瑕 疵 担 保 責 任 の 比 較 法 的 考 察 ︵ 六 ︶
日本
・フ ラン ス・ EU
野 澤 正 充
序 章 本稿 の課 題と 対象 第一 章 日本 法⑴
︱︱ 法定 責任 説と 判例 法の 形成 第一 節 起草 者の 見解 とそ の評 価︵ 以上 七三 号︶ 第二 節 法定 責任 説の 形成
︵以 上七 四号
︶ 第三 節 大審 院大 正一 四年 判決 とそ の評 価 第四 節 最高 裁昭 和三 六年 判決 の理 解︵ 以上 七六 号︶ 第二 章 日本 法⑵
債務 不履 行責 任説 の台 頭と 展開 第一 節 債務 不履 行責 任説 の台 頭︵ 以上 七七 号︶ 第二 節 債務 不履 行責 任説 の展 開 第一 款 法定 責任 説の 継承 者⑴
下森 定教 授 第二 款 法定 責任 説の 継承 者⑵
その 他の 見解
︵以 上八 一号
︶ 第三 款 ウィ ーン 売買 条約 の制 定
一九 八〇 年︵ 以上 本号
︶ 第四 款 債務 不履 行責 任説 の進 展
時的 区分 説の 登場 第五 款 ま と め 第三 節 近年 にお ける 学説 の動 向
第四 節 日本 法の まと め 第三 章 フラ ンス 法⑴
一九 八六 年ま で 第四 章 フラ ンス 法⑵
一九 八六 年以 降 第五 章 総括 と展 望
第 二 章 日 本 法
⑵債 務 不 履 行 責 任 説 の 台 頭 と 展 開
︵ 承 前 ︶
第二節 債務 不履 行責 任説 の展 開 第三
款 ウィ ーン 売買 条約 の制 定
一九 八〇 年 一 沿 革 ウィ ーン 売買 条約
︵C IS G︶ の正 式名 称は
︑﹁ 国際 物品 売買 契約 に関 する 国際 連合 条約
﹂︵ Un it ed Na ti on sC on ve n- ti on on Co nt ra ct sf or th eI nt er na ti on al Sa le of Go od s︶ であ り︑ 同条 約は
︑一 九八
〇年 四月 一一 日に ウィ ーン で開 催さ れ た国 連主 催の 外交 会議
︵国 際物 品売 買契 約に 関す る国 際連 合会 議︶ にお いて 採択 され た︒ その 前身 とな るの は︑ 一九 六四 年七 月一 日に ハー グの 外交 会議 にお いて 採択 され た二 つの 国際 物品 売買 に関 する 統一 法条 約︵ 以下
︑﹁ 国際 動産
売買 統一 法﹂ とす る︒
︶で ある
︒す なわ ち︑
﹁国 際物 品売 買に つい ての 統一 法に 関す る条 約﹂
︵U ni fo rm La wo nt he In te rn at io na lS al eo fG oo ds
=U LI S︶
︑お よび
︑﹁ 国際 物品 売買 契約 の成 立に つい ての 統一 法に 関す る条 約﹂
︵U ni fo rm La wo nt he Fo rm at io no fC on tr ac ts fo rt he In te rn at io na lS al eo fG oo ds
=U LF
︶( )( )
であ る︒
1 2
しか し︑ すで に指 摘し たよ
( )
うに
︑ハ ーグ の国 際動 産売 買統 一法 は︑ その 締約 国が 少数 にと ど
( )
まり
︑必 ずし も実 効
3
4
性の ある もの とは なら なか った
︒そ の主 な要 因と して は︑ 国際 動産 売買 統一 法が
︑①
﹁ド グマ 中心 で理 論に 傾斜 し てお り︑ その 構成 も複 雑で ある ため 内容 の明 瞭性 を欠
﹂い てい るこ と︑
②﹁ 英米 法と の調 和を 試み ては いる もの の やは り大 陸法 中心 であ るこ と﹂
︑お よび
︑③
﹁世 界の 異な った 法体 系や 社会
・経 済体 制の 存在 が反 映さ れて おら ず︑ その 起草 およ び採 択に あた って これ らの 国の 参加 もな かっ た
( )
こと
﹂な どが 挙げ られ てい る︒ そこ で︑ 国連 国際 商取
5
引委 員会
︵U NC IT RA L︶ は︑ これ らの 要因 を踏 まえ て︑ 国際 動産 売買 統一 法の 改訂 作業 に着 手し た︒ すな わち
︑
﹁世 界の 異な った 法体 系や 社会
・経 済体 制﹂ が代 表さ れる 作業 部会 を設 置し
︑参 加す る国 のバ ラン スに 配慮 する と とも に︑ 規定 の内 容に つい ても
︑﹁ 理論 的精 緻性 より も実 際的 有用 性﹂ を重 視
( )
した
︒こ のよ うに して 制定 され たウ
6
ィー ン売 買条 約は
︑広 く受 け容 れら れ︑ 現時 点︵ 二〇 一四 年八 月末 日︶ にお ける 締約 国は 八一 カ国 にの ぼり
︑世 界 の貿 易の 三分 の二 は︑ その 締約 国間 のも のと なっ てい る︒ それ ゆえ
︑同 条約 は︑
﹁今 や国 際取 引の 世界 にお ける li ng ua fr an ca︵ 共通 言語 で︶ ある とい って 過言 では
( )
ない
﹂︒ そし てわ が国 も︑ 二〇
〇八 年七 月一 日に 第七 一番 目の 締
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約国 とし てこ れに 加入 し︑ 同条 約は
︑翌 二〇
〇九 年八 月一 日か らそ の効 力を 生じ てい る︵ 九九 条⑵ 参照
︒︶ もっ とも
︑本 稿の テー マで ある 瑕疵 担保 責任 に関 連す る規 律に つい ては
︑ウ ィー ン売 買条 約は
︑以 下に 概観 する よう に︑ 国際 動産 売買 統一 法の 枠組 みを 踏襲 する もの であ り︑ 大き く異 なら ない
︒し かし
︑ウ ィー ン売 買条 約は
︑ その 締約 国の 多さ もさ るこ とな がら
︑そ の基 本的 な枠 組み が︑ その 後の
﹁国 際商 事契 約原 則﹂︵ UN ID RO IT 一九 九 四年
︑第 七・ 一・ 一条 お︶ よび
﹁ヨ ーロ ッパ 契約 法原 則﹂︵ PE CL 一九 九〇 年・ 一九 九六 年︑ 第八
・一
〇一 条︶ に継 承
され てゆ く︒ また
︑ウ ィー ン売 買条 約の 規律 は︑ わが 国の 民法
︵債 権関 係︶ の改 正作 業も 含め て︑ 各国 の議 論に 与 える 影響 も大 きく
︑そ の意 義は
︑国 際動 産売 買統 一法 のそ れと は比 べも のに なら ない もの であ る︒ 二
瑕疵 担保 責任 に関 連す る規 定⑴ 要件
⑴ 引渡 しと 物品 の適 合性 ウィ ーン 売買 条約 も︑ 国際 動産 売買 統一 法と 同じ く︑ 瑕疵 担保 に相 当す る事 項を
﹁物 品の 適合 性﹂ に関 する 売主 の義 務と して 規定 して いる
︒換 言す れば
︑瑕 疵も 債務 不履 行の 一場 合と なり
︑両 責任 の区 別は
