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県内大学生の結婚に対する意識

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(1)

第 23 巻 第 3 号 抜 刷 2011 年 8 月 発 行

県内大学生の結婚に対する意識

―― 性差と地域差の研究 ――

熊 谷 太 郎 曽 我 亘 由

(2)

県内大学生の結婚に対する意識

―― 性差と地域差の研究 ――

熊 谷 太 郎 曽 我 亘 由

近年,日本では少子化が進んでいる。その要因は様々であるが,特に未婚 化・晩婚化が少子化の要因として強いとみられる。そのため,少子化対策と して出産時における補助金制度や幼稚園や保育施設の整備などの既婚者向け の対策だけでなく,結婚するインセンティブを与えることも少子化対策とし て重要になる。愛媛県では,結婚支援センターを組織し,若者に出会いの場 を提供したり,セミナーを開いたりするなど結婚支援政策に力を注いでい る。本稿では,将来的に結婚するであろう愛媛県内の大学生を対象に,アン ケート調査を行い,結婚相手に何を求めるのかを分析する。また,性差や地 域差が存在するか否かを分析し,その要因を考察する。

近年,日本では少子化が進んでいると言われている。その要因としては,女 性の社会進出,男性の就業率や賃金,また社会的な選好の変化などが挙げられ ている。戦後間もない1950年の合計特殊出生率は3.65だった。1)戦後復興期に は減少するものの,1966年のひのえうまを除いて高度経済成長期は一貫して 上昇傾向にあった(表1)。第2次ベビーブーム中で出生数が最も多かった1973 年には,合計特殊出生率は2.17となった。しかし,高度経済成長期が終わり,

松山大学経済学部准教授

愛媛大学法文学部准教授

1)合計特殊出生率とは,15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものである。

(3)

愛媛県 愛媛県 0年 3. 4. 5年 1. 1. 0年 2. 2. 0年 1. 1. 0年 2. 2. 5年 1. 1. 5年 1. 1. 6年 1. 1. 0年 1. 1. 7年 1. 1. 5年 1. 1. 8年 1. 1. 0年 1. 1. 9年 1. 1.

表1 日本と愛媛県の合計特殊出生率の推移

(注)沖縄県については,15年から含まれている。

バブル経済が弾け,日本における合計特殊出生率は大幅に低下した(2009年 の合計特殊出生率は1.37だった。)。職場での男女平等を確保し,女性が差別 を受けずに,家庭と仕事が両立できるよう作られた男女雇用機会均等法が 1986年に施行され,以来,女性の社会進出が進んできているのも1つの要因 であるかもしれない。2)愛媛県の合計特殊出生率は全国よりも高い水準を維持し ているものの,全国と同様の傾向を観察することができる。

少子化が経済に与える影響として,

!

労働力人口が減少し,経済成長の妨げ

となる,

"

社会保障の現役世代の負担が大きくなる,などが考えられる。ま

た,社会的な影響としては,

!

親の過保護が進み,子供への干渉が過度にな

る,

"

子供どうしの交流機会が減り,コミュニケーション能力の養成が進まな

い,などが考えられる。そのため,政府や自治体は少子化対策に取り組み始め ている。政府は,高校の無償化や子ども手当といった制度を新たに導入し,子 育ての補助となる政策を実行している。また,特に都市部における保育施設の 不足問題を解決するために,幼保一体化の施設を創設しようとしている。愛媛

2)詳細は,厚生労働省による『平成21年版働く女性の実情』を参照。大学進学率が上昇 しているため,20歳代前後の労働力率は低下しているが,大学卒業後の女性については,

労働力率が上昇傾向にあることがわかる。

松山大学論集 第23巻 第3号

(4)

県では,世代育成支援対策推進法(平成15年7月16日法律第120号)に基づ き,平成17年度から5年間にわたって,『子どもがすこやかに成長し,安心し て子育てができ,地域が一体となって子育てをする』ということを目標とし て,「えひめ・未来・子育てプラン」を平成17年3月に策定し実施した。その 結果,保育所の定員数が増加し,地域子育てセンターが増設され,子育て学習 講座や理解講座が実施されるなどの成果が得られている。3)

