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アナリシス タ州へと拡大していった 共通点は連邦政府によるリース権の付与に関して制約を受けず 石油会社は土地の所有者から直接リース権を得て地元の州政府から掘削の許可を得れば済むことだ したがって急速に技術および開発が進展した これまで100 万カ所ほどフラクチャリングを行っているが一つとして帯水層に

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シェア "アナリシス タ州へと拡大していった 共通点は連邦政府によるリース権の付与に関して制約を受けず 石油会社は土地の所有者から直接リース権を得て地元の州政府から掘削の許可を得れば済むことだ したがって急速に技術および開発が進展した これまで100 万カ所ほどフラクチャリングを行っているが一つとして帯水層に"

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(1)

JOGMEC 国際セミナー

―米国の LNG 輸出とシェールオイル増産が石油・天然ガ

スの国際市場に与える影響―

 昨年度に続き、2013 年 2 月 7 日に JOGMECは英米から著名な専門家を招へいし、国際セミナー「米 国のシェールオイル増産とLNG輸出が石油・天然ガスの国際需給および国際市場に与える影響」を開催 しました。本稿はその概要について報告するものです。  本国際セミナーでは、米国の石油産業・政策等に精通するルシアン・パリアレシ氏と元米国エネルギー 省エネルギー情報局局長のガイ ・カルーソ氏に、それぞれ米国からの LNG輸出の最新動向と北米の シェールガスおよびシェールオイル開発について、英国からは中東事情に造詣が深いレオニダス・ドロー ラス氏より、シェールオイル開発がもたらす米国・中東関係への影響について講演をいただきました。 また、JOGMECからは上席エコノミストの野神隆之が、シェールオイル増産がもたらす最新の市場動 向について報告しました。当日のセミナーには各界から200名を超す多数の出席をいただき、活発な質 疑応答がなされ、米国のシェールガスのみならず同じくシェールオイルの増産がもたらす政治的・経済 的な意味合いを世界的視野で理解していくための一助となる、貴重な見解を得ることができたのではな いかと思います。 (1)予測と現実  米国ではLNG輸入基地建設のために200億ドルもの設 備投資が行われたが、現在、8 %程度しか利用されてい ない。シェール開発技術により、予測は大きく変わった。 米国ではガス価格が予想に反して下落し、さらに大輸入 国になるとの予想が輸出国になる予想へと変わった。  シェールは在来型ガス(根源岩、ガストラップなどが 条件)の根源岩であるので、在来型があるところには存 在しているという事実がある。シェールの開発・生産 は「マニュファクチャリング」(製造業)である。マニュ ファクチャリングテクノロジーに依存して資源量が決 まってくるという点が重要であって、ガスの資源量が 初めから決まっているわけではない。 (2)環境問題の問題は「一つのパーセプション」  環境問題となっている水圧破砕の利用は一つのリスク ファクターではあるが、その技術自体が問題であるとい うわけではなく、「一つのパーセプション」(環境を破壊 するという認識)が存在することに注意が必要であるとい うことである。シェールの開発は、テキサス州に始まり、 オクラホマ州、ペンシルベニア州、石油ではノースダコ

1.

パリアレシ氏講演

じめに

パリアレシ氏 写1 出所:JOGMEC

(2)

