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脳における持続的抗体濃度増強を目的とした新規技 術に関する研究

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脳における持続的抗体濃度増強を目的とした新規技 術に関する研究

著者 中野 了輔

ファイル(説明) 博士論文全文 博士論文要旨

最終試験結果の要旨 論文審査の要旨

学位授与番号 17701甲理工研第470号

URL http://hdl.handle.net/10232/00030826

(2)

脳における持続的抗体濃度増強を目的 とした新規技術に関する研究

A Study of a new technology for increasing therapeutic antibody levels in the brain over extended period

2019

9

鹿 児 島 大 学 大 学 院 理 工 学 研 究 科 博 士 後 期 課 程 総 合 理 工 学 専 攻

中 野 了 輔

(3)
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【目 次 】

第 1 章 抗 体 、抗 体 医 薬 および脳 ・中 枢 標 的 化 に関 する背 景 1-1 抗 体 とは

1-2 抗 体 医 薬 について

1-3 抗 体 医 薬 の高 活 性 化 技 術 1-4 抗 体 医 薬 品 の脳 ・中 枢 適 応 1-5 中 枢 移 行 性 技 術

1-6 ミエリンオリゴデンドロサイト糖 タンパク質 :MOG

第 2 章 多 様 な種 への交 差 性 を示 す新 規 抗 Myelin oligodendrocyte glycoprotein

(MOG)抗 体 の取 得 2-1 実 験 材 料 の調 製

2-1-1 可 溶 型 MOG 抗 原 、可 溶 型 HER2 抗 原 の作 製 2-1-2 膜 型 MOG 抗 原 発 現 ベクターの作 製

2-1-3 各 種 抗 体 の調 製 2-2 抗 MOG 抗 体 の取 得

2-2-1 ヒト抗 体 ファージライブラリでの抗 体 の取 得

2-3 抗 MOG 抗 体 およびコントロール抗 体 発 現 ベクターの取 得 2-3-1 抗 MOG 抗 体 の発 現 ベクターの構 築

2-3-2 抗 Avermectin 抗 体 の発 現 ベクターN5LG4PE_AVM 2-3-3 抗 ラットトランスフェリン受 容 体 抗 体 OX26 抗 体 の発 現 ベクター N5KG4PE(R409K)_OX26

2-4 取 得 抗 体 の in vitro 評 価

2-4-1 フローサイトメーターによる抗 MOG 抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価 2-4-2 表 面 プラズモン共 鳴 検 出 による抗 MOG 抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価

2-5 抗 MOG 抗 体 の追 加 取 得

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2-5-1 FLAG-Fc が結 合 した可 溶 型 ヒト MOG 抗 原 および可 溶 型 マウス MOG 抗 原 の細 胞 外 ドメインタンパク質 の作 製

2-5-2 GST が結 合 した MOG の細 胞 外 ドメインタンパク質 の作 製 2-5-3 ヒト抗 体 産 生 マウスからの抗 MOG 抗 体 の取 得

2-5-4 抗 MOG 抗 体 の作 製

2-5-5 フローサイトメーターによる抗 MOG 抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価 2-5-6 表 面 プラズモン共 鳴 検 出 による抗 MOG 抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価

第 3 章 抗 MOG 抗 体 の脳 内 抗 体 濃 度 上 昇 効 果 と薬 剤 フォーマットへの応 用 3-1 抗 MOG 抗 体 のラット脳 移 行 性 評 価

3-2 抗 MOG 抗 体 のラット脳 移 行 性 の TfR 抗 体 との比 較 3-3 抗 MOG 抗 体 MOG01 のマウス脳 移 行 性 評 価 3-4 抗 MOG 抗 体 MOG01 の脳 移 行 性 イメージング解 析 3-5 HER2 抗 体 と MOG 抗 体 とのバイスペシフィック抗 体 評 価

3-5-1 HER2 と MOG に結 合 するバイスペシフィック抗 体 の発 現 ベクターの作 製 3-5-2 AVM と MOG に結 合 するバイスペシフィック抗 体 の発 現 ベクターの作 製

3-5-3 抗 AVM 抗 体 の IgG の C 末 端 に抗 AVM 抗 体 の scFv が融 合 した抗 体 の 発 現 ベクターの作 製

3-5-4 フローサイトメーターによる MOG のバイスペシフィック抗 体 の MOG または HER2 に対 する結 合 性 の評 価

3-5-5 表 面 プラズモン共 鳴 検 出 による MOG のバイスペシフィック抗 体 の MOG に対 す る結 合 性 の評 価

3-5-6 表 面 プラズモン共 鳴 検 出 による MOG のバイスペシフィック抗 体 の HER2 に対 す る結 合 性 の評 価

3-5-7 HER2 と MOG のバイスペシフィック抗 体 のラット脳 移 行 性 評 価 3-6 各 種 フォーマットでの脳 内 抗 体 濃 度 上 昇 評 価

3-6-1 アシンメトリック型 バイスペシフィック抗 体 発 現 ベクターの構 築

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3-6-4 フローサイトメーターによる各 種 バイスペシフィック抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価

3-6-5 表 面 プラズモン共 鳴 検 出 による各 種 バイスペシフィック抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価

3-6-6 各 種 バイスペシフィック抗 体 のマウス脳 移 行 性 評 価 3-7 酵 素 融 合 体 での脳 内 抗 体 濃 度 上 昇 評 価

3-7-1 酵 素 融 合 抗 体 発 現 ベクターの構 築 と融 合 体 取 得 3-7-2 酵 素 融 合 抗 体 の in vitro 活 性 評 価

3-7-3 酵 素 融 合 抗 体 のマウス脳 移 行 性 評 価

第 4 章 考 察

4-1 抗 体 医 薬 の脳 移 行 性

4-2 抗 体 医 薬 の脳 移 行 性 向 上 技 術 4-3 酵 素 補 充 療 法 に対 する脳 移 行 性 技 術 4-4 Accumubrain 技 術 の構 築

4-5 抗 MOG 抗 体 の脳 内 濃 度 向 上 メカニズムに関 する考 察 4-6 抗 TfR 抗 体 技 術 との比 較

4-7 医 薬 品 応 用 への期 待 と課 題

第 5 章 総 括

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第 1 章 背 景 情 報 :抗 体 医 薬 と脳 標 的 化

第 1章 は,本 論 文 の研 究 背 景 であり、抗 体 医 薬 品 の脳 ・中 枢 移 行 が極 めて困 難 であるこ とを説 明 する。現 在 、世 界 で行 われている脳 ・中 枢 移 行 の研 究 や技 術 開 発 について整 理 す るとともに、この問 題 を解 決 するためのいくつかのアプローチについて議 論 する。

【1-1 抗 体 とは】

抗 体 は生 体 内 の感 染 防 御 機 構 である免 疫 の一 部 として機 能 しているタンパク質 である [1]。抗 体 は IgG(イムノグロブリン G)、IgA、IgE などいくつかのクラスが存 在 しているが

(表 1-1)、生 体 内 に最 も多 いものが IgG であり、全 抗 体 中 70-75%が IgG であり、血 中 に約 1.2g /L 存 在 している。IgG は重 鎖 (Heavy Chain)と軽 鎖 (Light Chain)

のヘテロ 4 量 体 からなり、分 子 量 150kDa の高 分 子 量 タンパク質 である(図 1-1)。抗 体 は大 きく Fab(antigen-binding fragment)と Fc(fragment crystallizable region)に分 けられ、2 価 の Fab と 1 価 の Fc からなる。Fab は軽 鎖 と重 鎖 から構 成 さ れ、定 常 領 域 (constant region)と可 変 領 域 (variable region)からなり、可 変 領 域 はさらに配 列 が一 定 なフレームワーク領 域 (Framework region:FR)と多 様 な配 列 を持 つ相 補 性 決 定 領 域 (complementarity determining region:CDR)に分 けられる。CDR は軽 鎖 に 3 か所 、重 鎖 に 3 か所 あり、この抗 体 の CDR の多 様 性 が様 々な 標 的 (抗 原 )に対 して結 合 することを可 能 とする。また、一 般 的 にはある標 的 に強 く結 合 す る抗 体 は他 の標 的 に結 合 することは無 いと考 えられ、高 い結 合 特 異 性 を持 つとされる。一 方 で Fc は重 鎖 のみから構 成 され、各 種 Fc 受 容 体 (FcR)や補 体 などと結 合 することにより 様 々な機 能 を発 揮 する。IgG における Fc 受 容 体 はヒトでは FcγRI、FcγRIIa、Fcγ RIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIb、FcRn などが知 られる。これらは発 現 細 胞 や機 能 が異 なって おり、例 えば FcγRIIIa はナチュラルキラー(NK)細 胞 に発 現 し、抗 体 依 存 性 細 胞 障 害 活 性 (Antibody Dependent Cellular Cytotoxicity:ADCC)を示 す一 方 で、Fc γRIIb は ITIM(immunore- ceptor tyrosine-based inhibitory motif)を持 ち 抑 制 性 のシグナルを入 れることが可 能 である。FcRn は血 管 内 皮 などに発 現 しておりリソソーム への抗 体 の移 行 から抗 体 を回 収 し血 中 に戻 す効 果 を持 ち、その結 果 抗 体 は⾧ い血 中 半 減 期 を示 す。Fc はまた補 体 と結 合 することにより補 体 依 存 性 細 胞 障 害 活 性

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IgG にもいくつかのサブクラスがあり、これは種 によって異 なっている。ヒトでは IgG1 から IgG4 まで 4 種 あることが知 られている。サブクラスの違 いは重 鎖 の違 いであり、主 に Fc の違 いとな る。そのため Fc が持 つ各 種 機 能 がサブクラスによって影 響 を受 ける。例 えば ADCC 活 性 は IgG1 が高 く、IgG4 は一 般 的 には示 さないとされる。また CDC 活 性 は IgG1、IgG2 が高 い。また Hinge と呼 ばれる Fab と Fc の間 の領 域 も構 造 的 に異 なることが知 られる。例 えば IgG3 は Hinge が⾧ く、IgG2 は短 い。

