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第 3 回 消化管先進画像診断研究会 Gastrointestinal Advanced Imaging Academy: GAIA 日 会 程平成 25 年 9 月 29 日 ( 日 )9:15~15:25 場電気ビル共創館みらいホール 当番世話人本田徹郎 ( 長崎県上五島病院 ) 共 催 消化管

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消化管先進画像診断研究会

Gastrointestinal Advanced Imaging Academy: GAIA

日   程

 平成 25 年 9 月 29 日(日)9:15~15:25

会   場

 電気ビル共創館みらいホール

当番世話人

 本田徹郎(長崎県上五島病院)

共   催

 消化管先進画像診断研究会

 堀井薬品工業株式会社 

第3回

第3回

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プログラム「大腸3D - CT実践特集」

モーニングセミナー :9 時 15 分− 9 時 45 分  司会:長崎県上五島病院 安田貴明 北海道消化器科病院 高林  健 「これからのCT 超低線量化を目指して」 1)東芝メディカルシステムズ株式会社 2)GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 3)株式会社日立メディコ [コーヒーブレイク:9 時 45 分- 10 時 00 分] 開会挨拶 :10 時 00 分− 10 時 05 分       長崎県上五島病院 本田徹郎 第1部 特別講演 :10 時 05 分− 10 時 50 分 司会:KKR 札幌医療センター斗南病院 平山眞章 「診断技術/バイオマーカーから新しい検診法への道筋」 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部  部長 齋藤 博 第2部 大腸3D - CTのABC :10 時 50 分− 11 時 35 分 司会:長崎県上五島病院 本田徹郎   山陽病院    池原貴志子 1)前処置のABC        亀田京橋クリニック,亀田総合病院 永田浩一 2)ガス注入・撮影のABC         長崎県上五島病院 安田貴明 3)読影のABC           福島県立医科大学会津医療センター 歌野健一 [コーヒーブレイク:11 時 35 分- 11 時 45 分] 第3部 大腸3D - CT ワークステーションを学ぶ・操る:11 時 45 分− 13 時 00 分 司会:長崎県上五島病院 本田徹郎 山陽病院    池原貴志子 アミン株式会社 / ザイオソフト株式会社、 株式会社AZE、 シーメンス・ジャパン株式会社、 テラリコン・インコーポレイテッド、 GEヘルスケア・ジャパン株式会社 *ワークステーション企業5社による実症例の読影からレポート作成までを研究会参加者にも実 際に操作していただきながら紹介する。また、会場内の展示ワークステーションでも同じ症例 でデモンストレーションを実施する。 [昼食:13 時 00 分- 13 時 45 分]

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第4部 基調講演:13 時 45 分− 14 時 05 分     司会:福島県立医科大学会津医療センター 遠藤俊吾 「地域医療(離島)における医療ネットワークのあり方」  長崎県上五島病院 院長 八坂貴宏 第5部 大腸3D - CTのピットフォール:14 時 05 分− 14 時 50 分 司会:川崎医科大学        松本啓志 大腸肛門病センター高野病院 野崎良一 1)大腸3D - CTの flat lesion について 長崎県上五島病院 本田徹郎 2)大腸3D - CTが poor study となった症例や合併症の解説   北海道消化器科病院 加藤貴司 3)大腸3D - CTの精度解説 亀田京橋クリニック,亀田総合病院 永田浩一 第6部 大腸3D - CTのQ&A :14 時 50 分− 15 時 20 分     研究会参加者からの質問(事前質問&当日質問)に講師が解説  司会:福島県立医科大学会津医療センター 歌野健一 亀田京橋クリニック,亀田総合病院 永田浩一 回答者:(医師)KKR札幌医療センター斗南病院 平山眞章 大腸肛門病センター高野病院 野崎良一 北海道消化器科病院 加藤貴司 川崎医科大学 松本啓志  (放射線技師)長崎県上五島病院 安田貴明 北海道消化器科病院 高林 健 閉会挨拶 :15 時 20 分− 15 時 25 分  (第 4 回 当番世話人)  福島県立医科大学会津医療センター 遠藤俊吾

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モーニングセミナー

:9 時 15 分− 9 時 45 分

「これからのCT 超低線量化を目指して」

司会:長崎県上五島病院 安田貴明 北海道消化器科病院 高林 健 1)東芝メディカルシステムズ株式会社 CT 営業部 天野清香  昨年 2012 年、診療報酬改定で大腸 CT 検査の加算が認められ、現在、大腸 CT 検査が本格的に普及しつつあ ります。大腸 CT 検査では、約 400㎜の腹部を、2 体位で撮影することが基本となり、患者さまの負担軽減のため、 広範囲を、短時間に、低被ばくで撮影することが求められます。  その実現のため、大腸 CT 検査では回転速度の高速化、高ヘリカルピッチが使用される傾向があります。し かし、これらの撮影条件はアーチファクトを増大させる原因となります。その対策として、従来は Boost3D を 用いてきました。また、この撮影条件で懸念されるノイズ対策として、量子フィルタを使用していました。 Boost3D と量子フィルタ、この 2 つの効果である、アーチファクト低減と高画質を実現できるのが、東芝のノ イズ低減技術『AIDR3D』です。  AIDR3D は、逐次近似法を応用した再構成技術です。AIDR3D は収集された投影データ上で、統計学的ノイ ズモデル、スキャナーモデルを用いてノイズを低減し、さらにアナトミカルモデルを用い、画像再構成ドメイ ンの中でノイズ成分のみを抽出して繰り返し除去します。(図1)AIDR3D を使用すると画像ノイズを低減する ため、結果的に従来よりも低線量での撮影が可能となります。AIDR3D の使用により、最大 50%のノイズ低減と、 75%の被ばく低減を実現可能です。また、AIDR3D の使用により超低線量撮影時の全体的なノイズを低減でき るだけでなく、骨盤腔内における投影データの不均一に起因するストリークアーチファクトも効果的に低減す ることができるため、視認性が向上します。この AIDR3D は CT-AEC 機能(東芝では Volume EC)とも併用 可能で、再構成時間の大幅な延長もないことから、日常的に全ての検査に活用可能です。また、AIDR3D は、 従来の画像と比較して質感の変化が少ないこともあり、被ばく低減と高画質を両立できる技術でもあります。  東芝は、今後開発・販売するすべての CT に AIDR3D を標準搭載予定で、すべての CT 検査でさらなる低侵 襲性や高い効率性を目指しています。大腸 CT 検査においても、AIDR3D を併用することで、胸部単純撮影レ ベルの超低線量撮影の実現を目指しています。(図 2) 図1.AIDR3D 概念図 図 2.左がオリジナル、右が AIDR3D 併用

