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相対的貧困率の動向:

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Academic year: 2022

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(1)

子どもの貧困率の動向:

2012 から 2015 と長期的変動

阿部 彩

首都大学東京 子ども・若者貧困研究センター

2019年2月公表

(2)

本報告は、厚生労働省の許可を受けて、厚生労働省「平成25年、28年国民生活 基礎調査」の個票を用いて推計されたものです。(承認番号:平成29年9月25 日 厚生労働省発政統0925第3号)。

本報告は科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(基盤研究(B))「「貧 困学」のフロンティアを構築する研究」(平成29~32年度、代表者:阿部 彩)の一環として行っています。

本報告の数値を引用する場合は、必ず、以下の引用元を明記してください。:

阿部彩(2018)「日本の相対的貧困率の動態:2012から2015年」科学研究費助成事 業(科学研究費補助金)(基盤研究(B))「「貧困学」のフロンティアを構築する 研究」報告書

【問い合わせ】

首都大学東京 人文社会学部 人間社会学科 社会福祉学教室

〒192-0397 東京都八王子市南大沢1-1 5号館255号室 阿部彩研究室 Tel: 042-677-2126

E-mail : [email protected] 子ども・若者貧困研究センター 5号館358号室

Tel: 042-677-2065

(3)

相対的貧困率の定義

『国民生活基礎調査』にて用いられている相対的貧困率の定義 は、世帯可処分所得(世帯内のすべての世帯員の所得を合算)

を世帯人数で調整した値(等価世帯所得)の中央値の50%*を貧 困線として、これを下回る世帯可処分所得の世帯に属する人の 割合です。

可処分所得とは、勤労所得、事業所得、金融所得などから、所 得税などの諸税、社会保険料を差引き、公的年金、児童手当、

生活保護などの社会保障給付を足した値です。

この方法は、OECDなどで用いられている国際的に最も普及して いる相対的貧困率の推計方法です。

本報告でも同じ定義を用いています。

* EUでは60%を基準としています。

(4)

12.0

13.2 13.5 13.8 14.6 15.3 14.9 15.7 16.0 16.1

15.7

10.9

12.9 12.8

12.2

13.4 14.4

13.7 14.2

15.7 16.3

13.9

8.0 9.0 10.0 11.0 12.0 13.0 14.0 15.0 16.0 17.0

1985 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 2009 2012 2015

相対的貧困率 子どもの貧困率

日本の相対的貧困率(厚労省の公式発表)

このグラフは、厚生労働省が『国民生活基礎調査』の大調査年(3年毎)

のデータを用いて相対的貧困率を公表しているものです。本報告において は、同じデータを用いて、より詳細な子どもの属性(年齢、世帯タイプ 等)別の相対的貧困率を見ていきます。

4 出所:厚生労働省(2017)『平成28年国民生活基礎調査 結果の概況』

(5)

年齢層別の貧困率

(6)

年齢3階層別 長期的な貧困率の動向:1985→2015

過去30年間において、高齢者(特に男性)の貧困率は減少した。

子ども(20歳未満)については、2012年まで(景気によるアップダウンは あったものの)上昇傾向が続いている。2015年は、2012年より減少した が、この長期的トレンドが止まったものかどうかは現時点ではわからな い。

11.3%

13.0% 14.8%

13.7%

16.8% 16.4%

14.8%

10.7% 12.3% 13.5%

15.3%

15.7%

16.8%

14.0%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

1985 1994 2003 2006 2009 2012 2015

相対的貧困率(年齢3層別):1985-2015

20歳未満(男) 20歳未満(女) 20-64歳(男)

20-64歳(女) 65歳以上(男) 65歳以上(女)

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(7)

子どもの貧困率:年齢層別( 2012→2015 )

• 2012年から2015年にかけて、子どもの貧困率はすべての年

齢層で減少。

• 15-17歳、18-19歳にての減少幅が特に大きい。

14.0% 15.6% 14.9% 16.6% 17.5% 18.1% 19.6%

11.8% 13.8%

12.1% 14.3% 15.6% 14.6% 15.8%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

0-2歳 3-5歳 6-8歳 9-11歳 12-14歳 15-17歳 18-19歳

子どもの貧困率:年齢層別

2012 2015

-2.25% -1.79% -2.87% -2.37% -1.84% -3.49% -3.80%

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(8)

子どもの貧困率:年齢層別( 1985→2015 )