愛媛県では全国に先駆けて2008年11月からえひめ結婚支援センターを開設 した。結婚支援センターでは,企業団体が

NPO

や市町等と連携しながら,未 婚の男女を対象として結婚支援イベントを行い,未婚の男女を引きあわせ,ま た交際をフォローすることによって,結婚を支援する事業を行っている。メル マガで結婚支援イベントの情報を発信し,より多くの人に出会いの場を提供し たり,セミナーを行うことによって,性別を越えた自分磨きの場を提供してい る。

国や愛媛県の取り組みの多くは,結婚支援センターを除いて,出産・育児が しやすい環境づくりの少子化対策が中心であり,対象者は既婚者である。愛媛 県内における合計特殊出生率は表1より2005年以降上昇傾向にある。ところ が,愛媛県では男女ともに各世代の未婚率が上昇しており,また婚姻件数も減 少傾向にある。4)これらの事実から,結婚すれば子どもを産み育てている家庭が 多いことがわかる。すなわち,県内における合計特殊出生率の低下は,有配偶 率(婚姻率)の低下が大きな要因であると考えることができる。5)したがって,

少子化対策として既婚者向けの対策だけではなく,未婚者が結婚をするような インセンティブを与え,結婚しやすい環境を整えるような政策を実施すること も重要となる。特に,若者が結婚に希望を持つことができるような環境を作っ ていくことが重要になってくると考えられる。

3)詳細は,愛媛県子育て支援課ホームページを参照。

4)詳細は,愛媛県保健福祉部生きがい推進局子育て支援課作成資料を参照。

5)有配偶率(婚姻率)とは,人口1,0人あたりの結婚件数のことである。

県内大学生の結婚に対する意識

(5)

遠藤など(1990a,1990b)や今井・森田(1996)は,大学生を対象に結婚 に関する意識調査を行っている。遠藤など(1990a)では,大学生の相性特性 を分析しており,特に男子学生の実態が女子学生の理想像と差があり,その項 目は多岐にわたっていることを明らかにしている。遠藤など(1990b)では,

『夫は仕事をし収入を得て,妻は家庭を守る』という旧来の役割分担意識は男 性のほうが強いことを明らかにした。また,夫婦間のコミュニケーションにつ いても男性のほうが『夫を上位に立たせたい』が女性よりも強いことがわかっ た。しかし,1990年時点では,収入と家事の完全な共同分担を男女ともに求 めておらず,大学生の結婚観に新しい傾向は求められていないことが明らかと なった。今井・森田(1996)は女子学生については男性に経済力を求めている ことを明らかにした。佐野ほか(2007)では,大学生を対象にアンケート調査 を行い,性役割志向と理想の結婚の間にどのような関係があるかを調べた。男 性は育児は積極的に行おうと考えているが,家事はしたくないと考えており,

結婚相手に家庭的な面を求める傾向があることを明らかにした。中井(2007)

では,立命館大学産業社会学部の女子学生を対象に結婚観を規定しているメカ ニズムを構造方程式モデルを用いて検証し,ライフコース観が結婚観と性役割 観を

!

ぐ媒介的な役割を果たしていることを明らかにした。また,望ましい結 婚相手に関する分布として,エリート志向よりも家事育児に協力的で,仕事の 継続を認める人を重視していることを明らかにした。三谷・赤井(2006)は高 校生を対象に意識調査を行い,性別役割分業については,男女ともに否定的で あり,男女共同参画の意識が浸透してきていることを明らかにしている。6)加 藤・柏木(2000)は,成人前期男性25人に結婚観に関するインタビューを行 い,

KJ

法を用いて結果を整理した。結果として,結婚観に関しては多様な考 えがあるものの,家事労働や育児を担ってくれる女性が理想であるという伝統 的な結婚観が残っていることが明らかとなった。これらの結果は,男性と女性

6)性別役割分業は,結婚後,夫は仕事,妻は家事・育児という役割を担うと定義されてい る。

松山大学論集 第23巻 第3号

(6)