︑少 なく とも 要件 の 上で は存 在し ない
︒た だし
︑細 部に おい ては
︑両 条約 は︑ 必ず しも 同一 の規 律を 設け てい ない
︒ ) 引 渡 し まず
︑ウ ィー ン売 買条 約三
〇条 は︑
﹁売 主の 義務
﹂に 関し て︑ 売主 は︑
﹁契 約及 びこ の条 約に 従い
︑物 品を 引き 渡 し︑ 物品 に関 する 書類 を交 付し
︑及 び物 品の 所有 権を 移転 しな けれ ばな らな い﹂ と規 定す る︒ これ に対 して
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ は︑ 引渡 しを
︑﹁ 契約 に適 合す る物 品を 交付 する こと をい う﹂ と定 義し
︵一 九条 一項
︑︶ 瑕疵 のあ る物 品︑ すな わち
︑契 約に 適合 しな い物 品が 交付 され た場 合に は︑ 売主 の引 渡義 務が 履行 され たこ とに はな らな いと して いた
︵三 三条
︒︶ しか し︑ そう する と︑ 不適 合な 物品 が交 付さ れた 場合 には
︑ 買主 が同 物品 を占 有し 使用 して いる にも かか わら ず︑
﹁引 渡し
﹂が なさ れて いな いこ とに なり
︑売 主が
﹁無 期限 に 危険 を負 担す るこ とに
( )
なる
﹂︒ この 不都 合を 避け るた めに
︑国 際動 産売 買統 一法 は︑ 物品 が契 約に 適合 して いな い
8
場合 には
︑危 険は
︑﹁ 交付
︵h an di ng ov er が︶ なさ れた 時か ら買 主に 移転 する
﹂と した
︵九 七条 二項
︒︶ すな わち
︑売 主が 契約 に適 合し ない 物品 を提 供し ても
﹁引 渡し
﹂︵ 一九 条一 項︶ とな らな いた め︑
﹁交 付﹂ の時 から 危険 が買 主に 移転 する とし たの で
( )
あり
︑そ の解 釈は
﹁非 常に 複雑
﹂で ある
︑と 評さ れて
( )
いた
︒
9
10
そこ で︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑ 国際 動産 売買 統一 法一 九条 一項 と異 なり
︑物 品の
﹁引 渡し
﹂と 契約 の適 合性 とを 区別 した
︒す なわ ち︑ 右の よう に︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑ 売主 の﹁ 物品 を引 き渡
﹂す 義務 のみ を規 定し
︵三
〇条
︶︑ 仮に 契約 に適 合し ない 物品 が引 き渡 され た場 合に も﹁ 引渡 し﹂ が認 め
( )
られ
︑そ の後 の処 理に つい ては 買主 の救 済方
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法︵ 四五 条以 下︶ に委 ねる こと とし た︒
* 適 合 性 ウィ ーン 売買 条約 三五 条は
︑契 約の 適合 性に つい て︑ 売主 が契 約に 定め る物 品に
﹁適 合﹂ した もの を引 き渡 さな けれ ばな らな い旨 を定 め︵ 一項
︶︑ 契約 に適 合し ない 物品
︵g oo ds do no tc on fo rm wi th th ec on tr ac t︶ の要 件を 定め て いる
︵二 項︶
︒ 第三
五条
︻物 品の 適合 性︼
⑴ 売主 は︑ 契約 に定 める 数量
︑品 質及 び種 類に 適合 し︑ かつ
︑契 約に 定め る方 法で 収納 され
︑又 は包 装さ れた 物品 を引 き渡 さな けれ ばな らな い︒
⑵ 当事 者が 別段 の合 意を した 場合 を除 くほ か︑ 物品 は︑ 次の 要件 を満 たさ ない 限り
︑契 約に 適合 しな いも のと する
︒
⒜ 同種 の物 品が 通常 使用 され るで あろ う目 的に 適し たも ので ある こと
︒
⒝ 契約 の締 結時 に売 主に 対し て明 示的 又は 黙示 的に 知ら され てい た特 定の 目的 に適 した もの であ るこ と︒ ただ し︑ 状 況か らみ て︑ 買主 が売 主の 技能 及び 判断 に依 存せ ず︑ 又は 依存 する こと が不 合理 であ った 場合 は︑ この 限り でな い︒
⒞ 売主 が買 主に 対し て見 本又 はひ な形 とし て示 した 物品 と同 じ品 質を 有す るも ので ある こと
︒
⒟ 同種 の物 品に とっ て通 常の 方法 によ り︑ 又は この よう な方 法が ない 場合 には その 物品 の保 存及 び保 護に 適し た方 法 によ り︑ 収納 され
︑又 は包 装さ れて いる こと
︒
⑶ 買主 が契 約の 締結 時に 物品 の不 適合 を知 り︑ 又は 知ら ない こと はあ り得 なか った 場合 には
︑売 主は
︑当 該物 品の 不適
合に つい て⑵
⒜か ら⒟ まで の規 定に 係る 責任 を負 わな い︒ ウィ
ーン 売買 条約 も︑ 瑕疵 担保 責任 と債 務不 履行 責任 とを 一元 化し た国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ を受 け継 ぎ︑ 物品 が﹁ 契約 に定 める 数量
︑品 質及 び種 類に 適合
﹂し てい るか 否か を問 題と する
︒換 言す れば
︑﹁ 特に 品質
・種 類 の不 適合 につ いて は︑ 民法 では 債務 不履 行責 任と は区 別さ れた 瑕疵 担保 責任 が問 題と なり 得る が︑ 本条 約︹ ウィ ー ン売 買条 約 筆者 注︺ では
︑瑕 疵担 保責 任は 債務 不履 行責 任と 一元 化さ れて
( )
いる
﹂︒
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もっ とも
︑契 約の 不適 合の 判断 基準 につ いて
︑ウ ィー ン売 買条 約は
︑国 際動 産売 買統 一法 と異 なる 規律 を設 けて いる
︒例 えば
︑右 の三 五条 一項 は︑
﹁数 量︑ 品質 及び 種類 に適 合﹂ して いる か否 かの 判断 基準 とし て︑
﹁契 約﹂ の
﹁定 め﹂ を基 本原 則と して いる
︒こ れに 対し て︑ 国際 動産 売買 統一 法三 三条 一項
⒡は
︑﹁ 契約 によ り明 示的 もし くは 黙示 的に 期待 され てい る品 質﹂
・特 性を 補充 的な 基準 とし て位 置づ けて いた
︒し たが って
︑ウ ィー ン売 買条 約は
︑ 契約 適合 性の 判断 につ き︑
﹁主 観的 瑕疵 概念 を出 発点 とし て
( )
いる
﹂と 解さ れる
︒
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また
