九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
逆根管窩洞形成へのEr:YAGレーザー応用に関する研 究
牛島, 寛
Graduate School of Dental Science, Kyushu University
https://doi.org/10.15017/21983
出版情報:Kyushu University, 2011, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
逆根管窩洞形成への Er:YAG レーザー応用に関する研究
2012 年
牛島 寛
九州大学大学院歯学府歯学専攻
九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座 歯科保存学研究分野
指導教員 赤峰 昭文 教授
本研究内容の一部は, 下記の論文に掲載された.
「Er:YAG レーザーを用いて形成した逆根管窩洞の封鎖性評価」
牛島 寛, 吉嶺嘉人, 松本妃可, 佐藤浩美, 坂田篤信, 赤峰昭文 日本歯内療法学会雑誌 33(1): 29~35, 2012.
本研究内容の一部は, 下記の学会において報告した.
第32回日本歯内療法学会学術大会 長崎市 2011年 7月
「Er:YAGレーザーを用いた逆根管充填窩洞の封鎖性評価」
目次
1 要旨 1
2 緒言 3
3 材料と方法 5 3-1 試料作製
3-2 逆根管窩洞形成と逆根管充填
3-3 実験 1 走査型電子顕微鏡(SEM)観察
3-4 実験 2 色素漏洩試験
3−5 統計学的分析
4 結果 9 4-1 逆根管窩洞の SEM 像
4-2 色素漏洩試験
5 考察 10
6 総括 13
7 謝辞 14
8 参考文献 15
1
1.要旨
難治性根尖性歯周炎などの症例において, 通常の根管を経由した根管治療が 奏功しない場合, 抜歯を選択する前の歯を保存する最後の手段として, 各種の 外科的歯内療法が試みられる. このうち, 根尖切除術においては歯根尖部を切 断・除去した後に, 根管のスペースを緊密に封鎖する目的で, 逆根管窩洞形成 と逆根管充填が併用されることが多い. 今日では, 従来からのバーによる方法 に代わって, 超音波装置を用いた逆根管窩洞形成法が主流となっているが, 歯 根に亀裂を生じるなどの問題点を指摘する報告もみられる.
そこで, 本研究では超音波法に代わる新しい手法として, 硬組織切削が可能 で周囲組織への熱による影響の少ない Er:YAG レーザーを用いる方法の有用性を 探る目的で, ヒト抜去歯を対象に実験を行った. レーザー法では, 先端形状の 異なる円錐型チップ(グループ A)と平坦型チップ(グループ B)を用いた. コ ントロールとして, レトロチップを装着した超音波装置(グループ C)を使用し た. 窩洞形成後の超微構造を走査型電子顕微鏡で観察したところ, グループ A において窩壁に凹凸不整な鱗状構造および象牙細管の開口を認めた. 従って, レーザー光は窩壁を満遍なく蒸散すると考えられた. 一方, グループ B では窩 縁付近にはレーザーの蒸散痕が認められたが, 窩壁の大部分には厚いスミヤー 層が残存することが分かった. グループ C の窩壁には閉塞した象牙細管と開口 した象牙細管が混在して観察された. また, このグループに特徴的な所見とし て, 窩縁にチッピングが認められた. 次に, 各グループの窩洞に逆根管充填材 として mineral trioxide aggregate (MTA)を充填した場合の辺縁封鎖性を探る
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目的で, 色素漏洩試験を行った. 7日毎に測定を繰り返したところ漏洩量は経 日的に増加し, 35 日目までの観察において最も漏洩量が少なかったのはグルー プ A であった. グループ A・B 間(p<0.01)およびグループ B・C 間(p<0.05)
には有意差を認めた. 以上の結果から, 各グループにおける窩壁に残存するス ミヤー層の量が逆根管充填窩洞の辺縁封鎖性に影響を及ぼすと推察された. さ らに, レーザー法では光の照射方向の違いがスミヤー層の残存量に関連するこ とから, 円錐型チップは平坦型チップに比べて逆根管窩洞形成に適した形状で あると判断された.