の間には結婚観に差があることを明らかにしている。

本稿では,これから結婚する若者,特に愛媛県内で最も規模の大きな愛媛大 学と松山大学の文系学生を対象に,アンケート調査を行い,結婚相手にどのよ うなことを求めるのかを考察する。今回のアンケートでは,属性を顔,性格,

体型,学歴,家事(料理),そして所得に分類し,それぞれどの項目を結婚相 手に求めるかをコンジョイント分析と呼ばれる選択型実験を行い明らかにす る。最初に,データを愛媛県内出身者と愛媛県外出身者に分類し,条件付きロ ジットモデル(Conditional Logit Model : CL)により,県内出身者と県外出身 者で選好の差があるかどうかを調べる。さらに,愛媛県内の地域ごとに選好の 差があるかどうか,また性差はあるかどうかを調べる。7)最後に,明示的に選好 の多様性を表現できる混合ロジットモデル(Mixed Logit Model : ML)により,

愛媛県内の各地域内において,選好の差があるかどうかを調べ,考察する。

選択型実験とモデル

本研究で採用した選択型実験は,コンジョイント分析とよばれ,計量心理学 の分野で誕生した。その後はマーケティングや交通工学,環境経済学で発展・

応用してきた手法である。コンジョイント分析では,回答者に対して複数の選 択肢を提示し,それらに対する回答者の評価を観ることで,選択肢における相 対的な重要性を明らかにすることができる。1つ1つの選択肢を構成するもの を属性,属性がとりうる値のことを水準,そして各属性と各水準の組み合わせ として表現される選択肢をプロファイルと呼ぶ。このプロファイルの組み合わ せを回答者に提示し,最も望ましいものを選んでもらうという形式をとる。

選択型実験はランダム効用モデルという概念にに基づいて分析さている。回 答者

k

が選択肢

i

を選んだ時に得られるランダム効用関数を

7)北村・宮崎(29)は市町村データを用い,結婚に影響する要因を考察した。彼らの分 析では,都道府県格差を考量して,都市化の程度や男女比,就業状態などが結婚に与える 影響をしらべている。

県内大学生の結婚に対する意識

(7)

$

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"%

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"

"

*

$

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$

と表現する。すなわち,回答者の効用を実験者に観察可能な効用

%

)'と観察不 可能な誤差項の

#

)'に分解する。また,$)'*

# * "! ! %! " $

は選択肢を構成する

N

種類の属性を表している。一般的には

$

式のように属性の限界効用

"

*と掛 け合わせた線形の定式化が採用される。8)

McFadden(1

974)では,この誤差項に第一種極値分布を仮定することで,

回答者が

J

個の選択肢から

i

を選ぶ確率が,次の条件付きロジ ッ ト モ デ ル

(Conditional Logit model : CL)に従うことを示した。

#

'

" &,+ # %

'

$

!

(!"!

&,+ # %

(

$ %

しかしながら,CLでは

#

!選好の同質性(Homogeneous Preference)と

#

"無関係 な選択肢からの独立性(Independence from Irrelevant Alternatives : IIA)の制約的 な仮定が必要であることが知られている。9)

Revelt and Train(1

998)はこの2つ の制約的な仮定を緩和する混合ロジットモデル(Mixed Logit model : ML)を提 案した。MLでは,回答者

k

が選択肢

i

を選択したときのランダム効用関数を

$

)'

"%

)'

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$!#

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"!

*"!

"

"

)*

$

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! #

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&

8)限界効用は「真の」限界効用と,誤差項の分散の逆数に比例するスケールパラメータと の掛け算の項として,合わせて推定される。本研究では,スケールパラメータを1に基準 化することにした。この仮定は誤差項の分散が一定であることを意味している。詳細は Train(23)を参照。

9)IIAの問題点として,ある2つの選択肢の選択確率の比は,その一方の選択肢と完全に 代替的な新たな選択肢が加わった後でも一定であることを意味している。代表的な例とし て,赤バス青バス問題を引き起こすことが知られている。また,選好の同質性を仮定して いるCLは,推定される効用パラメータは,すべての人で同一の定数となる。すなわち,

各属性のある水準から得られる部分効用が個人間やグループ間を通して同一であることを 意味する。結婚相手に望む条件は個人間で異なると予想されるため,選好の同質性はかな り制約的な仮定と考えることができる。

松山大学論集 第23巻 第3号

(8)

と表す。ただし,#*(は独立同一に第一種極値分布に従うと仮定する。

!

