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デキストラン合成酵素と分解酵素の      構 造 と 機 能 に 関 す る 研 究

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Academic year: 2021

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     博士(農学)佐分利 学位論文題名

デキストラン合成酵素と分解酵素の      構 造 と 機 能 に 関 す る 研 究

学位論文内容の要旨

  dextranはa‑l,6グルコシド結合を主鎖とする細菌性多糖であり、代用血漿やクロマトグラフイー 担体として医薬や基礎研究の分野で使用されている。誘導体のdextran sulfteやcarboxymemyl de灯 孤は そ れぞ れ 高 脂血 症 剤や 化 粧 品に 用 い られ る 。ま たdexロanの加 水 分解物 である isommめoligosacchmdeはプレバイオティクス効果を持っことから食品や飲料などで広く活用され ている。本研究では、甜1,4結合からなるm甜めdeぬ価の非還元末端から順次gluco町1基を転移す ることによりdextr孤を合成するイcP細6卯紹rc印刪励眦朋由来dexmndexロan恥c(DDase)とdeぬan やisommめ01igos鵠chmdcの非還元末端グルコース残基を加水分解する跏りfDcDccw閉 伽ざ由来 de灯孤glucoSid鵠e(DG譌c)の反応機構を解明するため、両酵素の構造と機能の関係究明を行った。

(1) dextran分解酵素(DGase)の構造と機能に関する研究 1.長鎖基質を認識する構造

  DGaseは長鎖基質に対して高い活性を示す。類似酵素との構造比較からTrp238および短いp‑+a ループ4に着目した。Trp238を置換した酵素およぴ長いp‑+aループ4を導入した酵素を作製し、

両構造が長鎖基質の認識に重要であることを明らかにした。Trp238とp+aループ4による長鎖基 質の認識機構を提案した。

1.基質特異性を制御する構造

  DGaseはa‑l,6結合に極めて高い特異性を示す。本結合の認識にVa1195が重要であると推定し、

Va1195の置換酵素を作製した。変異酵素の中でVa1195AlaおよぴVa1195 Serはそれぞれa‑l,4およ ぴa‑l,3結合に対する高い活性を獲得したことから、本残基が基質の結合特異性を制御することが 認められた。

1.三糖基質を認識する構造

  Met198は立体構造上でVa1195とTrp238の問に位置し、基質との相互作用が予想された。本残 基を全てのアミノ酸に置換した酵素(19種)を作製した。変異酵素は、野生型酵素と異なる三糖 基質特異性(isomaltotrioseとpanose)を示した。.負電荷を持っアミノ酸を導入した変異酵素では 還元末端側のa‑l,6結合(isomaltotniose)に対する親和カが低下し、正電荷を持っアミノ酸に置換 した酵素では還元末端側のa‑l,4結合(panose)に対する親和カが高くなった。DGaseはpanoseに 最も高い活性を示すため、Met198は重要な残基であることが認められた。また、芳香族アミノ酸

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を 導入し た変異酵素では、isomaltoseに対する反応において高基 質濃度における活性化が認められ た。

1.糖転移酵素への変換

  求 核 触 媒 残 基 のAsp194をCysに 置 換 後 に 、KIに より 酸 化す るこ とに よル シス テイ ンス ルフ ィ ン 酸に変 換した。変異酵素は、野生型酵素に比ベヘテロシド基質(aryl a‑glucoside)やホロシド基 質(isomaltose)に対 し極めて高い糖転移活性を示した。

2.酸塩基触媒の置換酵素による効率的オリゴ糖 合成

  一般酸塩基触媒を 置換した酵素は、高い遊離基を持っ基質(a‑glucosyl fluoride)に対しては作用 で きる が、 持た なぃ 基質 に対 して ほと ん ど作 用し なぃ ことが知 られている。一般酸塩基触媒であ るGlu236をSerに置換した酵素を用い 、a‑glucosyl fluorideを基 質として糖転移反応を行った。そ の結果、転移糖が分 解されずに蓄積し、高い収率が得られた。

3.1,5‑anhydrofnユctose (AF)に対する水和反 応の解析

  a‑glucosidaseには、D‑glucalを水和し2‑deoxyglucoseを与える酵素と水和反応を触媒しない酵素 が 存在 する 。D‑glucalの2位に 水酸 基を 持つAFに 対す るDGaseお よび 各種a‑glucosidaseの反応を 解 析し た。 全て の酵 素はAFを トラ ンス に 水和 し、a‑glucoseを 生成 し た。 本反 応の 速度は極めて 低 く、こ れはAFの互変異性や水溶液中での自動水和で、基質とな る1,2.エノール体の存在濃度が 低いためと考えられ た。可溶性デンプンとa‑l,4‑glucan lyaseの反応で遊離した1,2.エノール体に DGaseを反応させると、高い反応速度が得られた 。