以 上 示 してきたように抗 体 は抗 原 に対 する結 合 特 異 性 、および各 種 エフェクター能 により各 種 機 能 を発 揮 する。

以 下 抗 体 の特 徴 としてまとめる。

・約 150kDa の高 分 子 量 タンパク質 である。

・多 様 な標 的 に結 合 可 能 である一 方 で、それぞれの抗 体 は抗 原 特 異 性 が高 い:Fab の CDR の多 様 性 による。また一 般 的 にはある抗 原 に結 合 する抗 体 は他 の抗 原 には結 合 活 性 を示 す可 能 性 は低 く、高 い抗 原 特 異 性 を持 つとされる。

・血 中 動 態 が⾧ い、体 内 安 定 性 が高 い:Fc の FcRn への結 合 活 性 による。また分 子 量 が 大 きいことによる腎 排 泄 がない点 も血 中 半 減 期 が⾧ いことに寄 与 する。また⾧ い血 中 半 減 期 に呼 応 して、血 中 での安 定 性 が高 い。

・各 種 エフェクター能 を持 つ:Fc の FcR への結 合 、補 体 への結 合 による。

【1-2 抗 体 医 薬 について】

1986 年 にマウス抗 CD3 抗 体 、muromonab-CD3(OKT3)が最 初 の抗 体 医 薬 品 としてアメリカ食 品 医 薬 品 局 (FDA)から承 認 を受 けて以 来 、数 多 くの抗 体 医 薬 品 が開 発 されている[2]。1994 年 には、マウス抗 体 のもつ抗 原 性 を低 減 するために、マウス抗 体 の可 変 領 域 とヒト抗 体 の定 常 領 域 を連 結 したキメラ抗 体 abciximab が承 認 を受 けている。

さらに抗 原 性 を低 減 するために、マウス抗 体 の可 変 領 域 の抗 原 結 合 に重 要 な働 きをもつ CDR をヒト抗 体 の FR 領 域 に移 植 するヒト化 抗 体 技 術 が開 発 され、1998 年 にヒト化 抗 HER2 抗 体 Trastuzumab が承 認 を受 けている。

また、ヒトの抗 体 配 列 ライブラリを用 いたファージディスプレイ技 術 が用 いられるようになり、ファ ージディスプレイ技 術 で取 得 した最 初 の抗 体 として、完 全 ヒト抗 TNFα抗 体 adalimumab が 2002 年 に承 認 されている。またヒトの抗 体 配 列 を含 む部 分 の染 色 体 をマウスに移 植 した

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ヒト抗 体 産 生 動 物 も多 く樹 立 されており、完 全 ヒト抗 EGFR 抗 体 panitumumab が 2006 年 に承 認 されている。

現 在 まで、CD20、TNFα、HER2、EGFR などを標 的 抗 原 とした抗 体 医 薬 品 が、既 に 70 品 目 以 上 が承 認 されている。

このように、抗 体 は幅 広 く認 知 された医 薬 品 フォーマットとなっている。これまでに承 認 された 抗 体 医 薬 品 のうち大 部 分 はがんや免 疫 疾 患 を対 象 とするものであり、全 体 の約 75%以 上 を占 めている。

抗 体 はこれまで見 てきたように医 薬 品 としての特 性 に優 れ、各 種 疾 患 に応 用 が広 がってきて いる。しかし抗 体 医 薬 品 でもいくつかの課 題 が知 られている。主 なものとしては生 産 コストの高 さ、細 胞 内 標 的 が狙 えない、脳 や中 枢 への送 達 量 が低 い、といった課 題 がある。1-1 で記 載 した抗 体 の特 徴 の医 薬 品 としての特 徴 に則 して以 下 に整 理 する。

・高 分 子 量 タンパク質 である:タンパク質 は胃 や腸 で分 解 されるため、抗 体 医 薬 の経 口 剤 化 は困 難 であり、注 射 剤 が一 般 的 である。また製 造 は合 成 では困 難 であり、主 に動 物 細 胞 を 用 いて組 み換 えタンパク質 として生 産 される。そのため生 産 コストは一 般 的 に高 いといわれてお り、これが抗 体 医 薬 品 が高 額 となる一 因 と言 われている[3]。なお、近 年 抗 体 医 薬 品 の増 加 およびバイオシミラー等 の発 展 により生 産 系 の改 善 が進 んでおり、生 産 コストは依 然 と比 較 すると低 下 の傾 向 にはある。

・抗 原 特 異 性 が高 い:そのため抗 体 医 薬 は分 子 標 的 薬 に分 類 され、off-target での副 作 用 を示 すことは少 ない。合 成 低 分 子 薬 においても分 子 標 的 薬 は存 在 するが、その切 り分 けが抗 体 ほどではなく、またすべての合 成 低 分 子 薬 が分 子 標 的 薬 ではない。このことは合 成 低 分 子 薬 との大 きな違 いとしてあげられる。なお当 然 だが On-target での毒 性 については回 避 されるものではなく、抗 体 医 薬 においても低 分 子 医 薬 と同 様 に問 題 となっている。

・血 中 動 態 が⾧ い、体 内 安 定 性 が高 い:抗 体 は血 中 半 減 期 が⾧ く、一 般 的 にはヒト IgG1 で半 減 期 が 21 日 程 度 [1]といわれる。治 療 用 抗 体 においても標 的 抗 原 の性 質 、例 えば可 溶 性 抗 原 か膜 型 抗 原 か、抗 原 量 、抗 原 のターンオーバーのスピードなどによって大 きく 変 わるが、1-2 週 間 の血 中 半 減 期 を示 すものが多 い。結 果 抗 体 医 薬 の暴 露 期 間 が維 持 されることになり、高 い薬 効 につながることが期 待 される。またそのため投 与 頻 度 が少 なく、2 週 に 1 回 、1 か月 に 1 回 といった薬 剤 が多 い。抗 体 医 薬 は注 射 剤 であるが、この利 点 により注

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・各 種 エフェクター能 を持 つ:抗 体 は ADCC、CDC を元 来 持 つことから、がん細 胞 や免 疫 細 胞 など標 的 細 胞 の除 去 が期 待 される。また近 年 ADCC 活 性 や CDC 活 性 をさらに増 強 さ せるような技 術 が開 発 されており、臨 床 応 用 もされている。

・薬 剤 にとって重 要 となる ADME(吸 収 (英 : Absorption)、分 布 (英 :

Distribution)、代 謝 (英 : Metabolism)、排 泄 (英 : Excretion))の観 点 で述 べると、吸 収 の観 点 では抗 体 医 薬 は注 射 剤 であるため薬 剤 によって大 きく変 わることは無 い。

分 布 の観 点 では iv では抗 体 は速 やかに血 中 に広 がる。皮 下 注 の場 合 は注 射 部 位 から血 液 に徐 々に移 行 するが、血 中 に移 行 してからは iv と同 様 の挙 動 となる。抗 体 は血 中 に安 定 に存 在 しており、また抗 原 が発 現 している部 位 に抗 原 に結 合 することにより集 積 する。抗 体 は 先 に述 べたように標 的 抗 原 以 外 への結 合 がほぼ無 いと考 えられ、一 般 的 な抗 体 は抗 原 の発 現 部 位 への集 積 以 外 は同 様 の動 態 を示 すと考 えられる(抗 原 が発 現 していても送 達 されな い部 分 はあるが、抗 原 が無 い部 分 には基 本 的 に集 積 しない)。代 謝 については抗 原 依 存 的 なクリアランスがそれぞれの抗 体 で異 なるが、それ以 外 の要 素 は抗 体 事 に大 きな違 いはな く、一 般 的 な抗 体 は同 様 に代 謝 されると考 えられる。排 泄 については、抗 体 は分 子 量 から腎 排 泄 はされないと考 えられる。基 本 的 には肝 臓 や血 管 内 皮 により分 解 されていると思 われる。

以 上 、薬 剤 として重 要 な要 素 となる ADME について、抗 体 は抗 原 に依 存 した部 分 以 外 は 基 本 的 に一 般 的 な抗 体 と同 様 であると期 待 される(厳 密 にはそれぞれの抗 体 で物 性 が微 妙 に異 なり、それが分 布 や代 謝 に影 響 を与 えることがあることが知 られる)。

【1-3 抗 体 医 薬 の高 活 性 化 技 術 】

抗 体 医 薬 の活 性 をさらに向 上 させる技 術 開 発 が広 く行 われており、すでに実 用 化 されてい るものも多 い。以 下 いくつかについて簡 単 に分 類 する。

・エフェクター能 向 上 技 術

これまで述 べてきたように抗 体 は元 来 エフェクター能 を持 つが、この活 性 をさらに向 上 させる技 術 が報 告 されている。例 えば抗 体 には Fc に N 結 合 型 糖 鎖 が付 加 されているが、これの根 本 に存 在 するフコースを除 去 することで ADCC 活 性 は 100 倍 以 上 に上 昇 することが知 られて いる[4]。本 技 術 が応 用 された抗 CCR4 ヒト化 抗 体 Mogamulizumab はヒトで高 い薬 効 を示 し、2012 年 に上 市 され実 用 化 されている。その他 にも、Fc のアミノ酸 配 列 を改 変 するこ とにより高 い ADCC 活 性 を示 す報 告 がなされている[5]。

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また、抗 体 がもともと活 用 できていなかったエフェクター細 胞 である T 細 胞 を活 用 可 能 とする 技 術 も広 く研 究 されている。がん抗 原 と CD3 抗 原 、両 者 に対 するバイスペシフィック抗 体

(後 述 )により、がん細 胞 特 異 的 に T 細 胞 による細 胞 障 害 活 性 を示 すことが知 られている [6]。本 技 術 を活 用 した抗 CD19-抗 CD3 バイスペシフィック抗 体 Blinatumomab は 2014 年 US にて承 認 されている。

・抗 体 薬 剤 融 合 体 (Antiobdy-Drug Conjugate:ADC)

抗 体 の高 い標 的 認 識 能 を用 いた薬 剤 コンジュゲート ADC に関 しては古 くから研 究 がなされ ている[7]。抗 CD33 抗 体 とカリケアマイシンの ADC である gemtuzumab ozogamicin についてはいったん US で承 認 されたが副 作 用 の影 響 でその後 承 認 が取 り消 され、2017 年 に再 承 認 されている。また 2013 年 には次 世 代 型 ADC として抗 HER2 抗 体 とメイタンシン の ADC が 2013 年 に日 米 欧 で承 認 されている。古 くは RI 標 識 された ADC として抗 CD20 抗 体 にイットリウムがコンジュゲートされた ibritumomab tiuxetan も 2002 年 に承 認 されている[8]。

