• 検索結果がありません。

学位論文内容の要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学位論文内容の要旨"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 地 球 環 境 科 学 ) 韓    相 文

     学位論文題名

    Studies on the Functions of Biopolymer‑

    Anchored Synthetic Polymer

(生体高分子をアンカリングした合成ポリマーの機能に関する研究)

学位論文内容の要旨

  近年 は地 球環 境に 優 しい 天然 素材 ある い は生体適合性 が高く微生物により容易に 分解出来る素 材の必要性が益 々高まっている。高分子化合 物は合成・天然型を問わず 実生活と密接に関連し数多 く使われている 。しかし、合成ポ1」マーで あるプラステック類は世界中 で年間1億トン以上生産さ れ、発生される ゴミは莫大な量である。廃プ ラスチックの処理には焼却 あるいは埋立法が行われて いるが、前者の 場合は焼却炉でのダイオキシ ンの発生問題や、後者の場 合も自然環境の中で分解さ れないため半永 久的にとどまり蓄積して様々 な環境問題を引き起こして いる。天然高分子はその機 能性や耐久性等 の問題を克服することにより 、これらの問題を解決でき る素材として応用されるこ とが期待されて いる。

  ポリマーは、 自然環境下で安定であるか、 自然環境を損わずに消失又 は資源としてりサイクルを 考える場合、全 くあるいは高度に生分解性で しかも、分解物を含めて低毒性である事が理想である。

本 研究 では 生分 解性 の ない 既存 のプ ラス チ ックに生分解 性の高い天然高分子誘導体 を埋め込みハ イプリッド型機 能素材の開発を目指した。こ の様な新素材は、その機能 発現後自然環境下で天然高 分子のみをすみ やかに加水分解脱離し、残っ た合成高分子をりサイクルする様なモデルとなりうる。

この考えを実現 する方法はグラフト重合やぺ ンダント化等いくつか考え れるが、本研究では、これ ら の中 から 親水 性合 成 高分 子の 表面 に機 能 化天然高分子 化合物を物理的に埋め込ん で固定する新 しいタイプのハ イプリド型複合体の構築を目 的とした。

  天然高分子と しては微生物や酵素作用によ り容易に分解されるキチン 誘導体を用いた。キチンは 金属イオンとの 結合性が全くないが、キチン を脱アセテル化したキトサ ンは遷移金属イオンに高い 吸着能を持って いる。この様なキトサンのユ ニークな性質に着目して、 さらに、イオン交換能の高 い、カルポキシル基や硫酸基を有する3,6―く)‑sulfate ‑N−( o‑carboxybenzoyl)―キトサン(SCB− キトサン)を初 めとする数種の新規な硫酸化 キトサン誘導体を合成した 。しかし、これら硫酸化キ トサン誘導体は 非常に高い水溶性のため再利 用が不可能である。そこで 、これまでほとんど試みら れていないアン カリング法を用いて硫酸化キ トサン誘導体の固定化を検 討した。固定化剤としては 金属イオンが吸 着しないポリアクリルアミド を選び、この硫酸化キトサ ン固定化ゲルの金属イオン 吸着特性を調べ ることによルアンカリング効 果とゲル特性を評価した。

  初め に、 硫酸 化度 が違うSCB一キトサンや置換位置の異 なった、硫酸化キトサン誘 導体の金属イ オ ン混 合溶 液中 で吸 着能を比 較したところ、SCB−キトサ ンは置換度が高いほど金属 吸着能が向上 し 、硫 酸基1モ ル当 たり に金 属 イオ ン吸 着量0.220モルで あり、調べた硫酸化キトサ ン誘導体の中 で 最も 高い 吸着 能を 持ってい ることが判明した。また、SCB―キトサンはマグネシウ ムイオンに高 い選択性を示す ことが分かった。

