岡山・香川・徳島における聞き取り調査より――‑
轟 木 靖 子 山 下 直 子
1 •
研究の目的日本語の話し言葉においては、文末表現やそれにともなう音調がコミュニケーションをはかるう えで重要な役割を担っている。轟木
( 1 9 9 3 )
では東京語の文末詞(終助詞類)について、音調と意 味・機能の対応関係について内省にしたがい整理した。縣木• 山下( 2 0 0 4 )
では、轟木( 1 9 9 4 )
で 東京語話者に対しておこなった文末詞の音調についての聞き取り調査と同じものを岡山、広島、香 川で成育した男女および香川大学で学ぶ留学生に実施した。その結果をとおして、東京でおこなわ れている文末詞の音調と意味・機能の対応関係が、東京以外の地域でどの程度共通に理解されるか を調査し、日本各地に共通語として理解されるような終助詞の音調を明らかにすることをこころみ た。今回は、岡山、香川、徳島で学ぶ外国人留学生(以下、「留学生」とする)に同じ調査をおこな い、その結果を同じ地域で成育した日本語母語話者の結果と比較し、考察した。また、日本語母語 話者についても地域差がある程度予想されるため、東京、神奈川で成育した日本語母語話者のデー タとの比較をおこなった。轟木・山下
( 2 0 0 4 )
の結果とあわせて、将来的に日本語教育教材開発の ための基礎研究資料とすることを目指すものである。2 .
終助詞の音調の記述方法郡 ( 1 9 9 0 )
では、大阪語の文末詞「か」の音調を、前形式に対する接続の仕方と文末詞自体の拍 内の音調の二つの要素によって記述・整理している。本研究でも同様の方法を取る。前形式への接 続の仕方は、和田( 1 9 6 9 )
で述べられている助辞接辞のアクセントの概念が基礎となっている。東 京語の場合、前接の語句への接続のしかたは順接と低接の2
種類が考えられる。順接とは、前接の語句のアクセント型に従ってそのまま接続するものであり、無核の場合は高い 拍にそのままつき(例:モモ+ヨ→三字百)、有核の場合、尾高型の場合はアクセント核に従って 低い拍として接続し、頭高型、中高型の場合は低い拍にそのままつく (例:イヌ'+ヨ→イ ヌヨ
‑ ‑ 、
ア メ+ヨ→ア土旦)。低接とは、前接の語句のアクセント型にかかわらず、常に低く接続するつ きかたである。(例:モモ+ヨ→主写旦、イヌ 十ヨ→
j ̲ Y :
旦、ア メ+ヨ→亨込旦)。東京語の場合、文末詞拍内の音調は、平坦、上昇、下降、上昇下降の
4
種類が考えられるが、上 昇には疑問文の末尾に見られるような上昇と、アクセントの低から高へ変化するときのような上昇 の2
種類が認められる。疑問文末尾に見られる上昇音調は、一般的に「上昇」と呼ぶときにもっともイメージしやすい音 調である。「桃?」「雨?」のように、名詞ー語文で問い返す発話の末尾にもあらわれ、終助詞を伴 わない発話において、聞き手への問いかけの機能を担う音調であると考えられる。しかし、終助詞
‑43‑
轟 木 靖 子 山 下 直 子
表 1 東京語の文末詞の音調
前 形 式 順 接 低 接 備 考
動詞 形容詞 名詞 名詞+ダ 平坦 疑上昇 ア上昇 下 降 上下 平坦 疑上昇 ア上昇 下降 上下 よ1
゜゜ ゜ ゜ ゜ ゜ ゜ ゜
よ2 わよ わよ
゜ ゜ ゜
女性語; V,Aには「わよJ
ぜ
゜゜ ゜ ゜ ゜ ゜
男性語ぞわさ
゜゜ ゜ ゜ ゜゜ ゜ ゜゜゜ ゜ ゜ ゜ ゜
男性語疑問上昇は女性語ねl
゜゜ ゜ ゜ ゜
ね2 わね わね
゜ ゜ ゜
女性語; V,Aには「わねJ
な1
゜゜ ゜゜ ゜
な2
゜゜ ゜ ゜
な 3 終止形
゜
禁止な4 連用形
゜
£日PムTlの
゜゜
名詞+ナ゜゜゜
かl
゜゜゜ ゜゜ ゜ v
終止形(尾高型)に接続 か2゜ ゜
(0)v
連体形(平板型)に接続って1 〇 〇 〇 〇 (0)
って2 〇 〇 〇 〇 〇 〇
つけ0は、その音調が使われていることを示す。複数の音調が一つの欄になっている部分は、それらの音調が機能のうえで区別されないで使われ
゜゜ ゜ ゜
ていることをあらわす。 Vは動詞を、 Aは形容詞をあらわす。
が伴う発話においては、かならずしも同じ機能を担うとはいえない。終助詞の形態的意味が影響す るからである。
アクセントの低から高への上昇音調は、たとえば、「これ何て書いてあるの?」と尋ねられたと きに「桃。」「雨。」と答えたが、「えっ、何?」と聞き返されて、強い調子で「もも!」「あめ!」
と答えるときの末尾にもあらわれる。この上昇調は、このように文末詞を伴わない発話の末尾にお いて用いられると、聞き手には強い口調としてとらえられ、話し手の主張の強さ、あるいは聞き手 への訴えかけの強さなどの機能を担うと考えられる。しかし、これも、終助詞をともなった発話で は、かならずしも同じ機能を担うとはかぎらない。また、先の疑問文末尾の上昇音調とほとんど区 別されずに使われる場合もある。
ここでは、疑問文末尾に見られるような上昇音調を「疑問上昇」、アクセントの低から高へ変化 するときに見られるような上昇音調を「アクセント上昇」と呼ぶ。
この二つの上昇音調の区別は、吉沢
( 1 9 6 0 )
の「昇調l
」「昇調2
」、川上( 1 9 6 3 )
の「第一種」「第四種」、上村
( 1 9 8 9 )
の「のぼり音調」「つよめ音調」の区別にほぼ相当する(注1 )
。結果として、
2
種類のアクセントXS
種類の拍内音調=10
種類が理論的には想定できることにな るが、実際には、多くの文末詞はこの1 0
種類の音調の一部を取り、その中で意味・機能が区別され る。これについては轟木( 1 9 9 3 )
で内省をもとに整理を行ったが、一部修正を加えたものを表l
に 示す。なお、轟木の成育地は中学2
年生まで東京都世田谷区であり、以下「内省」とは轟木の内省 である。3 .
