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循環器病の診断と治療に関するガイドライン (2011 年度合同研究班報告 ) ダイジェスト版 肥大型心筋症の診療に関するガイドライン (2012 年改訂版 ) Guidelines for Diagnosis and Treatment of Patients with Hypertrophic C

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【ダイジェスト版】

肥大型心筋症の診療に関するガイドライン

(2012年改訂版)

Guidelines for Diagnosis and Treatment of Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy (JCS 2012)

合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本小児循環器学会,日本心血管インターベンション学 会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会,日本心電学会 班 長 土 居 義 典 高知大学老年病科循環器科 班 員 市 田 蕗 子 富山大学小児科 川 合 宏 哉 神戸大学大学院医学研究科内科学講 座循環器内科学分野 川 名 正 敏 東京女子医科大学附属青山病院循環 器内科 佐 野 俊 二 岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓 血管外科 高 山 守 正 榊原記念病院循環器内科 近 森 大志郎 東京医科大学病院循環器内科 鄭   忠 和 和温療法研究所 中 谷   敏 大阪大学大学院医学系研究科保健学 専攻機能診断科学講座 萩 原 誠 久 東京女子医科大学循環器内科 濱 田 希 臣 市立宇和島病院内科 増 山   理 兵庫医科大学循環器内科 協力員 阿 南 隆一郎 川内市医師会立市民病院循環器内科 稲 井   慶 東京女子医科大学心臓病センター循 環器小児科 北 岡 裕 章 高知大学老年病科循環器科 久 保   亨 高知大学老年病科循環器科 志 賀   剛 東京女子医科大学循環器内科 西 川 俊 郎 東京女子医科大学病理診断科 南   雄一郎 東京女子医科大学循環器内科 外部評価委員 北 畠   顕 枚岡病院 木 原 康 樹 広島大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学 木 村 彰 方 東京医科歯科大学難治疾患研究所分 子病態分野 古 賀 義 則 医療法人社団誠心会萩原中央病院 藤 原 久 義 兵庫県立尼崎病院 吉 川 純 一 西宮渡辺心臓・血管センター (構成員の所属は2012年7月現在)

目  次

改訂にあたって……… 2 Ⅰ.病態……… 3 1. 定義と基本病態 ……… 3 2. 成因 ……… 4 3. 病態生理と血行動態 ……… 4 4. 予後 ……… 4 Ⅱ.診断……… 5 1. 自覚症状・身体所見 ……… 6 2. 評価法 ……… 6 3. 診断のフローチャート ……… 8 4. 小児における肥大型心筋症の診断 ………10 Ⅲ.治 療………11 1. 日常生活の管理 ………11 2. 薬物療法 ………13 3. 非薬物療法 ………15 4. 小児における肥大型心筋症の管理と治療 ………16 (無断転載を禁ずる)

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改訂にあたって

  肥 大 型 心 筋 症(hypertrophic cardiomyopathy: HCM) の診断・治療は専門性の高い領域であるが,臨床の現場 において診療にあたる機会は少なくない.しかしHCM の診断・治療,特に治療に関してはエビデンスが乏しい のも事実である.そこで日本循環器学会は2002年に肥 大型心筋症の診療に関するガイドライン(班長吉川純 一)を発表した.その後5年間の新しい知見を加えて, 2007年にはガイドラインの改訂(班長土居義典)がな され,日常診療で活用されてきた.その後さらに5年が 経 過 し, そ の 間 にAHA(American Heart Association) およびESC(European Society of Cardiology)による心 筋症に関する新しい提言もなされたため,現時点での我 が国のHCMの定義を再確認するとともにさらに新しい 知見を加えて再改訂を行うこととなった.  HCMの診断・治療に関してはエビデンスが少ないた め,今回の改訂版においても我が国のデータだけではな く,欧米からのデータを用いるに至ったところも多々あ る.一方,初版から10年が経過し新しい臨床データが 確実に蓄積してきたことも事実である.まず本疾患の新 規病因遺伝子変異もさらに数多く報告されてきた.また HCM様の心肥大を呈する疾患,例えばFabry病など, 疾患によっては治療の異なる疾患が存在しているため, それらをHCMと鑑別することの重要性も認識されるよ うになった.さらに画像診断,なかでも心臓MRIの臨 床応用が進み,とくにガドリニウム遅延造影の臨床的意 義についての理解が進んだ.またハイリスク患者の危険 因子についても新しい認識がなされている.以上のよう なデータに加えて,今回の改訂版では,非薬物治療にデ バイス治療の項目を設け,これまでのペースメーカ治療 以外に,植込み型除細動器や心臓再同期療法による治療 に つ い て も 追 記 し た. ま た 経 皮 的 中 隔 心 筋 焼 灼 術 (PTSMA)についても中長期予後のデータを追加した. 今回も,この領域のエキスパートの委員間で慎重に討議 を行い,さらに外部評価委員のコメントもいただいて, 実際の臨床現場で活用していただけるガイドラインの作 成を目指した.本ガイドラインを日常診療に役立ててい ただければ幸甚である.  なお,今回のガイドライン作成にあたっては診断法お よび治療法の適応に関する推奨基準として,以下のクラ ス分類及びエビデンスレベル表示を用いた. クラス分類  クラスⅠ:手技,治療が有効,有用であるというエビ デンスがあるか,あるいは見解が広く一致 している.  クラスⅡ:手技,治療が有効性,有用性に関するエビ デンスあるいは見解が一致していない.     Ⅱa:エビデンス,見解から有用,有効である可 能性が高い.    Ⅱb:エビデンス,見解から有用性,有効性がそ れほど確立されていない.  クラスⅢ:手技,治療が有効,有用でなく,時に有害 であるとのエビデンスがあるか,あるいは 見解が広く一致している. エビデンスレベル  レベルA:複数の無作為介入臨床試験または,メタ解 析で実証されたもの.  レベルB:単一の無作為介入臨床試験または,大規模 な無作為介入でない臨床試験で実証された もの.  レベルC:専門家及び/または,小規模臨床試験(後 向き試験及び登録を含む)で意見が一致し たもの. 【略 語】 HCM:Hypertrophic cardiomyopathy

HOCM:Hypertrophic obstructive cardiomyopathy SAM:Systolic anterior motion

MR:Mitral regurgitation

ICD:Implantable cardioverter defibrillator

PTSMA:Perctaneous transluminal septal myocardial ablation

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病態

1

定義と基本病態

1

定義と分類

 心筋症とは,臨床的に,弁膜症・高血圧などの心筋因 子以外の原因がなく,心筋そのものの障害により心機能 異常を来たす疾患であり,肥大型心筋症HCMは,左心 室ないし右心室の肥大を呈する病態と定義される.  WHO/ISFCの1980年の提案では心筋症は“原因不明 な心筋疾患”と定義されたが,その後病因遺伝子の検索・ 確定が進み,次々とサルコメア蛋白の異常が認められ, 1995年の改訂では“原因不明な”とする説明が削除さ れ“心機能障害を伴う心筋疾患”と改められた.  心筋症の分類についても病因の解明がすすめば将来的 には病因分類が採用されると思われる.しかしこれまで の臨床病態に基づく分類が定着していることもあり, 1995年の提案でも拡張型dilated,肥大型hypertrophic, 拘束型restrictiveの分類はそのまま残され,新たに不整 脈源性(催不整脈性)右室心筋症 arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathyと 分 類 不 能 の 心 筋 症 unclassified cardiomyopathyがつけ加えられた(表1).  一方“原因または全身疾患との関連が明らかな心筋疾 患”については特定心筋症specific cardiomyopathyとさ れ「二次性」あるいは「続発性」という名称は用いられ なくなった.特定心筋症の中には虚血性,弁膜性,高血 圧性,炎症性(心筋炎),代謝性,過敏・中毒性,周産 期心筋症や,神経・筋疾患,膠原病などの全身性疾患に 伴う心筋症が含められている.