タ州へと拡大していっ た。共通点は連邦政府 によるリース権の付与 に関して制約を受け ず、石油会社は土地の 所有者から直接リース 権を得て地元の州政府 から掘削の許可を得れ ば 済 む こ と だ。 し た がって急速に技術およ び開発が進展した。こ れまで100万カ所ほど フラクチャリングを 行っているが一つとし て帯水層にダメージを 与えたという事例はな い。水圧破砕について は懸念はもろもろ存在 するとはいえ、今後、 米国の政権が開発を止 めるような措置を講ず ることはないだろう。 ただし、環境保護や安 全確保のためにコスト が上昇するかもしれな い。水圧破砕は、水の 利用量においても他の 産業用利用に比べれば 僅かなものである。バイ オ燃料が最大の水利用 であり、オイルサンドが それに続き(図1)、天然 ガスの開発に使う水の 必要量は極めて少ない。 (3)ガスの増産  2012 年で見ても、米国のガス価格は3ドル /百万Btu まで低下しているもののガスの生産は増勢にある。探鉱 井は増えているが、開発井は急速に減少している。つまり、 このことは一つの井戸からのガスの生産効率が上昇して いることを意味する。また、シェールオイルを開発すれ ば随伴してガスが産出されるからである。図2の赤いと ころは、ガス価格に対して開発の感応度が弱いところで ある。ここは、ガスを発見しようとして投資しているの ではなく石油を狙っているところである。ガス価格が下 落しても投資活動にはそれほど影響を与えていない。 Eagle Fordも急速に石油生産が増大している。緑のとこ ろのHaynesvilleシェールはガス価格が上昇すれば即座に 2bcf/dの生産が可能であろう。  見通しでは、ガス価格はしばらく低水準で4.0 ~ 4.5ド ル/百万Btuだろう。また、ガス価格が2ドル台でも石油 狙いのシェールエリアではガスの生産量はあまり減少し ない(図2)。現状、米国のガス生産量は65 ~ 66bcf/dで あるが、極めて短い期間に80bcf/dまで増加するだろう。 開発手法別の水利用量 図1 ガス価格による感度分析 図2

出所:U.S. DOE, Chesapeake Biofuels(irrigated) Synfuel-Fisher Tropsch(Coal) Oil Sands Petroleum

Oil Shale Petroleum Coal(with slurry transport)

Synfuel-Coal Gasification Conventional Oil Nuclear(processed Uranium) Coal(with no slurry transport) Conventional Natural Gas Chesapeake Deep Shale Natural Gas

Average Gallons of Water Used per MMBtu Energy Produced

Water Used to Produce Energy

2,500 50 47 39 23 18 14 11 5 2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 2,500 1.25

High Volumes of Associated Gas and Wet Plays Sustain U.S. Output

$2/mcf

vs.

$5/mcf

70%

Bakken Eagle Ford Oil

Permian - Avalon / Bone Springs

PRB - SussexDJ - Niobrara

Utica

Mississippi Lime

Permian WolfcampCleveland Tonkawa

Permian - Sprayberry/Wolfberry Granite Wash

Eagle Ford WetPRB - NiobraraPRB - Turner

Cana - Woodford Uinta Natural Buttes

Marcellus Wet

MontneyPinedalePiceance Fayetteville

Marcellus DryHaynesville

60% 50% 40% 30% IRR 20% 10% 0% -10% -20%

Support U.S. Production in Weak Price Environment Higher Pricing Drives Dry Gas Growth

Lower Gas Price Sensitivity High Gas Price Sensitivity

(3)

(4)LNG輸出の見通し  LNG輸出の問題として はDow Chemical、Alcoa などの化学メーカーが輸 出に反対していることだ。 製造業にとってもガスは 石油化学の原料であるの で天然ガス価格が上昇す れば国際競争力を失うと いう懸念が存在する。し かし、ガスの供給量は極め て膨大であり、LNG輸出 と競合するわけでもない。 だから、Dow Chemicalが 抱く懸念は杞憂に過ぎな い。むしろ規制強化によっ てコストが上昇し、ガス 価格が上昇してしまう方 が 問 題 か もし れ な い。 Dow Chemicalは石油化 学 の 生 産 増 で 過 大 な 17bcf/dが必要だと予想するものの、現実の開発案件数が これには到底及ばないだろう。  では、どうやって輸出基地の許可を得るのか。LNG の輸出権よりも重要なのがFERC(連邦エネルギー規制 委員会)の承認である。これは淡々と進められる非政治 的なプロセスである。FERCの認可やFEED作業などを 含めて建設までに 4 年は必要だ。現在、FERCの Pre-Filing Process(プレファイルプロセス)が完了したのは 3 件(Corpus Christi Liquefaction , Freeport LNG and

