .23, 

p < . 0 1 ; 

r= .37

p < . O l ) , 

"タイプ

5 "

と 気持ちの想像 の間 (r=.31. 

p<.O l )  

にそれぞれ弱い正の相関がみられた。

Table 

SIRIおよび共感性の各下位因子における相関係数(男性のみn=168

タイブ1 タイプ2 タイ3 タイブ4 タイプ5 タイブ6 共感的関心

  ・ s ,

‑05  ~ 11 02  14  ‑33••

個人的苦痛 34**  39•• 1 35•• ‑10  16*  ファンタジ一 04  02  0 .0 07 04  気持ちの想像 03 03  ‑16*  1 18*  24* 

• p<,05, •• p01 

Table 8 

SIRIおよび共感性の各下位因子における相関係数 女性のみn=188

タイブ1 タイプ2 タイブ3 タイプ4 タイプ5 タイプ6 共感的関心 06  07  ‑11  25 ..  15* 31  個人的苦痛 33•• 26**  3•• 29•• ~ 10 13  ファンタジ一 02  05  0 23**  ‑01  05  気持ちの想像 05  03  ‑1 37**  31 •• ‑14'  'p<05,  "p<Ol 

考察

男女差の検討

バー ソナ リティ傾 向 について

S I R I

の下位因子について,男女差の検討をするために

t

検定を行った。その結果, タイプ

l "

は女性の方が高い値を示し, タイプ

4 " ' "

タイプ

5 "

については男性の方が高い値を示した。 タイプ

4 "

は自律的 ・健康的なパーソナリティ傾 向であり. タイプ

l "

と タイプ

5 "

はタイプ

C

の特徴に合 致するパーソナリティ傾向で ある。これより,健康的なパーソナリティ傾向は男子大学生の方が多いこと,タイプCの

(10)

74 

村山拓也•瀬戸正弘

特徴に合致するパーソナリティ傾向は男女で異なった関係性がみられることが明らかとなっ た。すなわち, タイプ

C

のなかでも社会的同調性の傾向は女子大学生との関連があること,

その一方で合理的・ 反情緒性の傾向は男子大学生と関連があることが示唆された。

大学生において, 男性の方が女性に比べて健康的であるという結果は,先行研究と一致し ている(西山・笹野,

2004:

中井・ 茅野 佐野.

2 0 0 7 )

。これよ り.女子大学生は精神的悩 みを抱えやすい傾向にあることが推察される。

女性の方が社会的同調性の傾向が高いという結果は,他者との関係性にもとづいた人格形 成プロセスの差による影響を受けていると考えられる。 伊藤

( 1 9 9 3 )

は, 自己確立を前提と

して他者との関係性を築いていく傾向が高いのは男性であり.他者とのつながりの上に自己 を作りあげていく傾向が高いのは女性である, と指摘している。これより,女性は男性に比 べて,他者とのつながりを重視する対人関係を選択するために,社会的同調性に男女差がみ

られたと考えられる。

男性の方が合理的・反情緒性の傾向が高いという結果は,理想―現実自已のズレの調整過 程によるものであると考えられる。松岡

( 2 0 0 6 )

によると,人が「こうでありたい」と望む 理想自已と,現実自己にズレが生じた際に,人はそのズレを調整しようと動機づけられると 指摘している。そして, 青年期の男性は現状を肯定的に解釈して理想を変えよ うとするが,

女性は粘り強く現実を理想に近づけようとする傾向を示すという違いがみられることが示唆 されている。これより,青年期の男子大学生は女子大学生に比べて, 自己の在り方について 合理的に解釈することで現実に適応しよ うとする傾向が高いために,合理的・ 反情緒性に男 女差がみられたと考えられる。

親の養育態度について

PBI

の下位因子について,男女差の検討をするために

t

検定を行 った。その結果 、

M‑CA"

は女性の方が嵩い値を示した。これより 男子大学生よりも女 子大学生の方が,母親から暖かく 育てられたと認識していることが明らかと なった。これ は 先 行 研 究 の 結 果 と一致するものであった(伊藤

2 0 1 0 )

。女子大学生は男子大学生に比 べて,友人だけではなく母親に対しても自己開示をする傾向にあること(榎本,

1 9 8 7 ) ,

家 族,友人からのサポートを嵩く知覚すること(福岡 ・橋本,

1 9 9 5 ) .

