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有機光エナジーハーベスティングデバイスに関する 研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

有機光エナジーハーベスティングデバイスに関する 研究

新居, 遼太

https://doi.org/10.15017/4060107

出版情報:Kyushu University, 2019, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式2)

氏 名 :新居 遼太

論 文 名 :有機光エナジーハーベスティングデバイスに関する研究

区 分 :甲

論 文 内 容 の 要 旨

第 4次産業革命と位置付けられている IoT 社会においては、様々な電子デバイスの電源確保をより簡便 にすることが望まれており、その最も有力な候補として、エナジーハーベスティングデバイスによる給電が挙 げられる。エナジーハーベスティングデバイスとしては、より高エネルギー密度を獲得できる光エネルギーを 捕集可能な光電変換素子が適している。その中でも、光電変換素子として従来から知られているシリコン系 を代表とする無機系太陽電池と比較して、多くの利点を有する有機系太陽電池(OPV)は、エナジーハーベ スティングデバイスとして最適であると考えられる。

本研究では、次世代の光エナジーハーベスティングデバイスとして OPV に着目し、広い照度領域におけ る光電変換効率の向上を目指して、それに適したP型有機半導体材料の探索を行った。第2章から第4章 に渡って、ドナーコア (D) とアクセプター末端 (A) から構成されるA-D-A型構造を有する低分子P型半導 体材料を基本分子設計とし、それらの材料物性値と低照度領域における光電変換特性の系統的な相関、

低照度域と高照度域における光電変換特性の差異について詳細に検討した。

第2章においては、強ドナー性であるベンゾジチオフェンをドナーコアとしたA-D-A型の低分子P型材料 について、代表的な共役高分子材料であるPTB7および無機系を代表するアモルファスシリコン太陽電池と の低照度から高照度に及ぶ広照度域における光電変換特性を比較することにより、有機光エナジーハーベ スティングデバイスに求められる P 型半導体材料の基本設計指針を議論した。その結果、擬似太陽光照射 下ではPTB7を用いたOPV デバイスが最も高い変換効率を示したものの、低照度白色LED 照射下では、

PTB7を用いた OPVデバイスよりも本章で開発した低分子 P型半導体材料を用いたOPV デバイスの方が 高い光電変換特性を示すことを実証した。これらの結果から、擬似太陽光照射下で高い変換効率を示す光 電変換素子とLED光に代表される低照度環境下で高い変換効率を示す光電変換素子は、必ずしも同じで はなく、低照度環境下においては低分子P型材料を用いたOPVが有利であることが示された。

第3章においては、有機光エナジーハーベスティングデバイスの更なる高効率化を目指し、デバイスの特 性値である開放電圧および短絡光電流密度の向上を主な目的とし、ドナーコアにベンゾジチオフェンよりも 弱いドナー性を有するジチエノラクタムを採用した。第2章と同様に、A-D-A型の分子設計において、2つの 低分子P型半導体材料を設計・合成し、それらの材料物性値と低照度域から高照度領域における光電変 換特に関して議論した。これらの新規材料を用いたOPVデバイスは、第2章で検討した素子よりも高い光電 変換特性を示した。これらの結果から、本章において開発した低分子P型半導体材料は光電変換効率の面 で高いポテンシャルを有しており、光エナジーハーベスティングデバイスを構成する材料として有用であるこ とが明らかとなった。

第4章においては、第 2章で検討したベンゾジチオフェンコアを有する A-D-A型の分子設計において、

アクセプター末端であるインダンジオンに対し、ヨード置換基を導入した低分子 P 型半導体材料を用いて、

低照度室内光環境下における低照度から高照度領域での光電変換特性を調査した。結論として、第2章で 検討した非ハロゲン化材料と比較して、ヨード置換体が高い光電変換効率を示すことが明らかとなり、低照 度環境における光電変換特性向上に向けた有効な設計指針であることが示された。

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加えて、第2章から第4章で検討したそれぞれの最も光電変換効率の高いOPVデバイスに関して、プラス チック基板を用いた大面積、かつフレキシブルな有機エナジーハーベスティングモジュールの作製にも成功 し、ガラス基板を用いたデバイスと同等な光電変換特性が得られることも示した。

第5章においては、本研究で得られた知見を纏め、それらの意義を述べるとともに、今後の展望について 考察を行った。

以上、本研究においては、来る IoT 社会におけるキーデバイスである光エナジーハーベスティングデバイ スの高性能化に向け、OPV の低照度領域における高効率化を主題とした研究を行った。その結果、低分子 P 型半導体材料を用いた OPV が低照度領域における高性能化に対して非常に有効であり、さらに実用化 の観点からも、大面積・フレキシブルデバイスの作製が可能で、耐久性も高いことを実証した。

参照

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