• 検索結果がありません。

学位論文題名Growth,abundance and maturity of Pacific salmon in the central North Pacific Ocean

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文題名Growth,abundance and maturity of Pacific salmon in the central North Pacific Ocean"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 水 産 科 学 ) 森 田 晶 子

     学位論文題名

Growth ,abundance and maturity of Pacific salmon     in the central North Pacific Ocean

(中部北太平洋におけるサケ属魚類の成長・豊度および成熟に関する研究)

学位論文内容の要旨

  北太平洋には、様々な生活史を持っサケ属魚類が同所的に分布している。

サケ属 魚類全体の 資源量は、1970年 代初頭から1990年代にかけ て2倍以上 に増加したものの、複数種のサケ属魚類で回帰親魚の小型化や高齢化が認め られている。その要因 として、資源量増加に伴う密度効果が指摘されている。

一方、地球規模での気候変動に伴う海洋環境変化もサケ属魚類の資源量変動 と関係 しており、 特に1970年代後半 の温暖から寒冷への大規模な海洋環境 のレジ ームシフト と資源量増 加との関連性も指摘されている。サケ属魚類 は、数0月から数年にわたり、その成長の場として北部北太平洋およびべー リング海などの亜寒帯海洋を利用している。そのため、これらを取り巻く環 境の変化は、資源量のみならずその成長量にも影響を与え.ると考えられる。

しかし、資源変動や成長変化に関する研究の多くが母河回帰した親魚を用い ているため、サケ属魚類の海洋生活期における環境変化が、それらの資源変 動 お よ び 成 長 に 与 え る 要 因 に っ い て は 未 だ 不 明 な 点 が 多 い 。   そこで本研究では、1979‑1998年に中部北太平洋(40°‑50゜N、165°‑175゜ 30'E)で、北 海道大学練 習船北星丸 によって得られた魚体計測および海洋 観測デ ータを用い、主にサケ属魚類3種(シロザケ・カラフトマス・ギンザ ケ)に ついて、1)CPUE(調査 用流網1反当たりの個体数)、成長および環 境要因 の経年変化、2) CPUE、成長および環境要因の海域ごとの変化、3) 成長に影響をおよばす生物・非生物要因を調べた。なお、本研究では成長の 指標として体長および過去の成長を反映しない標準化成長率(以下成長率)

を用いた。さらに、回帰親魚が顕著に小型化・高齢化している日本系シロザ

(2)

ケ を用いて、4)海洋生活期における成長の変化が成熟体長・年齢にどのよ うな影響を与えるか調べた。

1CPUE、成長およぴ環境要因の経年変化

  1979‑1998年の20年間の表層水温とクロロフィル量には経年的な変化が認 められなかったが、表層塩分は全ての海域で有意な低下傾向が認められた。

サケ属魚類6種(前述3種十マスノスケ・ベニザケ・スチールノ丶丶丶ッド)全体 のCPUEは経年的に 増加傾向を 示した。種ごとでは、カラフトマスとギンザ ケ のCPUEに経 年 的な 変化傾 向はみられ ず、シロザ ケのみでCPUEの 有意な 増 加傾向が認 められた。 また、シロザケCPUE中における各年齢群の相対頻 度 は、経年的 に2歳魚 が減少し、4歳魚が増加していた。サケ属魚類のCPUE と 気候変動指 数との相関 関係を調べたところ、サケ属全体のCPUEはAFI(大 気強制指数)、シロザケはPCI(太平洋循環指数)、カラフトマスはAFIおよび ALPI(アリューシャン低気圧指数)と有意な正の相関が認められた。種ごとの 成 長の経年変 化でぼ丶シ ロザケの体 長および成 長率は、2歳‑3歳魚ともに 経年的に有意な低下傾向がみられた。ー方、ギンザケおよびカラフトマスは、