Cameron LNG)であるが、いくつかは技術、環境などの 審査で非常に時間がかかった。輸出の実現可能性は 2030年には5 ~ 6基が稼働し最大で12bcf/dくらいと楽 観的な数字もあるが、実際にはせいぜい 6 ~ 8bcf/dが 妥当なレベルと考える。しかし、LNG輸出によって米 国の優位性が損なわれることはない。なぜなら供給コス トは現状レベルと見ているからだ。エネルギー省は、今 後 2 ~ 6 カ月内にいくつかの案件について LNG輸出を 認可するだろう。 (1)概況と展望  昨年のこのセミナーで、私が大げさなことを言ってい ると思われた人がいるかもしれない。しかし私の見通し は的確だったと思う。米国のエネルギー市場の見通しは 変わった。DOE(米国エネルギー省)の見通しによれば エネルギー自給率は 90 %までに改善する。特に石油は 資源が不足し国内の需要が増大するとの見通しだった が、実際にはシェールオイル(タイトオイル)を中心に生 産が増え(図4)、運輸部門の需要がオバマ政権の省エネ

2.

カルーソ氏講演

米国からの LNG 輸出見通し 図3 出所:EPRINC

Possible Timing of Four Export Projects

7 Bcf/d

Sabine Pass Exports Cove Point Exports

Cameron Exports Freeport Exports Total US Capacity 6 5 4 3 2 1 0 2016 2017 2018 2019 2020 カルーソ氏 写2 出所:JOGMEC

(4)

政策で減少を続けてい る。ただし、環境団体の 反対運動により、シェー ルの開発が遅れたりコス トが上昇することはあり 得るだろう。  石油・ガス産業州とい えば、テキサス州、ルイ ジアナ州、オクラホマ州、 カリフォルニア州、アラ スカ州の 5 州ほどだった が、シェールプレイは 28 州に広がり、これら の地域が発する政治的な 影響力は徐々に強さを増 し て い く だ ろ う。LNG 輸出の認可についても同 様である。各州にとって シェール開発は大きな収 入源であり、雇用増大に 貢 献 す る か ら で あ る。 シェールガスが 2020 年 には全生産量の過半を占 めると予想されている。 タイトガス、CBMを含 めると 80 %になる。こ れらは技術革新がもたら した成果である。シェー ル開発は手間がかかる が、コストは着実に低減 している。 (2) ガス価格とLNG価格  米国は、2020年にガス は純輸出国になる。エネ ルギー省情報局は、ガス 価格はトレンドとしては 徐々に上昇すると予想し ているが、その見通しが年々下方に修正されている(図5)。 今では5 ~ 10年先でも4 ~ 5ドル/百万Btuレベルである。 この場合、日本にとって米国からLNGが12ドル/百万Btu 程度で入ってくることになろうが、そこにリスクはある。ガ ス価格が5 ~ 6ドル/百万Btuに上昇すれば、カタールや 豪州LNGのコストとの格差は縮小する。これは大きな価格 リスクと言える。  LNG輸出に関しては、米国上院のエネルギー・天然 資源委員会で議論が始まる。LNG輸出に絡む利害得失 は何かが焦点である。カナダとメキシコは NAFTAの 締約国であるので輸出が可能だ。輸出議論に関連して、 考慮されるのは当面は外交であり、アフガニスタンや湾 岸諸国などへの軍事戦略である。財政難なので国防費の 使い方も焦点になるだろう。 シェールオイル生産量見通し(エリア別) 図4 米国の天然ガス価格見通しの変化 図5

出所:Energy Security Analysis, Inc.(ESAI)April 3, 2012

(注)AEO:Annual Energy Outlook(米国エネルギー省による長期見通し。毎年発行) 出所:EIA

Can the Bakken Story be Replicated(Again and Again)?