  次に、アクリ ルアミドと架橋剤であるN N´−ヌチレンピス(アクリ ルアミド)を用いてSCB―キ ト サン の固 定化 を検 討した。 まず、アクリルアミド濃度10%から50%の間で、SCB− キトサンの固 定 化量 に対 して 架橋 剤濃度の 依存性を検討したところ、 架橋剤の濃度は5%の時に最 も高い固定化

1163 ‑

(2)

率が示された。これは 、架橋剤の濃度5%以上では アクリルアミドと架橋剤の架橋バランスが崩れ、

編み 目の 大 きい ゲル ネットワークを形成するこ とによると推定した。続いて 、SCB−キトサンの固 定化率のアクリルアミ ド濃度依存性を調べた。そ の結果アクリルアミド濃度は 高いほど固定化率が 高く アク リ ルア ミド 濃度50% 、 架橋 剤濃 度5% のゲルは最も高いSCB−キト サンの固定化能を有す ることが分かった。

  さ ら に 、SCB― キ ト サン 濃度 は3%―30% の 範囲 でゲ ルに 固定 化 出来 、SCB― キト サン の濃 度 が高 いゲ ル が固 定化 率も高いことが明らかにな った。これは、SCB−キトサ ンの量が増えることに よルゲルネットワーク の密度が高くなり固定化さ れる量も多くなると推定した 。そこで、上述した アク リル ア ミド 濃度50% 、架 橋 剤5% 、 硫酸基 の置換度1.8のSCB−キトサ ンを25%で混合して調 製したゲルを用い金属 イオンの吸着能や吸着特性 を調べた。このゲルを45回繰 り返し洗浄した後、

カラ ムに 積 め、 塩酸 とナト1」ウムイオンを用い クロマトグラフイーによる30回繰り返しイオン交 換能の耐久性を評価し た結果、イオン交換能は一 定であることから耐久性の優 れたゲルであること が明らかになった。

  続いて、金属イオン 混合溶液でゲルの金属イオ ン吸着特性を調ベ結果、ゲル にはイオン半径の大 きい パリ ウ ムイ オン が高い選択性で吸着出来る ことが分かった。また、この50%のゲルの硫酸基1 モル当たりにO.200モ ルの金属イオンが吸着され 、SCB−キトサンゲルのイオ ン交換能はSCB―キト サンの90%に達した。 さらに、ゲルの酸・アルカ ル滴定を行った結果、・滴定曲線はSCB―キトサン やゲ ルだ け の場 合と 比ベ 、pH7以 下で は 形の 違い が認 めら れ ない がpH7以 上で は明 確な 滴 定終点 が見られなかった。こ れはゲルの中に埋没されて いるカルボキシル基を中和す るために、ゲルネッ トワ ーク の 中ま で水 酸化ナトリウムの浸透速度 が遅いからだと示唆される。 以上の結果からSCB− キト サン 分 子全 長の 約10%はゲル中に埋没され 、ゲルの表面に多くのSCB− キトサンが存在してい ると考えられる。

  この様に機能性天然 高分子をポリアクリルアミ ドにアンカリングさせること により、効率の良い 金属イオン吸着能を保 持しながらかつ高い選択性等新しい特性を付与出来る事が判明した。さらに、

アン カリ ン グ法 で作 られ た樹 脂 は官 能基 を持つ 分子がゲルの表面に存在し ているため自然界で容 易に分解出来ると期待 している。以上、アンカリ ングという非常に単純な手法 で水溶性高分子をゲ ル上に固定化出来、機 能性を持ったハイプルッド ゲルが調製出来ることが示唆 された。本研究では 金属 イオ ン 吸着 能を 有するSCB―キトサンの固定 化について調べたが、様々 な水溶性ポリマーへも 応 用 可 能 で 新 し い り サ イ ク ル 可 能 な 高 分 子 材 料 開 発 の 道 を 拓 く も の と 考 え る 。

(3)