・バイスペシフィック抗 体

通 常 、抗 体 は 1 種 の抗 原 に結 合 する特 性 を持 つが、2 種 の抗 原 に結 合 できる抗 体 医 薬 を総 称 してバイスペシフィック抗 体 と呼 ばれる[9]。バイスペシフィック抗 体 は大 きく 4 種 に分 類 される(図 1-2)。以 下 に整 理 する。

1 点 目 は通 常 の IgG と形 態 は類 似 しているが、それぞれの Fab がそれぞれ別 の抗 原 を認 識 するタイプであり、結 合 は 1 価 1 価 の様 式 となる。このタイプのバイスペシフィック抗 体 は重 鎖 または/かつ軽 鎖 が異 なるためアシンメトリック型 とも呼 ばれる。通 常 は重 鎖 が異 なる配 列 を 持 ち、効 率 的 にヘテロな組 み合 わせとなるよう(バイスペシフィック抗 体 となるよう)Fc に改 変 を加 えられている。また軽 鎖 の掛 け違 いを抑 えるため、軽 鎖 は同 一 のものを利 用 することもあ る。先 に述 べた T 細 胞 による細 胞 障 害 活 性 を目 的 として広 く応 用 されている。

2 点 目 は通 常 の IgG の N 末 または C 末 にさらに抗 原 結 合 部 位 を持 つタイプであり、結 合 は 2 価 2 価 の様 式 となる。抗 原 結 合 部 位 としては Fab や単 鎖 可 変 領 域 フラグメント

(single chain Fv:scFv)が一 般 的 であるがドメイン抗 体 (domain of heavy chain of heavy chain antibody:VHH)を付 加 することも可 能 である。Fab を用 いる 場 合 、こちらも軽 鎖 の掛 け違 いを抑 えるために共 通 の軽 鎖 を用 いることもある。価 数 の多 さを

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3 点 目 は scFv や VHH といった低 分 子 量 抗 体 をタンデムに結 合 したタイプである。通 常 1 価 1 価 であるが、さらにタンデムに続 けることにより 2 価 2 価 の様 式 にすることも可 能 であ り、またトリスペシフィック抗 体 などの報 告 もある。先 に述 べた抗 CD19-抗 CD3 バイスペシフィ ック抗 体 Blinatumomab はこのタイプとなる。

4 点 目 は通 常 の IgG とまったく同 じ構 造 を持 つが、1 つの Fab が 2 つの抗 原 に結 合 可 能 なタイプである。通 常 の IgG と同 一 の定 常 領 域 配 列 を持 ち、バイスペシフィック化 のための 改 変 が無 いことから抗 原 性 は通 常 の IgG と同 じと考 えられる。取 得 については困 難 である が、抗 体 の CDR ごとに変 異 ライブラリを作 製 し結 合 活 性 を向 上 させることにより狙 ってこのよう なバイスペシフィック抗 体 を取 得 したとする報 告 もある。

・半 減 期 延 ⾧ 技 術

抗 体 医 薬 はもともと血 中 半 減 期 が⾧ いことが知 られているが、これをさらに延 ⾧ させようとす る試 みも知 られている。先 に述 べたように抗 体 は FcRn と相 互 作 用 することにより⾧ い血 中 半 減 期 を得 ている。ここを最 適 化 することによりさらに血 中 半 減 期 が延 ⾧ することが報 告 されてい る[10]。また、血 管 内 皮 は負 電 荷 であることから、抗 体 も負 電 荷 を導 入 することで血 中 動 態 を改 善 する報 告 もある[11]。

・多 回 抗 原 結 合 技 術

1 つの抗 体 が複 数 個 の抗 原 を除 去 する技 術 についても報 告 されている。通 常 抗 体 は 1 個 の Fab が 1 個 の抗 原 に対 して結 合 するため、1 個 は Fab が 1 個 の抗 原 のみ中 和 する。抗 体 の抗 原 結 合 能 を中 性 付 近 で結 合 し、酸 性 側 では結 合 が弱 くなる改 変 を加 えることで、細 胞 のエンドソーム内 で抗 原 から解 離 することで、抗 体 は FcRn によってリサイクリングされるが抗 原 はそのままリソソームに運 ばれ、結 果 として 1 個 の抗 体 が複 数 の抗 原 を除 去 する技 術 が開 発 されている[12]。

以 上 見 てきたように抗 体 医 薬 は改 良 技 術 研 究 が活 発 に行 われている。この理 由 として、

抗 体 はアミノ酸 置 換 に対 して許 容 性 が高 いことが考 えられる。多 くの技 術 において抗 体 のアミ ノ酸 置 換 が行 われるが、抗 体 はこれを許 容 することが多 い。抗 体 は元 来 可 変 領 域 が配 列 的 な多 様 性 を持 つことから、アミノ酸 置 換 に対 して許 容 性 が広 いのかもしれない。

また、抗 体 は分 子 量 が高 く、薬 剤 などをコンジュゲーションしても抗 体 側 の物 性 が出 ることも 利 点 として考 えられる。これまで見 てきたように、抗 体 は細 かく見 れば個 々の抗 体 ごとに物 性 が 異 なるが、全 体 としては配 列 として共 通 の部 分 が多 く、似 た物 性 をもつ。また抗 体 は血 中 動 態 が良 くまた安 定 性 も高 い。ADC を例 にとれば、抗 体 側 から見 れば低 分 子 薬 剤 付 加 の影

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響 は最 小 限 に抑 えられていると考 えられる(薬 剤 側 から見 れば抗 体 コンジュゲートにより動 態 の向 上 は顕 著 である)。

【1-4 抗 体 医 薬 品 の脳 ・中 枢 適 応 】

中 枢 神 経 疾 患 の治 療 においても、抗 体 などのバイオロジクスの重 要 性 が高 まっており、アミロ イドβに対 するモノクローナル抗 体 がアルツハイマー病 に、αシヌクレインに対 する抗 体 がパーキン ソン病 にそれぞれ検 討 されている。また、神 経 保 護 作 用 を有 する各 種 神 経 栄 養 因 子

(brain-derived neurotrophic factor ; BDNF、glial-derived neurotrophic factor; GDNF)が中 枢 神 経 疾 患 において神 経 保 護 作 用 を示 すことが動 物 モデルで報 告 されている。

しかしながら、中 枢 神 経 系 では、抗 体 を末 梢 に投 与 した場 合 に他 の臓 器 と比 べて送 達 量 が低 く(表 1-2)、抗 体 移 行 率 (脳 脊 髄 液 (cerebrospinal fluid;CSF)中 濃 度 と 血 清 濃 度 の比 )は 0.1-0.3%と報 告 されている[13]-[15]。

脳 及 び脊 髄 を含 む中 枢 神 経 系 において薬 剤 送 達 量 が低 下 する理 由 として、血 液 脳 関 門

(Blood-Brain Barrier;BBB)と呼 ばれる血 液 と脳 との組 織 液 間 での物 質 輸 送 を制 限 する機 構 が挙 げられる(図 1-3)。血 液 脳 関 門 は、血 管 内 皮 細 胞 の細 胞 間 接 合 によ る物 理 的 ・非 特 異 的 な制 御 機 構 と、排 出 トランスポーターによる基 質 特 異 的 な排 出 機 構 を 有 しており、異 物 若 しくは薬 物 から中 枢 神 経 系 を保 護 し、恒 常 性 の維 持 に重 要 な役 割 を 果 たしている。

しかしながら、血 液 脳 関 門 の存 在 により、中 枢 神 経 系 では薬 剤 投 与 時 の有 効 濃 度 が得 ら れにくく、薬 剤 開 発 が困 難 になっている。例 えば、ハーラー症 候 群 (ムコ多 糖 症 I 型 )に対 す るα-L-イズロニダーゼや、ハンター症 候 群 (ムコ多 糖 症 II 型 )に対 するイズロン酸 2-ス ルファターゼの静 脈 内 投 与 による酵 素 補 充 療 法 が行 われているが、酵 素 の分 子 量 が大 きく 血 液 脳 関 門 を通 過 しないため、中 枢 神 経 症 状 に対 する有 効 性 は認 められていない[16]、

[17]。

また、脳 内 濃 度 を高 めるために、バイオロジクスを髄 腔 内 または脳 内 に直 接 投 与 するする試 みも行 われている。例 えば、ハンター症 候 群 (ムコ多 糖 症 II 型 )の患 者 の脳 障 害 の進 行 を 防 止 するために、イズロン酸 2-スルファターゼを患 者 の脳 内 に投 与 する方 法 が報 告 されてい

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【1-5 中 枢 移 行 性 技 術 】

そのため、バイオロジクスのような高 分 子 物 質 の脳 内 濃 度 を高 めるために、様 々な送 達 技 術 が研 究 されている。例 えば、脳 血 管 内 皮 細 胞 に発 現 している膜 タンパク質 に結 合 し、高 分 子 物 質 と膜 タンパク質 の複 合 体 を形 成 させてエンドサイトーシスにより血 液 脳 関 門 を通 過 させる 方 法 が複 数 報 告 されている(表 1-3)。

報 告 されている技 術 のほとんどは、受 容 体 介 在 性 トランスサイトーシス(receptor- mediated transcytosis、以 下 RMT)を利 用 したものであり、標 的 となる脳 血 管 内 皮 発 現 受 容 体 としては、例 えばトランスフェリン受 容 体 (Transferrin Receptor;TfR)、

インスリン受 容 体 、インスリン様 成 ⾧ 因 子 受 容 体 、及 び低 比 重 リポタンパク質 受 容 体 ファミリ ー(LDLRf)がある。

抗 TfR 抗 体 と神 経 成 ⾧ 因 子 との融 合 タンパク質 を作 製 することにより、TfR を介 した血 液 脳 関 門 通 過 技 術 が報 告 されている。抗 TfR 抗 体 を用 いた技 術 としては、抗 TfR 抗 体 と抗 ベーターセクレターゼ(BACE1)抗 体 とのバイスペシフィック抗 体 [19]、[20]や、抗 アミロイド β抗 体 のカルボキシル末 端 側 に TfR に対 する一 価 抗 体 を融 合 させた融 合 抗 体 が報 告 され ている[21]。この報 告 の中 で、抗 TfR 抗 体 と抗 BACE1 抗 体 とのバイスペシフィック抗 体 に よる脳 送 達 は、マウスにおいて 20mg /kg 体 重 で抗 体 を投 与 した際 に脳 での抗 体 取 り込 み 量 がコントロールの約 4 倍 に増 加 することが報 告 されている[20]。