共通語としての終助詞の音調共通語は、日本全国各地で通じる言葉であるが、かなりの部分は東京語が基本になっていると考 えられる。終助詞について考える場合、例えば「ね」と「よ」の語彙的な違いによる差は文法研究
の分野でも多くなされており、一部には音調による違いを取り入れたものもあるが、基本的には文 法論の立場からの分析が中心である。
各地の方言で使われている文末詞の音調についての研究は、藤原
( 1 9 8 2
、1 9 8 5
、1 9 8 6 )
を始めと しておこなわれているが、文末詞の取りうる音調を音韻的に整理し、そのうえで意味・機能との対 応関係を分析したものは、郡( 1 9 9 0 )
、村中・郡( 1 9 9 0 )
、轟木( 1 9 9 3 )
など一部に限られている(注
2) 。
文末詞の音調は、東京語の場合、内省では、たとえば「行くよ」の「よ」は、疑問上昇かアクセ ント上昇のどちらで言っても、使われる場面や文脈にあまり差はないように思われる。つまり、こ の二つの音調は意味・機能に差を生じさせるほどの差ではないと考えられる。しかし、「の」の場 合、「行くの」の「の」を疑問上昇で言えば、行くかどうかを相手に辱ねる発話となり、アクセン ト上昇で言えば、自分は絶対行くのだと主張する発話となる。つまり、「の」の
2
種類の上昇音調 は、音調と意味・機能の対応という面から見れば、「よ」に見られたような音声的なバリエーショ ンではなく、音素的なものであると考えられる。今回は、形態としては全国で使われている、あるいは理解されていると思われる「よ」「ね」
「な」「か」についての音調と意味・機能の対応が、岡山、香川、徳島で言語形成期を過ごした日 本語母語話者にどの程度共有されているか、また、同じ地域で生活している留学生がどのように理 解しているかを調壺し、比較・考察をおこなう。
なお、地域の言葉としての「よ」「ね」等は「文末詞」、共通語として考える場合は「終助詞」と 呼ぶことにする。
4 .
「よ」「ね」「な」「か」の聞き取り調査4 . 1
調査の方法および内容「やるね」「桃だよ」のように、短い語句に「よ」「ね」をつけた文の終助詞の部分を複数の音調 で読んだテープを聞いてもらい(不自然にならない程度に前接の語句の部分の音調の高さがあまり 変わらないよう注意して読んだものを用いた)、各発話について、提示された設定での発話として ふさわしいと思ったら
0
をつけてもらった。その場合、自分が使わなくてもそのように聞こえれば0
をつけ、複数0
をつけても、あるいは一つも0
がつかなくてもかまわないことを伝えた。調査し た文、終助詞の音調、設定の内容は以下のとおりである。L
は低接をあらわし、L
がついていない ものは順接であることをあらわす。調査テープでの順序はここに示したとおりではない。調査時間 は2 0
分程度であった。「桃だよ」の全音声および「やるよ」の低接上昇下降のF O
曲線を図1
から図3
に示す。分析にはパソコンソフト「音声録聞見f o rWindows
」(デイテル)を使用した。調査は2 0 0 3 年 1 2
月から2 0 0 5 年 1 1
月の間に実施した。( 1 )
「桃だよ」平坦、疑上昇、ア上昇、下降、上昇下降、L
平坦、L
疑上昇、L
ア上昇( a )
「あれ、何?」と尋ねた友人に教えるつもりで言うとき。( b )
「あれは梅だ」という友人に、「あれは梅ではなく桃だ」と言うとき。( 2 )
「やるよ」平坦、疑上昇、下降、上昇下降、L
平坦、L
疑上昇、L
上昇下降( a )
「誰かこの仕事をやってくれる人はいませんか」と言われて、「私がやります」と答えるつ もりで言うとき。( b )
いつまでもぐずぐずしていて、なかなか重い腰をあげようとしない仕事仲間に、早くやろ う」とうながすつもりで言うとき。‑45‑
昴 木 靖 子 山 下 直 子
( c ) 第三者のことについて話をしていて、「あいつは口先ばかりで何もしない」という相手に、
「そんなことはない、あいつはやるときにはやる」と言うつもりで言うとき。
( d ) 「早く仕事をやれ」と何度もせきたてられて、「うるさいなあ、ちゃんとやるよ」と文句を 言うとき。
( 3 ) やるね 平坦、疑上昇、下降、上昇下降、 L 平坦、 L 疑上昇 ( a ) 「私が今からやるね」と相手に言うとき。
( b ) 「ちゃんと約束どおりやるね」と相手に念を押すとき。
( c ) 「あいつ、なかなかやるね」と感心して言うとき。
( 4 ) 「本当だね」 平坦、疑上昇、ア上昇、下降、上昇下降、 L 平坦、 L 疑上昇、 L ア上昇 ( a ) 相手の話をひととおり聞いて、最後に、「今の話、本当だね」と確認するとき。
( b ) 相手の話に同意して、「確かにそのとおりだ。本当だね」と言うとき。
( c ) 自分の話を信用しない相手に、「いいや、うそじゃないもん。本当だね」と言うとき。
( 5 ) 「先輩だな」 平坦、疑上昇、ア上昇、下降、上昇下降、 L 平坦、 L 疑上昇、 L ア上昇 ( a ) 「あの人が、君の先輩だな」と、確認するとき。
( 6 ) 「心配だな」 平坦、疑上昇、ア上昇、下降、上昇下降、 L 平坦、 L 疑上昇、 L ア上昇 ( a ) 自分が受けた試験の結果が気になって、ひとり言のように言うとき。
( b ) 後輩のことが気になって、「あいつ、なんだか心配だな」と自分の同期の仲間に言うとき。
( 7 ) 「桃か」 平坦、疑上昇、 L平坦、 L疑上昇
( a ) 桃の花を初めて見て、「ふーん、これが桃か」と言うとき。
( b ) どう見ても桃の花に見えないものを「桃だ」と言われて信じられず、「これが本当に桃か」
と尋ねるとき。
( 8 ) 「やるか」 平坦、疑上昇、 L平坦、 L疑上昇
( a ) 「じゃあ、そろそろやるか」と言って自分で仕事を始めるとき。
( b ) 「じやあ、そろそろやるか」と言って仲間に声をかけて仕事を始めるとき。
( c ) 知り合いが人が変わったように稼いでお金を貯めている、という話を聞いて、「へぇー、彼 もそこまでやるか」と言うとき。
( d ) 知り合いが万引きで捕まったという話を聞き、儒じられず、「あの人がそんなことやるか」
と、その話を知らせた相手に言うとき。
( e ) 面倒な仕事を押しつけられて、「誰がこんなことやるか」と言うとき。
4. 2 被調査者
被調究者は、言語形成期を岡山、香川、徳島、東京、神奈川のいずれかの場所一個所で過ごした 2 0 代から 3 0 代の日本語母語話者 8 2 名、および、岡山、香川、徳島のいずれかで学ぶ 2 0 代から 4 0 代の 留学生 5 1 名(香川 3 4 名、岡山 8 名、徳島 9 名)である。出身国の内訳は、中国 3 7 名、韓国 4 名と、
台湾、モンゴル、マレーシア、インドネシア、ブルガリア、ペルー、ポーランド、セルビア、スペ
イン、アメリカ各 1 名であった。留学生は、主に学部生であり、日本語能力試験 l 級から 2 級合格
程度である。
この調査内容は、轟木・山下
( 2 0 0 4 )
での調査と同じものである。轟木・山下( 2 0 0 4 )
では、轟 木( 1 9 9 4 )
の東京の調査結果と比較をおこなったが、今回は、新たに東京4
名及び神奈川4
名にも 調査をおこない、岡山、香川、徳島の結果と比較した。4 . 3
留学生に対する質問項目留学生に対する調査では、日本語学習暦、日本滞在暦のほか、終助詞についての学習経験等につ いての質問を加えた。内容は以下のとおりである。
聞き取り調査の前の質間
( 1 )
終助詞の使い方、たとえば「ね」と「よ」の違いなどについて、これまで勉強したり、話を 聞いたりしたことがあるかはい
o r
いいえ のどちらか一つに0
( 2 )
終助詞の音調(イントネーション)の違い、たとえば上昇調の「よ↑」と下降調の「よ↓J
の違いについて、これまで勉強したり、話を聞いたりしたことがあるか はい
o r
いいえ のどちらか一つに0
( 3 )
ふだん、日本語の文末の音調(イントネーション)の違いを聞き分けているか かなり聞き分けている、少し聞き分けている、まったく間き分けていない の中から一つに0
聞き取り調査の後の質間(アからエの中から一つを選ぶ)
•
この調査をやってみて、ア.文末の音の違いも聞き取れたし、意味の違いもだいたいわかった。
イ.文末の音の違いは聞き取れたが、意味の違いはよく知らないので答えられなかった。
ウ.文末の音の違いは聞き取れなかったが、意味の違いはだいたい予測できた。
エ 文末の音の違いも意味の違いもどちらもわからなかった。
4 . 4
調 査 結 果調査の結果を表
2‑ 1
から表5‑2
に示す。]は日本語母語話者を、F
は留学生を、N
は各地域 の回答者数を表す。TOKYO
の 欄 は 、 日 本 語 母 語 話 者 の 東 京4
名および神奈川4
名の回答である。表の上段の数字は、与えられた設定でその音調がふさわしいと答えた回答者、すなわち
0
をつけた 回答者の数を示す。下段の数字は、その地域の、0
をつけた回答者数の比率をパーセンテージ(小 数点以下四拾五入)で示したものである。5 .
