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博士論文審査報告書

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Academic year: 2021

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(1)

早稲田大学大学院アジア太平洋研究科

博士論文審査報告書

論 文 題 目

原題名

Original Title

Reasons for the Success and Failure of Japan’s Mediation for Intra-State Conflicts in Aid Recipient Countries as Their Top ODA Donor:

Case Studies of Cambodia (1997-1998) and Sri Lanka (2002-2009)

In Japanese

最大の政府開発援助(ODA)供与国としての日本による被援 助国における国内紛争の仲介の成功と失敗の理由:カンボ ジア(1997-1998 年)とスリランカ(2002-2009 年)の事例 研究

申 請 者

Last Name Middle Name First Name

Name

Odaira 大平

Takeshi 剛史

学籍番号

Student ID

4009S001-8

(2)

1. 本論文の趣旨

本論文は、日本がトップドナーとして仲介に当たった二つの国内武力紛争の事例を比較 することを通じて、その成功と失敗の理由を、とりわけ ODAの活用方法の相違から説明しよ うとするものである。先行研究においては、国内紛争において仲介者の有する影響力の源 泉(source of leverage)に関する体系的な分析が不足しており、また、そのような source of

leverage の一つとして ODA が如何に活用され、そのことが仲介の成否にどのような影響を

及ぼしたのかについて本格的な分析がなされないできた。

本論文においては、先行研究における欠落を補い、紛争解決に関する研究の進展に貢 献するために、カンボジア(1997-98 年)における成功例とスリランカ(2002-09 年)におけ る失敗例を取り上げる。すなわち、未公開資料を含む様々な情報を総合して 2 事例の経緯 を詳細に跡づけるとともに、両者の比較を通じて、日本にとって最も重要な source of

leverageである ODAの活用方法の相違が、仲介の成功と失敗を説明する主要な要因であ

ることを論証する。

2.本論文の構成と概要

本論文は以下の 5 章から構成される。参考文献リストや付属資料(Appendices)などを含 め全部で447 頁である。

Abstract

Table of Contents

List of Tables and Appendices The List of Abbreviations Chapter 1: Introduction

Section 1: Background Section 2: Literature Review

Section 3: Contributions to the Existing Literature Section 4: The Research Question

Section 5: Methodology Section 6: Thesis Structure

Chapter 2: Japan’s Successful Mediation: Cambodia (1997-1998) Section 1: A Summary of the Cambodian Conflict

Section 2: Major Reasons for Japan’s Success in Mediation

Section 3: Relations between Leverage and Key Factors that Contributed to Each Key Step of the Successful Conflict Resolution Process

Section 4: Findings in This Chapter

(3)

Chapter 3. Japan’s Unsuccessful Mediation: Sri Lanka (2002-2009) Section 1: A Summary of the Sri Lankan Conflict

Section 2: Major Reasons for Japan’s Failure in Mediation

Section 3: Relations between Leverage and Key Factors that Contributed to Each Key Step of the Unsuccessful Conflict Resolution Process

Section 4: Findings in This Chapter

Chapter 4: A Comparative Analysis of Japan’s Mediation for the Two Conflicts

Section 1: Major Reasons that Japan Succeeded Only in Mediation in Cambodia: Key Differences in “(A) Contexts” & “(B) Styles” of Mediation

Section 2: Major Reasons that Japan Succeeded in Mediation in Cambodia

Section 3: Major Reasons that Japan Failed in Mediation in Sri Lanka
(As a Subsidiary Mediator and Later as the Leading Mediator)

Section 4: Factors that Differentiated the Effect of the Increase of Power Disparity between the Parties in the Conflicts

Section 5: The Evaluation of the Utility of ODA in Mediation Chapter 5: Conclusion

Section 1: Major Findings

Section 2: Contributions to the Existing Literature Section 3: Major Limitations of the Thesis

Section 4: Implications of the Thesis to Future Researches Section 5: Acknowledgements

References

Section 1: In Chapter 1 and Abstract Section 2: In Chapter 2

Section 3: In Chapter 3 Section 4: In Chapter 4 Section 5: In Chapter 5 Appendices

Appendix 1: A Map of Cambodia Appendix 2: A Map of Sri Lanka

Appendix 3: The List of Titles of Key Figures in the Cambodian Case (after 1991) Appendix 4: The List of Titles of Key Figures in the Sri Lankan Case (after 2002)

(4)