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2)GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 MI & CT セールス&マーケティング部 山口 理絵  【はじめに】  近年の CT 装置に求められるニーズは高画質・低被ばくであり、医療現場での被ばくに対する意識レベルの 向上と共に、患者様からも「この検査の被ばくはどのくらいですか」というご質問を頂くほどである。CT 検査 =高い被ばく線量という情報がメディアで取り上げられる度に、医療従事者として、目の前の患者様にとって 必要な検査を適切な線量で提供する事の大切さを感じる。本セミナーでは今一度、検査に求められている本質 を見極め、検査を実施頂けますよう、弊社の被ばく低減に対する取り組みをご紹介します。  【ASiR を用いた撮影プロトコルの提案】  現在の CT で広く使用されている画像再構成の基礎は 1917 年に Radon らによって築き上げられた。その後、 X 線 の 投 影 デ ー タ を 逆 投 影 す る こ と に よ っ て 画 像 上 に 生 じ る ボ ケ を 改 善 す る た め に Filtered Back Projection(FBP) 法 が 提 案 さ れ た。 弊 社 で は 今 ま で の FBP 法 と は 異 な る 逐 次 近 似 法 を(Iterative Reconstruction:IR)応用した画像再構成として、Adaptive Statistical Iterative Reconstruction(ASiR)を 2009 年に臨床機器搭載している。今まで診断に使用してきた画像と同じ SD を担保し、被ばくを最大 50%低減する ことができる。大腸がん疑いの患者様に対しての大腸 3D-CT 検査においては、腸管内腔の診断はもちろん腸管 外所見の診断も必要とされているため、大幅な被ばく低減への試みは確立されていない。しかしながら、背臥 位の撮影においては腸管外所見の診断可能なレベルの線量設定とし、腹臥位は腸管内診断に支障が無い程度ま で下げる撮影手技が定着しつつある。  【VeoTM を用いた超低線量大腸 3D-CT 検査への試み】  大腸 3D-CT 検査の役割として、大腸がん早期発見に向けて検診への取り組みを耳にする機会が増えてきた。 しかし、CT と被ばくの関係は切っても切り離せないため、より少ない被ばくで撮影できることが強く求められ ていくだろう。そこで、逐次近似法を CT に応用してきた最初のメーカーとして、新しい視点から更なる理想 的な再構成法を模索し、開発された Model Based Iterative Reconstruction の VeoTM を紹介する。VeoTM は 2011 年に臨床機器が稼働しており、本再構成法は逐次近似的に再構成を行うため再構成に時間を要するが、シ ステムモデルを用いることでボケのない高い空間分解能を実現し、さらにノイズの少ない画像再構成も同時実 現可能となる。本再構成法では、FBP 法と比べて以下の特徴を持つ。●最大で 50%空間分解能向上 ●最大で 75% 密度分解能向上 ● 1/8 の線量で同等画質を維持 ●アーチファクトの低減   本邦では、VeoTM を用いた胸部 CT 検診に対しては実用化がなされているが、大腸 3D-CT 検査に関しては 検診レベルに求められる症例が施設によって異なり、臨床医と読影医を交えての画像評価が急務であると感じ ている。  現在、大腸がんによる死亡率は女性で第一位、男性は第三位である。早期発見できれば根治可能ながんであ るため、検診への取り組みも視野に入れ、今後も低被ばく技術の有効活用を啓蒙していきたい。

ASiR

Veo

Raw data REAL 3D

SYSTEM OPTICS SYSTEM NOISE

ASiR

FBP

SYSTEM NOISE STATISTICS SYSTEM NOISE STATISTICS

FBP

Direct Reconstruction

Limited dose reduction

opportunity Improved image quality** at lower dose Exceptional image quality at the lowest dose

FBP with iterative image space correction

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− 5 − 3)株式会社日立メディコ CT・MR 営業本部 梁田 透    2004 年に Gonzalez により X 線被ばくの影響が報告され、被ばくへの関心が高まるとともに、被ばく線量低 減の重要性が再認識された。単に撮影時の線量を少なくするだけでは、再構成画像上のノイズは増大し、病変 等の視認性は悪化する。ノイズ低減技術の開発は非常に重要であり被ばく低減へとつながる。弊社では、これ まで検出効率向上、DAS ノイズ低減、再構成フィルタの改良、非線形画像フィルタ技術開発、AEC 技術開発 (IntelliEC)、逐次近似を応用したノイズ低減処理(Intelli IP)など、ハードウェアとソフトウェアの両面から被 ばく低減を実現してきた。

 SCENARIA は、発売当初から Intelli IP を搭載しており、昨年、第 2 世代の Intelli IP(Advanced)(以下 IPA)をリリースした。この IPA は、投影データ空間上では、統計的信頼度の低いデータに対して選択的、反 復的にノイズ低減処理を行い、また、画像データ空間上では、解剖学的モデルに基づく画質コントロールを行う。 IPA は処理強度のレベルを持ち、一定のノイズ低減率約 8% で変化する。このノイズ低減率は線量に依存せず、 処理強度最大のレベル 7 では約 56% の SD の改善(被ばく低減換算で約 80% 改善)となる。IPA は従来の画像 再構成(FBP)と比べると演算時間はかかってしまうが、実用的な処理時間で画像ノイズやストリークアーチファ クトを大幅に低減する効果を得ることができる。このほど、画像再構成時間を倍速化する機能を開発し搭載し たことにより、従来の画像再構成(FBP)と同等の再構成時間で IPA による逐次近似処理を可能とした。また、 弊社は以前よりモデル型逐次近似再構成の実用化のためハードウェアおよびソフトウェアの開発も進めている。  IntelliEC は部位に応じた線量最適化制御であり、SD モード、CNR モードの 2 種類のモードを持つ。SD モー ドは、部位によらずノイズレベルを一定にするように管電流を制御する。CNR モードは、造影検査における CNR と視認性の関係に着目した管電流算出アルゴリズムを用いており、組織間コントラストと識別性に関する 独自のデータベースに基づいて、撮影対象部位の視認性を一定にするように管電流を制御する。特に被検者の 体格が小さい場合や撮影管電圧が低い場合には、組織間のコントラストが高くなる為、SD モードに比べ被ばく 低減が期待できる。 Intelli IP(Advanced) Intelli IP(Advanced)*は、投影データ空間上でのノイズ成分を高精度な統計学的モデルに基づき逐次近似解法 により除去した上で、画像データ空間上で解剖学的情報と統計学的情報を基に画質のコントロールを行う処理 です。画像ノイズやストリークアーチファクトを大幅に低減する効果が期待できます。

*:Intelli IP は Normal モードと Advanced モードの 2 つのモードがあります。

IntelliEC (CNR モード)

一般的に、組織間のコントラストが大きければ、画像ノイズが大きくても組織の識別は可能であり、線量が低 減できる可能性があります。SCENARIA では、組織間のコントラストと識別性に関する独自のデータベースを 用意することにより、CNR モードが可能になりました。特に被検者のサイズが小さい場合や撮影管電圧が低い 場合には、組織間のコントラストが高くなるため、SD モードに比べて線量低減が期待できます。

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第1部 特別講演

:10 時 05 分− 10 時 50 分

「診断技術/

バイオマーカーから

新しい検診法への道筋」

司会:KKR 札幌医療センター斗南病院 平山眞章 国立がん研究センター がん予防・検診研究センター 検診研究部  部長 齋藤 博  がんの早期発見には感度・特異度の高い検診法が求められる。そのような検討に際して新しいバイオマーカー や新規のあるいは既存の診断技術が新しい検診法の候補となる。それら「新検診法」の候補が検診法として有 用か、そして最終的に有効かどうかを評価するにはいくつかの段階がある。  まずは既存の標準法よりも感度・特異度が良いかどうかを検討するためにがん患者と対照を用いて感度・特 異度が比較される。その際、わが国では感度が主に興味の対象になされがちであるが、新検診法に求められる のは感度・特異度の一方が既存の方法と同等かそれ以上で、他方が優れていることである。健常者を対象とす る検診では診療上の診断とは異なり、偽陽性による不利益の最小化が必須であり、特異度が重要なことを銘記 する必要がある。なお双方とも既存の方法と同等であるが、侵襲がより少ない、あるいは安価であったり、簡 便である場合も新検診法の候補となりうる。これら条件を満たさなければ検診法としての見込みはない。  臨床例による検討で、有望な検診法の候補としての条件をクリアした後、健常者集団での感度・特異度の測 定が行われる。ここで重要なことは検診法としての感度・特異度は健常者集団での測定が必要なことである。 がん患者を集積して検討した場合、がんの病期分類の分布等にかたよりがあり前臨床期がんを主体とする健常 者の中に存在するがんを代表しないからである。がん患者での検討は必然的に感度の過大評価となる。これが、 「新しい検診法」として多くの検査法が出現するが、一過性には話題になるものの最終的に検診法として成立す るものがない主たる理由の一つである。健常者集団での感度・特異度の評価は多数の対象者とそれら全例に対 する精密検査(同時法)、あるいは精度の高いがん登録による追跡調査(追跡法)を要し、多大な労力が必要で ある。しかしこういった研究を経ずして検診としての正しい感度は算出することは出来ない。  このようにして検診における感度・特異度が上記の条件を満足した場合、最終的にはがん検診の目的である 死亡率を指標としていわゆる有効性評価試験が行われ、ランダム化比較対照試験(RCT)がその最善の方法 となる。  わが国ではこういった検診法成立までの精度評価、そして有効性評価のプロセスが理解されずに最初の予備 的にとどまる位置づけの臨床例での評価をもって検診法の評価と誤解されてきた。その結果多くの診断技術が 開発されたにも拘わらず、新検診法として成立するに至らなかったと考える。実際、日本で開発された技術が 海外で評価されている事例は少なくない。診断技術を検診法として正しく評価する必要性とその方法を理解す ることで、有効性の高い検診法の開発が初めて可能となる。このようなわが国の現状からできるだけ早く脱却 する事が求められている。