考察5 . 1
日本語母語話者の回答についての分析5 . 1 . 1 「 よ 」
「よ」は間き手にとっての新情報を含むような情報伝達のほか、動詞終止形についた場合は聞き 手の行動をうながすような意味を持つ場合がある。内省では、「よ」は順接、低接の両方を取り、
聞ぎ手に対する応答の場合、単に答える場合は順接の平坦、疑問上昇、アクセント上昇のいずれで もよく、低接平坦の場合は聞き手との意見の食い違いが強調されているよ9うに聞こえ、順接下降や 順接上昇下降では聞き手に対する不満がより強くあらわれている発話に聞こえる。
轟 木 靖 子 山 下 直 子
今回の調査結果では、「桃だよ」 (a)友人に教えるつもりで言うときと
( b )
「あれは梅ではなくて 桃だ」と言うときを比べた場合、順接の平坦、疑問上昇と低接平坦の比率を見ると、 (a)の設定で はどの地域においてもこれらの三つの音調を約 7割以上の回答者が選んでいる。 (b)の設定では、各地域で低接平坦を約
9
割かそれ以上の回答者がふさわしいと答えているが、順接平坦については 半数以下であった。順接疑問上昇については、岡山のみ7
割の回答者が選んでいたが、他の地域で は約半数から半数弱にすぎなかった(表2‑ 1)
。「やるよ」については、
( a )
「私がやります」と答えるつもりで言うとき、( b )
仲間に「早くやろ う」とうながすつもりで言うときについては、岡山、香川、東京・神奈川では7
割以上の回答者が 順接疑問上昇を選んでいた。徳島では、( a )
「私がやります」(答える)で順接疑問上昇をふさわし いと答えたのは1 9
名中8
名( 4 2 .1
%)であり、最も多かったのは低接平坦の1 2
名( 6 3 .1
%)であっ た。 (c) 「そんなことはない、あいつはやるときにはやる」については、各地で7
割以上の回答者 に順接疑問上昇が選ばれていたが、岡山では低接平坦を3 3
名中2 8
名( 8 4 .8%)
が0
をつけており、この音調がいちばん多く選ばれていた。低接平坦は、全地域の合計では
8 2
人中6 1
人( 7 4 .3%)
で、 順接疑問上昇の6 2
人( 7 5 .6%)
と大差がないが、岡山、香川で比較的多く選ばれている。東京・神 奈川では低接疑問上昇を選んだ回答者が8
名中7
名で、他の地域より圧倒的に比率が高かった(表2‑2‑1 、表 2‑2‑2) 。
「やるよ」の (d)「うるさいなあ、ちゃんとやるよ」は各地で 8割以上の回答者が低接平坦を選 んでおり、聞き手に対する反発を示す音調として共通に理解されていると思われる。
5. 1 . 2
「ね」「ね」は聞き手と情報を共有していることが前提となり、確認要求、同意要求、情報伝達などの 機能を持つ。内省では「ね」は順接のみであり、確認要求では疑問上昇かアクセント上昇、同意要 求では下降か上昇下降、情報伝達では平坦、疑問上昇、アクセント上昇の音調が用いられる。確認 要求の疑問上昇とアクセント上昇の使い分けは、厳密には、聞き手に尋ねる意味が含まれれば疑問 上昇が、ほとんど聞き手に有無を言わせないような発話ではアクセント上昇であると考えるが、実 際にはあまり差がなく使われているようにも思われる。
調査の結果では、「うそじゃないもん、本当だね」以外の設定では、各地で
7
割以上の回答者が 選んでいた音調が一致しており、共通の音調として理解されている様子がうかがえた。「やるね」( a )
「私が今からやるね」と言うとき、 (b)「ちゃんと約束どおりやるね」と念を押すときについて は順接の疑問上昇と平坦が、「本当だね」( a )
「今の話、本当だね」と確認するときでは順接疑間上 昇が選ばれていた。また、「やるね」 (c)「あいつ、なかなかやるね」と感心して言うときでは下降 を 9割以上、「本当だね」 (b)相手の話に同意して、「確かにそのとおりだ。本当だね」と言うとき では、順接アクセント上昇を約8
割以上、順接下降を各地で7
割以上の回答者がふさわしいと答え ていた。順接上昇下降については、徳島以外で約8
割の回答者が選んでいる。順接平坦および疑問 上昇は聞き手へのはたらきかけをあらわし、下降は感情表出の機能を担っていると考えられる(表3 ‑ 1 ‑ 1
、表3‑ 1 ‑ 2
、表3‑ 2)
。地域差があったのは、順接疑問上昇が多く選ばれている設定(「やるね」 (a)
( b )
「本当だね」(a))で、岡山では半数程度の回答者が低接疑問上昇もふさわしいと答えていること、また、順接 下降が選ばれている設定(「やるね」 (c) 「本当だね」 (b))で、徳島以外の地域で順接平坦も 7割 以上の回答者が
0
をつけていたことであった。5 . 1 . 3 「 な 」
「な」は内省では順接のみであり、下降あるいは上昇下降で感情表出の意味をあらわし、ひとり ごとのように、聞き手がいない場合でも用いられる。「ね」の同意要求も下降や上昇下降で発話さ れる場合は感情表出の機能を持ち、また、「な」も男性語の場合、感情の表出のみではなく聞き手 への同意を求めたり、アクセント上昇では確認要求の意味をあらわすこともある。
「心配だな」の
(a)自分の受けた試験の結果が気になってひとりごとのように言うときと、
(b)「あいつ、なんだか心配だな」と仲間に言うときの下降と上昇下降の数を比べると、どちらの設定 でも下降がいちばん多く選ばれていた点は共通していたが、とくに東京・神奈川は回答者 8 人全員 が 0 をつけるという結果になった。
(a)では東京・神奈川では上昇下降も 8名中 6名 (75%) がふ さわしいと答えているが、岡山、香川では約 5割から 4割、徳島では約 2割であった。 ( b )では、
東京・神奈川を除く各地で上昇下降をふさわしいと答える回答者が
(a)のときより増えている。上 昇下降の「な」はひとりごとよりも、聞き手がいる状況のほうが使われやすいイメージがありそう だが、東京近辺ではあまり差がないようである(表 4‑ 2)。
「あの人が君の先輩だな」と確認するときでは各地で順接疑問上昇が選ばれていたが、香川では 6 割弱の回答者が低接疑問上昇にも 0 をつけていた。先に述べた「やるね」の確認要求で、低接疑 間上昇が岡山で半数程度の回答者がふさわしいと答えていた点とあわせて、「ね」「な」の低接疑問 上昇音調については今後さらに詳しく調べる必要がありそうである(表 4‑ 1) 。
5 . 1 . 4 「 か 」
「か」は内省では、名詞にはそのままつき、動詞には音声的には低くつくが、轟木 ( 1 9 9 5 ) では、
終助詞のアクセント全体で考えると、動詞終止形が尾高型で、「か」はそれにしたがって低くつく と考え、「か」は順接であると分析した。その結果、モモ+力→三モカ、ヤル'+力 →立冗立 となる。しかし、音声的なイメージがわきにくいので、ここでは王モカ、工冗万 を順接、土字立、
立 冗 立 を低接として扱うこととする。これにしたがうと、内省では、「か」は名詞には順接、動 詞終止形には低接で、疑問上昇で質問をあらわすほか、平坦では言い切りのやわらげ、および反問 をあらわす機能があると考えられる。また、東京語で一般的かどうか不明だが、エ万可―のような音 調は聞き手への呼びかけをあらわす場合もある。
調査結果からは、「桃か」 ( b ) 「これが本当に桃か?」と尋ねるとき、「やるか」 ( b ) 「そろそろや るか」と仲間に声をかけるときにおいて、各地で 7 割以上の回答者に順接疑問上昇が選ばれていた。
とくに、「これが本当に桃か?」と尋ねるときでは、ほぼ 100% 近い回答者がふさわしいと答えてお り、共通の音調として理解されていると考えられる。しかし、この設定では、岡山、香川で低接疑 問上昇も 7 割以上の回答者が 0 をつけており、徳島でも 1 9名中 1 0 名 ( 5 2 .6%) がふさわしいと答え ていた(表 5‑ 1 、表 5‑ 2) 。
「桃か」
(a)「ふーん、これが桃か」では、徳島、東京・神奈川では順接平坦が 7 割以上の回答 者に選ばれていたのに対し、香川では低接平坦を 2 2名中 1 8名 (81.8%) がふさわしいと答えており、
岡山では 3 3名の回答者のうち順接平坦を 2 1名 (63.6%)、低接平坦を 1 4名 (42.4%) が 0 をつけて いた。徳島でも 1 9名中 8名 ( 4 2 . 1%)が低接平担もふさわしいと答えている。今回調査した地域に おいては、東京・神奈川以外では、名詞に低くつく「か」が存在している、あるいは許容されてい ると考えられる。
「やるか」
(a)「そろそろやるか」と自分で仕事を始める、
(e)「誰がこんなことやるか」はひと りごとの設定であるが、この二つにおいては低接平坦が多く選ばれていた。いっぽう、「やるか」
( b ) 「そろそろやるか」と仲間に声をかけるとき、 ( d ) 「あの人がそんなことやるか」と相手に言う
‑49‑
轟 木 靖 子 山 下 直 子
ときは、聞き手に対する発話の設定であるが、この二つにおいては順接、低接の疑問上昇が多く選 ばれる傾向にあった。 (c)「彼もそこまでやるか」は、ひとりごととしても、聞き手に対する発話 としても取れる設定であったため、判断が分かれたようである。
5 . 1 . 5
「ね」「な」の低接音調について内省および今回の調査結果からも、東京あるいはその近郊においては、「ね」「な」は順接が典型 的な音調であると考えられるが、今回調査をおこなった岡山、香川では、順接だけでなく低接音調 も少なからず選ばれている傾向がみられた。轟木・山下
( 2 0 0 4 )
でも同様の結果が得られたが、こ れは、その地域で「ね」「な」が低接である可能性が高い(注 3) と考えられる。たとえば香川の 場合、「な」はふだん使用する文末詞であっても「ね」は、人によってはややあらたまって共通語 で話すときしか使われにくいといった事情もあり、同じレベルで考えることは難しいが、これらの 終助詞をつけたー語文を読む場合は低接になることもあるようである。「ね」「な」をともなった発話音声を聞いた場合、回答者がそれを共通語として聞いているのか、
方言として聞いているのかは区別することはできないが、「そのように聞こえるかどうか」という 判断において、共通語(と思われる)音声と、その地域での終助詞のアクセントにしたがった低接 の音調の両方を選択したと考えられる。
5 . 1 . 6
疑問上昇とアクセント上昇の使い分けについて今回の調査で、順接の疑問
J : .