体 長および成 長率ともに 経年的な低下傾向は認められなかった。このよう に 、同所的に生息する3種であっても資源量と成長の経年変動は種によって 異なっていた。

2CPUE、成長および環境要因の海域ごとの変化

  表層の 水温および 塩分は海域によって有意に異なり、両者とも移行領域

(北緯40‑ 44.5度)で高く、亜寒帯海域(北緯44.5‑50度)で低い傾向が認 められた。クロロフイル量は海域間で有意差はみられなかったが、亜寒帯海 域で僅かに多い傾向が認められた。シロザケのCPLJEは、年齢ごとに異なる 分布傾 向を示し、2歳魚は 亜寒帯海域 の南部で、3歳お よび4歳魚は亜寒帯 海域北部で高かった。シロザケの体長は2,3,4歳魚とも、亜寒帯海域の北部 ほど大きかったものの、成長率は移行領域で高い傾向が認められた。ギンザ ケのCPUEは亜 寒帯海域北 部で高い傾向を示した。ギンザケの体長は移行領 域で大きかったが、成長率は海域間で有意差はみられなかった。また、カラ フトマ スは移行領 域には出現せず、亜寒帯海域でのCPUEは、海域問で有意

(3)

差はみられなかった。カラフトマスの体長は海域間で有意差があり、亜寒帯 海域北部で大きい傾向を示したが、成長率は海域問で有意差は認められなか った。このような種特異的な成長およびCPUEの海域ごとの変化は、海域問 で水温などの物理環境や餌生物環境が異なることに起因する代謝活性およ び摂餌量の違いなどが影響していると考えられた。

3成長に影響を与える要因

  サケ属3種について、亜寒帯海域および移行領域で成長率に影響を与える 要因を調べた。海洋環境パラメータとして、表層水温・塩分およびクロロフ イル量、北太平洋全体の気候変動パラメータとして、ALPI、AFI、PCIおよ びLOD(日長)、密度効果のパラメータとして個々のCPUEを用いた。その結 果、シロザケでは標準化成長率と表層塩分との問に正の相関が認められた。

しかし、標準化成長率と表層塩分は過去20年間で低下しており、両者に擬 似相関が生じる可能性がある。そこで、年に対する残差の相関関係を調べた ところ、依然として有意な正の相関が認められた。表層塩分の低下は動物プ ランクトンの減少を引き起こすことなどが報告されており、シロザケの成長 に間接的に影響している可能性が示唆された。ギンザケの成長率では、クロ ロフイル量と負の相関、マスノスケ・ベニザケ・スチールヘッドのCPUEと 正の相関が認められた。カラフトマスの成長率では、AI,PIと正の相関、LOD と負の相関が認められた。このように、同所的に分布する3種であっても、

成長に影響を及ぼすと考えられる要因は種によって大きく異なっていた。

4成熟体長・年齢の変化が生じるメカニズム

  2002年の9月下旬に北海道沿岸に回帰したシロザケを用いて、年齢と体長 が性成熟に及ぼす影響を調べた。得られた標本の成熟年齢および成熟体長 は、3‐6歳および52‑84cmであった。これらの個体にっいて、過去の体長を 鱗より逆算したところ、成長の早い個体ほど若齢かつ大型で成熟を開始する 傾向が認められた。さらに、成熟年齢と成熟体長の実測値は、適応度を最大 にする最適戦略モデルと一致したことから、シロザケは適応度を最大にする ように、個カの成長に応じて可塑的に成熟を開始することが考えられた。次

(4)

に、1970年以降の成長率の低下が回帰親魚の小型化・高齢化を説明すること が可能かどうかサイズ構成モデルを用いて調べた。その結果、成長率が約 20%低下すると平均成熟年齢は3.7歳から4.2歳と高齢化し、また成熟サイ ズは各年齢でおよそ50mmずつ小型化するという結果が得られた。北海道に 回帰した親魚のデータをこの結果と比較すると、過去50年間で平均成熟年 齢は3.7歳か ら4.3歳 と高 齢化 し、成 熟サ イズ は各 年齢でおよそ50mmずつ 小型化しており、シミュレーション結果と良く一致した。っまり、成熟開始 年齢・体長が変化していないと仮定しても、成長率の低下だけで現実的な小 型化・高齢化が生じることが明らかとなった。したがって、サケ属魚類の小 型化・高齢化は、遺伝的な変化によるものではなく、海洋環境変化に応答し た 成 長 の 低 下 に よ っ て も た ら さ れ た も の と 推 察 さ れ た 。   以上の結果から、サケ属魚類のCPUEおよび成長は、寒冷・温暖などの気 候変化に応答した生息環境の変化によって種特異的な変動傾向を示すこと が明らかになった。また、成長率に影響を及ぼす生物・非生物的要因も種間 で大きく異なり、このような種特異的変化が生じた要因として、3種の海洋 生活期を通した生息海域や摂餌生態の違いなどが関係していることが推察 された。