Surging U.S. Shale Liquid Production(oil and NGL)

2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 2005 2010 2015 2020年 千b/d Woodford Niobrara Marcellus Lower Monterey Granite Wash Eagle Ford Barnett Bakken Avalon/Leonard 0 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025 2026 2027 2028 2029 2030 2031 2032 2033 2034 2035 2 4 6 8 10 12 2011$

expanded shale gas resource base

Natural gas price projections significantly lower due to an

natural gas spot price(Henry Hub)per million BTU

History Projections

Updated AEO2009 AEO2010

AEO2011

(5)

 ガス価格の低下は石炭火力発電からガス火力発電への 転換を促し、またその結果としてCO2排出量が着実に減 少するだろう。 (3) タイトオイルだけではない  中国の石油需要増が例えば年率7%の高成長でなく4% 増の伸びになるだけでも、石油価格は5 ~ 6年で引き下 げの圧力がかかるだろう。北米だけでなく、イラク、ブ ラジルやカザフスタンからも原油の大増産が期待されて おり、世界全体で見て供給量は豊富である。ただしシリ ア、スーダン、イエ メンの内紛長期化も あり、これは不安定 要 素 で あ る。 現 在 Brentで 1 バ レ ル あ たり115ドルである が、下落して 5 年単 位で見れば同 80 ~ 100 ドル水準の可能 性 は あ る だ ろ う。 Bakkenシェールな らば 1 バレルあたり 50 ~ 60 ドルくらい が採算ラインだが、 新しいシェールだと 同80 ~ 90ドルと少 し 上 昇 す る だ ろ う (図6)。  NGLの 増 産 も 見 られる。深海ではナ イジェリア、アンゴ ラ、メキシコ湾など がある。これら地域 の 増 産 は OPECに とっては脅威である (図7)。  タイトオイルの生 産 量 は 今 後 5 年 で 250 万 b/dとの見通 しで米国の生産増分 の ほ と ん ど を 占 め る。これに対しIEA の見通しは楽観的で 400 万 b/dと 高 い。 将来、北米はタイト オイル増産で石油の純輸出国に転じるとの見通しもあ る。Bakkenは 5 年前に生産ゼロだったのが、現在では 80 万 b/dを生産している。新しいタイトオイルプレイ が広がり、開発対象も広がっている。  中国、ロシアなどにもシェールは存在するが、その開 発には、輸送インフラ、水やマネジメント力など不可欠 な要素が多く、これらの地域は今のところ十分な方向性 は見えていない。5 ~ 10年では顕著な生産はないだろう。 しかし、10 ~ 20年後にはシェール開発・生産は本格化 するだろう。 タイトオイル開発の競争力 図6 世界の石油生産の増強力の幅 図7 出所:Wood Mackenzie

(6)

(1)米国とサウジアラビアの関係  シェールオイルの大増産がゲームチェンジャーになる のかどうかであるが、その注目点は米国シェールオイル がどうサウジアラビアに影響するかにかかっている。  米国とサウジアラビアの関係は長い歴史の間に変化し てきている。イランで油が発見された 1908 年には英国 が湾岸地域を独占していた。しかし、英国は、初めサウ ジアラビアに入っていかなかった。1930 年代初頭に Shellの地質学者もサウジアラビアには油はないだろう と予想した。代わりにクウェートやサウジアラビアに米 国 企 業(Gulf Oil、Standard Oil of California: 後 の Chevron) が 参 画 し、 油 を 発 見 し た。1944 年 に は、 Saudi Aramcoは、ChevronやTexacoと共同して組織さ れた。終戦近くの1945 年に、当時のルーズベルト大統 領とアブドラアジズ国王が、スエズ運河に駐留していた 戦艦内で会合し両国間において経済面のみならず政治的 にも強い関係の礎が築かれたという歴史的な出来事が あった。1948年には、米国系企業によって世界最大の油 田で、今でさえも世界最大の400万b/dの生産を誇るガ ワール油田が発見された(図8)。  しかし、時が流れサウジアラビアは 1973 年に Saudi Aramcoの権利を取得、1975 年には Saudi Aramcoの 100 %権益を取得し完全な国有化が図られた。1973 年 と 1990 年は両国にとっても重要な意味を持つ。後者に ついて言えば、イラクのサダム・フセインがクウェート に侵攻した。米国のブッシュ大統領(父)がクウェートを

3.