中学, 高校, 大学へと がるにれて女性は親への依存意識が強まること(加藤• 高木,

1 9 8 0 ) ,

などが指摘され ている。これらより,女子大学生は母親との情緒的な結びつきが強いために,母親から愛情 深く育てられた, という認識を男子大学生よりも強く抱きやすいと考えられる。

共感性について 共感性の下位因子について,男女差の検討をするために

t

検定を行った。

その結果, 共感的関心", `個人的 苦痛..'"ファンタジー について,女性の方が高い値を 示した。これより,男性よりも女性の方が共感的であることが明らかとなった。これは,先 行研究と一致しているものであった(大庭,

2 010 )

。認知神経科学の研究をしている

Simon Baron‑C o hen  ( 2 0 0 3 / 2 0 0 4 )

は,女性の脳は他者の気持ちを我が事と して感じるようにつく

られていると主張している。これより,男女の脳に違いがみられるために, 共感性に男女差 がみられたと考えられる。

(11)

ソナリティ傾向の形成要因と共感性に関する研究

7 5  

分散分析によるバーソナリティ傾向と親の養育態度との関係性の検討

SIR I

に影響を及ぽす要因として,父親 ・母親の養育態度

4

群と性別を独立変数,

SIR I

下 位因子得点を従属変数とした, 2要因 (42)の分散分析を行った。その結果,交互作用 はみられなかった。しかし.父親 ・母親の養育態度

4

群による主効果,および性別の主効果 が各パーソナリティ傾向に影響を及ぼしていることが明らかになった。

タイプ

1 "

と親の養育態度との関係性について タイプ

l "

において,有意であった主 効果をみると,父親の養育態度

4

群の主効果の大小関係は. 「冷淡と干渉」> 「情愛と自律 承認」であった。性別の主効果の大小関係は.母親の養育態度4群に分けた場合において女 性の方が高い値を示した。これらの結果より.タイプ

C

のなかでも社会的同調性が高い人 は,父親の愛情が欠如しており,統制が強いと認識していること,情緒的な母親の関わりが 女性の社会的同調性を促進させる傾向にあるこ とが明らかとなった。他者との関係を回避す る傾向が 強 い 人 は 自己を犠牲にして仲間と同じ行動をとる傾向があるこ と(田島 ・山崎 ・ 岩瀧

2 0 1 5 ) .

対人回避傾向の促進は,親による統制と養育への熱意が影響しており,抑制 には情緒的な安定性が影響していること (佐々木 ・小 林,

2 0 0 7 ) ,

などが指摘されている。 これらより,父親と情緒的な結びつきが乏しく,干渉的であったと感じている人は,対人回 避傾向が高く, 自己犠牲的な行動をとりやすいということが示唆される。一方,母親との間 に親密さを感じている場合は,基本的対人関係において,男性は指導的な態度をとること, 女性は敵対的な態度をとらないこと(橋本• 高木,

2 0 0 6 )

が指摘されている。これより,母 親によっで情緒的に育てられたと認識している女性は,パーソナリティ傾向として社会的同 調性が高いことが示唆された。

タイプ

2 "

と親の養育態度との関係性について タイプ2"において,有意であった主

効果をみると,父親の養育態度

4

群の主効果の大小関係は, 「冷淡と干渉」= 「無関心」>

「情愛と 自律 承 認

J

であり,母親の養育態度

4

群の主効果の大小関係は,「冷淡と干渉」>

「情愛と自律承 認」= 「無関心」であった。この結果より タ イ プ

A

傾向の高い人は,父 親 ・母親ともに愛情が欠如しており, とく に母親による統制が強いと認識していることが明 らかとなった。両親が有名大学を志向すると, 子どもに対して学習 進学に関して過干渉,

過保護を主とした養育態を想起させる(大 岡崎 山崎,

1 9 9 6 ) ,

両親が子どもに対し て非支持的 で 権威主義的な支配を行うと, 競争的で過剰な達成行動を子どもは取るため,

タイプ

A1

向の発達が促進される 大芦,

2 0 0 2 ) .

