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早稲田日本語教育実践研究 第3号 【研究報告】

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Academic year: 2021

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(1)

研究 プロジェクト名

「移動する子ども」として成長した大学生の日本語教育研究

研究代表者名 川上郁雄(日本語教育研究科)

研究メンバー

川上郁雄(日本語教育研究科),池上摩希子(日本語教育研究科),太田裕 子(グローバル・エデュケーション・センター),中野千野(日本語教育 研究科),青木優子(日本語教育研究科)

設置主旨

本プロジェクトは,近年本学に増加している「幼少期より複数言語環境 で成長した学生」(以下,「移動する子ども」)に対してどのような日本語 教育を提供するべきかについて研究を行うことを目的として設置する。こ れらの学生のうち,幼少期より日本語に触れ,あるいは日本語を学習して きた学生が本学で提供される「外国人学生を対象とする日本語教育」クラ スで,どのような意識と学びを経験しているのかを明らかにすることに よって,これらの学生に対する新たな日本語教育を構築することをめざ す。また,これらの学生に対する日本語教育の実践研究を行い,その結果 についても分析する。

2014年度 活動計画

早稲田大学在籍者へのインタビュー調査を行い,データを分析するとと もに,日本語教育のあり方について検討する。また,この分野の専門家を 招へいし,研究会を行う。研究成果をまとめるとともにウェブジャーナル の編集,刊行を行い,研究成果を公表する。

2014年度 活動実績

「移動する子ども」の経験のある学部学生へのインタビュー調査を行っ た。それをもとに,どのような日本語教育クラスを設定するかについて検 討した。また,この分野の専門家としてカナダ,オーストラリアの大学に 所属する専門家,また日本の大学に所属する専門家,および「移動する子 ども」の経験を持つ人を招いて公開の講演会を行った。また,これらの講 演会と早稲田日本語教育研究センターでの教育実践をもとにこれまでの研 究成果を「研究ノート」にまとめ,『早稲田日本語教育実践研究』に投稿し,

掲載された。さらに研究成果を公開するためのウェブジャーナル『ジャー ナル「移動する子どもたち」』の編集を行った。

予算と決算

費目 予算 決算

委託費 60

注)2014年 度 決 算 は 2015年3月 末 に 確 定 する。

手数料・報酬 130

図書資料費 30

消耗品費 10

計 230千円 230千円

(2)

研究 プロジェクト名

日本語音声における自律学習支援システムの開発

研究代表者名 木下直子(日本語教育研究センター)

研究メンバー 田川恭識(日本語教育研究センター)

設置主旨

本プロジェクトの目的は,日本語音声における自律学習支援システムを 開発することである。発音学習を希望する学習者の多くは,到達目標に漠 然とした日本語母語話者像を抱き,具体的,かつ段階的な到達目標を描け ないことが多い。それには,①自分の発音の分析・評価が難しいこと,② 学習項目に関する知識がないこと,③自律学習用の教材に関する知識がな いこと,④様々なリソースをどのように生かして学習したらよいかわから ないこと,⑤自分に合った学習方法を知らないことなどの理由が考えられ る。そこで,上記5点を解決すべく,自律学習支援システムの開発を行う。

2014年度 活動計画

2014年度の活動計画は以下の通りである。

2014年4月今年度の開発枠の最終決定 2014年5月−7月テストのコンテンツ開発 2014年8月−10月日本語音声の学習方法の整理 2014年11月−1月学習支援システムのコンテンツ開発 2015年2月−3月試作版の発表

日本語教育研究センター規則第3条第二,三号の事業に該当

2014年度 活動実績

2014年度の活動は,活動計画通りに進められた。2014年度は,上述の テスト,すなわち,イラストを見せ,会話の流れに合った音声を選択する 診断テストの作成を最終目標とした。診断テストのコンテンツ作成にあ たっては,5名の日本語学習者にパイロット調査を行い,その結果をもと に音声学習項目をリズム・アクセント・イントネーション・単音・有/無 声音とするなど,構成面,内容面における調整を行った。そして,調整し た内容に合わせてイラストを依頼し,音声を収録・編集した。これらのコ ンテンツの質を検討した上で,Webサイトの制作を依頼している。この Webサイト「つたえるはつおん」は3月中に一般公開される予定である。

予算と決算

費目 予算 決算

旅費交通費(国内) 80

注)2014年 度 決 算 は 2015年3月 末 に 確 定 する。

手数料・報酬 200

図書資料費 20

消耗品費 300

計 600千円 600千円

(3)