また、抗 TfR 抗 体 を表 面 に有 するリポソームに薬 剤 を内 包 させることで、薬 剤 を血 液 脳 関 門 において通 過 させる技 術 が報 告 されている。抗 ラットトランスフェリン受 容 体 抗 体 とイムノミセ ル融 合 体 により、ラット脳 での取 り込 み量 が約 2~5 倍 に増 加 することが報 告 されている。

また、抗 インスリン受 容 体 抗 体 のカルボキシル末 端 側 に神 経 栄 養 因 子 や酵 素 または抗 アミ ロイド抗 体 を融 合 した融 合 タンパク質 を作 製 することにより、インスリン受 容 体 を介 した血 液 脳 関 門 通 過 技 術 が報 告 されている[22]-[25]。

アカゲザルにおいて、標 識 抗 ヒトインスリン受 容 体 抗 体 と GDNF との融 合 抗 体 を投 与 した 2 時 間 後 の脳 での取 り込 み量 が、GDNF と比 較 して約 15 倍 となることが報 告 されている [23]。

しかしながら、TfR やインスリン受 容 体 は脳 血 管 内 皮 細 胞 だけでなく、肝 臓 など全 身 で発 現 しているため、これらの技 術 では中 枢 神 経 系 への薬 剤 送 達 量 の増 大 とともに肝 臓 などにも 薬 剤 送 達 が起 こる[26]。さらに、全 身 で抗 原 が発 現 しているため、抗 体 の血 中 半 減 期 が短 い[19]。

(15)

また、脳 血 管 内 皮 膜 発 現 抗 原 である TMEM30A に対 する抗 体 (Fc5)が、RMT 様 の 活 性 を示 すことが報 告 されている[27][28]。Fc5 はラマ由 来 のシングルドメインの重 鎖 抗 体 の重 鎖 可 変 領 域 (variable domain of heavy chain of heavy chain

antibody、以 下 VHH)抗 体 であり、Fc5 とヒトFc融 合 体 がコントロール IgG と比 較 して 脳 送 達 が増 加 することが、in vitro BBB モデルおよびラット in vivo モデルにおいて示 されて いる。

Fc5 由 来 の単 鎖 抗 体 (single chain antibody;scFv)と代 謝 型 グルタミン酸 受 容 体 1型 (metabotropic glutamate receptor type I、以 下 mGluRI)抗 体 との融 合 体 が、コントロール単 鎖 抗 体 と mGluRI 抗 体 との融 合 体 と比 較 して、ラットモデルでの CSF 曝 露 が高 まることが報 告 されているが、増 加 量 としては 5 倍 程 度 である[29]。

また、IgG 抗 体 は胎 児 性 Fc5 受 容 体 (neonatal Fc receptor;FcRn)によって脳 内 から循 環 血 液 方 向 へ速 やかに排 出 されることが報 告 されており[30][31]、例 えばラットに おける IgG の脳 内 投 与 後 の脳 内 半 減 期 は 48 分 間 と短 い。

【1-6 ミエリンオリゴデンドロサイト糖 タンパク質 :MOG】

ミエリンオリゴデンドロサイト糖 タンパク質 (myelin oligodendrocyte glycoprotein;

MOG)は免 疫 グロブリンスーパーファミリーに属 するタンパク質 であり、ミエリンを構 成 している。

ヒト MOG の全 ⾧ は 218 アミノ酸 からなり、中 枢 神 経 系 においてミエリンの最 外 層 で発 現 して おり、細 胞 接 着 及 び細 胞 表 面 相 互 作 用 において役 割 を果 たしている[32]-[34]。

多 発 性 硬 化 症 (multiple sclerosis;MS)のような中 枢 神 経 のグリア細 胞 が自 己 免 疫 により攻 撃 される炎 症 性 疾 患 において、MOG は自 己 抗 原 候 補 であると考 えられている [35][36]。MS 患 者 において、血 清 中 の抗 MOG 抗 体 の濃 度 は低 いが、中 枢 神 経 内 でも 抗 MOG 抗 体 が検 出 されることが報 告 されている[35]。

この理 由 として、MS のような病 態 時 には液 性 因 子 の漏 出 と炎 症 性 細 胞 の侵 入 により血 液 脳 関 門 の破 綻 が起 こり、抗 体 が中 枢 神 経 系 に移 行 しやすくなっていることが報 告 されてい る[36][37]。さらに、中 枢 神 経 系 に浸 潤 した B 細 胞 や形 質 細 胞 により自 己 抗 体 が中 枢 神 経 系 内 局 所 で産 生 されていることが報 告 されている[36][38][39]。

実 験 的 自 己 免 疫 性 脳 脊 髄 炎 (experimental autoimmune

(16)

において使 用 されているモデルである。MOG タンパク質 またはペプチドを動 物 に免 疫 することに より、EAE が誘 導 できることが報 告 されている[40]。

また、EAE を誘 導 した動 物 に抗 MOG 抗 体 を投 与 することで EAE スコアが増 悪 するという 報 告 があるが[35][41]、抗 体 投 与 後 1-2 日 後 または 4 日 後 が EAE スコアのピークを示 しており、一 過 的 である。一 方 で、正 常 な動 物 に抗 MOG 抗 体 のみを投 与 しても EAE は発 症 しないことが報 告 されている[42][43]。

(17)

表 1-1 各 クラスの抗 体 分 類

(18)

図 1-1 IgG1 抗 体 の構 造 IgG1 の構 造 について記 す。

(19)

図 1-2 代 表 的 なバイスペシフィック抗 体 構 造

(A):アシンメトリック型 :IgG 様 でそれぞれの Fab が異 なる抗 原 を認 識 する。1 価 -1 価 の結 合 様 式 を持 つ。

(B):シンメトリック型 :IgG の C 末 または N 末 に別 の結 合 ドメインを持 つ。2 価 -2 価 の 結 合 様 式 を持 つ。

(C):低 分 子 型 :低 分 子 抗 体 がタンデムに結 合 した形 を持 つ。主 に 1 価 -1 価 の結 合 様 式 を持 つ。

(D):2 抗 原 結 合 型 :同 一 の Fab が 2 種 の抗 原 に結 合 能 を持 つ。

(20)

表 1-2 抗 体 の各 臓 器 への送 達 割 合 。

mAbs 5:2, 297–305; March/April 2013(参 考 文 献 [44])より改 変 。

ABC(%) CV%

Lung 14.9 4.95

Heart 10.2 3.57

Kidney 13.7 3.1

Muscle 3.97 5.76

Skin 15.7 5.67

Small int. 5.22 3.89 Large Int. 5.03 4.74

spleen 12.8 4.85

liver 12.1 3.75

Bone 7.27 11.8

Stomach 4.98 8.06

Lymph nodes 8.46 11.4

Fat 4.78 9.59

Brain 0.351 10.7

Pancreas 6.4 14.6

Testes 5.88 10.8

Thyroid 67.5 38.4

Thymus 6.62 27.1

(21)

表 1-3 脳 ・中 枢 移 行 性 技 術 に関 する報 告

(22)

図 1-3 抗 体 の脳 移 行 性 模 式 図

Adv Pharmacol. 2014;71:301-35.(参 考 文 献 [45])より改 変 。

(23)

図 1-4 Receptor-Mediated Transcytosis(RMT)のモデル図

Front. Syst. Neurosci., 20 June 2014(参 考 文 献 [46])より一 部 改 変

(24)

図 1-5 Myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)

(25)

第 2 章 多 様 な種 への交 差 性 を示 す新 規 抗 Myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗 体 の取 得

第 2 章 は,脳 ・中 枢 移 行 性 の向 上 をもたらす脳 内 抗 原 として、MOG(Myelin

oligodendrocyte glycoprotein)に着 目 し、本 抗 原 に対 する新 規 の抗 体 取 得 につい て検 討 を行 った。その結 果 、マウス、ラット、サル、ヒトに交 差 性 を有 しいずれの抗 原 に対 しても 同 程 度 に結 合 する新 規 MOG 抗 体 を取 得 に成 功 した。

【2-1 実 験 材 料 の調 製 】

2-1-1 可 溶 型 MOG 抗 原 、可 溶 型 HER2 抗 原 の作 製

(1)FLAG-Fc が結 合 したラット MOG の細 胞 外 ドメインタンパク質 の作 製

ラット MOG の可 溶 性 抗 原 として、C 末 端 に FLAG-Fc が付 加 された MOG の細 胞 外 ドメ インタンパク質 を以 下 に記 載 する方 法 で作 製 した。

MOG の細 胞 外 ドメインの遺 伝 子 配 列 を合 成 し、FLAG-Fc が挿 入 された INPEP4(IDEC 社 製 )ベクターの BglII-XbaI サイトに挿 入 することにより、C 末 側 に FLAG-Fc が付 加 され た MOG の細 胞 外 ドメインを発 現 するプラスミドベクターINPEP4_rMOG-FLAG-Fc を作 製 した。これを Expi293 Expression System(Thermo Fisher Scientific 社 製 )を用 いて浮 遊 性 293 細 胞 に導 入 して培 養 し、一 過 性 発 現 系 でタンパク質 を発 現 させた。ベクタ ー導 入 4 日 後 に培 養 上 清 を回 収 し、孔 径 0.22μm のメンブランフィルター(MILLIPORE 社 製 )で濾 過 した。この培 養 上 清 中 の MOG-FLAG-Fc タンパク質 を ProteinA 樹 脂 (MabSelect SuRe、GE ヘルスケアバイオサイエンス社 製 )を用 いてアフィニティー精 製 した。