本研究より, 根尖切除術に併用される新しい逆根管窩洞形成法として, Er:YAG レーザーの臨床応用の可能性が示唆された。
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2.緒言
外科的歯内療法は, 通常の歯冠側からの根管治療が困難な場合などに, 歯 を保存するための最後の処置と位置づけられている 1,2). その術式としては, 根尖掻爬法, 歯根尖切除法, 歯根切除法, 歯の再植•移植法, など様々な種類 が知られている. このうち, 歯根尖切除法においては, 根尖部の切断•除去後 に逆根管窩洞形成を行い, 逆根管充填を併用することが多い.
今日, 逆根管窩洞の形成法としては, 超音波装置に装着した専用チップ(レ トロチップ)を用いる方法が主流になっている. これは従来行われていたバー などの回転切削器具を用いる方法と異なり, 歯根に垂直な切断面に, 根管方 向に追従した逆根管窩洞が形成できる点が主な理由である1-3). しかしながら, 超音波を用いる方法では, 歯根に亀裂を生じる危険性が指摘されている 4-7). このため, 逆根管窩洞形成のための新たな手法として, レーザー応用の可能 性を示唆する報告が散見され始めている8-10).
一方, 逆根管充填に用いる材料には, ①封鎖性が高い, ②生体適合性が良 い, ③吸収されない, ④操作性が良い, ⑤水分の影響を受けにくい, ⑥X 線造 影性がある, ⑦歯根周囲組織の再生能がある, など多くの条件が必要とされ ている1). これまで, アマルガム, 酸化亜鉛ユージノールセメント, グラスア イオノマーセメント, コンポジットレジン, など各種材料が逆根管充填用に 使用されてきた 11). 残念ながら, 前述した条件を完全に満たすような理想的 な材料はないのが現状であるが, mineral trioxide aggregate (MTA)または SuperEBA セメントが選択すべき材料と考えられている1,11). 特に, MTA は封鎖
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性と生体適合性に優れており, 実験動物を用いた組織学的研究において, 材 料表面に新生セメント質の形成が起こることが報告されている12,13).
本研究では, ヒト抜去歯を対象に, 超音波または2種類の異なる先端形状 の石英ファイバーチップを装着した Er:YAG レーザーによる逆根管窩洞形成後 の超微形態を観察し, さらに逆根管充填に MTA を用いた場合の封鎖性を色素漏 洩試験によって比較した.
5
3.材料と方法
3-1. 試料作成
実験には抜去後に水中保管したヒト単根管前歯を用いた. セメント質-エナ メ ル 質 境 界 部 で 歯 冠 部 を エ ア タ ー ビ ン に て 切 断 除 去 し た 後 , K- フ ァ イ ル (K-FLEX File:Kerr)を用いて作業長を解剖学的根尖孔より−1mm に設定した. #20 まで拡大した後, Ni-Ti ロータリーファイル(EndoWave:モリタ)を用いて, MAF#25(06 テーパー)までクラウンダウン法で根管拡大を行った. 根管拡大は 6%NaClO 溶液(次亜塩 6%「ヨシダ」:吉田製薬)を根管内に満たした状態で行い, 終 了後は 15%EDTA(モルホニン:昭和薬品化工)で根管洗浄を行った. その後, 6%NaClO 溶液で 30 秒間洗浄し, 気銃およびペーパーポイントで根管内を十分に 乾燥させ, ガッタパーチャポイントとシーラー(Sealapex:SybronEndo)で垂直 加圧充填法(オピアンキャリア法)により根管充填を行った.
室温(26℃)で湿度 100%の湿箱に 24 時間保存した後, 根尖から 3 mm の位置で エアタービンを用いて歯軸と垂直に根尖を切除した.
3-2. 逆根管窩洞形成と逆根管充填
逆根管窩洞形成は, レーザー法として円錐型チップ(グループ A)または平坦 型チップ(グループ B)を装着して行った. また, コントロール(グループ C)
として超音波法を用いた.
