教科・領域教育専攻 芸術系(美術)コース 徳 本 智 之
作品の要旨 1 .空間処理
見る人の視点の揺れ動きを誘うために、宇 宙空間のようにどこまでも広がり、つかみどこ
ろがなく、視点が定まらない画面を作ることに 重点を置いた。また、画面上の形態を引き立た せるために、空の色とはかけ離れた色を使うこ とにした。一色で塗るのではなく二色(パーマ ネントイエローライトとチタニウムホワイト、
ジンクホワイト)を使い、微妙な変化を付ける ことにより背景自体に奥行きがでるようにし た。また、筆跡を残さないためにも一度に厚く 塗るのではなく、透明色や半透明色にメディウ ム、テレビンを混ぜて粘度を低くしたもので 塗った。それにより、下にある色が透けて見え
るので、塗り重ねた絵の具の層による色の変化 も付けることができた。修了作品は図lの作品 の背景よりも使われている色の数が少ないため に形態と背景の関係性がなく、別々のものとし て対立しているように感じられた。そこで、背 景と形態の相関を確かなものにするために、動 物や植物の特徴を背景にも目立たないように描
き込むことでこの問題を解決した。
2.画面上の形態
動物(主に昆虫)や植物の色や形、模様を 用いて作った、数種類の生き物のハイブリット である。例を挙げると、形は茸と海牛を組み合 わせ、模様や色は木の実と昆虫から選んでい
る。このように動物や植物の特徴からヒントを
空
指 導 教 員 西 国 威 汎
得て活用することで、画面上で、浮遊している 感じを表現できるのではないかと考えたからで ある。形態の存在感を出すことよりも、背景を 生かすための要素として描いているので、立体 感を出すための陰影をほとんど付けなかった。
また、形態の重なりを極力減らすことで、前と 後ろといった空間概念を作り出さないようにし た。そのぶん単調な画面にならないように、画 面全体に大小様々な形態を散らばったように構 成することで抑揚を作り出した。形態の大小に より遠近感が出るのを防ぐために、小さいもの には背景の色とのコントラストによって目立つ ように暗い色を選んだ。
図I super space油彩キャンパス 2005年
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制作手順
パネルに薄く溶いた白色の水性ペンキを塗り 重ねて木目を消し、空間処理で説明した方法で 画面を作ったo 次に、制作に入る前にスケッチ ブックでエスキースをした形態を鉛筆でパネル に描き込む。それと同時に、画面の雰囲気や全 体のバランスを考え形態の構造を整理した。
ノて一ミリオンをテレビンで薄めに溶き、形を描 き起こしていく o パーミリオンを使用したのは 形態に暖かみを持たせるためであるo (図2) 形態を描き足すときは他の形態との位置関係を 考え大きさや色を決めていく。制作の進み具合 が画面の中で偏らないように大きな形態から位 置と色や模様を決めた後に、小さい形態を配置
し色を付けていくo (図3、4)全ての形態に 色を付けて、形態同士の位置関係を確認する。
また、色ムラをなくし背景との表現に差を付け るために塗り重ねた。そうすることで、背景と の差ばかりではなく、装飾性の対比効果による 形態同士の質感の違いも表現することができ た。色を塗り重ねるうちに形態の輪郭が歪んで
しまったので、補正するために背景の色を塗り 直し、小さい形態に動物や植物の模様を描き足
していく o (図5)全体がまとまってから背景 にも動物や植物の特徴を描き込み、全体のバラ ンスや雰囲気を崩さないように画面を処理し完 成させた。
形態のエスキース
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