洗 浄 液 としてリン酸 緩 衝 液 を用 いた。プロテイン A に吸 着 させたタンパク質 を、20mM クエン 酸 ナトリウム、50mM NaCl 緩 衝 液 (pH3.4)により溶 出 し、1M Tris-HCl Buffer Solution(pH8.0)を含 むチューブに回 収 した。次 に、VIVASPIN(Sartrius stealin 社 製 )を用 いた限 外 ろ過 と NAP カラム(GE ヘルスケアバイオサイエンス社 製 )により溶 出 液 の溶 媒 を PBS に置 換 後 、孔 径 0.22μm のメンブランフィルター (Millex-GV、MILLIPORE 社 製 )でろ過 滅 菌 を行 った。溶 液 中 の精 製 した各 MOG-FLAG-Fc タンパク質 の濃 度 は 280nm の吸 光 度 により測 定 した。

(26)

ラット MOG の可 溶 性 抗 原 として、C 末 端 に GST が付 加 された MOG の細 胞 外 ドメインタ ンパク質 を以 下 に記 載 する方 法 で作 製 した。MOG の細 胞 外 ドメインの遺 伝 子 配 列 を合 成 し、GST が挿 入 された N5 ベクター(IDEC 社 製 )の BglII-KpnI サイトに挿 入 することによ り、C 末 側 に GST が付 加 された MOG の細 胞 外 ドメインを発 現 するプラスミドベクター N5_rMOG-GST を作 製 した。

ヒト HER2 の可 溶 性 抗 原 として、C 末 端 に GST が付 加 された HER2 の細 胞 外 ドメイン タンパク質 を以 下 に記 載 する方 法 で作 製 した。HER2 の細 胞 外 ドメインの遺 伝 子 配 列 を合 成 し、GST が挿 入 された N5 ベクター(IDEC 社 製 )の BglII-KpnI サイトに挿 入 することに より、C 末 側 に GST が付 加 された HER2 の細 胞 外 ドメインを発 現 するプラスミドベクター N5_hHER2-GST を作 製 した。

N5_rMOG-GST、N5_hHER2-GST を Expi293 Expression System (Thermo Fisher Scientific 社 製 )を用 いて浮 遊 性 293 細 胞 に導 入 して培 養 し、一 過 性 発 現 系 でタンパク質 を発 現 させた。ベクター導 入 4 日 後 に培 養 上 清 を回 収 し、孔 径 0.22μm のメ ンブランフィルター(MILLIPORE 社 製 )で濾 過 した。この培 養 上 清 中 のタンパク質 を

Glutathione Sepharose 4B(GE ヘルスケアバイオサイエンス社 製 )を用 いてアフィニティー 精 製 した。洗 浄 液 としてリン酸 緩 衝 液 を用 いた。Glutathione Sepharose 4B に吸 着 さ せたタンパク質 を、50mM Tris-HCl、10mM reduced glutatione (pH8.0)により溶 出 した。次 に、VIVASPIN(Sartrius stealin 社 製 )を用 いた限 外 ろ過 と NAP カラム(GE ヘ ルスケアバイオサイエンス社 製 )により溶 液 中 の溶 媒 を PBS に置 換 後 、孔 径 0.22μm のメン ブランフィルター(Millex-GV、MILLIPORE 社 製 )でろ過 滅 菌 を行 った。溶 液 中 の精 製 した rMOG-GST タンパク質 、hHER2-GST タンパク質 の濃 度 は 280nm の吸 光 度 により測 定 した。

2-1-2 膜 型 MOG 抗 原 発 現 ベクターの作 製

ラット MOG(rMOG)、マウス MOG(mMOG)、サル MOG(cMOG)およびヒト MOG(hMOG)の全 ⾧ 遺 伝 子 配 列 を合 成 し、それぞれの遺 伝 子 配 列 を pEF6/V5-

His(Thermo Fisher Scientific 社 製 )ベクターの BamHI-NotI サイトに挿 入 することに より、各 種 MOG の膜 発 現 用 プラスミドベクターpEF6_rMOG、pEF6_mMOG、

pEF6_cMOG および pEF6_hMOG を作 製 した。マウス、ラット、サルおよびヒト MOG のアミ ノ酸 配 列 の比 較 の図 2-1 に示 す。

(27)

2-1-3 各 種 抗 体 の調 製

上 記 で作 製 した抗 体 発 現 プラスミドベクターを Expi293TM Expression

System(Thermo Fisher Scientific 社 製 )を用 いて浮 遊 性 293 細 胞 に導 入 して培 養 し、一 過 性 発 現 系 で抗 体 を発 現 させた。ベクター導 入 4 日 後 に培 養 上 清 を回 収 し、孔 径 0.22μm のメンブランフィルター(MILLIPORE 社 製 )で濾 過 した。この培 養 上 清 中 のタン パク質 を ProteinA 樹 脂 (MabSelect SuRe、GE ヘルスケアバイオサイエンス社 製 )を用 い てアフィニティー精 製 した。洗 浄 液 としてリン酸 緩 衝 液 を用 いた。プロテイン A に吸 着 させた抗 体 を、20mM クエン酸 ナトリウム、50mM NaCl 緩 衝 液 (pH3.4)により溶 出 し、1M Tris- HCl Buffer Solution(pH8.0)を含 むチューブに回 収 した。

次 に、VIVASPIN(Sartrius stealin 社 製 )を用 いた限 外 ろ過 と NAP カラム(GE ヘルス ケアバイオサイエンス社 製 )により溶 出 液 の溶 媒 を PBS に置 換 後 、孔 径 0.22μm のメンブラ ンフィルター(Millex-GV、MILLIPORE 社 製 )でろ過 滅 菌 を行 った。抗 体 溶 液 の 280nm の吸 光 度 を測 定 し、濃 度 1mg /mL を 1.40Optimal density と換 算 することで、精 製 抗 体 の濃 度 を算 出 した。

【2-2 抗 MOG 抗 体 の取 得 】

2-2-1 ヒト抗 体 ファージライブラリでの抗 体 の取 得

ヒト PBMC 由 来 の cDNA から、PCR にて VH 遺 伝 子 断 片 、VL 遺 伝 子 断 片 を増 幅 させ た。VH 遺 伝 子 断 片 と VL 遺 伝 子 断 片 をファージミドベクターpCANTAB 5E

(Amersham Pharmacia 社 製 )にそれぞれ挿 入 し、大 腸 菌 TG1(Lucigen 社 製 )を形 質 転 換 してプラスミドを得 た。得 られたプラスミドを M13KO7 Helper Phage

(Invitrogen 社 製 )に感 染 させることで、VH 遺 伝 子 、VL 遺 伝 子 がライブラリ化 されたヒ ト抗 体 M13 ファージライブラリを得 た。

このヒト抗 体 M13 ファージライブラリを用 いて、下 記 のファージディスプレイ法 を用 いて、抗 ラッ ト MOG(rMOG)モノクローナル抗 体 を取 得 した。MAXISORP STARTUBE(NUNC 社 製 )に、rMOG-FLAG Fc を固 相 化 し、SuperBlock Blockig Buffer(Thermo 社 製 )を用 いて rMOG-FLAG-Fc が結 合 していない部 位 をブロックした。このチューブにヒト

(28)

溶 出 した。溶 出 液 は Tris-HCl(pH8.5)を加 えて中 和 した。溶 出 したファージは、TG1 コンピ テントセルに感 染 させ、ファージを増 幅 した。

その後 、再 度 MAXISORP STARTUBE に固 相 化 した rMOG-FLAG_Fc と反 応 させて、

洗 浄 および溶 出 を実 施 した。この操 作 を繰 り返 し、rMOG-FLAG_Fc に特 異 的 に結 合 する scFv を提 示 したファージを濃 縮 した。濃 縮 されたファージを単 クローン化 し、ELISA にて rMOG-FLAG_Fc への結 合 性 を有 する 3 つのクローンを選 択 した。

ELISA には、MAXISORP(NUNC 社 製 )に rMOG-FLAG_Fc を固 相 化 し、

SuperBlock Blockig Buffer(Thermo 社 製 )を用 いて rMOG-FLAG_Fc が結 合 して いない部 位 をブロックした。ネガティブコントロールとして、FLAG_Fc を固 相 化 したプレートも用 意 した。

各 ウェルに各 々のファージクローンを加 え、室 温 下 で 30 分 間 反 応 させた後 、各 ウェルを PBS-T で洗 浄 した。次 いで、西 洋 ワサビペルオキシダーゼで標 識 された抗 M13 抗 体 (GE ヘ ルスケア社 製 )を 10%ブロックエース(大 日 本 製 薬 株 式 会 社 製 )含 有 PBS-T で希 釈 した溶 液 を、各 ウェルに加 え、室 温 下 30 分 間 インキュベートした。

マイクロプレートを、PBS-T で 3 回 洗 浄 後 、TMB 発 色 基 質 液 (DAKO 社 製 )を加 え、室 温 下 でインキュベートした。各 ウェルに 0.5M 硫 酸 を加 えて発 色 反 応 を止 め、波 ⾧ 450nm(参 照 波 ⾧ 570nm)での吸 光 度 をマイクロプレートリーダー(モレキュラーデバイス社 製 )で測 定 し た。得 られた結 果 を図 2-2 に示 す。

図 2-2 に示 されているように、3 種 のファージクローンは、いずれも rMOG-FLAG Fc に結 合 することが確 認 できた。一 方 、いずれのファージクローンも FLAG Fc には結 合 しなかった(データ 示 さず)。

rMOG-FLAG_Fc に結 合 したクローンについて配 列 解 析 を行 い、抗 MOG 抗 体 ファージミド ベクターpCANTAB_MOG01、pCANTAB_MOG09 および pCANTAB_MOG14 を取 得 した。

以 降 の文 章 において、pCANTAB_MOG01、pCANTAB_MOG09 および

pCANTAB_MOG14 を用 いて発 現 させたファージが提 示 する抗 MOG scFv 抗 体 の名 称 を、それぞれ MOG01 抗 体 、MOG09 抗 体 および MOG14 抗 体 と記 載 する。各 種 抗 MOG scFv 抗 体 の VH または VL をコードする塩 基 配 列 および塩 基 配 列 から推 定 されるアミノ酸 配 列 を配 列 表 2-1 から配 列 表 2-6 に示 す。MOG01 抗 体 、MOG09 抗 体 は軽 鎖 がλ鎖 であった。一 方 で MOG14 は軽 鎖 がκ鎖 であった。

(29)