ドローラス氏講演

Historical background

ドローラス氏 写3 出所:JOGMEC 出所:ドローラス氏作成 米国とサウジアラビアの歴史的な関係 図8

(7)

開放し、フセインは2003年にはブッ シュ大統領(息子)に打倒された。戦 争に発展することを恐れ、米国は戦 略的に軍事介入を行った。  この間、米国(西側)と中東諸国の 関係が変わった。中東の石油輸出が 1965 年 に は 70 % が 西 に 向 か い、 30%が東方に向かっていた。ところ が、2011 年にはこの関係は完全に 反 転 し 70 % 以 上 が 東 に 向 か い、 30%以下が西に向かうというファン ダメンタルズの変化が起きた。現在 でも、引き続き日本は最大の中東原 油の輸入国であり、この地域への高 い関心を維持しなければならない。  韓国や中国で需要が急増してお り、石油市場における東アジアの重 要性が増している。中国はたった 1 カ国で、2000 ~ 2012 年の世界の 石油需要増の50%を占めた。インド、 東南アジアや韓国でも石油需要は伸 びている。その半面、西側先進諸国 で は、 米 国 で 120 万 b/dの 減 少、 EUで 160 万 b/dが減少した。日本 でも100 万b/dの減少が起きた。劇 的な変化が起きている。 (2)米国輸入減少の意味  シェールオイルによる変化をどう とらえるのか。米国では実質的に 130 万 b/dの生産が伸びた。製油所 での原油処理量が減っているので、 輸入量は150万b/dが減った。ナイ ジェリアやメキシコからの対米輸入 が顕著に減少。サウジアラビアは たったの 10 万 b/d程度の微減であ る。輸入量が減少し、原油生産も増 大し、石油製品の輸出が南米向けを 中心に増大している。  CGESは 2020 年までの米国の需 給見通しを行った。それによれば、 石油価格が 102 ドル /バレルだと仮 定して石油需要はほぼ横ばい、92 ドル /バレルの価格予想だと石油需 要は微増である。しかし、シェール 米国の原油需給の変化(実績) 図10 (注)△は増減を意味する。 出所:EIA and CGES

The impact of shale oil output gains and oil demand declines

米国の原油需給の変化(見通し)

図11

(注)△は増減を意味する。 出所:EIA and CGES

The impact of further shale oil output gains on US crude imports in 2020

Percentage of the Middle East s oil exports going west and east, 1965 to 2011

0 10 20 30 40 50 60 70 80 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2011 going West going East 1965 ~ 2011 年の中東原油の輸出方面 図9 出所:CGES

(8)

生産は180万~ 200万b/dまで増大すると予想している。 昨年までの6年間よりも伸びる見通しである。アラスカ やカリフォルニアでの生産減退を考慮しても、原油輸入 は 2020 年までにさらに 140 万 b/dが減少するだろうと 推定した。輸入先としては、メキシコとベネズエラはそ れほど影響を受けないだろうが、サウジアラビアは対米 輸出が 50 万 b/d減少すると予想する。これは大きい影 響だろう。  シェールオイルの開発は米国の石油需給だけでなく、 貿易収支を 10 %近く改善させ、米国経済にとって明る い未来である。 (3)米国にとっての意味  中東と米国の関係の鍵を握るのはサウジアラビアであ ろう。米国がサウジに石油政策を何かしら命令できたの は1985 ~ 1986年あたりまでであった。当時のブッシュ 副大統領が特使としてサウジに派遣され、生産削減を 行って価格を上げるよう命じるようなことは、今はでき ない。しかし両国は戦略的な同盟国同士であり、イラン との関係において両国の姿勢は一致している。  シェールオイルの生産増によってサウジアラビアから の米国の輸入量は減少するが、2020 年時点でも 80 万 b/dの輸入はあるだろう。サウジアラビアと米国の緊密 な関係は続くと思う。また、米国側もこの関係を続け、 湾岸への関心を維持したいと願っている。その理由とし て、第1に、イランを封じ込めるとの共通の目的が存在 すること、第2に、中東地域において自由に石油が流通 できることを確保する。これは石油が国際市場で取引さ れており、価格の上昇は米国経済にも悪影響を与えるか らだ。第3に、政治的な側面で、米国は敵対的な政権が 湾岸の西側地域に存在することを望んでいない点だ。湾 岸の西側には少数のイスラム教シーア派がいて抗争も見 られ、イランがこの地域の不安定化を招来しようとして いる、とする認識がある。 (4)日本にとっての意味合い  米国の関心は、西側からアジア太平洋地域に移ってき た。世界的な軍事展開に関心はあるものの、軍事予算の 効率的配分は避けられない。財政赤字が14兆ドルで毎年、 負債は膨らんでいるためだ。重要性の高い地域に軍備を 展開するだろう。今、米国は欧州への軍備を減らそうと し、さらに中東から、さらに東にその軍事的な重要度を 高めていくだろう。  中東の湾岸諸国は、極東が資源輸入を長期的にコミッ トするのか、また少なくとも現状維持をコミットするの かに関心を向けている。米国は、そのコミットを何十年 にもわたって果たしてきたのである。米国は多くの人命 と資金でもって中東の平和と安全を維持する努力を行っ てきた。しかし、米国はそのうち中東への関わりを減ら そうとするだろう。ただし、そのスパンは2015年でも、 2020年でもない、もっと先の数十年(20 ~ 30年後)後 に現実化するだろうと考える。  アジア諸国は、単なるビジネス上の関係だけではなく、 中東のセキュリティーを守るためにどうすべきか考える べき時だろうと思う。中国はこの問題を既に考えている。 リビアのカダフィ大佐が打倒された時、リビア沿岸に中 国の戦艦が中国人労働者の救出に向け配備された。ソマ リア沖では中国は他国の海軍と一緒にこの海域に展開し 役割を果たそうとしている。それが中国の国益にかなう ということを彼らは認識している。  その面で、日本は多くの商業上の投資をしているのだ から、もっと深くこの重要な地域とどんな関わりを持つ べきなのか、またこの変化にどう対応すべきなのかを真 剣に考えるべき時が来ているのではないか。