(2) dextran合成酵素(DDase)の構造と機能に関する研究 1.初速度測定法の確立

  maltopentaoseを基質に用いdextran合成反応の経時変化を 解析した。本多糖が合成される段階で は 基質 がほ ば完 全に 消失 して いた 。こ れま でDDaseの 活性 はdextran合成量から求めていた。しか し 、 本 手 法 で 正 確 な 初 速 度 を 測 定 で き な ぃ こ とが 判明 した ので 、maltopentaoseか ら遊 離す る maltotetraoseを 定 量す る方 法を 確立 した 。新 たな 測定 法を 用い てDDaseの 諸性 質を 解析 した 。 2. DDase遺伝子の単離と大腸菌による組換え酵素の生産

  イ, capsulatumからDDase遺伝子を単離した。得られたDDase遺伝子は3,855 bpからなり、アミ ノ 酸配 列中 に精 製酵 素のN末 端 およ ぴ内 部配 列の 全て を確 認す るこ とが でき た。 本遺 伝子の発現 を 大腸 菌で行った。組換え酵素のほとんどは不溶性タンノく ク質として生産されたが、大腸菌の無 細 胞抽 出液 にdextran合 成活 性 を認 めた 。こ のこ とか ら本 遺伝子がDDaseをコードすることを確認 できた。

3. DDaseの機能領域の決定と触媒部位の推定

  二次 構造 予測 を行 い、 本酵 素の 構造 を「pスト ラン ドが 多いN末端 領域 、aヘリ ック スに富む中 間 領域 およ びpスト ラン ドが 主 なC末端 領域 」の3領域 から なる と推 定し た。 これ らの 領域の機能 を 明 ら か に す る た め に 、N末 端 お よ ぴC末 端 を それ ぞれ 欠失 させ た変 異酵 素 を作 製し た。N末 端 領 域を 僅か に欠 失し た酵 素は 、活 性を 示さ なか った 。C末 端領 域を 全て 欠失 して も酵 素活性を保 持したが、中間領域を含む部 分まで欠失を行うと活性を失うことが明らかになった。従って、DDase 活 性に はN末端 およ ぴ中 間領 域 が重 要で ある こと が示 され た。 また 中間 領域 は、 基質 の立体配置

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が反応後に反転する糖質加水分解酵素であるglucoamylaseと配列類似性を示した。このことから DDaseの中間領域はglucoamylaseに認められるような(orja)6バレル構造を形成することが推定され た。このバレル構造を構成するaヘリックスの前後のループに存在し、触媒や基質との結合に重要 であり、高度に保存されるアミノ酸残基のほとんどをDDaseで見出すことができた。この配列比 較に基づき、DDaseのGlu671およぴGlu846が触媒残基であると推定した。以上の構造解析から、

DDaseはmグルカンか ら僻グル カンを生 成する保 持型酵素 でありな がら、反転型酵素である glucoamylaseとよく似た構造を有すると推定した。

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(4)

学位論文審査の要旨 主 査    教授    木村淳夫 副 査    教授    横田    篤 副査   助教授   森   春英

学 位 論 文 題 名

デキストラン合成酵素と分解酵素の      構 造 と 機 能 に 関 す る 研 究

  本論 文は 、和 文119頁、 図63、表26、11章 から なり 、参 考論 文5編 が添 えら れて いる 。   dextranはa‑l,6グルコシド結合を主鎖とする多糖であり、研究分野や医薬、食品、化粧 品などの産業分野で利用がある。本研究では、dextranやisomaltooligosaccharideの非還元 末端グルコース残基を加水分解するStreptococcus mutans由来dextran glucosidase (DGaseと 略 )お よびa‑l,4結 合か らな るmaltodextrinの 非還元 末端 から 順次glucosyl基を 転移 し dexニtranを合成するAcetobacter capsulatum由来dextrin dextranase (DDaseと略)の反応機構を 解明するため、両酵素の構造と機能の関係究明を行った。

