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尹 智鉉・岩崎 浩与司・鄭 良媛

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Academic year: 2021

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尹智鉉・岩崎浩与司・鄭良媛/反転授業型オンライン日本語コースにおける初級日本語学習者向けの遠隔チュートリアル

61 1.はじめに

2015年度春学期より,早稲田大学日本語教育センターでは初級日本語学習者を対象と したオンライン日本語コースを開講した。本稿では,オンライン日本語コースの中で最初 に開講された科目である「総合日本語(オンデマンド)1(1)」の実践について,テレビ会 議システム(Live On)を介して行われた遠隔チュートリアルを中心に報告する。

2.実践の方法

「総合日本語(オンデマンド)1(1)」は反転授業の形式をとっている(図1を参照)。そ のため,遠隔チュートリアルにおいては,各回の学習項目である語彙と文法を一から説明 する必要はない。しかし,学習者がオンデマンド講義を完全に理解・習得しているかどう かはわからない。そこで,毎回のチュートリアルの始めには,当該項目の理解・習得の確 認を行ったうえで,会話運用練習をするように心がけた。

また,遠隔チュートリアルでは,教師と複数名の学習者がテレビ会議システムを使って 会話をするため,発話ターンを取ることが難しい。そのため,学習者同士の会話練習をす るときには,「Aさん,Bさんに質問してください」のように,教師主導で明示的に発話 順を示すようにした。しかし,会話の内容によっては,学習者AとBの会話にCが入っ てきたり,そこに教師も参加したりして,よりインタラクティブな展開になることもあっ た。

一方,オンライン日本語コースでは,対面授業と異なり,授業の合間や休み時間中に学 習者同士が交流することなどができない。そのため,チュートリアル・セッション中に,

できるだけ互いのことを知ることができるよう,学習者同士のやり取りを重視した。例え ば,各回のチュートリアルの冒頭では,ウォーミングアップとして,「週末は何をしまし たか」など,お互いの生活がわかるようなやり取りを入れた。ほとんどの時間を研究のた めに使っている学習者もいれば,毎週末のように旅行をしている学習者もいて,そのよう

図 1 本コースにおける日本語学習のプロセス

早稲田日本語教育実践研究 第 4 号  【実践紹介】

反転授業型オンライン日本語コースにおける 初級日本語学習者向けの遠隔チュートリアル

尹 智鉉・岩崎 浩与司・鄭 良媛

科目名:総合日本語(オンデマンド)1(1)

レベル:初級 1・2 /中級 3・4・5 /上級 6・7・8 履修者数:5 名

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早稲田日本語教育実践研究 第 4 号/ 2016 / 61―62

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な各自の状況や経験を共有できるように工夫した。さらに学習者の「個人化」(川口 2004)を促すためには教師自身の個人化も重要であると考えた。そこで,教師自身の生活 に関連する写真をテレビ会議システムの画面上でシェアするなど,教師自らの個人化にも 心がけた。その結果,学習者からの自然な質問を引き出すことにつながり,学習者が自ず と自分のことを話すように動機づけを促すこともできた。

3.実践の成果と課題

オンライン日本語コースの最大の特徴は,インターネットにアクセスできる環境であれ ば,どこでも受講できるという点である。実際今学期も,普段は自分の研究活動で忙しく,

調査や学会参加で国内外の移動の多い大学院生に日本語学習の機会を提供することができ た。この点は遠隔チュートリアルの参加者からも高い評価を得ており,複数の学生がオン ライン日本語コースで学習を続けたいと述べていた。

一方,本コースを正規の科目として定着させ,そのメリットを最大限に生かすためには,

まだ様々な課題が残されているのも事実である。

第一に,自律学習を実現し,多様な相互作用を確保するためには更なる工夫が求められ る。とりわけ反転授業型実践を成功させるには,教授活動だけでなく,学習者の自律学習 を促す支援と働きが必要となる。そのためにも,BBS機能を使うなど双方向性のコミュ ニケーションを取り入れることが重要であろう。

第二に,書く練習や文字を打つ練習の導入である。本コースのオンデマンド講義や遠隔 チュートリアルでは通常の初級コースと異なり,書くことや文字を打つことの導入や練習 がほとんど含まれていない。今後,検討すべき課題の一つであろう。

第三に,安定的なシステムの利用環境を確保することである。教員側だけでなく学習者 側の接続トラブルやシステムの不具合は遠隔チュートリアル全体に支障をきたす場合があ る。実際,学習者側の利用環境をコントロールすることは現実的に困難な部分もあるが,

ヘッドセットを着用することで,エコーやノイズの問題を軽減できることなど,学習者が トラブルを回避・解決できる方法について情報を収集し,マニュアル化することも必要で あろう。

以上のような問題点を改善し,同期型と非同期型を併用したeラーニング日本語コース を提供することで,多様な日本語学習者に対して学習機会の拡大を図ることができる。

参考文献

川口義一(2004)「表現教育と文法指導の融合―『働きかける表現』と『語る表現』から 見た初級文法」Canadian Association for Japanese Language Education. Vol.6, 57-70.

(ユン ジヒョン,早稲田大学日本語教育研究センター)

(いわさき ひろよし,早稲田大学日本語教育研究センター)

(チョン ヤンウォン,早稲田大学日本語教育研究センター)

参照

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