4.

野神氏講演

(1)シェールオイル増産と米国の輸入減少

 2011 年 11 月 に 発 表 さ れ た IEAの World Energy Outlookでは、米国でのシェールオイル生産量は 2020 年前後に約 140 万 b/dでピークを迎えるとの見通しで あったが、2012 年末の EIA発表では、既に 200 万 b/d の生産量を達成していると推測されるなど、シェールオ イルの生産量は当初見込みが前倒しされた上、上振れし ている。このようなこともあり現在の米国での原油生産 量は1993年初以来の高水準である。  Bakken Shaleの位置する中西部で生産される原油が メキシコ湾岸に向けて輸送されている。シェールオイル は軽質であるため、メキシコ湾岸地域製油所での輸入軽 質原油を置き換えている。その結果、ナイジェリアやア ルジェリアからの原油輸入量が減少している(図12)。

(9)

 サウジアラビア産の原油輸入は2012 年に回復してい る(図13)。その背景としてはサウジアラビアはメキシ コ湾岸にShellと合弁のMotiva Enterpriseを操業してい る点があるだろう。また米国向けサウジ原油は、他の原 油に比べてディスカウントされて米国に入ってきている とみられる。  米国では燃費効率改善の影響もあり石油需要は伸び悩 み気味である。これに加え、シェールオイルの増産によっ て、米国の原油輸入量は減少傾向になっている。結果と して余剰となった原油が他地域で利用できるようになっ ている。この減少の一部は、イラン原油生産・輸出の減 少によって相殺されているが、米国でのシェールオイル 増産によって原油市場のひっ迫感を 回避できている。  日本への原油輸入増減を見ると、 イラン産原油の輸入が減少し、大 西洋圏であるガボンの輸入が増加。 韓国でも大西洋圏での英国やノル ウェーからの輸入が増えている。  カナダではオイルサンドが増産 さ れ て い る。 米 国 の 中 西 部 で は シェールオイル増産に加えて、こ のカナダの原油が流入する。だか らカナダ産の原油は買いたたかれ やすい。したがってカナダとして は、米国のみをアウトレットにす るだけでなく、西海岸側にパイプ ラインを敷ふ せ つ設してアジア太平洋諸 国に向けて輸出する計画を持って いるが、そうした考えに至るのは ごく自然なことと考えられる。  廉価な石油により米国は製油所の 競争力が強化される。中国、インド も高度化された精製施設と廉価な人 件費で競争力がある。このようなな かで、欧州と日本は、どのようなオ プションがあるのか考えていく必要 がある。 (2) 米国LNGとその価格見通し  米国の LNG価格の経済性は、原 油先物曲線を使うと Brent価格は 2019 年には 14 ドル / 百万Btuくらい(図14)。逆に天然ガスの先物価格は米 国では上昇する方向である。シェールガスは、開発が簡 単なところから難しいところに移動していかなければな らないから開発生産コストが徐々に上昇していく。した がって、原油価格リンクの LNG価格と米国のガス価格 リンクの LNG価格の差は、少なくとも将来的には縮小 していく可能性があることが示唆される。 野神氏 写4 出所:JOGMEC 万バレル / 日 2009 2010 2011 2012 (注)API 比重 39 度以上、2012 年は 1 ~ 10 月 出所:米国エネルギー省データほかを基に推定 米国メキシコ湾岸地域のナイジェリアからの軽質原油輸入量 図12 万バレル / 日 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 出所:米国エネルギー省データほかを基に作成 米国メキシコ湾岸地域のサウジアラビアからの原油輸入 図13