︑ウ ィー ン売 買条 約三 五条 二項 は︑ 当事 者に 合意 がな い場 合に おけ る︑ 契約 の適 合性 につ いて の客 観的 な基 準を 定め てい る︒ とり わけ
︑同 二項 a号 は︑ 多く の国 内法 と同
( )
じく
︑﹁ 同種 の物 品が 通常 使用 され るで あろ う目 的
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に適 した もの であ るこ と﹂ とい う客 観的 瑕疵 を要 件と する
︒そ して
︑通 常の 使用 目的 では なく
︑﹁ 特定 の目 的﹂ が ある 場合 には
︑﹁ 契約 の締 結時 に売 主に 対し て明 示的 又は 黙示 的に
﹂そ の目 的が 知ら され てい たと きに 限り
︑売 主 は︑ その 目的 に適 合し た物 品を 引き 渡す 義務 を負 う︵ 同b 号︶
︒さ らに
︑売 主が 見本 また はひ な形 を示 して 交渉 が なさ れ︑ 売買 契約 が締 結さ れた 場合 には
︑引 き渡 され た物 品は
︑﹁ 見本 又は ひな 形と して 示し た物 品と 同じ 品質 を 有す るも の﹂ でな けれ ばな らな い︵ 同c 号︶
︒こ のほ か︑ 物品 の収 納ま たは 包装 の適 合性 につ き︑ 同d 号が 規定 し てい る︒
⑵ 危険 負担 との 関係 ウィ ーン 売買 条約 三六 条一 項は
︑国 際動 産売 買統 一法 三五 条一 項と 同じ く︑ 物品 の適 合性 の判 断の 基準 時を
︑
﹁危 険が 買主 に移 転し た時
﹂と する
︒た だし
︑危 険の 移転 した 後に 生じ た契 約の 不適 合が 売主 の義 務違 反に 起因 す る場 合に は︑ 売主 は︑ その 不適 合に つい て責 任を 負わ なけ れば なら ない
︒そ して
︑こ の売 主の 義務 違反 には
︑﹁ 物 品が 一定 の期 間通 常の 目的 若し くは 特定 の目 的に 適し
︑又 は特 定の 品質 若し くは 特性 を保 持す ると の保 証に 対す る 違反
﹂も 含ま れる
︵同 二項
︶︒ 第三
六条
︻不 適合 につ いて の売 主の 責任
︼
⑴ 売主 は︑ 契約 及び この 条約 に従 い︑ 危険 が買 主に 移転 した 時に 存在 して いた 不適 合に つい て責 任を 負う もの とし
︑当 該不 適合 が危 険の 移転 した 時の 後に 明ら かに なっ た場 合に おい ても 責任 を負 う︒
⑵ 売主 は︑
⑴に 規定 する 時の 後に 生じ た不 適合 であ って
︑自 己の 義務 違反
︵物 品が 一定 の期 間通 常の 目的 若し くは 特定 の目 的に 適し
︑又 は特 定の 品質 若し くは 特性 を保 持す ると の保 証に 対す る違 反を 含む
︒︶ によ って 生じ たも のに つい て も責 任を 負う
︒ では
︑危 険が 買主 に移 転す る時 はい つか
︒す でに 概観 した よ
( )
うに
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ は︑ 危険 が
15
物品 の引 渡し によ って 買主 に移 転す る︵ 九七 条一 項︶ とし
︑﹁ 危険 の移 転時 期と 引渡 の時 期と は結 びつ けら れて
( )
いた
﹂︒ これ に対 して
︑ウ ィー ン売 買条 約は
︑物 品に 関す る危 険の 移転 時期 を︑ 売買 契約 が物 品の 運送 を伴 う場 合
16
︵六 七条
︶︑ 運送 中に 物品 が売 却さ れた 場合
︵六 八条
︶︑ およ び︑ その 他の 場合
︵六 九条
︶の 三つ に分 け︑ それ ぞれ 個 別具 体的 に規 定し た︒
第六 七条
︻運 送を 伴う 売買 契約 にお ける 危険 の移 転︼
⑴ 売買 契約 が物 品の 運送 を伴 う場 合に おい て︑ 売主 が特 定の 場所 にお いて 物品 を交 付す る義 務を 負わ ない とき は︑ 危険 は︑ 売買 契約 に従 って 買主 に送 付す るた めに 物品 を最 初の 運送 人に 交付 した 時に 買主 に移 転す る︒ 売主 が特 定の 場所 に おい て物 品を 運送 人に 交付 する 義務 を負 うと きは
︑危 険は
︑物 品を その 場所 にお いて 運送 人に 交付 する 時ま で買 主に 移 転し ない
︒売 主が 物品 の処 分を 支配 する 書類 を保 持す るこ とが 認め られ てい る事 実は
︑危 険の 移転 に影 響を 及ぼ さな い︒
⑵
⑴の 規定 にか かわ らず
︑危 険は
︑荷 印︑ 船積 書類
︑買 主に 対す る通 知又 は他 の方 法の いず れに よる かを 問わ ず︑ 物品 が契 約上 の物 品と して 明確 に特 定さ れる 時ま で買 主に 移転 しな い︒ 第六 八条
︻運 送中 の物 品の 売買 契約 にお ける 危険 の移 転︼ 運送 中に 売却 され た物 品に 関し
︑危 険は
︑契 約の 締結 時か ら買 主に 移転 する
︒た だし
︑運 送契 約を 証す る書 類を 発行 した 運送 人に 対し て物 品が 交付 され た時 から 買主 が危 険を 引き 受け るこ とを 状況 が示 して いる 場合 には
︑買 主は
︑そ の 時か ら危 険を 引き 受け る︒ もっ とも
︑売 主が 売買 契約 の締 結時 に︑ 物品 が滅 失し
︑又 は損 傷し てい たこ とを 知り
︑又 は 知っ てい るべ きで あっ た場 合に おい て︑ その こと を買 主に 対し て明 らか にし なか った とき は︑ その 滅失 又は 損傷 は︑ 売 主の 負担 とす る︒ 第六 九条
︻そ の他 の場 合に おけ る危 険の 移転
︼
⑴ 前二 条に 規定 する 場合 以外 の場 合に は︑ 危険 は︑ 買主 が物 品を 受け 取っ た時 に︑ 又は 買主 が期 限ま でに 物品 を受 け取 らな いと きは
︑物 品が 買主 の処 分に ゆだ ねら れ︑ かつ
︑引 渡し を受 領し ない こと によ って 買主 が契 約違 反を 行っ た時 か ら買 主に 移転 する
︒
⑵ もっ とも
︑買 主が 売主 の営 業所 以外 の場 所に おい て物 品を 受け 取る 義務 を負 うと きは
︑危 険は
︑引 渡し の期 限が 到来 し︑ かつ
︑物 品が その 場所 にお いて 買主 の処 分に ゆだ ねら れた こと を買 主が 知っ た時 に移 転す る︒
⑶ 契約 が特 定さ れて いな い物 品に 関す るも ので ある 場合 には
︑物 品は
︑契 約上 の物 品と して 明確 に特 定さ れる 時ま で買 主の 処分 にゆ だね られ てい ない もの とす る︒
右の 規律 につ いて
︑ウ ィー ン売 買条 約は