 2006年にAHA(American Heart Association)が心筋症

の定義と分類に関する新しい提言を行っている.これに よれば,心筋症とは,「通常不適切な心室の肥大や拡大 を呈するような心筋の器質的あるいは電気的異常を有す る多様な疾患群」であり,「その原因は多岐にわたるが し ば し ば 遺 伝 性 」 で あ る. こ れ に 対 し て2008年 European Society of Cardiology(ESC)はWHO/ISFC分類 を改訂し,心筋症を「心筋に構造的,機能的異常をきた す心筋障害であり,この障害を説明できるような冠動脈 疾患,高血圧,弁膜疾患,先天性心疾患を有さないもの」 と定義した.  分子遺伝学の進歩により,多くのHCM関連遺伝子が 明らかになり,病因は複雑となってきている.前述の AHAおよびESCによる心筋症に関する新しい提言もふ まえて,本ガイドラインでは,HCMの定義は従来のも の(1995年WHO/ISFCの提言)を踏襲し,サルコメア 関連遺伝子等に病因変異が同定されている場合,また, 可能な限り評価を行い蓄積疾患や心臓外病変を有する全 身疾患などの原因がみられない場合をHCMとする.こ れに対し,蓄積疾患や心臓外病変を有する全身疾患に伴 う心肥大については,肥大型心筋症様の病態を呈する疾 患として区別する.原因によっては特別な治療法が奏効 する可能性があることに留意すべきである.HCMおよ び肥大型心筋症様の病態を呈する類似疾患について病因 からの分類を表2に示す.

2

肥大型心筋症の基本病態

 厚生労働省特発性心筋症調査研究班によって2005年 に心筋症・診断の手引が全面改訂された.このなかで HCMの基本病態は表3のように定義されている.病態 生理の特徴は左室の伸展異常による左室流入障害である が,拘束型心筋症との混同をさけるために,「心肥大に 基づく左室拡張能低下」が基本病態とされている.  HCMの分類については従来,左室流出路の狭窄の有 無により閉塞性と非閉塞性の2型に分けられてきた.し かし,本症の本態は心筋肥大であり,流出路の狭窄はそ の表現型の一つとするのが妥当と考えられる.基本的に は肥大型心筋症として総称し,左室流出路に狭窄が存在 す る 場 合 特 に 閉 塞 性 肥 大 型 心 筋 症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy; HOCM)とよぶのが望まし い.この他に肥大部位が特殊なものとして,心室中部閉 塞性心筋症,心尖部肥大型心筋症が挙げられ,拡張型心 筋症様病態を呈した場合拡張相肥大型心筋症(dilated phase of hypertrophic cardiomyopathy; D-HCM)と呼ば れている. 表 1 1995年WHO/ISFC合同委員会による心筋症の定義と病型分類 定  義:心筋症は心機能障害を伴う心筋疾患をいう 病型分類:1.拡張型心筋症       (dilated cardiomyopathy; DCM)      2.肥大型心筋症       (hypertrophic cardiomyopahy; HCM)      3.拘束型心筋症       (restrictive cardiomyopathy; RCM)      4.不整脈源性(催不整脈性)右室心筋症

      (arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy)      5.分類不能の心筋症

      (unclassified cardiomyopathy) 特定心筋症(specific cardiomyopathies)

(4)

がHCM様の臨床像を呈することがある.また,AMP活 性化プロテインキナーゼ遺伝子変異はWPW症候群に伴 うHCM様病態を示す糖原病の原因となる.表5にHCM 類似の表現型を呈する主な疾患とその病因遺伝子を示 す.Pompe病,Barth症候群,Noonan症候群,LEOPARD 症候群などにおいてHCM類似の心肥大がみられる.

3

病態生理と血行動態

 本症の病態は,圧負荷などでは説明のつかない不均等 な心筋肥大であり,拡張能障害を特徴とする.肥大の著 しい左室流出路や心室中隔中部などに圧較差を生じう る.また,冠微小循環の障害により,心筋虚血・冠血流 予備能の低下を来たし,胸痛など臨床症状が現れる.

4

予後

 HCMにおける疾患関連死の原因としては突然死,心 不全死,主に心房細動による塞栓症による脳卒中が主な ものである.2002年に我が国で行われた大規模な疫学 調査ではHCMの年間死亡率は2.8%であり,死因とし ては不整脈が31.9%,心不全が21.3%であった.欧米の HCMにおける疾患関連死亡86例の解析では,突然死が 44例(51%),心不全死が31例(36%),脳卒中死が11 例(13%)にみられた.突然死は若年者を中心にみら れその平均年齢は45歳であり,心不全死は中年以降に 多く平均56歳,脳卒中死は平均76歳と高齢者に多くみ られた.

2

成因

 HCMに家族性があることは古くから知られており, HCMの病因解明に分子遺伝学的手法を導入することに より1990年に心筋βミオシン重鎖遺伝子の異常が病因 である家系が示された.その後の研究により,HCMの 病因として16種類以上の遺伝子の900種類以上の変異が 報告されており,家族性肥大型心筋症の約50~60%の 家系の病因が明らかにされている.常染色体性優性遺 伝を呈するHCMの主な病因とその頻度を表4に示す. 一方で,特定心筋症であるミトコンドリア病やFabry病 表 2 肥大型心筋症および肥大型心筋症様病態を呈する類似疾患 肥大型心筋症: 肥大型心筋症様病態を呈する類似疾患: 筋原線維蛋白変異(表 4参照) ß myosin heavy chain

