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履歴型ダンパー付骨組の静的解析による簡易設計法に関する研究 [ PDF

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Academic year: 2021

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(1)履歴型ダンパー付骨組の静的解析による簡易設計法に関する研究. 大角 建 図 1 に示すように,ダンパーの動的なエネルギー吸. 1.序論 近年,阪神淡路大震災を契機に,震災時における建. 収を考慮した剛塑性の層せん断力-層間変形角と等価. 物の機能確保,経済的損失の軽減や主体構造の損傷回. な変形制御能力を持つ等価骨組を考え,これを媒介と. 避などの性能が求められるようになってきた.その要. してダンパーの動的な制振効果を考慮した等価エネル. 求に対して,損傷を制振部材に集中させ,主体構造の. ギー係数を定義する.. 損傷を抑える制振構造が有効であると考えられている.. ダンパーの動的なエネルギー吸収を考慮したダンパー. 現在,高さ 60m超の建築物については時刻歴応答解析. の耐力が Qd’であり,これが実際には Qd=Qd’/γ のダン. によって設計されるので制振構造とすることが一般的. パー耐力で済むことから,等価エネルギー係数はダン. であるが,高さ 60m以下の建築物については静的設計. パーの制振効果を反映するための耐力の低減率である. 法により設計されるため,限られた建物にしかダンパ. と考えて良い.等価骨組とダンパー付骨組のエネルギ. ーは使用されていない.これまで筆者らは 60m 以下の. ー等価条件より γ は(1)式で求められる.. γ =. 中低層の建築物にもダンパーを普及させるために静的 1). 解析による簡易なダンパー設計法. を提案することを. ∆Q f. (1). 2 Qd. 目的として研究を行ってきた.その中で使用する地震 波を LA20 波とし,その応答の評価については平均値. 3.解析概要. によって設計法の精度を検証してきた.しかし,実際. 解析はファイバーモデルの柱梁要素を用いた弾塑性. には地震波による 20 波分の応答のばらつきがあり,こ. 骨組に対する静的および地震応答解析である.静的解. れを適切に考慮しなければ危険側のダンパー設計とな. 析における外力分布は Ai 分布とし,劣化域は変位制御. る場合がある.そこで本研究では,地震波による応答. とする.地震応答解析は Newmark の β 法(β=0.25)を用. のばらつきを考慮した履歴型ダンパーの静的設計法を. いた微少時間刻みに対する増分解析で,各増分段階で. 提案する.. は Newton-Raphson 法による収束計算を行い,不釣り合 い節点力を解消する.減衰は,減衰定数が 1 次の固有 モードに対して 2%の剛性比例型である.また,鉛直荷. 2.履歴型ダンパーの等価エネルギー係数 ダンパーの制振効果を静的に扱うために,等価エネ. 重は柱梁接合部への集中荷重とした.. 1). 地震応答解析の入力地震波は LA40 波 2)の PGV を 50,. ルギー係数 という概念を導入する.. 波に対する最大応答の平均値を用いて評価する.LA40 波の PGV を 50cm/s に基準化した地震波の減衰定数 2% の速度応答スペクトルを図 2 に示す.. 等価骨組. 250. ∆Qf. ダンパー 付骨組. 40 波平均値. 200 SV (mm/s). 最大応答層せん断力. 75,100cm/s に基準化したものとする.応答値は各地震. Qd’=γQd Qd Qf Rtar. 150 100 50. 純骨組. Rf 0. 最大応答層間変形角. 0. 1. 2. 3. 4. 5. T (s). 図 1 等価エネルギー係数の定義. 図 2 LA40 波速度応答スペクトル(2%-50cm/s). 54-1.