昇とアクセント上昇の二つが選択肢に入っていたのは、「桃だよ」「本当だね」「先輩だな」「心配だな」、低接の疑間上昇とアクセント上昇の二つが選択肢にはいて いたのは「桃だよ」「心配だな」「先輩だな」であった。
順接疑問上昇は、「本当だね」
( a )
「今の話、本当だね」と確認するとき、および「あの人が君の 先輩だな」で、各地で約8
割以上の回答者に選ばれており、いっぽう、順接アクセント上昇は、「本当だね」
( b )
相手の話に同意して、「確かにそのとおりだ。本当だね」と言うときで各地で約8
割以上の回答者に選ばれていたが、「心配だな」( b )
「あいつ、なんだか心配だな」と仲間に言うときでは、東京・神奈川では
8
名中7
名の回答者が0
をつけていたが、他の地域では約半数前後にす ぎなかった。「ね」については、確認要求のような、聞き手からの回答を要求する発話では疑問上 昇が、聞き手への同意を表明するような発話ではアクセント上昇が使われることについては、今回 調査を実施した地域では共通して理解されていると言えそうである。「な」の低接の疑間上昇とアクセント上昇は、全体の合計を見ると、どの設定でも
3
割に満たな かった。しかし、香川においては、「あの人が君の先輩だな」と確認するときで低接疑間上昇を2 2
名中1 3
名( 5 9 .1
%)、低接アクセント上昇を9
名(40.9%)
、「心配だな」( b )
「あいつ、なんだか 心配だな」と仲間に言うときで低接アクセント上昇を9
名(40.9%)
が選んでいた。この地域で使 われている「な」のアクセントの影響が考えられるが、そのうえで、順接の「ね」「な」の場合と 同様、聞き手の回答を求める確認要求で疑間上昇が、聞き手の同意を求める発話でアクセント上昇 が使われるという違いが少なからず見られるといえそうである。「桃だよ」については、順接・低接の疑問上昇とアクセント上昇が選択肢に入っていたが、各地 でこの四つの音調に
0
をつけた回答者の数を比較すると、 (a)「あれ、何?」と尋ねた友人に教え るつもりで言うときと (b)「あれは梅ではなくて桃だ」のどちらの設定においても、順接または低 接の疑問上昇が多く選ばれていた。「ね」「な」と異なり、「よ」には形態的意味としては聞き手へ の回答要求の機能が希薄である。そのため、「ね」「な」に見られたような二つの上昇音調の使い分 けはそもそも期待できないのであるが、両方が同程度使われるということではなく、疑問上昇のほうが使われている。これは、アクセント上昇よりも疑問上昇のほうが、聞いたときに上昇がわかり やすいことが関係していると思われる。
5 . 1 . 7
「か」の音調について内省では、平板型名詞「桃」に「か」がつく場合は、順接(~写万")である。今回の調壺結果で も、東京・神奈川では低接はほとんど選ばれていない。しかし、香川では、「桃か」 (a)「ふーん、
これが桃か」で 8 割以上の回答者が低接平坦(~言立)をふさわしいと答えており、それは順接平 坦をふさわしいと答えた回答者よりも多かった。また、「桃か」
( b )
「これが本当に桃か?」では香 川だけでなく、岡山でも約7
割の回答者が低接疑間上昇に0
をつけていた。先の「ね」「な」と同 様、この地域で普段使われている「か」が低接である可能性が高いと考えられる。平板型動詞「やる」に「か」がつく場合、内省では、音声的に低くつく音調(エ冗之)が東京で は一般的であるが、「やる」の高い拍にそのままつく音調(エ冗万)も許容される。調査結果をみ ても、東京・神奈川では、間き手のいる設定 (b)(d)では、 7割から 6割の回答者が低接だけでなく 順接も選んでいるが、いずれも疑問上昇をともなうものである。もし、「か」が、平板型の高い拍
にそのまま接続するアクセントであれば、疑問上昇をともなわなくても、主ルカの音調が許容され るはずであるが、これは東京・神奈川ではほとんど選ばれていない。したがって、東京およびその 近郊では、「か」が上昇をともなった場合に、平板型の語にそのままつくような音調にも結果とし てなりうる、と考えるべきではないかと思われる。
5 . 2
留学生の回答についての分析5 . 2. 1 「 よ 」
「桃だよ」の
( a )
友人に教えるつもりは、留学生でも、順接の疑問上昇を5 1
名中3 3
名( 6 4 .7%)
と顛接の平坦2 9
名( 5 6 .9%)
と半数を超え多い。この点は共通するが、日本語母語話者では、ほか に低接の平坦もかなり選ばれているが、留学生では岡山(8
名中5
名)を除いて、あまり選ばれて いない( 5 1
名中1 6
名)。( b )
「あれは梅でなくて桃だよ」は、全体として過半数を超えるものはなく回答にばらつきが見 られた。母語話者で多い低接の平坦も、岡山(8
名中7
名)を除いて5
割に満たない( 5 1
名中2 2
名)(表2‑ 1)
。「やるよ」の (a)の「私がやります」と答えるつもりでは、順接疑問上昇は全体で過半数を超え た
( 5 1
名中2 7
名)。日本語母語話者の徳島で最も多かった低接平坦は、留学生では9
名中3
名と少 ない。 (c)の「そんなことはない、あいつはやるときにはやるよ」は、順接疑問上昇と低接平坦を5 1
名中それぞれ2 6
名( 5 1 .0%)
が選択しており比較的多く、これは日本語母語話者と共通する。( d )
の「うるさいな、ちゃんとやるよ」は、日本語母語話者と同様に7
割以上が低接平坦を選んで いる( 5 1
名中3 7
名)。( b )
仲間に「早くやろう」とうながすつもりでは、全体として過半数を超えるものはない。日本 語母語話者で7
割以上に選ばれている順接疑問上昇は、徳島を除いて5 1
名中1 3
名と少ない。徳島は 順接疑間上昇(9
名中6
名)と順接下降(9
名中5
名)、岡山は低接平坦(8
名中5
名)、香川は順 接下降( 3 4
名中1 7
名)と低接平坦( 1 6