Cardiac myosin binding protein C Cardiac troponin I

Troponin-T a-tropomyosin

Essential myosin light chain Regulatory myosin light chain Cardiac actin

a-myosin heavy chain Titin

Troponin C Muscle LIM protein 未知の原因遺伝子

家族性(表 5、表6参照) 糖原病

 Pompe, PRKAG2, Forbes, Danonなど ライソゾーム病   Anderson–Fabry, Hurlerなど ミトコンドリア病  症候性  Noonan症候群  LEOPARD 症候群  Friedreich失調症  Beckwith–Wiedermann 症候群  Swyer症候群 その他   家族性アミロイドーシス 非家族性 肥満 糖尿病母親の児 競技スポーツ選手 アミロイドーシス 表 3 2005年特発性心筋症調査研究班による肥大型心筋症の基本病態  肥大型心筋症は,明らかな心肥大を来たす原因なく左室な いしは右室心筋の心肥大を来たす疾患であり,不均一な心肥 大を呈するのが特徴である.また,通常,左室内腔の拡大は なく,左室収縮は正常か過大である.心肥大に基づく左室拡 張能低下が,本症の基本的な病態である. ①左室流出路に狭窄が存在する場合,特に閉塞性肥大型心筋 症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy; HOCM)とよ ぶ. ②肥大部位が特殊なものとして,心室中部閉塞性心筋症 (midventricular obstruction; 肥大に伴う心室中部での内腔狭 窄がある場合),心尖部肥大型心筋症(apical hypertrophic cardiomyopathy; 心尖部に肥大が限局する場合)がある. ③肥大型心筋症の経過中に,肥大した心室壁厚が減少し菲薄 化し,心室内腔の拡大を伴う左室収縮力低下を来たし,拡 張型心筋症様病態を呈した場合,拡張相肥大型心筋症 (dilated phase of hypertrophic cardiomyopathy; D-HCM)と される.その診断は経過観察されていれば確実であるが, 経過観察されていなくても,以前に肥大型心筋症との確か な診断がされている場合も含まれる.

(5)

診断

 HCMの診断手順を図1に示す.  診断には不均等な心筋肥大を検出するために,心エコ ー図が簡便で有用であるが,エコーウインドウの制限や, エコーの描出不良の場合などには,CT・MRIが用いら れる.また,病因の説明のつかない心電図変化(異常Q 波,ST-T)を見たときには,本症を念頭に精査を進める. 表 4 肥大型心筋症の病因遺伝子

Gene Locus Protein Frequency(%)

Myofilament/Sarcomeric HCM    Giant filament

TTN 2q31 Titin (タイチン) < 1

   Thick filament

MYH7 14q11.2-q12 β -Myosin heavy chain(心筋βミオシン重鎖) 25-40 MYH6 14q11.2-q12 α -Myosin heavy chain(心筋αミオシン重鎖) < 1 MYL2 12q23-q24.3 Regulatory myosin light chain(心室型ミオシン調節軽鎖) < 1 MYL3 3p21.2-p21.3 Essential myosin light chain(心室型ミオシン必須軽鎖) < 1    Intermediate filament

MYBPC3 11p11.2 Cardiac myosin-binding protein C(心筋ミオシン結合蛋白C) 25-40    Thin filament

TNNT2 1q32 Cardiac troponin T (心筋トロポニンT) 3-5 TNNI3 19p13.4 Cardiac troponin I (心筋トロポニンI) 1-5 TPM1 15q22.1 α -Tropomyosin (αトロポミオシン) 1-5 ACTC 15q14 α -Cardiac actin (心筋αアクチン) < 1 TNNC1 3p21.1 Cardiac troponin C (心筋トロポニンC) < 1    Z-disc HCM

ACTN2 1q42-q43 α -Actinin 2 (αアクチニン2) < 1 ANKRD1 10q23.31 Cardiac ankyrin repeat protein(アンキリンリピートドメイン1) < 1 CSRP3 11p15.1 Muscle LIM protein (筋LIM蛋白) < 1 LDB3 10q22.2-q23.3 LIM binding domain 3 (サイファー) 1-5 MYOZ2 4q26-q27 Myozenin 2 (ミオゼニン2) < 1 TCAP 17q12-q21.1 Telethonin (テレトニン) < 1 VCL 10q22.1-q23 Vinculin/metavinculin (ビンキュリン/メタビンキュリン) < 1    Calcium-Handling HCM JPH2 20q13.12 Junctophilin 2 (ジャンクトフィリン2) < 1 PLN 6q22.1 Phospholamban (フォスフォランバン) < 1 表 5  HCM Phenocopy Genes

Syndrome Gene Locus Protein 左室緻密化障害 DTNA 18q12 a -dystrobrevin Barth症候群/左室緻密化障害 TAZ Xq28 Tafazzin (G4.5)

Danon病 LAMP2 Xq24 Lysosome-associated membrane protein 2 Fabry病 GLA Xq22 a -galactosidase A

Forbes病 AGL 1p21 Amylo-1,6-glucosidase Friedrich失調症 FXN 9q13 Frataxin

Noonan症候群 KRAS 12p12.1 v-Ki-ras2 Kirsten rat sarcoma viral oncogene homolog Noonan症候群 SOS1 2p22-p21 Son of sevenless homolog 1

Noonan症候群,LEOPARD症候群 PTPN11 12q24.1 Protein tyrosine phosphatase, non-receptor type 11, SHP-2 Noonan症候群,LEOPARD症候群 RAF1 3p25 V-RAF-1 murine leukemia viral oncogene homolog 1 Pompe病 GAA 17q25.2-q25.3 a -1,4-glucosidase deficiency

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1

自覚症状・身体所見

①自覚症状  HCM患者では無症状の患者もあるが,呼吸困難・胸 痛・動悸・失神などを訴える. ②身体所見  2峰性心尖拍動を触知し,第IV音を高頻度に認める. 左室流出路狭窄を伴う場合,狭窄部を通過する渦流によ る駆出性収縮期雑音や心室中隔と僧帽弁前尖の接触音で ある収縮早期過剰心音が聴取される.

2

評価法

1

心電図・ホルター心電図・加算

平均心電図・運動負荷心電図・

M-TWA・臨床電気生理学的検査

 12誘導心電図では,異常Q波,ST-T変化,陰性T波, 左室側高電位などを示し,説明のつかない心電図変化を 見た場合,まず,HCMを疑うことが重要である.HCM では,心室性あるいは上室性の頻脈性不整脈,除脈性不 整脈など,多彩な不整脈が発生し,失神発作や突然死, 心原性塞栓症の原因となるが,不整脈の多くは無症状で あるため,全例,ホルター心電図の適応となる.  加算平均心電図による心室遅延電位検出による突然死 や致死的不整脈の予測に関してはいまだ実証されていな い.  電気生理学的検査の適応を示す. 肥大型心筋症における電気生理学的検査の適応 クラスⅠ  1.心停止後蘇生したHCM患者の原因検索や植え込 み 型 除 細 動 器(implantable cardioverter defibrillator: ICD)の適否の決定  2.加算平均心電図による心室遅延電位を認める症候 性のHCM クラスⅡ  1.非閉塞性HCM患者の失神発作の原因検索  2.非持続性心室頻拍を認めるHCMのうち,連発数 の多いものまたは頻回に認めるもの クラスⅢ:  1.心室頻拍が見られず,失神発作に見合う圧較差を 認めるHOCM

