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東日本大震災と災害廃棄物処理

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Academic year: 2021

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東日本大震災と災害廃棄物処理

1. はじめに

 3 月 11 日に東日本一帯を襲った三 陸沖を震源とする地震は,地震に伴い 発生した津波の影響により東北地方か ら関東北部の太平洋沿岸一帯に甚大な 被害をもたらした.被災地域では津波 により膨大な量の災害廃棄物が発生し ており,現在この災害廃棄物の処理が 被災地の復旧に向けての喫緊の課題の 一つとなっている.今回発生した災害 廃棄物の処理における 1995 年の阪神 淡路大震災との違い,地震が廃棄物処 理施設へ及ぼした影響,および災害時 に廃棄物処理施設が防災施設として求 められる役割について述べる.

2. 阪神淡路大震災との違い

 この度の震災と阪神淡路大震災で発 生した災害廃棄物の大きく異なる点 は,その発生量の多さ・発生地域の広 大さ,処理時に係る法規制の違い,お よびその多くが津波により海水の塩分 を含んでいることにある.

 今回の災害廃棄物の発生量は岩手県 約 600 万 t,宮城県約 1 600 万 t,福島 県約 290 万 t,3 県で約 2 490 万 t(環 境省発表)と推計されている.その量 は 阪 神 淡 路 大 震 災 で 処 理 さ れ た 約 1 450 万 t の約 1.7 倍に上っており,

わが国の平成 21 年度の一般廃棄物の 年間発生量約 4 625 万 t と今回の災害 廃棄物の量を比較すると,年間の一般 廃棄物発生量の約 54%がわずか 1 時 間前後で発生したことになり,被害の 甚大さを窺うことができる.また,災 害廃棄物の発生地域は,阪神淡路大震 災では兵庫県下の大阪湾に沿った東西 約 45km,南北約 3km の帯状の限ら れた地域に限定されていたが,この度 の震災では青森県から千葉県におよぶ 南北約 400km の海岸沿いに位置した 被災市町村を中心に広い範囲に及んで いる.

 この度発生した災害廃棄物を処理す るうえでは阪神淡路大震災以降に施行 された「ダイオキシン類対策特別措置 法(2000 年施行)」などの法規制への 対応が求められる.また,廃棄物の多 くは海水による塩分を多量に含んでお り,このことが焼却処理時に設備に及 ぼす影響や,リサイクルにおける再生 品の品質に与える影響が懸念されてい る.加えて,津波による原子力発電所 の損壊に伴い,放射能の影響が一部に 及んでいることが今回の災害廃棄物の 処理を複雑にしている.

3. 災害に強い廃棄物処理施設

 今回の震災を通じて,被災地域にあ る多くの一般廃棄物処理施設には地 震・津波により直接的にその機能を大 きく損なう被害を受けた施設はほとん どない.これは,施設の多くは市街地 から離れた比較的標高の高い場所に設 けられることが多く,それにより津波

からの被害を逃れた施設が多かったこ とや,十分な耐震設計のもとに施設が 建設されていることによる.一般廃棄 物処理施設は地震直後のライフライン の損壊により,施設の稼働に必要とす る電気,燃料,水,薬品などの供給が 一時的に停止し,これらの供給の再開 まで施設の稼働停止を余儀なくされて いる.災害時におけるこれらの供給停 止を考慮した備蓄量の確保が,災害時 の施設の速やかな稼働再開に向けての 今後の課題の一つである.

4. 防災施設としての役割

 地震や集中豪雨などの自然災害が発 生した場合,地域が備える通常の処理 可能な能力を大きく越える多量の災害 廃棄物が短期間に発生し,被災地の復 旧に向けて廃棄物処理施設は早急にそ の処理を迫られるものとなる.近年,

自然災害の発生頻度は増えつつあると 言われており,東日本大震災を通じて 廃棄物処理施設が通常時の廃棄物処理 機能のみでなく,自然災害に対する緊 急時の対応機能をも備えた社会資本整 備施設として要求されることがあらた めて強く浮き彫りになっている.

 廃棄物処理施設は地域社会の良好な 環境の維持や資源の循環を担うのみで なく,災害時における施設機能の継続 のほか,地域への電力供給,燃料・水 の備蓄供給や住民の避難所としての役 割をも求められていることをこの度の 震災は提起している.

(原稿受付 2011 年 6 月 21 日)

〔川下 章 (株)タクマ〕

●文 献

( 1 )環境白書,循環型社会白書/生物多様性白 書,平成 22 年版,(2010),環境省.

( 2 )阪神・淡路大震災における災害廃棄物処理 について,(1997),兵庫県環境局環境整備課.

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日本機械学会誌 2011. 11 Vol. 114 No.1116

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写真 1 被災地の状況(2011 年 4 月)

写真2 被災地の災害廃棄物(2011年4月)

参照

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