(10)

(3) シェールガスの日本への影響  米国ではシェールガスの生産増 に伴いエチレンが廉価に大量生産 される。そのため石油化学産業を 中心として製造業が競争力を強化 できる。中東は豊富な石油埋蔵量 が強みであり、中国は燃料費は必 ずしも廉価ではないが相対的に廉 価な人件費が強みである。欧州に は特筆すべき強みはないが、将来 域内でシェールガスが生産されれ ばガスが強みになるかもしれない。 このような状況に鑑かんがみると、燃料 費、人件費とも廉価ではなくシェー ルガス生産の可能性も低い日本は、 製造業を含めて産業全般をどうす べきなのかにおいて、少し真剣に 考え直す必要があるのではないか。  シェールガス、シェールオイル はめぐりめぐって日本に影響を及 ぼすが、それは原油価格の下落と いう恩恵だけでなく、米国での製 造業の競争力が高まるために相対 的に日本の競争力が低下すること も意味する。日本にとって必ずし もプラス面だけではない。

5.

質疑応答

【質問①】  この1年、よく米国内で話題になっている「エナジー インディペンデンス」について、関係者の間でどのよう な捉え方をされているのか、またこれが政策にどのよう な影響を与えるのか? 《回答》  エネルギーインディペンデンスは、ニクソン大統領時 代から採用されているスローガンだが、誤解されている 面もある。いくら自給自足に近づいても、依然として世 界市場に影響を受ける。イランやサウジアラビアで何か 起きれば、米国にも必ず影響が出るという見方が大事。 もう1点、自分たちのために資源を抱えるという強迫観 念で、LNG輸出や石油輸出を行わないのではなく、自 由貿易を推進すべきだ。また、安い中西部の原油を輸出 できる方向で考えるべきである。現政権で推進するエネ ルギー効率化の政策も重要かつ合理的なアプローチだと 考える。(カルーソ) 【質問②】  環境問題についてどう考えているのか? 《回答》  環境問題は「懸念」は持つべきであるが、環境団体が主 張するような理想論を展開するのではなく、もっと現実 的な採るべき手法があることを認識すべきだ。つまり、 2013 2015 2017 2019 18 17 16 15 14 ドル / 百万 Btu 15 14 13 12 11 10 0 ドル / 百万 Btu 年 年 2013 2015 2017 2019 2021 2023 2025 出所:NYMEX および ICE を基に試算 原油価格(上)と天然ガス(下)の先物曲線 図14