学 位 論 文 審 査 の要 旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

戸倉 西 長谷部 覚知

清一 則雄     清 豊次

、   学位論文題名

    Studies on the Functions of Biopolymer‑

    Anchored Synthetic Polymer

(生体高分子をアンカリングした合成ポリマーの機能に関する研究)

  申請者は、近年地球環境に優しい天然素材あるいは生体適合性が高く微生物により容易に分解出来る素 材の必要性が益々高まっていることに注目してこの研究を始めた。

  ポリマーは、自然環境下で安定であるか、自然環境を損わずに消失又は資源としてりサイクルを考える 場合、全くあるいは高度に生分解性でしかも、分解物を含めて低毒性である事が理想である。本研究では 生分解性のない既存のプラスチックに生分解性の高い天然高分子誘導体を埋め込みハイプリッド型機能素 材の開発を目指した。この様な新素材は、その機能発現後自然環境下で天然高分子のみをすみやかに加水 分解脱離し、残った合成高分子をりサイクルする様なモデルとなりうる。この考えを実現する方法はグラ フト重合やべンダント化等いくっか考えれるが、本研究では、これらの中から親水性合成高分子の表面に 機能化天然高分子化合物を物理的に埋め込んで固定する新しいタイプのハイプリド型複合体の構築を目的 とした。

  天然高分子としては微生物や酵素作用により容易に分解されるキチン誘導体を用いた。キチンは金属イ オンとの結合性が全くないが、キチンを脱アセチル化したキトサンは遷移金属イオンに高い吸着能を持っ ている。この様なキトサンのユニークな性質に着目して、さらに、イオン交換能の高い、カルボキシル基 や硫酸基を有する3,6―O‑sulfateーヘr‑(o‑carboxybenzoyl)一キトサン(SCB―キトサン)を初めとする数 種の新規な硫酸化キトサン誘導体を合成した。しかし、これら硫酸化キトサン誘導体は非常に高い水溶性 のため再利用が不可能である。そこで、これまでほとんど試みられていないアンカリング法を用いて硫酸 化キトサン誘導体の固定化を検討した。固定化剤としては金属イオンが吸着しないポリアクリルアミドを 選び、この硫酸化キトサン固定化ゲルの金属イオン吸着特性を調べることによルアンカリング効果とゲル 特性を評価した。

  先ず、硫酸化度が違うSCB−キトサンや置換位置の異なった、硫酸化キトサン誘導体の金属イオン混合 溶液中で吸着能を比較したところ、SCB−キトサンは置換度が高いほど金属吸着能が向上し、硫酸基1モ ル当たりに金属イオン吸着量0.220モルであり、調べた硫酸化キトサン誘導体の中で最も高い吸着能を持っ ていることが判明した。また、SCB―キトサンはマグネシウムイオンに高い選択性を示すことを明らかに した。

  次いで、アクリルアミドと架橋剤であるN´N −メチレンピス(アクリルアミド)を用いてSCBーキトサ ンの固定化を検討した。まず、アクリルアミド濃度10%から50%の問で、SCB−キトサンの固定化量に対

1165

(4)