︑﹁ 危険 の移 転時 期を 物品 上の 所有 権や 物品 に対 する 支配 とい うよ うな 観念 的事 象と 結び つけ る考 え方
﹂を
﹁明 確に 排斥
﹂し てい る︑ と解 され て
( )
いる
︒そ して 確か に︑ ウィ ーン 売買 条約
18
にお ける 売主 と買 主と の間 の危 険の 分配 は︑ 以下 のよ うな 政策 的な 考慮 に基 づい て決 せら れて
( )
いる
︒す なわ ち︑
①
19
損害 を算 定・ 証明 して 保険 者に 必要 な手 続を し︑ また 損傷 した 商品 を処 分す るに は︑ いず れが より 容易 かと いう 観 点で あり
︑こ の観 点か らは
︑輸 送中 の危 険は
︑通 常は 買主 が負 うと され る︒ また
︑保 険と いう 観点 から は︑
②当 事 者の いず れが リス クを 容易 に計 算で き︑ より 安い コス トで 商品 に保 険を かけ るこ とが でき るか
︑お よび
︑③ 標準 的 な商 事慣 行で はい ずれ が保 険を かけ るか
︑と いう 考慮 が問 題と なる
︒さ らに
︑商 品の 損害 に関 して は︑
④ど のよ う な危 険負 担の 原則 を採 用す ると
︑商 品の 管理
・保 管の 注意 義務 違反 を問 う訴 訟を 最小 限に する こと がで きる か︑ お よび
︑⑤ 当事 者の いず れが 注意 を尽 くせ ば︑ 損害 を回 避す るこ とが でき るか とい うこ とが 考慮 され る︒ その 意味 で は︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑ 危険 の移 転時 期と 物品 の引 渡し ない し事 実的 な支 配の 移転 とを 結び つけ てい た国 際動 産 売買 統一 法︵ UL IS
︶と は︑ 異な る規 律を 設け てい る︒ もっ とも
︑右 の政 策的 な考 慮の うち
︑⑤ は︑ 危険 の移 転が 事実 上の 物の 支配 の移 転に よる との 考え 方と 結び
( )
つく
︒そ して
︑ウ ィー ン売 買条 約六 七条 およ び六 八条 は︑ 危険 の移 転と 物の 支配 の移 転と の関 連性 を否 定す るも の の 20
︑そ の原 則的 な形 態で ある 六九 条は
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ 九七 条一 項に 基づ くも ので ある こと が指 摘さ れて
( )
いる
︒す なわ ち︑ 危険 の移 転の 原則 を規 定す るウ ィー ン売 買条 約六 九条 一項 前段 は︑ 危険 が買 主に よる 物品 の
21
受取 りの 時に 買主 に移 転す る旨 を定 めて いる
︒こ れは
︑物 品を 事実 上支 配す る者 がそ の危 険を 回避 する こと がで き る︑ との 考え 方に よる もの で
( )
ある
︒ま た︑ 同項 後段 の﹁ 買主 が期 限ま でに 物品 を受 け取 らな いと きは
︑物 品が 買主
22
の処 分に ゆだ ねら れ︑ かつ
︑引 渡し を受 領し ない こと によ って 買主 が契 約違 反を 行っ た時 から 買主 に移 転す る﹂ と の規 律も
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ 九八 条と 同様 であ る︒ そう だと すれ ば︑ ウィ ーン 売買 条約 も︑ 危険 の移 転
が事 実上 の物 の支 配の 移転 に伴 うと の考 え方 を基 本に しつ つ︑ 国際 的な 商事 慣行 を含 め︑ さま ざま な政 策的 配慮 の 下に
︑こ れを 修正 した もの であ ると いえ よう
︒ なお
︑危 険の 移転 の効 果は
︑危 険が 買主 に移 転し た後 に物 品が 滅失 また は損 傷し た場 合に は︑ 買主 が代 金支 払義 務を 免れ ない こと であ る︵ 六六 条本 文︶
︒た だし
︑そ の滅 失ま たは 損傷 が売 主の 作為 また は不 作為 に起 因す ると き は︑ 買主 は代 金支 払義 務を 免れ る︵ 同た だし 書︶
︒ 第六
六条
︻危 険移 転の 効果
︼ 買主 は︑ 危険 が自 己に 移転 した 後に 生じ た物 品の 滅失 又は 損傷 によ り︑ 代金 を支 払う 義務 を免 れな い︒ ただ し︑ その 滅失 又は 損傷 が売 主の 作為 又は 不作 為に よる 場合 は︑ この 限り でな い︒ 右の
規定 は︑ 物品 の給 付危 険と その 対価 危険 とを 明確 に区 別す るも ので はな く︑ ウィ ーン 売買 条約 では むし ろ︑
﹁給 付危 険が 対価 危険 に従 って いる
﹂と 解さ れて
( )
いる
︒
23
⑶ 買主 によ る検 査・ 通知 ウィ ーン 売買 条約 は︑ 国際 動産 売買 統一 法︵ UL IS
︶三 八条
・三 九条 と同 じく
︑物 品の 不適 合に 対す る救 済を 求め るた めの 前提 とし て︑ 買主 に物 品検 査義 務︵ 三八 条︶ を課 すと とも に︑ 不適 合の 通知 をし ない とき は︑
﹁物 品の 不 適合 を援 用す る権 利を 失う
﹂と する
︵三 九条
︶︒ なお
︑こ れら の規 定は
︑売 主が 不適 合を 知っ てい た場 合に は適 用 され ない が︑ これ も国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ 四〇 条と 同様 であ る︒ 第三
八条
︻買 主に よる 物品 の検 査︼
⑴ 買主 は︑ 状況 に応 じて 実行 可能 な限 り短 い期 間内 に︑ 物品 を検 査し
︑又 は検 査さ せな けれ ばな らな い︒
⑵ 契約 が物 品の 運送 を伴 う場 合に は︑ 検査 は︑ 物品 が仕 向地 に到 達し た後 まで 延期 する こと がで きる
︒
⑶ 買主 が自 己に よる 検査 のた めの 合理 的な 機会 なし に物 品の 運送 中に 仕向 地を 変更 し︑ 又は 物品 を転 送し た場 合に おい て︑ 売主 が契 約の 締結 時に その よう な変 更又 は転 送の 可能 性を 知り
︑又 は知 って いる べき であ った とき は︑ 検査 は︑ 物 品が 新た な仕 向地 に到 達し た後 まで 延期 する こと がで きる
︒ 第三 九条
︻買 主に よる 不適 合の 通知
︼
⑴ 買主 は︑ 物品 の不 適合 を発 見し
︑又 は発 見す べき であ った 時か ら合 理的 な期 間内 に売 主に 対し て不 適合 の性 質を 特定 した 通知 を行 わな い場 合に は︑ 物品 の不 適合 を援 用す る権 利を 失う
︒
⑵ 買主 は︑ いか なる 場合 にも