名)というように、地域別に選択する音調が分かれた。轟木•
山下( 2 0 0 4 )
で全休を通して最も、日本語母語話者と対照的な回答であったことと同じ結果であり、この「やるよ」
( b )
に関しては、コミュニケーションの際に問題が起こることも予想される(表2
‑2‑1 、 2‑2‑2) 。
‑51‑
轟 木 靖 子 山 下 直 子
5 . 2 . 2 「 ね 」
「やるね」の
(a)「私が今からやるね」では順接疑問上昇と順接平坦の回答 ( 5 1 名中 3 2 名・ 3 0 名 ) 、 ( b ) 「ちゃんと約束どおりやるね」と念を押すときでは順接疑問上昇の回答 ( 3 3 名 ) 、
(c)「 あ いつなかなかやるね」は順接下降 ( 5 1 名中4 5 名)が多く日本語母語話者と共通している。しかし、
母語話者で多い ( b )の順接平坦は香川 ( 3 4 名中 1 8 名)以外では少ない ( 5 1 名中 2 1 名)(表 3‑1‑1、
3‑1‑2) 。
「本当だね」の
(a)「今の話、本当だね」と確認するときは、順接疑問上昇が岡山 (8名中 3 名)を除いて全般的に多く選ばれている点は母語話者と共通する ( 5 1 名中 2 6 名)。しかし、母語話 者では少ない順接下降の回答も 5 1 名中 2 7 名 (52.9%) と過半数を超える。 ( b )の相手の話に同意し て「確かにそのとおりだ。本当だね」と言うときは、順接の下降と上昇下降とアクセント上昇が日 本語母語話者と同様に多く選ばれている ( 5 1 名中 3 7 名・ 3 6 名・ 2 7 名 ) 。
(c)自分の話を信用しない相 手に「うそじゃないもん、本当だね」と言うときは、最も多くの回答者 ( 2 2 名 、 4 3 . 1 %)が順接ア
クセント上昇を選択していたが、全体で選択者が半数を超える音調はなかった(表 3‑ 2) 。 さらに、日本語母語話者で地域差の出た設定に関しては、「やるね」 ( a ) ( b ) 、「本当だね」 ( a )で は、留学生でも岡山では半数以上が低接疑問上昇をふさわしいと答えた。いっぽう、「やるね」
(c)、
「本当だね」 ( b ) では、母語話者とは反対に徳島でのみ順接平坦が 5割を超え他の地域よりも多 かった。
5 . 2 . 3 「 な 」
「先輩だな」の
(a)「あの人が君の先輩だな」と確認するときは、順接疑問上昇が5 1 名中 3 2 名 (62.7%) と多く、この点は日本語母語話者の回答ともほぼ一致する。しかし、「ね」と同様、順 接平坦を選んでいるのは 1 0 名のみと少なく、順接下降 ( 3 1 名)とアクセント上昇 ( 3 0 名)が多い点 が母語話者とは異なる(表 4‑ 1)。
( a )ひとりごとのように言う「心配だな」と ( b )同期の仲間に言う「心配だな」は、どちらも日本 語母語話者と同様に順接下降が5 1 名中 3 5 名 ( 6 8 .6%) 、3 4 名 ( 6 6 .7%) と多い。 ( a )と ( b ) の下降と 上昇下降の数を比べるとそれぞれ3 5: 1 7 、34:2 7 となり、聞き手がいる発話では上昇下降音調も用 いられるようである(表 4‑ 2)。
5 . 2 . 4 「 か 」
「桃か」の ( b ) 「これが本当に桃か?」は、岡山、香川の日本語母語話者の回答と同様に低接お よび順接の疑問上昇にそれぞれ5 1 名中 3 9 名 、 3 6 名と 7 割を超える回答があった。 ( a ) 「ふーん、こ れが桃か」は、母語話者で多い順接平坦は5 1 名中 1 2 名と少なかったが、低接平坦は徳島で 9 名中 4 名と若干少ないものの、全体としては 5 1 名中 2 8 名 ( 5 4 .9%) であった(表 5‑ 1) 。
( a )自分で仕事を始める「やるか」は低接平坦が 7割を超え ( 5 1 名中 3 8 名 ) 、 ( b )仲間に声をかけ
る「やるか」は順接疑問上昇 ( 3 3名)、低接疑問上昇 ( 2 8 名)と過半数を超え、日本語母語話者と
同じような回答傾向である。また、
(d)「あの人がそんなことをやるか」も、低接の疑問上昇が3 2
名と 6 割を超え、順接の疑問上昇も香川では3 4 名中 1 4 名と若干少ないものの、岡山、徳島では過半
数が選択しており、比較的母語話者の回答傾向に近い。 ( c ) 「彼もそこまでやるか」は、日本語母
語話者では全体で半数を超える回答はみられなかったが、留学生では母語話者があまり選択してい
ない低接疑問上昇が5 1 名中 3 3 名 ( 6 4 .7%) と多く、異なる結果が出た。 ( e ) 「誰がこんなことやる
か」は、全体としては選択者が半数を超える音調はなく、回答にばらつきが見られた。日本語母語
話者で多い低接平坦は、岡山、徳島では 7割を超えたが (8名中 6名 、 9名中 7名)、香川では少
ない ( 3 4名中 1 0名)という地域差が見られた(表 5‑ 2)。
5 . 2 . 5 全般的な傾向
日本語母語話者の場合と異なり、 7 割以上の回答者が選んだ音調は全体で八つのみであり、四つ の問いでは過半数選ばれるものがないなど、回答にばらつきが見られた。また、全般的に、留学生 の方が日本語母語話者よりも、より少ない選択をしていた。特に、複数回答のとき、平坦が落ちる 傾向があるようである。これらは、前回の調査と同様の結果である。今回、地域別に結果を比較す
ると、いくつかの回答では三つの地域によって選択に違いが見られた。
留学生で 7割を超えて選択されたものは、「やるよ」(うるさいなあ、ちゃんと)の低接平坦、
「やるね」(あいつなかなか)の順接の下降と上昇下降、「本当だね」(確かにそのとおりだ)の順 接の下降と上昇下降、「やるか」(自分で仕事を始める)の低接平坦、「桃か」(これが本当に?)の 低接と順接の疑問上昇であるが、いずれも同じ地域の日本語母語話者の回答者もほとんどが選択し ているものであり、大きな食い違いは見られなかった。