(5)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査    教授   桜井泰憲 副査    教授   高橋豊美 副査    助教授   松石    隆

副査    教授   帰山雅秀(北海道東海大学)

     学 位 論 文 題 名

Growth , abundance and maturity of Pacific salmon     in the central North Pacific Ocean

(中部北太平洋におけるサケ属魚類の成長・豊度および成熟に関する研究)

  北太平洋には、様々な生活史を持っサケ属魚類が同所的に分布している。サケ属魚 類全体の資源量は、1970年代初頭から1990年代にかけて2倍以上に増加したものの、

複数種のサケ属魚類で回帰親魚の小型化や高齢化が認められている。その要因とし て、資源量増加に伴う密度効果が指摘されている。一方、地球規模での気候変動に伴 う海洋環境変化もサケ属魚類の資源量変動と関係しており、丶特に1970年代後半の温 暖から寒冷への大規模な海洋環境のレジームシフトと資源量増加との関連性も指摘 されている。しかし、資源変動や成長変化に関する研究の多くが母河回帰した親魚を 用いているため、サケ属魚類の海洋生活期における環境変化が、それらの資源変動お よび成長に与える要因にっいては未だ不明な点が多い。

  そこで本研究では、1979‑1998年に中部北太平洋(40°‑50°N、165°‑175°30'E) で、北海道大学練習船北星丸によって得ちれた魚体計測および海洋観測データを用 い、主にサケ属魚類3種(シロザケ・カラフトマス・ギンザケ)について、1)CPUE

(調査用流網1反当たりの個体数)、成長および環境要因の経年変化、2) CPLJE、成 長および環境要因の海域ごとの変化、3)成長に影響をおよぼす生物・非生物要因を 調べた。なお、本研究では成長の指標として体長および過去の成長を反映しない標準 化成長率(以下成長率)を用いた。さらに、回帰親魚が顕著に小型化・高齢化してい る日本系シロザケを用いて、4)海洋生活期における成長の変化が成熟体長・年齢に

(6)

どのような影響を与えるか調べた。

1. CPUE、成長および環境要因の経年変化

  1979 1998年の20年 間における海洋環境要因の中で、表層塩分のみが全ての海域で 有 意な 低下 傾向 を示 した。 サケ 属魚 類6種全 体のCPUEは 経年 的に 増加 傾向 を示 し、

こ れ は シ ロ ザ ケ のCPUEの 経年 的 な 増加 を反 映し ていた 。サ ケ属 魚類 のCPUEと 気候 変動 指数 との 相関 関係 を調 べた とこ ろ、 サケ 属全 体のCPUEはAFI(大気強制指数)、

シロ ザケ はPCI(太 平洋 循環 指数 )、 カラ フト マス はAFIおよびALPI(アリューシャン 低気圧指数)と有意な正の相関が認められた。種ごとの成長の経年変化では、シロザ ケの 体長 およ び成 長率 は、2歳.3歳 魚と もに 経年 的に有意な低下傾向がみられた。

一方、ギンザケおよびカラフトマスは、体長および成長率ともに経年的な低下傾向は 認め られ なか った 。こ のように、同所的に生息する3種であっても資源量と成長の経 年変動は種によって異なっていた。

2. CPUE、成長および環境要因の海域ごとの変化

  表層 の水 温お よび 塩分 は海域によって有意に異なり、両者とも移行領域(北緯40‑

44.5度)で高く、亜寒帯海域(北緯44.5‑50度)で低い傾向が認められた。クロロフ イ ル 量は 海域 間で 有意 差は なか った 。シ ロザ ケのCPUEは 、2歳魚 は亜 寒帯 海域 の南 部で、3‑4歳魚は亜寒帯海域北部で高かった。シロザケの体長は2,3,4歳魚とも、亜寒 帯 海域 の北 部ほ ど大 きい が、成 長率 は移 行領 域で 高か った。ギンザケのCPUEは亜寒 帯海域北部で高く、成長率は海域問で有意差はみられなかった。また、カラフトマス は 移行 領域 には 出現 せず 、亜寒 帯海 域で のCPUEと 成長 率は海域間で差はなく、体長 は 亜寒 帯海 域北 部で 大き い傾向 を示 した 。こ のよ うな 種特異的な成長およびCPUEの 海域ごとの違いは、海域間で水温などの物理環境や餌生物環境が異なることに起因す る代謝活性や摂餌量の違いなどを反映すると推定した。