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効果的なルール(基準)があれば十分ではないか。連邦政 府ではなく、州政府は自ら適切な環境プログラムを適用 できると考えている。(パリアレシ) 【質問③】  イラクはどのように捉えたらよいか? 《回答》  イラクが専制君主から解放されて生産が急増するとい う夢を抱いたが、これまでのところそれと相反する現実 がある。イラクには、石油の富を適切に分配する仕組み がない。イラクとクルドのネット生産量は330万b/dで あるが、これは多国籍軍による 1991 年 2 月のクウェー ト制圧時点よりも低いレベルだ。もちろんインフラ面、 治安面の問題はあるが、最も大きいのはイラクとクルド の政治的問題だ。クルドはイラクからいずれ分離するの ではないかと考えるが、クルド族は4カ国に分割してい るので簡単に解決する問題でもない。(ドローラス) 【質問④】  Bakkenは、ガスフレアーが増えているのに黙認状態 にある。今後のインパクトは? 《回答》  ノースダコタ州では生産開始から 1 年間はガスフレ アーが許容されている。天然ガス処理施設を建設すれば 済む話であり、長期的・根本的な問題ではないだろう。(パ リアレシ) 【質問⑤】  電源構成についての質問。原発は最終処分場の問題を 抱え、石炭火力も安価なガスの影響や環境問題があるの でガス火力が増えるのか? 《回答》  ガス需要は増えるだろう。電源構成は数年前まで、大 まかに言うと石炭が 50 %、ガスが 25 %、原子力が 20%、残りが再生エネルギーであった。この2年間でガ ス価格が下落して、石炭火力に厳しい規制が導入され状 況が大きく変化した。最近は、石炭が 40 %、ガスが 40 %に近づき、原子力が微減、再生エネルギーが 9 ~ 10%。将来的にもガス比率が上昇し、原子力が減少傾向、 再生エネルギーは利用義務もあって高いコストだが、補 助もあるので伸びるだろう。(カルーソ) 【質問⑥】  米国からの LNG輸出計画とガス価格についての見通 しは? 《回答》 ・最終的にLNGを輸出するか否かは、政府が決めるので はなく市場が決めれば済むことである。経済にとって LNG輸出はリスクではなく利益をもたらすもの。不透明 要素としては技術の改善が進むとコストも低下する。し かし、多くの見通しではガス価格は徐々に上昇していき 4 ~ 5ドルまで上昇すると見ている。輸出に反対する人 たちはもっと上昇すると主張している。(カルーソ) ・LNG輸出事業や製造業へのガス利用によって雇用と経 済に好影響を与えるという視点が大事である。市場をな るべく自由化させて大きな付加価値を生み出すような経 済に促していくことが重要。(パリアレシ) ・シェールガス開発のコストは4 ~ 6ドル台と言われて おり、現在の市場価格である3ドル台/百万Btuでは低す ぎる。このため供給に伸び悩みの傾向が見られる。他方、 競合する石炭の生産コストが4ドル/百万Btuを少し上回 るくらいなので発電燃料がガスにシフトするなど、需要 は増加している。総合すると、天然ガス価格はもう少々 上昇の余地があるだろう。(野神) 質疑応答の様子 写5 出所:JOGMEC

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発表者紹介

Lucian Pugliaresi(ルシアン パリアレシ)

President, Energy Policy Research Foundation (在ワシントン)

レーガン政権下でホワイトハウス国家安全保障委員会で国際問題を担当した。FSU、中東に対する米国の事情に精通し、議会、政府 関係者、エネルギー関連企業首脳等幅広い人脈を有している。

Guy F.Caruso(ガイ カルーソ)

元米国エネルギー省(DOE)エネルギー情報局(EIA)局長

Senior Advisor,Center for Strategic and International Studies(〈CSIS〉在ワシントン)

CSISは、Henry Kissinger、Brent Scowcroft、James R. Schlesinger等の米政府要人が名を連ねる米国では著名な研究機関。 Dr.Leonidas P.Drollas(レオニダス ドローラス)

Director and Chief Economist, Centre for Global Energy Studies(〈CGES〉在ロンドン) CGES(JOGMECリテインコンサルタント)の主要メンバーで世界有数の市場専門家である。 野神 隆之

JOGMEC 調査部 上席エコノミスト

通商産業省(現・経済産業省)資源エネルギー庁長官官房国際資源課(現・国際課)、国際エネルギー機関(IEA)石油産業市場課等 に勤務の後、石油公団企画調査部調査第一課長を経て、現職。

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