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地域性を考慮したトンネル群の劣化状態予測

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Academic year: 2022

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(1)

キーワード 劣化予測・在来工法・確率微分方程式・最尤法・地域別特性

連絡先 〒

158-8557

東京都世田谷区玉堤

1-28-1

東京都市大学

TEL. 03-5707-0104 E-mail

[email protected]

地域性を考慮したトンネル群の劣化状態予測

東京都市大学 正会員 丸山 收 八千代エンジニアリング 正会員 小澤孝弘 東北工業大学 正会員 須藤敦史 関西大学 正会員 兼清泰明

(独)寒地土木研究所

正会員 佐藤 京

1. はじめに

建設後

50

年を超える土木構造物は年々増加傾向にあ り,限られた予算の中で維持管理を行うためにも劣化 の過程を捉えることは重要である.本研究では,北海 道の道路における山岳トンネルを対象として,供用期 間中のトンネル点検データより得られた情報を基に,

覆工コンクリートの劣化過程モデルを構築して,地域 別劣化予測を行うことを目的に推計を行った.

2. 点検データと推計における仮定

北海道にある道路トンネルで

2006

年~

2012

年におい て

2

3

4

回定期点検された在来工法のトンネル

106

個の劣化予測を行った.劣化予測を行う上での仮定条 件として,①竣工後

1

年後の覆工板の点検データを

0.01

(ほとんど劣化なし),②劣化のサンプルを推計する覆 工板を入口から

2

枚目に統一し推計を行った.

3. 劣化モデルと最尤法によるパラメータの同定

本研究では,複合ポアソン過程を不規則な損傷度成 長の駆動雑音として,劣化度

X (t )

の時間成長を記述す る確率微分方程式を用いる.複合ポアソン過程

C (t )

(t )

N

を強度

λ

のポアソン過程,

{ } Y

k k=

,1 2 ,

はお互いに独 立で,同一分布に従い,次式で示せる.

=

=

()

)

1

( t

Nkt

Y

k

C (1)

複合ポアソン過程において,

E [ ] Y

k

= q 1

とすると平均は 次式で表せる.

[ ] C t λ q t

E ( ) = 1 (2)

平均値が

0

の駆動雑音を

Z ( t ) = C ( t ) − λ q 1 t

として,劣化度

(t )

X

の時間成長を記述する確率微分方程式が示せる.

{ ( ) } ( ) ( ) ( ) )

( t μ

0

t λ q

1

X t dt X t dC t

dX = − +

(3)

ここで,

μ 0 ( t )

は劣化度

X (t )

の平均的時間成長係数であ る.次に

μ 0 ( t ) = μ 0

とすると,式

(3)

の解は次式となる.

{ − } ∏

=

+

= ( )

1 1

0 ) ( 1 )

( exp ) 0 ( )

( t X μ λ q t

Nk t

Y

X (4)

また

X (t )

の確率密度関数は,たたみこみ積分を含んだ

関数形となるが,平均値と分散値は次式となる.

[ X t ] X { } μ t

E ( ) = ( 0 ) exp

0

(5)

[ X ( t ) ] = X ( 0 )

2

exp { 2 μ

0

t } { (exp λ q

2

t } − 1 )

V (6)

[ ]

2

2

E Y

k

q =

はジャンプの

2

次モーメントである.

ここで,

Y

kの確率密度関数

f

Y

(y )

が平均値

υ

の指数分 布に従うものとする.

) / exp(

) / 1 ( )

( y υ y υ

f

Y

= − (7)

この仮定の下で,

q

2

= E [ ] Y

k2

= 2υ

2となる.1)

(3)

のパラメータを点検データから推計するため に最尤法を用いる.まず,ボラティリティ

σ 0

を正定数,

) 0

( ),

( tt < ∞

B

は,

B ( 0 ) = 0 , 0 ≤ ∀ s < ∀ t < ∞

において,

) ( ) ( t B s

B

が,

N ( 0 , ts )

である独立増分な標準ブラウ ン運動とすると,次の算術ブラウン運動モデルになる.

) ( )

( )

( t μ

0

t dt σ

0

dB t

dX = + (8)

一方,幾何ブラウン運動モデルは,次式で与えられる.

) ( ) ( )

( )

( t μ 0 X t dt σ 0 X t dB t

dX = + (9)

(9)

の解過程は,対数正規分布であり,式

(3)

と同様な 挙動を示すこととなる.一方,幾何ブラウン運動

X (t )

対数変換

ln( X ( t ))

は,時間依存する正規確率過程となる.

詳細は参考文献

(2)

に委ねるが,式

(3)

と等価な幾何ブラ ウン運動のパラメータを推定して,その結果から式

(3)

に必要なパラメータを求めることを行う.幾何ブラウ ン運動に対して変数変換により,

y ( t ) = ln( X ( t ))

とし,

「伊藤の公式」により式

(10)

を得る.