1)レーザー法
Er:YAG レーザー(Erwin AdvErL:モリタ)に円錐型チップ(コア径 400 µm, 試
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作品)または平坦型チップ(コア径 400 µm, C400F:モリタ)を装着し, 上記試 料の根尖切断面に根管充填材と垂直に接触させ, 約 1 mm/秒の速度で歯軸に平行 に動かしながらレーザー照射を行った(図1). 歯周用プローブで確認しなが ら, 窩洞深さ 3 mm まで根管充填材が完全に除去された時点で逆根管窩洞形成終 了とした. なお, レーザー照射は注水・エアー有りで, 繰り返し速度 10 pps,1 パルス当たりの表示エネルギー値を 150 mJ に設定して行った.
2)超音波法
超音波装置(ソルフィー:モリタ)に逆根管窩洞形成用レトロチップ(試作品)
を装着し, 周波数 27 kHz, 出力 3.5(中等度)で注水下にて窩洞深さ 3 mm まで形 成を行った.
その後, 逆根管窩洞をペーパーポイントで十分乾燥し, mineral trioxide aggregate (プロルート MTA:デンツプライ三金)を精製水と練和してマイクロプ ラガーを用いて充填した.
3-3. 実験 1 走査型電子顕微鏡(SEM)観察
逆根管窩洞形成後の試料を直ちに 2%パラホルムアルデヒド-2.5%グルタール アルデヒド溶液に浸漬し, 4℃で 4 時間の固定を行った. その後, 通法に従い上 昇エタノール系列で脱水し, 金蒸着を施した後, 加速電圧 15 kV にて走査型電 子顕微鏡(JEM-5400LV:JOEL)による観察を行った.
3-4. 実験 2 色素漏洩試験
封鎖性評価用の試料は, 抜去後に水中保管したヒト単根管前歯 30 本を用いた.
上記と同様の方法で根管充填を行った後, 室温(26℃)で湿度 100%の湿箱に 24 時
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間保存した. 根尖から 3 mm の位置でエアタービンを用いて歯軸と垂直になるよ う根尖を切除し, さらにその位置から歯冠側 3 mm の位置で切断した試料を実験 に供した.
この試料を 10 本ずつ 3 グループに分け,プレパラート上で根管に逆根管窩洞 形成を施し MTA 充填を行った. 充填後 48 時間湿箱に保管した後, 石村ら 14)に よる方法に準じて色素漏洩試験を行った.
すなわち, 図2に示すようにエッペンドルフチューブを先端 3 mm の位置で切 断した面に, 試料を瞬間接着剤で接着し, チューブ内に 0.5%メチレンブルー溶 液 0.2 mL を入れ, 下方のガラス容器に 3 mL の精製水を入れた後, 試料の切断 面が浸漬するようにゴムリングで固定した.コントロール群ではチューブ内に 精製水を入れて行った. 各試料は室温(26℃)で湿度 100%のプラスチック容器内 に保管した.
浸漬開始 7 日後に, マイクロプレートリーダー(ImmunoMini NJ-2300: Nalge Nunc International)を用いてガラス容器内の精製水の吸光度を測定し, 標準 曲線の回帰方程式に基づいて漏洩した色素量を算出した. 測定後にはガラス容 器内の精製水を新しく交換し, 7 日毎に 35 日目まで同様の操作を繰り返した(図 3). なお, 回帰方程式は 0.5%メチレンブルー溶液を精製水で希釈し, 0.00049%
まで 12 段階の 2 倍希釈系列を作製した後, 各溶液について 6 回ずつマイクロプ レートリーダーで吸光度(波長: 450 nm)を測定し, メチレンブルー溶液の濃 度と吸光度の関係を示す標準曲線を作成して回帰方程式を導いた.
8 3-5. 統計学的分析
各逆根管窩洞形成法の色素漏洩量に関して, Tukey-Kramer 法による多重比較 検定を行った.
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4.結果
4-1 逆根管窩洞の SEM 像
グループ A の窩縁には皿状に蒸散された部位を認め, 凹凸不整な鱗状構造が 観察された(図 4A-a,b). 割断後の試料では, 円錐型チップの側方照射の影響 でリング状の蒸散痕が認められた. 強拡大像ではスミヤー層は観察されず, 象 牙細管は開口していた(図 4A-c,d).