過去30年間に、子どもの貧困率はすべての年齢層で増加。

1985年は子どもの年齢層による貧困率の違いは小さかったが2006年をピークに拡大。

年齢の高い層の方が、増加幅が大きい。特に、20-24歳の貧困率が1985→2003年に急増。

0-4歳は2006年をピークに下降している

0%

5%

10%

15%

20%

25%

1985 1994 2003 2006 2009 2012 2015

0-24歳の貧困率:1985-2015

0-4歳 5-9歳 10-14歳 15-19歳 20-24歳

20-24歳

0-4歳

15-19歳 10-14歳 5-9歳

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(9)

出所:文部科学省(2018) HP

1985 2015

参考

(10)

世帯タイプの変化と

世帯タイプ別の貧困率

(11)

子どもの貧困率:世帯構造別( 2012→2015 )

世帯構造別では、依然として「ひとり親と未婚子のみ」が高くなっている が、約10%の減少となっており、減少幅が大きい。

「夫婦と未婚子のみ」「三世代世帯」もそれぞれ減少している。

「その他世帯」のみ、上昇が続いており、その上昇幅も大きい。

11.4%

53.1%

15.2%

32.6%

9.7%

43.6%

12.8%

43.1%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

夫婦と 未婚子のみ

ひとり親と 未婚子のみ

三世代世帯 その他世帯

子どもの貧困率:世帯構造別

2012 2015

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(12)

子ども(20歳未満)の貧困率の推移:

世帯タイプ別

• 1985年と比べると、「ひとり親と未婚子のみ」世帯以外は上昇傾向が続く。

しかし、「ひとり親と未婚子のみ」世帯の貧困率が突出して高い構造は変わ らない。30年かかっても、ひとり親と未婚子のみの世帯の貧困率は3.3%しか 減っていない。

8.7%

46.9%

11.8% 18.6%

10.3%

57.9%

11.1%

31.5%

11.4%

53.1%

15.2%

32.6%

9.7%

43.6%

12.8%

43.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

夫婦と未婚子のみ ひとり親と未婚子のみ 三世代世帯 その他世帯

子どもの貧困率:世帯タイプ別

1985 2004 2012 2015

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP 12

(13)

子どもの属する世帯タイプの推移

• 増えているのは最も貧困率の低い「夫婦と未婚子のみ」世帯

• ひとり親と未婚子のみ世帯は増えているものの、未だに少ない

• 減っているのは「三世代世帯」

65.4 65.4 65.3 65.1 65.6 66.1 68.5 69.2 70.3 72.0 71.6 73.6 73.5 4.2 4.1 3.8 4.3 4.5 5.1 5.7 6.8 6.6 7.5 7.4 7.3 6.9 27.0 26.9 27.2 26.9 26.4 24.7 22.5 20.0 18.8 16.3 17.5 16.0 14.7

10%0%

20%30%

40%50%

60%70%

80%90%

100%

昭和61

平成元

10 13 16 19 22 25 26 27 28

児童のいる世帯の世帯構造

夫婦と未婚 の子のみの 世帯

ひとり親と 未婚の子 のみの世帯

三世代世帯 その他の

世帯

出所:厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」

(14)

詳細世帯タイプ別:二世代世帯 vs. 三世代世帯

• 三世代世帯は、二世代世帯に比べ、若干、貧困率 が低い

10.5% 9.7%

48.3%

39.8%

22.4%

12.5%

25.4%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

ふたり親(二世代)世帯 ふたり親(三世代)世帯 母子(二世代)世帯 母子(三世代)世帯 父子(二世代)世帯 父子(三代)世帯 その他

子どもの貧困率:詳細世帯タイプ別(2015)

出所:阿部彩(2018)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(15)

貧困の子ども( 20 歳未満)の世帯タイプ

• 貧困の子どもの、最も多い世帯タイプは「夫婦と未婚子 のみ」世帯。

• 1985年との違いは三世代世帯の縮小とその他世帯の拡大

15

51% 21% 13% 15%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2016

夫婦と

未婚子のみ

ひとり親と 未婚子のみ

三世代世帯 その他世帯

50% 17% 28% 6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1986

夫婦と

未婚子のみ

ひとり親と 未婚子のみ

三世代世帯 その他世帯

出所:阿部彩(2018)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(16)

就業状況の変化

(17)

親の就労状況(ふたり親世帯):2012 → 2015

ふたり親(二世代)世帯では「仕事+パート」の組み合わせが「仕事+

無職」。

ふたり親(三世代)は「主に仕事+パート」が大きく減少しているが、

この要因は不明であり要確認。

31.1%

33.3%

28.3%

31.5%

39.8%

34.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H25 H28

ふたり親(二世代)世帯:父母の就労状況

父母共に主に仕事 主に仕事+パート 主に仕事+無職

49.9%

51.7%

22.4%

23.3%

25.5%

22.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

H25 H28

ふたり親(三世代)世帯:父母の就労状況

父母共に主に仕事 主に仕事+パート 主に仕事+無職

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(18)