2

心エコー図・ドプラ法

 HCMの基本病態は,心内腔の拡大を伴わない心筋の 不均等な肥大であり,断層心エコー図により肥大様式の 形態評価を,ドプラ法により1)左室流出路狭窄など左 室あるいは右室の閉塞の評価,2)左室拡張能,3)MR 図 1 肥大型心筋症の診断手順 症状・検診 確定診断 病歴聴取 身体所見 心電図 胸部X線 除外診断 弁膜症 先天性心疾患 高血圧性心疾患 虚血性心疾患 代謝性疾患 全身性系統疾患  アミロイドーシス Fabry 病など 心エコー図 ドプラ法 肥大部位の検出 収縮能・拡張能な ど心機能のチェッ ク 核医学検査 CT,MRI 心臓カテーテル検査 冠動脈造影 心内膜心筋生検 遺伝子診断

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などの合併症の評価を行う.心エコー図により描出が困 難な場合には,CTやMRIなどのほかの画像診断法から 総合的に診断する. 肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる患者  における経胸壁心エコー図の適応: クラスⅠ  1. HCMが疑われる患者における形態診断と血行動態 的重症度の評価  2. HCMの確定診断患者で臨床病態に明らかな変化が 生じている場合または薬物療法の選択の指針とし ての再評価 クラスⅡ  1. HCMの診断が確定している患者で臨床病態に変化 がない患者の再評価    (ただし,年1~2回程度の,経過観察目的に必要 な心エコー図検査を除く)  2.左室機能の計測による予後リスクの層別化 肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる症例 における経食道エコー検査の適応: クラスⅠ  1.臨床症状または経胸壁エコー図でHCMが強く疑 われるが,経胸壁エコー図の画質不良のため,左 室流出路および血行動態の観察が不充分な場合  2.重症僧帽弁逆流症または突然の血行動態悪化の原 因として腱索断裂が疑われるため,僧帽弁装置の 詳細なる観察が必要な場合.  3.心筋切除例における術中のモニター  4.心房細動を有する例で左房内血栓が疑われる場合 または電気的除細動を考慮する場合 クラスⅡ  1. HCMの診断が確定している患者で臨床状況に変化 がない患者の再評価 クラスⅢ  1.臨床上安定しており,処置法の変更が考慮されて いない患者におけるルーチンの再評価

3

(含,心内膜心筋生検)

心臓カテーテル検査

 心エコー図・ドプラ法を始め,CTやMRIなどでHCM の非侵襲的評価が可能であるが,冠動脈疾患との鑑別の ための冠動脈造影や二次性心筋症との鑑別のための心内 膜心筋生検など,心臓カテーテル検査が必要となる. 肥大型心筋症の診断,評価のための心臓カテーテ  ル検査の適応 クラスⅠ  1.冠動脈疾患の鑑別のための冠動脈造影  2.二次性心筋症の鑑別のための心内膜心筋生検  3.心エコー図で評価不能のHCM症例での以下の病 態    ・心室の形態,機能診断    ・HOCMに対する二腔ペーシングの効果の評価    ・ HOCMに対する外科的治療の術前術後の心室 の形態,機能診断    ・薬効評価 クラスⅡ  1.心エコー図あるいはMRI・CTで評価可能な心室 の形態,機能診断,治療効果の評価

4

核医学およびその他の画像診断

①核医学検査  核医学検査では,他の検査法では知ることのできない, 心筋血流や心筋代謝,心筋交感神経機能の評価が可能で あり,予後の推定にも有用である. 肥大型心筋症の診断,評価のための核医学検査の  適応 クラスⅠ  1.心エコー図で評価不能な症例での左室の機能診断 のためのRIアンギオグラフィ クラスⅡ  1.左室の非対称性肥大診断,予後推定のための心筋 血流イメージング  2.心筋障害診断,予後推定のための心筋脂肪酸代謝 イメージング  3.心筋障害診断,予後推定のための心筋交感神経イ メージング  4.心エコー図で評価可能な症例での左室の形態,機 能診断のためのRIアンギオグラフィ  5.心アミロイドーシス,心サルコイドーシス除外の ためのピロリン酸シンチグラフィ  6.心サルコイドーシス除外のためのガリウムシンチ グラフィ

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 7.心筋代謝障害診断のためのFDG-PET ② CT・MRI  心エコー図にて描出困難な患者における形態診断に用 いられ,特に心尖部肥大型心筋症の描出不良の際など, 肥厚部位の同定に有用である.さらにMRIでは,シネ モードにより左室造影のように左室の機能評価も可能で ある.HCMにおけるガドリニウムの遅延造影効果は組 織学的には線維化に相当すると考えられており,ガドリ ニウムの遅延造影効果と予後に関するいくつかの報告で は,本所見と心臓死・持続性心室頻拍・心室細動・植込 み型除細動器の適切作動などとの間に有意の関連性を認 め,HCMの独立した予後推定因子である可能性が示唆 されている. 肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる患者  の病態把握における CT・MRI の適応: クラスⅠ  1. HCMが疑われるが,心エコー図の描出困難な患者 における形態,機能診断  2.心尖部肥大型心筋症が疑われる患者における形態, 機能診断 クラスⅡ  1.心尖部肥大を除くHCM患者における形態,機能 診断  2.遅延造影効果による陳旧性心筋梗塞および二次性 心筋症の鑑別  3.遅延造影効果による患者のリスク層別化 クラスⅢ  1.撮像時に呼吸・心電図同期の困難な患者

5

遺伝子診断

 本法は,現時点では多くの施設で簡便に行える検査と はいえないが,特定の症例に限れば有力な診断法であり, 今後遺伝子解析の進歩により,広まっていくと思われる. ただし,疾患につながる遺伝情報を取得するにあたって は,検査対象者本人の自己決定権,プライバシーの保護, 医療機関での守秘義務など,基本的人権に関与する事態 に慎重に対応することが強く指示されている. 肥大型心筋症における遺伝子診断の適応 クラスⅠ ・家族性で表現型より遺伝子型が推測できる場合  〈遺伝子検索による遺伝子異常確定の可能性が高い〉  1.家族性HCMで閉塞性,非閉塞性の場合,β ミオ シン重鎖遺伝子の検索  2. D-HCMの場合,トロポニンT遺伝子の検索  3.次に,頻度の多い心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子 の検索を行う.  4.上記の3つの遺伝子でも遺伝子異常が確認できな かったときには,検索可能な環境の場合のみ,上 記の3つの遺伝子以外の疾患遺伝子の検索が推奨 される. クラスⅡ ・家族性であるが表現型から遺伝子型が予測できない場 合 ・孤発性でも表現型から遺伝子型が推測される場合  〈遺伝子検索による遺伝子異常確定の可能性は不確実〉  1.βミオシン重鎖遺伝子,心筋ミオシン結合蛋白C 遺伝子,トロポニンT遺伝子の検索  2.上記の3つの遺伝子でも遺伝子異常が確認出来な かった場合,検索可能な環境の場合のみ,上記の 3つの遺伝子以外の疾患遺伝子の検索が推奨され る. クラスⅢ ・孤発性で表現型から遺伝子型が推測できない症例

