平成26年 2月
山本修一 学位論文審査要旨
主 査 永 島 英 樹 副主査 村 脇 義 和
同 小 川 敏 英
主論文
Thermal influence of radiofrequency ablation for bone: an experimental study in normal rabbit bone
(骨に対するラジオ波焼灼療法の熱の影響:ウサギ正常骨での実験的検討)
(著者:山本修一、神納敏夫、小野勇一、橋本政幸、大内泰文、吉田春彦、小川敏英)
平成26年 Skeletal Radiology 掲載予定
参考論文
1. Balloon-assisted coil embolization of the celiac trunk before endovascular aortic repair of thoracoabdominal aortic aneurysm
(胸腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術前の腹腔動脈バルーン補助下 コイル塞栓術)
(著者:遠藤雅之、神納敏夫、大内泰文、杉浦公彦、矢田晋作、足立憲、河合剛、
高杉昌平、山本修一、松本顕佑、橋本政幸、井隼孝司、小川敏英)
平成25年 Japanese Journal of Radiology 31巻 215頁~219頁
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学 位 論 文 要 旨
Thermal influence of radiofrequency ablation for bone: an experimental study in normal rabbit bone
(骨に対するラジオ波焼灼療法の熱の影響:ウサギ正常骨での実験的検討)
骨に対するラジオ波焼灼療法(RFA)後に骨折が生じるという報告がみられるものの、RFA により骨が脆弱化するか否かについては明らかでなく、力学的検討は行われていない。ま た、皮質骨の変化については放射線学的および組織学的な詳細な報告はみられない。本研
究では、RFA後の骨の力学的性質の変化の有無、放射線学的および組織学的変化を検討した。
方 法
対象はウサギ32羽であり、RFA後から組織学的検討までの期間により8羽ずつ以下の4群に 分けた(RFA1日後群、7日後群、30日後群、60日後群)。全身麻酔後に、透視下で13 G骨生 検針を右大腿骨顆間窩より刺入し、17 G cool-tip針(非絶縁部2 cm)を骨幹中央部の骨髄 に挿入し、氷水でRFA針内部を冷却しながら200 Wジェネレーターを用いて12分間焼灼(10 W で開始し、毎分5 W毎に上昇させ、breakの後は同様に繰り返しRFA施行)しRFA群とした。
左大腿骨には骨生検針の挿入のみを行い、control群とした。RFA1日後、7日後、30日後、
60日後にMRI(T1強調像、T2強調像、STIR像)を撮像し、それぞれ直後に安楽死させ大腿骨
を取り出して三点曲げ試験を行い破断時の荷重を計測した。その後、皮質骨のHE染色を行 い組織学的に観察した。
結 果
大腿骨の三点曲げ試験では、1日後群、7日後群、30日後群、60日後群のいずれでもRFA 群とcontrol群とで破断時の荷重に統計学的有意差はみられなかった。MRIではRFA群でリン グ状のT2強調像での高信号域が皮質骨を超えて骨周囲組織までみられ、リング状の高信号 域の大腿骨短軸方向の径は、1日後群、7日後群、30日後群、60日後群でそれぞれ25.2、32.8、
18.8 、20.2[mm]であった。なお、皮質骨の信号変化はいずれの期間でもみられなかった。
組織像では、焼灼中心部の皮質骨の骨細胞がRFAの1ヶ月後に消失したが、ラメラ構造はす べての期間で保たれていた。焼灼部辺縁ではRFAの1ヶ月後から破骨細胞、骨芽細胞の増殖 や新たなラメラ構造がみられリモデリングが観察された。
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考 察
MRIでは、皮質骨周囲にまでリング状の高信号域がみられ、RFAの熱が皮質骨周囲まで及 んでいるにも関わらず、三点曲げ試験ではRFA群とcontrol群で大腿骨の破断時の荷重に有 意差を認めなかった。この結果から、RFA後2ヶ月以内ではRFAの熱による骨の力学的変化は 起こらないものと推測される。Cantwellらはブタの正常大腿骨にRFAを行い、21日後、28 日後に骨折が起こったことを報告している。Cantwellらの報告では大腿骨にKワイヤーで孔 を空け、そこからRFA針を挿入してRFAを行っているため、皮質骨の孔が骨折の原因となっ ている可能性は否定できない。本研究の検討ではRFAの熱の影響を調べることを目的として おり、皮質骨の孔の曲げ試験に対する影響を除外するために焼灼部と離れた大腿骨膝側か らRFA針を挿入しており、孔の影響については検討していない。
Leeらはイヌの大腿骨に対するRFAの影響をMRIと病理像とを対比することにより検討し ているが、T2強調像におけるリング状の高信号域は肉芽組織に対応しており、リング状の 高信号域の内部は出血や壊死となっていると報告している。本研究の検討では皮質骨周囲 にリング状の高信号域が及んでおり、皮質骨そのものには信号変化ははっきりしなかった
ものの、RFAの熱の影響が皮質骨およびその周囲に及んでいると考えられた。なお、リング
状の高信号域の径は他の以前の報告と同程度であった。
病理像でラメラ構造はいずれの期間でも変化していなかった。ラメラ構造は皮質骨の基 本構造で骨の力学的性質を決定する重要な要素であるため、RFA後にラメラ構造が変化して いなかったことは大腿骨の強度が低下しなかったことと矛盾しない。一方で、皮質骨の骨 細胞は徐々に縮小し消失しており、RFAの熱による影響と思われる。RFA30日後よりRFA辺縁 部では破骨細胞や骨芽細胞の増殖がみられ、さらに新たなラメラ構造の形成もみられるこ とから、焼灼辺縁部よりリモデリングが起こっているものと考えられた。
本研究の限界としては、追跡期間が2ヶ月間であることが挙げられる。骨のリモデリング には一般に150日以上かかるとされており、RFAの焼灼範囲全てのリモデリングがいつ完了 するかは今回の検討では不明である。また、上述したように今回の検討ではRFAの熱の影響 を調べているが、RFA針を挿入するための孔の影響は検討していない。
結 論
RFAによる熱は骨の強度を2ヶ月以内では変化させなかった。皮質骨では骨細胞の細胞死 がみられ、その後にリモデリングが観察された。
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