(11)
鶴田ダムにおけるボタンウキクサの生活史及び駆除方法の検討
コンサルタント国内事業本部 福岡支店 技術第二部 道家 健太郎 他
○キーワード
ボタンウキクサ、 外来植物、 生活史、 水環境管理、 流域対策
○概要
鶴田ダムの大鶴湖で近年発生しているボタンウキクサは、 全国の淀川 (大阪府) や江津湖 (熊本県) 等において も問題となっている特定外来生物であるが、 その生活史に関する国内外の知見はまだ少ない。 大鶴湖では、 秋季~冬 季に大発生し、 湖面利用の妨げになる等、 大きな問題となっており、 平成 23 年度には年間約 1,800m3のボタンウキク サが駆除された。 本業務では、 鶴田ダムにおけるボタンウキクサの駆除方法の確立を目的として、 発生状況を踏まえて より効率的な発生抑制及び駆除方法を明らかにすることとした。 結果、 6 月末に 40kg 程度の個体が流入しただけでも、
9 ~ 10 月には約 650 トンに増殖することが明らかとなったこと、 過去 5 年の結果をみても出水や上流の堰操作と同時期 に繁茂が確認されていることから、 上流域からの小株が大鶴湖に流入し、 その後、 大量に繁茂していると考えられた。
以上のことから、 ボタンウキクサの駆除は、 大鶴湖内に流入した後、 早期に回収することが重要であるとともに、 供給源 対策として地域連携のあり方を提示した。
○技術ポイント
① 発生メカニズムの解明 : 大鶴湖内で大量発生しているボタンウキクサが、 上流から流入しているのか大鶴湖内で 発生しているのかによって、 対策の方針は大きく変わると考えられた。 このため㋐~㋒の調査により、 大鶴湖にお ける発生メカニズムを確認することとした。
㋐大鶴湖上流にボタンウキクサの供給源となる水域を対象に踏査を行い、 上流の堰の湛水域や湧水由来で冬季に も水温が高いため池で本種の越冬を確認した。
㋑大鶴湖内でボタンウキクサが発芽する可能性を確認するため、 湖岸の土壌のまき出し試験を実施した結果、 湖 岸には本種の種子が少ないあるいは発芽能を有した種子が少ないことが分かった。
㋒月1回程度の現地確認では、 流入または発生のタイミングや箇所が把握できないため、 インターバルカメラを大 鶴湖の内部が確認できる位置及び流入時通過するであろう上流の堰に複数設置し定点観察を行った。 この結果、
大鶴湖への大群落での流入は確認できなかった。
② 増殖速度の確認 : ボタンウキクサが 、 大発生する前に対策を実施することが効率的であること 、 種子ができる前に 駆除することが効果的であることから、 ボタンウキクサの繁殖ステージ等の季節変化を把握し、 生活史を確認する こととした。 増殖速度については、 隔離水塊を用いて個体毎に発育段階 、 サイズ 、 湿重量及び個体密度を観測 した結果、 6 月末に 40kg 程度の個体が流入しただけでも、 9 ~ 10 月には約 650 トンに増殖し大発生する可能性 があることが分かった。
③ 増殖メカニズムをもとにした駆除方法の提示 : 大鶴湖におけるボタンウキクサの発生メカニズムについて、 現地調 査結果に基づいて駆除方法を整理した。 大鶴湖内でのボタンウキクサの増殖速度が速いため、 流入後可能な限 り早期に回収することに加え、 供給源である上流の発生地での対策の必要性を整理した。
○図 ・ 表 ・ 写真等
大鶴湖及び上流域におけるボタンウキクサの発生状況
大鶴湖におけるボタンウキクサの発生メカニズムについて、 現地調査結 果に基づいて整理した。 この結果、 大鶴湖内で発生している可能性は低く、
上流域からボタンウキクサの小株が大鶴湖に流入し、 その後、 大量に繁茂 していると考えられた。
大鶴湖におけるボタンウキクサの駆除については、 大鶴湖での本種の生 活史を踏まえた対策の他、 上流での対策案についても整理した。
㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌 㻌
大鶴湖でのボタンウキクサ大発生の状況㻌
ため池での発生状況㻌 成長したボタンウキクサ㻌
大鶴湖でのボタンウキクサ大発生の状況㻌
仮説① 大鶴湖内で越冬 越冬個体
の有無
大鶴湖で秋季に大量繁茂 発生
仮説② 大鶴湖内で発芽
仮説③ 上流から 大量に流下 冬季の
水温条件 発芽個体
の有無
埋土種子の有無、
発芽能の把握 上流からの
流下状況
仮説④ 上流から小株が分散して流下 供給源の
有無
大鶴湖内で 越冬していない
大鶴湖内で 発芽していない
上流から大量に 流下していない
流下の タイミング 増殖速度
越冬可能な 水温以下
湖内で 確認なし
埋土種子はない or発芽能小さい
大量流下 確認なし 湖内で
確認なし
陣の池、
湯之尾堰等 の可能性
出水時、堰の操 作後に湖内で
発生を確認 少量から でも秋季 に急増
上流から小株が分散流入 その後大量繁茂
大鶴湖におけるボタンウキクサ発生メカニズム検討の流れ