博 士 ( 農 学 ) 阿 久 津 雅 子
学位論文題名
Establishment of Systems for Plant Regeneration and Agrobacteriunz‑Mediated Genetic Transformation inCanuSCultureofthe4 な ケ 〇¢ ケ 冗 ¢〆 励 .
(アルストロメリアのカルス培養における植物体再生系と Agrobacterium 法による形質転換系の確立)
学位論文内容の要旨
ア ル ス ト ロ メ リ ア は 南 ア メ リ カ 原 産 の 単 子 噤 雛 吻 で あ り , 最 も ポ ピ ュ ラ ーな 切り 花 のー つ で あ る . 現 を ア ル ス ト ロ メ リ ア の 増 殖 はthizomeの 分 割 や 胚 覇 培 養 に よ っ て 行 わ れ て い る が , 増 殖 効 率 は 極 め て 低 く, こ れに 代わ る増 殖 技術 の確 立カ 湟ま オ ′に いる .ま た, ア ルス ト ロ メ リ ア に は 数 多 く の 自 生 種 が あ る が ; 種 間 交 雑 に よ っ て 雑 種 を 得 る こ と カ灘 しく , 種間 雑 種 が 得 ら れ た と し て も オ 瀧 の 場 合 が ほ と ん ど で あ る た め , 伝 統 的 な 育 種 方 法を 用い て の品 種 改 良 カ 駆 灘 で あ る . 近 亀 多 く の 植 物 種 に お い て 確 巓 さ れ て い る 遺 伝 子 溝 入 法 は ア ル ス ト ロ メ リ ア に お い て も 有 効 な 育 種 技 術 と な る も の と 考 え ら れ る . 本 研 究 は 新 し い 増 殖 ・ 育 種 技 術 の 確 立 を 目 的 と し て , 胚 珠 由 来 の ア ル ス ト ロ メ リ ア カ ル ス か ら の 効 率 的 な 植 物 体 再 牛 と Agrobacterium法 に よ る 形 質 転 換 に つ い て 検 討 し た も の で あ る .
1.カルスからの効率的 な植物体再生系の確立
増 殖 ・ 育 種 技 術 と し て 組 織 培 養 を 利 用 す る た め に は 短 期 間 に 大 量 の 再 生 個 体 を 得 ら れ る こと カ湛 まし い .し かし ,ア ル スト ロメ リアlr fl織 培養 に よる 植粥 昨鱶 写生 は 困難 であるとさ れている.そこで; AI pele8rina (L) var. roseaとAmagentaの種間交雑によって得らオ1た胚珠 由来カルスからの植渤昨 陣季生条件について検討を 行った.
カ ル ー ス を0‑5 mg/lナ フ タ レ ン 酢 酸(NAA)お よ び05 mg/lベ ン ジ ル ア デ ニ ン(BA)を 添 加 し たU2濃 度 のMurashige and Skoog (MS)培 地 で 液 体 振 盪 培 養 し た と こ ろ ,friableな カ ル ス が 増 殖 し た . こ れ を 生 長 調 節 物 質 を 含 ま な いV2MS固 形 培 地 ヒ で 培 養 し た と こ ろ , 多 く の proemlxyoが 分 化 し た . こ のproembryoは0.1一Zom飢BAを 含 む1だMS固 形 培 地 ヒ で 健 全 な 植 物 体 に 生 長 し た . こ れ ま で 報 告 さ れ て い る ア ル ス ト 口 メ リ ア の 組織 培 養系 にお いて は, 植 物 体 再 生 ま で に 長 期 間 で 臣10か 月 以 亅 こ ) を 要し ,増 殖効 率も 低 かっ たカ1本 培養 系を 用い る こ と で1名 の カ ル ス か ら 約3か 月 で お よ そ450の 再 生 個 体 を 得 る こ と が で き た . な お , び0embly0経 由 の 植 物 体 再 生 は 液 体 培 地 を 用 い た 場 合 に 特 有 の 現 象 で あ り , 固 形 培 地 の み を 用 い た 場 合 の 植 物 体 再 生 は 器 官 形 成 に よ る こ と が 分 か っ た . 器 官 形成 に よる 植物 体再 生は , F彊 册lky0経 由の 場合 とHニペ , 長期 を要 し, 増殖 虜 り率 も但 めゝった.以 上のことから,液体培 養 を 用 い る こ と に よ り , ア ル ス ト ロ メ リ ア の 短期 での 大量 増jカミHJ能 で ある こと カ朔 らか と なった.