︑自 己に 物品 が現 実に 交付 され た日 から 二年 以内 に売 主に 対し て⑴ に規 定す る通 知を 行わ ない とき は︑ この 期間 制限 と契 約上 の保 証期 間と が一 致し ない 場合 を除 くほ か︑ 物品 の不 適合 を援 用す る権 利を 失う
︒ 第四
〇条
︻売 主の 知っ てい た不 適合
︼ 物品 の不 適合 が︑ 売主 が知 り︑ 又は 知ら ない こと はあ り得 なか った 事実 であ って
︑売 主が 買主 に対 して 明ら かに しな かっ たも のに 関す るも ので ある 場合 には
︑売 主は
︑前 二条 の規 定に 依拠 する こと がで きな い︒ 三 瑕疵 担保 責任 に関 連す る規 定⑵ 効果
⑴ 四つ の救 済方 法 ウィ ーン 売買 条約 四五 条一 項は
︑買 主に 引き 渡さ れた 物品 が契 約に 適合 しな い場 合を も含 む︑ 売主 の契 約違 反に 対し て︑ 買主 に与 えら れる 救済 方法 を列 挙す る︒ すな わち
︑) 履行 請求 権︵ 四六 条︶
︑* 契約 解除 権︵ 四九 条︶
︑1 代金 の減 額︵ 五〇 条︶
︑お よび
︑2 損害 賠償 請求 権︵ 四五 条一 項b 号︶ の四 つで ある
︒
第四 五条
︻買 主の 救済 方法
︼
⑴ 買主 は︑ 売主 が契 約又 はこ の条 約に 基づ く義 務を 履行 しな い場 合に は︑ 次の こと を行 うこ とが でき る︒
⒜ 次条 から 第五 二条 まで に規 定す る権 利を 行使 する こと
︒
⒝ 第七 四条 から 第七 七条 まで の規 定に 従っ て損 害賠 償の 請求 をす るこ と︒
⑵ 買主 は︑ 損害 賠償 の請 求を する 権利 を︑ その 他の 救済 を求 める 権利 の行 使に よっ て奪 われ ない
︒
⑶ 買主 が契 約違 反に つい ての 救済 を求 める 場合 には
︑裁 判所 又は 仲裁 廷は
︑売 主に 対し て猶 予期 間を 与え るこ とが でき ない
︒ この 規定 は︑ 国際 動産 売買 統一 法︵ UL IS
︶四 一条 を﹁ 模範
﹂と した
( )
もの であ って
︑両 者の 内容 は異 なら ない
︒す
24
なわ ち︑ ウィ ーン 売買 条約 も︑ 国際 動産 売買 統一 法︵ UL IS に︶ おけ ると 同じ く︑ 買主 がこ れら の救 済方 法を 行使 す るた めに は︑ 売主 の義 務の 不履 行と いう 客観 的事 実が 存在 すれ ば足 り︑ 売主 の過 失を 要件 とし ない
︒た だし
︑損 害 賠償 につ いて は︑ 後述 のよ うに
︑一 定の 条件 の下 に免 責が 認め られ てい る︵ 七九 条︶
︒こ れに 対し て︑ 損害 賠償 以 外の 救済
︵契 約解 除と 代金 減額 に︶ つい ては
︑債 務者 の免 責が 認め られ ない
︵七 九条 五項 こ︶ とも
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ 七四 条二 項と 同様 であ る︒ ) 履行 の請 求 売主 の契 約違 反に 対し て︑ 買主 は︑ 履行 の請 求を する こと がで きる
︵四 六条 一項 と︶ とも に︑ 物品 が契 約に 適合 しな い場 合に は︑ 代替 品の 引渡 し︵ 同二 項︶
︑ま たは 不適 合の 修補
︵同 三項 を︶ 請求 する こと がで きる
︒ 第四
六条
︻履 行請 求権
︼
⑴ 買主 は︑ 売主 に対 して その 義務 の履 行を 請求 する こと がで きる
︒た だし
︑買 主が その 請求 と両 立し ない 救済 を求 めた
場合 は︑ この 限り でな い︒
⑵ 買主 は︑ 物品 が契 約に 適合 しな い場 合に は︑ 代替 品の 引渡 しを 請求 する こと がで きる
︒た だし
︑そ の不 適合 が重 大な 契約 違反 とな り︑ かつ
︑そ の請 求を 第三 九条 に規 定す る通 知の 際に 又は その 後の 合理 的な 期間 内に 行う 場合 に限 る︒
⑶ 買主 は︑ 物品 が契 約に 適合 しな い場 合に は︑ すべ ての 状況 に照 らし て不 合理 であ ると きを 除く ほか
︑売 主に 対し
︑そ の不 適合 を修 補に よっ て追 完す るこ とを 請求 する こと がで きる
︒そ の請 求は
︑第 三九 条に 規定 する 通知 の際 に又 はそ の 後の 合理 的な 期間 内に 行わ なけ れば なら ない
︒ この
ほか
︑買 主に よる 売主 の履 行の ため の付 加期 間の 付与
︵四 七条
︑︶ およ び︑ 売主 の追 完権
︵四 八条 に︶ 関す る 規定 が定 めら れて いる
︒
* 契約 の解 除 売主 が物 品の 引渡 義務 を履 行し ない 場合 には
︑買 主は
︑右 の付 加期 間を 付与 し︑ その 期間 内に 売主 が物 品を 引き 渡さ ず︑ また は引 き渡 さな い旨 の意 思を 表示 した とき は︑ 契約 解除 権が 発生 する
︵四 九条 一
( )
項b 号︶
︒そ して
︑そ れ
25
以外 の売 主の 債務 不履 行の 場合 には
︑そ の不 履行 が﹁ 重大 な契 約違 反﹂ であ ると きに
︑買 主に 契約 の解 除が 認め ら れる
︵四 九条 一項 a号
︒︶ 第四
九条
︻契 約解 除権
︼
⑴ 買主 は︑ 次の いず れか の場 合に は︑ 契約 の解 除の 意思 表示 をす るこ とが でき る︒
⒜ 契約 又は この 条約 に基 づく 売主 の義 務の 不履 行が 重大 な契 約違 反と なる 場合
⒝ 引渡 しが ない 場合 にお いて
︑買 主が 第四 七条
⑴の 規定 に基 づい て定 めた 付加 期間 内に 売主 が物 品を 引き 渡さ ず︑ 又 は売 主が 当該 付加 期間 内に 引き 渡さ ない 旨の 意思 表示 をし たと き
⑵ 買主 は︑ 売主 が物 品を 引き 渡し た場 合に は︑ 次の 期間 内に 契約 の解 除の 意思 表示 をし ない 限り
︑こ のよ うな 意思 表示 をす る権 利を 失う
︒
⒜ 引渡 しの 遅滞 につ いて は︑ 買主 が引 渡し が行 われ たこ とを 知っ た時 から 合理 的な 期間 内
⒝ 引渡 しの 遅滞 を除 く違 反に つい ては
︑次 の時 から 合理 的な 期間 内 3 買主 が当 該違 反を 知り
︑又 は知 るべ きで あっ た時 4 買主 が第 四七 条⑴ の規 定に 基づ いて 定め た付 加期 間を 経過 した 時又 は売 主が 当該 付加 期間 内に 義務 を履 行し ない 旨の 意思 表示 をし た時 5 売主 が前 条⑵ の規 定に 基づ いて 示し た期 間を 経過 した 時又 は買 主が 履行 を受 け入 れな い旨 の意 思表 示を した 時 なお
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ 七四 条三 項と 同じ く︑ ウィ ーン 売買 条約 も︑ 債権 者は