図 2-1 MOG のマウス、ラット、サル、ヒトアミノ酸 配 列 相 同 性

(30)

図 2-2 取 得 ファージクローンのラット MOG への反 応 性

取 得 したファージクローン MOG01、MOG09、MOG14 のラット MOG への反 応 性 を ELISA で評 価 した。

(31)

MOG01 VH 塩 基 配 列

CAGGTACAGCTGCAGCAGTCAGGCGCAGGATTATTGAAGCCTTCGGAGACCCT TTCCCTCACCTGCGCTGTGTCTGGTGGGTCCTTCAGTGGTTACTACTGGACCTG GATCCGCCAGCGCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTGGAGAAATCAATCATC GTGGAAGCACCGATTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATGTCAATAG ACACGTCCAAGAGCCAGTTCTCCCTGAATTTGAAATCTGTGACCGCCGCGGAC ACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAGCCGCCTGGGGGTCTTGTTATGATGGGAC CTGCTACCCCGCTGAATACTTCCAATACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCG TCTCCTCA

MOG01 VL 塩 基 配 列

CAGTCTGCCCTGACTCAGCCTGCCTCCGTGTCTGGGTCTCCTGGACAGTCGATC ACCATCTCCTGCACTGGAACCAGCCGTGACGTTGGTGGTTATAACTATGTCTCC TGGTACCAACAACACCCAGGCAAAGCCCCCAAACTCATGATTTATGATGTCAAT AATCGGCCCTCAGGGGTTTCTAATCGGTTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCAACAC GGCCTCCCTGACCATCTCTGGGCTCCAGGCTGAGGACGAGGCTGATTATTTCT GCAGCTCATATACAAGCAGTAGCACCCCTGTGGTATTCGGCGGTGGGACCAAG CTGACCGTCCTA

配 列 表 2-1 MOG01 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(32)

MOG09 VH 塩 基 配 列

CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGTCTTCGGAGACCCT GTCCCTCACCTGCGCTGTCTCTGGTCACTCCATCAGCAGTGCTTACTACTGGGG CTGGATCCGGCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGCTTGGGAGTATTTATC ATAGTGGGAACACCTACTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATATCAG TAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAGGCTGACCTCTGTGACCGCCGCA GACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGGGCGTGGATATAGTGGCTACGATAG CGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA

MOG09 VL 塩 基 配 列

TCCTATGTGCTGACTCAGCCACCCTCAGCGTCTGGGACCCCCGGGCAGAGGGT CACCATCTCTTGTTCTGGAACCAGCTCCAACATCGGAATCAATAGTGTAAACTG GTATCAACAGCTCCCAGGAATGGCCCCCAAACTCGTCATCTACAGTAGGGATCA GCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCCAGTCTGGCACCTCAG CCTCCCTGGCCATCAATGGCCTCCAGTCTGAGGATGAGGCTGATTATTGGTGTT CAACATGGGATGACAGCCTGAATGGTTGGGTGTTCGGCGGAGGGACCAAGCTG ACCGTCCTA

配 列 表 2-2 MOG09 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(33)

MOG14 VH 塩 基 配 列

CAGGTGCAGCTGGTGCAATCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGT GAAGGTCTCCTGCCAGGCTTCTGGATACACGTTCACCGGCGACTATATTCACTG GGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTGGAATACTTGGGATGGATCAACCCTG ACAGGGGTTTCACATACTATACACAGAAGTTTCAGGGCAGGGTCACCATGACC CGGGACACGTCCAGCAACACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGA CGACACGGCCATGTATTACTGTACGAGAGAGAACCCTCGCGCGTACTTCTTTGA CCTCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA

MOG14 VL 塩 基 配 列

GAAATAGTGTTGACGCAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAG AGCCACTCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTATTAGCGGCAGCTACGTGACCT GGTACCAGCAGAAGCCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGCTACATCCA ATAGGGCCATTGGCATCCCAGACAAGTTCAGTGGCGGTGGGTCTGGGAGAGAC TTCACTCTCACCATCAACAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGT CAGCAGAGTGTTAGTTCTCCGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGGTGGAAAT CAAA

配 列 表 2-3 MOG14 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(34)

MOG01 VH アミノ酸 配 列

QVQLQQSGAGLLKPSETLSLTCAVSGGSFSGYYWTWIRQRPGKGLEWIGEINHR GSTDYNPSLKSRVTMSIDTSKSQFSLNLKSVTAADTAVYYCARAAWGSCYDGTC YPAEYFQYWGQGTLVTVSS

MOG01 VL アミノ酸 配 列

QSALTQPASVSGSPGQSITISCTGTSRDVGGYNYVSWYQQHPGKAPKLMIYDVN NRPSGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYFCSSYTSSSTPVVFGGGTKLT VL

配 列 表 2-4 MOG01 可 変 領 域 のアミノ酸 配 列

(35)

MOG09 VH アミノ酸 配 列

QVQLQESGPGLVKSSETLSLTCAVSGHSISSAYYWGWIRQPPGKGLEWLGSIYHS GNTYYNPSLKSRVTISVDTSKNQFSLRLTSVTAADTAVYYCARGRGYSGYDSGM DVWGQGTTVTVSS

MOG09 VL アミノ酸 配 列

SYVLTQPPSASGTPGQRVTISCSGTSSNIGINSVNWYQQLPGMAPKLVIYSRDQR PSGVPDRFSGSQSGTSASLAINGLQSEDEADYWCSTWDDSLNGWVFGGGTKLT VL

配 列 表 2-5 MOG09 可 変 領 域 のアミノ酸 配 列

(36)

MOG14 VH アミノ酸 配 列

QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCQASGYTFTGDYIHWVRQAPGQGLEYLGWINP DRGFTYYTQKFQGRVTMTRDTSSNTAYMELSSLRSDDTAMYYCTRENPRAYFFD LWGQGTLVTVSS

MOG14 VL アミノ酸 配 列

EIVLTQSPGTLSLSPGERATLSCRASQSISGSYVTWYQQKPGQAPRLLIYATSNRA IGIPDKFSGGGSGRDFTLTINRLEPEDFAVYYCQQSVSSPYTFGQGTKVEIK

配 列 表 2-6 MOG14 可 変 領 域 のアミノ酸 配 列

(37)

【2-3 抗 MOG 抗 体 およびコントロール抗 体 発 現 ベクターの取 得 】 2-3-1 抗 MOG 抗 体 の発 現 ベクターの構 築

ヒト IgG 型 の抗 MOG 抗 体 を作 製 するために、取 得 したヒト抗 体 ファージライブラリ由 来 抗 MOG scFv 抗 体 の各 可 変 領 域 のアミノ酸 配 列 をコードする DNA 配 列 をヒト IgG 抗 体 定 常 領 域 のアミノ酸 配 列 をコードするアミノ酸 配 列 に組 みこんだ各 種 抗 MOG 抗 体 の発 現 ベク ターを以 下 に記 載 する方 法 で作 製 した。

ヒト IgG のラムダ鎖 定 常 領 域 をコードする塩 基 配 列 を合 成 し、N5KG4PE ベクター(国 際 公 開 第 2002/088186 号 公 報 に記 載 )の BglII-EcoRI サイトに挿 入 し、N5LG4PE ベ クターを作 製 した。MOG01 抗 体 および MOG09 抗 体 の各 VH、VL のアミノ酸 配 列 をコード する塩 基 配 列 を N5LG4PE に挿 入 した発 現 ベクターを、それぞれ N5LG4PE_MOG01、

N5LG4PE_MOG09 と命 名 した。また、MOG14 抗 体 の VH、VL のアミノ酸 配 列 をコードす る塩 基 配 列 を N5KG4PE ベクターに挿 入 した発 現 ベクターを N5KG4PE_MOG14 と命 名 した。

2-3-2 抗 Avermectin 抗 体 の発 現 ベクターN5LG4PE_AVM

ネガティブコントロール抗 体 として、すでに取 得 されていたキメラ抗 Avermectin(AVM)抗 体 を用 いた。抗 AVM 抗 体 の VH および VH のアミノ酸 配 列 、塩 基 配 列 を配 列 表 2-7、2-8 に示 す。発 現 ベクターは上 記 と同 様 の方 法 で作 製 した。AVM 抗 体 の VH および VL のアミノ 酸 配 列 をコードする塩 基 配 列 を N5LG4PE に挿 入 した発 現 ベクターを、N5LG4PE_AVM と命 名 した。

2-3-3 抗 ラットトランスフェリン受 容 体 抗 体 OX26 抗 体 の発 現 ベクター N5KG4PE(R409K)_OX26

抗 ラットトランスフェリン受 容 体 抗 体 のポジティブコントロール抗 体 として参 考 文 献 [47]に記 載 された抗 ラットトランスフェリン受 容 体 抗 体 OX26 抗 体 を作 製 した。OX26 抗 体 の VH、

VL のアミノ酸 配 列 をコードする塩 基 配 列 を N5KG4PE(R409K)(国 際 公 開 第

2002/088186 号 公 報 に記 載 )に挿 入 した発 現 ベクターを、上 記 同 様 の方 法 で作 製 し、

N5KG4PE(R409K)_OX26 と命 名 した。OX-26 抗 体 の VH および VH のアミノ酸 配 列 、

(38)

AVM VH 塩 基 配 列

GAGGTGCAGCTGGTGGAATCTGGGGGAGGCTTAGTGCAGCCTGGAAGATCCCT GAAACTCTCCTGTGCAGCCTCAGGATTCACTTTCAGTAACTATGCCATGGCTTG GGTCCGCCGGGCTCCAACGAAGGGTCTGGAGTGGGTCGCATCCATTAGTAATG GTGGTGGTAACACTTACTATCGCGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACTATCTCCA GAGATGATGCAAAAAACACCCTATACCTGCAAATGGACAGTCTGAGGTCTGAG GACACGGCCACTTATTACTGTGCAAGACACGGGAATTATATATATTATGGGTCC TTCTTTGATTACTGGGGCCAAGGAGTCATGGTCACAGTCTCCTCA