2 A,grDぬ勿蜘法による嬲欝懲系の確立
食弘出鯲劒晩M法による単子葉植物の形質転換は困難であるとさゎ,て粥り,成功例も数少 ない.単子棄纖の形質転 換には,pamcbtK恥鹸澗缸臓 位法が攤お均であり,アルストロメリ アにおいても報告例がー っある.しかし,ん陶ぬ臨ぬ朋法はpmcleboml珊血贓lt法に比ぺ,
コ スト 面お よび 皮鋼珈繊さに素IJ点がある.そこで 趣rめ俄 勿伽れ立鮒駒¢切びおよびA 地誑蟹嬲を用いての形質 転換法について検討した.
2.1 A.tumefaqiensによる形質転換
本 研究 ではA. tumeftrciensにbinary vecば としてp 【G121Hmを保持す るEHA101および p110鰯3を 保 持 す るLBA4404の2系 統 を 用い て形 質転 換を 試み た. どち らのbinaげvect甜 もp餌ucur011idaSe(GUS)遺 伝子 ,ne。靈11ycinphosphatranfem閉n(NPTめ遺伝子および hyが)my血p110sphotramrase田Pr)遺 伝子を有している.
胚珠由来のカルスにA加,母捌≧淞丑仏lol(pIG121Hhl)およびI一E熄4404(p1・o函33)の2 系 統 を そ れ ぞ れ 接 種 し ,500m飢a亦 ) 鰤 で 除 菌 ,20m加hyが 珊Iycmで 選抜 を行 った . い ずれ の系 統を 接種 し た場 合に おい ても ,hyが)my血刪性カルスが得られた .このカルスは 組繃ビ翔勺(兀聡染色により青色を呈 し,また,polymera闘chain―60n(RニR)により外来 遺 伝 子 (GUs遺 伝 子 お よ び 冊 : 遺 医 酌 の 導 入 カ 瀧 認 さ れ た . 形 質 転換 カル スは1. で 確 立 し た 液 体 培 養 系 で は 植 物 体 は 再 生 出 来 な か っ た が , ( 巧m朗NAAと05m飢BAと を 組 み 合わ せて 添加 した1彪MS固形 培地 ヒで 培養 した 場 合に ,多 くの 植物 体を生 じた.再生個体 に お け る 外 来 遺 伝 子 の 導 入 な ら び に 発 現 をKR,S011出 師 ! 脚mz面0nお よ び 賦 ― trヨlns面 価anPCR母T・PCR)により明 らかにした.アルストロメリアカルスはA加俄厮戚臼靨 によ り効 率的 に形 質 転換 され 導入 遺伝 子は 再生間体においても安定して発 現することを示 した.
212 A.rhu:ogenesによる形質転換
単子葉植物において,A thizogenesによる形質転換の成功例はこれまでになkゝ.本研究で は 野 生 型 斑 プ ラ ス ミ ド お よ びbinaヴvector pG121Hn1を 持つA襾 め靜 鯲A13系統 を用 いて 形質転換を試みた.
A加駕舷励びの場合と同様に,カルスにA.廟ぬ轡館鯲接種レた後|a旅)觚で除菌を行bゝ,
hyが 珊ydnで 選抜 を行 った .Hy舛nycin耐 眦々 ルス 嚠沮 織 化学 的GUrs染 色に より 青色 を呈 し ,KRによ りpIG121Hmお よび 斑プ ラス ミド のT−DNA巛P111遺伝子および´甜遺伝子.) の 導 入が 確認 され た.このカルスからは1.および21に示した再生条件では随物体は得られ な か っ た が ,0●1m酊 ジ ベ レ リ ン 酸 (GAJを 添加 した1だMS固形 培地 ヒで 培養 した 場合 ,多 く の 不 定 芽を 生じ た. 再生 個体 にお けるr甜遺 伝子 およ びNPU遺伝 子の 導入 なら びに 発現 をKRSOIlmemhyb耐i讃 恤 お よ びRFぬ ミ に よ り 明 ら か に し た . 再 生 圃 体 は 非 形 質 転 換 体 と 比 ベ 若干 旺盛 な根 の生 長を 示し たが 典型 的な 尚‐ 形 質転 換維 の形 質( 毛状 根, 節間 伸長の不.、仝 葉のしおれ等)は示さなかった.アルストロメリアカルスはA.廟奴瑠B弛ゞによ っ ても 形質 転換 され弼‐形質転換カルスからの植物体再生に は(lA3カ泌要となることが 明 らかとなった.
以上のように本論文は,アルストロメリアの効率的な 植物体冉生系とA tume洳ピム鰡およ びAm泳轡 #繦 を用 いた 形質 転換 系を確立し,今後のアルス トロメリアの増殖および育種技 術の新しい可能性を示した.この基織勺な知見カ誑抒を点となって,アルストロメリアの新し い 農 業 技 術 の 開 発 お よ び 瀞 咼 種 の 育 成 が 進 む こ と が 閲 ヨ 待 さ れ る .