) ( )

5 . 0 ( ) 0 ( )

( 2 0

0

0 σ t σ B t

μ y t

y = + − + (10)

(10)

より式

(9)

は,式

(8)

の算術ブラウン運動モデルに 変換されて,平均

y ( 0 ) + ( μ 0 − 0 . 5 σ 2 0 ) t

,分散

σ 2 0 t

の正規 分布に従うことがわかる.次に,式

(10)

を離散データに 対してインデックス番号を与えて表現する.

)) ( ) (

( 0 . 5 )( )

( ) ( ) (

1 2 1 0 0

1

n n

n n n

n

y t σ μ B t σ B t t t t

y − = + − − −

+

+

+

(11)

観測される時系列データ

( X ( t 0 ), X ( t 1 ), … , X ( t

N

))

を考え ると,最尤法により係数

( μ 0 , σ 0 )

の推定値はそれらの観 測データが最も高い確率で抽出されるように算出され 土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑855‑

Ⅴ‑428

(2)

る.即ち,正規確率密度関数を

P ・ ( )

とすると,以下の 対数尤度関数を最大とするように求められる.

=

=

N

n N

N N

t X t

y t y t y p

t X t X t X p

1 0 0

1 0

)) ( ln(

)) ( , ), ( ), ( ( ln

)) ( , ), ( ), ( (

ln (12)

以上のように求められたパラメータ

μ 0 , σ 0

から,ポアソ ン分布強度

λ

を仮定した上で,指数分布の平均

λ σ

υ = 0 2

を求めると,

Y

kのジャンプの

2

次モーメ ントを

q 2 = 2υ 2

として算出できる.1)

4. 推計結果

劣化モデルにより計算された値を覆工板の劣化曲線 と劣化度の分布のヒストグラムで示した.図‐1の劣化 曲線においては,劣化のサンプルを

100

個と,そのト レンド成分を表示し,最後の点検年から

10

年間の劣化 度を推計した.劣化度の分布のヒストグラムは,

2

4

6

8

年後の劣化度の分布を

5000

サンプル推計した.そ のヒストグラムの一部を図‐2,図‐3に示す.虻羅ト ンネルは,竣工後

35

年,

37

年,

39

年に

3

回の定期点 検をし,今回はそのデータから劣化予測を行い,

39

年 以降の予測を示している.

5. 地域別特性の検討

地域別特性の検討として,ヒストグラムにおいて管 理限界値を超える(劣化度

16

以上)確率を算出した.

これを

106

個の全てのトンネルの

2

4

6

8

年後のヒ ストグラムごとに行い,トンネルごとの管理限界値を 超える確率の推移を管理する建設部ごとにプロットし たものが図‐4である.札幌,函館,小樽の建設部では データ数が多いため,一見同じ劣化過程となっている ことが見て取れるが,グラフの線の微小な傾きの違い が地域特性であるのではないかと考える.建設部の一 部地域においては,トンネル数が少ないため劣化が激 しいトンネルが多いとその性質が顕著に出てしまう.

6. 考察と今後の方針

劣化予測においては,

2

3

4

回点検されたデータを 用いて推計を行ったが,劣化確率の推移が点検期間の 検討に利用できるのではないかと考える.また,個々 のトンネルごとに管理限界値を超える確率をグラフ上 にプロットした際に,長いトンネルに比べて短いトン ネルほど劣化が急激であった.地域別の特性を検討す る上でもトンネルの長さによる影響を取り除く必要が あると考える.

参考文献

1)

丸山收,須藤敦史:単一トンネルにおける覆工コンクリートの 劣化予測,土木学会第

69

回年次学術講演会,

2014

9

2)

丸山收,須藤敦史,田中泰明他:トンネル覆工コンクリートの

確率論的予測モデルの構築,JCOSSAR2011論文集,2011 図‐1 虻羅トンネルの竣工後

39~49

年の劣化予測

図‐2 虻羅トンネルの竣工後

41

年のヒストグラム

図‐3 虻羅トンネルの竣工後

47

年のヒストグラム

図‐4 建設部ごとの地域別特性の検討

0 5 10 15 20 25 30

1 101 201 301 401 501 601 701 801 901 1,00

damage degree

Years later

Mean Trend Simulated Samples

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100

Frequency

damage degree

0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10 0.12 0.14 0.16 0.18 0.20

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100

Frequency

damage degree

0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 0.600 0.700 0.800

2 4 6 8

Probability of exceeding the control limits

Years later

札幌建設部 函館建設部 小樽建設部 旭川建設部 室蘭建設部 帯広建設部 網走建設部 留萌建設部 稚内建設部 平均の平均

土木学会第71回年次学術講演会(平成28年9月)

‑856‑

Ⅴ‑428

参照

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