研究 プロジェクト名

日本語学習ポートフォリオの再設計と運用方法の開発研究

研究代表者名 鈴木寿子(日本語教育研究センター)

研究メンバー 山内薫(同上),黒田史彦(同上,2014年9月まで研究メンバー)

設置主旨

日本語教育研究センター(以下,本センター)では,学習環境整備の一 環として,2009年から断続的に日本語学習ポートフォリオの開発に取り 組んできた。本研究プロジェクトでは,ポートフォリオに求められる役割 を改めて見直し,そのコンテンツと運用方法を改善していく。まず,日本 語能力の自己分析や学習目標の設定,日本語科目の履修選択を行う際の手 掛かりとなり得る能力記述文を策定する。同時に,日本語学習ポートフォ リオの利用を一層促進するための人的支援の在り方についても,プロジェ クトメンバーによる学習相談の実践を通じて,分析,検討を加えていく。

2014年度 活動計画

・J-CATと日本語能力試験(JLPT)N1-N5の受験者を調査協力者として 200名程度募り,両テストのスコア間における関連付けを行う。

・日本語レベル1〜8(プレイスメントのJ-CATスコア基準)と日本語能 力試験自己評価リスト(JLPT can-do)との関連付けを行う。

・プロジェクトメンバーがポートフォリオを用いた学習相談を継続的に実 践し,ポートフォリオに必要とされるコンテンツ,および,ポートフォ リオの意味ある運用方法を見出していく。

2014年度 活動実績

2014年度春学期の本センター設置科目「ポートフォリオを使って日本 語学習を考える」にて,JLPT can-doを用いて日本語能力の現状分析を行 ない,一学期間の学習目標の設定と学習計画の策定に活かした。

7月実施のJLPTを受験する学習者115名にJ-CATも受験してもらい,

両試験のスコア間における分野別・レベル別の相関関係を算出した。12 月実施のJLPTにおいては56名の協力が得られ,現在,試験結果を集計 中である。今後,合計171名の両試験スコア間に見られる相関を出した上 で,J-CATのスコアとJLPT can-doの対応表を作成する。さらに,対応表 を本センターの各レベルに対応させ,ポートフォリオにも盛り込みたい。

予算と決算

費目 予算 決算

手数料・報酬 550

注)2014年 度 決 算 は 2015年3月 末 に 確 定 する。

図書資料費 30

消耗品費 20

計 600千円 600千円

(4)

研究 プロジェクト名

オンデマンド講義・ウェブ会議システムを用いた日本語科目の開発

研究代表者名 宮﨑七湖(日本語教育研究センター)

研究メンバー 木下直子(日本語教育研究センター),萩原章子(同)

設置主旨

本庄や北九州,西早稲田,所沢キャンパスなど,多くの留学生が在籍し ているのにも拘わらず,物理的距離,教員確保等の問題により,これらの キャンパスの留学生に対して,日本語教育の機会が充分に確保されている とは言い難い。この問題を解決しうるものとして,オンデマンド講義と,

ウェブ会議システムを用いた遠隔日本語チュートリアルを組み合わせた,

総合日本語科目の開発を行っている。

2014年度 活動計画

2014年度の具体的な計画は以下の通りである。

(1)オンデマンド講義の作成・翻訳・収録。

(2)教材・試験などの整備。

(3)パイロットコースの実施。

(4)パイロットコース参加者への聞き取り調査。

(5)パイロットコースの振り返りとオンデマンド講義,教材・試験の改良。

(6)2015年度開講に向けての遠隔地キャンパスへの周知活動。

2014年度 活動実績

まず,作成したオンデマンド講義のサンプルを,調査協力者に視聴して もらい,その後,遠隔チュートリアルを行う実験をした。次に,この実験 結果を踏まえ,パイロットコースで使用するオンデマンド講義,ならびに,

文法クイズの作成を行った。北九州,西早稲田キャンパスより受講生を募 り,作成したオンデマンド講義と遠隔チュートリアルを用いたパイロット コースを実施した。コース終了時に受講生5名にアンケートとインタ ビュー調査を行った。

遠隔チュートリアル実験の結果は「早稲田大学日本語教育学会2014年 秋季大会」で報告した。また,パイロットコースの結果は「2015年度日 本語教育学会春季大会」,「2015 CASTEL/J」で報告する予定である。