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第2部 大腸3D - CTのABC

:10 時 50 分− 11 時 35 分    司会:長崎県上五島病院 本田徹郎 山陽病院    池原貴志子 1)前処置のABC        亀田京橋クリニック,亀田総合病院 永田浩一  大腸精密検査では検査前に腸管前処置が必要であり、大腸内から便を排出させるために洗腸すること、さら に腸液や洗腸液といった腸管内残留物を少なくすることが望まれる。大腸 3D-CT は内視鏡のように腸管内残留 物を吸引することができないため、そのままであれば残留物の存在は病変検出能の下げる一因となる。このため、 腸管内残留物を水溶性造影剤で標識(タギング)して、残留物があっても精度の高い検査とする必要がある。 内視鏡のように物理的に吸引できないことは一見短所に思われるが、タギング技法の確立により他の精密検査 では成し遂げなかった腸管洗浄剤や下剤の軽減を可能にしたことは、本検査の特徴であり強みでもある。  また、従来の大腸精密検査では鎮痙剤を使用することが原則であった。しかし、本検査での鎮痙剤の使用は、 腸管拡張に寄与しないばかりでなく、不要な注射の使用が受診者の受容性の低下、医療コストの増加、さらに は手技実施のため看護師を拘束してしまう点からも好ましくない。  本講義「前処置の ABC」では精度が高く、良好な受容性、さらに科学的検証に基づいた前処置方法を紹介する。 実地診療ですぐに導入できるように、そして受診者や施設の都合にあわせることができるよう、複数の具体的 なレジメを提示する。 2)ガス注入・撮影のABC       長崎県上五島病院 安田貴明  良好な前処置が行われると次に撮影となる。大腸 3D-CT のガスの注入・撮影は、前処置と同様に大腸 3D-CT の精度に大きく関係するため今後この検査を始める方への参考になればと考える。  大腸 3D-CT のメリットとして撮影時に大腸内視鏡や注腸 X 線検査などのような術者の技量(特殊な技術)を 必要としないといわれ検査の質を担保しやすい。また近年では良好な腸管の拡張を行うために必須となってい る自動炭酸ガス送気装置などが発売されているなどし、検査を行う上での検査環境の整備がされて来ている。  今回の「ガス注入・撮影の ABC」では実際に当院が行っているガス注入及び撮影の基本を提示しその際のポ イントを紹介する。

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3)読影のABC       福島県立医科大学会津医療センター 歌野健一  大腸 3D-CT では、3 次元の仮想内視鏡画像(以下、fly through)と 2 次元の MPR 画像を組み合わせて読影 するのが欧米と日本の大規模臨床試験で実証された世界標準読影法である。標準的読影法である 3D primary  reading は、3D 画像の fly through にて病変の拾い上げを行い、病変と残渣の鑑別は MPR で判定する。鑑別が 困難な場合は 2 体位での比較読影を積極的に活用することが有用である。腸管内の残液部分などブラインド部 分は MPR(axial など)で一通り読影し見落としを防ぐ。3D primary reading と逆に、拾い上げを 2D 画像で行 い、3D 画像の fly through で病変の同定あるいは見逃しがないように確認する 3D problem solving による 2D primary reading も読影精度に差がない。新しい検査法である大腸 3D-CT の読影を精度未検証の読影方法を行っ た場合、読影精度のばらつきが生じ、場合によっては偽陽性および偽陰性が増加してしまう可能性がある。また、 海外からの報告では、大腸 3D-CT の未経験者は、約 175 例を読影することで十分な経験をつめるということも 明らかになっている。

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第3部 大腸3D - CT ワークステーションを学ぶ・操る

:11 時 45 分− 13 時 00 分    司会:長崎県上五島病院 本田徹郎 山陽病院    池原貴志子 各社の読影レポート形式:付録ページ参照 ・アミン株式会社 / ザイオソフト株式会社 ……… ・株式会社AZE ……… ・シーメンス・ジャパン株式会社 ……… ・テラリコン・インコーポレイテッド ……… ・GEヘルスケア・ジャパン株式会社 ……… − 21 − 付 録 WS メーカー各社の読影レポート形式 紹介 アミン株式会社 / ザイオソフト株式会社 診 診 診 診断断断断レポートレポートレポートレポート 参 参 参 参照照照照画画画画像像像像 マーク マーク マーク マーク 画像 (Prone) 2013年 03月 10日 検査 2013年 03月 10日 作成 ID ZA9f41e037 氏名 ZA-CTC-3 年齢 62 性別 女 依頼医 師 **** 診断医 師 **** Prone Supine 肛門側から316.25 mm

ID: ZA9f41e037 ZA-CTC-3 Study Date: 2013/03/10

1/2 pages − 23 − 株式会社 AZE 大腸解析結果 大腸解析結果 名前  Teaching Case TLP19 ID  TLP19 検査日 2012年01月01日 生年月日 1949年01月01日 年齢 062Y 性別 M 施設名 検査ID 8051 登録医師名 読影医師名 検査時間(min)0 min 読影方法 - 合併症の有無- 読影時間(min)1次読影 0 min 炭酸ガス注入量1体位撮影時0 ml 2体位撮影時0 ml 仰臥位 右側臥位 C-RADS 大腸病変(1次読影) - 腸管外病変 読影なし − 25 − シーメンス・ジャパン株式会社 − 27 − テラリコン・インコーポレイテッド GAIASAMPLE001 — 2013/03/10 — Page 1 of 2 大腸の 䣅䣖 検査レポート䢢 消化管先進画像診断研究会䢢 䣉䣣䣵䣶䣴䣱䣫䣰䣶䣧䣵䣶䣫䣰䣣䣮䢢䣃䣦䣸䣣䣰䣥䣧䣦䢢䣋䣯䣣䣩䣫䣰䣩䢢䣃䣥䣣䣦䣧䣯䣻䢢 GAIA 䢢 䢢 患者名䢼䢢 䣉䣃䣋䣃䣕䣃䣏䣒䣎䣇䢲䢲䢳䢢 年齢䢼䢢 䢢 照会医師䢼䢢 䢢 性別䢼䢢 䣏䢢 検査日䢼䢢 䢴䢲䢳䢵䢱䢲䢵䢱䢳䢲䢢 生年月日䢼䢢 䢢 患者 䣋䣆䢼䢢 䣉䣃䣋䣃䣕䣃䣏䣒䣎䣇䢳䢢 䢢 大腸の 䣅䣖 検査䢼䢢 䢴䢲䢳䢴䢱䢲䢵䢱䢳䢲䢮䢢陰性造影剤として空気を腸管に満たし 䣅䣖 を施行しました。䢢取得された画像データを標準の画像作成プロトコルに より 䢵 次元画像処理しています。䢢検査所見を下記に記載します。䢢 䢢 所見䢼䢢 䢢 䢢 䢢 上の図はこの結腸に関しての概要を表示しています。䢢図の中の円は、所見の位置を示します。所見の詳細は下記の表を参照して ください。䢢 䢢 䢢 コメント:䢢 推奨事項:䢢 − 29 − GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 − 22 − 所見 画像 (Supine) 所見 上行結腸、下行結腸に憩室を認めます。 S状結腸に約3cmの隆起性病変を認めます。腸管壁の辺縁は不正を呈しており、漿膜外浸潤が 示唆されます。 肛門側から mm