︑債 務者 が免 責事 由を 有す る場 合に も︑ 契約 の解 除権 およ び代 金減 額請 求権 を行 使す るこ とが でき ると する
︵七 九条
( )
五項
︶︒
26
1 代 金 減 額 右の よう に︑ 物品 が契 約に 適合 しな い場 合に おけ る代 金の 減額 につ いて は︑ 通常 の損 害賠 償と 異な り︑ 債務 者の 免責 が認 めら れな い︒ 第五
〇条
︻代 金の 減額
︼ 物品 が契 約に 適合 しな い場 合に は︑ 代金 が既 に支 払わ れた か否 かを 問わ ず︑ 買主 は︑ 現実 に引 き渡 され た物 品が 引渡 時に おい て有 した 価値 が契 約に 適合 する 物品 であ った とし たな らば 当該 引渡 時に おい て有 した であ ろう 価値 に対 して 有 する 割合 と同 じ割 合に より
︑代 金を 減額 する こと がで きる
︒た だし
︑売 主が 第三 七条 若し くは 第四 八条 の規 定に 基づ き その 義務 の不 履行 を追 完し た場 合又 は買 主が これ らの 規定 に基 づく 売主 によ る履 行を 受け 入れ るこ とを 拒絶 した 場合 に
は︑ 買主 は︑ 代金 を減 額す るこ とが でき ない
︒ 2 損 害 賠 償 前述 のよ うに
︑ウ ィー ン売 買条 約は
︑売 主の 過失 を要 件と せず
︑そ の義 務が 履行 され なか った とい う客 観的 事実 から 損害 賠償 責任 を認 めて いる
︵四 五条 一項
︒︶ この こと は︑ 損害 賠償 の範 囲に 関す る同 七四 条か らも うか がわ れ る︒ すな わち
︑損 害賠 償請 求権 の発 生要 件は
︑① 当事 者の 一方 によ る契 約違 反の 存在
︑② 相手 方が 損失 を被 った こ と︑ およ び︑
③そ の損 失は
︑当 事者 の一 方に よる 契約 違反 に起 因す るこ と︵ 事実 的因 果関 係の 存在 で︶
( )
ある
︒
27
第七 四条
︻損 害賠 償の 範囲
︼ 当事 者の 一方 によ る契 約違 反に つい ての 損害 賠償 の額 は︑ 当該 契約 違反 によ り相 手方 が被 った 損失
︵得 るは ずで あっ た利 益の 喪失 を含 む︒
︶に 等し い額 とす る︒ その よう な損 害賠 償の 額は
︑契 約違 反を 行っ た当 事者 が契 約の 締結 時に 知 り︑ 又は 知っ てい るべ きで あっ た事 実及 び事 情に 照ら し︑ 当該 当事 者が 契約 違反 から 生じ 得る 結果 とし て契 約の 締結 時 に予 見し
︑又 は予 見す べき であ った 損失 の額 を超 える こと がで きな い︒ また
︑買 主の 損害 賠償 請求 権は
︑他 の救 済を 求め る権 利︵ 履行 請求 権・ 契約 解除 権・ 代金 減額 権︶ と両 立す る︵ 四 五条 二項
︒︶ この ほか
︑損 害軽 減義 務に つい ての 規定 があ る︵ 七七 条︶
︒ 第七
七条
︻損 害の 軽減
︼ 契約 違反 を援 用す る当 事者 は︑ 当該 契約 違反 から 生ず る損 失︵ 得る はず であ った 利益 の喪 失を 含む
︒︶ を軽 減す るた め︑ 状況 に応 じて 合理 的な 措置 をと らな けれ ばな らな い︒ 当該 当事 者が その よう な措 置を とら なか った 場合 には
︑契 約
違反 を行 った 当事 者は
︑軽 減さ れる べき であ った 損失 額を 損害 賠償 の額 から 減額 する こと を請 求す るこ とが でき る︒
⑵ 免 責 国際 動産 売買 統一 法︵ UL IS
︶七 四条 と同 じく
︑ウ ィー ン売 買条 約も
︑契 約上 の義 務の 不履 行に 対す る免 責規 定を 設け てい る︵ 七九 条︶
︒た だし
︑そ の要 件は 修正
( )
され
︑①
﹁義 務の 不履 行が 自己 の支 配を 超え る障 害に よっ て生 じ
28
たこ と﹂
︑②
﹁契 約の 締結 時に 当該 障害 を考 慮す るこ と﹂ を合 理的 に期 待す るこ とが でき なか った こと
︑お よび
︑
③﹁ 当該 障害 又は その 結果 を回 避し
︑又 は克 服す るこ とも
﹂合 理的 に期 待す るこ とが でき なか った こと
︑の 三つ が 免責 要件 であ る︵ 同一 項参 照︶
︒ 第七
九条
︻債 務者 の支 配を 越え た障 害に よる 不履 行︼
⑴ 当事 者は
︑自 己の 義務 の不 履行 が自 己の 支配 を超 える 障害 によ って 生じ たこ と及 び契 約の 締結 時に 当該 障害 を考 慮す るこ とも
︑当 該障 害又 はそ の結 果を 回避 し︑ 又は 克服 する こと も自 己に 合理 的に 期待 する こと がで きな かっ たこ とを 証 明す る場 合に は︑ その 不履 行に つい て責 任を 負わ ない
︒
⑵ 当事 者は
︑契 約の 全部 又は 一部 を履 行す るた めに 自己 の使 用し た第 三者 によ る不 履行 によ り自 己の 不履 行が 生じ た場 合に は︑ 次の
⒜及 び⒝ の要 件が 満た され ると きに 限り
︑責 任を 免れ る︒
⒜ 当該 当事 者が
⑴の 規定 によ り責 任を 免れ るこ と︒
⒝ 当該 当事 者の 使用 した 第三 者に
⑴の 規定 を適 用す ると した なら ば︑ 当該 第三 者が 責任 を免 れる であ ろう こと
︒
⑶ この 条に 規定 する 免責 は︑
⑴に 規定 する 障害 が存 在す る間
︑そ の効 力を 有す る︒
⑷ 履行 をす るこ とが でき ない 当事 者は
︑相 手方 に対 し︑
⑴に 規定 する 障害 及び それ が自 己の 履行 をす る能 力に 及ぼ す影 響に つい て通 知し なけ れば なら ない
︒当 該当 事者 は︑ 自己 がそ の障 害を 知り
︑又 は知 るべ きで あっ た時 から 合理 的な 期
間内 に相 手方 がそ の通 知を 受け なか った 場合 には
︑そ れを 受け なか った こと によ って 生じ た損 害を 賠償 する 責任 を負 う︒
⑸ この 条の 規定 は︑ 当事 者が 損害 賠償 の請 求を する 権利 以外 のこ の条 約に 基づ く権 利を 行使 する こと を妨 げな い︒ 右の
免責 規定 の対 象は 損害 賠償 責任 のみ であ り︑ 代金 減額 権︑ およ び︑ 契約 違反 が重 大で ある 場合 にお ける 契約 解除 権は 免責 され ない
︵七 九条
( )
五項
︶︒
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四 小括 と若 干の 考察
⑴ ウィ ーン 売買 条約 の規 律 以上 のよ うに