3

診断のフローチャート

 HCMの診断にあたっては,病歴や身体所見から心臓 カテーテル検査や心内膜心筋生検所見まで,さまざまな 質の異なる情報を駆使して行うが,心肥大・拡張機能低 下,左室流出路狭窄,不整脈の3つの病態に留意するこ とが重要である.この過程で心エコー図検査は豊富な情 報を提供するので,これを軸にするが,最初にHCMを 疑うところから心エコー図検査,さらに病態把握や重症 度評価を目的として行う心臓カテーテル検査を含めた精 密検査まで,様々な診断上のステップが存在する. HCM診断の以下のようなステップごとのフローチャー トを示す(図2).  1.ステップ1:自覚症状からHCMを疑うまで-非循 環器専門医も含めた一般外来のレベ ル  2.ステップ2:心エコー図検査でHCMと診断するま で-循環器専門外来のレベル

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自覚症状 身体所見 一般検査 所見 推定される 病態 頚静脈波での a 波増高 心尖拍動の増大 心音:Ⅳ音の亢進 心雑音:収縮期雑音 (肺胞性クラックル) 心肥大 拡張機能低下 左室流出路狭窄 不整脈 心電図:  左房負荷  左室肥大 高電位  異常 Q 波 ST-T 変化 巨大陰性 T 波  調律の異常  伝導障害 胸部 X 線写真  正常または軽度心拡大  上肺野血管陰影増強 脈拍・頚動脈拍動:      2峰性脈波 心雑音:      左室流出路      駆出性雑音 詳細な病歴聴取 心臓超音波検査 家族歴,既往歴(検診歴),職業歴,嗜好・常用薬 ステップ1:自覚症状から肥大型心筋症を疑うまで ステップ 2:心臓超音波検査で肥大型心筋症と診断するまで 心臓超音波・ドップラー検査 息切れ 呼吸困難 肺うっ血・左房圧上昇 に起因するか? 左室流出路閉塞に起因するか? 不整脈に起因するか? 心筋虚血に 起因するか? 収縮機能不全を 示唆する所見が ないか? 心肥大を来たす 他の疾患を示唆 する所見がない か? 失神 めまい 脈の乱れ動悸 胸部不快感胸痛 心悸亢進 疲労感 症状なし 鑑別診断上のポイント 左室壁運動正常 左室壁厚増大 ・非対称性肥大部位の同定 心臓超音波検査における鑑別ポイント 弁膜の異常 弁膜疾患による心肥大 左室壁運動・ 壁厚正常 左室拡大・壁運動低下 拡張型心筋症 DCM 拡張相 肥大型心筋症 DHCM “ 心電図異常 ” 拘束型心筋症 RCM 不整脈源性右室 心筋症 ARVC 左室内狭窄の有無と部位の同定 ・左室内加速血流 ・SAM      (僧帽弁逆流) 肥大型心筋症 HCM 左室拡張機能障害 ・左室流入血流速波形  ・弛緩障害型パターン  ・偽正常化パターン  ・拘束型パターン ・組織ドプラー法による僧帽弁輪  部拡張早期速度      (右室収縮期圧推定) 図 2 各ステップごとの診断フローチャート

(10)

 3.ステップ3:病態把握,重症度判定を目的とした 精密検査-入院も含めた精査のレベ ル  病因に関する検査では,肥大型心筋症様の心肥大を呈 する疾患の中には,特別な治療法が奏効する可能性のあ るものが存在するため鑑別が重要である.

4

小児における肥大型心筋症の

診断

 無症状の場合が多く,学校検診などが発見の契機とな る.小児における診断のフローチャート(図3)および 鑑別すべき二次性心筋症(表6)を示す. ステップ 3:病態把握,重症度評価を目的とした精密検査 左室形態(壁厚部位) の評価 ・Moron 分類の各型 ・心尖部肥大型 心臓 MR ・左室形態の評価 ・心筋傷害の評価  (Gd 遅延造影) 左室内狭窄の評価 ・部位 ・程度 ・僧帽弁の状態 心電図上の QT 時間,QT dispersion 加算平均心電図による LP 内分泌学的・ 免疫学的検査 心臓超音波・ドップラー検査(経胸壁,経食道) 左室拡張機能 の評価 不整脈評価 ホルター心電図 運動負荷試験 心臓カテーテル検査 心内圧測定,心室造影 心筋シンチグラム 冠動脈造影 詳細な家族歴調査 遺伝子検査 * 心筋生検 心筋虚血 の評価 電気生理学 的検査 病因に関する検査 図 3 小児期肥大型心筋症診断のフローチャート 疑い 確定的 可能性あり 種々のリスクがある 所見がある 所見が無い 運動負荷テスト,核医学検査,ホルター心電図 否定 否定的 終了 終了 随時受診 管理・治療 心カテーテル検査 オプション   心内膜心筋生検   遺伝子検索 家族歴,症状,理学所見 心電図,胸部レ線,心エコー図検査 学校検診 一般受診 失神・胸痛 心電図所見 S34

(11)

治療

 HCMの発症機序は,サルコメア蛋白異常による収縮 力低下に対する代償的肥大とともに,心筋収縮における カルシウム感受性亢進などが推測されている.HCMの 心肥大,左室拡張障害の一因は心筋細胞内カルシウム濃 度の異常高値とされ,その改善に向けての治療につなが る研究がなされている.  図4にHCMの治療のフローチャートを示す.

1

日常生活の管理

1

運動

 競技スポーツは,一部の軽いスポーツを除き,原則禁 止する.特にハイリスク患者では厳重に注意する(表7).  運動中のみならずむしろ運動直後にも注意する.

2

性生活

 性交時には心拍数,血圧とも上昇するので,HOCM ではあらかじめ十分な内科治療を受け,安定した状態で あることが前提となる. 表 6  小児で鑑別すべき二次性心筋症 疾  患  名 機 序 ・ 全 身 症 状 心  症  状 Noonan 症候群 特異な顔貌,低身長,翼状頚など Turner 症候群と 類似の表現型をとる. 染色体は正常であるが,12q24 への連鎖の報告 がある. 異形成弁による肺動脈弁狭窄,肥大型心筋症特に 中隔肥厚が強い型,心房中隔欠損などがある. LEOPARD 症候群 (multiple lentigines syndrome) 首と体幹部の多発性の黒子,軽度の発育不全,眼 球隔離,目立つ耳介,中等度の感音性唖,性器異 常などの症候群である.Noonan 症候群との類似 性も指摘されている. 軽度肺動脈狭窄,肥大型心筋症特に閉塞型,PQ 時間延長をみる. Pompe 病 酸性α -glucosidase 欠損のため,グリコーゲンが 全身に蓄積する疾患で,乳児型が Pompe 病と呼 ばれる.乳児期前半に発症し,筋力低下のため frog position をとる.予後不良で呼吸困難や心不 全で死亡する.酵素補充療法が有効である. 著しい心筋肥厚があり,左室はやや拡大する.心 電図は特徴的で著しい高電位差で PQ 時間が短 い. Danon 病 LAMP-2遺伝子変異による解糖系酵素が正常なリソソーム性糖原病.X連鎖性優性遺伝で、男性ミ オパチー、精神遅滞、心筋症が 3主徴. 筋細胞内の特異な自己貪食空砲を特徴とする.発 症は 10歳代でミオパチーが軽症であるため,し ばしば心筋症で発見される. Fabry 病 α -galactosidase 欠損による伴性劣性遺伝の糖脂 質 代 謝 異 常 で,globotriaosylceramide や galabiosylceramide が血管内膜,結合織、心臓、腎 臓などに蓄積する.Xq22 上に原因遺伝子座があ る.小児期以降,四肢疼痛,アンギオテラトーマ, 関節痛,蛋白尿,角膜混濁などを現す.酵素補充 療法が行われている. 肥大型心筋症が主で,僧帽弁逸脱・閉鎖不全,大 動脈弁閉鎖不全なども見る.全身症状がなく心異 常だけの例があり,心 Fabry 病と呼ばれる(心 Fabry 病は通常は中年以降の発症となる). Friedreich's ataxia 進行性家族性の延髄小脳失調 肥大型心筋症を高頻度に合併する 糖尿病母体児 (IDM:Infant of Diabetic Mother) 母体の高血糖により胎児高インスリン血症が起こ り,蛋白合成が亢進して心筋細胞肥大が生じる. 5~30%に心室中隔の非対称性肥厚(ASH)を合併する.流出路狭窄が血行動態的障害となること がある.通常生後 1 週間くらいで消失する. von Recklinghausen 病 染色体 17q11.2 上のNF1 変異による疾患で,近年は neurofibromatosis 1 と呼ばれ,カフェ・オ・