予算と決算

費目 予算 決算

旅費交通費(国内) 100

注)2014年 度 決 算 は 2015年3月 末 に 確 定 する。

委託費 600

手数料・報酬 600

図書資料費 60

消耗品費 40

計 1,400千円 1,400千円

(5)

研究会名 「移動する子ども」研究会 研究代表者名 川上郁雄(日本語教育研究科)

研究メンバー 池上摩希子(日本語教育研究科),太田裕子(グローバル・エデュケーション・

センター),中野千野(日本語教育研究科),青木優子(日本語教育研究科)

設置主旨

この研究会は,国内外で幼少期より複数言語環境で成長する子ども(以下,

「移動する子ども」)を対象にした日本語教育を主テーマとしつつ,同じ境遇 で成長した大学生,大人の日本語教育のあり方を問う研究会である。特に,

早稲田大学では国際教養学部を始め,日本語センターの留学生の中にも,幼 少期より複数言語に触れながら成長した学生が多数,日本語を学んでいる。

また,地域を含む,日本国内外の学校教育現場においても,同様の背景をも つ年少者日本語学習者が多数存在する。したがって,これらの日本語学習者 に対する日本語教育の方法論とともにあり方を考えることは,喫緊の課題で あるとともに,これまでの日本語教育のあり方を問うことにもつながると考 える。

2014年度 活動計画

本研究会は,早稲田こども日本語研究会と共同で研究活動を展開する。本 学に在籍する,幼少期より複数言語環境で成長した日本語学習者が日本語学 習をどのように考えているか,複数言語能力をどのように意識しているのか 等を探求することを通じて,年少者日本語教育および大学における日本語教 育のあり方を検討する。同時に,幼少期より複数言語環境で成長した日本語 学習者に関する調査研究を行っている専門家を招聘し,研究会を行う。また ウェブジャーナルの編集,刊行を行い,研究成果を公表する。

2014年度 活動実績

今年度は,幼少期より複数言語環境で成長した学部学生へ,複言語使用の 経験への意味づけについてインタビュー調査を行った。また,この研究領域 の海外の専門家や複数言語環境で成長した学外者を招聘し,講演会を行った。

それらをもとに研究成果を考察し,複数言語環境で成長した学生への授業実 践を振り返り,論考にまとめた。また,ウェブジャーナルの編集,刊行を行い,

研究成果を公表した。

(6)

研究会名 日本語学習ポートフォリオ研究会 研究代表者名 鈴木寿子(日本語教育研究センター)

研究メンバー 山内薫(日本語教育研究センター),黒田史彦(日本語教育研究センター,

2014年9月まで研究メンバー)

設置主旨

日本語教育研究センター(以下,本センター)では,学習環境整備の一環 として,2009年から断続的に日本語学習ポートフォリオの開発に取り組んで きた。本研究会は,ポートフォリオに求められる役割を改めて見直し,その 運用方法とコンテンツを改善していくことを目標とする。まず,日本語学習 ポートフォリオの利用を一層促進するための人的支援の在り方について,研 究会メンバーによるポートフォリオを活用した学習相談の実践を通じて,分 析,検討を加えていく。同時に,日本語能力の自己分析や学習目標の設定,

日本語科目の履修選択を行う際の手掛かりとなり得る能力記述文を策定し,

ポートフォリオのコンテンツとして盛り込む。

2014年度 活動計画

・研究会メンバーによる定期的な研究会,勉強会を開催し,日本語学習ポー トフォリオの理念,実践に関する理解を深める。

・研究会メンバー自身がポートフォリオを用いた学習相談を継続的に実践し,

ポートフォリオに必要とされるコンテンツ,および,ポートフォリオの意 味ある運用方法を見い出していく

・J-CATと日本語能力試験N1-N5の受験者を調査協力者として募集し,両テ ストのスコア間における関連付けを行う。

・本 セ ン タ ー に お け る 日 本 語1〜8各 レ ベ ル(プ レ イ ス メ ン ト テ ス ト の

J-CATスコア基準)と日本語能力試験独自の能力記述文との関連付けを行う。

2014年度 活動実績

2014年度春学期の本センター設置科目「ポートフォリオを使って日本語学 習を考える」に研究会メンバーが毎週参加し,グループワークのファシリテー ターを務めた。ポートフォリオを試用しながら,学期/月/週単位で学習を 計画・記録・検証した。グループ学生間で学習に関する疑問や悩みについて 話し合い,学習方法やリソース,必要なコンテンツ等について意見交換した。