学 位 論 文 審 査 の要 旨
学位論文題名
Establishment of Systems for Plant Regeneration and/ 廴ゴ朋ろ口C をガ勿0 髭−MediatedGenetiCTranSf .Ormation I
1nCa11uSCultureofthe4 な ケ 〇 ¢ ケ 銘 ¢ 〆 励 .
(アルストロメリアのカルス培養における植物体再生系と 」 4grobacterium 法 に よ る 形 質 転 換 系 の 確 立 )
本論文は5 章からなり,図14 個,表 7 個,弓I 用文献114 を含む総頁数102 の芙婚紋で あり,他に参考論文2 編がf 寸与されている・
1.カルスからの効率的な植物体再生系の確立
増 殖・ 育 種技 術と して 細織 培養 を利 用するためには短期間に大量の再生個体を得られる こ と カ 蓬 逗 ま し い . そ こ で , カ ル ス か ら の 植 物 体 再 生 条 件 に つ い て 検 討 を 行 っ た . A.pelegrina(L)var. r殲鰡とA′ 蝋p伽の種間交雑によって得られた胚珠由来カルスを()5 n卿 NAA及 び05m飢 BAを 渤 ロ し た 1脚 皺 の Ms培 地 硫 瞞 ― し , 増 殖 し た 触ble なカ ルス を 生長 調節 物質 を含 まな い1胞MS固 形培 地上 で培 養し たところ,多くの恥坩n町0 カ 洲 匕 し た . こ のp賦m町oは011一2●om朗BAを 合 む1彪MS固形 培地 ヒ で健 全な 植物 体に 生長 した . 液体 培養 と固 形培 養を 効果 的に 用い るこ とでlgの カル スから約3か月でおよそ 450の 再生 個体を得ることが可能であり ,これまでのアルストロメリアにおける植物体再生 に関する報告と比ベ,最も効率的である.
2 Agiobacterhun法による形質転換系の確立
´畑沈協c幻血″灯法による単子葉植物の形質転換は困難であるとされてレゝるが,直接導入法
二
博
次
一
博
勝
宏
藤 嶋
澤 田
佐
中
大
由
授 授
授 授
教
教
教
教
助
査
査
査
査
主
副
副
副
などの他の方法と比ベコスト面および技術的な簡易さに利点がある.そこで; Agrobacterir.un tutnefaciensお よ びA.7. ´ ? 泣 蟹 鰡 を 用 い て の 形 質 転 換 法 に つVゝ て 検討 した .
2.1 A.trnrtefaciensによる形質転換
GUS遺 伝 # ,NPrn遺 伝 子 お よ びI‑n‑r遺 伝 子 を 有 す るbinary vectorを 組 め 込 ん だ A tumejruciensをカル スに接種し,500 mg/l Claforanで除甑20 mglJ hygromycinで選抜を行 っ たと ころ ,形 質繊J)レ スカ 滑らa仇. 形鍼 謨カ ノレ スは05 mg/l NAAおよび0.5 mgll BA を 添加 した1/2MS固形 培地 上で 培養 した 場合 に, 多く の植物体を 生じた.再生個体におけ る 外来 遺伝 子の 導入 なら びに 発現をPCR,Southem hybridizationおよびRT‑PCRにより明ら か に し た .A. mmefaciensに よ る ア ル ス ト ロ メ リ ア の 形 質 転 換 を 証 明 し た ・
2.2 A.rh140genes'による形質転換
野生 型Ri‑plasmidお よびGUS遺伝iNPni遺伝 子お よびHPr遺f云子を有するbinary vector を保持 するA. thizogenesをカルスに接種した後,aaforanで除菌,hygromycinで選抜を行っ た とこ ろ,bin叫vectorお よび 斑‐pl綱面dのT一跡驗領曦の遺ほ子カ湘.みi悉まれた形質 轗 幼Jレ ス カ 滑 ら れ . こ の カ ´ レ ス をo.lm朗GA3を 渤 ロ し た1脚 心 固 黼Eヒ で 培 養 し たと ころ , 多く の不 定芽 を生じた.再生圃体に おける外来遺伝子の導入ならびに発現を PCR,S0uthemhybli両 開6伽 およ びRTIPCRによ り明 らか にし た. 再生 個 体は 非形 質転換体 と 比ぺ ,若 干 旺盛 な根 の生 長を示したが典型的な 恥.形質転換体の形質は示さなかった.
アルストロメリアのみならず,単子葉値物において,A.′カ虹轡ピ門館による形質転換を実証し たのは本研究が初のことである.
以上のように本論文は,アルストロメリアの効率的な櫂澎珀障写生系とAgrobcrcteriumを用 いた形質転換系を確立し,今後のアルストロメリ アの増殖および育種技術の新しい可育眦を 示し,今後新しい農業技術としての応用の可能陸 を明らかにしたものであり,学術上,応用 上高くる剽面される.審査担当者‐同は阿久津雅子に博士(農暑りの学位を与えるに‑+ー分であ ると認定する.