3.成長に影響を与える要因

  サ ケ属3種に つい て、亜寒帯海域および移行領域で成長率に影響を与える要因を調 べた。海洋環境パラメータとして、表層水温、塩分およびクロロフィル量、北太平洋 全体の気候変動パラメータとして、ALPI、

パラ メー タと して 個々 のCPUEを用 いた。

AFI、PCIおよ ぴLOD(日長 )、 密度 効果 の その結果、シロザケでは標準化成長率と表

(7)

層塩分との間に正の相関、また年に対する残差にも有意な正の相関が認められた。表 層塩分の低下は動物プランクトンの減少を引き起こすことなどが報告されており、シ ロザケの成長に間接的に影響している可能性が示唆された。この他、ギンザケの成長 率はクロロフイル量と負の相関、逆にマスノスケ.ベニザケ・スチールノ丶丶丶ッドのCPUE と 正の 相関 があ り、 カラ フ卜マ スの 成長 率はALPIと正 の相 関、LODと 負の 相関 が認 めら れた 。こ のよ うに 、同 所的に分布する3種であっても、成長に影響を及ぼすと考 えられる要因は種によって大きく異なっていた。

4成熟体 長・ 年齢 の変 化が 生じ るメ カニ ズム

  2002年の9月下 旬に 北海 道沿 岸に回帰したシロザケを用いて、年齢と体長が性成熟 に 及ぼ す影 響を 調べ た。 得ら れた標 本の 成熟 年齢 ・体 長は 、3‑6歳、52‑84cmの範囲 で あった。これらの個体について、過去の体長を鱗より逆算したところ、成長の早い 個 体ほど若齢かつ大型で成熟を開始する傾向が認められた。さらに、成熟年齢と成熟 体 長の実測値は、適応度を最大にする最適戦略モデルと一致したことから、シロザケ は 適応度を最大にするように、個々の成長に応じて可塑的に成熟を開始することが考 え られた。次に、1970年以降の成長率の低下が回帰親魚の小型化・高齢化を説明する こ とが可能かどうかサイズ構成モデルを用いて調べた。その結果、成長率が約20%低 下 すると平均成熟年齢は3.7歳から4,2歳と高齢化し、また成熟サイズは各年齢でお よ そ50mmず つ小 型化 する とぃ うシミ ュレ ←シ ョン 結果 が得 られ、この値はシロザケ の 小型化・高齢化の実測値と一致した。これらの解析から、海洋生活期の成長率の低 下 だ け で 現 実 的 な 小 型 化 ・ 高 齢 化 を 説 明 で き る こ と を 見 出 し た 。   以上 の結 果か ら、 サケ 属魚 類のCPUEお よび 成長 は、 寒冷 ・温暖などの気候変化に 応 答した生息環境の変化によって種特異的な変動傾向を示すことが明らかになった。

ま た、成長率に影響を及ばす生物・非生物的要因も種間で大きく異なり、このような 種 特異 的変 化が 生じ た要 因と して、3種の海洋生活期を通した生息海域や摂餌生態の 違 いな どが 関係 して いる こと が推察 され た。

参照

関連したドキュメント

2)海を取り巻く国際社会の動向

次亜塩素酸ナトリウムは蓋を しないと揮発されて濃度が変 化することや、周囲への曝露 問題が生じます。作成濃度も

PAD)の罹患者は60歳では人口の7.0%に,80歳では 23.2%にのぼるとされている 1) .本邦では間欠性跛行

海なし県なので海の仕事についてよく知らなかったけど、この体験を通して海で楽しむ人のかげで、海を

体長は大きくなっても 1cm くらいで、ワラジム シに似た形で上下にやや平たくなっている。足 は 5

るものの、およそ 1:1 の関係が得られた。冬季には TEOM の値はやや小さくなる傾 向にあった。これは SHARP

北区では、地域振興室管内のさまざまな団体がさらなる連携を深め、地域のき

全ての個体から POPs が検出。地球規模での汚染が確認された北半球は、南半球より 汚染レベルが高い。 HCHs は、 PCBs ・ DDTs と異なる傾向、極域で相対的に高い汚染