(1)dextran分解 酵素 の構 造と 機能 に関 する 研究

  DGaseのTrp238、[3‑+aル ープ4、Va1195とMet198の機 能を 明らか にし た。Trp238お よ び 短 いp→Qル ー プ4が 、 本 酵 素の 長鎖 基質 に対 する 高い 活性 に重要 であ るこ とを 明ら か に し、両 構造 によ る長 鎖基 質の認識機構を提案した。Va1195置換酵素の解析からa‑l,6グ ルコシド結合の認識にVa1195が関与することを証明した。Qー1,4やa‑l,3結合に高い活性 を 示すVa1195変異 酵素 も得 られ た。Met198の 置換 酵素 は、 野生型 酵素 と異 なる 三糖 基質 特 異性を 示し た。 従っ て、Met198は サブ サイ ト十1と+2によるグルコシド結合の認識に関 与 するこ とが 明ら かに なっ た。また、芳香族アミノ酸への変異では高基質濃度における活 性 化を認 めた 。

  求 核 触 媒 残 基 のAsp194をCysに 置換 後に 、KIを用 いて 酸化 するこ とに よル シス テイ ン ス ルフィ ン酸 に導 いた 。変 異酵素は、野生型酵素に比べ極めて高い糖転移活性を示した。

ま た、一 般酸 塩基 触媒 であ るGlu236をSerに置換した酵素を用い、a‑glucosyl fluorideを     ―1372−

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基質 とし て糖 転移 反応 を行 った 。転 移糖 が分 解され ずに 蓄積 し、 高い 収率 が得 られ た。

  D‑glucalの2位 に水酸 基を 持つ1,5‑anhydrofructose (AFと略)に対するDGaseおよぴ各 種a‑glucosidaseの反応 を解 析し、全ての酵素がAFをトランスに水和し、a‑glucoseを生成 することを見出した。可溶性デンプンとa‑l,4‑glucan lyaseの反応で遊離するAFの1,2‐エ ノール体にDGaseを反応させると、高い反応速度が得られた。

(2)dextran合 成酵素 の構 造と 機能 に関 する 研究

  DDaseの初 速 度 を 正 確 に 測 定 す る 方 法 を 確 立 し た 。 新 たな 測定 法を 用い てDDaseの 諸 性 質を 解析 した 。A capsulatumからDDase遺伝子の単離に成功した。本遺伝子は3,855 bp か ら な り 、 推 定 ア ミ ノ 酸 配列 中にN末 端お よぴ 内部配 列の 全て を確 認し た。 酵素 遺伝 子 の 発現 を大 腸菌 で行い 、菌 体破 砕液 にdextran合成 活性 を認めた。このことから本遺伝子 がDDaseをコ ード する こと を確 認し た。

  二 次 構 造 予 測 か ら 本 酵 素の 構造 を「pス トラ ンドが 多いN末 端領 域、aヘリ ック スに 富 む 中 間 領 域 お よ びpス ト ラ ン ド が 主 なC末 端 領 域 」 の3領 域か らな ると 推定 した。3領 域 の 機能 を明 らか にする ため に、N末 端お よびC末端 をそ れぞ れ欠 失さ せた 変異酵 素を 作製 し た。N末端 領域 の欠 失は 、酵 素活 性を 消失 させた 。C末端 領域 を全 て欠 失させ ても 酵素 活 性を 保持 した が、中 間領 域を 含む 部分 まで 欠失 を行 うと活性を失った。従って、DDase 活 性 に はN末 端 お よ び 中 間 領 域が 重要 であ るこ とが示 され た。 中間 領域 は、 基質 の立 体 配 置が 反転 させ るglucoamylaseと配列類似性を示した。glucoamylaseの作用に重要な残基 の 殆ど をDDaseで 見出 すこ とができた。以上の構造解析から、DDaseはQ‐グルカンからa‐ グ ルカ ンを 生成 する保 持型 酵素でありながら、反転型酵素であるglucoamylaseに類似する 構 造を 有す ると 推定し た。

  以 上の ように 本研 究は 、dextran分 解酵素 の活性部位に存在する構造エレメントの機能 を初 めて 明らか にし 、触 媒残 基の 置換 で糖 転移反応が飛躍的に高まる現象を2種類取得し た。 一方 、dextran合成 酵素 にお いて は、初 めて 酵素 遺伝 子の 単離 と異 種宿主発現、3ド メイ ン構 造の推 定に成功し、アノメリック構造の保持型酵素と反転型酵素の触媒部位アミ ノ酸 が類 似する ことを見出した。これらの点は、糖質の分解酵素や合成酵素に関し学術的 に重 要な 基礎的 知見 を提 供し た。

よっ て審 査員一 同は 、佐 分利 亘が 博士 (農 学) の学 位を 受け るに 十分な 資格を有するも のと 認め た。

参照

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