︑ウ ィー ン売 買条 約も
︑瑕 疵担 保責 任と 債務 不履 行責 任と を一 元化 した 国際 動産 売買 統一 法
︵U LI S︶ を受 け継 ぎ︑ 物品 が﹁ 契約 に定 める 数量
︑品 質及 び種 類に 適合
﹂し てい るか 否か
︑と いう
﹁物 品の 適合 性﹂ を問 題と する
︒そ の結 果︑ 瑕疵 も債 務不 履行 の一 場合 とな り︑ 瑕疵 担保 責任 と債 務不 履行 責任 の区 別は
︑少 な くと も要 件の 上で は存 在し ない
︒ ただ し︑ 物品 の適 合性 に関 する ウィ ーン 売買 条約 の規 律は
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ の規 律と 全く 同じ では なく
︑そ れを より 簡素 化し てい る︒ すな わち
︑国 際動 産売 買統 一法 は︑ 売主 が︑ 瑕疵 のあ る物 品︑ すな わち
︑契 約 に適 合し ない 物品 を交 付し た場 合に は︑ その 引渡 義務 を履 行し たこ とに なら ない
︵一 九条 一項
︑三 三条 と︶ しつ つ︑ 危険
︵給 付危 険︶ が﹁ 交付
︵h an di ng ov er が︶ なさ れた 時か ら買 主に 移転 する
﹂と して いた
︵九 七条 二項
︒︶ これ に対 し︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑ 物品 の﹁ 引渡 し﹂ と適 合性 とを 区別 し︑ 仮に 契約 に適 合し ない 物品 が引 き渡 され た場 合 にも
﹁引 渡し
﹂が 認め られ るも のと した
︵三
〇条 参照
︒︶ そし て︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑ 国際 動産 売買 統一 法三 五条
一項 にお ける と同 じく
︑物 品の 適合 性の 判断 の基 準時 を︑
﹁危 険が 買主 に移 転し た時
﹂で ある
︵三 六条 一項
︶と し︑ その 危険 の移 転時 期に つい ては
︑商 事慣 習等 を考 慮し つつ も︑ 原則 とし ては
︑物 の支 配の 移転 に従 って いる
︵六 九 条︶ と ︒ ころ で︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑ 要件 の点 では 瑕疵 担保 責任 を債 務不 履行 責任 に一 元化 して いる が︑ 効果 の点 で は︑ なお 両責 任を 区別 して いる こと に留 意す べき であ る︒ すな わち
︑ウ ィー ン売 買条 約も
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ 七四 条を 受け 継ぎ
︑債 務不 履行 に対 する 免責 規定 を設 けて いる が︑ 同規 定は
︑損 害賠 償責 任の みを 対象 と し︑ 物品 が契 約に 適合 しな い場 合に おけ る代 金の 減額
︑お よび
︑契 約違 反が 重大 であ る場 合に おけ る契 約解 除権 は 免責 され ない
︵七 九条 五項
︶︒ 換言 すれ ば︑ 瑕疵 担保 責任 の伝 統的 な効 果で ある 代金 減額 権と 契約 解除 権は
︑そ の瑕 疵︵ 不適 合︶ がた とえ 不可 抗力 に起 因す るも ので あっ ても
︑売 主の 免責 が認 めら れな い︒ そう だと すれ ば︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑ 国際 動産 売買 統一 法︵ UL IS
︶と 同じ く︑ 瑕疵 担保 責任 と債 務不 履行 責任 とを 要件 の点 では 一元 化し たも のの
︑両 責任 を完 全に 同一 に扱 うも ので はな い︑ と解 され る︒
⑵ 瑕疵 担保 責任 の不 存在 の検 討 ) 不存 在の 理由 右の よう に︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑ 瑕疵 担保 責任 を債 務不 履行 責任 に一 元化 し︑
﹁物 品が 契約 に適 合し ない 場合 には
︑売 主の 適合 性義 務の 違反 とし て一 元的 に処 理
( )
する
﹂も ので ある
︒そ して
︑こ のよ うな 規律 は︑ 現実 には 区別
30
をす るこ とが 難し い﹁ 瑕疵
﹂と
﹁債 務不 履行
﹂の 区別 を不 要と し︑ また
︑伝 統的 な法 定責 任説 が主 張す る﹁ 特定 物﹂ と﹁ 不特 定物
﹂の 売買 の区 別を も不 要と する 点で
︑物 品の 不適 合を めぐ る問 題を 簡潔 に処 理す るこ とを 可能 と する
︒し かも
︑現 行民 法で は明 確で はな い︑ 買主 の売 主に 対す る代 替品 の引 渡請 求や 瑕疵 修補 請求
︵売 主に よる 追 完︶ を認 める こと も︑ 適切 かつ 妥当 で
( )
ある
︒し かし
︑ウ ィー ン売 買条 約は
︑瑕 疵担 保責 任と 債務 不履 行責 任と を要
31
件の 点で は一 元化 した もの の︑ それ によ って 両責 任を
︑完 全に 同化 した わけ では ない
︒換 言す れば
︑両 責任 の一 元 化は
︑英 米法 と大 陸法 の規 律の 融合 の結 果で あり
︑論 理必 然的 なも ので はな いと 考え られ る︒ とこ ろで
︑ウ ィー ン売 買条 約に おい て瑕 疵担 保責 任が 存在 しな い理 由と して は︑ 一般 的に は︑ 次の 二点 が指 摘さ れて いる
︒ 第一 は︑ ウィ ーン 売買 条約 にお いて 不能 概念 が否 定さ れて いる こと であ る︒ すな わち
︑﹁ 後発 的不 能時 にお ける 対価 危険 に関 する 危険 負担 制度
︑原 始的 不能 制度 など
︑不 能に 立脚 する 諸制 度が
﹂ウ ィー ン売 買条 約に は存 在し
( )
ない
︒そ の背 後に は︑
﹁当 事者 の﹃ 契約
﹄に よっ て権 利義 務を 画す ると いう 思考 様式
﹂が 存
( )
在し
︑原 始的 また は後
32
33
発的 に債 務の 履行 が不 能で あっ ても
︑債 務者 の債 務が 当然 に消 滅す るの では なく
︑契 約は なお 有効 であ る︑ との 理 解が なさ れて
( )
いる
︒
34
第二 に︑ ウィ ーン 売買 条約 にお いて は︑ 過失 責任 主義 が否 定さ れて いる こと が挙 げら れる
︒そ して
︑過 失責 任主 義の 否定 は︑
﹁過 失責 任に 対す る特 則と して の瑕 疵担 保責 任が 不要 にな るこ とを 意味 する
﹂と 説明 され て
( )
いる
︒
35
しか し︑ 右の 第一 点は
︑﹁ 特定 物の ドグ マ﹂ に立 脚す る︵ 伝統 的な 法︶ 定責 任説 を否 定す るも ので はあ