H 本語母語話者ではあまり選ばれていないが留学生で 6 割を超えたものは、「先輩だな」の順接 下降、「やるか」(彼もそこまで)の低接疑問上昇の二つのみであった。いっぽう、日本語母語話者 で選ばれているが留学生では全体で 4割以下のものは 1 0あった。「桃だよ」(友人に教える)の低接 平坦、「桃だよ」(梅でなくて)の順接下降、「やるよ」(うながす)の順接の平坦と疑問上昇、「や るよ」(うるさいなあ、ちゃんと)の順接下降、「やるね」(あいつなかなか)の順接平坦、「本当だ ね」(うそじゃないもん)の順接平坦、「先輩だな」の順接平坦、「心配だな」(仲間に言う)の順接 平坦、「桃か」(ふーん、これが)の順接平坦である。これらの結果から、日本語母語話者が複数の 音調をふさわしいと答える場合、留学生では同じ傾向で選ばれることはなく、どれか一つの音調は 日本語母語話者に比べて選択した回答者の数が少ないと言えそうである。特に、平坦が選ばれにく い傾向があることがわかる。
今回、地域によって選択に違いが見られたのは三つあり、「やるよ」(私がやります)の低接疑問 上昇は岡山のみで過半数を超え、香川、徳島で少ない。「やるよ」(うながす)は、過半数を超えた ものが、徳島は順接疑問上昇と順接下降、岡山は低接平坦、香川は順接下降というように、選択す る音調が分かれた。「やるか」(誰がこんなこと)は、低接平坦は、岡山・徳島では 7 割を超えたが、
香川では 3 割を切った。この点に関しては、より詳細な調査分析が必要である。
また、轟木・山下 ( 2 0 0 4 ) での調査と同様、本調壺でも「よ」については、二つの問いでは過半 数選ばれるものがなく、 6 割を超える音調項目も二つと少なかった。実際、「よ」は「ね」「な」
「か」よりも多くの音調を許容し、使われている。その実態を反映しているとも言えるが、どんな 音調でもよいというわけではない。よく使われる終助詞であることを考えると、日本語教育の指導 内容に取り入れる必要性があると考えられる。
6 . まとめ及び今後の課題
終助詞「よ」「ね」「な」「か」の音調と機能の対応について、聞き取り調査をおこなった。調査 対象者は、岡山、香川、徳島、東京、神奈川のいずれかで 1 8 歳まで居住していた日本語母語話者 8 2 名、および、岡山、香川、徳島で学んでいる留学生 5 1 名である。
日本語母語話者の場合、岡山、広島、香川では、東京で多く選択された音調のほかに、「ね」
「な」「か」で低接音調も選ばれる傾向がみられたが、これは、この地域でこれらの終助詞が低接 であることが深く関わっていると考えられる。
「よ」の聞き手への反対意見や反発をあらわす低接平坦、「ね」「な」の回答要求の発話における
‑53‑
轟 木 靖 子 山 下 直 子
疑問上昇、感情表出における下降、「か」の回答要求における疑問上昇については、一部アクセン トの地域差はあったものの、今回調査した地域で多くの回答者が選択しており、共通の音調として 理解されているといえそうである。
また、一つの機能に対して一つの音調しか許されないわけではなく、何種類かの音調が選択され ることもしばしば見られた。
いっぽう、留学生の場合は、日本語母語話者よりは選ぶ音調が少ない傾向にあり、そのため、ほ とんど全員が選ぶようなケースがみられなかった。最も選択数が多かった音調の中には、日本語母 語話者があまり選んでいないものもあり、この点が前回の調壺と異なる結果となった。原因の一つ として、前回少なかった調査人数が今回大幅に増えた影響が考えられる。調査人数の問題という点 では、日本語母語話者にも同じことがいえる。今回の調査では、東京・神奈川が
8
名のみであった が、共通語という観点を取り入れるうえでは、とくに東京で成育した回答者の人数を増やす必要が ある。留学生の回答傾向を見ると、「よ」の伝達で使われる順接疑問上昇、反発をあらわす低接平坦、
「ね」の感情表出をあらわす下降、「か」の問いかけをあらわす疑問上昇については比較的理解さ れているようであった。いっぽう、聞き手の意見や期待に反する(と話者が考えている)伝達で使 われる低接平坦の「よ」や、聞き手が情報を共有している場合の伝達をあらわす順接平坦やアクセ ント上昇の「ね」については、選択した回答者があまり多くなかった。「よ」と「ね」の音調につ いては、感情表出をともなった発話(「うるさいなあ、ちゃんとやるよ」「あいつ、なかなかやる ね」)においては違いが理解されやすいが、それほど感情表出をともなわない述べ立てや伝達(「あ れは梅ではなくて桃だよ」「確かにそのとおりだ。本当だね」)では音調の違いが理解されにくい様 子がうかがえる。また、行動をうながす「よ」や確認要求の「ね」で約半数の留学生が順接下降を 選択するなど、日本語母語話者と大きく異なる結果も見られた。
日本で生活し、周囲の日本人と円滑なコミュニケーションをはかるうえで、「よ」「ね」の使い分 けは重要であり、また留学生のなかには知識として二つの終助詞の違いを知っている学習者も少な くないが、実際に使ううえでは音調の違いを知っておくことが必要となるであろう。また、岡山や 香川の留学生は、「ね」「か」の低接音調を選んでいた回答者もいたが、これは、普段生活している 地域の言葉の影響であると考えられる。
日本語教育で終助詞の音調を取り入れる場合、共通語として理解される音調をまず取り入れるべ きであるが、このような地域差について教師側が理解していることも必要であると考えられる。今 後他の地域での調査結果を取り人れ、さらに詳細な分析・考察をすすめたい。
注
1. 轟木
( 1 9 9 3 )
では、「疑問上昇」「強調上昇」としている。なお、川上( 1 9 6 3 )
の「第三種J
および上村( 1 9 8 9 )
の「くだりのぼり音調J
は、本稿の「疑問上昇」の中に含めて考えている。2 .