式よ り,個人で異なる選好を持つということがモデル化されている。また

ML

で は,回答者

k

の選択確率を

"

*(

!#"

,!

#

&-+ " $

(

#

!

)!!!

&-+ " $

)

# ' " " $ ! # % " "

と定式化する。

"

式で,Tは選択型実験の反復回数を表している。通常の選 択型実験では,同じ回答者に数回の反復質問を行う。また,f は

"

の確率密度

関数,

!

"

の平均や分散などのパラメータを表している。

選択肢はプロファイルと呼ばれており,適切な実験計画法によって,属性の 相関を完全に削除することができる。本研究では,主効果直交デザインを用い ている。これにより,多重共線性を完全に回避することができるという長所が ある。属性の種類とレベルは通常,複数設定される。本研究では,以下の表2 で示すような属性の設定を行っている。なお,選択型実験では通常,価格属性 を設定する。しかし,本研究では,価格を仮想的な相手の所得(年収)として 設定した。

主効果直交デザインによって,25プロファイルを作成し,そこからランダ ムに選ばれた2つのプロファイルと,どちらも結婚相手として選択しないを意

水準1 水準2 水準3 水準4

Level1 Level2 Level3

性格 明るく優しい 自分勝手だが明るい 優しいが暗い 自分勝手で暗い

体型 細め 普通 太め

学歴 大卒(一流大学) 大卒(普通の大学) 高卒

料理 上手 下手

所得 1,0万円 0万円 0万円 表2 属性の種類とレベル

県内大学生の結婚に対する意識

(9)

属性 人物A 人物B

Level1 Level1

性格 自分勝手だが明るい 優しいが暗い

体型 普通 細め どちらも

学歴 大卒(一流大学) 高卒 選択しない

料理 上手 下手

所得 0万円 0万円 表3 選択セットの例

味する,「選択しない」を組み合わせた選択セットを作成した。以下の表3に,

選択セットの例を示す。

上記のような選択セットを回答者に提示し,最も望ましい仮想的な相手を選 択してもらうこととした。なお,回答者には8つの選択セットを提示して反復 質問(!

!!

)を行っている。表3は選択セットの一例である。

調

本研究におけるデータは2010年7月に,愛媛大学と松山大学の講義中に収 集した。0)サンプル数は,愛媛大学と松山大学合計で716人である。

3. 1 記述統計量

表4に本調査の記述統計量を示す。1)

記述統計量を概観すると,アンケートの回答者の出身地は県内外に散らばっ ており,かつ県内でも東予地方・中予地方・南予地方とばらつきが見られる。

0)愛媛大学における講義は法文学部の情報産業論,松山大学における講義は,経済学部の 1回生対象のミクロ経済学入門,2回生対象の経済政策論!と経済基礎演習,3回生以上 対象の公共経済学,そしてそれぞれ3回生と4回生対象の演習"と演習#,経営学部の経 済学!である。

1)単位は人数である。また,無回答があるため,総回答数と一致しない項目がある。

松山大学論集 第23巻 第3号

(10)

居住地域 愛媛県外

愛媛県内

性別(全体) 男性

女性

県内地域 東予

中予

南予

性別(地域別) 県外男性

県外女性

東予男性

東予女性

中予男性

中予女性

南予男性

南予女性

大学 愛媛大学

松山大学

学年 1回生

2回生

3回生

4回生

5回生

付き合った経験 ある

ない

交際経験あり 県外男性

(地域別) 県外女性

東予男性

東予女性

中予男性

中予女性

南予男性

南予女性

交際経験なし 県外男性

(地域別) 県外女性

東予男性

東予女性

中予男性

中予女性

南予男性

南予女性

表4 記述統計量

県内大学生の結婚に対する意識

(11)

また,これまで異性と付き合った経験も結婚観に対して影響を与えると考えら れるが,異性との交際経験にもばらつきが見られる。そのため,結婚に対する 価値観がばらつく可能性がある。

分析において,選択肢特有定数項(Alternative Specific Constant : ASC)を導 入している。分析では選択肢1と2に導入されている。本研究の設定では,

ASC

が正に有意に推定された場合,選択肢1,もしくは選択肢2を好み,負に有意 に推定された場合,その選択肢を選択しない傾向があると解釈できる。また,

ASC

1と

ASC

2の両方が負で推定されている場合,結婚に対して積極的では ないと解釈できる。

推定方法と推定結果

4. 1 推定方法

分析は,次のように実施した。最初に,

!