ID: ZA9f41e037 ZA-CTC-3 Study Date: 2013/03/10

2/2 pages − 24 − ポリープ 1 体位 仰臥位 記録点 1 詳細 肛門から[ 15.4 ]cmの[ A ]に[ ] mmの[ 0-ls ]型病変を認めます。 確信スコア(1次読影): X:224.2 Y:260.1 Z:505.0 体位 右側臥位 記録点 1 詳細 肛門から[ 21.9 ]cmの[ A ]に[ ] mmの[ ]型病変を認めます。 確信スコア(1次読影): X:213.8 Y:250.1 Z:454.3 − 26 −   − 28 − GAIASAMPLE001 — 2013/03/10 — Page 2 of 2 所見䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢢 タイプ䢼䢢䢢 サイズ䢼䢢䣝仰向け䢼䢢䣟䢢䢢 直腸からの距離䢼䢢䢴䢷䢢䣥䣯䢢 画像番号䢼䢢䣝仰向け䢼䢢䢸䢶䢷䣟䢢䢢 コメント䢼䢢䢢 䢢 所見䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢢 タイプ䢼䢢䢢 サイズ䢼䢢䣝うつ伏せ䢼䢢䣟䢢䢢 直腸からの距離䢼䢢䢴䢶䢢䣥䣯䢢 画像番号䢼䢢䣝うつ伏せ䢼䢢䢶䢵䢲䣟䢢䢢 コメント䢼䢢䢢 䢢 − 30 −

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第4部 基調講演

:13 時 45 分− 14 時 05 分   

「地域医療(離島)における医療ネットワークのあり方」

司会:福島県立医科大学会津医療センター 遠藤俊吾 長崎県上五島病院 院長 八坂貴宏  長崎県は約 600 の島を持つ全国一の離島県であるが、そのうち 75 の島に人が住んでおり、人口は約 14 万人 である。医療は長崎県と離島市町が一体となって設立した長崎県病院企業団(旧長崎県離島医療圏組合)の 7 病院、2 診療所と約 60 の公設診療所、約 50 の民間病院・医院が担っており、2 ~ 2.5 次医療が行われている。3 次医療については本土病院に依存しており、3 次救急患者はヘリコプターによる救急搬送がシステム化されてい る。搬送に当たっては、1991 年から離島病院、診療所と国立病院機構長崎医療センターとの間で画像伝送ネッ トワークシステムが運用され、年間約 200 件の画像診断支援が行われてきた。また、テレビ会議システムによ る IVR や手術支援が 1997 年から行われており、医療の質の向上、地域完結型医療を目指して様々な取り組みが 行われてきた。  長崎県本土では、2004 年 7 月「長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会」(通称:あじさいネットワー ク、その後 NPO 法人格を取得)が発足し、2004 年 11 月長崎医療センターの電子カルテを 31 医療機関にて参照 する「あじさいネット」が運用開始となった。このネットワークは、患者の同意を得て、診療所あるいは離島 病院から情報提供病院の医療情報を閲覧できるもので、オンデマンド VPN によって、セキュリティを確保し、 初期導入経費や月々の運用経費は安価に設定され、利用者のニーズに合致する有用なシステムである。2005 年 5 月大村市民病院が、2009 年 4 月長崎地域、2012 年 10 月佐世保地域の病院が情報提供病院として運用開始し、 県下全体に広がった。現在、会員数 330 名、情報閲覧施設数 200 施設、情報提供病院 21 施設、全登録患者数は 28000 人を超え、全国的に最も利用されているネットワークとなっている。  長崎県上五島地域の医療体制は、2008 年からの 5 年間で再編成が進められ、現在、長崎県病院企業団の運営 する 1 病院、2 診療所と新上五島町立 3 診療所、7 出張診療所、民間の開業医院 2 施設、老人保健施設 2 施設で 構成されている。医師派遣や救急搬送、患者紹介など病診連携が強化され、島民医療の継続的確保が可能となっ ている。上五島病院は内科、外科をはじめ 15 の診療科があり、病床数 186 床(一般 132、療養 50、感染症 4)、 医師数 22 名で、島内唯一の入院施設を持つケアミックス型病院である。当院は、2004 年 2 月に電子カルテ (NEC,Mega-Ork)を導入し、2004 年 11 月あじさいネットの運用開始から情報閲覧病院として参加し、医療情 報の共有化に積極的に係わって来た。2009 年 4 月附属診療所として再編された有川医療センターで、2011 年 4 月からは同じく附属診療所として再編された奈良尾医療センターで、上五島病院の医療情報システムを町敷設 のイントラネット経由(地域内クローズなシステム:双方向性)で利用することになった。2011 年 7 月からは あじさいネットの情報提供病院としても登録され、現在診療所 2 か所、老人保健施設 1 か所、調剤薬局 2 か所 が連携施設となっている。  さて、医療ネットワークの役割は、医療の質の向上、医療業務負担の軽減と効率化、安全性の向上、患者サー ビスの向上にある。まずは、患者あるいは地域住民の利益なる継続的なシステムを構築しなければならない。 そして、それが医療者側の利点ともなるのであれば、そのシステムは自ずと成長していくものと考える。また、 システム構築、連携構築に当たっては、人的ネットワークすなわち顔の見える関係が最も重要であり、これが 医療ネットワークの基盤であると考えている。地域の全医療施設での連携は現時点での課題であるが、時代は 医療連携や医療情報共有を求めており、今後も積極的に働きかけを行っていくことが必要である。  前述したように、離島地域では高度な専門医療には対応できないため、本土医療機関との連携もさらに強化 していかなくてはならない。連携に当たっては、離島基幹病院院の医療情報を本土拠点病院でも参照できるよ うな仕組み作りが検討されている。また、高精細遠隔画像診断システムも本年 4 月から稼働し、離島からテレ ビ会議システム等を利用して協議会、研究会への参加もできるようになった。今後ますます本土との医療連携 も強化される予定である。

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第5部 大腸3D - CTのピットフォール

:14 時 05 分− 14 時 50 分    司会:川崎医科大学        松本啓志 大腸肛門病センター高野病院 野崎良一 1)大腸3D - CTの flat lesion について 長崎県上五島病院 本田徹郎  世界的に Flat lesion の定義は明確に定まってはいないが、今回はパリ内視鏡分類における表面型病変(病変 の高さが病変径の 1/2 かつ、その高さが 2.5mm 未満である病変)を中心に取り扱った。近年、大腸 3D-CT の診 断精度は進歩を遂げているものの、その表面型病変に対する大腸 3D-CT の診断精度については明らかではなく 現時点において十分なものではない。大腸 3D-CT の表面型病変に対する診断精度が低いことは隆起を捉えると いう形態学的診断の限界と考えられ、以前に検討した当院における表面型病変に対する CTC の精度も感度 61%、陽性的中率 91%と十分なものではなかった。本講義では、様々な表面型病変の症例を提示し、本検査を 導入する皆様方に大腸 3D-CT の flat lesion に対する現状をご理解していただけたら幸いである。 2)大腸3D - CTが poor study となった症例や合併症の解説 北海道消化器科病院 加藤貴司  大腸 3D-CT は大腸内視鏡検査を補完しうる大腸精密検査法として認知されつつあり、本邦においても今後普 及していくことが予想されるが、不十分な検査条件ではその精度は発揮されない。大腸3D-CT において大腸病 変が偽陰性になる理由の多くが不十分な前処置および腸管拡張であることが報告されており(Park et al. Radiology 2005;235:495-502)、大腸 3D-CT の施行者は良好な腸管前処置や腸管拡張を得る方法を十分に学ぶ必要 がある。そのための方法については本研究会の他の講義を参照いただきたい。本講義では大腸3D-CT が不十分 な検査になりやすい被験者側および施行者側の要因について解説する。  また本講義では大腸 3D-CT の偶発症についても解説する。一般的に大腸 3D-CT は大腸内視鏡と比較しより安 全な検査であることが知られており、現在まで検査による死亡例の報告はない。ただし臨床的に重要な偶発症 が 0.02%(4/21912)に発生していたとの報告がある(Pickhardt. Radiology 2006;239:313-316)。主な偶発症とし て消化管穿孔や血管迷走神経反応が知られており、Japanese National CT Colonography Trial(UMIN2097)に おいても血管迷走神経反応を来した症例を 1 例経験している。またガス送気に伴う腸管気腫症の報告もある。 特に消化管穿孔については十分な注意が必要であり、本講義では主に消化管穿孔について発生頻度や被験者側 の要因、検査施行者側の要因、穿孔併発後の臨床経過等について文献的な報告を主体に解説する。