(2) 使用鋼材は SN490 であり,スケルトンは図 3(a)に示す. に対応する γ の平均的な値として 4.5 をダンパー設計に. ように形状の違う 2 種類の Menegotto-Pint モデルを重ね. 用いる.. 合わせたものを用いる.σy は降伏応力度,Es は鋼材の ヤング係数(205000MPa),σu は引張応力度,R1,R2 は履 歴曲線の形状を表す係数である.また,履歴曲線 3)を図 3(b)に示す.スケルトン部分の移動量は,反転前の塑性 ひずみ増分 ∆εp に係数 Ψ=0.8 を乗じて決定する.. 4.5. 図 5 等価エネルギー係数 γ の算定結果 (a)鋼材のスケルトン. (b)鋼材の履歴曲線 5.ダンパー設計法の概要. 図 3 鋼材の応力-ひずみ関係 5.1 ダンパー設計法① ダンパー設計①では,多質点系を 1 質点系に縮約し,. 4.等価エネルギー係数の算定 図 4 のよ うな単 層単 スパン の骨 組解析 によ り,. 代表点の層間変形角を目標値に近づけるためのダンパ. 2. 100N/mm 級のせん断パネルダンパーの等価エネルギ. ー耐力を求める.解析モデルの静的解析の結果と変位. ー係数を求める.ダンパーモデルは完全弾塑性である.. 応答スペクトルから求められる必要水平耐力 Qn と純骨. 解析変数は表 1 に示すように純骨組の固有周期 Tf,ダ. 組のベースシアーQB,等価エネルギー係数 γ から必要. ンパーの水平力分担率 β,目標層間変形角 Rtar とする.. ダンパー耐力 Qd を求める.. ダンパー付骨組の層間変形角が Rtar のときにフレーム. なお,1 質点系の代表高さ He はここでは簡単のため. およびダンパーが負担する水平力をそれぞれ Qf ,Qd. 建物高さの 2/3 倍とする.. としたとき,β を(2)式で定義する.. 5.2 ダンパー設計法②. β =. Qd. ダンパー設計②では,①で設計したダンパー耐力を. (2). Q f + Qd. もとに各層の層間変形角を目標値に近づけるためのダ. 等価エネルギー係数の算定に用いる地震波は LA40. ンパー耐力を求める.. 波のうち LA01~LA20 の 20 波を基準化したものとし, 応答は 20 波の平均によって評価する.. ①のダンパー付骨組の層間変形角の動的応答につい ては,純ラーメン骨組の静的解析で代表点変位が目標 値 ∆dtar に達したときの各層の層間変形角 Ri で評価でき. 図 5 に解析結果を示す.本研究ではダンパーの水平 力分担率の値として一般的な値とされる 0.1~0.2 付近. ると仮定する.①で設計したダンパー耐力の修正倍率 sD,i を(4)式で求める.(4)式は,速度一定領域ではエネル ギーが一定になることから,(3)式のように最大層間変 形角と最大層せん断耐力の積が一定になると仮定して 得られる.. (Q f , i + γQd , i ) ⋅ Ri = (Q*f , i + γQd* , i ) ⋅ Rtar , i (a) 等価骨組. s D ,i =. (b) ダンパー付骨組 図 4 解析モデル. β 0.05 0.10 0.15 0.20 0.30 0.40. Qd ,i. Q f ,i  = 1 +  γQd ,i. Q *f ,i  Ri ⋅ −  R  tar ,i γQd ,i. Qf,i:応答修正前の第 i 層のフレーム部分の. 表 1 解析変数 Tf 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0. Qd* ,i. R tar. 層せん断耐力 Q. *. 1/300. f,i:応答修正後の第. i 層のフレーム部分の. 層せん断耐力 1/150. Qd,i:応答修正前の第 i 層のダンパー耐力. 1/100. Q*d,i:応答修正後の第 i 層のダンパー耐力. 54-2. (3). (4).