愛媛県内出身の学生のときに1を とるダミー変数(以下,県内ダミー)と属性変数との積の項(以下,クロス項)

を追加することで,県内出身の学生と県外出身の学生との間に,結婚相手に求 める属性に差があるかについての検証を行った。次に,

"

男性のときに1をと るダミー変数(以下,男性ダミー)と属性変数とのクロス項を追加することで,

男子学生と女子学生との間に,結婚相手に求める属性に差があるかについての 検証を行った。さらに,

#

愛媛県出身の男性をプールしたデータ,

$

愛媛県出 身の女性をプールしたデータの分析を実施した。

#

$

では,東予地方出身の ときに1をとるダミー変数(以下,東予ダミー)と属性変数とのクロス項で,

南予地方出身のときに1をとるダミー変数(以下,南予ダミー)と属性変数と のクロス項で分析を実施した。その結果,東予地方出身者と中予地方出身者の 結婚相手に求める属性の差,南予地方出身者と中予地方出身者の結婚相手に求 める属性の差が明らかとなる。2)

2)今回の分析では,男女ともに中予地方出身者が多かったため,中予地方出身者とその他 の地方出身者に焦点を当てた。

松山大学論集 第23巻 第3号

(12)

仮に各地域間で差があるとは言えないという結果になったとしても,地域内 で選好に多様性があるかどうか,また選好に多様性があったとすると,どの属 性に関して多様性があるかは上述の分析では明らかにならない。選好の多様性 があるかどうかを明らかにするためには,それぞれの地域における

ML

を分析 する必要がある。したがって,各地域で

ML

を分析し,どの属性に多様性があ るかを検証する。そして,地域間でどのような特色が見られるかを考察する。

4. 2 推定結果

4. 2. 1 県内外の差と男女の差

県内出身者と県外出身者の差の推定結果は表5にまとめられている。クロス 項については,

Level

3と上手が負で有意に,自分勝手だが明るいについては 正で有意に推定されている。これは,県外出身者のほうが顔が良くて,料理が できる異性を好む傾向にあり,県内出身者のほうが自分勝手だとしても明るい 女性を好む傾向にあると解釈できる。県内出身者のほうが県外出身者よりも自 分勝手だが明るい女性を好むのは,県民性から来るかもしれない。愛媛県民は 一般的には土地柄,陽気な県民性を持ち合わせていると言われており,少々自 分勝手でも結婚相手に明るさを求めるのかもしれない。料理について県外出身 者のほうが好む傾向にあるのは,現在一人暮らしをしていて,自炊をする大変 さを直に感じていることが大きな要因であると考えることができる。

男女の差についての推定結果は表6に示されている。男性と女性が結婚相手 に求める傾向にかなりの差が見られる。男性が女性よりも有意に選好する属性

として,

Level

3,優しいが暗い,そして上手が挙げられる。男性は基本的に外

見が良く,料理ができ,特に優しい女性を好む傾向があることがわかる。これ は,料理は女性がするものであり,男性に従う女性を好んでいることが要因か もしれない。また,結婚相手に顔の良さを要求することは,プライドの高さが その要因になっているかもしれない。女性が男性よりも有意に選好する属性と して,明るく優しい,自分勝手だが明るい,大卒(一流大学),大卒(普通の 県内大学生の結婚に対する意識

(13)

Coefficient t−value P-value

Level2 1. 3. 0.

Level2×県内ダミー −0. −1. 0.

Level3 1. 5. 0.

Level3×県内ダミー −0. −2. 0.