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   3)大腸3D - CTの精度解説 亀田京橋クリニック,亀田総合病院 永田浩一  近年、欧米で相次いで大腸 3D-CT の精度検証が行われた。米国では、ナショナルスタディ(ACRIN6664)が 実施され、大腸 3D-CT の良好な検査精度が証明された。この結果を受け、大腸 3D-CT は有効な大腸がん精密検 査法として米国大腸がん検診ガイドラインに掲載された。欧州でも、ドイツ、イタリア、フランス、そしてイ ギリスから大腸 3D-CT の精度検証が相次いで報告され、いずれも良好な成績であった。  しかし、日本で大腸 3D-CT を導入するにあたり欧米の成果をそのまま導入するのは問題があった。非劣性試 験におけるゴールドスタンダード、つまり内視鏡技術が、欧米と内視鏡先進国である日本の間で同じレベルに はないからである。このような背景のなか、日本でも大腸 3D-CT の大規模臨床試験 Japanese National CT Colonography Trial(UMIN2097)が、続いて低用量腸管前処置による大腸 3D-CT の精度検証(UMIN6665)が 実施・報告された。これらの試験から日本の消化器内視鏡専門医による内視鏡診断に対しても、大腸 3D-CT が 非劣性であることが明らとなり、日本でも大腸 3D-CT を実施するためのエビデンスが構築されたといえる。  本講義「大腸 3D-CT の精度解説」では、本検査を精密検査として実施するうえでの科学的裏付けを概説する。 ただし、科学的検証に基づかない前処置・読影方法で実施した場合にはその精度が著しく低下する危険がある。 これは、Cotton らの臨床試験(JAMA 2004;291:1713-9.)や Rockey らの臨床試験(Lancet 2005;365; 305-11.)が 失敗に終わったことからも明らかである。本検査を導入する施設の先生やスタッフの皆様方には、精度管理や 標準化が重要であることにご理解いただけたら幸いである。

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第6部 大腸3D - CTのQ&A

:14 時 50 分− 15 時 20 分     研究会参加者からの質問(事前質問&当日質問)に講師が解説  司会:福島県立医科大学会津医療センター 歌野健一 亀田京橋クリニック,亀田総合病院 永田浩一 回答者:(医師)KKR札幌医療センター斗南病院 平山眞章 大腸肛門病センター高野病院 野崎良一 北海道消化器科病院 加藤貴司 川崎医科大学 松本啓志  (放射線技師)長崎県上五島病院 安田貴明 北海道消化器科病院 高林 健

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Computed tomographic colonography versus barium enema for diagnosis of colorectal cancer or large polyps in symptomatic patients(SIGGAR): a multicentre randomised trial

大腸腫瘍に対する CT colonography と Barium Enema の診断能に関する多施設共同試験(SIGGAR 試験) Steve Halligan, Kate Wooldrage, Edward Dadswell et al

(The Lancet 2013; 381(9873): 1185-1193)  英国の研究チームが CT コロノグラフィー(大腸 CT 検査)と大腸バリウム検査、大腸内視鏡検査を比較する 2 件の多施設ランダム化比較試験(RCT)を実施し、CT 検査とバリウム検査なら CT 検査が好ましいこと、CT 検査と内視鏡検査の比較では検出率に差がないが、CT 検査では追加検査が必要になる患者が有意に多いことな どを明らかにした。ここでは CT colonography と大腸バリウム検査の比較試験の結果を解説する。  大腸癌が疑われる症状がある患者に適用できる検査法として、広く行われているのは大腸バリウム検査(以下、 BE)だが、その検査感度や受容性に関しては検討されて来なかった。大腸 CT 検査(以下、CTC)はより新し い検査法で、バリウム検査より感度や受容性は高いかも知れない。われわれは症状のある患者に対して、実際 の臨床として CTC と BE 診断能を比較した。  この実際の臨床に則した多施設共同の無作為割り付け試験は 21 の英国の病院から大腸癌を疑う症状のある患 者を登録した。適格症例は 55 歳以上の大腸のレントゲン検査が適当と判断されたものである。患者は性別に試 験センターによりコンピューター割り付けで無作為に BE:CT を 2:1 に割り付けた。大腸癌あるいは 10mm 以上のポリープという結果を intension to treat 解析した。  3838 人が登録され、BE 群の 2553 人と CTC 群の 1285 人になった。34 人が同意を撤回したため、分析対 象は BE 群の 2527 人と CTC 群の 1277 人である。一連の検査での大腸癌または 10mm 以上のポリープの検 出率は、CTC 群で 7.3%(1277 人中 93 人)、BE 群で 5.6%(2527 人中 5.6%)であり、CTC 群の相対リス クは 1.31(95%信頼区間 1.01-1.68)だった。CTC 群では大腸癌 45 例中 3 例、バリウム群では大腸癌 85 例 中 12 例に見落としがあった。追加の大腸検査の CTC 群は BE 群に比べて高かった(23.5% と 18.3%)。これ はおもにポリープの検出率によっていた。重大な有害事象はまれであった。  CTC は BE に比べて感度の高い検査である。われわれの結果からは CTC は大腸癌を疑う患者に対して優先さ れるべき検査であることを示している。  以下に考察に述べられた興味深い記述を取り上げました。  CTC の利点の一つに同日に病変の切除、生検のために大腸内視鏡検査を受けられることがあげられる。これ に対して、BE の場合は残ったバリウム残渣のため、同日に内視鏡検査をすることができない。しかしながら、 同日大腸内視鏡検査は CTC の所見がすぐにチェックされ、内視鏡検査部に十分な処理能力がある場合に限られ る。本研究においては、5 人の患者だけが CTC と同日に確認の大腸内視鏡検査を受けたに過ぎない。  受容性に関しては次のように述べられている。BE を受けた患者は CTC を受けた患者よりも検査中と検査後 の満足度が低く、より大きな肉体的不快を訴えた。BE ではいくつかのの体位が必要であるが、CTC では通常 仰臥位と腹臥位の 2 つの体位のみが必要とされることに起因しており。この CTC の特徴は、体力のない高齢患 者では CTC が勧められる。  CTC の長所である大腸外病変の検出に関する部分を述べる。CTC 群の 7.5% の患者が大腸外所見のため、更 なる検査を受けた。例えば大動脈瘤など、症状はないが臨床的に重要な疾患の場合もある。しかしながら、追 加の検査を受けた大部分の患者は、放っておいても問題の少ない軽度の異常と診断された。CTC が症状を引き 起こしそうな全ての大腸以外の癌を発見できたわけではなく、診断の時間は BE よりも短くなかった。  最後の結論は次のように記述されている。CTC は大腸癌あるいは大きなポリープの発見においては BE より 感度が高いことが示された。そして、患者の受容性は CTC が高いことも示されている。小さいポリープの感度 と大腸外病変を検出する能力については曖昧である。これらが追加経費を招き、臨床的に重要でない所見ため に追加検査が必要になる。しかし、もし CTC が広く普及して、放射線科医と検査を依頼する臨床家の間でガイ ドラインを含む適切な手順があれば、こうした無駄は克服できる。CTC の能力を上げるためは読影する放射線 科医の訓練と質の保証が必要である。これらの条件が整えば、CTC が大腸がんを疑う患者に対する検査として BE にとって代わらなければならないことを示唆している。 福島県立医科大学会津医療センター 遠藤俊吾

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日本人とアメリカ人の大腸の長さは違うのか?