(3) 6.地震波のばらつきの評価. は変位応答が正規分布にしたがっているとは言えない. 4). と判断される.図 6 において χ2/ c1-α, f が 1.0 を超える場. 6.1 カイ二乗検定 によるばらつきの評価 これまでの研究では LA20 波の平均値によって応答. 合は全体の 5%以下であり,変位応答は十分に正規分布. を評価してきたが,本研究では信頼性を高めるために. にしたがっていると判断できる. PGV=50cm/s,減衰. LA40 波を使用する.. 定数 h=4.0%の場合だけでなく,他の解析変数でも同. 地震波のばらつきを次のようにして評価する.. 様の結果が得られた.. まず,周期ごと(T=0.5~3.0,∆T=0.01)に変位応答の. 2 値を 40 波分抽出する.その 40 例の変位応答が正規分 布にしたがうと仮定しその成否をカイ二乗検定によっ. 1.5 χ2/C1-α,f. て検証する 4). 以下にカイ二乗検定による検証の過程を示す. 周期ごとに変位応答の平均値 µ,標準偏差 σ を算. 1). 1. 定し,対応する正規分布のグラフを作成する.. 0.5 2). 変位応答が正規分布にしたがうと仮定したとき の変位応答の観測度数 O と LA40 波から抽出した. 0 0.5. 理論度数 E を用いて(5)式によって,データ区間ご. 1. とに χ2 の値を算定する.ただし,データ区間幅は. 2.5. 3. 図 6 カイ二乗検定算定結果 (PGV=50cm/s h=4.0% α=0.05). 理論度数が 5 以上となるように調整する.. (O - E )2. χ2 = ∑ . 1.5 2 T(sec.). (5). E. 7.地震波のばらつきを考慮した設計法 7.1 設計用変位応答スペクトルの作成方法. (6)式によって自由度 f を算定し,有意水準 α を. 3). 定め,この f,α に対応する棄却限界値 c1-α, f. 6 章で正規分布にしたがうと評価された地震波のば. 4). らつきを考慮して設計法の中で使用する設計用変位応. を求. める.ここで n はデータ区間の数を表す.. f = n −1. 答スペクトルを作成する. 各周期において考慮する変位応答の大きさを Dtar,変. (6). 位応答の平均値を Dµ,標準偏差を Dσ とし,. 2. χ が c1-α, f より小さければその周期の変位は正規分布. Dtar = Dµ + a ⋅ Dσ. (7). にしたがっていると判断する. 1)~3)の手順を周期の分だけ繰り返すことによって. と定義すると,変位応答が正規分布にしたがっている. 0.5~3 秒までの変位が正規分布にしたがっているかど. ことから,a=1.0 で 68%,a=2.0 で 95%,さらに a=. うかを検証する.. 3.0 で 99%の地震波の変位応答を包含することとなる.. 2. 6.2. χ の算定結果. この Dtar を各周期でプロットし,それを直線近似した. 6.1 節で示した算定方法により α=0.05 としてカイ二. ものを設計用変位応答スペクトルとする.. 乗検定を行う.. 7.2 作成した設計用変位応答スペクトルの考察. 表 2 がその解析変数であり,図 6 に PGV=50cm/s,. 図 7 に作成した設計用変位応答スペクトルを示す.. 減衰定数 h=4.0%の場合の結果のみ示す.ただし,減 a=2.0. 衰定数は静的設計法の中で算定され,その算定結果に したがって各 PGV に対応する減衰定数を用いる.. a=1.0. 表 2 解析変数. a=0.0. 地震波. PGV(cm/s). 減衰定数h (%). LA40. 50 75 100. 4.0 5.5 6.0. BCJ-L2 2. 図 6 は縦軸に c1-α, f に対する χ の割合,横軸に周期をと ったものである.縦軸の値が 1.0 を超えるとその周期で 図 7 設計用変位応答スペクトル. 54-3.