明るく優しい 2. 8. 0. 明るく優しい×県内ダミー 0. 0. 0. 自分勝手だが明るい 1. 7. 0. 自分勝手だが明るい×県内ダミー 0. 2. 0. 優しいが暗い 1. 0. 0. 優しいが暗い×県内ダミー −0. −0. 0. 細め 0. 7. 0. 細め×県内ダミー 0. 0. 0. 普通 0. 7. 0. 普通×県内ダミー 0. 0. 0. 大卒(一流大学) 0. 1. 0. 大卒(一流大学)×県内ダミー 0. 1. 0. 大卒(普通の大学) 0. 3. 0. 大卒(普通の大学)×県内ダミー −0. −0. 0. 上手 0. 8. 0. 上手×県内ダミー −0. −1. 0. 所得 0. 8. 0. 所得×県内ダミー 0. 0. 0.

ASC1 −4. −27. 0.

ASC2 −4. −26. 0.

No. of Obs.

Log-Likelihood −31.

表5 県内出身者と県外出身者の差の推定結果 松山大学論集 第23巻 第3号

(14)

Coefficient t−value P-value

Level2 1. 2. 0.

Level2×男性ダミー 0. 1. 0.

Level3 1. 0. 0.

Level3×男性ダミー 0. 5. 0.

明るく優しい 3. 1. 0. 明るく優しい×男性ダミー −0. −1. 0. 自分勝手だが明るい 1. 1. 0. 自分勝手だが明るい×男性ダミー −0. −1. 0. 優しいが暗い 1. 9. 0. 優しいが暗い×男性ダミー 0. 1. 0. 細め 0. 7. 0. 細め×男性ダミー 0. 1. 0. 普通 0. 7. 0. 普通×男性ダミー 0. 1. 0. 大卒(一流大学) 0. 6. 0. 大卒(一流大学)×男性ダミー −0. −3. 0. 大卒(普通の大学) 0. 6. 0. 大卒(普通の大学)×男性ダミー −0. −3. 0. 上手 0. 3. 0. 上手×男性ダミー 0. 5. 0. 所得 0. 2. 0. 所得×男性ダミー −0. −2. 0.

ASC1 −4. −27. 0.

ASC2 −4. −26. 0.

No. of Obs.

Log-Likelihood −37.

表6 性別の差の推定結果

県内大学生の結婚に対する意識

(15)

大学),そして所得が挙げられる。女性は男性と違い,内面と学歴を求める傾 向にある。結婚したら女性は家庭に入り,専業主婦になるという意識が強いの かもしれない。さらに,学歴が高ければ比較的賃金の高い企業に勤めることが 可能であるというイメージを持っているかもしれない。もう1つの可能性とし て,女性が学歴を求めるというよりも,男性が極端に学歴を求めないという結 果の現れかもしれない。自分よりも良い大学を卒業している結婚相手に対し て,コンプレックスを持つのかもしれない。

以上の結果をまとめると,男性は外見が優れている女性を求める傾向にあ り,女性は内面とステータスを求める傾向にあることがわかった。以上のこと から,相手に求めることに対して,県内外の差よりも男女差のほうが大きいこ とがわかった。

男性と女性にデータを分けた場合,県内出身者と県外出身者に差はあるのだ ろうか。表7で推定結果をまとめている。男性については県内出身者が県外出 身者に比べて,自分勝手だが明るい女性を選好する傾向にある。県外出身者は 県内出身者とは違い,多くの友人や知人がいるとは限らない。また,県外出身 であることから,なにか問題があったときに実家にすぐに帰ることは難しいか もしれず,直接相談するとしたら大学やバイト先などの友人知人となるだろ う。そのため,県外出身の男性のほうがわがままな女性を避ける傾向にあるか もしれない。一方,女性については料理に差があり,県外出身の女性のほう が,結婚相手に料理を求める傾向にある。県外出身者は一人暮らしをしてお り,料理を準備する大変さを身を持って実感しているのかもしれない。した がって,県外出身の女性のほうが結婚相手に料理を求めると考えられる。

以上の結果より,県内出身者と県外出身者よりも,男女という性差のほうが 結婚相手に求める属性の差が大きいことがわかった。以下では,データを県内 出身者別の男女別にした分析結果を整理し,考察する。