序論に当たる第 1 章においては、研究の背景、先行研究の整理、課題の設定、分析方 法、そして論文の章構成について述べる。世界各地では過去においても、また今日におい ても、国内紛争が多発しており、第 3 者による仲介が紛争の解決に如何に貢献し得るかが 国際関係論における重要なテーマとなっている。

国内紛争に対する仲介の役割が国際法上規定された起源は、クリミア戦争に関する 1856年パリ条約、国際紛争に関する平和的解決のための1899年議定書に遡るが、今日で は国連憲章に記載された規定が最も基本的なものである。ただし、国内紛争に対する国際 的仲介に関する研究が、欧米の研究者の間で本格化するのは1960-70年代以降のことで あり、さらにアジア諸国の研究者の間で盛んになるのは 1990 年代になってからである。21 世紀の今日に至るまでに、紛争の態様や紛争当事者、紛争を取り巻く国際環境、仲介者や 仲介のプロセスなどに関して様々な指摘がなされてきたが、仲介者が有する影響力の源泉

(source of leverage)に関して体系的に分析した研究が欠落している。ましてや、source of

leverage の一つであるODAが如何に活用され、そのことが仲介の成否にどのような影響を

及ぼしたのかについて本格的な研究は存在しない。本論文で取り上げるカンボジア(1997

-98 年)とスリランカ(2002-09 年)について言えば、その紛争の経緯を扱う先行研究が若 干存在するものの、仲介のプロセスに関する具体的な分析がなされていない。

以上のような研究状況に鑑み、本論文においては、カンボジアとスリランカの事例を取り 上げ比較する。両事例ともトップドナーである日本が仲介を試みた点で共通するが、その結 果については前者が成功、後者が失敗であり、比較対照するのに好適である。より具体的 に、二次的文献に加えて、マスコミの報道記事、新たに開示請求した資料を含む公的文書、

そして紛争や仲介に関わった当事者による記述、論文筆者自身による関係者へのインタビ ューなどを通じて得た資料、情報を基に、両事例の事実関係を詳細に跡づけ、日本による 仲介がそれぞれ成功と失敗に至った要因、背景を検討することを通じて、source of leverage としてのODAの活用方法の相違が仲介の結果に大きな影響を与えたことを検証する。

以上の問題提起に基づいて、第 2章ではカンボジア(1997-98年)の事例について、第 3 章ではスリランカ(2002-09 年)の事例について、まず紛争仲介のプロセスについて詳細 に跡づけ、次に仲介がそれぞれ成功、失敗に至った要因、背景を検討する。

4章では、紛争の性格や態様、紛争当事者、仲介者、紛争を取り巻く国際環境につい て二つの事例間の相違を検討した後、仲介のスタイルの相違が結果に及ぼしたインパクト について論じる。

結論に当たる第5章では、カンボジアについては日本がODAを適切なタイミングで中断 し得たこと、スリランカについてはそれができなかったことが、仲介の成否に大きな影響を与 えたことを指摘し、最後に、本論文の意義と限界について概述する。

3.口述試験での質疑応答

本論文審査員会は、申請者から提出された学位請求論文を査読し、2015年4月13日に 2時間にわたる口述試験を実施した。主たる論点は以下の通りである。

(1) 全体として良く書けているが、第1章において論文の目的について、もっと明確に記 述すべきである。

(5)

(2) 仲介者の有する影響力の源泉(source of leverage)と、仲介の成功/失敗を説明す る要因(reasons)の区別をより明確にするために、それぞれの定義を改善すべきである。

(3) なぜカンボジア(1997-98年)とスリランカ(2002-2009年)の事例比較が適切なの か、より説得的に論じるべきである。

(4) カンボジアについては日本がsource of leverage としてODAをうまく活用できたの に、スリランカではできなかった理由を、もっと明確にすべきである。

(5) スリランカでの仲介失敗について、もしも日本がODAをsource of leverageとして首 尾よく活用することができたならば、成功のチャンスが増したといえるのか? 紛争の性格が もともと有していた解決困難性(difficulty of conflict)や、第3者としての中国の役割の相違、

さらにはインド洋津波という突発的事件の影響など、他の説明要因のほうが重要なのではな いのか?