などが指摘されている。これらより, タ イプAの 形 成 に は 両 親 の養育態度や価値感が影響を及ぽしている可能性が高く,親から 無条件の愛情を注がれず,統制的な環境で育てられると,その子どもは親からの愛情や承認

を得ようとし競争的に勉強をするといった行動をとるのではないかと考えられる。

タイプ

3 "

と親の養育態度との関係性について タイプ

3 "

において,有意であった主

効果をみると,父親の養育態度4群の主効果の大小関係は, 「冷淡と干渉」 > 「情愛と自律 承認

J

であった。この結果より,精神病質的な人は,父親の愛情が欠如しており,統制が強 いと認識していることが明らかとなった。神経症患者は,親に対して養護に欠けており,統 制的であると評価する傾向があること

( P a r k e r , 1 9 8 4 ) . 

不安神経症の発症には,親の整設 的特徴が欠けており.かつ過保護的,過干渉的傾向が強いこと (小川.

1 994 ) .  

などが指摘

(12)

7 6  

村山拓也・瀬戸正弘

されている。これらの先行研究は結果と一致しているが,父親による養育態度のみが神経症 に影響を及ぽすという研究は見受けられない。したがって 両 親 の養育態度と精神病質的な パーソナリティとの関係性についてはさらに検討することが望まれる。

タイプ

4 "

と親の養育態度との関係性について タイプ

4 "

において,有意であった主

効果をみると,父親の養育態度

4

群の主効果の大小関係は, 「情愛と 自律承認」 > 「冷淡と 干渉」 であり,母親の養育態度

4

群の主効果の大小関係は,「情愛と自律 承認」> 「冷淡と 干渉」=「無関心」であった。性別の主効果の大小関係は,父親・母親の養育態度

4

群に分 けた場合において, 共に男性の方が高い値を示した。これらの結果より, 自律的・ 健康的な 人は,両親から愛情深く,かつ自律を促されて育ったと強く認識していること,そして女性 よりも男性の方が自律的・健康的なパーソナリティ傾向が形成されやすいことが明らかとな った。父親 母 親 と も に 受容的な養育態度のもとで育った幼児は,父親,母親ともに教示,

指導的な養育態度のもとで育った幼児や,母親が受容的でない養育態度の幼児よりも,自律 性を発達させていることが指摘されている(奥田

1 9 9 6 )

。これより,健康的・自律的なパー ソナリティ傾向の形成には両親の養育態度が影響を及ぼしている可能性が高いこと,とりわ け周親の受容的な態度が子どもの自律性を促進させる可能性があることが示唆された。

タイプ

5 "

と親の養育態度との関係性について タイプ

5 "

において,有意であった主

効果をみると,性別の主効果の大小関係は,父親 ・母親の粧育態度

4

群に分けた場合におい て,共に男性の方が高い値を示した。この結果より ,タイプ

C

のなかでも合理的・ 反情緒 性は養育態度による影響を受けないものの,男性の方が合理的・反情緒性のパーソナリティ 傾向が形成されやすいことが明らかとなった。佐藤

( 2 0 0 1 )

は,合理的・理論的なパーソナ

リティは親子関係に影響を及ぼさないことを示しており,先行研究と一致した結果が得られ たといえる。これより,タイプ Cのなかで合理的 ・反情緒性は親の養育態度以外の要因と の関係性が強いことが示唆された。

タイプ

6 ' '

と親の養育態度との関係性について タイプ

6 "

において,有意であった主 効果をみると,父親の養育態度

4

群の主効果の大小関係は,「情愛と過保護」=「冷淡と干 渉

J

> 「情愛と自律承認」,「冷淡と干渉」>「無関心」であり,母親の養育態度

4

群の主効 果の大小関係は,「冷淡と干渉」 > 「情愛と自律承認」=「無関心」であった。この結果よ り反社会的な人は両親の愛情が欠如しており,統制が強いと認識していることが明らかと なった。反社会的な問題行動の発達に強い関連を示すものとして,親の子どもに対するスー パービジョンの不足や親子関係の希薄さ,親の子どもに対する愛着感の欠如があることが指 摘されており

( Loeber&  L o e b e r .  1 9 8 6 ) ,  

母親の拒否的な態度が児童の不適切な行動のモデ ルになている可能性があるといわれている(戸ヶ崎 坂野,

1 9 9 7 )