(4) a=0.0 は Dtar の定義より LA40 波の変位応答スペクトル. 平均. LA01~LA20. 目標層間変形角. 3. の平均である.a=1.0,2.0 の曲線は直線近似する前の ものであるが,40 波を平均することで概ね直線に近い. 層. 形となっている.これは近似する際に直線と実際の曲 線との誤差が小さくなる良好な形といえる.. 2. BCJ-L2 の変位応答スペクトルは平均値のものよりも 全体として値が小さくなっているので,平均値を設計 用変位応答スペクトルとすれば, BCJ-L2 よりも安全 1. 側の設計となることがわかる.しかし,LA40 波の各変 0. 位応答スペクトルをみてもわかるように, BCJ-L2 よ. 0.01 RMAX(rad.). (a) a=0.0. り危険側にある地震波は多い.このような変位応答の. 0. 0.01 RMAX(rad.). 0. (b) a=1.0 BRI3-B 骨組. 0.01 RMAX(rad.). (c) a=2.0. 大きな地震波に対応しうるツールとして a=1.0,2.0 な 9. どの設計用変位応答スペクトルを用意しておくことは, 8 7. であると考えられる.. 6. 層. 想定外の地震に対してダンパーを設計するうえで有益. 5 4. 8.解析骨組への設計法の適用 3. 提案する設計法を実際の解析モデルに適用し,地震 2. 応答解析を行う.解析モデルは,図 8 に示す履歴型ダ. 1. 5). ンパー付鉄骨骨組である.BRI3-B,BRI9-B 骨組. 0. は,. 米国 SAC によって提案された 3 層,9 層の骨組を,建. 0.01 RMAX(rad.). (a) a=0.0. 0. 0.01 RMAX(rad.). 0. 0.01 RMAX(rad.). 築研究所が再設計したものである.単位床面積あたり. (b) a=1.0 BRI9-B 骨組. の重量は,地震荷重では 5kN/m2,長期荷重では 8kN/m2. 図 9 ダンパー付骨組の最大層間変形角応答. とし,支配面積の奥行き方向の長さは 9mとする.. (c) a=2.0. (PGV=50cm/s). 地震波は LA40 波の PGV を 50,75,100cm/s に基準 化したものを入力し,それぞれの PGV に対して目標層. 9.まとめ. 間変形角 Rtar を 1/150,1/100,1/75rad.とした.. 本研究では,LA20 波を含む LA40 波の地震波のばら つきについて評価し,それを元にばらつきを考慮した 設計法を提案した.さらに地震応答解析によってその 方法が概ね妥当であることが分かった.これにより, 想定する地震波の大きさを設定できるようになり,設. m 0 5 . 5. (a) BRI3-B. 計者の意思を反映し得るより実用的な設計法となった.. m 0 0 . 9 @ 5. m 0 0 . 9 @ 4. m 0 0 . 4 @ 3. m 0 0 . 4 @ 8. (b) BRI9-B. 図 8 解析モデル 図 9 は a=0.0,1.0,2.0 の場合の BRI3-B,BRI9-B 骨組の LA40 波の最大層間変形角応答であり,入力地 震波を 50cm/s に基準化した場合のみ示す.BRI3-B 骨組 について,a=1.0 で 6 波,a=2.0 で 1 波が Rtar を超えて いる.また BRI9-B 骨組について,a=1.0 で 3 波,a= 2.0 で 2 波が Rtar を超えている.a=1.0,2.0 はそれぞれ 68%,95%の地震波を考慮することを想定しているこ とから,a=1.0 の場合は多少過大評価ではあるものの, 概ね期待通りの結果といえる.. 54-4. 【参考文献】 1)小田和也,河野昭彦,松尾真太朗:履歴型ダンパーの 静的設計法に関する研究,日本建築学会研究報告,九 州支部,1,構造系 (50),pp.225-228, 2011 2) Federal Emergency Management Agency: State of the Art Report on Systems Performance of Steel Moment Frames Subjected to Earthquake Ground Shaking,FEMA-355C, 2000.9 3) 孟令樺,大井謙一,高梨晃一:鉄骨骨組地震応答解 析のための耐力劣化を伴う簡易部材モデル,日本建築 学会構造系論文集,No.437,pp.115-124,1992.7. 4)伊藤學,亀田弘行,能島暢呂,阿部雅人:土木・建築 のための確率・統計の基礎,pp.356-361,2006.1. 5)長谷川隆,高橋賢司,関光雄,長尾直治,向井裕貴, 福田浩司:日米の鉄骨造建物の耐震性能比較,日本建 築学会学術講演梗概集,pp.903-904,1998.9.

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参照

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