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4K 映像によるユーザ体験の評価 Evaluation of User Experience by Viewing 4K Images

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Academic year: 2021

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4K 映像によるユーザ体験の評価

Evaluation of User Experience by Viewing 4K Images

1W110383-2 西部 杏奈 指導教員 河合 隆史 教授

NISHIBU Anna Prof. KAWAI Takashi

概要: 本研究は、4K映像観察時における心理的影響を明らかにするという目的の元、ユーザ体験の評価を行っ た。実験には、65型の4Kディスプレイを用いて、6つのコンテンツの静止画と動画に関して、フルHD4K の比較と、コンテンツの特徴によるユーザ体験の比較を行った。評価方法は、好ましさに関する一対比較と評価 グリッド法によるインタビューを行い、各コンテンツにおける評価構造を明らかにした。一対比較の結果から、

4KはフルHDと比較して有意に好まれるという基本特性が得られた。また、評価グリッド法の結果から、4K 像は質感・構造が分かることでコンテンツの特徴理解に繋がること、拡大したい・触りたい・近づきたいという ような能動体験を生みだすこと、立体感・奥行き感が分かることで没入体験を生みだす可能性が示唆された。

キーワード:4K、高解像度、フル HD、2K、ユーザ体験

Keywords: 4K, high-resolution, full high-definition, 2K, user experience

1.はじめに

現在、多くの企業が 4K テレビの技術開発を積 極的に行っている。4K テレビは従来のフル HD の 4 倍の解像度を有しており、総務省では、2020 年の東京オリンピックまでに、高解像度な映像を 各家庭で楽しめる環境が整うことを目指してい る。しかし、高解像度な映像の心理的影響に関す る研究はあまり行われていない。そこで、本研究 では 4K 映像と従来のフル HD(以下、2K)映像の 比較を行うことで、4K 映像が与えるユーザ体験 を明らかにすることを目的として、評価実験を行 った。

2.評価指標

好ましさに関する一対比較と評価グリッド法に 基づいたインタビューを行った。インタビューの 際、予備実験にて得られた知見を元に、次の 7 つの評価項目を設定した。

・画像を拡大したみたい

・画像に近づきたい

・画像の質感が分かる

・画像の構造が分かる

・実物が目の前にあるように感じる

・立体感・奥行き感を感じる

・画像に手を伸ばしたい

選好した理由をこの中から自由選択させ、選択理 由をインタビューし、評価構造を明らかとした。

3.実験環境及び実験刺激

映像呈示には 65 型 4K テレビ(XBR-65X900A)

を使用し、全て暗室で行われた。視距離は 121cm

(1.5H)に設定した。

予備実験より、パンフォーカスである・奥行き 感がある・細かい表現が多いコンテンツは、4K が好まれやすいという知見を得たため、実験には 以下のような 6 種類のコンテンツを用意した。ま た、カメラワークによる影響を比較するため、静 止画と動画の両方を用いて実験を行った。

表 1. 実験刺激の特徴

コンテンツ名 コンテンツの特徴 画像の特徴

女性 近景 グロスを塗る動き

ペイント 近景 動きなし

書架 中景 ズームイン

マッターホルン 中景~遠景 人、車の移動

(画面下部)

東京スカイツリー 遠景 空撮・ゆっくり旋回 ヨットハーバー 遠景 クレーンアップ

それぞれ 4K 画像と 2K 画像を用意した。2K 画像 に関しては、4K 画像を 2K サイズに圧縮したもの を再び 4K サイズに拡大し、4K と同じ画像サイズ で解像度だけが変化するようにした。

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4.被験者及び実験手順

被験者は 18~24 歳までの大学生男女 20 名であっ た。実験に先立ち、インフォームドコンセントを 行い、視機能測定を行った。刺激呈示は、4K 画 像・2K 画像をそれぞれ、3 秒間のブランクを挟ん で 10 秒間呈示した。その後、好ましいと感じた 画像を 7 件法で選択させ、選択項目を用いてイン タビューをした。その後、映像観察中の注視箇所 を記入させた。これで 1 試行が終了する。順序効 果を考慮し、4K 画像と 2K 画像の順序を入れ替え た場合も行った。また、同一被験者で静止画の実 験後、別日に動画の実験を行った。

5.結果と考察

一対比較に関して、Wilcoxon の符号付順位和 検定より、女性の静止画を除いて 4K が有意に好 まれた(p<.05)。ここでは、特徴的な知見が得ら れた女性、書架、ヨットハーバーについて、評価 構造モデルを作成した結果を述べる。

(1) 女性

静止画は、4K と 2K の選好には有意差が認めら れなかった。4K について評価構造モデルを作成 した所、質感の認識が「心理的な距離の近さを感 じる」、「面白い」などのユーザ体験を生むことが 分かった。一方で、2K を選好した理由としては、

「質感が好み」「写真にマッチしている」などが 挙げられ、4K と 2K で好みが分かれる結果となっ た。動画は、「違いがわからなかった」と回答し たのが、40 回試行中 22 回となり、動画は 4K と 2K の差が知覚しづらくなる可能性が示唆された。

(2) 書架

どちらも 4K が有意に好まれ、動画になることで 4K が選好されやすくなることが分かった。

図 1. 書架静止画の一対比較結果(4K 選択時)

4K 選択時における評価構造モデルを作成した。

質感・構造の認識が「画像に手を伸ばしたい」と いう能動体験や、「実物が目の前にあるように感 じる」、「分かりやすい」などのユーザ体験を生む。

加えて動画は、「拡大したい」、「近づきたい」と いう能動体験を生むことが分かり、これはズーム インの運動視差による効果であると言える。

(3) ヨットハーバー

どちらも 4K が有意に好まれたため、4K 選択時 における評価構造モデルを作成した。静止画に関 しては、質感の認識が「実物が目の前にあるよう に感じる」、「気持ちが良い」などのユーザ体験を 生む。動画に関しては、奥行き感の認識が「実物 が目の前にあるように感じる」、「自分の目で見て いる感覚がする」という没入体験を生む。クレー ンアップの運動視差により、遠方に視線が集まっ たことが、奥行き感の認識に繋がったと考えられ る。一方で、4K は「細かい表現が見えすぎて不 快」という意見が多く得られ、ディテール感と選 好は必ずしも一致しない可能性が示唆された。

6.まとめ

4K は 2K よりも選好される

質感・構造・奥行き感の認識が容易になる

拡大したい、近づきたい、触りたいなどの能 動体験が可能となる

立体感・奥行き感の認識により、没入体験が 可能となる

カメラワークの運動視差によって没入体験 が増幅する

ディテール感と選好は必ずしも一致しない 今後は、ディテール感と選好の関係性について、

画像解析を行うことで明らかにしたい。

図 2. 書架動画の一対比較結果(4K 選択時)

参照

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