。これらより,両親と の情緒的交流の乏しさや, とりわけ母親の養育スキルが欠如していることが,反社会的なパ ーソナリティ傾向を促進させると考えられる。

相関分析によるバーソナリティ傾向と共感性との関係性の検討

各パーソナリティ傾向と共感性との関係性を検討するために,それぞれの下位因子の合計 得点についてピアソンの積率相関係数を男女別で算出した。その結果,男女に共通した関連

(13)

パーソナリティ傾向の形成要因と共感性に関する研究 77 

がみられるもの, 男女で異なる関連がみられるものがあることが明らかとなった。

タイプ

1 "

と共感性との関係性について タイプ

l ' '

と 個人的苦痛 の間に弱い正の

相関がみられたという結果は,男女に共通していた。この結果より,タイプ

C

のうち社会的 同調性が高い人は, 助けを必要と している他者をみたときに混乱しやすい,ということが示 唆される。同調性格の高群は低群よりも共感性が高いこと (橋本 ・塩見,

2 0 0 0 ) .

ネガティ ブな感情を共有しやすい人は,他者の悲しみや不安に巻き込まれやす<'"個人的苦痛 に 陥り やすいこと (櫻井他,

2 0 1 1 )

が指摘されている。これらより, タイ プ

C

のなかでも社 会的同 調性が高い タイプ

l "

の人は共感性が高く .他者の悲しみや不安といったネガティ ブな感情に対しても共感しやすい傾向にあるため, 個人的苦痛"に陥りやすいと考えられる 。

タイプ

2 "

と共感性との関係性について タイプ

2 "

と 個人的苦痛 の間に弱い正の

相関がみられたという結果は. 男女に共通していた。 この結果より,タイプ

A

の傾向が高 い人は,助けを必要と している他者を見たと きに混乱しやすい,という ことが示唆される。

タイプ

A

の特徴は,敵意性 ホリ ック 完璧主義である(瀬戸• 長谷川• 坂野

里,1997)が タ イ プA傾向の高い人は共感性に富んでおり,職場適応はよいことが指摘 されている (菊地他.1991)。これらより,タイプ

A傾向

の高い人は 困っている他者を見 ても助ける余裕がないほど, 自分の仕事や課題を完璧にこなすことに熱中しやすく.他者が 自分の仕事や課題を脅かす恐れがある場合は.敵意性のために手助けをするかどうかで混乱 しやすいということが示唆される。

タイプ

3 "

と共感性との関係性について タイ プ

3 "

と 個人的苦痛 の間に弱い正の 相関がみられたという結果は. 女性においてのみ得られた。この結果より,精神病質的な女 性は.助けを必要としている他者を見たときに混乱しやすい,ということが示唆される。川 大渕 (2015) によると,女性は性に比べて 対人面で過敏に反応して落ち込んだりし やすく.また,他者の苦痛に同清したり自分自身が感情を揺さぶられたりする傾向が高い.

と指摘している。これより, タイプ

3 "

に相当する精神病質的な女性は.対人面で自分自 身の気持ちが揺さぶられてしまう傾向が高いため. 個人的苦痛 の状態に陥りやすいと考 えられる。

タイプ

4 "

と共感性との関係性について タイプ

4 "

と 個人的苦痛 の間に弱い負の

相関がみられたという結果は男女に共通していた。この結果より,自律的・ 健康的な人は. 助けを必要と している他者を見たときに混乱せずに行動できる. ということが示唆される。 竹• 宇津木 ・内山

( 2 0 0 2 )

は,健康群は不健康群に比べて, 自己コントロールと共 感性が有意に高い,と指摘している。これより,精神的健康度の高い人は,周囲の状況が変 化しても自分を見失わないで,共感的に他者と関わることができるため, 個人的苦痛 の 状態に陥りにくいと考えられる。

一 方 で 女性においてのみ, タイプ

4 "

と 共感的関心". "ファンタジー"'..気持ちの 想像 の間にそれぞれ弱い正の相関がみられた。この結果よ り. 自律的 ・健康的な女性は多 次元にわたって共感的である,ということが示唆される。豊田

( 2 0 0 8 )

は,女子大学生を対 象として共感性について研究をした結果,女性は相手の気持ちになれるという経験をするこ とによ り,同じよ うな情動が自分に生じた場合 に も その経験を利用して自分の情動の制御

参照

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