レ斑,多発神経線維腫がある. 肺動脈狭窄,ファロー四徴などが主であるが,肥 大型心筋症合併の報告がある. 双胎間輸血症候群 (twin-to-twin transfusion syndrome:TTTS) 一絨毛膜性双胎で両児の胎盤内血管の吻合によっ て,一児から他児へ血液の移行が起こる. 受血児では容量負荷から心筋肥厚が起こり,心不全となる.胎内死亡も多く,出生しても治療に抵 抗して死亡率が極めて高い. 先天性筋緊張性 ジストロフィー 骨格筋萎縮,筋力低下,知能低下,白内障などを 有 す る 常 染 色 体 性 優 性 遺 伝 疾 患 で, 染 色 体 19q13.3 上のmyotonin protein kinase をコードす る遺伝子のトリプルリピートによる. 伝導系異常,軸偏位など知られている.小児例を 分析した黒崎によれば,心エコー検査を行った 11 例中7 例にASH があり,うち1 例では肥大型 心筋症であった. ミトコンドリア病 ミトコンドリア遺伝子異常により,骨格筋や心筋に形態学的および機能異常を呈する.電顕ではミ トコンドリア形態異常が認められる. 心室壁肥厚をみる.

(12)

3

妊娠

 若年の女性患者では妊娠・出産に際して,血行動態が 変化するため常に潜在的なリスクをともなうことに留意 する.出産時には心エコー図・ドプラ法による非侵襲的 血行動態のモニタリングを行い,出産,産褥期には,感 染性心内膜炎の予防のため,抗菌薬の投与が考慮される べきである.

4

飲酒と喫煙

 少量のエタノール(40%エタノール50mL)の摂取に より,収縮期血圧の低下,SAMの増強,左室流出路圧 較差の上昇が認められ,さらにアルコールは,交感神経 系の亢進を来たし,心拍数を増加させるので,HCM全 般に好ましくないと考えられる.HCMで喫煙が冠スパ ズムの引き金となうる.

5

感染予防

 HCMでは感染性心内膜炎の罹患率が高くなり,抗菌 薬の予防内服が必要である.

6

塞栓症の予防

 高齢者のみならず,若年者においても心原性塞栓症を 起こすことがある.特に心房細動などを合併する場合は, 抗凝固薬の投与が必要であり,抗血小板薬を併用するこ ともある. 図 4 肥大型心筋症の治療フローチャート 肥大型心筋症 自覚症状(−) 不整脈(−) 心機能正常 β遮断薬,カルシウム拮抗薬       + 心不全例:ACE 阻害薬,ARB, 利尿薬 β遮断薬,カルシウム拮抗薬, ジソピラミド,シベンゾリン        + 心不全例:ACE 阻害薬,ARB, 利尿薬 無投薬で経過観察 非閉塞性 閉塞性 ベラパミル(?) β遮断薬(?) 反応が良好であれば 薬物療法を継続 心移植 外科療法,ペーシング植込み 術,PTSMA 臨床的または遺伝学的に 突然死のリスクが高い症例 アミオダロン 植込み型 除細動器 心房細動 心房細動 上室性頻拍 WPW 症候群 心室頻拍 心室細動 抗不整脈薬 (ジソピラミド アミオダロンなど) 抗凝固薬 (カテーテル アブレーション +ペースメーカ) 抗不整脈薬 カテーテル アブレーション 抗不整脈薬 (ジソピラミド アミオダロンなど) 植込み型 除細動器 不整脈(+) 自覚症状(+) 表 7 突然死に関する危険因子 主要な因子 ・心停止(心室細動) ・自然発症の持続性心室頻拍 ・突然死の家族歴 ・原因不明の失神 ・著しい左室肥大(左室壁厚≥30mm) ・ホルター心電図による非持続性心室頻拍 ・運動に伴う血圧反応異常 可能性のある因子 ・拡張相肥大型心筋症 ・左室心尖部心室瘤 ・左室流出路狭窄 ・MRIによる広範な遅延造影像 ・心房細動 ・危険度の高い遺伝子変異 修飾可能な因子 ・激しい身体運動(競技) ・冠動脈疾患

(13)

7

遺伝カウンセリング

 臨床遺伝学に精通した遺伝カウンセラーなどによる, 患者本人および家族を含めた遺伝相談が必要な場合があ る.

2

薬物療法

 薬物療法の目的は1)生命予後の改善 2)症状の軽 減 3)合併症の予防 にある. 薬剤の一覧表(表8)を参照 ① 無症状例(若年者あるいはハイリスクグループ  ではない例)  薬物療法の有効性について明らかなエビデンスはみら れない. クラスⅠ    なし クラスⅡ    β遮断薬,ベラパミル ②有症状例(軽度〜中等度) 1)閉塞性肥大型心筋症  β遮断薬,陰性変力作用を有するカルシウム拮抗薬(ベ ラパミル,ジルチアゼム),Ia群の抗不整脈薬(ジソピ ラミド,シベンゾリン)が用いられる.カルシウム拮抗 薬は末梢血管拡張作用により,左室流出路圧較差を増大 させるため,使用には注意を要する. クラスⅠ  β遮断薬  ベラパミル,ジルチアゼム クラスⅡ注1  ジソピラミド  ジベンゾリン クラスⅢ  左室流出路に高度な狭窄を有する患者におけるジヒド ロピリジン系カルシウム拮抗薬,陽性変力作用を有す る薬剤 2)非閉塞性肥大型心筋症  労作性呼吸困難や狭心痛のある例ではβ遮断薬,ベ ラパミルが有効である.β遮断薬とベラパミルの併用, 単剤のどちらがより有効かは明らかではない. クラスⅠ  β遮断薬  ベラパミル,ジルチアゼム ③心不全例 1)閉塞性肥大型心筋症  高度な圧較差をともなう場合,β遮断薬やナトリウ ムチャンネル遮断薬を用い,アンジオテンシン変換酵素 阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬はむしろ禁忌で ある.薬物療法に抵抗性の場合には,非薬物療法を考慮 する. クラスⅠ  左室流出路狭窄例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチ アゼム  収縮能低下例:利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻 害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬  拡張能低下例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼ ム クラスⅡ  左室流出路狭窄例:シベンゾリン,ジソピラミド クラスⅢ  高度収縮機能低下例における陰性変力作用を有する薬 剤(少量のβ遮断薬は認容性があれば使用)  高度な圧較差をともなう症例におけるアンジオテンシ ン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬 2)非閉塞性肥大型心筋症  心不全例やD-HCMでは一般の心不全治療に準じる (詳細は「慢性心不全治療ガイドライン」を参照).  収縮能の低下している例においては,利尿薬,アンジ オテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮 抗薬による治療をおこなう. クラスⅠ  拡張機能低下例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチア ゼム  収縮機能低下例:アンジオテンシン変換酵素阻害薬, 注1  Ⅰ群抗不整脈薬のジソピラミド・シベンゾリンについて は,現時点で大規模臨床試験のデータがないことを除け ば,ClassⅠに準ずる