―大腸

3D - CT(仮想内視鏡)による 1,300 名の検討-

永田 浩一、田尻久雄、光島徹, 他. (日本消化器内視鏡学会雑誌 2013; 55: 435-44.) 《解説》 大腸は立体的で伸縮する臓器であるた め,生理的に近い形状で大腸の長さを正確に計測 することは困難であった.従来,新鮮剖検例,注腸 X 線検査あるいは外科手術の開腹時の計測を用 いて,大腸の長さの検討について報告されてき た (1-7).しかし,これらの計測方法は生体内での計 測ではなかったり,計測手技が複雑であったり,あ るいは簡便化した直線的な計測あるいは 2 次 元 計測に基づくなど,客観性あるいは精度の点で課 題があった.近年,大腸3D - CT(仮想内視鏡,CT colonography)の登場により,大腸の長さ を 3 次 元の曲線で正確に計測することができるようになっ た(8-13).一般的に、日本人は肉食中心のアメリカ 人と比較して、大腸が長いと考えられてきたが,現 在までのところ欧米人との差異について大規模に 検討された報告はほとんどない.本研究では日本 人とアメリカ人の大腸の長さを大腸 3D - CT で客 観的に計測し,解析することを目的としている.大 腸の長さは全大腸の長さ,およびS 状結腸と直腸 を合計した長さに分けて計測した.これは,近年臨 床応用の進んでいる大腸カプセルや大腸内視鏡検 査時においてS 状結腸の長さが問題となりえるた めである.本検討では日本人群650 名とアメリカ人 群650 名の合計 1,300 名という大多数を対象とし ている.また、対照群は大腸がんに対する平均的リ スク患者となっている。アメリカ人群の人種が均一 でないことやアメリカ人群では身長や BMI などの情 報が欠落していたことから,体格にまで踏み込んだ 検討をすることはできなかったなどの限界はあるも のの、対象が1,300 名と大規模であること,拡張し た大腸の長さを正確に計測できる大腸 3D - CT に よる解析であることから,日本人とアメリカ人の大腸 の長さの一般論を述べるには十分な根拠となる報 告であると考えられる。このように新しい技術を用 い、これまで常識と考えられていたことを検証してい くことは、今後の技術革新のためにも大変に意義深 いことと考えられる。 参考文献 1. Am J Med 1924;167:499 -519. 2. SurgRadiol Anat 1992;14:251 - 7. 3. 日本大腸肛門病会誌 1994;47:31 - 9. 4. Clin Radiol 1995;50:318 - 21. 5. Int J Colorectal Dis 1995;10:216 - 21. 6. Br J Surg 1995;82:1491 - 3.

7. Surg Radiol Anat 2008;30:409 - 15. 8. AJR Am J Roentgenol 2007;189:774 - 9. 9. Br J Radiol 2009;82:475 - 81.

10. AJR Am J Roentgenol 2009;193:1291 - 5. 11. AJR Am J Roentgenol 2009;193:1296 - 304. 12. Endoscopy 2009;41:674 - 8.

13. Dig Liver Dis 2010;42:291 - 6.

福島県立医科大学会津医療センター 歌野健一

  「最新文献紹介」

【目的】大腸3D - CT を用いて日本人とアメリカ人の大腸の長さを比較した. 【対象】大腸がんに対する平均的リスク患者で 50 歳以上の日本人とアメリカ人 650 名ずつ,合計 1,300 名を対象とした.大腸の長さは全大腸の長さ,およびS 状結腸と直腸を合計した長さに分けて計測した. 【結果】全対象における全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ 154.7cm,158.2cm,( p 値:0.003,効果量:0.17),S 状結腸と直腸を合計した長さの平均はそれぞれ 63.3cm,62.5cm,( p 値: 0.23,効果量:0.07)であった.世代別では,50 歳代で全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞ れ153.2cm,155.6cm,60 歳代で 155.2cm,159.3cm,70 歳代で 161.8cm,165.2cm で,日米ともに世 代が上がるにつれて有意に長くなった. 【結論】日本人とアメリカ人の大腸の長さの差に実質的効果はみられずほぼ同等である.一方,日米ともに 世代が上がるにつれて全大腸の長さは長くなる.

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日本人とアメリカ人の大腸の長さは違うのか?

―大腸

3D - CT(仮想内視鏡)による 1,300 名の検討-

永田 浩一、田尻久雄、光島徹, 他. (日本消化器内視鏡学会雑誌 2013; 55: 435-44.) 《解説》 大腸は立体的で伸縮する臓器であるた め,生理的に近い形状で大腸の長さを正確に計測 することは困難であった.従来,新鮮剖検例,注腸 X 線検査あるいは外科手術の開腹時の計測を用 いて,大腸の長さの検討について報告されてき た (1-7).しかし,これらの計測方法は生体内での計 測ではなかったり,計測手技が複雑であったり,あ るいは簡便化した直線的な計測あるいは 2 次 元 計測に基づくなど,客観性あるいは精度の点で課 題があった.近年,大腸3D - CT(仮想内視鏡,CT colonography)の登場により,大腸の長さ を 3 次 元の曲線で正確に計測することができるようになっ た(8-13).一般的に、日本人は肉食中心のアメリカ 人と比較して、大腸が長いと考えられてきたが,現 在までのところ欧米人との差異について大規模に 検討された報告はほとんどない.本研究では日本 人とアメリカ人の大腸の長さを大腸 3D - CT で客 観的に計測し,解析することを目的としている.大 腸の長さは全大腸の長さ,およびS 状結腸と直腸 を合計した長さに分けて計測した.これは,近年臨 床応用の進んでいる大腸カプセルや大腸内視鏡検 査時においてS 状結腸の長さが問題となりえるた めである.本検討では日本人群650 名とアメリカ人 群650 名の合計 1,300 名という大多数を対象とし ている.また、対照群は大腸がんに対する平均的リ スク患者となっている。アメリカ人群の人種が均一 でないことやアメリカ人群では身長や BMI などの情 報が欠落していたことから,体格にまで踏み込んだ 検討をすることはできなかったなどの限界はあるも のの、対象が1,300 名と大規模であること,拡張し た大腸の長さを正確に計測できる大腸 3D - CT に よる解析であることから,日本人とアメリカ人の大腸 の長さの一般論を述べるには十分な根拠となる報 告であると考えられる。このように新しい技術を用 い、これまで常識と考えられていたことを検証してい くことは、今後の技術革新のためにも大変に意義深 いことと考えられる。 参考文献 1. Am J Med 1924;167:499 -519. 2. SurgRadiol Anat 1992;14:251 - 7. 3. 日本大腸肛門病会誌 1994;47:31 - 9. 4. Clin Radiol 1995;50:318 - 21. 5. Int J Colorectal Dis 1995;10:216 - 21. 6. Br J Surg 1995;82:1491 - 3.

7. Surg Radiol Anat 2008;30:409 - 15. 8. AJR Am J Roentgenol 2007;189:774 - 9. 9. Br J Radiol 2009;82:475 - 81.

10. AJR Am J Roentgenol 2009;193:1291 - 5. 11. AJR Am J Roentgenol 2009;193:1296 - 304. 12. Endoscopy 2009;41:674 - 8.

13. Dig Liver Dis 2010;42:291 - 6.

福島県立医科大学会津医療センター 歌野健一

寄稿連載 「最新文献紹介」

【目的】大腸3D - CT を用いて日本人とアメリカ人の大腸の長さを比較した. 【対象】大腸がんに対する平均的リスク患者で 50 歳以上の日本人とアメリカ人 650 名ずつ,合計 1,300 名を対象とした.大腸の長さは全大腸の長さ,およびS 状結腸と直腸を合計した長さに分けて計測した. 【結果】全対象における全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ 154.7cm,158.2cm,( p 値:0.003,効果量:0.17),S 状結腸と直腸を合計した長さの平均はそれぞれ 63.3cm,62.5cm,( p 値: 0.23,効果量:0.07)であった.世代別では,50 歳代で全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞ れ153.2cm,155.6cm,60 歳代で 155.2cm,159.3cm,70 歳代で 161.8cm,165.2cm で,日米ともに世 代が上がるにつれて有意に長くなった. 【結論】日本人とアメリカ人の大腸の長さの差に実質的効果はみられずほぼ同等である.一方,日米ともに 世代が上がるにつれて全大腸の長さは長くなる.

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日本人とアメリカ人の大腸の長さは違うのか?