( )
るが
︑瑕
36
疵担 保責 任を 債務 不履 行責 任に 一元 化す る論 拠と はな らな い︒ これ に対 して
︑第 二点 は︑ 無過 失責 任で ある 瑕疵 担 保責 任を 過失 責任 主義 を採 る債 務不 履行 責任 に一 元化 する 難点 を克 服し
︑債 務不 履行 責任 にお いて は︑ 債務 者の 責 めに 帰す べき 事由 が要 件で はな いこ とを 指摘 する もの であ る︒ しか し︑ この 指摘 に対 して は︑ 瑕疵 担保 責任 にお け る﹁ 無過 失責 任﹂ の意 味が 問題 とな る︒ また
︑債 務者 の帰 責性 を要 件と しな いこ とと
︑瑕 疵担 保責 任を 債務 不履 行 責任 に一 元化 する こと とが
︑論 理必 然的 な事 項か 否か も問 われ るこ とと なる
︒
* 理由 の当 否3
﹁不 能﹂ 概念 の否 定 まず
︑不 能概 念の 否定 が︑ これ に立 脚す る伝 統的 な法 定責 任説 と相 容れ ない こと は明 らか であ る︒ すな わち
︑伝
統的 な法 定責 任説 は︑
﹁特 定物 にお いて 瑕疵 ある 物の 給付 は瑕 疵な き履 行で ある
﹂と の特 定物 のド グマ を前 提と す る︒ その 特定 物の ドグ マを 理論 的に 支え たの が︑ 末弘 厳太 郎博 士の 原始 的一 部不
( )
能論 であ り︑ また
︑北 川善 太郎 博
37
士が 紹介 した
︑ド イツ のシ ョル マイ ヤー によ る︑
﹁特 定物 売買 の給 付義 務は 契約 締結 時に 存す る特 定物 その まま の 状態 に及 ぶ﹂ ため
︑﹁ 瑕疵 なき 給付 義務 は論 理的 に不 能で ある
﹂と の
( )
見解 であ る︒ しか し︑ ウィ ーン 売買 条約 は︑
38
不能 概念 を否 定す るた め︑ 売主 の責 めに 帰す べき 事由 によ らな い﹁ 原始 的一 部不 能﹂ も売 主の 契約 違反 とし て構 成 され る︒ それ ゆえ
︑﹁ 原始 的一 部不 能の 不都 合に 対応 する ため に瑕 疵担 保責 任を 設け る必 要性 は﹂ ない こと と
( )
なる
︒
39
同様 に︑ ウィ ーン 売買 条約 にお いて は︑ 特定 物の 売買 に関 して
︑﹁ 瑕疵 なき 給付 義務 は論 理的 に不 能で ある
﹂と い うこ とは ない
︒換 言す れば
︑特 定物 につ いて も品 質の 合意 が可 能で あり
︑そ の違 反は 契約 違反 とし て処 理さ れる こ とと
( )
なる
︒
40
しか し︑ 不能 概念 が否 定さ れて も︑ 論理 必然 的に 危険 負担 制度 が失 われ るわ けで はな い︒ 確か に︑ 後発 的不 能を 前提 とし て︑ その 場合 にお ける 対価 危険 を定 める 現行 民法 五三 四条 や五 三五 条の よう な規 律は
︑不 能概 念の 否定 に よっ てそ の前 提を 欠く ため
︑成 り立 たな い︒ しか し︑ ウィ ーン 売買 条約 にお いて も︑ 売主 が︑ 目的 物を 買主 に引 き 渡す まで に生 じた 滅失
︑損 傷ま たは 不適 合に つい て責 任を 負う とい う給 付危 険の 負担 は規 定さ れて いる
︵三 六条
・ 六九 条︶
︒そ して
︑﹁ 危険 移転 の効 果﹂ とし て︑
﹁買 主は
︑危 険が 自己 に移 転し た後 に生 じた 物品 の滅 失又 は損 傷に より
︑代 金を 支払 う義 務を 免れ ない
﹂︵ 六六 条本 文︶ と規 定す るこ とに より
︑対 価危 険が 給付 危険 に伴 うこ とを 明ら かに して いる
︒そ うだ とす れば
︑不 能概 念の 否定 によ って
︑履 行不 能を 理由 に売 主の 債務 が自 動的 に消 滅す ると い うこ とは ない もの の︑ 売主 が給 付危 険を いつ まで 負担 する か︑ また
︑買 主の 対価 危険 はど うな るか とい う問 題は
︑ なお 残っ てい ると いえ
( )
よう
︒
41
1 理由 の当 否4
債務 者の 責め に帰 すべ き事 由と の関 係 債務 不履 行責 任に おけ る過 失責 任主 義の 否定 が︑ 無過 失責 任で ある 瑕疵 担保 責任 を不 要と する
︑と の理 解に 対し ては
︑次 の二 点を 指摘 する こと がで きる
︒ 第一 に︑ すで に本 稿に おい て指 摘し たよ うに
︑瑕 疵担 保責 任に おけ る無 過失 責任 は︑ 債務 者が 不可 抗力 を立 証し ても 免責 の認 めら れな い絶 対的 な責 任で あり
︑国 際動 産売 買統 一法
︵U LI S︶ 七四 条三 項も
︑そ の伝 統的 な効 果で あ る解 除と 代金 減額 につ いて は︑ 不可 抗力 によ る免 責を 認め てい
( )
ない
︒そ して
︑こ のよ うな 考え 方は
︑前 述の よう
42
に︑ ウィ ーン 売買 条約 にも 受け 継が れて いる
︵七 九条 五項
︶︒ そう だと すれ ば︑ ウィ ーン 売買 条約 にお いて は︑ 債務 不履 行責 任に 関し て過 失責 任主 義が 否定 され
︑か つ︑ 瑕疵 担保 責任 が債 務不 履行 責任 に一 元化 され たと して も︑ 効 果の 点で は︑ なお 瑕疵
︵物 品の 不適 合︶ 責任 の独 自性 が維 持さ れて いる と解 され る︒ 換言 すれ ば︑ 大陸 法と 英米 法 とを 融合 する ウィ ーン 売買 条約 にお いて も︑ 瑕疵 担保 責任 と債 務不 履行 責任 の完 全な 一元 化は 不可 能で ある とい え よう
︒し かし
︑そ のこ とは
︑ウ ィー ン売 買条 約が 有す る価 値を 損な うも ので は︑ 決し て
( )
ない
︒
43
第二 に︑ 債務 不履 行責 任に おけ る過 失責 任主 義の 採否 と瑕 疵担 保責 任の 債務 不履 行責 任へ の一 元化 とは
︑論 理必 然的 な関 係に はな い︑ と解 され る︒ この こと は︑ 債務 不履 行責 任に 関し て過 失責 任主 義を 採用 しつ つ︵ BG B二 七 六条
︑︶ 瑕疵 責任 を債 務不 履行 責任 に統 合し てい るド イツ 民法 の規 律か らも 明ら かで ある
︒す なわ ち︑ 二〇
〇一 年 のド イツ 債務 法現 代化 法に よる ドイ ツ民 法の 改正 は︑ 一方 では
︑原 則と して
︑債 務者 に故 意ま たは 過失 があ る場 合 に債 務不 履行 責任 を負 う旨 を定 めて いる
︒ 第二
七六 条︻ 債務 者の 責任
︼
⑴ 債務 者は
︑故 意ま たは 過失 につ いて 責任 を負 う︒ ただ し︑ より 厳格 また は緩 和さ れた 責任 が定 めら れ︑ また は︑ とり