• 検索結果がありません。

博士学位論文審査報告書

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "博士学位論文審査報告書"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)2016年 12月12日. 博士学位論文審査報告書 大学名. 早稲田大学. 研究科名. スポーツ科学研究科. 申請者氏名. 高橋 将. 学位の種類. 博士(スポーツ科学). 論文題目. 大学男子サッカー選手におけるGroin pain既往者の身体的および動作特性 〜再発予防のための基礎的研究〜 The Physical and Motion Characteristics of University Male Soccer Players with Groin Pain History: Basic Research for the Prevention of Recurrence. 論文審査員. 主査 早稲田大学教授. 福林 徹. 博士(医学)(筑波大学). 副査. 早稲田大学教授. 広瀬 統一 博士(学術)(東京大学). 副査. 早稲田大学教授. 金岡 恒治 博士(医学)(筑波大学). 鼠径周辺部痛(以下 Groin pain)は、サッカー選手に好発している原因不明の疾患である。 近年、Groin pain の発生件数および発生率は増加しておりサッカー現場で問題になっている が、未だ効果的な予防策は確立されていない。その大きな理由として Groin pain に関連した 選手の身体的および動作特性が明らかになっていない点が挙げられる。そこで本研究は、 Groin pain の発生原因と再発予防に繋がる指針を提示することを目的として行われた。 研究 1 として Groin pain の既往歴のある大学生男子サッカー選手の関節可動域および筋力 測定を行った。健常な大学生男子サッカー選手 13 名、Groin pain の既往歴を持つ大学生男子 サッカー選手 11 名を対象とした。股関節の可動域測定は、徒手筋力計測器(Power TrackⅡ、 J tech 社製)および東大式角度計を用いる従来型の方法で実施した。関節可動域としては一 般的な股関節外転、内旋、外旋、膝関節伸展、腹臥位膝関節屈曲の 5 項目を計測した。筋力 測定は、腹直筋、左右外腹斜筋、左右大臀筋、左右ハムストリングス、左右内転筋群、左右 中殿筋の 6 種(計 11 箇所)に対して行った。可動域測定の結果、Groin pain 既往群と健常群 の間ではいずれの測定項目でも有意差がなかった。筋力測定の結果、Groin pain 既往群の筋 力はコントロール群と比較して、蹴り脚側の内転筋、支持脚側の大臀筋、中臀筋、ハムスト リングスで有意に低かった。これにより本研究で対象となった Groin pain 既往群のように下 肢の筋力が低下した状態で競技に復帰していることは、今後、様々な動きの中で下肢筋力を 活用するサッカー競技において、Groin pain 再発のリスクが増大する可能性が示唆された。 研究 2 として Groin pain 既往歴をもつ大学生男子サッカー選手のインサイドキック動作解 析を研究 1 と同一の被検者を対象とした。各被験者には、助走角度 0°で、2m 前方に置かれ たボールを、利き足の全力によるインサイドキックで行うよう指示した。キック動作は、蹴 り脚離地~ボールインパクトまでを撮影し解析した。結果として Groin pain 既往群と Control 群の角度および角速度の経時的変化のパターンは、蹴り脚離地からボールインパクトにかけ.

(2) て有意な主効果および交互作用はなかった。一方、股関節最大伸展時における Groin pain 既 往群の股関節外転角度がコントロール群と比較して小さく、ボールインパクト時における膝 関節屈曲角度は大きかった。また、ボールインパクト時における、既往群の股関節内転角速 度がコントロール群と比較して速く、伸展角速度は遅かった。加速期における Groin pain 既 往群の膝関節屈曲角度変位は、コントロール群と比較して小さかった。以上より Groin pain 既往歴のある大学男子サッカー選手は、効率的な運動連鎖によって下肢関節をスイングする ことが困難であったため、股関節の内転動作を速めてインサイドキックを行っていたことが 推測された。これより Groin pain 既往者の再発予防のためには、下肢関節の効率的な運動連 鎖を活用し、股関節の内転動作に依存させないインサイドキックを習得させる必要があると 考えられた。 研究 3 として Groin pain の既往歴をもつ大学生男子サッカー選手の筋硬度、インサイドキ ック動作、筋活動解析を研究 1 と同一の被検者を対象として行った。結果として蹴り脚の内 転筋群の筋活動には、有意な交互作用が認められた。大腿二頭筋、外腹斜筋、支持脚の大・ 中臀筋の筋活動は、局面ごとの有意な主効果が認められた。腹直筋の筋活動は、群間での有 意な主効果が認められた。相関分析の結果、長内転筋の筋硬度と内転筋活動の間には、加速 期に有意な負の相関関係が認められた。一方、バックスイング期やコッキング期の長内転筋 の筋硬度と内転筋活動の間に関係性は認められなかった。蹴り脚股関節角速度の分散分析の 結果、股関節の屈曲/伸展、内旋/外旋角速度は、局面ごとの有意な主効果が認められた。股 関節の内転/外転角速度は、有意な交互作用が認められた。以上より、キック動作中の鼠径 部へのストレスを防ぎ Groin pain の発生および再発を予防するためには、長内転筋の筋硬度 を下げるようなアプローチ、骨盤周囲筋の安定性獲得、効率的な運動連鎖による骨盤の引き 上げ、股関節内転運動に依存しないキック動作の習得などを行う必要があることが示唆され た。これらの新たな知見は、Groin pain の発生を防ぎ再発を予防のするための一助となりえ ると考えられる。今回の一連の研究成果は今まで原因不明とされていた Groin pain に対して の大きな示唆を投じた研究であるとともに、今後この方面のさらなる前向き研究が望まれる。 本論文は申請者が主体的に行った研究であり、また 11 月 22 日の公開審査会でも高い評価 を得た。したがって審査委員は全員一致で申請者高橋将氏が、博士(スポーツ科学)の学位 を授与するに十分値するものと認める。. 掲載論文 高橋 将, 川本 竜史, 加藤 駿太, 広瀬 統一, 福林 徹 : 鼠径部周辺痛既往歴者のインサイ ドキック動作解析と可動域測定. 日本臨床スポーツ医学会誌, 23 (3) : 528-537, 2015. 以 上.

(3)

参照

関連したドキュメント

こうして文化としての定位置を得た民俗芸能の研究に真の意味での画期が訪れる。それ

第4章では「鉄道駅改札口通過時における群集流動特性」として、鉄道駅改札口通過群集

論文題目 Analysis of Users’ Social Roles in Cyberspace and Application to Information

その結果と先行研究で使用された測定尺度を参考にして、動機構成要因および内容妥当性が担保

ERP)に注目し、 ERPのなかでも偏側性準備電位(lateralized readiness potential: LRP)と随伴陰性 変動(contingent

Tanisawa K, Ito T, Sun X, Cao ZB, Sakamoto S, Tanaka M, Higuchi M: Polygenic risk for hypertriglyceridemia is attenuated in Japanese men with high fitness levels.

水泳で生じる静水圧や体位の影響から心臓への負担が増大し、中等度強度負荷ではランニングに 比較して水泳で、より長時間にわたる心臓疲労が生じることが示唆された。(第