―大腸

3D - CT(仮想内視鏡)による 1,300 名の検討-

永田 浩一、田尻久雄、光島徹, 他. (日本消化器内視鏡学会雑誌 2013; 55: 435-44.) 《解説》 大腸は立体的で伸縮する臓器であるた め,生理的に近い形状で大腸の長さを正確に計測 することは困難であった.従来,新鮮剖検例,注腸 X 線検査あるいは外科手術の開腹時の計測を用 いて,大腸の長さの検討について報告されてき た (1-7).しかし,これらの計測方法は生体内での計 測ではなかったり,計測手技が複雑であったり,あ るいは簡便化した直線的な計測あるいは 2 次 元 計測に基づくなど,客観性あるいは精度の点で課 題があった.近年,大腸3D - CT(仮想内視鏡,CT colonography)の登場により,大腸の長さ を 3 次 元の曲線で正確に計測することができるようになっ た(8-13).一般的に、日本人は肉食中心のアメリカ 人と比較して、大腸が長いと考えられてきたが,現 在までのところ欧米人との差異について大規模に 検討された報告はほとんどない.本研究では日本 人とアメリカ人の大腸の長さを大腸 3D - CT で客 観的に計測し,解析することを目的としている.大 腸の長さは全大腸の長さ,およびS 状結腸と直腸 を合計した長さに分けて計測した.これは,近年臨 床応用の進んでいる大腸カプセルや大腸内視鏡検 査時においてS 状結腸の長さが問題となりえるた めである.本検討では日本人群650 名とアメリカ人 群650 名の合計 1,300 名という大多数を対象とし ている.また、対照群は大腸がんに対する平均的リ スク患者となっている。アメリカ人群の人種が均一 でないことやアメリカ人群では身長や BMI などの情 報が欠落していたことから,体格にまで踏み込んだ 検討をすることはできなかったなどの限界はあるも のの、対象が1,300 名と大規模であること,拡張し た大腸の長さを正確に計測できる大腸 3D - CT に よる解析であることから,日本人とアメリカ人の大腸 の長さの一般論を述べるには十分な根拠となる報 告であると考えられる。このように新しい技術を用 い、これまで常識と考えられていたことを検証してい くことは、今後の技術革新のためにも大変に意義深 いことと考えられる。 参考文献 1. Am J Med 1924;167:499 -519. 2. SurgRadiol Anat 1992;14:251 - 7. 3. 日本大腸肛門病会誌 1994;47:31 - 9. 4. Clin Radiol 1995;50:318 - 21. 5. Int J Colorectal Dis 1995;10:216 - 21. 6. Br J Surg 1995;82:1491 - 3.

7. Surg Radiol Anat 2008;30:409 - 15. 8. AJR Am J Roentgenol 2007;189:774 - 9. 9. Br J Radiol 2009;82:475 - 81.

10. AJR Am J Roentgenol 2009;193:1291 - 5. 11. AJR Am J Roentgenol 2009;193:1296 - 304. 12. Endoscopy 2009;41:674 - 8.

13. Dig Liver Dis 2010;42:291 - 6.

福島県立医科大学会津医療センター 歌野健一

  「最新文献紹介」

【目的】大腸3D - CT を用いて日本人とアメリカ人の大腸の長さを比較した. 【対象】大腸がんに対する平均的リスク患者で 50 歳以上の日本人とアメリカ人 650 名ずつ,合計 1,300 名を対象とした.大腸の長さは全大腸の長さ,およびS 状結腸と直腸を合計した長さに分けて計測した. 【結果】全対象における全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ 154.7cm,158.2cm,( p 値:0.003,効果量:0.17),S 状結腸と直腸を合計した長さの平均はそれぞれ 63.3cm,62.5cm,( p 値: 0.23,効果量:0.07)であった.世代別では,50 歳代で全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞ れ153.2cm,155.6cm,60 歳代で 155.2cm,159.3cm,70 歳代で 161.8cm,165.2cm で,日米ともに世 代が上がるにつれて有意に長くなった. 【結論】日本人とアメリカ人の大腸の長さの差に実質的効果はみられずほぼ同等である.一方,日米ともに 世代が上がるにつれて全大腸の長さは長くなる.

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日本人とアメリカ人の大腸の長さは違うのか?

―大腸

3D - CT(仮想内視鏡)による 1,300 名の検討-

永田 浩一、田尻久雄、光島徹, 他. (日本消化器内視鏡学会雑誌 2013; 55: 435-44.) 《解説》 大腸は立体的で伸縮する臓器であるた め,生理的に近い形状で大腸の長さを正確に計測 することは困難であった.従来,新鮮剖検例,注腸 X 線検査あるいは外科手術の開腹時の計測を用 いて,大腸の長さの検討について報告されてき (1-7).しかし,これらの計測方法は生体内での計 測ではなかったり,計測手技が複雑であったり,あ るいは簡便化した直線的な計測あるいは 2 次 元 計測に基づくなど,客観性あるいは精度の点で課 題があった.近年,大腸3D - CT(仮想内視鏡,CT colonography)の登場により,大腸の長さ を 3 次 元の曲線で正確に計測することができるようになっ た(8-13).一般的に、日本人は肉食中心のアメリカ 人と比較して、大腸が長いと考えられてきたが,現 在までのところ欧米人との差異について大規模に 検討された報告はほとんどない.本研究では日本 人とアメリカ人の大腸の長さを大腸 3D - CT で客 観的に計測し,解析することを目的としている.大 腸の長さは全大腸の長さ,およびS 状結腸と直腸 を合計した長さに分けて計測した.これは,近年臨 床応用の進んでいる大腸カプセルや大腸内視鏡検 査時においてS 状結腸の長さが問題となりえるた めである.本検討では日本人群650 名とアメリカ人650 名の合計 1,300 名という大多数を対象とし ている.また、対照群は大腸がんに対する平均的リ スク患者となっている。アメリカ人群の人種が均一 でないことやアメリカ人群では身長や BMI などの情 報が欠落していたことから,体格にまで踏み込んだ 検討をすることはできなかったなどの限界はあるも のの、対象が1,300 名と大規模であること,拡張し た大腸の長さを正確に計測できる大腸 3D - CT に よる解析であることから,日本人とアメリカ人の大腸 の長さの一般論を述べるには十分な根拠となる報 告であると考えられる。このように新しい技術を用 い、これまで常識と考えられていたことを検証してい くことは、今後の技術革新のためにも大変に意義深 いことと考えられる。 参考文献 1. Am J Med 1924;167:499 -519. 2. SurgRadiol Anat 1992;14:251 - 7. 3. 日本大腸肛門病会誌 1994;47:31 - 9. 4. Clin Radiol 1995;50:318 - 21. 5. Int J Colorectal Dis 1995;10:216 - 21. 6. Br J Surg 1995;82:1491 - 3.

