理科コラム
第2回 「ウイルスと菌について」
新型コロナウイルス・・・。インフルエンザウイルスと同じで、どんどん人に感染しながら、自 分の仲間を増やす憎いやつ・・・。本当におとなしくしておいてほしいものです。
ところで、「ウイルス」と「菌」は同じものだと思っていませんか??確かに、「溶連ようれん菌」などに 感染すると、高熱が出るなどインフルエンザと同じような症状が出たりするので、一緒のものだと 思う人も多いと思いますが、実は少し違います。
菌は、完全に生物ですが、ウイルスは、人によっては生物ではないという人もいます。
生物のからだは細胞が集まってできているから、どんなに小さな生物でも細胞が 1 つあり、1 つ の細胞で体ができている生物を、単細胞生物ということは、3年生は既に習っています。
菌は小さな単細胞生物なので、細胞分裂をして仲間を増やします。一方、ウイルスは細胞すら持 たず、自分が増えるときには、ほかの生物の細胞の中に入り込んで増えます。このように増え方が 違うということを知っていた人は、かなりの知識を持っている人です!
一般的には、菌とウイルスの違いはそのからだの大きさのちがいで、どちらも目に見えないぐら い小さいですが、菌のほうが約100倍(種類によって大きさが違うのでだいたい)大きく、
という、体の大きさになります。
菌のからだ ウイルスのからだ
ちがいをまとめると
① 自分で増殖できるかできないか。
→菌は自分でできるが、ウイルスはほかの生物の細胞を使わないと増殖できない。
② 体の大きさが違う。
→菌のほうは大きく、ウイルスが小さい。
ということになります。
ちなみに、第1回で取り上げたエタノールは、ウイルスのエンベロープをこわして、ウイルス 本体を破壊できるので、消毒に用いられます。
ここまでは違いを説明しましたが、ここからは、「治す」という視点から、両者を比べていこう と思います。
不運にも菌やウイルスに感染してしまったら、一般にどちらが治りやすいと思いますか??
人間の寿命が劇的に伸びた大きな理由の一つに抗生物質の発見があります。読んで字のごとく、
体の中に入ってきた悪い生物の細胞を壊してやっつけてくれる頼もしい薬です。
ここまで読んで、答えが分かった人もいるでしょう。
そうです。抗生物質は、菌を退治できても、ウイルスは退治できません。ウイルスは細胞ではな いので、抗生物質は効かないのです。
ということで、答えは、菌に感染したほうが、抗生物質があるから一般的に治しやすいというこ とです。ウイルスに効く薬は研究されていますが、その開発は、なかなか難しいようです。新型コ ロナウイルスに関しても、何年も先にならないと特効薬はできないといわれています。
ここまで読むと、菌は感染しても大丈夫と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありま せん。あくまでウイルスと比べて治しやすいというだけで、増殖スピードが速く一気に体をむしば む強力な菌も存在するので、両者とも人の命を奪う恐ろしい存在であることは変わりありません。
一番いいのは感染しないことなので、うがいや手洗い、消毒や咳エチケットなど、感染しない、
させない、取り組みが一番の薬です。
さんざん菌の悪口が続いたので、菌は菌でもいいやつもいることを付け加えて終わりたいと思い ます。
ヨーグルトの中にいるビフィズス菌、納豆の中にいるナットウ菌、味噌や醤油をつくるときに 使う麹などは、すべて菌の仲間です。(詳しくは3年生の後半で習います。)
人間にとって、都合のいいように食べ物を変えてくれる菌もいるし、私たちの大腸の中にも、数 えきれないぐらいの菌が存在しています。うまく共存して、もちつもたれつの関係を築いていけば、
いいのですが、わがままに人のからだで増え続ける新型コロナウイルスとは、今のところ友達にな れそうにないですね・・。
第2回は、菌とウイルスについてでした。理科の授業で習う単語のなかで、重要なものは、太文 字になっています。読んで気になったものは、自分でも調べてみてください。
今回出てきた、単語は以下のものです。