(14)

表 8  薬剤の一覧表 海外での報告 本邦での一日投与量 β遮断薬 a ISA プロプラノロール ブフェトロール ブプラノロール ブクモロール ベフノロール Ⅰ類 2 群 - 120⊖160 mg/day 50 mg/day 60⊖120 mg/day 15 mg/day 30⊖60 mg/day 15⊖30 mg/day 30⊖90 mg/day ナドロール チモロール チリソロール 4 群 - 40⊖80 mg/day

20 mg/day 30⊖60 mg/day10⊖20 mg/day 10⊖20 mg/day メトプロロール アテノロール ビソプロロール ベタキソロール Ⅱ類 4 群 - 150⊖300 mg/day 50⊖100 mg/day 5⊖10 mg/day 5⊖80 mg/day 60⊖120 mg/day 50⊖100 mg/day 5 mg/day 2.5⊖20 mg/day カルシウム拮抗薬 b

ベラパミル 240 mg/day360⊖480 mg/day 120⊖240 mg/day

ジルチアゼム なし 90⊖180 mg/day

ニフェジピン※ 10 mg(舌下) 10⊖20 mg(舌下) 抗不整脈薬 c

ジソピラミド

シベンゾリン 600⊖800 mg/day260⊖390 mg/day 300 mg/day( * 300 mg/day(* アンジオテンシン変換酵素阻害薬 d エナラプリル SOLVD 初期量 5 mg/day 目 標 20 mg/day 実際使用量

Prevention trial 16.7 mg/day Treatment trial 16.6 mg/day CONSENSUS 初期量 10 mg/day 目 標 20 mg/day,最大 40 mg/day 実際の使用量 18.4 mg/day 5⊖10 mg/day 2.5 mg/day より開始 リシノプリル ATLAS 初期量 2.5⊖5 mg/day 目 標  低用量:2.5⊖5 mg/day  高用量:32.5⊖35 mg/day 5⊖10 mg/day 腎障害・高齢者では 2.5mg/day より 開始 アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 e ロサルタン ELITEⅡ 初期量 12.5 mg/day 目 標 50 mg/day 実際の使用量 42.6 mg/day 25⊖100 mg/day カンデサルタン CHARM 初期量:4 or 8 mg/day 目 標:32 mg/day 実際使用量:24 mg/day ARCH-J 初期量:4 mg/day 目 標:8 mg/day 実際使用量:8 mg/day 4 mg/day( 重 症 例 で は2 mg/day) より開始 維持量:8 mg/day 高 血 圧 症:4~8 mg/day( 最 大12 mg/day) 腎障害では 2 mg/dayより開始 バルサルタン Val-HeFT目 標 320 mg/day 実際の使用量 254 mg/day 40⊖80 mg/day(最大160 mg/day) 保険適応 a:高血圧,狭心症,頻脈 性不整脈 b:ベラパミル:心筋梗塞, 狭心症などの虚血性心疾患 ジルチアゼム:高血圧,狭 心症 c:ジソピラミド:頻脈性 不整脈 シベンゾリン:頻脈性不整 脈(本剤は米国未発売) (*):期外収縮,発作性頻拍 に対する用量 d:高血圧,心不全 e:高血圧 エナラプリル~バルサルタ ンの項までは日循の慢性心 不全ガイドライン(2010年 改訂版)より引用 ※急激な血圧低下,反射性 の頻脈などのため,舌下投 与は推奨されない.

(15)

アンジオテンシン受容体拮抗薬,利尿薬 クラスⅡ  なし クラスⅢ  高度収縮能低下例における陰性変力作用を有する薬剤 (少量のβ遮断薬は認容性があれば使用する) ④ハイリスクグループ  ハイリスクのHCM(表7)では突然死の予防のため, 症状の有無にかかわらず,積極的に治療をおこなうべき である.非持続性あるいは持続性心室性頻拍症に対して はアミオダロンやICDが適応となる. 肥大型心筋症の突然死の予防に関する諸治療の位 置付け クラスⅠ  1.心停止蘇生例に対するICD植え込み術 クラスⅡ  1.突然死の一次予防目的のICD植え込み術ないしア ミオダロンの投与 ⑤不整脈 クラスⅠ  β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼム,Ia群,Ic群の 抗不整脈薬,アミオダロン  心房細動例ではワーファリンの投与 (*)失神や著しいQOLの低下を伴う薬物療法抵抗性の 頻脈性心房細動,Ⅰ型心房粗動,発作性上室性頻拍,持 続性心室頻拍などはカテーテルアブレーションの適応と なり得る.(「不整脈の非薬物療法ガイドライン」参照) 肥大型心筋症に合併する不整脈の薬物療法の適応 クラスⅠ  1.心拍数が速く,血行動態に影響する心房細動,心 房粗動  2.発作性上室性頻拍  3.症状のある突然死の危険因子を持った非持続性心 室頻拍  4.持続性心室頻拍 クラスⅡ  1.症状のある上室性あるいは心室性期外収縮  2.無症状あるいは血行動態の安定した非持続性心室 頻拍 クラスⅢ  1.無症状の上室性あるいは心室性期外収縮  2.無症状の徐脈

3

非薬物療法

1

手術(心筋切開術,心筋切除術,

僧帽弁手術)

 非薬物療法のうち,手術は最も歴史が古く,治療成績 が確立している.一方,経験症例数の豊富な施設は少な い. 肥大型心筋症の外科治療の適応 クラスⅠ  1. NYHAⅢ度以上の症状を有し,薬剤抵抗性で,安 静時に50 mmHg以上の左室流出路圧較差を認める HOCM  2.意識消失発作から回復し,安静時ないし薬物負荷 時に50 mmHg以上の左室流出路圧較差を認め,薬 物抵抗性のHOCM クラスⅡ  1.心症状は軽度ないし認めないが,薬剤抵抗性の, 安静時に50 mmHg以上の左室流出路圧較差を認め るHOCM クラスⅢ  1.無症状ないし薬物療法にてコントロール可能な HOCM  2.症状はあるが運動あるいは薬物負荷試験にても左 室流出路圧較差のないHCM