親の就労状況別貧困率(ふたり親世帯):2012 → 2015

• ふたり親(二世代)世帯は、どの就労タイプでも貧困率が減少。

• ふたり親(三世代)は「主に仕事+パート」が大きく減少してい るが、この要因は不明であり要確認。

9.1%

11.7% 11.7%

8.2%

12.6%

16.0%

8.4% 9.8% 9.0% 9.4%

4.8%

16.7%

0% 2%

4% 6%

10% 8%

12% 14%

16% 18%

父母共に主に仕事 主に仕事+パート 主に仕事+無職 父母共に主に仕事 主に仕事+パート 主に仕事+無職

ふたり親世帯:H25、H28

H25 H28

ふたり親(二世代)世帯 ふたり親(三世代)世帯

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(19)

働いている母子世帯の子どもの貧困率:2012 → 2015

• 働いている母子(二世代)世帯においては、貧困率 が低下。母子(三世代)世帯においては、増加。

46.0%

55.8%

31.2%

23.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

H28 H25

「主に仕事」の母子世帯の母親の就労状況別の子どもの貧困率

母子(二世代)就労 母子(三世代)就労

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(20)

都市規模別

(21)

子どもの貧困率:都市規模別 2012 から 2015

子どもの貧困率が低いのは、「大都市」

• 2012年から2015年にかけて、大都市以外の都市規模の都市においては、子ど

もの貧困率が減少した。その結果、都市規模別の差は縮小している。

大都市においては、若干の貧困率の上昇。

13.3%

17.3% 18.0% 18.0% 17.0%

13.8% 14.6% 14.3% 16.1%

14.1%

0%2%

4%6%

10%8%

12%14%

16%18%

20%

大都市 人口15万人以上 人口5~15万人 人口5万未満 郡部

子どもの貧困率:都市規模別

2012 2015

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(22)

再分配の状況

(23)

子どもの再分配前後の貧困率 (2015)

再分配前後の子どもの貧困率を見ると、0-2歳においては2.5%、3-5歳 においては1.1%再分配後の貧困率の方が再分配前より高い。

他の年齢層では、貧困率の減少は0.3%から1.5%の減少。

9.3%

12.7% 12.3%

14.9%

17.2%

16.1% 17.1%

11.8%

13.8%

12.1%

14.3% 15.6%

14.6% 15.8%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

20%

0-2歳 3-5歳 6-8歳 9-11歳 12-14歳 15-17歳 18-19歳

子どもの貧困率:再分配前後(2015)

再分配前 再分配後

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

(24)

子どもの再分配前後の貧困率:ふたり親世帯 (2015)

再分配前後の子どもの貧困率を見ると、ふたり親(二世代)世帯においては、

すべて再分配後の方が再分配前より貧困率が高くなっている(逆機能)

ふたり親(三世代)は祖父母の年金給付などがあるため、再分配が働いてい るが、1人が無業またはパートの場合はあまり効いていない。

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP

6.8% 7.7% 6.8%

12.0%

4.8%

17.1%

8.4% 9.8% 9.0% 9.4%

4.8%

16.7%

0%

5%

10%

15%

20%

父母共に主に仕事 主に仕事+パート 主に仕事+無職 父母共に主に仕事 主に仕事+パート 主に仕事+無職

ふたり親世帯:両親の就労状況別(H28)

再分配前 再分配後

ふたり親(二世代)世帯 ふたり親(三世代)世帯

(25)

母子世帯の子どもの再分配前後の貧困率 (2015)

再分配前後の子どもの貧困率を見ると、どの就労タイプ(実際は

「主に仕事」が4分の3を占める)も、再分配機能が働いている。

しかし、「主に仕事」では10ポイントの減少しかない。

出所:阿部彩(2019)「子どもの相対的貧困率の動態:2012から2015年」貧困統計HP

50.5%

81.6%

65.7%

40.8%

79.2%

35.9%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

主に仕事 主に家事他+仕事 無職

母子世帯の再分配(2015)

再分配前 再分配後

(26)

母子世帯の再分配前後の貧困率

母子世帯(定義1)の貧困率は、2012年から2015年にかけて減少した。

この減少は再分配前の貧困率の低下によるところが大きい。

母子世帯(定義1)とは、20歳未満の子と65歳未満の母親のみから なる世帯。

61.8% 66.3%

57.9%

60.4%

51.9% 47.6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

1985 2012 2015

母子世帯(*)の再分配前後の貧困率

再分配前 再分配後

出所:阿部彩(2019)「子どもの貧困率の動向:2012から2015と長期的変動」貧困統計HP 26

参照

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