中学校における別室登校の在り方
‑別室登校経験者への面接調査を通して一
面接調査の中で何人もの生徒が「本当は教室へ 行きたかったJと回答しているように、表面上 は教室へ行くことを拒否しているように見える が、実は行きたいという安おちを内包している。
別室は、教室に対する回避と接近という相反 する感情を抱える葛藤の場である。そこが学校 の内部にあるために教室復帰への圧力を受けや すく別室登校生徒の態度は頑なになりがちであ るが、実は「教室へ行きたしリという気持ちの 方が強いからこそ登校しているのだろう。
別室登校生徒は不登校経験者と未経験者(上 昇型と下降型)に分けられる。この2つのタイ プの違いによって教師の対応や謝面は変わって くるが、面接調査の結果からはこのタイプの違 いによる大きな差は見られず、共通したものの
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方法 方が多かった。中学生時代に別室登校を経験し、中学卒業後 別室登校は教室ヘ帰るためのステップ。として 学 校 教 育 専 攻
教 育 臨 床 コ ー ス 藤 田 有 子
1 問題と目的
不登校児童生徒の割合が増え続けている現在、
不登校を
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血上するための様々な対策が行われて いるが、そのひとつとして教室には行けなくて も登校できる部屋を用意するという試みが行わ れている。その部屋とは保健室、相談室、空き 教室等であるが、近年校内にある適応指導教室 といった機能を持つ別室登校も出現してきた。筆者は校内適応指導教室的機能を持つ別室の ある中学校で、心の教室相談員として別室登校 生徒に関わってきた。その経験から、中学校に おける別室登校の在り方と意義を明確にする必 要を感じ、別室登校経験者の視点によって考察
したいと考えた。
指導教官 山 下 一 夫
2""3年経過した人たちに調査的面接を行った。 考えられ、別室登校が長期化することに関して
対象は、別室登校時に筆者が直接関わり、当時 は批判的な見方をされがちである。別室に留ま のことを尋ねてもあまり侵襲的にならないであ
ろうと思われる7人である。
X+4年7月""8月に、一回2時間程度の面接 を実施した。
3 面接調査の結果と考察 (1)別室登校の特徴
別室登校生徒たちは「学校へは行きたいが、
学級(教萄へは行けない」という状態にある。
ることに対しては、後で述べるように無条件に 肯定できるものでもないが、それだけの時聞が 必要なこともあり、数年間不登校・別室登校を 続けた後に順調に高校生活を送っている例もあ る。
(2)別室登校の意義
面接調査を行った人たち全員が、「こういう 部屋があったことで、学校に登校で、きて良かっ た」と答えている。そこで別室登校の意義をま
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とめると次のようなことが考えられる。①同じ 悩みを持つ仲間との出会い、②人間関係のつま ずきからの回復、@激室ではできない体験。
別室登校生徒が1人ということも考えられる が、多くの場合1人の別室登校を認めると人数 が増えて、少人数とはいえ複数人の別室登校生 徒がいることになる。そこでは、その複数人の 仲間関係により、集団精神療法的な作用が働く
ことがある。
面接調査の結果においても、別室登校をして 良かった点としてそうした仲間関係を挙げる人 が多かった。別室を担当する者は、集団精神療 法的の治癒的因子が働くような仲間作りを進め ることを念頭において、生徒たちと関わる必要 がある。
別室登校生徒の中にはコミュニケーションを 図ることが難しい生徒も多いが、会話だけでな く共に作業をすることや書くこと等でもその生 徒の心情を察することはできる。そのようにし て自分のことをわかってもらえたという体験を することで、徐々に意思表示ができるようにな
り、他人との信頼関係を結ぶ基となる。
少人数であることや時間割の自由が利くとい う別室の特徴を生かし、様々な体験活動を取り 入れていくことも考えられる。例えば重度障害 者グループとの交流や、障害児学級との交流授 業などは、別室登校生徒たちの心に深く刻まれ ていることが面接調査からも伺える。そうした 活動をする際に重要なことは、①生徒の前向き な欲求に沿ったもので、あること、②生徒の自主 性を尊重し、強制しないこと、③さらにその活 動が、何かの役に立ったり喜んでもらえる人が いるようなことだと、その体験は生徒たちの心 を豊かにし、自信を持つきっかけにもなるだ、ろ
つ
。
( 3 )
別室登校の課題別室登校経験者の立場から問題点として挙げ られたのは、次のようなことである。①引け目・
疎外感を感じる、②濃い人間関係からくる悩み、
③激科学習が充分にはできない、@潟
J I
室登校状 況への慣れからくる問題。別室が居心地の良い場所として存在すること は大切であるが、別室登校は最終目的ではなく いずれ教室や社会に出て行かなければならない。
別室登校生徒自身が引け目を感じることは、彼 らが別室から脱出するためにはある程度必要で ある。しかし、周囲の理解を得ることは必要で、
実際に疎外してしまうことがあってはならない。
自習中心になりがちな別室登校では、成績は 下がる傾向にある。学習権の保証は必要で、学校 としてはできる限りの援助をするべきだが、別 室登校生徒たちにとっては成績よりも人間関係 におけるつまずきから回復することの方が重要 である。
教師の対応に対しては「本当は教室へ行きた いのだということをわかって欲ししリ 「強制す るのではなく、自ら気付くまで待って欲ししり
「教室へ行きやすいような雰囲気を作って欲し い」等の意見が出された。別室担当者に対しては、
親しみゃすく自分たちと同じような目線で関わ ることが求められている。別室担当者は、その 立場の暖昧さに葛藤や不安を感じることが多い。
しかしそれは別室登校生徒たちの不安とも重な るものであり、共に揺れながら状況に応じて 様々な役割を演じる柔軟性が必要である。
直接別室登校生徒に関わる担当者と、担任や その他の教師、スクールカウンセラー等がそれ ぞれ役割分担しながら連携を図り、別室登校生 徒が少しーでも教室へ行きやすい環境を作ること が大切である。
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