グループ B の窩縁は皿状に広く蒸散され, この部位には鱗状構造が観察され た(図 4B-a,b). 割断後の試料では, 側壁の大部分は厚いスミヤー層で覆われ, 一部の象牙細管は開口していた(図 4B-c,d).
グループ C の窩縁はレーザー群に比べてシャープで, 一部の試料では欠け(チ ッピング)を認めた(図 4C-a,b). 割断後の試料では, 側壁には象牙細管が開口 した領域と封鎖された領域が混在して観察された(図 4C-c,d).
4-2 色素漏洩試験
色素漏洩はコントロール群を除く全てのグループにおいて観察された. また, 各グループにおける色素漏洩量は経日的に増加する傾向を示した(図 5). 最も 漏洩量が少なかったのはグループ A で, グループ B との間に有意差を認めた(p
<0.01). また, グループ B, C 間にも有意差が認められた(p<0.05).
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5.考察
今日の歯科臨床におけるレーザー応用は, う蝕予防と治療, 歯内療法, 歯 周治療, 疼痛緩和, 外科処置, さらには補綴・審美・インプラント領域など広 範囲に及んでいる. また, 炭酸ガス, 半導体, Nd:YAG,Er:YAG などさまざまな レーザー機器が使用されているが, これらの機種のうち硬組織を効率的かつ 安全に蒸散する作用のあるレーザーは, Er:YAG や Er,Cr:YSGG など一部の装置 に限られている 15). 本研究においても, 臨床で使用する際の切削効率に加え て周囲組織に対する熱による影響を考慮して Er:YAG レーザーを使用した.
SEM による逆根管窩洞の観察結果では, レーザー群のうちグループ A(円錐 型チップ)では窩壁全体に不規則な蒸散痕が認められ象牙細管が開口していた が, これは円錐型チップでは, エネルギーの約 80%が側方へ照射されるために, 効率的に根管壁が蒸散されたことが影響していると考えられる16).
一方, グループ B(平坦型チップ)では, 窩壁にスミヤー層が認められたが、
これはエネルギーが主に先端方向に向かうために, 窩縁から離れて深部に進 むほど窩壁との距離が離れ, 窩壁に満遍なく照射することが困難になったこ とが一因と考えられる. また, グループ C(超音波法)では, 閉塞された象牙 細管は存在するが, 厚いスミヤー層は無いために, グループ A と同程度の封鎖 性を示したと考えられる.
根管充填における根尖部の封鎖性に関しては, in vitroの実験においてスミ ヤー層が残っている方が封鎖性は高いとする報告17)がある一方で, Shahravan らの総説 18)においては根管系の封鎖にはスミヤー層を除去した方が良いと述
11 べている.
今回の研究においても, グループ間で窩壁に残存するスミヤー層の量が異 なり, これが微小漏洩量に影響を及ぼした可能性が考えられる. すなわち, スミヤー層の残存量の少ないグループ A で良好な封鎖性が得られたと思われ る.
これに対して, 細菌の漏洩量を比較した Yildirim ら19)の研究では, スミヤ ー層を除去することで漏洩が増えることから, この層を残存させたほうが良 いと報告している. しかしながら, 著者らはスミヤー層の除去に EDTA と NaClO による化学的洗浄法を用いており, 本研究でのレーザー, 超音波など物 理的に削除した結果と単純に比較することは困難であると考えられる.
逆根管充填材料に関しては, Torabinejad らは20)in vitroにおける SEM の 観察結果から, MTA が IRM, EBA, アマルガムなどの材料よりも辺縁部の適合性 が良いと報告している. Bodrumlu11)は逆根管充填材の生体適合性に関する総説 において, MTA は他の材料よりも優れていると述べている. これらの理由によ り, 本研究においても逆根管充填材として MTA を用いた.