7. Surg Radiol Anat 2008;30:409 - 15. 8. AJR Am J Roentgenol 2007;189:774 - 9. 9. Br J Radiol 2009;82:475 - 81.

10. AJR Am J Roentgenol 2009;193:1291 - 5. 11. AJR Am J Roentgenol 2009;193:1296 - 304. 12. Endoscopy 2009;41:674 - 8.

13. Dig Liver Dis 2010;42:291 - 6.

福島県立医科大学会津医療センター 歌野健一

「新しい臨床研究の紹介」

【目的】大腸3D - CT を用いて日本人とアメリカ人の大腸の長さを比較した. 【対象】大腸がんに対する平均的リスク患者で 50 歳以上の日本人とアメリカ人 650 名ずつ,合計 1,300 名を対象とした.大腸の長さは全大腸の長さ,およびS 状結腸と直腸を合計した長さに分けて計測した. 【結果】全対象における全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞれ 154.7cm,158.2cm,( p 値:0.003,効果量:0.17),S 状結腸と直腸を合計した長さの平均はそれぞれ 63.3cm,62.5cm,( p 値: 0.23,効果量:0.07)であった.世代別では,50 歳代で全大腸の長さの平均は日本人とアメリカ人でそれぞ れ153.2cm,155.6cm,60 歳代で 155.2cm,159.3cm,70 歳代で 161.8cm,165.2cm で,日米ともに世 代が上がるにつれて有意に長くなった. 【結論】日本人とアメリカ人の大腸の長さの差に実質的効果はみられずほぼ同等である.一方,日米ともに 世代が上がるにつれて全大腸の長さは長くなる. 「便潜血陽性者が希望する大腸精検法の意向調査―大腸内視鏡と通常用量前処置もしくは低用量前処置大腸 3D-CT からの選択―(GAIA-01)」  消化管先進画像診断研究会(GAIA)ではエビデンスに基づく大腸 3D-CT の臨床導入を目指し、近年 2 つの 多施設共同臨床試験を実施しました。Japanese National CT colonography trial(JANCT, UMIN 試験 ID: 2097)では日本全国の 13 施設、1260 例を対象として、大腸内視鏡と同じ前処置(前処置液 2L)を施行した 大腸 3D-CT のポリープや大腸癌の診断精度を評価しました。続いて低用量前処置法(前処置液 800ml)による 大腸 3D-CT の精度を検討しました(UMIN 試験 ID:6665)。この2つの臨床研究において大腸 3D-CT は十分 な診断精度があることを証明し報告してきました。日本においても大腸 3D-CT を本格的に大腸がん検診に導入 していく基盤ができたと高く評価されています。  さて、もしあなたが思いがけずに便潜血検査で陽性反応がでてしまった場合、この大腸 3D-CT を受けるでしょ うか? ご存じのとおりですが日本には世界をリードする大腸内視鏡の技術や診断能力があります。またもし 大腸 3D-CT でポリープが見つかった場合、もう 1 回前処置液を飲んで大腸内視鏡を受ける必要があります。「大 腸 3D-CT の方が受けやすそうだけど、やっぱり 2 度手間はいやだから初めから内視鏡をやろう。」と考えても 全く不思議はありません。いくら高名な先生方が「大腸内視鏡だけでは要精検者の検査をこなすのは限界があ るため、大腸 3D-CT が必要なんです!!」と力説されても患者さんにはどこ吹く風にすぎません。つまり今回 の研究で明らかにしたいことは、大腸の検査が必要な患者さんにとって大腸 3D-CT は大腸内視鏡に比べて魅力 があるかどうかを調査することです。具体的には症状がない便潜血陽性の患者さんに大腸内視鏡と大腸 3D-CT を説明し、どちらかの検査を選んでもらい、その選んだ理由をアンケートで評価するだけです。いたって簡単 な研究です。また大腸 3D-CT では前処置を軽減できるメリットがありますので、そのメリットが検査の選択に 影響をあたえるのかどうかについても評価します。そのため大腸 3D-CT は通常前処置(2L)と低用量前処置 (800ml)のどちらかを選択してもらうことにしています。  本研究のプロトコールは平成 24 年 12 月に北海道消化器科病院 治験審査委員会にて承認され、UMIN に登 録を完了しました(UMIN 試験 ID:9456)。そのうえで同月より北海道消化器科病院にて先行して症例登録を 開始しています。平成 25 年 7 月までに松愛会松田病院、長崎県上五島病院、KKR 札幌医療センター斗南病院、 福島県立医科大学会津医療センター、川崎医科大学において倫理委員会で承認され、松愛会松田病院と福島県 立医科大学会津医療センターでは症例登録を開始しています。  低迷する日本の大腸精検受診率の向上に大腸 3D-CT がどの程度寄与するかはまだまだ未知数ですが、本研究 においてその一端を示すことができるのではないかと考えています。ご興味のある方は是非ともご連絡くだ さい。 北海道消化器科病院 加藤貴司 GAIA-01 研究概要 被験者登録 ・40 歳以上の便潜血陽性者 ↓ 被験者の自由意思による大腸精検法の選択 ・大腸内視鏡 ・通常用量前処置大腸3D-CT ・低用量前処置大腸3D-CT ↓ アンケート調査①(選択の理由について) ↓ 大腸精検法の実施(大腸内視鏡もしくは大腸 3D‐CT) ↓ アンケート調査②(検査の受容性等について) ↓ 臨床経過の調査

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診断

断レポート

レポート

レポート

レポート

参照

照画

画像

マーク

マーク

マーク

マーク

画像

(Prone)

2013年 03月 10日 検査

2013年 03月 10日 作成

ID ZA9f41e037

氏名

ZA-CTC-3

年齢

62 性別 女

依頼医

****

診断医

****

Prone

Supine

肛門側から

316.25 mm

ID: ZA9f41e037

ZA-CTC-3

Study Date: 2013/03/10

1/2 pages

付 録 WS メーカー各社の読影レポート形式 紹介

(19)

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所見

画像

(Supine)

所見

上行結腸、下行結腸に憩室を認めます。

S状結腸に約3cmの隆起性病変を認めます。腸管壁の辺縁は不正を呈しており、漿膜外浸潤が

示唆されます。

肛門側から

mm

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大腸解析結果

大腸解析結果

名前  Teaching Case TLP19 ID  TLP19 検査日 2012年01月01日 生年月日 1949年01月01日 年齢 062Y 性別 M 施設名 検査ID 8051 登録医師名 読影医師名 検査時間(min) 0 min 読影方法 - 合併症の有無 - 読影時間(min) 1次読影 0 min 炭酸ガス注入量 1体位撮影時 0 ml 2体位撮影時 0 ml 仰臥位 右側臥位 C-RADS 大腸病変(1次読影) - 腸管外病変 読影なし 付 録 WS メーカー各社の読影レポート形式 紹介

(21)

ポリープ 1 体位 仰臥位 記録点 1 詳細 肛門から[ 15.4 ]cmの[ A ]に[ ] mmの[ 0-ls ]型病変を認めます。 確信スコア(1次読影): X:224.2 Y:260.1 Z:505.0 体位 右側臥位 記録点 1 詳細 肛門から[ 21.9 ]cmの[ A ]に[ ] mmの[ ]型病変を認めます。 確信スコア(1次読影): X:213.8 Y:250.1 Z:454.3

株式会社 AZE

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(23)

 

(24)

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GAIASAMPLE001 — 2013/03/10 — Page 1 of 2

大腸の 䣅䣖 検査レポート䢢

消化管先進画像診断研究会䢢

䣉䣣䣵䣶䣴䣱䣫䣰䣶䣧䣵䣶䣫䣰䣣䣮䢢䣃䣦䣸䣣䣰䣥䣧䣦䢢䣋䣯䣣䣩䣫䣰䣩䢢䣃䣥䣣䣦䣧䣯䣻䢢

GAIA

患者名䢼䢢 䣉䣃䣋䣃䣕䣃䣏䣒䣎䣇䢲䢲䢳䢢 年齢䢼䢢 䢢 照会医師䢼䢢 䢢 性別䢼䢢 䣏䢢 検査日䢼䢢 䢴䢲䢳䢵䢱䢲䢵䢱䢳䢲䢢 生年月日䢼䢢 䢢 患者 䣋䣆䢼䢢 䣉䣃䣋䣃䣕䣃䣏䣒䣎䣇䢳䢢

大腸の 䣅䣖 検査䢼䢢 䢴䢲䢳䢴䢱䢲䢵䢱䢳䢲䢮䢢陰性造影剤として空気を腸管に満たし 䣅䣖 を施行しました。䢢取得された画像データを標準の画像作成プロトコルに より 䢵 次元画像処理しています。䢢検査所見を下記に記載します。䢢

所見䢼

䢢 䢢 䢢 䢢 上の図はこの結腸に関しての概要を表示しています。䢢図の中の円は、所見の位置を示します。所見の詳細は下記の表を参照して ください。䢢 䢢 䢢

コメント:䢢

推奨事項:䢢

付 録 WS メーカー各社の読影レポート形式 紹介

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GAIASAMPLE001 — 2013/03/10 — Page 2 of 2

所見䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢪仰向け䢫䢢䢢 䢢 䢢 タイプ䢼䢢䢢 サイズ䢼䢢䣝仰向け䢼䢢䣟䢢䢢 直腸からの距離䢼䢢䢴䢷䢢䣥䣯䢢 画像番号䢼䢢䣝仰向け䢼䢢䢸䢶䢷䣟䢢䢢 コメント䢼䢢䢢 䢢 所見䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢪うつ伏せ䢫䢢䢢 䢢 䢢 䢢 タイプ䢼䢢䢢 サイズ䢼䢢䣝うつ伏せ䢼䢢䣟䢢䢢 直腸からの距離䢼䢢䢴䢶䢢䣥䣯䢢 画像番号䢼䢢䣝うつ伏せ䢼䢢䢶䢵䢲䣟䢢䢢 コメント䢼䢢䢢 䢢

テラリコン・インコーポレイテッド

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参照

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