2

デバイス治療

① 心臓ペースメーカ:左室内圧較差に対する  治療として クラスⅠ  1.有意な流出路圧較差があり,圧較差に基づく症状 によりQOL低下を来すHOCMで,他にペースメー カ植込みの適応となる理由を有する場合(薬剤に よる徐脈を含む)注1)

(16)

クラスⅡ  1.有意な圧較差があり,圧較差に基づく症状により QOL低下を来すHOCMで,症状と圧較差が関連 しており,薬物治療が無効か副作用のため使用不 能か,他の方法が不適当な場合 クラスⅢ  1.圧較差がなく,徐脈による植込み適応注2もない場合. ②植え込み型除細動器(ICD) クラスⅠ  1.過去に持続性心室頻拍,心室細動,心停止の既往 を有する場合 クラスⅡa  1.非持続性心室頻拍,突然死の家族歴,失神,左室 壁厚30mm以上,運動時の血圧反応異常のいずれ かを認める場合 ③心臓再同期療法 クラスⅠ  1.最適の薬物治療でもNYHAクラスⅢまたは通院可 能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆 出率35%以下,QRS幅120 msec以上で,洞調律 の場合 クラスⅡa  1.最適の薬物治療でもNYHAクラスⅢまたは通院可 能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆 出率35%以下,QRS幅120 msec以上で,心房細 動を有する場合  2.最適の薬物治療でもNYHAクラスⅢまたは通院可 能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆 出率35%以下で,ペースメーカーが植込まれ,ま たは予定され,高頻度に心室ペーシングに依存す るかまたはそれが予想される場合 クラスⅡb  1.最適の薬物治療でもNYHAクラスⅡの慢性心不全 を呈し,左室駆出率35%以下で,ペースメーカの 植込みが予定され,高頻度に心室ペーシングに依 存することが予想される場合 クラスⅢ  1.左室駆出率は低下しているが無症状で,ペースメ ーカの適応がない場合  2.心不全以外の慢性疾患により身体機能が制限され たり,余命が12か月以上期待できない場合

3

経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)

 近年,PTSMAは臨床に適応され多数例に実施されて おり,治療法として確立されたものとなってきている. しかしながら,現時点でのPTSMAの長期予後は十分に 明らかではなく,今後エビデンスの蓄積が待たれる.  2005年4月より,本法は医療保険に収載されている. 肥大型心筋症における PTSMA の適応 クラスⅠ  なし クラスⅡa注1  1. NYHAⅢ度以上の症状を有し,薬剤抵抗性で,安 静時ないし薬剤負荷時に30 mmHg以上の左室内圧 較差を認めるHOCM  2.左室内圧較差を原因とする意識消失発作を有し,安 静時ないし薬物負荷時に30 mmHg以上の圧較差を 認めるHOCM  3.左室内圧較差(30 mmHg以上)が関与する薬物治 療抵抗性の発作性心房細動 クラスⅢ  1.無症状ないし薬物療法にてコントロール可能な HOCM  2.症状はあるが左室流出路圧較差のないHCM

4

小児における肥大型心筋症の

管理と治療

1

突然死の予防と管理

 日本学校保健会の作成した学校生活管理指導表(平成 23年度版)(表9)に基づきハイリスク児ではほとんど の運動やスポーツ競技は禁止し,有症状児および閉塞型 の症例では中等度および強い運動は禁止する(図5).

2

薬物療法の適応

 (表10:Rapid Access Guide).

(17)

3

非薬物療法

①手術

 中隔心筋切除術(septal myotomy-myectomy: Morrow procedure)の小児での経験はきわめて少なく長期的な 成績も不明である. ②ペースメーカ植込み術  小児における適応や効果についてはデータがないので 適応は慎重に考慮すべきである. 表 9 日本学校保健会による学校生活管理指導表 図 5 小児の肥大型心筋症の管理 症状なし 不整脈なし 心機能正常 遺伝子異常 運動制限 (D ランク) 無投薬? β遮断薬? 運動制限 (B C ランク) 心不全治療 β遮断薬? 運動制限 (B C ランク) β遮断薬 カルシウム拮抗薬? ジソピラミド? 運動制限 (B C ランク) 抗不整脈薬 (ジソピラミド,アミダロン) 抗血栓療法 自覚症状あり  胸痛  失神 有意の閉塞 不整脈あり  心房性  心室性 心不全 肥大型心筋症

(18)

③経皮的中隔心筋焼灼術

 小児では心筋壊死後の瘢痕による不整脈や突然死のリ スク増加なども予測され,現時点では推奨できない.

表 10  小児の肥大型心筋症の治療:RAPID ACCESS GUIDE

病    態 Class Ⅰ Class Ⅱ Class Ⅲ 無症状例 一般に薬剤は用いないが症例によってはβ遮断薬,カルシウ ム拮抗薬を用いる ジゴキシン,陽性変力作用薬は 禁忌 強い運動 *は禁止 拡張機能低下例 β遮断薬カルシウム拮抗薬 ジゴキシン,陽性変力作用薬は禁忌 強い運動 *は禁止 有症状および 閉塞性肥大型心筋症 β遮断薬カルシウム拮抗薬 ジソピラミド中隔心筋切除術 ジゴキシン,陽性変力作用薬は 禁忌 強い運動 *は禁止 突然死のハイリスク群 ** β遮断薬カルシウム拮抗薬 植込み型除細動器 ジゴキシン,陽性変力作用薬は禁忌 強い運動 *は禁止 乳幼児例 (心不全をしばしば伴う) ジゴキシン,利尿薬血管拡張薬 β遮断薬 ACE阻害薬 強い運動 *は禁止 拡張相肥大型心筋症 ジゴキシン,利尿薬血管拡張薬 β遮断薬 ACE阻害薬 心移植 強い運動 *は禁止 不整脈合併例 アミオダロンβ遮断薬 カルシウム拮抗薬 心筋切除術 ジゴキシン,陽性変力作用薬は 禁忌 強い運動 *は禁止 * 日本学校保健会による学校生活管理指導表(中学,高校生用)に準ずる. **心停止あるいは持続性心室頻拍の既往,肥大型心筋症による突然死の家族歴,運動中の失神.

表 8  薬剤の一覧表 海外での報告 本邦での一日投与量 β遮断薬 a ISA プロプラノロール ブフェトロール ブプラノロール ブクモロール ベフノロール Ⅰ類 2 群 - 120⊖160 mg/day50 mg/day 60⊖120 mg/day15 mg/day30⊖60 mg/day15⊖30 mg/day 30⊖90 mg/day ナドロール チモロール チリソロール 4 群 - 40⊖80 mg/day
表 10  小児の肥大型心筋症の治療:RAPID ACCESS GUIDE

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