円錐型チップを装着した Er:YAG レーザーを用いて形成されたスミヤー層の 無い逆根管窩洞と MTA との界面の状態に関しては, 開口した象牙細管内への MTA 成分の移行の様子や分布などを今後さらに詳しく解析する必要があると考 えられる.
今日, 逆根管窩洞形成においてはレトロチップを用いた超音波法が主流に なっているが, レーザー法の可能性に言及した報告も散見される.
Karlovic ら21)は, 逆根管充填材料として MTA, SuperEBA, IRM のいずれの材
12
料を用いた場合においても, 超音波法よりもレーザー法において封鎖性が高 かったと述べている. また, Koçak9)らも同様に, 逆根管窩洞形成に低速回転 バー, 超音波, Er,Cr:YSGG レーザーを用いて, MTA で逆根管充填した場合, レ ーザー法が最も封鎖性が良かったと報告している.
一方, Batista de Faria-Junior ら 22)は, 窩洞の形状や形成時間などを考慮 した結果, レーザー法に比べて超音波法が優れていると結んでいる. しかしな がら, 超音波法による逆根管窩洞形成の欠点として, 亀裂やチッピングが起こ ることが指摘されている10). 今回の研究においても, 超音波法ではチッピング が観察されたが, その存在は窩縁に留まるために封鎖性に大きく影響しなかっ たと考えられる. また, 亀裂の有無に関しては SEM 用試料を作製する過程での アーティファクトの問題があり, 明確な結果を得ることは出来なかった.
本研究で使用した円錐型チップは, 意図的再植法などの際の逆根管窩洞形成 には応用出来るが, 根尖切除時の応用は術野の大きさの制限を受けるため使用 が困難であり, 今後臨床においてEr:YAGレーザーを用いた逆根管窩洞形成を実 用化するには, 超音波レトロチップのように根管方向に追従した窩洞形成が可 能な角度を備えたチップの開発が望まれる.
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6.総括
本研究では, Er:YAG レーザーを用いた逆根管窩洞形成法に関して, ヒト抜去 歯を対象として, 形成後の窩洞形態の走査型電子顕微鏡観察と, 逆根管充填材 として MTA を充填した後の色素漏洩試験を行い, 微少漏洩量に関する統計学的 分析を行った. その結果, 以下のように総括する.
1)円錐型チップは窩壁へのレーザー照射を効率的に行うことが可能であり, スミヤー層が残存しないため, 平坦型チップよりも逆根管窩洞形成に適したチ ップと考えられる.
2)逆根管窩洞に充填材として MTA を応用した場合の辺縁封鎖性は, スミヤー 層の残存量の影響を受ける可能性が明らかになった.
3)逆根管窩洞形成への Er:YAG レーザー応用の有用性が示唆された.
14
7.謝辞
本研究は, 九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分 野 赤峰昭文教授のご指導のもとに行われたものであり, 先生の懇篤なご指導, ご助言, ならびに御校閲に深く感謝致します.また, 本研究を遂行するにあたり 終始御指導を賜わりました九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学講座歯科 保存学研究分野 吉嶺嘉人准教授に厚く感謝致します.最後に, 九州大学大学院 歯学研究院口腔機能修復学講座歯科保存学研究分野, ならびに九州大学病院歯 内治療科教室員の皆様方に心より御礼申し上げます.
15
8.参考文献
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16
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図1 石英ファイバーチップの先端部
a: 円錐型,b: 平坦型
下段はレーザー光の照射方向を示す.
aは先端部が84 の円錐状に加工されエネルギーの 約8割は側方へ向かう.
a b
図2 色素漏洩試験用装置
a: エッペンドルフチューブ b: ラバーリング
c: 0.5%メチレンブルー(0.2 mL) d: MTA
e: ガラス瓶 f: 精製水(3 mL)
a b
c
d
e
f
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
0 0.5 1 1.5 2
図3 標準曲線と回帰方程式 吸光度
ー
濃 度
y=0.0326x
4-0.1144x
3+0.1051x
2+0.0881x+0.001
(y: メチレンブルー濃度, x: 吸光度)
(%)