AVM VL 塩 基 配 列

GACATTGTGCTGACACAGTCTCCTGCTTCCTTAGCTGTATCTCTGGGGCAGAGG GCCACCATCTCATACAGGGCCAGCAAAAGTGTCAGTACATCTGGCTATAGTTAT ATGCACTGGAACCAACAGAAACCAGGACAGCCACCCAGACTCCTCATCTATCTT GTATCCAACCTAGAATCTGGGGTCCCTGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGG GACAGACTTCACCCTCAACATCCATCCTGTGGAGGAGGAGGATGCTGCAACCT ATTACTGTCAGCACATTAGGGAGCTTACACGTTCGGAGGGGGGACCAAGCTGG AAATAA

配 列 表 2-7 抗 AVM 抗 体 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(39)

AVM VH アミノ酸 配 列

EVQLVESGGGLVQPGRSLKLSCAASGFTFSNYAMAWVRRAPTKGLEWVASISNG GGNTYYRDSVKGRFTISRDDAKNTLYLQMDSLRSEDTATYYCARHGNYIYYGSFF DYWGQGVMVTVSS

AVM 抗 体 VL アミノ酸 配 列

DIVLTQSPASLAVSLGQRATISYRASKSVSTSGYSYMHWNQQKPGQPPRLLIYLV SNLESGVPARFSGSGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYCQHIRELTRSEGGPSWK

配 列 表 2-8 抗 AVM 抗 体 可 変 領 域 のアミノ酸 配 列

(40)

OX-26 VH 塩 基 配 列

CAGGTGCAGCTGCAGCAGCCTGGGGCTGCGCTGGTGAGGCCTGGAGCTTCAAT GAGGCTGTCCTGCAAGGCTTCTGGCTACTCCTTCACCACCTACTGGATGAACTG GGTGAAGCAGAGGCCTGGACAAGGCCTTGAGTTGATTGGCATGATTCATCCTT CCGATAGTGAAGTTAGGTTAAATCAGAAATTCAAGGACAAGGCCACATTGACTG TTGACACATCCTCCAGCACAGCCTACATGCAACTCAACAGCCCGACATCTGAGG ACTCTGCGGTCTATTACTGTGCAAGATTCGGCCTTGACTACTGGGGCCAAGGC ACCACTCTCACAGTCTCCTCC

OX-26 VL 塩 基 配 列

GATATCGTGATCACCCAATCTCCATCCAGTCTGTCTGCATCCCTTGGCGACACA ATTCTCATCACTTGCCATGCCAGTCAGAACATTAATGTTTGGTTAAGTTGGTTC CAGCAGAAACCAGGAAATGCTCCTAAACTGTTGATCTATAAGGCTTCCAACTTG CACACAGGCGTCCCATCAAGATTTAGTGGCAGTGGATCTGGAACAGGTTTCAC ATTAACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGACATTGCCACTTACTACTGTCAACA GGGTCAAAGTTATCCGTGGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAA

配 列 表 2-9 抗 TfR 抗 体 OX-26 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(41)

OX-26 VH アミノ酸 配 列

EVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTTYDINWVRQATGQGLEWMGWMN PNSGYTGYAQKFQGRVTMTRDTSISTAYMELSSLRSEDTAVYYCARTNWESWYF DLWGRGTLVTVSS

OX-26 VL アミノ酸 配 列

EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSFLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRAT GIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWPLTFGPGTKVDIK

配 列 表 2-10 抗 TfR 抗 体 OX-26 可 変 領 域 のアミノ酸 配 列

(42)

【2-4 取 得 抗 体 の in vitro 評 価 】

2-4-1 フローサイトメーターによる抗 MOG 抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価

抗 MOG 抗 体 MOG01 抗 体 、MOG09 抗 体 、MOG14 抗 体 の MOG への結 合 を以 下 の 手 順 に従 い fluoresence activated cell sorting (FACS)法 により評 価 した。

各 種 膜 型 MOG 抗 原 発 現 ベクターを FreeStyle 293 Expression

System(Thermo Fisher Scientific 社 製 )を用 いて浮 遊 性 293 細 胞 に導 入 して培 養 し、一 過 性 発 現 系 で膜 型 抗 原 を発 現 させた。上 記 の細 胞 を用 いて、以 下 に記 載 する方 法 で抗 MOG 抗 体 の反 応 性 を解 析 した。rMOG/HEK293F、mMOG/HEK293F、

cMOG/HEK293 および hMOG/HEK293 細 胞 をそれぞれ、5×105cells /mL の濃 度 で 0.1%NaN3、1%FBS 含 有 PBS の Staining Buffer(SB)に懸 濁 し、96 穴 丸 底 プレー ト(ベクトンディッキンソン社 製 )に分 注 した。遠 心 分 離 (2000rpm、4℃、2 分 間 )の後 、上 清 を除 去 し、ペレットへ 10μg /mL の各 抗 体 を加 えて懸 濁 した後 、氷 温 下 で 30 分 間 静 置 し た。さらに遠 心 分 離 (2000rpm、4℃、2 分 間 )して上 清 を除 去 し、ペレットを SB で洗 浄 後 に、1μg /mL の RPE 蛍 光 標 識 ヤギ抗 ヒト抗 体 (Southern Bioblot 社 製 )を加 え、氷 温 下 30 分 間 インキュベートした。SB で洗 浄 後 、SB に懸 濁 し、フローサイトメーターFACS CANTO II、(ベクトンディッキンソン社 製 )で各 細 胞 の蛍 光 強 度 を測 定 した。得 られた結 果 を 図 2-3 に示 す。なお、ネガティブコントロールとして、抗 AVM 抗 体 を用 いた。

図 2-3 に示 すように、rMOG/HEK293F 細 胞 及 び mMOG/HEK293F 細 胞 に対 して、

抗 MOG 抗 体 である MOG01 抗 体 、MOG09 抗 体 、MOG14 抗 体 はいずれも結 合 活 性 を 示 した。また、MOG01 抗 体 および MOG14 抗 体 は、いずれも cMOG/HEK293 細 胞 及 び hMOG/HEK293 細 胞 にも結 合 活 性 を示 した。

よって、抗 MOG ヒト IgG 抗 体 MOG01 および MOG14 は、ラット、マウス MOG だけでな く、カニクイザルおよびヒト MOG の全 てを認 識 して、結 合 することが明 らかになった。

2-4-2 表 面 プラズモン共 鳴 検 出 による抗 MOG 抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価 抗 MOG 抗 体 MOG01 抗 体 、MOG09 抗 体 、MOG14 抗 体 のラット MOG へのアフィニ ティーを Biacore T-100(GE Healthcare)を用 いて測 定 した。CM5 センサーチップ上 に Human antibody Capture キットを用 いて各 抗 体 を固 定 化 し、rMOG-GST をアナライ トとして結 合 能 を評 価 した。得 られたセンサグラムについて BIAevaluation software により 解 析 を行 うことで解 離 定 数 (KD 値 )を算 出 した。得 られた結 果 を表 2-1 に示 す。

(43)

各 抗 MOG 抗 体 の解 離 定 数 (KD 値 )は 2.1×10-11(M)~4.0×10-8(M)であり、い ずれの抗 体 も良 好 なアフィニティーを示 すことが明 らかになった。MOG09 抗 体 では、解 離 速 度 定 数 kd が機 器 測 定 範 囲 外 となり、KD 値 が一 意 に決 定 できていない。

(44)

図 2-3 取 得 した抗 MOG 抗 体 の種 交 差 性

MOG01 抗 体 、MOG09 抗 体 、MOG14 抗 体 のラット、マウス、サルおよびヒト MOG 発 現 細 胞 への反 応 性 を FCM にて評 価 した。

(45)

表 2-1 取 得 した抗 MOG 抗 体 の MOG 抗 原 への反 応 性

(46)

【2-5 抗 MOG 抗 体 の追 加 取 得 】

2-5-1 FLAG-Fc が結 合 した可 溶 型 ヒト MOG 抗 原 および可 溶 型 マウス MOG 抗 原 の細 胞 外 ドメインタンパク質 の作 製

ヒト MOG とマウス MOG の可 溶 性 抗 原 として、C 末 端 に FLAG-Fc が付 加 された MOG の 細 胞 外 ドメインタンパク質 を発 現 するプラスミドベクターINPEP4_hMOG-FLAG-Fc と INPEP4_mMOG-FLAG-Fc を作 製 した。FLAG-Fc が結 合 した MOG の細 胞 外 ドメインタ ンパク質 は、HEK293 で一 過 性 発 現 させ、PeoteinA カラムで精 製 して取 得 した。

2-5-2 GST が結 合 した MOG の細 胞 外 ドメインタンパク質 の作 製

ヒト MOG とマウス MOG の可 溶 性 抗 原 として、C 末 端 に GST が付 加 された MOG の細 胞 外 ドメインタンパク質 を発 現 するプラスミドベクターN5_hMOG-GST と N5_mMOG-GST を 作 製 した。GST が結 合 した MOG の細 胞 外 ドメインタンパク質 は、HEK293 一 過 性 発 現 さ せ、アフィニティカラムにて精 製 して取 得 した。

2-5-3 ヒト抗 体 産 生 マウスからの抗 MOG 抗 体 の取 得

ヒト抗 体 産 生 マウス(参 考 文 献 [48]および[49])に、hMOG-GST と mMOG-GST を百 日 咳 ワクチンとアラムゲルと混 合 して、腹 腔 内 または皮 内 に投 与 した。

初 回 免 疫 以 降 、hMOG-GST と mMOG-GST を 3 回 免 疫 した。最 終 免 疫 から 4 日 後 に、腹 腔 内 投 与 を行 った個 体 から解 剖 して脾 臓 を採 材 し、赤 血 球 除 去 試 薬 (SIGMA 社 製 )にて赤 血 球 を除 去 後 、CELLBANKER 1(日 本 全 薬 工 業 株 式 会 社 製 )にて凍 結 した。

皮 内 投 与 を行 った個 体 からは、解 剖 により腋 下 リンパ節 を採 材 し、赤 血 球 除 去 試 薬 にて赤 血 球 を除 去 後 、CELLBANKER 1 にて凍 結 した。得 られた脾 臓 細 胞 と腋 下 リンパ節 の細 胞 から、RNeasy Plus Mini kit(QIAGEN 社 製 )を用 いて RNA を抽 出 し、SMARTer RACE cDNA 増 幅 キット(Clontech 社 製 )にて cDNA を合 成 した。合 成 した cDNA を用 いてヒト抗 体 産 生 マウス由 来 ファージライブラリを作 製 した。このヒト抗 体 産 生 マウス由 来 ファー ジライブラリを用 いて、ファージディスプレイ法 により抗 ヒト MOG モノクローナル抗 体 を取 得 した。