ポートフォリオの使い方は学生により様々であり,他の学生の活用方法を知 ることで,よい刺激を受けた。仲間や教員(研究会メンバー)が共に話し合 う機会を設けることにより,ポートフォリオの利用が促進されるだけではな く,学習に対する意識を高め,自分がどのような学習者なのか理解が進んだ。

今後も,グループによるポートフォリオ活用の道を拓くと共に,ポートフォ リオのコンテンツ拡充に努めたい。

(7)

研究会名 質的調査法研究会

研究代表者名 舘岡洋子(日本語教育研究科)

研究メンバー

鈴木寿子(日本語教育研究センター),佐藤正則(日本語教育研究センター),

牛窪隆太(日本語教育研究センター,春学期のみ),古賀和恵日本語教育研究 センター),山内薫(日本語教育研究センター),古屋憲章(日本語教育研究 センター,秋学期のみ)

設置主旨

教師たちが「実践研究」を進めていくにあたり,「質的調査法」は必須であ るが,その方法は量的研究法のように確立されているわけではない。

また,認識論の違いに基づき,その方法論も多様である。したがって,質 的研究を行うには,たえず他者の視点をいれつつ自らの観察や解釈を問い直 し続ける必要があり,互いに学び合う場が必要である。

2014年度 活動計画

公開研究会の開催(講師を招聘し,公開で研究会を開催する)および勉強会 の開催(メンバーを中心に読書会および事例検討会の開催)

2014年度 活動実績

研究プロジェクトとしての申請が採択されなかったため,予算の都合上,

講師を招へいしての公開研究会は開催できなかった。

勉強会は,各自のフィールドについてそれぞれの視点をもって実践研究を 行い,そのプロセスを質的研究のあり方として記述した。この記述したもの について,互いにコメントをし,ディスカッションを行った。

(8)

研究会名 F指標(外国人受刑者)研究会 研究代表者名 宮崎里司

研究メンバー 宇津木晶(日本語教育研究センター),山下克哉(日本語教育研究科修士課程)

設置主旨

国内の刑務所に収監されている外国人被収容者(F指標受刑者)は,生活 習慣,宗教,文化,言語等の相違から,日本語による意思の疎通が不十分で あり,施設内での処遇上特段の注意や配慮が求められる。本申請は,法務省 矯正局との連携の下,社会文化,食生活習慣,言語等の差異を考慮に入れな がら,処遇担当刑務官の職務能力の向上や,施設内での国際化対応を図るた め,2015年度に向けたF指標受刑者の日本語指導プログラム開発ならびに科 研費申請に向けたパイロット調査と位置付ける。

2014年度 活動計画

法務省矯正研修所での,外国人被収容者矯正処遇のための専門研修課程専攻 科研修プログラムの企画立案支援

・府中刑務所をはじめとする収容施設(横浜刑務所{男子被収容者}・栃木 刑務所{女子被収容者})などにおけるF指標向け日本語指導プログラム の実地検証

・改善指導担当刑務官のためのワークショップ,および日本語学習教材(オ ンデマンドE-ラーニング講座なども含む)の開発

・松本少年刑務所旭中学校桐分校で行われている義務教育課程(1年コース)

に在籍するF指標受刑者に対し,教科教育と並行して行う日本語指導カリ キュラム立案

・読み書き能力が劣る日本人被収容者に対する識字教育支援プログラムの開発

2014年度 活動実績

今年度,法務省矯正局成人矯正課と連携し,府中の矯正研修所にて,被収 容者処遇国際化対策研修(7月)に携わり,また,F指標受刑者の収容施設で ある,府中・横浜(共に男子),栃木(女子)刑務所の訪問を行った。さらに,

外国人受刑者に対する日本語指導に携わる担当者研修の企画にも関わり,矯 正局も,こうした取り組みを次年度から予算化することで,継続的な取り組 みとして課題解決する方向で検討している。なお,公益社団法人日本語教育 学会の,2015年度春季大会研究(2015年5月30日)にて,谷澤正次(府中 刑務所・教育部教育専門官),吉村幸司(国連アジア極東犯罪防止研修所・教 官)と共に,「外国人受刑者の矯正処遇の課題:刑事施設に収容されるF指標 受刑者への日本語指導の意義」と題するパネルセッション企画が採択された。

参照

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