し て架 橋剤 濃度 の依存性を検討したと ころ、架橋剤の濃度は5%の 時に最も高い固定化率が示 された。こ れは、架橋剤 の濃度5%以上ではアクリルアミドと架橋剤の架橋バランスが崩れ、編み目の大きぃゝゲルネッ ト ワー クを 形成 することによると推定 した。統いて、SCB―キトサ ンの固定化率のアクリルア ミド濃度依 存 性を 調べ た。 そ の結 果ア クリ ルア ミ ド濃度は高いほど固定化率 が高くアクリルアミド濃度50%、架橋 剤 濃 度 5% の ゲ ル は 最 も 高 いSCB― キ ト サ ン の 固 定 化 能 を 有 す る こ と を 示 し た 。   さ ら に 、SCB―キ ト サン 濃度 は3%ー30% の範 囲 でゲ ルに 固定 化出 来 、SCB− キト サン の濃 度が 高 い ゲ ルが 固定 化率 も高いことが明らかに なった。これは、SCB―キト サンの量が増えることによ ルゲルネッ 卜ワークの密 度が高くなり固定化される 量も多くなると推定した。そ こで、上述したアクルルアミド濃度 50%、 架橋 剤5%、硫酸基の置換度1.8のSCB−キトサンを25%で混 合して調製したゲルを用い 金属イオン の 吸着 能や 吸着 特 性を 調べ てい る。 こ のゲルを45回繰り返し洗浄 した後、カラムに積め、塩 酸とナトリ ウ ムイ オン を用 い ク口 マト グラ フイ ー による30回繰り返しイオン 交換能の耐久性を評価した 結果、イオ ン 交 換 能 は 一 定 で あ る こ と か ら 耐 久 性 の 優 れ た ゲ ル で あ る こ ・ と が 明 ら か に し た 。   続いて、金 属イオン混合溶液でゲルの 金属イオン吸着特性を調ベ結 果、ゲルにはイオン半径の大きいバ リ ウム イオ ンが 高い選択性で吸着出来 ることが分かった。また、 この50%のゲルの硫酸基1モ ル当たりに 0.200モルの 金属イオンが吸着され、SCB―キトサンゲルのイオン交換 能はSCB―キトサンの90%に達した。

さ らに 、ゲ ルの 酸・アルカリ滴定を行 った結果、滴定曲線はSCBー キトサンやゲルだけの場合 と比ベ、pH 7以下では形 の違いゝが認められないがpH7以上では明確な滴定終点が 見られなかった。これはゲルの中に 埋没されてい るカルボキシル基を中和す るために、ゲルネットワーク の中まで水酸化ナトリウムの浸透速 度 が遅 いか らだ と示唆される。以上の 結果からSCB―キトサン分子 全長の約10%はゲル中に埋 没され、ゲ ルの表面に多 くのSCB―キトサンが露出し ていることを確かめている 。

  この様に機 能性天然高分子をポリアク リルアミドにアンカリングさ せることにより、効率の良い金属イ オン吸着能を 保持しながらかつ高い選択 性等新しい特性を付与出来る 事が判明した。さらに、アンカリン グ法で作られ た樹脂は官能基を持つ分子 がゲルの表面に存在している ため自然界で容易に分解出来ると期 待している。 以上、アンカリングという 非常に単純な手法で水溶性高 分子をゲル上に固定化出来、機能性 を 持っ たハ イプ リ ッド ゲル が調 製出 来 るこ とが 示唆 さ れた 。本 研究では金属イオン吸着能を 有するSCB 一キトサンの 固定化について調べたが、 様々な水溶性ポリマーへも応 用可能で新しいりサイクル可能な高 分子材料開発 の道を拓くものと考える。

  よって審査 員一同は、申請者が博士( 地球環境科学)の学位を受け るにふさわしい資格を有するものと 判定した。

1166

参照

関連したドキュメント

電気集塵部は,図3‑4おに示すように円筒型の電気集塵装置であり,上部のフランジにより試

 この論文の構成は次のようになっている。第2章では銅酸化物超伝導体に対する今までの研

び3の光学活`性体を合成したところ,2は光学異`性体間でほとんど活'性差が認め

たらした。ただ、PPI に比較して P-CAB はより強 い腸内細菌叢の構成の変化を誘導した。両薬剤とも Bacteroidetes 門と Streptococcus 属の有意な増加(PPI

発するか,あるいは金属が残存しても酸性あるいは塩

(F)ハロゲン化誘導体、スルホン化誘導体、ニトロ化誘導体、ニトロソ化誘導体 及びこれらの複合誘導体並びに 29.11 項、29.12 項、29.14 項、

原子炉水位変化について,原子炉圧力容器内挙動をより精緻に評価可能な SAFER コ ードと比較を行った。CCFL

J2/3 ・当初のタンク設置の施工計画と土木基礎の施工計画のミスマッチ