ファージディスプレイ法 及 びクローニング ELISA は、hMOG-FLAG_Fc と mMOG-FLAG_Fc を用 いて行 った。

hMOG-FLAG_Fc、mMOG-FLAG_Fc および hMOG/Expi293F 細 胞 に結 合 したクロ ーンについて配 列 解 析 を行 い、MOG301 抗 体 、MOG303 抗 体 、MOG307 抗 体 、

(47)

MOG310 抗 体 、MOG312 抗 体 、MOG326 抗 体 、MOG329 抗 体 、MOG446 抗 体 、 MOG456 抗 体 および MOG473 抗 体 を取 得 した。各 種 抗 MOG 抗 体 の VH または VL を コードする塩 基 配 列 を配 列 表 2-11 から 2-20 に示 す。

また、MOG301 抗 体 には相 同 性 91~93%の類 似 配 列 クローン(MOG426、

MOG428)、MOG03 抗 体 には相 同 性 85~95%の類 似 配 列 クローン(MOG313、

MOG314、MOG315、MOG331、MOG357、MOG476)、MOG307 抗 体 には相 同 性 97~99%の類 似 配 列 クローン(MOG323、MOG341、MOG354、MOG355)、MOG310 抗 体 には相 同 性 85~98%の類 似 配 列 クローン(MOG308、MOG316、MOG319、

MOG320、MOG338、MOG352、MOG359、MOG478)、MOG329 抗 体 には相 同 性 85%の類 似 配 列 クローン(MOG470)、MOG456 抗 体 には相 同 性 84%の類 似 配 列 クロ ーン(MOG418)がファージディスプレイ法 により得 られている。これらの類 似 クローンは hMOG- FLAG_Fc、mMOG-FLAG_Fc および hMOG/Expi293F 細 胞 に結 合 することが確 認 でき ている。類 似 クローンのアミノ酸 配 列 の比 較 を図 2-4 から図 2-9 に示 す。

2-5-4 抗 MOG 抗 体 の作 製

ファージミドベクターpCANTAB_MOG01 を鋳 型 として、PCR により scFv 領 域 の遺 伝 子 断 片 を増 幅 した。重 鎖 定 常 領 域 の合 成 遺 伝 子 を鋳 型 として、PCR により Hinge-CH2- CH3 領 域 の遺 伝 子 断 片 を増 幅 した。得 られた遺 伝 子 断 片 を N5KG4PE ベクター(WO 国 際 公 開 第 2002/088186 号 に記 載 )に挿 入 し、N5-MOG01 scFv-hG4PE ベクターを 作 製 した。各 MOG 抗 体 ファージミドベクターを鋳 型 として、PCR により scFv 領 域 の遺 伝 子 断 片 を増 幅 した。重 鎖 定 常 領 域 の合 成 遺 伝 子 を鋳 型 として、PCR により Hinge-CH2- CH3 領 域 の遺 伝 子 断 片 を増 幅 した。得 られた遺 伝 子 断 片 を pCI ベクター(Promega 社 製 )に挿 入 し各 MOG 抗 体 発 現 ベクターを作 製 した。

作 製 した抗 MOG 抗 体 の発 現 ベクターを HEK293 にて発 現 させ、PeoteinA カラムにて精 製 しモノクローナル抗 体 を取 得 した。

2-5-5 フローサイトメーターによる抗 MOG 抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価

上 記 で得 た抗 MOG 抗 体 の MOG 発 現 細 胞 への結 合 を評 価 した。結 果 を図 2-10 に示

(48)

2-5-6 表 面 プラズモン共 鳴 検 出 による抗 MOG 抗 体 の MOG に対 する結 合 性 の評 価 上 記 で得 た各 MOG 抗 体 のヒト MOG およびマウス MOG への結 合 を Biacore で評 価 し た。アナライトには、hMOG-GST と mMOG-GST を用 いた。ヒト MOG への結 合 性 評 価 の結 果 を表 2-2 に、マウス MOG への結 合 性 評 価 の結 果 を表 2-3 に示 す。表 2-2、表 2-3 に 示 されように取 得 された抗 体 は良 好 な抗 原 結 合 能 を示 し、またほとんどのクローンはヒトとマウ スと同 程 度 の結 合 活 性 を示 した。

(49)

MOG301 VH 塩 基 配 列

CAGGTGCAGCTGGTGCAGTCTGGAGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGT GAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGTTACAGCTTTACCAGCTATGGTATCAACTG GGTGCGACAGGCCCCAGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGATGGATCAGCGCTT ACAATGGTTACACAAACTATGCACAGAAGCTCCAGGGCAGAGTCACCATGACC AGAGACACATCCACGCGCACAGCCTACATGGAGCTGAGGAGCCTGAGATCTGA CGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGAGTACGATATTTTGACTGGTTATTC CGATGCTTTTGATATCTGGGGCCAAGGGACCCTGGTCACTGTCTCCTCA

MOG301 VL 塩 基 配 列

GAAATAGTGATGACACAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAG AGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCT GGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCA GCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAC TTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGT CAGCAGTATGGTAGCTCACCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAAAT CAAA

配 列 表 2-11 MOG301 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(50)

MOG303 VH 塩 基 配 列

GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCC TGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGCAGCTATGCCATGGGCT GGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAATGGGTCTCAGCTGTTAGTGGT AGTGGTGGTAGCACATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGGTTCACCATCTC CAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCG AGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAAAGGAGGATACGATATTTTGACTGGTT ACTTCTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCACGGTCACTGTCTCCTCA

MOG303 VL 塩 基 配 列

GCCATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGA GTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGCAGTGCTTTAGCCTGGTAT CAGCAGAAACCAGGGAAAGCTCCTAAGCTCCTGATCTATGATGCCTCCAGTTTG GAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCAC TCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCAACA GTTTAATAGTTACCCATTCACTTTCGGCCCTGGGACACGACTGGAGATTAAA

配 列 表 2-12 MOG303 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(51)

MOG307 VH 塩 基 配 列

CGGGTCACCTTGAGGGAGTCTGGTCCTACGCTGGTGAAACCCACACAGACCCT CACGCTGACCTGCACCTTCTCTGGGTTCTCACTCAGCACTAGTGGAGTGGGTG TGGGCTGGATCCGTCAGCCCCCAGGAAAGGCCCTGGAGTGGCTTGCACTCATT TTTTGGGATGATGATAGTCACTACAGCCCATCTCTGAAGAGCAGGCTCACCATC ACCAAGGACACCTCCAAAAACCAGGTGGTCCTTACAATGACCAACATGGACCC TGTGGACACAGCCACATATTACTGTGCACGGTATTACTTTGGTTCGGGGAGTTA TTTCCCTAGCTACTGGTACTTCGATCTCTGGGGCCGTGGCACCCTGGTCACTGT CTCCTCA

MOG307 VL 塩 基 配 列

GAAATAGTGATGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAG AGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCTACTTAGCCTGGT ACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCAACA GGGCCACTGGCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTC ACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTTGCAGTTTATTACTGTCAG CAGCGTAGCAACTGGCCTCCGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAGATCAA A

配 列 表 2-13 MOG307 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(52)

MOG310 VH 塩 基 配 列

CAGGTGCAGCTGGTGCAATCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGTCCTCGGT GAAGGTCTCCTGCAAGGCTTCTGGAGGCACCTTCAGCAGATATGCTATCAGCT GGGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAGGGATCATCCCT ATGTTTAGTACAGCAAACTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACGATTACC GCGGACGAATCCACGAGCACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGA GGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGATTGGGCAGTGGCTGGTATGGGCT TTAACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCCTCA

MOG310 VL 塩 基 配 列

GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGGCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAG AGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCT GGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCA GCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAC TTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGT CAGCAGTATGGTAGCTCACCGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAAGTGGATAT CAAA

配 列 表 2-14 MOG310 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(53)

MOG312 VH 塩 基 配 列

CAGGTGCAGCTACAGCAGTGGGGCGCAGGACTGTTGAAGCCTTCGGAGACCCT GTCCCTCACCTGCGCTGTCTATGGTGGGTCCTTAAGTGGTTACTACTGGAGCTG GATCCGCCAGCCCCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGATTGGGGATATCACTCATA GTGGAAGCACCAACTACAACCCGTCCCTCAAGAGTCGAGTCACCATGTCAGTT GACACGTCCAAAAACCAGTTCTCCCTGAACCTGAACTCTGTGACCGCCGCGGA CACGGCTGTGTATTACTGTGCGAGAAGGGGGATAGGAGCTGCTGTCTTTGACC TCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCCTCA

MOG312 VL 塩 基 配 列

GAAATAGTGTTGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAG AGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAGCTACTTAGCCT GGTACCAGCAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCA GCAGGGCCACTGGCATCCCAGACAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAC TTCACTCTCACCATCAGCAGACTGGAGCCTGAAGATTTTGCAGTGTATTACTGT CAGCAGCGTAGCAACTGGCCTCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGAT CAAA

配 列 表 2-15 MOG312 可 変 領 域 の塩 基 配 列

(54)

MOG326 VH 塩 基 配 列

GAGGTCCAGCTGGTACAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGT GAAGGTTTCCTGCAAGGCATCTGGATACACCTTCACCAGCTACTATATGCACTG GGTGCGACAGGCCCCTGGACAAGGGCTTGAGTGGATGGGAATAATCAACCCTA GTGGTGGTAGCACAAGCTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCATGACC AGGGACACGTCCACGAGCACAGTCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGA GGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGAGGGTATTACGATATTTTGACTGGTTC CTTCTTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACTGTCTCCTCA

MOG326 VL 塩 基 配 列

GACATCGTGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGA GTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGCAGTGCTTTAGTCTGGTAT CAGCAGAAACCAGGGAAAGCTCCTAAGCTCCTGATCTATGATGCCTCCAGTTTG GAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCAC TCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCAACA GTTTAATAGTTACCCTCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAAGTGGATATCAAA

配 列 表 2-16 MOG326 可 変 領 域 の塩 基 配 列

参照

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