服部( 2 0 0 2 )
では、落語資料にみられる「ね」「な」を計量的に調べているが、その際、「‑・次的には、ナ やネが前拍に対して上昇して(相対的に高く)付いているか、前要素に対し上昇せずについているかを問 題にする。また二次的に、「ネ・ナ」そのものの音調(ピッチ変動)を問題にする」とあり、音調の分類に ついては本稿と似たような観点からの分析がされている。3 .
岡山、香川については、それぞれの地域で言語形成期を過ごした話者のコメントがあった。参考文献
上村幸雄
( 1 9 8 9 )
「日本語のイントネーション」『ことばの科学3
』むぎ書房,193‑220.
川上 薬
( 1 9 6 3 )
「文末などの上昇調について」『国語研究」1 6
号:25‑46.
(川上 菱( 1 9 9 5 )
『日本語アクセ ント論集』(汲古書院)所収)郡 史郎
( 1 9 9 0 )
「大阪語の文末詞「かJ
の音調と機能:内省に基づく考察」『音声言語w
』近畿音声言語研 究会,1‑25.
轟木靖子
( 1 9 9 3 )
「東京語の文末詞の音調と形容詞・動詞のアクセントについて」『STUDIUM 2 0
』大阪外国語 大学大学院研究室,14‑34.
轟木靖子
( 1 9 9 4 )
「「な」「さ」「か」の音調と機能ー東京語の場合ー」『外国語・外国文学研究1 6
』大阪外国語 大学大学院修士会,75‑90.
轟木靖子
( 1 9 9 s ) r
終助詞から見た平板型動詞のアクセント」『音声学会会報 第2 0 8
号』日本音声学会,1‑8.
縣木靖子・山下直子
( 2 0 0 4 )
「終助詞の音調と意味の対応について一日本語母語話者及び留学生への聴き取り調 査よりー」『香川大学教育学部研究報告第I
部1 2 2
号』香川大学教育学部,29‑45.
服部 匡
( 2 0 0 2 )
「ネとナの音調の計量的比較ー落語資料から一」『同志社女子大学 学術研究年報第五十三巻I
』,1‑13.
藤原与ー
( 1 9 8 2 , 1 9 8 5 , 1 9 8 6 )
『方言文末詞〈文末助詞〉の研究(上)(中)(下)』春陽堂.村中淑子・郡 史郎
( 1 9 9 0 )
「文末詞「か」の音調と機能における大阪語と京都語の差」『方言音調の諸相ー西 日本(1)‑
』文部省重点領域研究「日本語音声」平成元年度研究成果報告書,53‑76.
吉沢典男
( 1 9 6 0 )
「イントネーション」国立国語研究所『話しことばの文型( 1 )
』秀英出版,2 4 9 ‑ 2 8 8 .
和田 実( 1 9 6 9 )
「辞のアクセント」『国語研究2 9
』,1‑20.
本研究は平成 15‑17 年度科学研究費補助金による研究 基盤研究 ( C ) 「終助詞の音調の分析と 日本語教育への応用」(課題番号 1 5 5 2 0 3 3 7 ) による研究成果の一部である。
‑55‑
轟 木 土同上>グ 子 山 下 直 子
400
300
FO
(Hz)
200~,.,_,,,____t (
r ヽ r
\ ヽヽ /. / . ‑・I . . , . . . . . . ̲ , , . r ・ ・
も も だ ょ も も だ よ も も だ よ
100
゜
ー 23
4図1
T i m e ( s e c )
「桃だよ」(順接平坦、・順接疑問上昇、順接アクセント上昇)
400
300
FO (Hz)
200
100
゜
400
300
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200
.
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ヽ
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V
ふ✓も も だ も も だ よ も も だ よ
図
2
2
3
4T i m e ( s e c )
「桃だよ」(低接平坦、低接疑問上昇、低接アクセント上昇)
が-—へ
, \
.
¥
\ ・、 や :
‑
‑ . ‑ '
"
.