松山大学論集 第23巻 第3号

(16)

女性全体 男性全体

Coefficient t-value P-value Coefficient t-value P-value Level2 1. 6.0 0. 1. 2.0 0. Level2×県内ダミー −0. −0.0 0. −0. −1.0 0. Level3 1. 5.0 0. 2. 4.0 0. Level3×県内ダミー −0. −0.0 0. −0. −1.0 0. 明るく優しい 3. 1.0 0. 2. 5.0 0. 明るく優しい×県内ダミー −0. −0.0 0. 0. 0.0 0. 自分勝手だが明るい 1. 5.0 0. 1. 5.0 0. 自分勝手だが明るい×県内ダミー 0. 1.0 0. 0. 2.0 0. 優しいが暗い 1. 4.0 0. 1. 9.0 0. 優しいが暗い×県内ダミー 0. 0.0 0. −0. −0.0 0. 細め 0. 2.0 0. 1. 7.0 0. 細め×県内ダミー 0. 1.0 0. 0. 0.0 0. 普通 0. 2.0 0. 1. 7.0 0. 普通×県内ダミー 0. 1.0 0. −0. −0.0 0. 大卒(一流大学) 0. 2.0 0. 0. 0.0 0. 大卒(一流大学)×県内ダミー 0. 0.0 0. 0. 0.0 0. 大卒(普通の大学) 0. 2.0 0. 0. 2.0 0. 大卒(普通の大学)×県内ダミー 0. 0.0 0. −0. −1.0 0. 上手 0. 4.0 0. 0. 7.0 0. 上手×県内ダミー −0. −2.0 0. 0. 0.0 0. 所得 0. 6.0 0. 0. 5.0 0. 所得×県内ダミー −0. −0.0 0. 0. 0.0 0. ASC1 −5. −16.0 0. −4. −21.0 0. ASC2 −5. −15.0 0. −4. −21.0 0.

No. of Obs.

Log-Likelihood −16. −26.

表7 男女別の県内外の差の推定結果

県内大学生の結婚に対する意識

(17)

4. 2. 2 県内男性の考察

本節では,愛媛県内3つの地域の男性の結婚相手に求める選好の差,特に東 予地方と中予地方,中予地方と南予地方の選好に差があるかどうかについて考 察する。推定結果は表8にまとめられている。最初に東予出身男性(以下,東 予男性)と中予出身男性(以下,中予男性)を比較する。中予男性は東予男性 と比べると,結婚相手に対して自分の好みの顔を求め,かつ料理の上手な女性 を求める傾向にある。東予地方は祭りが盛んであり,祭りの時期になると祭り 一色となる。そのため,祭りに対する理解が深い女性を求める傾向にあるかも しれず,顔よりも理解度を求めているかもしれない。また,中予は松山市が中 心であり,大街道や銀天街,エミフル松前といったように,ファッション関係 の店が県内では最も多い。そのため,男性もおしゃれを意識することがもとも と根づいているかもしれず,そのため東予男性よりも顔を求める傾向にあるの かもしれない。

次に,中予出身男性と南予出身男性(以下,南予男性)を比較してみよう。

南予男性は中予男性と比べて,普通程度の大学を卒業している女性を強く求め る傾向にある。中予には愛媛大学,松山大学,東雲大学,聖カタリナ大学など 多くの高等教育機関が集中しているが,南予には高等教育機関は少ない。すな わち,中予男性の観点から,周囲の多くの女性は大学に進学している可能性が 高く,大学卒業が身近なのかもしれない。そのため,南予男性のほうが中予男 性よりも大卒(普通の大学)をより強く選好するのかもしれない。

4. 2. 3 県内女性の考察

男性のケースと同様に,愛媛県内の3つの地域の女性の結婚相手に対する選 好の差を考察する。東予出身女性(以下,東予女性)と中予出身女性(以下,

中予女性)には,結婚相手に求める属性に関する選好に差があるとは言えない という結果となった。東予女性と中予女性の結婚相手に対する選好は類似して いるのかもしれない。中予女性と南予出身女性(以下,南予女性)には選好の 松山大学論集 第23巻 第3号

参照

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