(6) 第2章と第3章における記述に関して、それぞれの第1節(事実関係についてのク ロノロジカルな要約)と、それ以降の節で述べるべき事項を再整理すべきである。事実関係 の記述において、説明不足な箇所、逆に詳細に過ぎる箇所を書き改めるべきである。

(7) その他、第1章から第5章を通じて、表現が曖昧な箇所について、具体的な指摘が なされた。

口述試験では、指摘や質問に関しておおむね適切な回答が示され、修正すべき点につ いては、最終提出までに修正することとなった。審査委員会は、修正意見に対する対応表と ともに、最終的に提出された訂正論文を精査した結果、修正が適切になされていることを確 認した。

4.評価と審査結果

以上のように本論文では、国内武力紛争に対する国際的な第三者仲介に関して、紛争 の性格や態様、紛争当事者の概容、紛争を取り巻く国際環境、そして仲介者の有する影響 力の源泉(sources of leverage)などについて体系的な比較分析を試み、とりわけトップド ナーとしての日本が有する主要なsource of leverageであるODAの活用方法が仲介の成否 に大きな意味を持つことを検証した。

紛争解決や国際的仲介に関する既存の研究に不足、欠落していた視点や知見を提示し ている点で、本論文は十分なオリジナリティーを有し、関連する研究の進展に寄与するもの であると判断する。

確かに、本論文筆者自身が結論部分で指摘しているように、紛争解決研究、国際的仲介 研究として、二つの事例の比較に留まったことは、本論文の限界の一つであるが、ただし、

二つの事例に関して、本論文はその歴史的背景、紛争の発端から結末に至るまでの全容 を、新たに開示請求した資料や、筆者自身による関係者へのインタビューを含めて膨大な 資料、情報を駆使しつつ、動態的かつ子細に跡づけている。紛争当事者や仲介者の動き を、それ以外のアクターの動向や地域情勢の変化にも目配りしつつ立体的に描出した努力 は特筆に値する。このような丹念な事例研究の積み重ねが、紛争解決、国際的仲介に関す

(6)

る。

また、本論文で取り上げた 2 事例について、仲介の成否を左右した諸要因の中で、日本 による ODA の活用方法の相違が、どれだけ決定的な要因となっているかの論証に関して は、若干の不満が残るが、その重要性を指摘した意義は十分に説得的である。ひるがえっ て、日本の ODA 政策、地域政策という文脈で見るならば、1980 年代以来、地域紛争や国 内紛争をめぐってODAの「戦略的配慮」(紛争当事国に対する停止と紛争周辺国に対する 増額など)に対する関心が高まったが、実際の紛争事例について日本の ODA 政策を具体 的に論述した研究は蓄積に乏しく、この面でも本論文は存在価値を有する。

以上のように、本論文には若干の限界が存在するものの、口述試験の内容を踏まえ、論 文に関して慎重かつ総合的に審査を行った結果、博士学位請求論文としての水準を十分 満たしているものと判断し、これを受理することに全委員が合意した。

(7)

申 請 者 名 :

Odaira,Takeshi (大平剛史)

博 士 論 文 審 査 委 員 会

主 査 Ch ie f Exam in e r

氏 名 N am e: 白 石 昌 也 ( S i g n a t u r e )

所 属 A ffi lia tio n: 早 稲 田 大 学 大 学 院 アジア太 平 洋 研 究 科

職 位 Tit le: 教 授

学 位 De gr e e: 博 士 (学 術 ) 取 得 大 学 C o n fe r r e d by: 東 京 大 学

専 門 分 野 S pe c ial ty: アジア太 平 洋 地 域 の国 際 関 係 論 副 査 H e ad De pu ty Ex am in e r:

氏 名 N am e: 植 木 千 可 子 ( S i g n a t u r e )

所 属 A ffi lia tio n: 早 稲 田 大 学 大 学 院 アジア太 平 洋 研 究 科

職 位 Tit le: 教 授

学 位 De gr e e:Ph.D. in Political Science取得大学Conferred byMassachusetts Institute of Technology

専門分野 Specialty: 政治学、国際関係論、安全保障

副 査 De pu ty Exam in e r:

氏 名 N am e: 村 嶋 英 治 ( S i g n a t u r e )

所 属 A ffi lia tio n: 早 稲 田 大 学 大 学 院 アジア太 平 洋 研 究 科

職 位 Tit le: 教 授

学 位 De gr e e: 取 得 大 学 Co n fe r r e d by

専 門 分 野 S pe c ial ty: 東 南 アジア地 域 研 究 副 査 De pu ty Exam in e r:

氏 名 N am e: 伊 藤 融 ( S i g n a t u r e )

所 属 A ffi lia tio n: 防 衛 大 学 校

職 位 Tit le: 准 教 授

学 位 De gr e e: 修 士 (法 学 ) 取 得 大 学 Co n fe r r e d by: 中 央 大 学

専 門 分 野 S pe c ial ty: 南 アジア国 際 関 係

2015 年 6 月 10 日

参照

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