"¥ヽ
,
・ダー
'
‑ '
も も だ ょ も も だ ょ ゃ る ょ
100
゜
23
4図
3
T i m e ( s e c )
「桃だよ」(順接下降、順接上昇下降)「やるよ」(低接上昇下降)
表
2‑1
「桃だよ」 表2‑2‑1
「やるよ」「あれ、何?」と尋ねた友人に教えるつもりで 「あれは梅ではなくて桃だ」と言うとき 桃だよ N
平坦 疑上昇 ア上昇 下降 上下 L平坦 L疑上 Lア上 平坦 疑上昇 ア上昇 下降 上下 L平姐 L疑上 Lア上 J
25 27
,
10 1 29 12 8 15 23 11 21 6 32 12 10 OKAYAMA 3376% 82% 27% 30% 3% 88% 36% 24% 45% 70% 33% 64% 18% 97% 36% 30%
21 18 10 12 4 18 4 3 7 10
,
18 5 21 11 7 KAGAWA 2295% 82% 45% 55% 18% 82% 18% 14% 32% 45% 41 % 82% 23% 95% 50% 32%
13 15 7 5 2 15 6 3 5 8 7 10 1 17 10 5 TOKUSIMA 19
68% 79% 37% 26% 11% 79% 32% 16% 26% 42% 37% 53% 5% 89% 53% 26%
7 7 2 4
゜
7 3゜
2 4 1 6 3 8 2 3TOKYO 8
88% 88% 25% 50% 0% 88% 38% 0% 25% 50% 13% 75% 38% 100% 25% 38%
66 67 28 31 7 69 25 14 29 45 28 55 15 78 35 25 TOTAL 82
80% 82% 34% 38% 9% 84% 30% 17% 35% 55% 34% 67% 18% 95% 43% 30%
F
4 5 2 1
゜
5 6゜
1 4 2 1 1 7 6 1OKAYAMA 8
50% 63% 25% 13% 0% 63% 75% 0% 13% 50% 25% 13% 13% 88% 75% 13%
19 19 13 10 3 8 7 4 6 13 11 14 10 12 11 7 KAGAWA 34
56% 56% 38% 29% 9% 24% 21 % 12% 18% 38% 32% 41% 29% 35% 32% 21%
6
,
2 1 1 3 1 2 2 4 5 2 3 3 5 2 TOKUSIMA,
67% 100% 22% 11% 11% 33% 11% 22% 22% 44% 56% 22% 33% 33% 56% 22%
29 33 17 12 4 16 14 6
,
21 18 17 14 22 22 10 TOTAL 5157% 65% 33% 24% 8% 31 % 27% 12% 18% 41 % 35% 33% 27% 43% 43% 20%
「私がやります」と答えるつもりで 仲間に「早くやろう」とうながすつもりで やるよ N
平坦 疑上昇 下降 上下 L平担 L疑上 L上下 平坦 疑上昇 下降 上下 L平坦 L疑上 L上下 J
22 25 1 1 14 16
゜
20 27 2゜
6 14 3OKAYAMA 33
67% 76% 3% 3% 42% 48% 0% 61% 82% 6% 0% 18% 42% 9%
10 16 4
゜
14 8゜
15 16 3 2 3 6 2KAGAWA 22
45% 73% 18% 0% 64% 36% 0% 68% 73% 14% 9% 14% 27% 9%
10 8 2 1 12 4 1 10 13
゜
1 3 5 2TOKUSIMA 19
53% 42% 11% 5% 63% 21 % 5% 53% 68% 0% 5% 16% 26% 11%
6 7
゜
1 4 2゜
7 7 1゜゜
1゜
ITOKYO 8
75% I 88% 0% 13% 50% 25% 0% 88% 88% 13% 0% 0% 13% 0%
48 56 7 3 44 30 1 52 63 6 3 12 26 7 TOTAL 82
59% 68% 9% 4% 54% 37% 1% 63% 77% 7% 4% 15% 32% 9%
F
4 4 2
゜
4 5゜
l 3 3 1 5 Q I 0OKAYAMA 8
50% 50% 25% 0% 50% 63% 0% 13% 38% 38% 13% 63% 0% 0%
13 16 7 3 18 6 2 3 4 17 15 16 3 6 KAGAWA 34
38% 47% 21% 9% 53% 18% 6% 9% 12% 50% 44% 47% 9% 18%
7 7 2
゜
3゜゜
1 6 5 3 3 2 4TOKUSIMA
,
78% 78% 22% 0% 33% 0% 0% 11% 67% 56% 33% 33% 22% 44%
24 27 11 3 25 11 2 5 13 25 19 24 5 10 TOTAL 51
47% 53% 22% 6% 49% 22% 4% 10% 25% 49% 37% 47% 10% 20%
粛湮国
3
酪蘊氏蕎栞
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=ぎ 言
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表
2‑2‑2 「やるよ」
表3‑1‑1 「やるね」
58ー‑
「そんなことはない、あいつはやるときにはやる」 「うるさいなあ、ちゃんとやるよ」
やるよ N
平 坦 疑上昇 下降 上下 L平坦 L疑上 L上下 平坦 疑上昇 下降 上下 L平坦 L疑上 L上下 J
17 23 10 4 28 15 6 5 2 19 8 32 2 16 OKAYAMA 33
52% 70% 30%
12% I ! I 85% 45% 18% 15% 6% 58% 24% 97% 6% 48%
14 17 10 4 16 10 3 3 6 16 10 18 1 13 KAGAWA 22
64% 77% 45% 18% 73% 45% 14% 14% 27% 73% 45% 82% 5% 59%
12 16 3 1 12 12 3 3 2 11 3 17 1 8 TOKUSIMA 19
16% 1 5%
63% 84% 63% 63% 16% 16% 11 % 58% 16% 89% 5% 42%
1 6 5 2 I 5 7 2 1 1 5 3 8
゜
6TOKYO 8
13% 75% 63% 25% 63% 88% 25% 13% 13% 63% 38% 100% 0% 75%
44 62 28 11 61 44 14 12 11 51 ! 24 75 4 43 TOTAL 82
54% 76% 34% 13% 74% 54% 17% 15% 13% 62% 29% 91% 5% 52%
F
3 4 1
゜
4 5゜
2 1 3 3 7 2 1OKAYAMA 8
38% 50% 13% 0% 50% 63% 0% 25% 13% 38% 38% 88% 25% 13%
12 17 4 5 18 13 4 3 7 10 11 23 5 10 KAGAWA 34
35% 50% 12% 15% 53% 38% 12% 9% 21 % 29% i I 32% 68% 15% 29%
1 5 3 1 4 2 1 2 I , 2 I I ' ;‑J 3 7 5 4 TOKUSIMA
,
11% 56% 33% 11% 44% 22% 11% 22% i 22% 56% 33% 78% 56% 44%
16 26 8 6 26 20 5 7 10 I i ! 18 17 37 12 15 TOTAL 51
14% I I I 20% 35%
31% 51% 16% 12% 51% 39% 10% 33% 73% 24% 29%
私が今からやるね ちゃんと約束どおりやるね
やるね N
平坦 疑上昇 下降 上下 L平坦 L疑上 平坦 疑上昇 下降 上下 L平坦 L疑上 J
31 32
゜
1,
15 27 29 5 6 5 18OKAYAMA 33
94% 97% 0% 3% 27% 45% 82% 88% 15% 18% 15% 55%
22 22 1 1 5 5 18 20 1 6 4 7 KAGAWA 22
100% 100% 5% 5% 23% 23% 82% 91% 5% 27% 18% 32%
16 15 3
゜
3 6 14 16 1 5 4 7TOKUSIMA 19
84% 79% 16% 0% 16% 32% 74% 84% 5% 26% 21 % 37%
7 7
゜゜゜
2 6 7゜゜゜
2TOKYO 8
88% 88% 0% I 0% 0% 25% 75% 88% 0% 0% 0% 25%
76 76 4 2 ' 1 7 28 65 72 7 17 13 34 TOTAL 82
93% 93% 5% 2% 21 % 34% 79% 88% 9% 21 % 16% 41%
F
OKAYAMA I 8 3 6 2 1 1 5 1 3 1 3 3 6 38% 75% 25% 13% 13% 63% 13% 38% 13% 38% I 38% 75%
KAGAWA I 134 21 22 7 4 8 16 18 23 8 12 8 17 62% 65% 21% 12% 24% 47% 53% 68% 24% 35% 24% 50%
6 4 I 6 1 3 3 2 7 4 4 1 3 TOKUSIMA
,
67% 44% 67% 11% 33% 33% 22% 78% 44% 44% 11% 33%
30 32 15 6 12 24 21 33 13 19 12 26 TOTAL 51
59% 63% 29% 12% 24% 47% 41 % 65% 25% 37% 24% 51 %
註 テ 翠
f
三
﹁ 国